(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グラフェンオキサイド、リチウム化合物、ケイ酸化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMnを示す)から選ばれる2種以上を複数回水熱反応に付した後、カーボンブラックを担持する請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二次電池用正極活物質は、次式(1):Li
2Fe
aNi
bCo
cMn
dZr
xSiO
4・・・(1)
(式(1)中、a、b、c及びdは、a+b+c+d=1−2xを満たし、xは、0<x<0.5を満たす数を示す)
で表されるジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物に、グラフェン及びカーボンブラックが担持されてなる。このように、本発明の二次電池用正極活物質は、ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)の粒子と粒子の間隙に、これらグラフェンとカーボンブラックの異なる2種の導電性物質が効率的に配置して担持されてなるため、非常に均一性が高く、優れた電池物性を発現することができる。
【0013】
本発明で用いるジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1))は、次式(1):
Li
2Fe
aNi
bCo
cMn
dZr
xSiO
4・・・(1)
(式(1)中、a、b、c及びdは、a+b+c+d=1−2xを満たし、xは、0<x<0.5を満たす数を示す)
で表される。
【0014】
式(1)中、xは0<x<0.5であって、Zrは必須である。また、a、b、c及びdは、a+b+c+d=1−2xであるので、a、b、c及びdのうち、少なくとも1つは0ではなく、すなわちFe、Ni、Co及びMnの遷移金属うち、少なくとも1種は必須である。従って、本発明で用いるジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)には、以下のような態様が含まれる。
Li
2Fe
aZr
xSiO
4・・・(1a)
(式(1a)中、aは、a=1−2xであり、xは、式(1)と同義である)
Li
2Ni
bZr
xSiO
4・・・(1b)
(式(1b)中、bは、b=1−2xであり、xは、式(1)と同義である)
Li
2Co
cZr
xSiO
4・・・(1c)
(式(1c)中、cは、c=1−2xであり、xは、式(1)と同義である)
Li
2Fe
aNi
bZr
xSiO
4・・・(1d)
(式(1d)中、a及びbは、a+b=1−2xであり、xは、式(1)と同義である)
Li
2Fe
aMn
dZr
xSiO
4・・・(1e)
(式(1e)中、a及びdは、a+d=1−2xであり、xは、式(1)と同義である)
【0015】
これらジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)の具体例としては、例えば、Li
2Fe
0.96Zr
0.02SiO
4、Li
2Mn
0.9Zr
0.05SiO
4、Li
2Co
0.9Zr
0.05SiO
4、Li
2Fe
0.45Mn
0.45Zr
0.05SiO
4、Li
2Fe
0.64Mn
0.32Zr
0.02SiO
4等が挙げられる。なかでも、原料コスト及び放電容量の点から、式(1)中のaが0でない化合物、すなわち少なくともFeを含むシリケート化合物であるのが好ましく、具体的には式(1a)又は式(1e)のシリケート化合物であるのがより好ましい。
【0016】
xの好ましい範囲は、0.001〜0.1であり、放電容量の点から、0.005〜0.08がより好ましく、0.01〜0.05がさらに好ましい。
【0017】
上記ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)に担持されるグラフェンは、ハニカム格子状に炭素原子がSP
2結合した単層構造を有する、導電性に優れた材料であり、グラフェンオキサイドはその酸化物である。グラフェンオキサイドそのものは導電性を有さないものの、これを還元することによってグラフェンを得ることができる。また、グラフェンが疎水性であるのに対し、グラフェンオキサイドは表面官能基を有するために親水性であるので、水熱反応を介する上での取扱い性に優れる。そのため、本発明の二次電池用正極活物質を得るにあたり、かかるグラフェンオキサイドを用いて上記ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)にグラフェンを担持させるのが好ましい。
【0018】
グラフェンオキサイドは、層状、膜状、塊状等の形状を呈し得るが、本発明で用いるグラフェンオキサイドは、いずれの形状を呈していてもよい。かかるグラフェンオキサイドは、硝酸ナトリウムを含む濃硫酸中で過マンガン酸カリウムによって天然グラファイト等の原料黒鉛を酸化する方法であるハマーズ(Hummers)法や、ブロディー(Brodie)法、スタウデンマイヤー(Staudenmaier)法等により、製造することができる。
【0019】
上記ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)に担持されるカーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられる。なかでも、グラフェンとも相まって良好な導電性を付与する観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。かかるカーボンブラックの平均粒径は、得られる電池物性の向上を効果的に図る観点から、好ましくは5〜100nmであり、より好ましくは10〜50nmである。なお、平均粒径とは、試料を溶媒によって均一分散させ、動的光散乱法の粒度分析計(ナノトラックUPA−EX150、日機装株式会社製)により測定される値を意味する。
【0020】
本発明の二次電池用正極活物質は、ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)に担持されたグラフェン及びカーボンブラックの合計量が、二次電池用正極活物質中に、好ましくは5〜15質量%であり、より好ましくは7〜12質量%である。また、グラフェンの量はカーボンブラックよりも多いのが好ましく、グラフェンとカーボンブラックの質量比(グラフェン:カーボンブラック)が、好ましくは51:49〜80:20であり、より好ましくは55:45〜70:30である。
【0021】
本発明の二次電池用正極活物質は、具体的には、グラフェンオキサイド、リチウム化合物、ケイ酸化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMnを示す)から選ばれる2種以上を複数回水熱反応に付してカーボンブラックを担持することにより得られる二次電池用正極活物質であるのが好ましい。
【0022】
リチウム化合物としては、水酸化リチウム(例えばLiOH・H
2O)、炭酸リチウム(Li
2CO
3)、硫酸リチウム、酢酸リチウムが挙げられるが、水酸化リチウムが特に好ましい。水酸化リチウムとしては、例えば、LiOH・H
2O等の水和物を用いることができる。
【0023】
ケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、オルトケイ酸テトラエチル、非晶質シリカ、Na
4SiO
4やNa
4SiO
4・nH
2O(例えばNa
4SiO
4・H
2O)が挙げられる。なかでも、加水分解を介して容易にSiO
2へ変化させることができる観点から、オルトケイ酸テトラエチルを用いるのがより好ましい。
【0024】
ジルコニウム化合物としては、4価の化合物であればよく、例えば、ハロゲン化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、二酢酸酸化ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム等の有機酸塩が挙げられる。
【0025】
遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMnを示す)としては、MSO
4(式中、MはFe、Ni、Co又はMnを示す)で表される遷移金属硫酸塩又は(R)
2M(式中、Rは有機酸残基を示し、MはFe、Ni、Co又はMnを示す)で表される有機酸遷移金属塩を用いるのが好ましい。遷移金属硫酸塩MSO
4としては、FeSO
4、NiSO
4、CoSO
4又はMnSO
4が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、FeSO
4、MnSO
4がより好ましい。
【0026】
有機酸遷移金属塩(R)
2MのRで示される有機酸としては、炭素数1〜20の有機酸が好ましく、炭素数2〜12の有機酸がより好ましい。より具体的な有機酸としては、シュウ酸、フマル酸等のジカルボン酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、酢酸等の脂肪酸が挙げられる。
【0027】
本発明の二次電池用正極活物質は、より具体的には、グラフェンオキサイド及びケイ酸化合物を含むスラリー水Xを水熱反応に付して得られる複合体X、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、並びに遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMnを示す)を含むスラリー水Yを水熱反応に付して得られる複合体Yに、カーボンブラックを担持することにより得られる二次電池用正極活物質であるのがより好ましい。すなわち、予めグラフェンオキサイド及びケイ酸化合物を含むスラリー水Xを水熱反応に付して複合体Xを得た後、かかる複合体Xと、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩を含むスラリー水Yを調製し、これを水熱反応に付すことにより複合体Yを得た後、カーボンブラックを担持するという、複数回水熱反応に付すことによって得られるものであるのが好ましい。
以下、本発明の二次電池用正極活物質につき、その製造方法として、より具体的に説明する。
【0028】
本発明の二次電池用正極活物質の製造方法は、グラフェンオキサイド、リチウム化合物、ケイ酸化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMnを示す)から選ばれる2種以上を複数回水熱反応に付した後、カーボンブラックを担持する方法であり、本発明の二次電池用正極活物質は、上述のとおり、かかる方法により得られるものであるのが好ましい。さらに具体的には、発明の二次電池用正極活物質の製造方法は、ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)の粒子と粒子の間隙に、これらグラフェンとカーボンブラックの異なる種類の導電性物質を効率的に配置して担持させる観点から、グラフェンオキサイド及びケイ酸化合物を含むスラリー水Xを水熱反応に付して複合体Xを得る工程(I)、
得られた複合体X、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMを示す)を含むスラリー水Yを水熱反応に付して複合体Yを得る工程(II)、並びに
得られた複合体Yにカーボンブラックを担持する工程(III)
を含むのがより好ましい。
【0029】
工程(I)で用いるスラリー水Xは、グラフェンオキサイド及びケイ酸化合物を含み、さらに水のほか、有機溶媒を含むのが好ましい。かかる有機溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでもエタノールが好ましい。かかる有機溶媒の量は、スラリー水Xに含まれる水及び有機溶媒の全量中、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。
【0030】
スラリー水X中におけるグラフェンオキサイド及びケイ酸化合物の合計量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜30質量部であり、より好ましくは7〜15質量部である。また、グラフェンオキサイドとケイ酸化合物との質量比(グラフェンオキサイド:ケイ酸化合物)は、好ましくは1:3〜1:12であり、より好ましくは1:6〜1:12である。
【0031】
工程(I)において、スラリー水Xを水熱反応に付することにより、グラフェンオキサイドの表面にケイ酸化合物由来のSiO
2粒子を効率的かつ堅固に付着させることができる。かかる水熱反応の温度は、グラフェンオキサイドの表面にSiO
2粒子を良好に付着させる観点から、好ましくは130〜200℃であり、より好ましくは140〜170℃である。また、水熱反応時間は、好ましくは1〜12時間であり、より好ましくは3〜9時間である。反応時の圧力は、好ましくは0.2〜1.5MPaであり、より好ましくは0.3〜0.7MPaである。
【0032】
次いで、工程(II)では、工程(I)において得られた複合体X、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、及び遷移金属(M)塩(Mは、Fe、Ni、Co又はMを示す)を含むスラリー水Yを水熱反応に付して複合体Yを得る。複合体Xは、工程(I)において用いた水及び有機溶媒を含んだまま、用いるのが好ましい。スラリー水Yは、不純物の生成を効果的に抑制する観点から、さらに水酸化ナトリウムを含有するのが好ましい。
工程(II)において水酸化ナトリウムを用いる場合、具体的には、スラリー水Yにおけるリチウム化合物及び水酸化ナトリウムの合計量は、水100質量部に対し、好ましくは8〜40質量部であり、より好ましくは8〜38質量部であり、さらに好ましくは8〜36質量部である。また、リチウムとナトリウムのモル比(Li:Na)は、好ましくは1:2〜1:6であり、より好ましくは1:2〜1:4である。さらに、スラリー水Y中におけるケイ酸化合物と水酸化ナトリウムのモル比は、好ましくは1:3〜1:6であり、より好ましくは1:3〜1:5である。
【0033】
なお、リチウム化合物として水酸化リチウムを用いる場合、上記合計量における水酸化リチウムの量は、水酸化リチウム(LiOH)量に換算した値となる。また、化学量論上、かかる水酸化リチウムのLi源としての量は、ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)におけるジルコニウム化合物及び遷移金属(M)塩の合計モル量を基準として、1.5〜4倍であるのが好ましく、2〜3.5倍であるのがより好ましい。
【0034】
スラリー水Yは、好ましくは最終的にpH9〜13.5に調整し、より好ましくはpH9.5〜13に調整する。これにより、副生成物ならびに粒子の成長を有効に抑制することができる。この際、必要に応じて、公知のpH調整剤を用いてもよい。
【0035】
工程(II)においては、スラリー水Yを水熱反応に付する。水熱の温度は、100℃以上であればよく、好ましくは130〜250℃であり、より好ましくは140〜230℃である。例えば、蒸気加熱式オートクレーブを用いる場合、オートクレーブ中で密封して蒸気で加熱するのみでよく、圧力は、130〜250℃で反応を行う場合、0.3〜1.5MPaとなり、140〜230℃で反応を行う場合、0.4〜1MPaとなる。反応時間は10分〜24時間が好ましく、さらに1〜12時間が好ましい。
【0036】
水熱反応終了後、生成した複合体Yをろ過により採取し、次いで、効果的に不純物を除去する観点から、洗浄するのが好ましい。洗浄は、ケーキ洗浄機能を有したろ過装置を用いて水で行うのが好ましい。得られた結晶は、必要により乾燥する。乾燥手段は、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
【0037】
続いて、工程(III)において、得られた複合体Yにカーボンブラックを担持する。これにより、未だ導電性物質が付着していないジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)の表面やかかる化合物(1)の粒子の間隙に、効率的にカーボンブラックを配置させることが可能となる。
【0038】
具体的には、工程(III)は、工程(II)において得られた複合体Y及びカーボンブラックを混合した後、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する工程であるのが好ましい。これにより、複合体Yとカーボンブラックとが均一に分散したまま堅固に凝集し、グラフェンとも相まってこれら導電性物質を効率的に配置することができ、より電気抵抗が低減された正極活物質を得ることができる。複合体Y中におけるグラフェンオキサイドとカーボンブラックの質量比(グラフェンオキサイド:カーボンブラック)は、好ましくは51:49〜70:30であり、より好ましくは55:45〜70:30である。
【0039】
圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理は、周速度25〜40m/sで回転するインペラを備えた密閉容器内で行うのが好ましい。かかるインペラの周速度は、得られる正極活物質のタップ密度を高めて電池物性の向上を図る観点から、好ましくは27〜35m/sである。なお、インペラの周速度とは、回転式攪拌翼(インペラ)の最外端部の速度を意味し、下記式(I)により表すことができる。
インペラの周速度(m/s)=
インペラの半径(m)×2×π×回転数(rpm)÷60・・・(I)
圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得るが、好ましくは5〜90分間であり、より好ましくは10〜60分である。
【0040】
圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理における、インペラの周速度及び/又は処理時間は、容器に投入する複合体Y及びカーボンブラックの量に応じて適宜調整する必要がある。そして、容器を稼動させることにより、インペラと容器内壁との間でこれら混合物に圧縮力及びせん断力が付加されつつ、これを混合する処理を行うことが可能となり、粒子の表面又は間隙において、グラフェンとともにカーボンブラックが緻密かつ均一に分散した正極活物質を得ることができる。
例えば、上記混合する処理を周速度25〜40m/sで回転するインペラを備える密閉容器内で、5〜90分間行う場合、容器に投入する複合体Y及びカーボンブラックの合計量は、有効容器(インペラを備える密閉容器のうち、複合体Y及びカーボンブラックを収容可能な部位に相当する容器)1cm
3当たり、好ましくは0.1〜0.7gであり、より好ましくは0.15〜0.4gである。
【0041】
工程(III)を経た後、焼成することにより、正極活物質とするのが好ましい。これによりグラフェンオキサイドを還元してグラフェンに変化させ、ジルコニウム含有オリビン型シリケート化合物(1)にグラフェンとともにカーボンブラックを堅固に担持させることができる。かかる焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下にて行うのが好ましく、また焼成温度は、好ましくは700℃以下、より好ましくは300〜600℃であり、焼成時間は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは0.5〜1.5時間である。
【0042】
得られた正極活物質は、放電容量の点で優れており、二次電池の正極材料として有用である。かかる正極活物質の平均粒子径は、好ましくは10〜300nmであり、より好ましくは20〜200nmである。本発明の正極活物質を適用できる二次電池としては、リチウムイオン二次電池であればよく、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
【0043】
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
【0044】
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
【0045】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4及びLiAsF
6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO
3CF
3、LiC(SO
3CF
3)
2及びLiN(SO
3CF
3)
2、LiN(SO
2C
2F
5)
2及びLiN(SO
2CF
3)(SO
2C
4F
9)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0046】
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
【実施例】
【0047】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
天然黒鉛(SP−270、日本黒鉛(株)製)の粉砕物を用いてハマーズ法により作製したグラフェンオキサイド 0.30g、オルトケイ酸テトラエチル 2.61g、エタノール 5.0g、及び水 32.5mLを混合し、スラリー水Xを調製した。
得られたスラリー水Xをオートクレーブに投入し、0.7MPaの圧力下、150℃で10時間水熱反応を行い、生成した複合体Xを含む混合液を得た。
複合体XのSEM像を
図1に示す。
【0049】
次いで、水熱反応後に得られた混合液をそのまま用い、かかる混合液にLiOH・H
2O 1.05g、Zr(SO
4)
2・4H
2O 0.13g、MnSO
4・5H
2O 2.55g、FeSO
4・7H
2O 0.33g、及びNaOH 2.0gを添加して混合し、pH13のスラリー水Yを得た。かかるスラリー水における、水100質量部に対する水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムの合計量は9質量部であり、モル比(Li:Na)は1:2であり、またオルトケイ酸テトラエチルと水酸化ナトリウムのモル比は1:4であった。さらに、ジルコニウム化合物及び遷移金属(M)塩の合計モル量を基準とする水酸化リチウムのLi源としての量は、2倍であった。
得られたスラリー水Yをオートクレーブに投入し、0.7MPaの圧力下、150℃で12時間水熱反応を行い、複合体Yを生成した。生成した複合体Yをろ過し、次いで質量比(結晶:水)が1:12となる量の水により洗浄した後、−50℃で12時間凍結乾燥した。
複合体YのSEM像を
図2に示す。
【0050】
続いて、得られた複合体Yに、カーボンブラック(カーボンECP、ライオン社製)を複合体Yとカーボンブラックの全量中に15質量%となる量で添加して混合し、混合物を得た。得られた混合物を微粒子複合化装置 ノビルタ(NOB−MINI、ホソカワミクロン社製、動力0.75kw)に投入し、処理温度を25〜35℃として、インペラの周速度を39m/s、処理時間を20分として混合し、焼成前の複合体粒子を得た。
次いで、窒素ガスをパージした電気炉を用い、得られた焼成前の複合体粒子を温度700℃で1時間焼成して、焼成後の複合体粒子(Li
2Fe
0.09Mn
0.85Zr
0.03SiO
4/C、平均粒径50nm)を得た。得られた焼成後の複合体粒子中に担持されてなるグラフェン及びカーボンブラックの合計量は、12質量%であり、グラフェンとカーボンブラックの質量比(グラフェン:カーボンブラック)は、58.3:41.7であった。
【0051】
[比較例1]
LiOH・H
2O 1.05g、Zr(SO
4)
2・4H
2O 0.13g、MnSO
4・5H
2O 2.55g、FeSO
4・7H
2O 0.33g、Na
4SiO
4・nH
2O 3.49g、及び水9.4mLを混合し、スラリー水Zを調製した。
得られたスラリー水Zをオートクレーブに投入し、0.7MPaの圧力下、150℃で12時間水熱反応を行い、複合体を生成した。生成した複合体をろ過し、次いで質量比(結晶:水)が1:12となる量の水により洗浄した後、−50℃で12時間凍結乾燥した。
次いで、得られた複合体に、実施例1と同様にしてカーボンブラックを添加して混合し、混合物を得た後、同様にして焼成して、焼成後の複合体粒子(Li
2Fe
0.09Mn
0.85Zr
0.03SiO
4/C、平均粒径50nm)を得た。得られた焼成後の複合体粒子中に担持されてなるカーボンブラックの合計量は、12質量%であった。
【0052】
[比較例2]
グラフェンオキサイドを用いなかった以外、実施例1と同様にしてスラリー水Xを調製し、水熱反応を行って複合体Xを含む混合液を得た。次いで、実施例1と同様にして、スラリー水Yを得た後、カーボンブラックを混合してノビルタにより混合処理を施し、焼成して焼成後の複合体粒子(Li
2Fe
0.09Mn
0.85Zr
0.03SiO
4/C、平均粒径50nm)を得た。
【0053】
[試験例1]
実施例1及び比較例1〜2で得られた焼成後の複合体粒子を用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、実施例1及び比較例1〜2で得られた焼成後の複合体粒子、ケッチェンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を重量比75:15:10の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
【0054】
次いで、上記の正極を用いてコイン型リチウムイオン二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF
6を1mol/lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウム二次電池(CR−2032)を製造した。
【0055】
製造したリチウムイオン電池を用いて定電流密度での充放電を1サイクル行った。このときの充電条件は電流0.1CA(33.3mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は電流0.6CA、終止電圧1.5Vの定電流放電とした。温度は全て30℃とした。
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果より、本発明の二次電池用正極活物質を用いたリチウムイオン電池は、比較例のそれに比べて優れた電池特性を有することがわかる。