特許第5969590号(P5969590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969590血糖、脂血及び体重を抑制する薬物組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969590
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】血糖、脂血及び体重を抑制する薬物組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/484 20060101AFI20160804BHJP
   A61K 36/815 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20160804BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20160804BHJP
【FI】
   A61K36/484
   A61K36/815
   A61P43/00 121
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P3/04
   A23L33/105
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-501424(P2014-501424)
(86)(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公表番号】特表2014-510736(P2014-510736A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】CN2012073042
(87)【国際公開番号】WO2012130122
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】201110081434.5
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513246643
【氏名又は名称】桂林商源植物制品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲ジェームズ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲東▼
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/095095(WO,A1)
【文献】 特開平10−194959(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0112546(KR,A)
【文献】 Biosci. Biotech. Biochem., 2007, Vol.71, No.1, pp.206-214
【文献】 Biosci. Biotech. Biochem., 2008, Vol.72, No.12, pp.3225-3231
【文献】 Biol. Pharm. Bull., 2004, Vol.27, No.11, pp.1775-1778
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23L 5/40−5/48
A23L 31/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CiNii
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草抽出物を含む医薬組成物又は保健食品組成物において、
前記組成物は、アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物粉末と枸杞粉末から成り、
前記甘草抽出物と枸杞の重量比は、0.1〜0.4:20であり、
前記甘草抽出物粉末と枸杞粉末の粒径は、60メッシュ以内であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
長期服用しても安全であり、かつ/又は枸杞粉末よりも更に長い品質保証期間を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物の調製方法において、
先ず前記アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物粉末と枸杞粉末を混合し、その後粉砕する工程を含むことを特徴とする調製方法。
【請求項4】
(1)粉砕した甘草を水中に浸漬し、その後、水で洗浄して、固体物を取り出す工程と、
(2)工程(1)で得られる固体物をアルコールで抽出し、抽出液を取り出し、乾燥する工程とを含み、
前記甘草抽出物粉末を調製する請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
請求項1又は2の組成物及び薬学上又は食品上受け入れ可能な補助材料を含む薬物製剤又は保健食品において、
優先的に選択する薬物製剤又は保健食品は、カプセル剤、水丸剤又は菓子であることを特徴とする薬物製剤又は保健食品。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の組成物の単位用量は、1〜40gである請求項5に記載の薬物製剤又は保健食品。
【請求項7】
請求項1又は2の組成物の薬物製剤又は保健食品において、
高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療に使用することを特徴とする薬物製剤又は保健食品。
【請求項8】
調製された薬物製剤又は保健食品の単位数量は、長期服用可能な数量である請求項7に記載の薬物製剤又は保健食品。
【請求項9】
請求項5又は6に記載の薬物製剤又は保健食品を必要な人に長期的に服用させて高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療することを特徴とする薬物製剤又は保健食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野及び保健食品分野に属し、具体的には、本発明は、非水溶性でアルコール可溶性の甘草抽出物と枸杞とで構成され、血糖、脂血及び体重等の抑制に服用され、特に長期間服用しても副作用のない薬物組成物及び保健食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枸杞は、枸杞子、枸杞果とも呼ばれ、天津、河南、河北、山西、寧夏等で生産されるナス科枸杞族落葉低木の果実である。枸杞は、14種類のアミノ酸を含有し、かつベタイン、ゼアキサンチン、フィサリン等の成分を含有し、老化防止等の効用がある。しかしながら、枸杞の特性は、甘(漢方生薬では、甘、辛、苦、酸、渋、威(塩辛い)、平(穏やか、普通)等で味を表現する)、温熱(温、熱で温める作用を表現し、涼、寒で冷やす作用を表現する)であり、特にその温熱効果が非常に高く、内熱未清(漢方では、「内熱(陰虚による発熱)」が取れない状態をいう)、高血圧、感冒罹患中、発熱、身体炎症及び下痢の患者の服用には適さない。たとえ健康な人でも大用量を長期的に服用すると、湿熱症(漢方では、湿と熱の病邪を同時に感受している症状をいう)が現れやすく、臨床症状として発汗し易く、脱毛を生じる症例もある。
【0003】
甘草は、薬性味が、甘、生甘草は平であり、口当たりがよく、脾胃不足を補益し、心火を瀉す[心火(いらいら、不眠等を伴う熱症)をさげる]ことができ、止咳、消炎、補気(疲労して力がない、呼吸が短い、自然発汗する、脈が細く力がない等の気虚に対してそれを治療することを「補気」及び「益気」という)の効用がある。しかしながら、甘草は、グリチルリチン酸化合物を含み、グルココルチコイド様作用があり、長く使用すると細胞内のナトリウムイオンとカリウムイオンのバランスを悪くして血糖、血圧の上昇を招来するため、高血圧、高血糖、肥満、腎臓病や心臓病患者、生理不順等の人は、用心が必要である。
【0004】
そのため、現在では、伝統的中医薬学の見地から枸杞と甘草を単独配合して病気治療や保健に用いる例を見ない。特に長期的に大用量服用の教示はない。例えば、特許文献1には、枸杞、甘草、人参等の数十種類の生薬を配合した薬品を高脂血、高血糖等の予防と治療に用いる例を開示するが、実際には大幅に減少する用量の枸杞と甘草がこの薬品中に使用される。しかしながら、調合が複雑で様々な原料及び製品の品質管理が難しく、安定かつ確実な治療効果を得るのは難しい。枸杞、甘草及び荷葉等の十数種類の成分で保健液を準備し、ワインに混合して、脂血、血圧、血糖の調節及びダイエット効果をもつ薬酒が特許文献2に開示される。しかしながら、前者と同様に、この薬酒も様々な原料及び製品の品質管理が難しく、安定かつ確実な治療効果を得るのは難しい。また、薬酒のため、適用者の範囲も著しく制限される。
【0005】
前記以外に公開された関連既存技術にも前記と同様の欠陥がある。例えば、特許文献3に開示される保健液は、原料が多様である上、調製に微生物発酵を要するため、製品品質の安定性管理が一層困難である。また、特許文献4に開示される保健食品の主成分は、にんにく(大蒜)であり、枸杞と甘草の含有量が少ないうえ、にんにく製品自体も長期大量服用に適していない。特許文献5に記載の養生茶の主成分は、枸杞と甘草ではなく、アマチャヅルと渓黄草である。
【0006】
高血糖、高脂血、肥満は、現代の生活習慣により「富貴病」(長者病、糖尿病)を招来し、現在では根治手段がなく、長期的な服薬と抑制的な治療を必要とする。そのため、長期大用量に服用して、生活習慣病を治療できる薬物(中でも安全性は、第一に考慮すべき要素である)となるには、枸杞は、その副作用が障害となり、確実な治療効果がありかつ長期大用量服用可能な保健製品がないのが現状である。
【0007】
本発明者らは、困難に満ちた長期間の研究を経て、幸運も若干加わり、意外な事実を発見した。即ち、非水溶性だがアルコール可溶性の甘草抽出物を枸杞と共に配合すると、相乗効果を生じて、血糖、脂血、体重の抑制効果を著しく増進できることを発見した。また、配合後長期間の大用量服用も可能になり、副作用が生じない点は、予想外の効果であった。更に、両者の配合調製工程は、比較的簡単であり、製品品質の管理が容易であり、特に非水溶性でアルコール可溶性の甘草抽出物は、枸杞の粉砕に有利に働き、調製工程に都合がよく、調製して得られる製品の保存期間と品質保証期間をより一層延長できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国専利公開第00112777号
【特許文献2】中国専利公開第00135732号
【特許文献3】中国専利公開第02125698号
【特許文献4】中国専利公開第02155649号
【特許文献5】中国専利公開第200610121779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、血糖、脂血、体重等の抑制用に薬物としても、保健食品としても使用できる新規な組成物を提供することにある。また、本発明は、当該組成物に関わる調製方法、薬物製剤又は保健食品及び治療応用等を提供する。
【0010】
具体的には、第一の点では、本発明は、甘草抽出物を含む組成物を提供する。これは、アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物粉末と枸杞粉末から成る。前記組成物は、医薬組成物でも、保健食品組成物でも可能である。
【0011】
本発明の第一の点の組成物では、前記甘草抽出物と枸杞の重量比は、0.1〜0.4:20である。
【0012】
優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、甘草抽出物粉末と枸杞粉末の粒径は、60メッシュ以内である。
【0014】
優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記組成物は、長期服用しても安全である。優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記組成物は、枸杞粉末よりも更に長い品質保証期間を有する。
【0015】
第二の点では、本発明は、先ず前記アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物粉末と枸杞粉末を混合してから粉砕する工程を含む本発明の第一の点の抽出物の調製方法を提供する。
【0016】
第三の点では、本発明は、(1)粉砕した甘草を水中に浸漬し、その後、水で洗浄して、固体物を取り出す工程と、(2)工程(1)で得られる固体物をアルコールで抽出し、抽出液を取り出し、乾燥する工程とを含み、甘草抽出物粉末を調製する。また、本発明の第一の点の組成物及び薬学上受け入れ可能な補助材料を含む薬物製剤である製品を提供する。この外に、本発明は、本発明の第一の点の組成物及び食品上受け入れ可能な補助材料を含む保健食品である製品を更に提供する。
【0017】
優先的に選択する本発明の第三の点の製品では、前記製品は、カプセル剤、水丸剤又は菓子である。
【0018】
優先的に選択する本発明の第三の点の製品は、単位製剤の形態で存在し、更に優先的に選択される前記製品において、本発明の第一の点の組成物の単位用量は、1〜40gである。
【0019】
第四の点では、本発明は、本発明の第一の点の組成物の調製製品を提供する。前記製品は、高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療に用いられる。前記製品は、薬物製剤でも保健食品でもよく、優先的に選択される前記製品は、本発明の第三の点の製品である。
【0020】
優先的に選択する本発明の第四の点の調製された製品は、単位製剤の形態で存在し、最優先選択で調製された製品の単位数量は、長期服用可能な数量である。
【0021】
第五の点では、本発明の第一の点の組成物又は本発明の第三の点の製品を必要な人の長期的服用を含む高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療する薬物製剤又は保健食品を提供する。

【課題を解決するための手段】
【0022】
第一の点では、本発明は、甘草抽出物を含む組成物を提供する。これは、アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物と枸杞から成る。本発明の組成物は、血糖、脂血及び体重の抑制に用いられ、特に安全かつ長期的に血糖、脂血及び体重の抑制に用いる薬物又は薬物活性原料並びに保健食品又は保健性食品原料とすることもできる。本発明の組成物は、医薬組成物でも、保健食品組成物でもよい。
【0023】
本明細書中に別途記載しない限り、枸杞は、ナス科クコ属クコ低木の果実を意味する。市販の枸杞は、通常乾燥した枸杞である。本発明では優先的選択の枸杞は、乾燥した枸杞であり、更なる優先選択の枸杞の含水率は、5〜20%(w/w)であり、最優先選択は、10〜15%(w/w)である。オーブンで乾燥等を行う方法で、当業者は、含水率のやや高い市販の枸杞を、上記含水率要求を満たす枸杞に乾燥できよう。
【0024】
本明細書中に別途記載しない限り、甘草は、甘草の全草を意味し、甘草抽出物は、甘草全草の抽出物を意味する。甘草の優先的選択は、ウラルカンゾウ、スペインカンゾウやその他の甘草であり、又は、そのうちの二種類又は多種類の混合物である。本発明の甘草抽出物は、アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物である。これは、甘草を先に水中に浸漬してアルコールで抽出する工程で得られる。更に具体的には、本発明の甘草抽出物は、下記工程を含む抽出方法で調製することができる。
(1)粉砕した甘草を水中に浸漬し、その後可能なら水洗浄し、固体物を除去する工程、
(2)工程(1)で得られた固体物をアルコールで抽出し、抽出液を取り出し、乾燥する工程。
【0025】
そのうち、浸漬回数は、一回でも2回等の複数回でもよい。具体的な本発明の実施例では、1回浸漬する。水への浸漬時に、甘草と水の重量比は、1:5未満、好ましくは、1:6未満、優先選択は、1:7〜12、最優先選択は、1:8〜10である。浸漬水温は、50〜90℃、優先選択は、60〜70℃、例えば65℃でよい。一回の浸漬時間は、5〜10時間、好ましくは、6〜8時間、最優先選択は、7時間である。
【0026】
浸漬後(水を除去する)、優先選択は、更に水で洗浄する。即ち、短時間、例えば3〜30分水中に浸漬し、優先選択は、5〜15分である。次に水洗浄回数は、1回でも数回でもよく、優先選択は、2〜5回、最優先選択は、3回である。洗浄水温は、好ましくは50〜70℃、優先選択は、55〜65℃、最優先選択は、60℃である。
【0027】
アルコールの優先選択は、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール又はそのうちの二種類又は多種類の混合物であり、更なる優先選択は、≧95%(V/V)のエチルアルコール又はメチルアルコール、例えば95%(V/V)エチルアルコールである。一般に80〜90℃の水浴還流等の水浴還流でアルコール抽出を行う。優先選択は、85℃の水浴還流である。アルコール抽出の回数は、一回でも2回等の複数回でもよく、その都度抽出液を取り出し、最後に合わせる。毎回の抽出では最初の甘草原料の用量で計算し、甘草とアルコールの重量体積比(g/ml)は、1:1〜10、好ましくは、1:2〜5、優先選択は、1:2.5である。
【0028】
本発明の甘草抽出物は、少量を枸杞と混合するのみで、様々の利点がある。これには、血糖、脂血、体重を抑制する相乗的治療効果や保健効果を増進させ、長期的かつ安定的に服用可能であり、更に組成物自身の生産品質が改善される等がある。例えば、生産容易、長期品質保証期間になる等である。優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記甘草組成物と枸杞の重量比は、0.01〜5:15〜25、好ましくは、0.05〜1:17〜23、優先選択は、0.08〜0.5、最優先選択は、0.1〜0.4:20である。
【0029】
優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記組成物は、アルコール可溶性かつ非水溶性の甘草抽出物粉末と枸杞粉末から成る。前記粉末の粒径は、40メッシュ以内が好ましく、優先選択は、50メッシュ以内、更なる優先選択は、60メッシュ以内とし、例えば80メッシュを超えない。これは、粉砕した後相応のメッシュ篩で得られる。
【0030】
優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記組成物は、長期服用して安全である。本明細書中「長期」とは、1ヶ月以上、優先選択は、2ヶ月以上、例えば3ヶ月であり、本発明の具体的な実施例は、3ヶ月間の安全服用を証明している。本明細書中「安全」とは、国家食品薬品管理局が定める薬品又は食品の安全性要件を満たすとともに、枸杞の長期服用による発汗容易性、脱毛等の副作用がないことである。
【0031】
優先的に選択する本発明の第一の点の組成物では、前記組成物は、枸杞粉末よりも更に長い品質保証期間を有する。通常の高湿度安定性試験で品質保証期間を評価できる。例えば、75%相対湿度の室温環境下で、本発明の組成物が結塊(集塊、塊状化)するか否か及び結塊に要する時間を観測する。本発明の具体的な実施例では、本発明の組成物は、単純な枸杞粉末より更に長い品質保証期間が可能であり、例えば、更に約6ヶ月以上も可能である。
【0032】
第二の点では、本発明は、先ず前記甘草抽出物と枸杞を混合してから粉砕する工程を含む本発明の第一の点の抽出物の調製方法を提供する。
【0033】
優先的に選択する本発明の第二の点の方法は、枸杞の前処理工程及び/又は甘草の抽出工程を更に含む。そのうち、枸杞の前処理工程は、枸杞(特に市販の枸杞の場合)を乾燥させる工程を含む。例えば、含水率5〜20%(w/w)に枸杞を乾燥し、優先選択を10〜15%(w/w)とする。また甘草の抽出工程は、以下の工程を含む。
(1)粉砕した甘草を水中に浸漬し、その後可能なら水洗浄し、固体物を取り出す工程、
(2)工程(1)で得られた固体物をアルコールで抽出し、抽出液を取り出し、乾燥する工程。
【0034】
優先的に選択する本発明の第二の点の方法は、粉砕後分粒する工程を更に含み、優先選択は、40〜80メッシュの篩の通過であり、例えば、40メッシュ、50メッシュ、60メッシュ、70メッシュ又は80メッシュの篩を通過する。
【0035】
第三の点では、本発明は、製品を提供する。該製品は、薬物製剤であり、本発明の第一の点の組成物及び薬学上受け入れ可能な補助材料を含む。本発明は、製品を更に提供する。該製品は、保健食品であり、本発明の第一の点の組成物及び薬学上受け入れ可能な補助材料を含む。
【0036】
本明細書では、用語「薬学上受け入れ可能な補助材料」は、薬学上受け入れ可能な担体、賦形剤、希釈剤等を含み、これらは、薬物の活性成分と相容れるものである。薬学上受け入れ可能な補助材料を活用して薬物製剤を調製することは、当業者には、公知である。本発明の薬物製剤は、本発明の第一の点の組成物を活性成分として含み、該組成物と薬学上受け入れ可能な補助材料(当業者に周知の担体、賦形剤、希釈剤等)を組み合わせて、各種製剤を作り、優先選択は、固体製剤と液体製剤である。例えば、錠剤、丸剤、カプセル(放出持続方式又は放出遅延方式を含む)、粉剤、混濁剤、顆粒剤、チンキ剤、シロップ剤、乳液剤、懸濁剤、注射剤等の剤形である。これにより内服、非腸内注射、粘膜、筋肉、静脈内、皮下、眼内、皮内又は経皮等の様々な投薬方式に適合できる。最優先選択は、内服である。特に優先選択される補助材料として分散剤、例えばナノデンプン、ナノデキストリン、ナノSiO、ナノCaCO、ナノTiO、ナノ酸化亜鉛、ナノインジウム、ナノ銀、ナノ水酸化アルミニウム、ナノ酸化鉄、ナノ塩化鉄、ナノ炭素、ナノセレン、ナノ酸化アルミニウム、ナノ酸化マグネシウム等を含む。このほかに適合する補助材料は、ポリエチレングリコール類、ポリビニルピロリドン類等の水溶性担体、例えばPEG2000−20000、PVP K15−K90、PVA、PVP−PVA、CPD等である。
【0037】
本明細書では、用語「食品上受け入れ可能な補助材料」は、食品上受け入れ可能な担体、賦形剤、希釈剤、調味剤、着色剤、増香剤等を含み、これらは、食品保健の活性成分と相容れるものである。本発明の第一の点の組成物は、直接食品や食品原料中に添加できる。例えば、菓子の表面に塗布し又は小麦粉と混合した後に菓子を製造できる。
【0038】
優先的に選択する本発明の第三の点の製品では、前記製品は、カプセル剤、水丸剤又は菓子である。
【0039】
優先的に選択する本発明の第三の点の製品は、単位製剤の形態で存在し、例えば、錠剤の1錠、丸剤の1丸、カプセル剤の1粒、又は菓子の一切れ等である。単位製剤のうち活性成分(即ち本発明の第一の点の組成物)の含量、即ち単位用量は、1〜40g、好ましくは、5〜35g、優先選択は、10〜25g、最優先選択は、15〜23g、例えば19、20又は21gである。前記単位用量の枸杞粉は、長期服用には、不適当であり、発汗し易い、脱毛し易い等の副作用がある。しかしながら、本発明の製剤は、前記単位用量で長期かつ安全に服用することできる。
【0040】
優先的に選択する本発明の第三の点の製品は、高血糖、高脂血及び/又は肥満を予防及び/又は治療する他の薬物又は保健活性成分を更に配合することができる。
【0041】
第四の点では、本発明は、本発明の第一の点の組成物の調製製品での応用法を提供する。前記製品は、高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療に用いられる。前記製品は、薬物製剤でも保健食品でも可能である。
【0042】
本明細書での治療は、抑制的治療であり、即ち相応の疾病の完治を求めないが、本発明の製品の服用過程又は服用停止後のある限られた期間内で、相応の疾病がそれ以上悪化しないように、又は相応の疾病の病状が改善するように抑制することができる。例えば、 血糖や脂血の低下及び/又は体重の軽減。
【0043】
優先的に選択する本発明の第四の点の応用では、前記製品は、本発明の第三の点の製品である。そのうち優先的に選択する前記製品は、単位製剤の形態で存在し、例えば単位用量は、1〜40g、好ましくは、5〜35g、優先選択は、10〜25g、最優先選択は、15〜23g、例えば19、20又は21gである。本発明の製剤は、前記単位用量を長期かつ安全に服用でき、そのため、優先的に選択する製品調製の応用には、上記単位用量を記載する調製明細書を含めることもできる。
【0044】
優先的に選択する本発明の第四の点の応用により調製される製品の更なる優先選択で調製される製品の単位数量は、長期服用可能な数量である。製品の単位製剤の数量が即ち単位数量であり、長期服用可能な数量である。例えば、単位数量を30以上にすれば、1ヶ月以上の服用要件を満たすことができる。優先選択は、60以上、例えば90にすることができる。本発明が証明する長期かつ安全服用が可能のほかに、本発明が証明する長期品質保証期が可能であることも上記単位数量の技術手法を実施可能にする技術的基礎である。上記単位数量を含む単位製剤は、通常同一容器(例えば薬瓶)内に包装されて製品(例えば薬品)を構成する。
【0045】
第五の点では、本発明の第一の点の組成物又は本発明の第三の点の製品を必要な人の長期的服用を含む高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療の方法を提供する。必要な人とは、高血糖、高脂血及び/又は肥満の予防及び/又は治療が必要な人であり、服用は、通常内服である。
【0046】
そのうち、長期とは、1ヶ月以上、優先選択は、2ヶ月以上、例えば3ヶ月である。
【0047】
そのうち、本発明の第一の点の組成物又は本発明の第三の点の製品の投与量の優先選択は、予防又は治療の有効量であり、例えば、本発明の第一の点の組成物では、毎日の有効量は、1〜40g、好ましくは、5〜35g、優先選択は、10〜25g、最優先選択は、15〜23g、例えば19、20又は21gである。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、甘草抽出物と枸杞が協同して血糖、脂血又は体重抑制の相乗的治療効果や保健効果を増進できる有益かつ顕著な効果があり、長期かつ安定的に服用でき、品質保証期間が長く、かつ生産し易い利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書に引用する既存の公開文献は、本発明の説明を一層明確にするものであり、その全文内容を本明細書に取り込み、本明細書中で公開文献の全文を重複させている。
【0050】
容易な理解のため具体的な実施例について本発明を以下説明する。下記実施例は、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するものではないことを特に指摘する。本発明の実施例に記載する方法を利用し又は本発明のその他の技術手法を得てもよい。本明細書の開示に基づいて、当業者は、本発明を容易に様々に変更し、修正し、変形できよう。
【0051】
具体的な実施の方法
具体的には、市販の材料からの化学試薬と植物の原料である。
【実施例1】
【0052】
実験薬物の調製
(1)甘草抽出物G018の調製
粉砕した100gウラルカンゾウ(中国北京の北京同仁堂で購入可能)全草を65℃の水800ml中に7時間浸漬した後、濾過して液体を除去し、固体部分を取り出し、60℃の水で固体部分を3回洗浄した。洗浄は、毎回水800mlに固体部分を10分間浸漬した後、濾過し水を除去した。60℃のオーブン中で17時間洗浄した甘草を乾燥した。乾燥後の固体部分に95%(V/V)エチルアルコールを250ml加え、85℃にて1.5時間水浴還流し、濾過し、濾出液体を取り出し、濾過して得られた残渣に95%(V/V)エチルアルコール250mlを加え、85℃にて1.5時間水浴還流し、濾過し、濾出液体を取り出し、2つの部分の濾出液体を合せて、60℃で20時間乾燥させ、甘草抽出物3.9gを得て、これをG018と命名した。
【0053】
(2)CK−枸杞粉の調製(比較例)
枸杞20g(中国北京の北京同仁堂で購入可能)を用意し、12〜13%(w/w)の含水量まで60℃で乾燥し、FW135型粉砕機(天津市泰斯特機器有限公司)で粉砕した。粉砕機の回転数は、24000回転/分、粉砕時間は、30秒であった。得られた枸杞粉は、例えば100メッシュ篩を通過せず、80メッシュ篩を通過しても約80%の枸杞粉が篩を通過しないことが判明した。これは、恐らく枸杞が多量の多糖類を含み、粉砕に不便をきたし生産に影響を及ぼすと考えられる。そのため60メッシュ篩に枸杞粉をかけた結果、90%以上の枸杞粉が通過でき、CK−枸杞粉が得られた。その粒径は、60メッシュ以内であった。
【0054】
室温22−28℃、相対湿度75%の環境下で、安定性検査を行ったところ、CK−枸杞粉は、12時間以内で結塊することが判明した。これは、CK−枸杞粉が、保存、品質保証に不適切であることを示す。
【0055】
(3)0.5−G018枸杞粉調製
上記(2)の方法により、枸杞20gを乾燥しかつ0.1gのG018を混合し、次に、FW135型粉砕機を使用して回転数24000回転/分、粉砕時間30秒で混合物を粉砕した。例えば80メッシュの篩に混合粉をかけたが、約50%の混合粉が篩を通過しないことが判明した。この結果は、G018の添加が枸杞の粉砕に有利であることが分かる。しかしながら、この非通過混合粉の量は、依然無視できない。そこで混合粉を60メッシュ篩にかけた結果、95%以上の枸杞粉が通過して、0.5−G018枸杞粉が得られた。その粒径は、60メッシュ以内であった。
【0056】
室温22−28℃、相対湿度75%の環境下で、安定性検査を行ったところ、0.5−G018枸杞粉は、24時間以内では結塊しないことが判明した。この枸杞粉は、CK−枸杞粉に比べて、保存、品質保証により優位性が有る。
【0057】
(4)2−G018枸杞粉調製
上記(2)の方法により、枸杞20gを乾燥しかつ0.4gのG018を混合し、次に、FW135型(型番)粉砕機を使用して、回転数24000回転/分、粉砕時間30秒で混合物を粉砕した。混合粉は、80メッシュ篩を通過し(篩非通過混合粉は、5%以下であった)、2−G018枸杞粉が得られた。その粒径は、80メッシュ以内であった。
【0058】
室温22−28℃、相対湿度75%の環境下で、安定性検査を行ったところ、2−G018枸杞粉は、72時間以内では結塊しないことが判明した。この枸杞粉は、CK−枸杞粉に比べて、保存、品質保証により優位性があり、密封包装状態では、同様の包装のCK−枸杞粉に比べ、更に6ヶ月以上品質保証期間を延長できると予想できる。
【0059】
(5)製剤調製
上記CK−枸杞粉、0.5−G018枸杞粉及び2−G018枸杞粉をそれぞれ直接カプセルに充填してカプセル剤に成形し又は水丸製造機(賦形剤の水で製剤を丸く形成する丸粒製造機)を使用して水丸製剤を製造することもできる。また菓子状にも製造できる。
【実施例2】
【0060】
実施例1中の薬物の高血糖患者の食後の血糖抑制に対する短期薬効の臨床観察。
【0061】
インスリン非依存性のII型糖尿病患者の食後の血糖は、糖代謝異常の重要な指標である。そのため、本実施例では、この型の患者の食後の血糖に対する検査によって薬物の降血糖効果を考察した。国家食品薬品管理局の臨床実験基準に基づいて実施し、無秩序にグループ化した患者(年齢45−56歳、3人1組、空腹時血糖7.5mM/L以上、食後10mM/L以上)に対して、実施例1で調製したCK−枸杞粉、0.5−G018枸杞粉と2−G018枸杞粉及び一般食品(大豆)をそれぞれ内服投与した。上記粉や大豆で計算した用量は、何れも20gであった。昼食前服薬の30分後に患者に300gの水煮とうもろこしを摂取させ、2時間後に血糖の化学検査を実施した。結果を表Iに示す。
【0062】
表Iに示すように、CK−枸杞粉、0.5−G018枸杞粉及び2−G018枸杞粉は、高血糖患者の食後血糖に対し何れも顕著な抑制作用が認められた。しかも即時に発効し、一般食品(大豆)の効果を遥かに凌駕した。そのうち、0.5−G018枸杞粉と2−G018枸杞粉の効果は、CK−枸杞粉の単独使用よりも優れている。
【0063】
表I 薬物使用/不使用の食前/食後の血糖値比較
【0064】
【表1】
【実施例3】
【0065】
実施例1中の薬物の脂血、血糖及び体重に対する長期薬効の臨床観察。
【0066】
国家食品薬品管理局の臨床実験基準に基づいて実施し、無秩序にグループ化した患者(年齢45−59歳、3人1組、男女半々、空腹時血糖値7.5mM/L以上、血清コレステロール値300mg/100ml以上)に対して、実施例1で調製したCK−枸杞粉と2−G018枸杞粉及び一般食品(大豆)をそれぞれ内服投与した。上記粉や大豆で計算した用量は、何れも20gであった。毎日朝食前に1回投与し、4週間検査を行った。4週間後採血し、血糖値、脂血値及び体重を検査した。この結果を表IIに示す。
【0067】
表IIに示すように、一般食品(大豆)は、若干コレステロールを下げる作用はあったが、降血糖、体重減の効果はなかった。CK−枸杞粉の単独使用では、降血糖は、10%未満、降脂血は、3%、体重減2kgで、全て2−G018枸杞粉を使用した場合より劣った。2−G018枸杞粉による患者の血糖は、平均約29.1%低下し、血清コレステロールは、平均46.6%低下し、体重は、平均5.3kg低下した。治療効果の差違に加えて、CK−枸杞粉を1日20g、3ヶ月使用したところ、患者に発汗し易い症状が現れた点は更に注目すべきであった。また、患者の1人に脱毛の副作用が発生した。しかしながら、2−G018枸杞粉を1日20g使用したところ、1週間後から患者の食欲が若干低下したが、体力が増進した。これは、高脂血、高血糖患者にとって有益な点であり、副作用に該当しない。そして発汗容易性、脱毛の副作用は、現れなかった。
【0068】
表II 薬物の長期使用前と使用後の空腹時血糖、脂血及び体重の比較
【0069】
【表2】