特許第5969595号(P5969595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969595
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ビードリング巻取機
(51)【国際特許分類】
   B21F 37/00 20060101AFI20160804BHJP
   B29D 30/48 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B21F37/00 A
   B29D30/48
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-509975(P2014-509975)
(86)(22)【出願日】2012年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2012059937
(87)【国際公開番号】WO2013153642
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2015年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591032356
【氏名又は名称】不二精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594029333
【氏名又は名称】不二商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西田 喜八郎
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/128286(WO,A1)
【文献】 特公昭46−029089(JP,B1)
【文献】 特開平09−267410(JP,A)
【文献】 特開2011−037059(JP,A)
【文献】 特開2009−012326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 37/00
B29D 30/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心に回転可能な回転体を備え、前記回転体の外周面には環状の巻取部が設けられ、前記巻取部にはワイヤを整列させる複数の整列溝が形成されているビードリング巻取機において、
前記巻取部には、前記整列溝を跨ぐように溝無し部が形成されているとともに、前記回転体の外周面には、円周方向に分割された複数の分割体が、前記回転体の径方向へ移動可能に設けられ、前記複数の分割体が前記巻取部を構成し、前記溝無し部は、前記複数の分割体のうちの1つの分割体におけるワイヤ巻取方向の端部に設けられていることを特徴とするビードリング巻取機。
【請求項2】
前記溝無し部を含む隣接する分割体間の間隔の幅は30〜110mmの範囲内であり、前記溝無し部の円周方向の長さは前記幅の40〜80%の値であることを特徴とする請求項に記載のビードリング巻取機。
【請求項3】
前記回転体には、前記溝無し部の上流側であって前記溝無し部を有する分割体と前記分割体と隣接する他の分割体との間に、ワイヤの巻始め端部をクランプするクランプが配置され、前記回転体の上方には、前記ワイヤの列方向への送りを案内する案内ローラが設けられていることを特徴とする請求項に記載のビードリング巻取機。
【請求項4】
前記案内ローラは、前記回転体の軸方向に沿って移動可能に構成され、前記案内ローラのワイヤ進行方向上流側には、前記ワイヤを前記案内ローラに案内する別の案内ローラが設けられ、前記別の案内ローラは、前記案内ローラと一体的に軸方向に沿って移動可能であることを特徴とする請求項に記載のビードリング巻取機。
【請求項5】
前記案内ローラの下流側には、前記ワイヤを巻取部に向けて押圧するための押圧ローラが設けられていることを特徴とする請求項またはに記載のビードリング巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用タイヤ等に用いられるビードリングを形成するためのビードリング巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のビードリング巻取機は、例えば、特許文献1に開示されている。この従来構成においては、軸を中心に回転可能な円形のビードフォーマの外周面に、ワイヤを複数列及び複数段にして巻き取るための環状の凹部が形成されている。凹部の内底部には、最内周のワイヤを案内して等間隔に整列させるための複数の整列溝が形成されている。
【0003】
特許文献1に記載の整列溝は、ワイヤをビードフォーマの周方向に沿ってほぼ1周分巻き取るための周溝と、隣接する周溝間に形成された斜め溝とからなる。斜め溝は、1つの周溝に巻き取られたワイヤを隣の周溝に案内する。また、特許文献1は、螺旋状に形成された整列溝も開示している。この構成によれば、ワイヤは、ビードフォーマ上において螺旋状に巻き取られる。
【0004】
ところが、特許文献1のビードリング巻取機では、整列溝が周溝と斜め溝とからなるため、最内周のワイヤの巻取軌道が斜め溝の短い周回領域で強制的に変更される。しかしながら、ワイヤの剛性は大きいため、ワイヤを斜め溝に沿って隣の周溝へスムーズに移行させ難く、巻取状態が乱れる虞があった。また、整列溝を螺旋状に形成した構成では、螺旋状に連なった整列溝の巻始め側端部及び巻終り側端部の各幅がそれぞれ狭くなる。このため、巻始め位置と巻終り位置とで最内周のワイヤが揃えられず、巻取状態が乱れる虞があり、最内周のワイヤの外側に巻き取られたワイヤが崩れ易かった。このように最内周のワイヤに巻崩れが生じると、ビードリングの内周長がばらついてしまう。また、ワイヤが全体として螺旋状に巻回されると、ワイヤはビードリングの軸線に対して傾斜する方向に配置される。これにより、ビードリングの内周長がばらついたり、ワイヤが傾斜して配置されたりする。このため、ビードリング本来の機能であるタイヤビード部の掴持機能が損なわれる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−12326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ビードリングの巻取り形成に際して、巻取状態が乱れることなくワイヤを巻き取ることのできるビードリング巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、軸を中心に回転可能な回転体を備え、回転体の外周面には環状の巻取部が設けられ、巻取部にはワイヤを整列させる複数の整列溝が形成されているビードリング巻取機が提供される。巻取部には、整列溝を跨ぐように溝無し部が形成されているとともに、回転体の外周面には、円周方向に分割された複数の分割体が、回転体の径方向へ移動可能に設けられ、複数の分割体が巻取部を構成し、溝無し部は、複数の分割体のうちの1つの分割体におけるワイヤ巻取方向の端部に設けられている
【0008】
この構成によれば、回転体の回転に伴って巻取部に最内周のワイヤが巻き取られる際、ワイヤは、1つの整列溝に沿ってほぼ1周分巻き取られた後、溝無し部において隣の整列溝に移行する。これにより、整列溝間におけるワイヤのピッチ送りが溝無し部においてスムーズに行われる。従って、巻取状態が乱れることなく、最内周のワイヤを整列させた状態で巻き取ることができる。その結果、最内周のワイヤの外側に巻き取られるワイヤが崩れなくなる。このため、安定した内周長を有するビードリングの高速巻取りが可能となる。
【0010】
上記のビードリング巻取機において、溝無し部を含む隣接する分割体間の間隔の幅は30〜110mmの範囲内であり、溝無し部の円周方向の長さは前記幅の40〜80%の値であることが好ましい。
【0011】
上記のビードリング巻取機において、回転体には、溝無し部の上流側であって溝無し部を有する分割体と分割体と隣接する他の分割体との間に、ワイヤの巻始め端部をクランプするクランプが配置され、回転体の上方には、ワイヤの列方向への送りを案内する案内ローラが設けられていることが好ましい。
【0012】
上記のビードリング巻取機において、案内ローラは、回転体の軸方向に沿って移動可能に構成され、案内ローラのワイヤ進行方向上流側には、ワイヤを案内ローラに案内する別の案内ローラが設けられ、別の案内ローラは、案内ローラと一体的に軸方向に沿って移動可能であることが好ましい。
【0013】
上記のビードリング巻取機において、案内ローラの下流側には、ワイヤを巻取部に向けて押圧するための押圧ローラが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ビードリングの巻取り形成に際し、巻取状態が乱れることなくワイヤを巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るビードリング巻取機を示す正面図。
図2】回転体上の巻取部の一部を拡大して示す部分平面図。
図3図1の3−3線に沿った断面図。
図4図1の4−4線に沿った断面図。
図5】クランプローラとワイヤとの関係を示す断面図。
図6】案内ローラとワイヤとの関係を示す断面図。
図7】押圧ローラとワイヤとの関係を示す断面図。
図8】押圧ローラとワイヤとの関係を示す断面図。
図9】巻取部にワイヤが巻き取られる状態を示す部分正面図。
図10】巻取部に対するワイヤの巻取が進行した状態を示す部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のビードリング巻取機を具体化した一実施形態について図1図10に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、回転体21は、図示しないフレームに対し、回転体21の中心軸線(一軸線)である水平軸22を中心に回転可能に支持されている。回転体21は、図示しないモータによって図1の反時計方向に回転される。回転体21の外周面には、複数の分割体23A〜23Dが設けられている。各分割体23A〜23Dは、回転体21の円周方向に間隔をおいて配置されると共に、円弧状に形成されている。分割体23A〜23Dは、図示しないモータやエアシリンダ等の駆動機構により、水平軸22を中心とする円の径方向に沿って内方又は外方に移動する。各分割体23A〜23Dの外周面には、ワイヤWを巻き取るための巻取部23が設けられている。巻取部23は、各分割体23A〜23Dの環状領域に配置されている。ワイヤWは、スチール等の金属線の外周面をゴムで被覆して構成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、各分割体23A〜23Dの外周面には、ワイヤWを複数列及び複数段にして巻き取ることによりビードリングを形成するための凹部24が形成されている。凹部24の内底部には、最内周のワイヤWを案内して等間隔に整列させるための複数の整列溝25が形成されている。整列溝25は、断面ほぼ半円形状を有している。
【0019】
図1図2及び図4に示すように、複数の分割体23A〜23Dのうち1つの分割体23Aの凹部24におけるワイヤの巻終り側端部には、隣接する2つの分割体23A,23Bの整列溝25を跨ぐように、溝無し部26が形成されている。図2に鎖線で示すように、凹部24に最内周のワイヤWが巻き取られる際、ワイヤWは、1つの整列溝25に沿ってほぼ1周分巻き取られた後、溝無し部26において隣の整列溝25に移行する。
【0020】
図2に示すように、溝無し部26を含む隣接する一対の分割体23A,23B間の幅(回転体21の円周方向の寸法)Lの値は、30〜110mmの範囲内に設定され、40〜90mmの範囲内が好ましく、50〜80mmの範囲内がさらに好ましく、70mmが最も好ましい。この場合、ワイヤ巻き取りの安定性の観点から、溝無し部26の円周方向長さは、幅Lの40%以上が好ましい。
【0021】
図1に示すように、回転体21には、ワイヤWの巻始め端部をクランプするためのクランプ27が配置されている。クランプ27は、溝無し部26の上流側に配置されている。即ち、クランプ27は、溝無し部26を有する分割体23Aと、分割体23Aに隣接する他の分割体23Bとの間に配置されている。クランプ27は、図示しないシリンダ等の駆動機構によって、幅方向(水平軸22の軸方向)に開閉され、閉鎖時にワイヤWの始端をクランプする。
【0022】
図1及び図5に示すように、回転体21の上方において図示しないフレームには、第1支持板33が、回転体21の径方向へ移動可能に支持されている。また、第1支持板33は、一対のガイドロッド34を介して、水平軸22に沿って移動可能に支持されている。第1支持板33の下端には、第1案内ローラ35が、水平軸22と平行な軸線を中心に回転可能に支持されている。第1案内ローラ35の外周面には、溝部35aが形成されている。溝部35aは、ワイヤWを、凹部24内の所定位置に案内する。
【0023】
図1及び図5に示すように、第1支持板33の下端には、別の案内ローラとしての第2案内ローラ38が、第1案内ローラ35の回転軸線と平行な軸線を中心に回転可能に支持されている。第2案内ローラ38は、第1案内ローラ35に対し、ワイヤ進行方向の上流側に隣接している。第2案内ローラ38には、ワイヤWを第1案内ローラ35に案内するための案内溝部38aが形成されている。第1支持板33が水平軸22に沿って移動するとき、第1案内ローラ35と第2案内ローラ38とが同方向へ一体的に移動する。
【0024】
図1に示すように、第1支持板33には、ワイヤWのピッチ送りを行って、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38をトラバースさせるための駆動機構39が接続されている。駆動機構39は、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38を第1支持板33と一体的に水平軸22に沿って移動させる。駆動機構39は、第1支持板33に設けられたボールネジ40と、ボールネジ40に対し回転可能及び相対移動可能に螺合されたナット41と、ナット41を回転させるための図示しないモータとより構成されている。
【0025】
図1図7及び図8に示すように、フレームには、第2支持板42が、回転体21の径方向へ移動可能に支持されている。第2支持板42は、第1支持板33に対してワイヤ進行方向下流側に配置されている。第2支持板42の下端には、押圧ローラ43が回転可能に支持されている。押圧ローラ43は、第1案内ローラ35の下流側で、第1案内ローラ35の回転軸線と平行な軸線を中心に回転する。押圧ローラ43の外周面には、複数の押圧溝部43aが、巻取部23上の整列溝25とそれぞれ対応するように形成されている。押圧溝部43aは、最内周のワイヤWの外側に巻き取られるワイヤWを整列させながら、巻取部23の凹部24内に向けて押圧する。
【0026】
図1に示すように、第1支持板33には、第1シリンダ46が接続されている。第1シリンダ46は、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38をワイヤWに係合する下方の作用位置と、ワイヤWから離間する上方の不作用位置とに移動させる。第2支持板42には、第2シリンダ47が接続されている。第2シリンダ47は、押圧ローラ43を回転体21上の巻取部23に接近する下方の作用位置と、巻取部23から離間する上方の不作用位置とに移動させる。巻取部23にワイヤWを巻き取る際、第1シリンダ46及び第2シリンダ47の突出動作により、第1案内ローラ35、第2案内ローラ38及び押圧ローラ43が作用位置に移動する。
【0027】
図1に示すように、第1支持板33上には、第3シリンダ48が支持されている。第3シリンダ48のピストンロッドの先端には、ローラ45aが支持されている。第2支持板42には、受け部49が取り付けられている。受け部49上には、ローラ45aが軸線方向に沿って移動可能に係合している。第3シリンダ48の押圧力は、第2シリンダ47の押圧力よりも大きい。第2シリンダ47の押圧力は、第1シリンダ46の押圧力よりも大きい。これにより、第1支持板33は、第3シリンダ48及びローラ45a及び受け部49等を介して、第2支持板42に対し一体移動可能に連結されている。また、第1支持板33は、巻取部23から離間する方向へ移動可能である。
【0028】
ワイヤWは、巻取部23において、最内周のワイヤWに続いてその外側に押圧ローラ43により押圧されながら巻き取られる。その際、巻取段数の変化に伴って、押圧ローラ43が、巻取部23から離間する方向に上昇する。このとき、押圧ローラ43は、第3シリンダ48によりワイヤWに押圧力を付与した状態で上昇する。これにより、押圧ローラ43と第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38との間におけるワイヤWのパスライン高さが一定に保たれる。
【0029】
次に、上記のビードリング巻取機の作用を説明する。
【0030】
ビードリング巻取機の巻取り動作の開始に際し、第1支持板33は、水平軸22の軸方向における所定の開始位置に配置されている。また、第2案内ローラ38及び第1案内ローラ35は、巻取部23の巻き始め端部に位置する整列溝25と対向している。この状態で、図示しないワイヤ供給源からワイヤWの巻始め端部が供給されて、クランプ27により把持される。そして、第1シリンダ46及び第2シリンダ47が突出動作され、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38が下方の作用位置に移動すると、ワイヤWは、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38の溝部35a,38aに係合される。このとき、第3シリンダ48は非作動状態にあり、押圧ローラ43は、第2シリンダ47によって上方の退避位置に配置されている。
【0031】
この状態で、回転体21が図1の反時計方向に回転されると、図9に示すように、巻取部23の凹部24内にワイヤWが巻き取られる。このとき、ワイヤWは、第2案内ローラ38により第1案内ローラ35に対して案内されると共に、第1案内ローラ35により凹部24内の所定の巻取位置に案内される。従って、凹部24内に最内周の(1段目)のワイヤWが巻き取られる際、ワイヤWは、凹部24の整列溝25に沿って等間隔に整列される。
【0032】
最内周のワイヤWの巻き取り時には、ワイヤWがほぼ1周分巻き取られて第2案内ローラ38及び第1案内ローラ35に溝無し部26が対向して配置される度に、第1支持板33は、一巻取ピッチ分ずつ水平軸22に沿って移動する。よって、第2案内ローラ38及び第1案内ローラ35も、第1支持板33と共に1巻取ピッチ分移動する。従って、ワイヤWは、整列溝25の存在しない溝無し部26において、ワイヤWの1巻取ピッチ分ずつ移動する。これにより、図2に鎖線で示すように、ワイヤWは、1つの整列溝25に沿ってほぼ1周分巻き取られた後、溝無し部26において隣の整列溝25へとスムーズに移行する。
【0033】
最内周(1段目)のワイヤWの巻き取りが終了すると、2段目以降のワイヤWが、駆動機構39によるピッチ送りを伴いながら、最内周のワイヤWの外側に巻き取られる。2段目以降のワイヤWの巻き取りに際し、押圧ローラ43は、第2シリンダ47によってワイヤWの押圧位置に下降すると共に、第3シリンダ48によって押圧位置に保持される。ワイヤWは、第2案内ローラ38及び第1案内ローラ35によってピッチ送りされながら、押圧ローラ43の押圧溝部43aにより案内されると共に巻取部23の凹部24内に向けて押圧される。こうして、上段のワイヤWが下段のワイヤWに密着する。
【0034】
ワイヤWの2段目以降の巻き取り時に、巻取段数の変化に伴って、第3シリンダ48による保持位置も上昇する。このため、押圧ローラ43が巻取部23から離間する方向へ上昇すると共に、第3シリンダ48等を介して第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38が一体的に上昇する。このため、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38の高さ位置が、押圧ローラ43と対応する高さ位置に維持される。
【0035】
このように、ワイヤWが所定の複数列及び複数段だけ巻き取られて、図10に示すように、ビードリングが形成されると、図示しない切断機構によりワイヤWが切断される。また、クランプ27によるワイヤWの巻き始め端部の把持が解放される。そして、第3シリンダ48が非作動状態になり、第1,第2シリンダ46,47によって各ローラ38,35,43が上方へ退避されると共に各巻取部23が径方向の内方に移動して、ビードリングがビードリング巻取機から解放される。その後、ビードリングは、図示しない搬送機構によって次工程に搬送される。
【0036】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
(1)ビードリング巻取機は、軸を中心に回転可能な回転体21の外周面に環状の巻取部23を備えている。巻取部23には、ワイヤWを整列して巻き取るための複数の整列溝25が形成されている。巻取部23の一部には、整列溝25を跨ぐように溝無し部26が形成されている。このため、回転体21の回転に伴って巻取部23に最内周のワイヤWが巻き取られる際、ワイヤWは、1つの整列溝25に沿ってほぼ1周分巻き取られた後、溝無し部26において隣の整列溝25に移行する。これにより、整列溝25間におけるワイヤWのピッチ送りが溝無し部26においてスムーズに行われる。従って、巻取状態が乱れることなく、最内周のワイヤWを整列させた状態で巻き取ることができる。その結果、最内周のワイヤWの外側に巻き取られるワイヤWが崩れなくなる。このため、安定した内周長を有する高品質のビードリングを得ることができる。また、巻き取られたワイヤWが崩れないため、ワイヤWの高速巻取りが可能となり、高い生産効率を得ることができる。なお、溝無し部26を設けることなく、隣接する分割体23A,23B間に間隔を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、ワイヤWの巻き取りが安定しないため、ビードリングの品質が低下する。
【0038】
(2)回転体21の外周面には、円周方向に分割された複数の分割体23A〜23Dが設けられている。各分割体23A〜23Dは、回転体21の径方向へ移動可能であると共に、巻取部23を構成する。また、分割体23A〜23Dのうち1つの分割体23Aにおけるワイヤ巻取方向の端部には、溝無し部26が設けられている。このため、溝無し部26を容易に形成でき、部品点数も増えない。
【0039】
(3)溝無し部26の上流側、即ち、溝無し部26を有する分割体23Aと分割体23Aに隣接する他の分割体23Bとの間には、クランプ27が配置されている。また、第1案内ローラ35と回転体21との間には、駆動機構39が設けられている。駆動機構39は、第1案内ローラ35と回転体21とを、水平軸22に沿って相対移動させる。このため、ワイヤWの巻始め端部をクランプ27によりクランプした状態で、ワイヤWのピッチ送りをスムーズに行うことができる。
【0040】
(4)第1案内ローラ35は、回転体21の軸方向に移動可能に構成されている。第1案内ローラ35のワイヤ進行方向上流側には、ワイヤWを第1案内ローラ35に案内するための第2案内ローラ38が設けられている。第2案内ローラ38は、第1案内ローラ35と一体的に軸方向に沿って移動可能である。このため、第2案内ローラ38は、ワイヤWの巻き取り時、第1案内ローラ35にワイヤWを案内する。また、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38の一体的な軸方向への移動により、ワイヤWのピッチ送りを支障なく行うことができる。
【0041】
(5)第1案内ローラ35の下流側には、ワイヤWを巻取部23に向けて押圧するための押圧ローラ43が設けられている。押圧ローラ43には、複数の押圧溝部43aが形成されている。このため、最内周のワイヤWの外側にワイヤWを複数段にして巻き取る際、押圧ローラ43により、ワイヤWを巻取部23に向けて整列させながら押圧することができる。よって、最内周のワイヤWの外側に巻き取られるワイヤWを崩れ難くすることができる。
【0042】
なお、本実施形態は、次のように変更してもよい。
【0043】
・回転体21上の巻取部23の各分割体23A〜23Dに、複数の凹部24を回転体21の軸方向に間隔をおいて設け、各凹部24内に、本実施形態と同様に複数の整列溝25及び溝無し部26を形成してもよい。また、第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38に、各凹部24に対応する複数の溝部35a及び溝部38aを形成し、押圧ローラ43に、各凹部24に対応する複数の押圧溝部43aを形成してもよい。この場合、複数のワイヤWを同時に巻き取ることができ、複数のビードリングを同時に形成することができる。従って、この構成によれば、本実施形態の(1)〜(5)に記載の効果に加え、複数のビードリングを同時に形成できるため、生産効率が向上する。
【0044】
・回転体21及び押圧ローラ43を第1案内ローラ35及び第2案内ローラ38に対し回転体21の軸方向に相対移動させて、ワイヤWのピッチ送りを行うようにしてもよい。
【0045】
・整列溝25や押圧溝部43aの形状を断面三角形や四角形に変更してもよい。
【0046】
・押圧ローラ43を省略してもよい。
【実施例】
【0047】
溝無し部26を含む分割体23A,23B間の間隔の幅Lに応じたビードリングの仕上げ具合を、目視により3人で評価した。その評価結果を表1に示す。ここで、溝無し部26の円周方向長さは幅Lの50%であるが、40〜80%であっても、評価結果に変化はなかった。80%を越えると評価結果が向上すると思われるが、分割体23A,23B間にクランプ27の配置スペースや分割体23A,23Bの移動スペースが必要となるため、80%を越える値は現実的ではない。
【0048】
【表1】
【0049】
表1中、縦軸は間隔の幅Lを表し、横軸はワイヤWの線径(直径)を表す。幅Lの狭いほうの「×」は、全評価者が使用に適さないと評価したビードリングを示す。この場合、幅Lが狭いためにワイヤWの列方向へのピッチ変更が急であることにより、ワイヤWが整列溝25間の山部に乗り上げて、ワイヤWの配列が乱れた。幅Lの広いほうの「×」も、全評価者が使用に適さないと評価したビードリングを示す。この場合、分割体23A,23Bの整列溝25の円周方向間隔が広いためにワイヤWを正確に整列させることできず、ワイヤWの配列が乱れた。
【0050】
「△」は、評価者の評価が一致しないビードリングを示す。「○」は、ワイヤWの配列が正確で、タイヤへの使用に適するものを示す。
【0051】
表1から明らかなように、幅Lが30〜110mmの範囲内であれば、使用可能なビードリングが巻き取られる。幅Lは、40〜90mmの範囲内が好ましく、50〜80mmの範囲内がさらに好ましく、70mmが最も好ましい。
【符号の説明】
【0052】
21…回転体、23…巻取部、23A〜23D…分割体、24…凹部、25…整列溝、26…溝無し部、27…クランプ、33…第1支持板、35…第1案内ローラ、38…第2案内ローラ、39…駆動機構、40…ボールネジ、41…ナット、42…第2支持板、43…押圧ローラ、46…第1シリンダ、47…第2シリンダ、48…第3シリンダ、W…ワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10