特許第5969510号(P5969510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969510
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】還元剤を運搬するためのコンベア装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20160804BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   B01D53/94 222
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-552910(P2013-552910)
(86)(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公表番号】特表2014-506647(P2014-506647A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2012051807
(87)【国際公開番号】WO2012107351
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】102011010640.5
(32)【優先日】2011年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500038927
【氏名又は名称】エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンステクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】マギャン ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】バドウアル ロイク
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−514973(JP,A)
【文献】 特開2010−007617(JP,A)
【文献】 特開2004−144093(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/023124(WO,A1)
【文献】 特表2004−509277(JP,A)
【文献】 特表2011−518272(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01925354(EP,A1)
【文献】 米国特許第06209315(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(2)から、内燃機関(4)からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置(3)に還元剤を運搬するためのコンベア装置(1)であって、前記コンベア装置(1)は、少なくとも第1側部(10)によって、および第2側部(11)によって定義されるフランジ(8)を備え、前記第1側部(10)および前記第2側部(11)は、少なくとも一部が相互に反対側になるように配置され、
前記コンベア装置(1)は、前記第1側部(10)上に配置されるフィルタ(12)を備え、前記フィルタ(12)は、
−前記フィルタ・カートリッジ(18)を前記コンベア装置(1)にロックするように構成される少なくとも1つのスナップクロージャ(19)、
−前記フィルタ・カートリッジ(18)を前記コンベア装置(1)から取り外さずに前記フィルタ・カートリッジ(18)を空にするように構成され、クロージャ(21)によって閉じられるように構成される、少なくとも1つの開口(20)、および、
−可撓性の氷圧補償手段(14)、
のうちの少なくとも1つを含む着脱可能なフィルタ・カートリッジ(18)を有し、
前記第2側部(11)上に、
−ポンプ(15)、
−圧力センサ(16)、および、
−温度センサ(17)、
のうちの少なくとも1つが配置される、
コンベア装置(1)。
【請求項2】
前記コンベア装置(1)は、コンベア経路(7)が通って延びるフィルタ(12)を備え、前記フィルタ(12)を迂回するための少なくとも1つのバイパスダクト(22)は、前記フィルタ・カートリッジ(18)に設けられて、通気性膜(23)によって閉じられる、請求項1に記載のコンベア装置(1)。
【請求項3】
前記コンベア装置(1)は、ばね負荷要素(25)によって停止部(26)に対してバイアスされる可動要素(24)を含むバイアスされた氷圧補償手段(13)を少なくとも備え、前記可動要素(24)は、Vリングシール(30)によって閉じられる、請求項1または2に記載のコンベア装置(1)。
【請求項4】
前記コンベア装置(1)は、圧力センサ(16)およびポンプ(15)を備え、前記圧力センサ(16)は、前記コンベア装置(1)を通るコンベア経路(7)に沿って前記ポンプ(15)の後方に配置され、可撓性の氷圧補償手段(14)は、前記圧力センサ(16)から20mm[ミリメートル]未満の第1の距離(31)で前記圧力センサ(16)の近辺に配置される、請求項1〜のいずれか1項に記載のコンベア装置(1)。
【請求項5】
前記圧力センサ(16)は、前記コンベア装置(1)を通るコンベア経路(7)から分岐する分岐ダクト(33)上に配置され、前記可撓性の氷圧補償手段(14)は、前記分岐ダクト(33)内へと延びる、請求項に記載のコンベア装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するのに適した排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
還元剤が排ガスに供給される排ガス処理プロセスは、近年ますます用いられている。特に、選択接触還元プロセス(SCRプロセス)は、これまでしばしば使用された。このプロセスについては、排ガス中の酸化窒素化合物は、還元剤を用いて還元される。例えば、プロセスは、自動車両からの、特に商用車の排ガスを清掃するために用いる。この目的のために、特にアンモニアが、還元剤として用いられる。還元剤は、しばしば、排ガスに直接加えられるのではなく、排ガス中で実際の還元剤を形成するように反応する還元剤前駆体の形で加えられる。尿素−水溶液は、アンモニアのためにしばしば用いられる還元剤前駆体である。32.5%の尿素を有する尿素−水溶液は、商品名「AdBlue」の下で広く利用できる。簡潔に説明するために、「還元剤」という用語が、還元剤前駆体および還元剤前駆体溶液のためにも以下使われる。
【0003】
還元剤のためのコンベア装置の場合、含まれる酸化窒素化合物を還元するのに必要な還元剤のできるだけ正確な量が排ガスに供給されるために、還元剤の供給は、信頼できるものであり、そしてできるだけ正確に測定されることが確実にされなければならない。水性還元剤は、低温で使われるときに凍結する場合があるという点で、課題が起こる。例えば、上記の32.5%の尿素−水溶液は、−11℃の温度で凍結する。この種の温度は、例えば冬の休止期間の間に、特に自動車両の排ガス処理装置において、容易に発生することがありえる。この文脈において、「凍結」という用語は、液体から固体への還元剤の相転移を意味する。還元剤が水性還元剤である場合、還元剤が凍結するときに、ボリュームは増加する。還元剤のためのコンベア装置の場合、したがって、ボリュームのこの増加がコンベア装置を破壊しないことが確実にされなければならない。加えて、コンベア装置は、コンベア装置に含まれる還元剤が凍結した後、できるだけ早く再び運搬するように準備されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のことから始まって、上述の技術的課題を、特に有利な方法で解決するかまたは緩和することは、したがって、本発明の目的である。特に信頼性が高くて、費用効果的であり、そして特に凍結に耐える、還元剤のためのコンベア装置は、特に提案される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1の特徴を有するコンベア装置によって達成される。コンベア装置のさらに有利な構成は、従属請求項において開示される。請求項において個々に詳述される特徴は、いかなる技術的に可能な方法にも組み込まれることができて、記述からの説明的な事実によって補充されることができる。そして、本発明のさらなる変形例が示される。
【0006】
本発明は、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、第1側部によっておよび第2側部によって少なくとも制限されるフランジを備え、第1側部および第2側部は、少なくとも一部が相互に反対側になるように配置され、
−フィルタ、
−バイアスされた氷圧補償手段、および、
−可撓性の氷圧補償手段、
のうちの少なくとも1つは、第1側部上に配置され、
−ポンプ、
−圧力センサ、および、
−温度センサ、
のうちの少なくとも1つは、第2側部上に配置される、コンベア装置に関する。
【0007】
コンベア装置は、特に、還元剤タンクから外部的に、またはそれの外側に配置されるコンベア装置である。そして、還元剤は、導入管を介してタンクから引き出される。特に、コンベア装置は、タンク内にまたはタンク上に直接配置されない。コンベア装置と還元剤タンクとの間には、少なくとも20cm(センチメートル)の、好ましくは少なくとも50cmでさえの、そして特に好ましくは少なくとも1m(メートル)でさえの距離のあることが好ましい。この距離は、導入管によって架橋される。還元剤の圧力は、次いで、コンベア装置において定義済みの圧力まで上昇される。加圧された還元剤は、インジェクタパイプを介して、コンベア装置からインジェクタまで運搬されることができる。インジェクタは、還元剤を排ガス処理装置に供給するのに適合することができる。
【0008】
コンベア装置には、入口部品および出口部品が、好ましくはある。導入管は、入口部品に接続されることができる。インジェクタパイプは、出口部品への接続に適している。コンベア装置において入口部品と出口部品との間には、コンベア経路が設けられることができる。還元剤は、入口部品から出口部品までこのコンベア経路に沿って運搬されて、その過程で、上述の個々のコンポーネント(の好ましくは全て)を通過する。コンベア経路および個々に詳述されたコンポーネントの構成は、コンベア装置において還元剤で満たされるボリュームを共に定める。
【0009】
コンベア装置の中心的要素は、フランジである。「フランジ」は、特に、板状形成を意味するために用いられる。フランジは、好ましくは金属でできていて、特に好ましくはアルミニウムでできていて、高い熱伝導性を呈する。コンベア装置またはフランジの熱は、したがって、急速に分配されることができる。そして、コンベア装置は、したがって、特に効果的に加熱されることができる。コンベア装置の個々のコンポーネントを相互接続する還元剤ダクトは、好ましくはフランジにおいて設けられる。例えば、フィルタをポンプに、そしてポンプを圧力センサに接続するダクトは、フランジにおいて設けられてよい。これらのダクトは、少なくとも部分的に、コンベア装置を通るコンベア経路を形成する。
【0010】
本発明によるコンベア装置のフランジ上に配置されてよい個々のコンポーネントは、各々、以下に記載する。
【0011】
還元剤フィルタは、還元剤内の混入物を留め置くために設けられる。混入物は、コンベア装置のさらなるコンポーネントに、そして還元剤を排ガス処理装置に供給するためのインジェクタに損傷を引き起こす場合がある。フィルタは、したがって、コンベア装置において、好ましくは入口部品の直後に配置される。さらに(加えて、または代わりに)スクリーンは、入口部品の範囲内におよび/または出口部品の範囲内に設けられてよい。そしてそれを用いて、コンベア装置のおよび/またはコンベア装置後(例えば、インジェクタ)のうちの少なくとも1つのコンポーネントは、(粗い)混入物に対して保護される。したがって、これらのコンポーネントのための保守間隔は、延長されることができて、および/またはインジェクタの詰まりの危険は、減少することができる。
【0012】
凍結する危険のせいで、還元剤で満たされるコンベア装置の容積を増加させることによって、凍結する間、還元剤の膨張を補償するためにコンベア装置にさまざまな補償手段を設けることが、好ましい。この種の氷圧補償要素は、例えば、凍結が発生するときに、還元剤で満たされるコンベア装置の領域を拡張することができる弾性要素として造られる。バイアスされた氷圧補償手段と、可撓性の氷圧補償手段とで区別される。バイアスされた氷圧補償手段は、特定の閾値圧力を越えるときに、コンベア装置内の容積を増大することを可能にするだけである。この種の氷圧補償手段は、例えば、ばねによって停止部に対してバイアスされる摺動要素として造られてよい。可撓性の氷圧補償手段は、内部の圧力が連続的に増加するときに、還元剤で満たされるコンベア装置の内部を拡張する。この種の可撓性の氷圧補償手段は、例えば、コンベア装置のパイプ内のゴム挿入物として造られてよい。
【0013】
圧力を増加するために、そしてコンベア装置内を運搬するために、ポンプが、用いられる。ピストンポンプまたはダイアフラムポンプが好ましくは使われる。そしてそれは、還元剤が運搬されるときに、規則的に増減するポンプチャンバを備えるという点を基本的に特徴とする。少なくとも1つの入口バルブおよび少なくとも1つの出口バルブは、好ましくはポンプチャンバ上に配置される。ポンプの搬送方向は、バルブの構成により決定される。還元剤は、入口バルブを通ってポンプチャンバ内へと流入(のみ)することができる。還元剤は、出口バルブを通ってポンプチャンバから流出(のみ)することができる()。
【0014】
圧力センサは、さらなるコンポーネントとして、コンベア装置に好ましくは設けられる。ポンプによって発生する運搬圧力は、圧力センサによってモニタされることができる。圧力センサで測定される圧力が特定の値に達するというような仕方で、ポンプは、調整されてよい。圧力センサは、コンベア経路に沿った搬送方向においてポンプの後方に好ましくは配置される。ポンプによって発生する圧力は、したがって、圧力センサによってモニタされることができる。
【0015】
温度センサは、さらなるコンポーネントとして設けられてよい。例えば、温度センサは、コンベア装置内の還元剤が液体であるか凍結しているかどうかをモニタすることができる。コンベア装置の加熱は、したがって、調整されることができる。温度センサは、還元剤および/またはコンポーネントの温度についての結論が得られるようにフランジの領域の温度を好ましくは測定する。
【0016】
フィルタは、概して、コンベア装置の入口部品からコンベア装置の出口部品までのコンベア経路に沿って最初に設けられる。ポンプは、次に続く。圧力センサおよび任意に温度センサは、好ましくはコンベア経路においてポンプの後に配置される。バイアスされた氷圧補償手段および可撓性の氷圧補償手段は、各々、コンベア装置において還元剤の凍結の間、発生する氷圧が特に高い位置に好ましくは配置される。さらに、コンベア装置のポンプおよびコンポーネントの有利な配置は、コンベア経路に沿って理解されることになる。その結果、還元剤中の気泡は、容易に収縮可能であり、予め決められた場所に集められることができ、および/または、コンベア装置から運び出されることができる。したがって、ポンプから出口部品までのコンベア経路が実質的に直線に(特に整列配置されて)設けられること、および/または、コンベア経路が据え付け状態において垂直に(重力に対して)上向きに設けられることは、好ましい。
【0017】
本発明によるコンベア装置において、フランジの第1側部上の、および第2側部上のコンポーネントの配置は、電気的部品のないコンポーネントが第1側部上に配置される一方、電気的部品を有するコンポーネントが第2側部上に配置されるというような方法で、好ましくは分けられる。電気的部品を有するコンポーネントは、例えば、ポンプおよびセンサである。これらのコンポーネントは、例えば、コンベア装置の制御装置と協働する。したがって、フランジを通っておよび/またはフランジを回って延びる電気ラインまたは信号ラインは、必要でない。
【0018】
本発明によるコンベア装置は、好ましくは、コンベア装置から還元剤タンクへ戻る戻り管を備えていない。
【0019】
特に有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを含む着脱可能なフィルタ・カートリッジとして造られるフィルタを備える。
−フィルタ・カートリッジをコンベア装置にロックすることのできる少なくともスナップクロージャ、
−クロージャによって閉じられることができ、そしてそれを介して、フィルタ・カートリッジがコンベア装置から取り外されずに空にされることのできる少なくとも開口、および、
−少なくとも、可撓性の氷圧補償手段。
【0020】
フィルタ・カートリッジは、好ましくは上述のすべての特徴を備える。
【0021】
フィルタは、これが還元剤の混入物が集まるところであるので、最も頻繁に修理されなければならないかまたは交換されなければならないコンベア装置のコンポーネントである。コンベア装置にフィルタ・カートリッジをロックするためのスナップクロージャは、したがって、特に有利である。スナップクロージャは、迅速に開閉されることができる。フィルタ・カートリッジ全体がコンベア装置から取り外される前に、還元剤は、クロージャを有する開口を通ってフィルタ・カートリッジから取り除かれることができる。還元剤は、したがって、フィルタ・カートリッジが取り外されるときに、コンベア装置から制御されずに漏れ出ることを防止されることができる。フィルタ・カートリッジは、フィルタがもはや機能的でないときに、捨てられる使い捨て可能なコンポーネントとして形成されてよい。フィルタ・カートリッジは、通常、フランジに間接的に固定される。フィルタホルダそれともカートリッジホルダは、フランジに固定することができる。そしてそのホルダ内に、フィルタ・カートリッジは、記載されたスナップクロージャを介してロックされることができる。
【0022】
本発明によるコンベア装置のさらに有利な展開において、コンベア装置は、コンベア経路が通って延びるフィルタを備える。そして、フィルタを迂回するための少なくとも1つのバイパスダクトは、形成されて、通気性のダイアフラムによって閉じられる。
【0023】
この着想は、本発明の他の特徴とは独立して適用されることもできる。特に、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、入口部品から出口部品までフィルタを通って延びるコンベア経路を備え、フィルタを迂回するための少なくとも1つのバイパスダクトは、設けられて、通気性のダイアフラムによって閉じられる、コンベア装置もまた、提案される。
【0024】
動作中にフィルタ内に気泡が集まる場合、それは問題を含むことが判明した。この種の気泡は、フィルタのジオメトリのせいでしばしばポンプによって引き込まれることができなくて、その代わりにフィルタの前面に残る。還元剤がフィルタの全てのフィルタ領域に亘って分配されることを確実にする比較的大きいスペースは、通常、フィルタの前面に配置される。フィルタを迂回するための定義済みバイパスダクトは、この種の気泡がフィルタの前面に残らずに、フィルタまたはフィルタを囲む空間から運搬されることを確実にすることを可能にする。ダイアフラムは、還元剤がバイパスダクトを通って流れるのを防止して、したがって、濾過されてない還元剤がコンベア装置のさらなるコンポーネントに到達するのを防止する。この種の空気−バイパスダクトは、取り替え可能なフィルタ・カートリッジの構成要素でもよい。しかしながら、この種のバイパスダクトは、フィルタホルダ内に作成されてもよい。
【0025】
少なくとも1つのバイパスダクトは、フィルタより上に好ましくは配置される。これは、コンベア装置の適切な構成およびコンベア装置の対応するアセンブリによって確実にされることができる。気泡は、フィルタの前方空間の最も高い位置に概して集まる。したがって、バイパスダクトを正確にここに提供することは、特に有利である。
【0026】
さらに、コンベア装置のコンベア経路が(少なくとも部分的に)通風されることができるのに用いる空気抜きねじまたは等価な通風手段は、設けられることができる。特に、通風手段は、フィルタの次に配置される。このように、フィルタの保守または交換を準備する場合に、コンベア装置が開かれるときに、還元剤が流れ(すなわちタンクからの)を維持することは、確実にされることができる。
【0027】
さらに有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、ばね負荷要素によって停止部に対してバイアスされる可動要素を含むバイアスされた氷圧補償手段を少なくとも備え、可動要素は、Vリングシールによって封止される。Vリングシールは、V形であり、概して、互いにある角度に配置される2つの側面(flank)を備える。側面が共に押圧されるとき、角度はより鋭くなる。側面が圧力を取り除かれるとき、角度は増加する。Vリングシールの側面が可動要素の動きに少なくとも部分的に続くことができるので、可動要素間の特に良好な(軸方向)シールは、この種のVリングシールを用いて達成することができる。
【0028】
本発明によるコンベア装置のさらに有利な展開において、コンベア装置は、圧力センサおよびポンプを備え、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、圧力センサから20mm未満の、好ましくは10mm未満の、特に好ましくは2mm[ミリメートル]〜6mmの範囲の第1の距離で圧力センサ上に配置される。
【0029】
この着想は、本発明の他の特徴とは独立して適用されることもできる。特に、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置であって、コンベア装置は、圧力センサおよびポンプを備え、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、圧力センサから20mm[ミリメートル]未満の第1の距離で圧力センサ上に配置される、コンベア装置は、したがって提案される。
【0030】
この可撓性の氷圧補償手段は、周囲圧力で好ましくは500mm未満の、特に好ましくは200mm未満の、そして特に100mm未満のボリュームを有する。
【0031】
コンベア装置によって高い測定精度を達成するために、単にバイアスされた氷圧補償手段だけがコンベア装置を通るコンベア経路に沿ってポンプの後方に設けられる場合、それは、通常有利である。バイアスされた氷圧補償手段を用いてコンベア装置内の還元剤で満たされる容積は、通常の作動圧力範囲における圧力変動によっては変化しない。したがって、好ましくは容積は、通常の作動圧力でおよび通常の作業温度で非常に少ない(ほぼ0mm)。このバイアスのせいで、氷圧補償手段は、通常の作動の間、移動しない。その結果、摩擦および摩耗は、回避されることができる。これは、測定精度のために有利である。これは、可撓性の氷圧補償手段を有する場合ではない。そしてそれは、通常の作動圧力範囲における圧力変動の場合でさえ、コンベア装置内の還元剤で満たされる容積を変える。しかしながら、圧力センサは、特に氷圧に影響されることが分かっている。したがって、圧力センサから非常に短い距離に可撓性の氷圧補償手段を設けることは、有利である。コンベア経路に沿ってポンプの後方にこの1つの(個々の)可撓性の氷圧補償手段に加えて、さらなる可撓性の氷圧補償手段が設けられない場合、それは特に有利である。
【0032】
本発明によるコンベア装置の特に有利な展開において、圧力センサは、コンベア装置を通るコンベア経路から分岐するスパーダクト上に配置され、可撓性の氷圧補償手段は、スパーダクト内へと延びる。この種の構成は、圧力センサの特に近くに可撓性の氷圧補償手段を配置することを可能にする。バイアスされた氷圧補償手段もまた、圧力センサの近くに好ましくは設けられる。この手段は、弾性要素によって停止部に対してバイアスされるダイアフラムとして造られることもできる。このダイアフラムがゴム、プラスチック材料または天然ゴムでできている場合、それは特に有利である。この種のダイアフラムは、ダイアフラムの圧縮性が無視されることができるように、非常に薄くてもよい。しかしながら、可撓性の氷圧補償手段を形成する延長部(extension)は、このダイアフラム上に一体的にモールドされるかまたは局所的に鋳造されてよい。延長部は、ダイアフラムと同じ材料から、好ましくは構成される。しかしながら、延長部はまた、別のコンポーネントであることができ、および/または異なる材料でできていることができる。
【0033】
さらに有利な展開において、本発明によるコンベア装置は、コンベア装置のフィルタ内へと延びるヒータを備える。この種のヒータは、内燃機関の冷却水を用いて、または電気エネルギーを用いて作動されることができる。この種のヒータは、好ましくはフィルタ・カートリッジのためのフィルタホルダの構成要素である。このヒータは、好ましくは本発明によるコンベア装置の唯一のヒータである。熱伝導構造は、ヒータとフランジとの間に設けられることができる。そして、ヒータによって発せられる熱は、その構造を介して、フランジへと導入されることができて、および/または、熱は、その構造から、コンベア装置の個々のコンポーネントに分配されることができる。
【0034】
本発明およびその技術分野は、図を参照して以下により詳細に記載される。図は、特に好ましい実施形態を示すが、しかし本発明はそれに制限されない。特に、図および、特に、図示される大きさは、単に概略的のみであると指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、コンベア装置の第1の変形例を示す。
図2図2は、コンベア装置の第2の変形例を示す。
図3図3は、コンベア装置用のフィルタホルダを示す。
図4図4は、バイアスされた氷圧補償要素の第1の変形例を示す。
図5図5は、バイアスされた氷圧補償要素の第2の変形例を示す。
図6図6は、コンベア装置のフランジの詳細を示す。
図7図7は、コンベア装置を備える自動車両を示す。
図8図8は、コンベア装置を通る断面図である。
図9図9は、図8の詳細を示す。
図10図10は、図8の第1の分解立体図である。
図11図11は、図8の第2の分解立体図である。
図12図12は、コンベア装置を通るさらなる断面図である。
図13図13は、図12の詳細を示す。
図14図14は、図12の詳細を示す。
図15図15は、図12の第1の分解立体図である。
図16図16は、図12の第2の分解立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1および図2は、各々、フランジ8を備えるコンベア装置1を示す。そしてそれは、前記フランジの第1側部10に設けられるフィルタ12、および前記フランジの第2側部11に設けられるポンプ15を有する。コンベア経路7は、入口部品5から出口部品6までコンベア装置1を通って延びる。フィルタ12は、着脱可能なフィルタ・カートリッジ18内に好ましくは配置される。ポンプ15は、ポンプヘッド40内に配置されている。ポンプ15は、コンベア経路7に沿って還元剤を運搬する。フィルタ12を有するフィルタ・カートリッジ18は、フィルタホルダ41内に挿入される。そしてそれは、第1側部10上のフランジ8に取り付けられる。フィルタ12は、したがって、フィルタホルダ41およびフィルタ・カートリッジ18を介して第1側部10に間接的に固定される。(電気的)ヒータ34は、フィルタ12内へと延びる。熱伝導構造36は、ヒータ34からフランジ8まで延びる。
【0037】
図2に示す変形例は、図1に示す変形例の特徴に基本的に対応する。図2には、少なくとも、バイアスされた氷圧補償手段13および可撓性の氷圧補償手段14が、付加的なコンポーネントとして第1側部10に設けられる。圧力センサ16および温度センサ17は、第2側部11に設けられる。圧力センサ16および温度センサ17は、それらがポンプヘッド40によってカバーされるというような仕方で、好ましくは第2側部11上に配置される。圧力センサ16からのおよび温度センサ17からの信号を評価して、ポンプ15を制御するのに必要なエレクトロニックシステム全体は、したがって、ポンプヘッド40によって保護されることができる。ポンプヘッド40は、好ましくはシェル形であり、フランジ8に対して配置される開口を備える。ポンプヘッド40の開口がフランジ8によってしっかりと閉じることができるように、ポンプヘッド40とフランジ8との間にシールが設けられる。
【0038】
図3は、コンベア装置用のフィルタホルダ41を示す。フィルタ・カートリッジ18は、スナップクロージャ19を用いて、フィルタホルダ41内に挿入される。この場合フィルタ材料でできた中空円筒として造られるフィルタ12は、フィルタ・カートリッジ18内に配置される。コンベア経路7に沿って流れる還元剤がフィルタ12の周囲を流れることができなくて、コンベア装置1から還元剤が漏れ出ることがないというような仕方で、フィルタ・カートリッジ18は、フィルタシール42を用いてフィルタホルダ41内に挿入される。フィルタシール42は、OリングシールまたはVリングシールでよい。空気のためのバイパスダクト22もまた、フィルタ・カートリッジ18内に設けられて、通気性ダイアフラム23によって閉じる。エアフィルタは、バイパスダクト22によって囲まれてよい。ヒータ34は、フィルタ12内へと延びる。ヒータ34は、好ましくはフィルタホルダ41の構成要素である。
【0039】
図4および図5は、各々、ばね負荷要素25によって停止部26に対してバイアスされる可動要素24を用いて造られるバイアスされた氷圧補償手段13を示す。可動要素24は、シールを用いてフランジ8からシールされる。図4では、このシールは、Vリングシール30である。図5では、このシールは、Oリングシール43である。Vリングシール30は、可動要素24が移動するときに、それが変形する利点がある。したがって、いずれの場合も、Vリングシール30とフランジ8との間に、およびVリングシール30と可動要素24との間に、線形接点が生成される。Vリングシール30が可動要素24の変化を補償するために変形することができるので、可動要素24が移動するときに、この線形接点の位置は、変化しない。
【0040】
対照的に、図5によるOリングシール43は、可動要素24が移動するときに、Oリングシール43がフランジ8の表面上を摺動するというような仕方でフランジ8に対して移動する。これは、図5による変形例のシール効果を損なう場合がある。したがって、特に可動要素上のシールのための、適切な位置にVリングシール30を提供することもまた、有利である。
【0041】
追加的特徴として、図5による補償手段は、ばね負荷要素25用の保持構造44に開口を備える。そして開口は、可動要素24の外面28を環境29に直接接続する。外面28と保持構造44との間のチャンバの圧力は、弾性要素25の作用の変化をしたがって防止することができる。異なる外界温度の結果、さもなければ、圧力は、可動要素24と保持構造44との間に蓄積することができる。そしてそれは、ばね負荷要素25の作用を妨げて、歪める。
【0042】
図6は、コンベア装置1のフランジ8の詳細を示す。コンベア経路7は、ダクト45内においてフランジ8を通って延びる。圧力センサ16は、フランジ8の第2側部11上に設けられる。バイアスされた氷圧補償要素13は、圧力センサ16の反対側でフランジ8の第1側部10上に配置される。バイアスされた氷圧補償要素13は、第1のダイアフラム32を用いて造られる。そしてそれは、ばね負荷要素25および保持構造44によって停止部に対してバイアスされる。一体的にモールドされまたは鋳造された延長部は、第1の膜32上に配置されて、可撓性の氷圧補償要素14を形成する。この可撓性の氷圧補償要素14は、ダクト45またはコンベア経路7から分岐して圧力センサ16に至るスパーダクト33内へと延びる。図6によれば、可撓性の氷圧補償要素14は、圧力センサ16から非常に短い距離31に配置される。図6によれば、全ての装置は、コンベア経路7に沿ってポンプ15の後方に配置される。
【0043】
図7は、内燃機関4および内燃機関4からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置3を備える自動車両35を示す。自動車両35は、還元剤(特に水性尿素溶液)を格納するためのタンク2を備える。還元剤は、タンク2から導入管39を通ってコンベア装置1まで、そしてそこからインジェクタパイプ38を通ってインジェクタ37まで運搬されることができる。インジェクタ37は、排ガス処理装置3に還元剤を供給する。
【0044】
図8は、いくらかのアクセサリを有する本発明によるコンベア装置のためのフランジ8を示す。例えば、出口部品6を見ることができる。
【0045】
図9は、図8のIXによって示される部分の詳細を示す。この場合、ダクト45を見ることができる。そしてそれを通って、コンベア装置1のコンベア経路7は、延びる。圧力センサ16は、ダクト45上に配置される。バイアスされた氷圧補償手段13は、圧力センサ16の反対側に配置される。図9は、図6に関して記載された技術的構成を基本的に示す。
【0046】
図10は、図8によるフランジ8の分解立体図である。バイアスされた氷圧補償手段13が第1のダイアフラム32を介してどのようにフランジ8に取り付けられるかを、見ることができる。出口部品6は、方向目的のために図10にも示される。図10では、フランジ8におけるダクト45がフランジ8の表面上に位置してもよく、そしてダクトが次いで、Oリングシール43によりフランジ8に対してシールされるアクセサリ46によって閉じられることを、見ることもできる。
【0047】
図11には、温度センサ17および圧力センサ16がどのようにフランジ8に取り付けられるかを、見ることができる。Oリングシール43は、温度センサ17および圧力センサ16を囲んでフランジ8上にさらに設けられて、フランジ8とカバーとの間に防沫シールを形成するために用いることができる。このカバーは、ポンプヘッド(図示せず)によって形成されてよい。ポンプチャンバ9は、図11に示すこともできる。ポンプチャンバ9は、フランジ8の構成要素である。ダイアフラム(図示せず)は、ポンプチャンバ9全体に配置されることができる。このダイアフラムは、還元剤を運搬するために、駆動装置(これも図示せず)によって動かされることができる。駆動装置は、ポンプヘッド(図示せず)において好ましくは配置される。
【0048】
図12は、フランジ8を有するコンベア装置1を通るさらなる断面図である。図12のXIIIおよびXIVの部分の詳細が、図13および図14に拡大して示される。
【0049】
図13および図14は、各々。図12からの詳細を示す。通路を通ってフランジ8内に挿入されるコンベア装置のポンプのバルブ47は、図13に見ることができる。バルブ47は、ばねとして造られる弾性要素によって通路においてバイアスされる。コンベア装置内の圧力が閾値圧力を上回るときに、バルブ47は、したがって移動可能である。バイアスされた氷圧補償要素13は、したがって形成される。バルブ47は、ダクトを介してポンプチャンバ9と連通する。
【0050】
図14は、出口部品6を示す。そしてそれもまた、フランジ8内の通路においてばねとして造られるばね負荷要素によって固定される。コンベア装置1の圧力が閾値圧力を上回るときに、出口部品6もまた、したがって移動可能である。バイアスされた氷圧補償要素13は、したがって、出口部品6上にも形成される。
【0051】
図15および図16は、バルブ47または出口部品6がどのようにフランジ8内に挿入されるかについて示すそれぞれの分解立体図である。フランジ8上に形成されるポンプチャンバ9も、見ることができる。
【0052】
要約すると、上記説明は、したがって、タンクから、内燃機関からの排ガスを清掃するための排ガス処理装置に還元剤を運搬するためのコンベア装置に関する。コンベア装置は、少なくとも第1側部によって、および第2側部によって定義されるフランジを備える。第1側部および第2側部は、少なくとも一部が相互に反対側になるように配置される。少なくとも、フィルタ、バイアスされた氷圧補償手段および/または可撓性の氷圧補償手段は、第1側部上に配置される。少なくとも、ポンプ、圧力センサおよび/または温度センサは、第2側部上に配置される。
【符号の説明】
【0053】
1…コンベア装置
2…タンク
3…排ガス処理装置
4…内燃機関
5…入口部品
6…出口部品
7…コンベア経路
8…フランジ
9…ポンプチャンバ
10…第1側部
11…第2側部
12…フィルタ
13…バイアスされた氷圧補償手段
14…可撓性の氷圧補償手段
15…ポンプ
16…圧力センサ
17…温度センサ
18…フィルタ・カートリッジ
19…スナップクロージャ
20…開口
21…クロージャ
22…バイパスダクト
23…通気性ダイアフラム
24…可動要素
25…ばね負荷要素
26…停止部
27…内面
28…外面
29…環境
30…Vリングシール
31…第1の距離
32…第1のダイアフラム
33…スパーダクト
34…ヒータ
35…自動車両
36…熱伝導構造
37…インジェクタ
38…インジェクタパイプ
39…導入管
40…ポンプヘッド
41…フィルタホルダ
42…フィルタシール
43…Oリングシール
44…保持構造
45…ダクト
46…アクセサリ
47…バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16