【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1の特徴を有するコンベア装置によって達成される。コンベア装置のさらに有利な構成は、従属請求項において開示される。請求項において個々に詳述される特徴は、いかなる技術的に可能な方法にも組み込まれることができて、記述からの説明的な事実によって補充されることができる。そして、本発明のさらなる変形例が示される。
【0006】
本発明は、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、第1側部によっておよび第2側部によって少なくとも制限されるフランジを備え、第1側部および第2側部は、少なくとも一部が相互に反対側になるように配置され、
−フィルタ、
−バイアスされた氷圧補償手段、および、
−可撓性の氷圧補償手段、
のうちの少なくとも1つは、第1側部上に配置され、
−ポンプ、
−圧力センサ、および、
−温度センサ、
のうちの少なくとも1つは、第2側部上に配置される、コンベア装置に関する。
【0007】
コンベア装置は、特に、還元剤タンクから外部的に、またはそれの外側に配置されるコンベア装置である。そして、還元剤は、導入管を介してタンクから引き出される。特に、コンベア装置は、タンク内にまたはタンク上に直接配置されない。コンベア装置と還元剤タンクとの間には、少なくとも20cm(センチメートル)の、好ましくは少なくとも50cmでさえの、そして特に好ましくは少なくとも1m(メートル)でさえの距離のあることが好ましい。この距離は、導入管によって架橋される。還元剤の圧力は、次いで、コンベア装置において定義済みの圧力まで上昇される。加圧された還元剤は、インジェクタパイプを介して、コンベア装置からインジェクタまで運搬されることができる。インジェクタは、還元剤を排ガス処理装置に供給するのに適合することができる。
【0008】
コンベア装置には、入口部品および出口部品が、好ましくはある。導入管は、入口部品に接続されることができる。インジェクタパイプは、出口部品への接続に適している。コンベア装置において入口部品と出口部品との間には、コンベア経路が設けられることができる。還元剤は、入口部品から出口部品までこのコンベア経路に沿って運搬されて、その過程で、上述の個々のコンポーネント(の好ましくは全て)を通過する。コンベア経路および個々に詳述されたコンポーネントの構成は、コンベア装置において還元剤で満たされるボリュームを共に定める。
【0009】
コンベア装置の中心的要素は、フランジである。「フランジ」は、特に、板状形成を意味するために用いられる。フランジは、好ましくは金属でできていて、特に好ましくはアルミニウムでできていて、高い熱伝導性を呈する。コンベア装置またはフランジの熱は、したがって、急速に分配されることができる。そして、コンベア装置は、したがって、特に効果的に加熱されることができる。コンベア装置の個々のコンポーネントを相互接続する還元剤ダクトは、好ましくはフランジにおいて設けられる。例えば、フィルタをポンプに、そしてポンプを圧力センサに接続するダクトは、フランジにおいて設けられてよい。これらのダクトは、少なくとも部分的に、コンベア装置を通るコンベア経路を形成する。
【0010】
本発明によるコンベア装置のフランジ上に配置されてよい個々のコンポーネントは、各々、以下に記載する。
【0011】
還元剤フィルタは、還元剤内の混入物を留め置くために設けられる。混入物は、コンベア装置のさらなるコンポーネントに、そして還元剤を排ガス処理装置に供給するためのインジェクタに損傷を引き起こす場合がある。フィルタは、したがって、コンベア装置において、好ましくは入口部品の直後に配置される。さらに(加えて、または代わりに)スクリーンは、入口部品の範囲内におよび/または出口部品の範囲内に設けられてよい。そしてそれを用いて、コンベア装置のおよび/またはコンベア装置後(例えば、インジェクタ)のうちの少なくとも1つのコンポーネントは、(粗い)混入物に対して保護される。したがって、これらのコンポーネントのための保守間隔は、延長されることができて、および/またはインジェクタの詰まりの危険は、減少することができる。
【0012】
凍結する危険のせいで、還元剤で満たされるコンベア装置の容積を増加させることによって、凍結する間、還元剤の膨張を補償するためにコンベア装置にさまざまな補償手段を設けることが、好ましい。この種の氷圧補償要素は、例えば、凍結が発生するときに、還元剤で満たされるコンベア装置の領域を拡張することができる弾性要素として造られる。バイアスされた氷圧補償手段と、可撓性の氷圧補償手段とで区別される。バイアスされた氷圧補償手段は、特定の閾値圧力を越えるときに、コンベア装置内の容積を増大することを可能にするだけである。この種の氷圧補償手段は、例えば、ばねによって停止部に対してバイアスされる摺動要素として造られてよい。可撓性の氷圧補償手段は、内部の圧力が連続的に増加するときに、還元剤で満たされるコンベア装置の内部を拡張する。この種の可撓性の氷圧補償手段は、例えば、コンベア装置のパイプ内のゴム挿入物として造られてよい。
【0013】
圧力を増加するために、そしてコンベア装置内を運搬するために、ポンプが、用いられる。ピストンポンプまたはダイアフラムポンプが好ましくは使われる。そしてそれは、還元剤が運搬されるときに、規則的に増減するポンプチャンバを備えるという点を基本的に特徴とする。少なくとも1つの入口バルブおよび少なくとも1つの出口バルブは、好ましくはポンプチャンバ上に配置される。ポンプの搬送方向は、バルブの構成により決定される。還元剤は、入口バルブを通ってポンプチャンバ内へと流入(のみ)することができる。還元剤は、出口バルブを通ってポンプチャンバから流出(のみ)することができる()。
【0014】
圧力センサは、さらなるコンポーネントとして、コンベア装置に好ましくは設けられる。ポンプによって発生する運搬圧力は、圧力センサによってモニタされることができる。圧力センサで測定される圧力が特定の値に達するというような仕方で、ポンプは、調整されてよい。圧力センサは、コンベア経路に沿った搬送方向においてポンプの後方に好ましくは配置される。ポンプによって発生する圧力は、したがって、圧力センサによってモニタされることができる。
【0015】
温度センサは、さらなるコンポーネントとして設けられてよい。例えば、温度センサは、コンベア装置内の還元剤が液体であるか凍結しているかどうかをモニタすることができる。コンベア装置の加熱は、したがって、調整されることができる。温度センサは、還元剤および/またはコンポーネントの温度についての結論が得られるようにフランジの領域の温度を好ましくは測定する。
【0016】
フィルタは、概して、コンベア装置の入口部品からコンベア装置の出口部品までのコンベア経路に沿って最初に設けられる。ポンプは、次に続く。圧力センサおよび任意に温度センサは、好ましくはコンベア経路においてポンプの後に配置される。バイアスされた氷圧補償手段および可撓性の氷圧補償手段は、各々、コンベア装置において還元剤の凍結の間、発生する氷圧が特に高い位置に好ましくは配置される。さらに、コンベア装置のポンプおよびコンポーネントの有利な配置は、コンベア経路に沿って理解されることになる。その結果、還元剤中の気泡は、容易に収縮可能であり、予め決められた場所に集められることができ、および/または、コンベア装置から運び出されることができる。したがって、ポンプから出口部品までのコンベア経路が実質的に直線に(特に整列配置されて)設けられること、および/または、コンベア経路が据え付け状態において垂直に(重力に対して)上向きに設けられることは、好ましい。
【0017】
本発明によるコンベア装置において、フランジの第1側部上の、および第2側部上のコンポーネントの配置は、電気的部品のないコンポーネントが第1側部上に配置される一方、電気的部品を有するコンポーネントが第2側部上に配置されるというような方法で、好ましくは分けられる。電気的部品を有するコンポーネントは、例えば、ポンプおよびセンサである。これらのコンポーネントは、例えば、コンベア装置の制御装置と協働する。したがって、フランジを通っておよび/またはフランジを回って延びる電気ラインまたは信号ラインは、必要でない。
【0018】
本発明によるコンベア装置は、好ましくは、コンベア装置から還元剤タンクへ戻る戻り管を備えていない。
【0019】
特に有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを含む着脱可能なフィルタ・カートリッジとして造られるフィルタを備える。
−フィルタ・カートリッジをコンベア装置にロックすることのできる少なくともスナップクロージャ、
−クロージャによって閉じられることができ、そしてそれを介して、フィルタ・カートリッジがコンベア装置から取り外されずに空にされることのできる少なくとも開口、および、
−少なくとも、可撓性の氷圧補償手段。
【0020】
フィルタ・カートリッジは、好ましくは上述のすべての特徴を備える。
【0021】
フィルタは、これが還元剤の混入物が集まるところであるので、最も頻繁に修理されなければならないかまたは交換されなければならないコンベア装置のコンポーネントである。コンベア装置にフィルタ・カートリッジをロックするためのスナップクロージャは、したがって、特に有利である。スナップクロージャは、迅速に開閉されることができる。フィルタ・カートリッジ全体がコンベア装置から取り外される前に、還元剤は、クロージャを有する開口を通ってフィルタ・カートリッジから取り除かれることができる。還元剤は、したがって、フィルタ・カートリッジが取り外されるときに、コンベア装置から制御されずに漏れ出ることを防止されることができる。フィルタ・カートリッジは、フィルタがもはや機能的でないときに、捨てられる使い捨て可能なコンポーネントとして形成されてよい。フィルタ・カートリッジは、通常、フランジに間接的に固定される。フィルタホルダそれともカートリッジホルダは、フランジに固定することができる。そしてそのホルダ内に、フィルタ・カートリッジは、記載されたスナップクロージャを介してロックされることができる。
【0022】
本発明によるコンベア装置のさらに有利な展開において、コンベア装置は、コンベア経路が通って延びるフィルタを備える。そして、フィルタを迂回するための少なくとも1つのバイパスダクトは、形成されて、通気性のダイアフラムによって閉じられる。
【0023】
この着想は、本発明の他の特徴とは独立して適用されることもできる。特に、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、入口部品から出口部品までフィルタを通って延びるコンベア経路を備え、フィルタを迂回するための少なくとも1つのバイパスダクトは、設けられて、通気性のダイアフラムによって閉じられる、コンベア装置もまた、提案される。
【0024】
動作中にフィルタ内に気泡が集まる場合、それは問題を含むことが判明した。この種の気泡は、フィルタのジオメトリのせいでしばしばポンプによって引き込まれることができなくて、その代わりにフィルタの前面に残る。還元剤がフィルタの全てのフィルタ領域に亘って分配されることを確実にする比較的大きいスペースは、通常、フィルタの前面に配置される。フィルタを迂回するための定義済みバイパスダクトは、この種の気泡がフィルタの前面に残らずに、フィルタまたはフィルタを囲む空間から運搬されることを確実にすることを可能にする。ダイアフラムは、還元剤がバイパスダクトを通って流れるのを防止して、したがって、濾過されてない還元剤がコンベア装置のさらなるコンポーネントに到達するのを防止する。この種の空気−バイパスダクトは、取り替え可能なフィルタ・カートリッジの構成要素でもよい。しかしながら、この種のバイパスダクトは、フィルタホルダ内に作成されてもよい。
【0025】
少なくとも1つのバイパスダクトは、フィルタより上に好ましくは配置される。これは、コンベア装置の適切な構成およびコンベア装置の対応するアセンブリによって確実にされることができる。気泡は、フィルタの前方空間の最も高い位置に概して集まる。したがって、バイパスダクトを正確にここに提供することは、特に有利である。
【0026】
さらに、コンベア装置のコンベア経路が(少なくとも部分的に)通風されることができるのに用いる空気抜きねじまたは等価な通風手段は、設けられることができる。特に、通風手段は、フィルタの次に配置される。このように、フィルタの保守または交換を準備する場合に、コンベア装置が開かれるときに、還元剤が流れ(すなわちタンクからの)を維持することは、確実にされることができる。
【0027】
さらに有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、ばね負荷要素によって停止部に対してバイアスされる可動要素を含むバイアスされた氷圧補償手段を少なくとも備え、可動要素は、Vリングシールによって封止される。Vリングシールは、V形であり、概して、互いにある角度に配置される2つの側面(flank)を備える。側面が共に押圧されるとき、角度はより鋭くなる。側面が圧力を取り除かれるとき、角度は増加する。Vリングシールの側面が可動要素の動きに少なくとも部分的に続くことができるので、可動要素間の特に良好な(軸方向)シールは、この種のVリングシールを用いて達成することができる。
【0028】
本発明によるコンベア装置のさらに有利な展開において、コンベア装置は、圧力センサおよびポンプを備え、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、圧力センサから20mm未満の、好ましくは10mm未満の、特に好ましくは2mm[ミリメートル]〜6mmの範囲の第1の距離で圧力センサ上に配置される。
【0029】
この着想は、本発明の他の特徴とは独立して適用されることもできる。特に、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、圧力センサおよびポンプを備え、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、圧力センサから20mm[ミリメートル]未満の第1の距離で圧力センサ上に配置される、コンベア装置は、したがって提案される。
【0030】
この可撓性の氷圧補償手段は、周囲圧力で好ましくは500mm
3未満の、特に好ましくは200mm
3未満の、そして特に100mm
3未満のボリュームを有する。
【0031】
コンベア装置によって高い測定精度を達成するために、単にバイアスされた氷圧補償手段だけがコンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に設けられる場合、それは、通常有利である。バイアスされた氷圧補償手段を用いてコンベア装置内の還元剤で満たされる容積は、通常の作動圧力範囲における圧力変動によっては変化しない。したがって、好ましくは容積は、通常の作動圧力でおよび通常の作業温度で非常に少ない(ほぼ0mm
3)。このバイアスのせいで、氷圧補償手段は、通常の作動の間、移動しない。その結果、摩擦および摩耗は、回避されることができる。これは、測定精度のために有利である。これは、可撓性の氷圧補償手段を有する場合ではない。そしてそれは、通常の作動圧力範囲における圧力変動の場合でさえ、コンベア装置内の還元剤で満たされる容積を変える。しかしながら、圧力センサは、特に氷圧に影響されることが分かっている。したがって、圧力センサから非常に短い距離に可撓性の氷圧補償手段を設けることは、有利である。コンベア経路に沿ってポンプの後方にこの1つの(個々の)可撓性の氷圧補償手段に加えて、さらなる可撓性の氷圧補償手段が設けられない場合、それは特に有利である。
【0032】
本発明によるコンベア装置の特に有利な展開において、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路から分岐するスパーダクト上に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、スパーダクト内へと延びる。この種の構成は、圧力センサの特に近くに可撓性の氷圧補償手段を配置することを可能にする。バイアスされた氷圧補償手段もまた、圧力センサの近くに好ましくは設けられる。この手段は、弾性要素によって停止部に対してバイアスされるダイアフラムとして造られることもできる。このダイアフラムがゴム、プラスチック材料または天然ゴムでできている場合、それは特に有利である。この種のダイアフラムは、ダイアフラムの圧縮性が無視されることができるように、非常に薄くてもよい。しかしながら、可撓性の氷圧補償手段を形成する延長部(extension)は、このダイアフラム上に一体的にモールドされるかまたは局所的に鋳造されてよい。延長部は、ダイアフラムと同じ材料から、好ましくは構成される。しかしながら、延長部はまた、別のコンポーネントであることができ、および/または異なる材料でできていることができる。
【0033】
さらに有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、コンベア装置のフィルタ内へと延びるヒータを備える。この種のヒータは、内燃機関の冷却水を用いて、または電気エネルギーを用いて作動されることができる。この種のヒータは、好ましくはフィルタ・カートリッジのためのフィルタホルダの構成要素である。このヒータは、好ましくは本発明によるコンベア装置の唯一のヒータである。熱伝導構造は、ヒータとフランジとの間に設けられることができる。そして、ヒータによって発せられる熱は、その構造を介して、フランジへと導入されることができて、および/または、熱は、その構造から、コンベア装置の個々のコンポーネントに分配されることができる。
【0034】
本発明およびその技術分野は、図を参照して以下により詳細に記載される。図は、特に好ましい実施形態を示すが、しかし本発明はそれに制限されない。特に、図および、特に、図示される大きさは、単に概略的のみであると指摘される。