【文献】
山内 悟留 他4名,湿潤空気の凝縮を用いた伝熱式湿度計の開発,日本伝熱シンポジウム講演論文集(CD−ROM),日本,2011年 6月,48th,ロンブンNo.G212
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態による湿度計を備えた恒温恒湿槽の構造を概略的に示した図である。
図2は、
図1に示した湿度計の機能を説明するためのブロック図である。
図3は、
図1に示した湿度計の伝熱部における熱収支を説明するための概念図である。まず、
図1乃至
図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態による湿度計の構成について説明する。
【0017】
本実施形態の湿度計は、測定空間S1内の湿度(相対湿度)を測定するためのものであり、
図1及び
図2に示されるように、伝熱部12と、伝熱部温度センサ(伝熱部温度検出部)14と、測定空間温度センサ(測定空間温度検出部)16と、ペルチェモジュール(ペルチェ素子)22を有する放熱量制御部20と、湿度計本体30と、を備える。
【0018】
伝熱部12は、ヒートパイプによって構成されており、内部に作動流体としての水が減圧状態で封入されると共にヒートパイプ現象を生じさせ得るように構成されている。ここでいうヒートパイプ現象とは、封入された作動流体が所定の場所で蒸発と凝縮とを繰り返すことにより、作動流体が蒸発するところから凝縮するところへ、作動流体の流動に伴って熱が輸送される現象を意味している。
【0019】
この伝熱部12は、測定空間S1からこの測定空間S1の外側の外部空間S2に向かって延びている。
【0020】
ここで、測定空間S1は、例えば、断熱壁100(断熱部)によって囲まれた恒温恒湿槽101の内側空間である。一方、外部空間S2は、前記恒温恒湿槽101の外側の空間である。即ち、この恒温恒湿槽101は、湿度計10を備える。
【0021】
具体的に、恒温恒湿槽101は、測定空間S1を囲む断熱壁(断熱部)100と、湿度計10と、温湿度調整部102と、を備え、測定空間S1(詳しくは、測定空間S1内の空気)の温度と湿度とを制御することができる。この恒温恒湿槽101の天壁部を構成する断熱壁100には、外部空間S2から測定空間S1に向かって凹んだ凹部100aが形成されている。この凹部100aには、放熱量制御部20のペルチェモジュール22が嵌め込まれている。凹部100aの底部には、測定空間S1と外部空間S2とを連通する貫通孔100bが設けられている。
【0022】
温湿度調整部102は、湿度計10による測定結果に基づいて、測定空間S1内の温度(測定空間温度)t及び湿度Uの少なくとも一方を調整する。
【0023】
伝熱部12は、一方側の端部12bが貫通孔100bに挿入されている。そして、伝熱部12は、凹部100aにはめ込まれたペルチェモジュール22と熱伝導(熱交換)可能に接続されている。伝熱部12の他方の端部側の部位12aは、測定空間S1内に位置(露出)している。以下では、伝熱部12における前記測定空間S1内に位置する部位を内側部位12aと称する。この伝熱部12は、垂直に起立した姿勢で配設されるのみならず、ヒートパイプ現象が発生可能であれば、傾斜した姿勢で配設されていてもよく、また、水平姿勢で配設されてもよい。
【0024】
尚、本実施形態では、伝熱部12としてヒートパイプが用いられるが、これに限定されない。例えば、伝熱部12は、中実の銅製の棒体等であってもよい。即ち、伝熱部12は、測定空間S1から伝熱部12に熱が入るときの熱抵抗及び放熱量制御部20によって伝熱部12から外部空間S2に熱が放出されるときの熱抵抗に比べ、伝熱部12の表面に沿って又は伝熱部12の内部を熱が移動するときの熱抵抗が非常に小さくなるように構成されているものであればよい。
【0025】
伝熱部温度センサ14は、相対湿度Uを求めるための演算に用いられる伝熱部12の温度(伝熱部温度)t
eを検出するセンサである。本実施形態の伝熱部温度センサ14は、伝熱部12の外面(表面)温度を検出し、その検出結果に応じた信号を出力する。具体的に、伝熱部温度センサ14は、測定空間S1内に位置する内側部位12aの端部近傍の外面に取り付けられている。尚、伝熱部温度センサ14は、伝熱部12(内側部位12a)の外面に接するように配置されなくてもよい。即ち、伝熱部温度センサ14は、伝熱部12の温度を非接触で測定する構成でもよく、伝熱部12内に埋め込まれた状態で伝熱部12の温度を測定する構成であってもよい。また、伝熱部温度センサ14は、伝熱部12がヒートパイプによって構成される場合に、ヒートパイプの内面に接するように配置されてもよい。
【0026】
測定空間温度センサ16は、相対湿度Uを求めるための演算に用いられる測定空間S1の温度(測定空間温度)tを検出するセンサである。この測定空間温度センサ16は、測定空間S1内に配設されており、測定空間S1内の温度tを検出してその検出結果に応じた信号を出力する。
【0027】
放熱量制御部20は、ペルチェモジュール22と、ペルチェモジュール22に電力を供給する電力供給部24とを備える。この放熱量制御部20は、外部空間S2へ放出される熱量が一定となるように、電力供給部24からペルチェモジュール22への電力の供給量を制御する。
【0028】
ペルチェモジュール(ペルチェ素子)22は、恒温恒湿槽101の凹部100aに嵌め込まれた状態で伝熱部12の他方側の端部12bに接続されている。具体的に、ペルチェモジュール22は、吸熱部位(冷却部位)22aと放熱部位(加熱部位)22bとを有している。吸熱部位22aは、凹部100aに嵌め込まれた状態で伝熱部12の他方側の端部12bに熱交換可能(冷却可能)に接続されている。ペルチェモジュール22がこのように配置されることにより、伝熱部12における内側部位12a以外の部位は、断熱壁(断熱部)100とペルチェモジュール22とによって囲われる。このように、伝熱部12の一端部(他方側の端部12b)が外部空間S2に露出せず、伝熱部12の一端部から外部空間S2へペルチェモジュール22を通じてしか熱を放出できない配置(伝熱部12から外部空間S2へ直接放熱することができない状態)となっている。このため、伝熱部12から外部空間S2に放出される熱量の制御を容易に行うことができる。即ち、本実施形態の湿度計10は、ペルチェモジュール22に供給される電力を制御することによって、伝熱部12からペルチェモジュール22を通して外部空間S2に放出される熱量を制御している。
【0029】
このペルチェモジュール22では、電力供給部24から電力が供給されると、吸熱部位22aが伝熱部12の他方側の端部12bから吸熱(即ち、他方側の端部12bを冷却)し、この熱を放熱部位22bが外部空間S2に放出する。このとき、伝熱部12では、内側部位12a内において作動流体が蒸発すると共に他方側の端部12b内において気体状の作動流体が凝縮し、これによって、測定空間S1から伝熱部12の内側部位12aに入った熱が他方側の端部12bまで移動してペルチェモジュール22に伝熱される。
【0030】
電力供給部24は、ペルチェモジュール22に対して一定の電力を供給可能である。本実施形態の電力供給部24は、湿度計本体30の内部に配置されているが、この配置に限定されず、湿度計本体30と別個に設けられてもよい。
【0031】
この電力供給部24がペルチェモジュール22に対して一定の電力を供給する(例えば、一定の電圧を印加し、又は一定の電流を供給する)ことにより、ペルチェモジュール22を通じて伝熱部12から外部空間S2へ放出される熱量は、一定となる。
【0032】
湿度計本体30は、測定空間S1内の湿度Uを算出し、この算出した湿度Uを表示(出力)する。この湿度計本体30は、相対湿度Uを算出する演算部(演算装置)32と、演算部32における演算結果を外部に出力する出力部34と、電力供給部24と、を備える。本実施形態の湿度計本体30には、各センサ14、16が切り離し可能に接続されている。
【0033】
演算部32は、各センサ14、16からの信号を受け取って湿度Uを算出する。具体的に、演算部32は、伝熱部温度センサ14によって検出された伝熱部温度t
eと、測定空間温度センサ16によって検出された測定空間温度tと、を用いて測定空間S1の相対湿度Uを算出する。詳しくは、演算部32には、以下の式(1)(所定の関係式)と、以下の式(2)とが予め格納されており、当該演算部32は、これらの式(1)及び式(2)を用いて、伝熱部温度t
e及び測定空間温度tから測定空間S1の相対湿度Uを算出する。
【0036】
ここで、式(1)のAは係数であり、tは、測定空間温度(測定空間S1内の空気の温度)であり、t
eは、伝熱部温度(伝熱部12の表面温度)であり、e
seは、伝熱部温度t
eにおける飽和水蒸気圧であり、pは、測定空間S1の圧力であり、δは、境膜厚さであり、q
Cは、伝熱部12から外部空間S2への放熱量である。また、式(2)のe
sは、測定空間温度tにおける飽和水蒸気圧である。
【0037】
具体的に、演算部32は、先ず、式(1)を用いて、伝熱部温度t
e及び測定空間温度tから測定空間S1の水蒸気圧(水蒸気分圧)eを算出する。続いて、演算部32は、式(2)を用いて、この水蒸気圧eと測定空間温度tにおける飽和水蒸気圧e
sとから測定空間S1の相対湿度Uを算出する。このとき用いられる飽和水蒸気圧e
sは、予め演算部32に格納されたテーブルに記憶されたデータから、演算部32によって読み出されたものである。テーブルには、例えば、温度と、各温度における飽和水蒸気圧とが対応付けられたデータが記憶されている。
【0038】
式(1)は、外部空間S2へ放出される熱量q
Cが一定となるように、熱が伝熱部12から外部空間S2へ強制的に放出される状態であって内側部位12aに結露が生じている状態にある場合での、伝熱部12における熱収支に基づく式である。この式(1)は、以下のようにして求められる。
【0039】
外部空間S2へ放出される熱量q
Cが一定となるように伝熱部12から外部空間S2へ熱が強制的に放出されると、伝熱部12内の作動流体によって測定空間S1側から外部空間S2側(他方側の端部12b)に向けて熱が輸送される。これにより、伝熱部温度t
eが測定空間S1の露点以下となり、伝熱部12の内側部位12aに結露が生じる。このときの結露によって測定空間S1から伝熱部12へ供給される潜熱をq
Conとし、測定空間S1から伝熱部12へ入る顕熱をq
Heatとすると、潜熱q
Conと顕熱q
Heatは、それぞれ以下の式(3−1)及び式(3−2)によって表される。
【0041】
式(3−1)及び式(3−2)において、H
vは、水の潜熱であり、Dは、水蒸気拡散係数であり、P
0は、大気圧であり、Rは、気体定数であり、λは、空気の熱伝導率である。
【0042】
ここで、外部空間S2へ放出される熱量q
Cが一定となるように、熱が伝熱部12から外部空間S2に強制的に放出された場合において、伝熱部12の内側部位12aに結露が生じたとする。このとき、以下の熱収支が、測定空間S1の相対湿度U及び外部空間S2の温度に関係なく成り立つ。この熱収支とは、測定空間S1から伝熱部12へ入る顕熱q
Heatと、前記結露によって伝熱部12に供給される潜熱q
Conとを合わせた熱量が、前記伝熱部12から外部空間S2に強制的に放出させられる熱量q
Cと等しくなる、といった熱収支である。
【0043】
従って、q
Con、q
Heat、q
Cの間には、以下の式(4)によって表される関係が成り立つ(
図3参照)。
【0044】
【数4】
そして、式(4)に前記の式(3−1)及び式(3−2)を代入して整理することにより、測定空間S1内の空気の水蒸気圧eを求めるための関係式(5)が成立する。
【0046】
この式(5)における第2項の点線によって囲まれた式と、第3項の点線によって囲まれた式とを、それぞれ係数Aに置き換えることによって、前記の式(1)が得られる。
【0047】
出力部34は、演算部32の演算結果を受けて測定空間S1の相対湿度Uを出力する。本実施形態の出力部34は、演算結果を表示するように構成されている。尚、出力部34は、演算結果を表示する構成に限定されない。例えば、出力部は、液晶ディスプレイ等の外部の表示装置等に前記演算結果等を表示させるための信号を出力するように構成されてもよい。また、出力部は、印字等によって出力するように構成されてもよい。
【0048】
このように構成される湿度計10では、以下のようにして測定空間S1の湿度Uが測定される。
【0049】
先ず、湿度計本体30が起動すると、電力供給部24がペルチェモジュール22に一定の電力を供給する。本実施形態では、電力供給部24がペルチェモジュール22に対して一定の電流を供給する。これにより、ペルチェモジュール22を通じた伝熱部12から外部空間S2への放熱量q
Cを一定にすることができる。その結果、伝熱部12の内側部位12aの温度が低下して測定空間S1の露点温度以下となる。これにより、内側部位12aが結露する。この状態が所定の時間続くと、伝熱部12の温度が平衡状態となって安定する。
【0050】
続いて、演算部32は、伝熱部温度センサ14の検出結果を示す信号(即ち、伝熱部温度t
eを表す信号)と、測定空間温度センサ16の検出結果を示す信号(即ち、測定空間温度tを表す信号)とを受け取る。そして、演算部32は、各温度センサ14、16からの各信号が表す温度をそれぞれ式(1)に代入して演算し、これにより測定空間S1の水蒸気圧eを算出する。
【0051】
例えば、
図3に示す例では、伝熱部温度t
eが79.6℃、測定空間温度tが85.0℃、ペルチェモジュール22によって伝熱部12から外部空間S2へ放出される熱量(穂熱量)が20336W/m
2、の場合を示している。このとき演算部32は、これらの値を式(1)に代入することによって水蒸気圧eを求める。続いて、演算部32は、測定空間S1の水蒸気圧eが算出されると、この水蒸気圧e(
図3に示す例では、e=49.1)と測定空間温度センサ16によって検出された測定空間温度tにおける飽和水蒸気圧e
sとを式(2)にそれぞれ代入して、相対湿度Uを演算する。
【0053】
これにより求められた測定空間S1の相対湿度U(前記の例では85%)が演算部32によって出力部34に出力される。出力部34は、演算部32によって算出された測定空間S1の相対湿度Uを表示(出力)する。
【0054】
以上の湿度計10によれば、放出される熱量(伝熱部12から外部空間S2への放熱量)q
Cが一定となるように、伝熱部12から外部空間S2へ強制的に熱を放出させることによって伝熱部12の測定空間S1内に位置する部位12aを結露させる。その上で、式(1)を用いて測定空間S1の湿度を導出する。このため、外部空間S2の温度の影響を受けずに測定空間S1の湿度Uを精度よく求めることができる。
【0055】
具体的には、外部空間S2の温度をパラメータとして用いない式(1)及び式(2)によって湿度Uが求められる。これにより、湿度Uの算出において外部空間S2の温度の影響を抑えることができる。しかも、放熱量q
Cが一定(所定の値)となるように伝熱部12から外部空間S2へ強制的に熱を放出させるので、伝熱部12の温度が外部空間S2の温度及びその変動の影響を受けずに安定する。このため、湿度計10では、式(1)において外部空間S2に放熱する伝熱部12の温度(伝熱部温度)がパラメータとして用いられているにもかかわらず、前記外部空間S2の温度及びその変動の影響を受けることなく測定空間S1の湿度を精度よく求めることができる。
【0056】
また、この湿度計10は、従来の乾湿球湿度計のようにウィックを必要としないので、古くなって水の吸い上げが悪くなる毎にウィックを交換するといったメンテナンスに係る作業負担を軽減することができる。従って、本実施形態の湿度計10では、メンテナンスに係る作業負担を軽減しながら、構造を簡略化することができる。
【0057】
また、本実施形態による湿度計10では、伝熱部温度センサ14により伝熱部12の外面(表面)温度を検出しているため、伝熱部12の温度を当該伝熱部12の内部で検出する場合に比べ、伝熱部12の構造及び伝熱部温度センサ14の構造を簡略化することができる。
【0058】
尚、第1実施形態による湿度計10では、伝熱部温度センサ14が、内側部位12a(本実施形態では、測定空間S1側の端部近傍)の外面(表面)温度を検出している。しかしながら、伝熱部温度センサ14によって伝熱部温度t
eが検出される位置は、この位置に限定されない。例えば、伝熱部温度センサ14は、断熱壁100の中にある伝熱部12の表面温度を検出するように配置されていてもよい。伝熱部12の外面(表面)温度は、風等の外乱による影響を受け易いため、伝熱部温度センサ14は風等の影響の受け難い断熱壁100中の位置に配置されていてもよい。この場合、伝熱部温度センサ14によって測定された温度を用いて湿度Uが算出されることにより、求められた湿度Uにおける外乱による誤差がより抑えられる。
【0059】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について
図4を参照しつつ説明する。第2実施形態では、前記第1実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0060】
第2実施形態の湿度計10Aでは、伝熱部12の配置と放熱量制御部120の構成において、第1実施形態の湿度計10と異なっている。
【0061】
伝熱部12は、断熱壁100を貫通するように配置されている。即ち、伝熱部12は、測定空間S1内と、この測定空間S1の外側の外部空間S2とに跨って配置されている。したがって、伝熱部12の一端部は測定空間S1内に位置しており、伝熱部12の他端部は外部空間S2内に位置している。以下では、伝熱部12のうち外部空間S2内に位置する部位を外側部位12cとする。
【0062】
放熱量制御部120は、空気供給部122と、温度調整部124と、ガイド部126と、を備える。
【0063】
空気供給部122は、伝熱部12の外側部位(外部空間S2側に突出している部位)12cに向けた空気(外気)の流れを形成する。本実施形態において、空気供給部122は送風ファンである。この空気供給部122は、一定の風量となるように外側部位12cに向けて送風する。本実施形態の空気供給部122は、外側部位12cの突出方向先端から断熱壁100(外側部位12cの基端)側に向かう方向に送風する。
【0064】
温度調整部124は、空気冷却部124aと、制御部124bと、を有する。
【0065】
空気冷却部124aは、空気供給部122と外側部位12cとの間に配置され、空気供給部122から外側部位12cに向かう空気の温度を調整する。この空気冷却部124aは、空気供給部122から供給された空気の温度を検出する温度センサ(図示省略)を有する。
【0066】
制御部124bは、空気冷却部124aの図略の温度センサによって検出された温度(空気供給部122から供給された空気の温度)に基づき、空気冷却部124aの冷却能力を制御する。空気冷却部124aの冷却能力が調整されることにより、外側部位12cに供給される空気の温度が一定に保たれる。
【0067】
以上の湿度計10Aによっても、放出される熱量(伝熱部12から外部空間S2への放熱量)q
Cが一定となるように、伝熱部12から外部空間S2へ強制的に熱を放出させることができる。これにより、伝熱部12において測定空間内に位置する部位12aが結露し、その上で式(1)及び式(2)を用いて測定空間S1の湿度が導出される。このため、外部空間S2の温度の影響を受けずに測定空間S1の湿度Uを精度よく求めることができる。
【0068】
ガイド部126は、空気冷却部124aによって温度調整された後の空気を外側部位12cに案内する。このガイド部126が温度調整後の空気を案内することにより、温度調整後の空気の流れに外気が混入することを防ぐことができる。これにより、一定の温度(所定の温度)の空気が一定の風量で外側部位12cに到達する。そして、外側部位12cからの熱を受け取った空気は、ガイド部126における断熱壁100側の端部開口から外部空間S2に放出される。
【0069】
なお、その他の構成、作用及び効果についてはその説明を省略するが、前記第1実施形態と同様である。
【0070】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について、
図5を参照しつつ説明する。第3実施形態では、前記第1及び第2実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0071】
第3実施形態の湿度計10Bでは、第1及び第2実施形態の湿度計10、10Aと異なり、湿度計10Bの全構成が一つの空間(測定空間)S1内に配置可能である。即ち、第3実施形態の湿度計10Bによれば、伝熱部12Bの熱を、湿度を測定する空間(測定空間)S1と隔てられた空間(第1及び第2実施形態では外部空間)に放出しなくても測定空間S1の湿度を測定することができる。換言すると、第3実施形態の湿度計10Bによれば、伝熱部12の熱を測定空間S1内に放出しつつ、測定空間S1の湿度を測定することができる。
【0072】
伝熱部12Bは、第1端部120aから第2端部120bまで延びる形状を有していて、測定空間S1から第1端部120aに入った熱を第2端部120bまで輸送可能である。第3実施形態では、第1実施形態と同様、伝熱部12Bはヒートパイプである。第3実施形態の伝熱部12Bは、第1及び第2実施形態の伝熱部12よりも短い。これは以下の理由による。伝熱部12Bの温度と測定空間S1との温度差が小さいために、第3実施形態では、放熱量制御部20B(詳しくはペルチェモジュール22)による伝熱部12Bの第2端部120bから測定空間S1への放熱可能量が小さくなる。このため、伝熱部12Bにおいて、測定空間S1からの熱(顕熱)が入る部位(
図5における断熱部材110よりも下端側の部位)の表面積を小さくすることにより、第2端部120bからの放熱量が小さくても当該部位を結露させ易くすることができる。したがって、第3実施形態の伝熱部12Bは、第1及び第2実施形態の伝熱部12よりも短くなっている。これにより、湿度計10Bの測定範囲が広がる。
【0073】
また、伝熱部12Bは、垂直に起立した姿勢で配設される。これは、本実施形態のように伝熱部12Bがヒートパイプによって構成されている場合、ヒートパイプが起立した姿勢となるように配置されることによってヒートパイプの熱抵抗が小さくなり、これにより、第2端部120bからの放熱量を増加させることができるからである。その結果、本実施形態のように、ペルチェモジュール22による放熱可能量が小さくても、第1端部120a側の部位が結露し易くなる。
【0074】
放熱量制御部20Bは、ペルチェモジュール22及び電力供給部24以外に、断熱部材110を備える。
【0075】
断熱部材110は、伝熱部12Bの第2端部120bを囲うように配置される。この断熱部材110は、伝熱部12Bにおいてヒートパイプ現象を生じ易くさせる。尚、ヒートパイプ現象とは、上述のように、封入された作動流体が所定の場所で蒸発と凝縮とを繰り返すことにより、作動流体が蒸発するところから凝縮するところへ、作動流体の流動に伴って熱が輸送される現象を意味している。尚、断熱部材110は、伝熱部12Bにおける熱輸送を行い易くするために設けられていることが好ましいが、必須ではない。
【0076】
測定空間温度センサ16は、測定空間S1内において、放熱量制御部20B(ペルチェモジュール22の放熱部位22b)からの放熱の影響を受けない位置に配置される。
【0077】
以上説明した構成の湿度計10Bでは、放出される熱量(伝熱部12Bから測定空間S1への放熱量)が一定となるように、熱が伝熱部12Bの第2端部120bから測定空間S1へ強制的に放出される。これにより、少なくとも伝熱部12Bの第1端部120aが結露する。そして、式(1)及び式(2)を用いて湿度Uが演算されることにより、測定空間温度tが変動しても、各温度tにおける空間の湿度Uを精度よく求めることができる。
【0078】
なお、その他の構成、作用及び効果についてはその説明を省略するが、前記第1及び第2実施形態と同様である。
【実施例】
【0079】
ここで、第1実施形態の湿度計と、比較例としての湿度計とによって、測定空間の湿度を測定した結果を以下に示す。この比較例としての湿度計は、伝熱部が測定空間から外部空間に亘って配置される。比較例の湿度計では、伝熱部において測定空間内に位置する部位に結露が生じた状態のときに検出される伝熱部の温度、測定空間の温度及び外部空間の温度から、測定空間の湿度が演算によって求められる。比較例においても、伝熱部としてヒートパイプが用いられている。
【0080】
図6(A)は、測定空間内が高温高湿状態(例えば、温度が85℃、湿度が85%の状態)のときに乾湿球湿度計(破線)によって測定された結果と、前記比較例としての湿度計(実線)によって測定された結果とを示している。
図6(B)は、測定空間内が高温高湿状態(例えば、温度が85℃、湿度が85%の状態)のときに乾湿球湿度計(破線)によって測定された結果と、第1実施形態の湿度計(実線)によって測定された結果とを示している。
図7(A)は、測定空間内が低温高湿状態(例えば、温度が35℃、湿度が85%の状態)のときに乾湿球湿度計(破線)によって測定された結果と、前記比較例としての湿度計(実線)によって測定された結果を示している。
図7(B)は、測定空間内が低温高湿状態(例えば、温度が35℃、湿度が85%の状態)のときに乾湿球湿度計(破線)によって測定された結果と、第1実施形態の湿度計(実線)によって測定された結果とを示している。
【0081】
図6(A)と
図6(B)との比較、及び、
図7(A)と
図7(B)との比較から、第1実施形態の湿度計では、比較例としての湿度計に比べ、測定結果の値のぶれ(グラフにおける上下のぶれ)の少ない安定した値(測定値)が得られることが確認できた。即ち、湿度を求めるための演算に外気温度が用いられる比較例としての湿度計に比べ、第1実施形態の湿度計では、測定空間の湿度を精度よく測定できることが確認できた。
【0082】
また、
図6(B)及び
図7(B)における実線で示す波形と破線で示す波形との比較から、第1実施形態の湿度計では、乾湿球湿度計と同様に、測定空間の湿度を高い精度で測定することができることが確認できた。
【0083】
尚、本発明の湿度計は、前記第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0084】
放熱量制御部の具体的な構成は前記各実施形態に限定されない。例えば、第1(又は第3)実施形態の放熱量制御部20では、ペルチェモジュール22によって伝熱部12から外部空間S2(又は測定空間S1)への放熱量が一定に保たれ、また、第2実施形態の放熱量制御部では、温度調整された空気を送風することにより伝熱部12から外部空間S2への放熱量が一定に保たれている。しかしながら、これらに限定されない。放熱量制御部は、例えば、ペルチェモジュール22以外の冷却装置や温度調整された水(流体)を用いて、放熱量が一定となるように伝熱部12から外部空間S2へ熱を放出させることができる構成であってもよい。
【0085】
また、前記第1実施形態の湿度計10では、伝熱部12の一端部12bが断熱壁100とペルチェモジュール22とによって囲まれているために、伝熱部12の一端部12bが外部空間S2に露出していない。しかしながら、この構成に限定されない。例えば、伝熱部12において外部空間S2に露出した部位から外部空間S2に放出される熱量と、ペルチェモジュール22によって伝熱部12から外部空間S2に放出される熱量とを合計した熱量を、一定に保つことができる構成であれば、伝熱部12の一部が外部空間S2に露出した構成としてもよい。あるいは、前記外部空間S2に露出した部位から外部空間S2に放出される熱量が誤差の範囲内に収まる構成の場合にも、伝熱部12の一部が外部空間S2に露出した構成としてもよい。
【0086】
第1〜第3実施形態の演算部32は、式(1)及び式(2)を予め格納しておき、これらの式を用いて湿度を算出しているが、この構成に限定されない。例えば、式(1)及び式(2)から、各測定空間温度t、各伝熱部温度t
eに対する相対湿度Uをそれぞれ求めて、測定空間温度tと各伝熱部温度t
eと湿度Uとを対応付けたテーブルを作成しおき、これを演算部32に予め格納しておいてもよい。この場合、演算部32は、このテーブルを用いて湿度Uを求めることになる。
【0087】
前記第1〜第3実施形態の湿度計10、10A、10Bは、測定空間S1の相対湿度Uのみを導出しているが、この構成に限定されない。湿度計は、相対湿度Uに加え、求めた相対湿度Uと検出した測定空間温度tとから、測定空間S1の露点を求めてもよい。
【0088】
前記第1〜第3実施形態の湿度計10、10A、10Bは、伝熱部温度センサ14と測定空間温度センサ16とを備えているが、この構成に限定されない。湿度計の演算部が、他の機器から入力された伝熱部温度t
e及び測定空間温度tを用いて湿度Uを算出するように構成されていてもよい。
【0089】
前記第3実施形態の湿度計10Bでは、ペルチェモジュール22を用いて、伝熱部12Bの第2端部120bから一定の放熱量で熱を測定空間S1に放出している。しかしながら、この構成に限定されない。例えば、第2実施形態の湿度計10Aのような空気供給部122と温度調整部124とガイド部126とを用いて、伝熱部12Bの第2端部120bから熱を放出させてもよい。この場合、空気供給部による空気の流れが伝熱部12Bにおける湿度の測定部位(即ち、伝熱部12Bにおいて測定空間S1の熱が当該伝熱部12Bに入る部位)に当たらないように、空気供給部、温度調整部、及びガイド部が配置又は構成される。
【0090】
前記第1〜第3実施形態の伝熱部12、12Aは、いずれも真っ直ぐに延びているが、途中で湾曲又は屈曲していてもよい。
【0091】
前記第1〜第3実施形態の湿度計では、伝熱部12の温度
teとして、伝熱部の外面(表面)に取り付けられた伝熱部温度センサ14により検出された外面(表面)温度が採用されている。しかしながらこれに限られるものではない。例えば、伝熱部温度センサ14は、伝熱部12の内部温度を検出するように構成されていてもよい。具体的には、伝熱部12がヒートパイプによって構成される場合、
図8に示されるように、伝熱部12は、内管12iとその外側を囲む外管12oとを有する二重管構造となる。伝熱部12には、内管12iと外管12oとの間の空間でヒートパイプ現象が生じるように作動流体が封入される。内管12i内には、伝熱部温度センサ14の温度検出部材(
図8においてはシース熱電対)4aが挿入される。このように構成することにより、伝熱部12の内部温度(内管12iの管壁の温度)を検出することができる。なお、
図8には、伝熱部12が第2実施形態のごとく断熱壁100を貫通する構成が示されている。しかしながら、伝熱部温度センサ14が伝熱部12の内部温度を検出する構成は、第1実施形態及び第3実施形態のように、伝熱部12の一端部12
bが断熱壁内に配置されている構成としてもよい。
【0092】
[実施の形態の概要]
ここで、前記実施形態について概説する。
【0093】
(1)前記実施形態の湿度計は、測定空間の湿度を測定する湿度計であって、前記測定空間から当該測定空間に対して断熱部によって隔てられる外部空間に向かって延びる伝熱部と、前記外部空間へ放出される熱量が一定となるように前記伝熱部から前記外部空間へ熱を放出させる放熱量制御部と、前記測定空間の湿度を算出する演算装置と、を備える。前記演算装置は、前記伝熱部から前記外部空間へ放出される熱量が前記放熱量制御部によって一定になっている状態で、前記測定空間内に位置する部位に結露が生じているときの前記伝熱部における熱収支に基づく関係式を用い、前記伝熱部の温度と前記測定空間の温度とから前記測定空間の湿度を算出する。
【0094】
前記湿度計によれば、伝熱部から放出される熱量(伝熱部から外部空間への放熱量)が一定となるように、伝熱部から外部空間へ強制的に熱が放出される。そして、伝熱部において測定空間内に位置する部位が結露した状態で、前記関係式を用いて測定空間の湿度が導出される。このため、外部空間の温度の影響を受けずに測定空間の湿度を精度よく求めることができる。
【0095】
具体的には、外部空間の温度をパラメータとして用いない前記関係式によって湿度を求めるため、外部空間の温度の影響を抑えることができる。しかも、放熱量が所定の値となるように伝熱部から外部空間へ強制的に熱が放出されるため、伝熱部の温度が外部空間の温度及びその変動の影響を受けずに安定する。これにより、前記関係式において外部空間に放熱される伝熱部の温度がパラメータとして用いられているにもかかわらず、前記外部空間の温度及びその変動の影響を受けることなく、測定空間の湿度を精度よく求めることができる。
【0096】
(2)前記湿度計は、前記伝熱部の温度を検出する伝熱部温度検出部を備えていてもよい。この場合、前記演算装置は、前記伝熱部の前記温度として、前記伝熱部温度検出部によって検出された温度を用いてもよい。また、前記湿度計は、前記測定空間の温度を検出する測定空間温度検出部を備えていてもよい。この場合、前記演算装置は、前記測定空間の前記温度として、前記測定空間温度検出部によって検出された温度を用いてもよい。
【0097】
これらの構成のように、湿度計が、伝熱部温度検出部及び/又は測定空間温度検出部を備える場合には、当該湿度計以外の機器等から伝熱部温度及び/又は測定空間温度を取得することなく、測定空間の湿度を測定することができる。
【0098】
(3)前記湿度計において、例えば、具体的に、前記放熱量制御部は、ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子に電力を供給する電力供給部と、を有していてもよい。この場合、前記ペルチェ素子は、前記伝熱部を冷却可能に配置され、前記電力供給部は、前記ペルチェ素子に一定の電力を供給可能であってもよい。
【0099】
かかる構成によれば、伝熱部から外部空間へ放出される熱量を一定に制御することができる。この場合、前記ペルチェ素子が、前記伝熱部における測定空間内に位置する部位以外の部位を前記断熱部と共に囲うように配置されていてもよい。この場合、簡単な構成によって、伝熱部から外部空間へ放出される熱量を一定にする制御を容易に実現できる。
【0100】
(4)前記伝熱部は、前記断熱部から外部空間側に突出していてもよく、前記放熱量制御部は、前記伝熱部の外部空間側に突出している部位に向けた空気の流れを形成する空気供給部と、前記空気供給部が前記突出している部位に供給する空気の温度を一定にする温度調整部と、を有してもよい。
【0101】
かかる構成によっても、伝熱部から外部空間へ放出される熱量を一定に制御することができる。
【0102】
(5)前記実施形態は、前記の各温度と測定空間の水蒸気圧との間の関係式に着目することによってなされた恒温恒湿槽であって、所定の測定空間を囲う断熱部と、前記測定空間の湿度を測定する前記湿度計と、前記湿度計による測定結果に基づいて前記測定空間内の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整部と、を備える。
【0103】
かかる構成によれば、断熱部の外側の空間(外部空間)の温度の影響を受けずに測定空間の湿度が精度よく求められるため、測定空間内の温度及び湿度を正確に調整することができる。
【0104】
(6)前記第3実施形態は、前記の各温度と測定空間の水蒸気圧との間の関係式に着目することによってなされたものであり、空間内の湿度を測定する湿度計であって、前記空間内の第1の位置に配置される第1端部から当該第1の位置と間隔をおいた第2の位置に配置される第2端部まで延び、且つ、前記第1端部に前記空間から入った熱を、前記第2端部まで熱輸送可能な伝熱部と、前記空間へ放出される熱量が一定となるように前記伝熱部の前記第2端部から前記空間へ熱を放出させる放熱量制御部と、前
記空間の湿度を算出する演算装置と、を備える。前記演算装置は、前記第2端部から前記空間へ放出される熱量が前記放熱量制御部によって一定になっている状態で、少なくとも前記第1端部に結露が生じているときの前記伝熱部における熱収支に基づく関係式を用い、前記伝熱部の温度と前記空間の温度とから前記空間の湿度を算出するように構成されている。
【0105】
この湿度計によれば、放出される熱量(伝熱部から空間への放熱量)が一定となるように伝熱部の第2端部から空間へ強制的に熱が放出されるため、少なくとも伝熱部の第1端部が結露した状態で、前記関係式を用いて湿度を演算することにより、空間の温度が変動しても、各温度における空間の湿度を精度よく求めることができる。
【0106】
以上より、前記実施形態によれば、外部空間の温度の影響を受けずに当該外部空間と断熱部によって隔てられた測定空間の湿度を精度よく測定することができる。