(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969600
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】農業用の油性調合剤のための界面活性剤および乳化剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20160804BHJP
A01N 55/02 20060101ALI20160804BHJP
A01N 47/30 20060101ALI20160804BHJP
A01N 43/70 20060101ALI20160804BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20160804BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N55/02 G
A01N47/30 B
A01N43/70
A01P3/00
A01P13/00
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-513863(P2014-513863)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2014-516056(P2014-516056A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】AU2012000662
(87)【国際公開番号】WO2012167322
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】2011902300
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】507213857
【氏名又は名称】ハンツマン・コーポレーシヨン・オーストラリア・ピーテイワイ・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーデイ,キース
(72)【発明者】
【氏名】セイリク,デイレク
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ローワン
【審査官】
瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−255602(JP,A)
【文献】
特開平10−330203(JP,A)
【文献】
特開昭54−018898(JP,A)
【文献】
特開昭50−032123(JP,A)
【文献】
特表平10−510211(JP,A)
【文献】
特表2004−534081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中に微細に分割された状態で懸濁された有効成分;および構造(1)を有する化合物と構造(2)を有する化合物:
【化1】
[式中、 R
1=HまたはC
1−C
30アルキル基;
AおよびBは連続またはランダムなエチレンまたはプロピレン基であり;
n=0または>1;そして
m=0または>1,
そして式中、 n+m>34;
R
2=C
8−C
30アルキルまたはアルキレン基(分岐または直線状);そして
x=>1]
の間の反応から形成されるポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含んでなる
懸濁調合剤であって、20℃〜54℃の温度範囲の貯蔵で少なくとも14日間沈降に対する実質的な安定性を示す、農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項2】
界面活性剤が、1500amuより大きい分子量を有するポリエチレングリコール、および2単位より大きい縮合範囲のポリヒドロキシステアリン酸コポリマーのジブロック縮合物を含んでなる請求項1に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項3】
界面活性剤が、ポリアルキレングリコールエーテル−脂肪酸縮合物の少なくとも1つのモノブロック縮合物を含んでなり、ポリアルキレングリコールエーテルが1800amuより大きい分子量を有するエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーブチルエーテルであり、そして脂肪酸縮合物が2単位より大きい縮合範囲のポリヒドロキシステアリン酸コポリマーである、請求項1に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項4】
調合剤が油分散体(“OD”)または油混和性フロワブル(“OF”)調合剤から選択される請求項1に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項5】
OD調合剤が追加の沈降防止剤としてさらに乳化剤および/またはゴム型コポリマーを含んでなる、請求項4に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項6】
有効成分がMancozeb,Diuron,AtrazineおよびCaptanまたはそれらの混合物から選択される請求項1に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項7】
有効成分がMancozebである請求項6に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項8】
Mancozebが400g/Lより高い濃度で存在する請求項7に記載の農業用の油性懸濁剤。
【請求項9】
Mancozebが580g/Lより高い濃度で存在する請求項8に記載の農業用の油性懸濁調合剤。
【請求項10】
調合剤中、2〜10重量/容量%の範囲のポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物の使用率を有する請求項1に記載の農業用の油性懸濁調合剤の適用法。
【請求項11】
調合剤中の使用率が3〜8重量/容量%の範囲である、請求項10に記載の適用法。
【請求項12】
有効成分がMancozeb,Diuron,AtrazineおよびCaptanまたはそれらの混合物から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
有効成分がMancozebである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Mancozebが400g/Lより高い濃度で存在する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Mancozebが580g/Lより高い濃度で存在する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有効成分を含んでなり、20℃〜54℃の温度範囲の貯蔵で少なくとも14日間沈降に対する実質的な安定性を示す、OD調合剤の調製法であって:
a)本発明のポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物から選択される少なくとも1つの界面活性剤を、界面活性剤および油と合わせて液体を与えることにより界面活性剤溶液プレミックスを調製し;
b)有効成分を、撹拌または高剪断混合のいずれかにより界面活性剤溶液に分散し;
c)粒子サイズの平均を1〜12ミクロンの範囲にするために、有効成分分散物を粉砕し;
d)界面活性乳化剤を加え;そして
e)場合により追加の油および他の必要な成分を加えることにより、有効成分含量の最終濃度を調整する;
工程を含んでなり、ここで工程a)〜d)は任意の順序で行われる、上記調製法。
【請求項17】
工程(e)が、追加の沈降防止剤としてゴム型コポリマーを加えることを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有効成分がMancozeb,Diuron,AtrazineまたはCaptanまたはそれらの混合物から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効成分がMancozebである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Mancozebが400g/Lより高い濃度で存在する請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用の活性な微細に分割された固体の油性(oil−based)懸濁調合剤(formulation)の安定化に関する。より詳細には本発明は、改良された安定性を有する農業用の活性な固体を含んでなる油性懸濁調合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
連続相の主要な成分として、油中に懸濁された農業用の活性な固体を含んでなる調合剤は、農業用基質(agricultural substrate)の処理に有利であることが分かった。そのような調合剤の例は、CropLife InternationalによりOD(“油分散体”)およびOF(“油混和性フロワブル濃縮剤(concentrate)”)調合剤と名付けられた。
【0003】
そのような調合剤は最終消費者に特定の利益を提供する。それらは成分が加水分解的不安定性により水中に配合することができない有効成分の調合剤を、固体の懸濁状態にすることができる。またそのような調合剤は、効力を強化するために油性の補助剤(adjuvants)が調合剤に取り込まれることを可能にする。さらに多くの場合で、有効成分には乳化可能濃厚調合剤のように調合剤に負荷(load)できる量について溶解性の限界があるので、油性系の懸濁液は別の方法で可能になるより恐らく高い有効成分強度(strength)の調合剤を導くことができる。
【0004】
ODおよびOF調合剤のような油性の農業用調合剤に関する主要な限界は、それを後の最終消費者にとって一貫して使用可能な状態とすることができるように、長期間に及ぶ可能性がある貯蔵において調合剤を物理的に安定化する必要性である。一般にODまたはOF調合剤は堅く詰まった(hard−packed)非再分散性層への経時的な有効成分粒子の沈降、すなわち液柱の下層への粒子の沈降を現わす可能性があり、相分離の外観を導く。これが一般に所謂「離液(syneresis)」と言われるものである。有効成分および使用する油相の密度に依存して、液柱の上層に移動する有効成分の粒子を見出すことも可能である。これはよく「逆」または「上部」離液と説明される。そのような物理的不安定性は、分散する粒子のフロキュレーション(flocculation)を防ぐように設計される油性の界面活性分散剤の存在にかかわらず生じる可能性がある。
【0005】
安定化剤が油性の農業用懸濁剤で有用となるためには、広い温度範囲、すなわち0℃〜54℃にわたり長期の物理的安定性を提供しなければならないと同時に、調合剤の生産およびその後の最終的使用に現実的となる十分に低い粘度も維持しなければならない。必要な一般的粘度は、2,000センチポイズ(“cP”)未満、そして好ましくは1200cP未満である。
【0006】
油性調合剤の様々な安定化法が知られている。現在、油性調合剤に使用されている一般的な安定化剤には、有機的に修飾されたヘクトライト粘土、例えばElementis Specialtiesから入手可能なBentone(登録商標)類のものがある。これまでに試験した多くの系で、本発明者はこれらの安定化剤が、許容し得る粘度で促進される貯蔵について、所望の温度範囲にわたる安定性を常に与えるわけではないことを見出した。さらに幾つかの例で使用される増粘剤は、使用する幾つかの一般的な非水性分散剤を阻害するようである。
【0007】
当該技術分野では、疎水的に修飾されたシリカも現在使用されている。しかしそのような安定化剤は、必要な疎水性の程度を、使用する油の疎水性の程度に常に十分に合わせる
ことができるわけではないという点で限界がある。さらにそのような安定化剤は油相中の増粘構造の形成を助けるために、水のような少量の親水性の作用物質の使用を必要とすることが多い。多くの場合でシリカと水の使用は、有効成分の化学分解を回避するために無水である調合剤の目的を無効にする。多くの場合で、望ましくない沈降を防止するために必要なシリカ安定化剤の量も、高度に粘稠で使用には現実的でない調合剤を導く。
【0008】
さらに特定の有効成分は、それらを最も望ましい濃度で安定化することの難しさに遭遇してきた。したがって油性の農業用懸濁調合剤用に改善された安定化剤が必要である。
【0009】
本発明は改善され、安定化された油性の農業用懸濁調合剤およびその生産法を提供するものである。より詳細には本発明は、従来技術に見出される不利益および問題を最少とし、または改善するものである。
【発明の概要】
【0010】
発明の要約
ポリアルキレングリコール−脂肪酸ポリ縮合物ブロックコポリマー界面活性剤は、油性系の分散剤として使用することができ、そしてまたそのような界面活性剤は水中油および油中水系の両方に乳化剤として作用できることも知られているが、このような界面活性剤の特定の範囲のものが単独または組み合わせて使用した時に、それらの分散および乳化機能を維持しながら農薬用の油性調合剤に構造化剤(structuring agent)としても作用できることが予期せず見出された。驚くべきことに本発明者は、本明細書に記載する方法に従い使用された場合、ODまたはOF調合剤のような油性の農業用調合剤の物理的安定性を大きく改善できる特定のポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物およびポリアルキレングリコールエーテル−脂肪酸ポリ縮合物ブロックコポリマーを同定した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一局面では、油中に微細に分割された状態で懸濁された有効成分;および構造(1)を有する化合物と構造(2)を有する化合物:
【0013】
[式中、 R
1=HまたはC
1−C
30アルキル基;
AおよびBは連続またはランダムなエチレンまたはプロピレン基
であり;
n=0または>1;そして
m=0または>1,
そして式中、 n+m>34;
R
2=C
8−C
30アルキルまたはアルキレン基(分岐または直
線状);そして
x=>1]
との間の反応から形成されるポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含んでなる農業用の油性懸濁調合剤が提供される。
【0014】
より好ましくはこの界面活性剤は、1500amuより大きい分子量を有するポリエチレングリコールと、構造(2)について2単位より大きい縮合範囲(condensation range)のポリヒドロキシステアリン酸コポリマーのジブロック縮合物である。最も好適な形態では、この界面活性剤は、ポリアルキレングリコールエーテル−脂肪酸縮合物の少なくとも1つのモノブロック縮合物を含んでなり、ここでポリアルキレングリコールエーテルが1800amuより大きい分子量を有するエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーブチルエーテルであり、そして脂肪酸縮合物が2単位より大きい縮合範囲のポリヒドロキシステアリン酸コポリマーである。
【0015】
ポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物の好適な使用率は、調合剤中の有効成分の負荷および使用する油の種類に依存して、調合剤中2〜10重量/容量%、そしてより好ましくは3〜8%の範囲である。そのようなレベルで、沈降およびフロキュレーションに対する実質的安定化が観察され得る。ほとんどの場合でこの縮合物は別の界面活性剤と一緒に使用されるだろう。縮合物が調合剤の分散効果に貢献する程度は、使用する界面活性剤の種類および量に依存する。
【0016】
OD調合剤に含むために適する有効成分は、好ましくは少なくとも1つの殺菌・カビ剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調節剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、なめくじ駆除剤、殺藻剤、または他の農薬、またはそれらの混合物を含んでなる。より詳細には有効成分は限定するわけではないが、殺菌・カビ剤、例えばアルキレンビス(ジチオカルバメート)、例えばMancozeb(すなわちMgおよびZnとのエチレンビスジチオカルバメート錯体);Zineb(すなわち亜鉛(エチレンビスジチオカルバメート)ポリマー、またはZiram(すなわち亜鉛ビス(ジメチル−ジチオカルバメート);ホセチル−アルミニウム(すなわちアルミニウムトリス−O−エチルホスホネート);Tebuconazole(すなわち(RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾ−1−イルメチル)−ペンタン−3−オール);水酸化銅;およびオキシ塩化銅;フタルイミド、例えばCaptan(すなわちN−(トリクロロメチルチオ)−シクロヘキサ−4−エン−1,2−ジカルボキシミド);スルホニルウレアのような除草剤、例えばNicosulfuron(すなわち2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)スルファモイル]−N,N−ジメチルニコチンアミド);およびAzimsulfuron(すなわち1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−[1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピラゾール−5−イルスルホニル]ウレア);トリアゾロピリミジン、例えばFlumetsulam(すなわち2′,6′−ジフルオロ−5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−スルホンアニリド);およびPenoxsulam(すなわち2−(2,2−ジフルオロエトキシ)−N−(5,8−ジメトキシ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−2−イル)−6−(トリフルオロ−メチル)ベンゼンスルホンアミド);トリアジン、例えばAtrazine(すなわち 6−クロロ−N−エチル−N’−(1−メチルエチル)−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジアミン);フェニルウレア除草剤、例えばDiuron(すなわち3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア);殺虫剤、例えばAldicarb(すなわち2−メチル−2−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド−O−メチルカルバモイルオキシム);Carbaryl(すなわち1−ナフチルメチルカルバメート);およびDiflubenzuron(すなわちN−[[(4−クロロフェニル)−アミノ]カルボニル]−2,6−ジフルオロベンズアミド)から選択される。
【0017】
OD調合剤は葉へのスプレーを介して通常に散布される前に、水に希釈される。OF調合剤には、調合剤はさらに油で希釈するように設計されているので、界面活性乳化剤は不要である。そうでなければこの調合剤はOD調合剤と類似する。OD調合剤の要件は有効成分が微細に分割された状態で油中に存在することである。ODおよびOF調合剤用の適
切な油相には周囲温度で任意の液体を含み、この液体は結晶の成長または物理的不安定性を生じてしまうに足る有効成分を溶解しない。
【0018】
油相は、限定するわけではないがケロシンのようなパラフィン油、例えばExxon Chemicalから入手可能なEXXSOL(登録商標) D類のもの、より好ましくはEXXSOL(登録商標) D130;およびTotalから入手可能なHYDROSEAL(登録商標) G250Hを含んでなることができる。種子油エステル、例えばオレイン酸メチルおよびエチル、メチルおよびエチルソイエート(soyate)、およびそれらの対応する脂肪酸も適切である。アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンのような芳香族炭化水素、ポリアルキレングリコールエーテル、脂肪酸ジエステル、脂肪アルキルアミドおよびジアミド、ケトンおよびアルコールも適している。
【0019】
本発明の懸濁調合剤は、例えば一旦有効成分が油中に懸濁されれば加えるべき界面活性乳化剤;油相が乳化状態で送達できるようにするためのさらなる添加剤;沈降防止または離液防止剤として機能することができる本発明のもの以外の界面活性分散剤および物理的安定性剤を含んでなることができる。界面活性分散剤が存在する場合、粉砕した後に固相のコロイド状態の安定化に必要な濃度まで、それを任意の適切な量で含めることができる。
【0020】
ODおよびOF調合剤に適切な界面活性分散剤は、好ましくは限定するわけではないがTERSPERSE(登録商標) 2510分散剤のような脂肪酸−ポリエチレングリコール縮合物;TERSPERSE(登録商標) 4890分散剤のようなポリアミン−脂肪酸縮合物;TERSPERSE(登録商標) 2520分散剤のようなランダムポリエステル縮合物;およびTERSPERSE(登録商標) 2422分散剤のようなポリオレフィン縮合物の塩から選択され、これらすべてがHuntsman Corporationの製品である。
【0021】
OD調合剤用の乳化剤の選択は、使用する油により指定される傾向がある。一般に低い親水性−新油性バランス(“HLB”)の界面活性剤が適切である。そのような界面活性剤は好ましくは限定するわけではないが、1もしくは複数のエトキシル化脂肪アルコール、ソルビタンエステル、およびそれらの対応するエトキシレート、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化ヒマシ油、アルキルベンゼンスルホン酸のカルシウムおよびアンモニウム塩、アルキルスルホコハク酸塩、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、エトキシル化アルキルアミンおよびエトキシル化アルキルフェノールから選択される。有効成分としてMancozebを含んでなるOD調合剤用の乳化剤は、例えばヒマシ油エトキシレート、特にTERMUL(登録商標) 3512乳化剤、アルコールエトキシレート、特にTERIC(登録商標) 12A3,12A4および17A2脂肪酸エトキシレート、ソルビタンエステルエトキシレート、例えばECOTERIC(登録商標)
T85脂肪酸エトキシレート、スルホスクシネート、例えばTERMUL(登録商標)
3665乳化剤、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミンおよびカルシウム塩、例えばNANSA(登録商標) EVMの商品群の群から選択することができ、これらすべてがHuntsman Corporationから入手可能である。
【0022】
OD調合剤はさらに本発明以外の物理的安定化剤を含んでなることができ、これは沈降防止剤または離液防止剤として機能することができる。中でも特に有用であるのは、所謂ゴム型コポリマーである。そのようなポリマーの例には、KRATON(登録商標)ポリマー類があり、これはKraton Polymersから入手可能である。最も好適であるのはKRATON(登録商標)Gシリーズのポリマー、例えばKRATON(登録商標)G−1701ポリマーである。
【0023】
調合剤に加えることができるさらなる添加剤には、着色剤、例えば顔料および染料、補助の界面活性剤、pHおよび他の化学的安定化剤、消泡剤、香料、臭気遮蔽剤およびさらに密度調整溶媒がある。調合剤はさらに薬害軽減剤(safeners)を含むことができる。
【0024】
本発明の範囲は有効成分を含んでなるOD調合剤の調製法にも及び、この方法は:
a)本発明のポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物またはポリアルキレングリコールエーテル脂肪酸縮合物から選択される少なくとも1つの界面活性剤を、界面活性剤および油と合わせて液体を与えることにより界面活性剤溶液プレミックスを調製し;
b)有効成分を、撹拌または高剪断混合のいずれかにより界面活性剤溶液に分散し;
c)粒子サイズの平均を1〜12ミクロンの範囲にするために、有効成分分散物を粉砕し;
d)界面活性乳化剤を加え;そして
e)場合により追加の油および他の必要な成分を加えることにより有効成分含量の最終濃度を調整する;
工程を含んでなり、ここで工程a)〜d)は任意の順序で行われる。
【0025】
1つの好適な局面では、上記方法の工程(e)には追加の沈降防止剤としてゴム型コポリマーの添加を含む。
【0026】
本発明の1つの特に好適な態様では、有効成分がMancozebを好ましくは400g/Lより高い濃度で含んでなる。別の好適な形態では、調合剤はMancozebを580g/Lより高い濃度で含んでなる。本発明者は有利なことにMancozebを480g/Lより高い濃度で含んでなる調合剤を生成することができ、この調合剤は粘度に悪影響を及ぼすことなく長期にわたり安定であることが見出された。この調合剤では、堅く詰まった層が観察されず、そして調合剤は54℃で2週間以上の期間貯蔵した時に流体/注げる状態(pourable)のままである。本発明により提供される利点は、Mancozebの極めて安定な高負荷の懸濁調合剤を達成する点であり、ここで修飾ヘクトライト粘土のような別の沈降防止剤は非効果的と思われる。またこの調合剤は極めて容易な水への分散性を与え、そして安定な乳液および懸濁液をもたらす。
【0027】
一旦配合されれば、本発明の方法により生成されたODまたはOF調合剤は、−5℃〜54℃の温度範囲で2週間までの貯蔵についての安定性を、そしてまた周囲温度で2年までの安定性を表すと期待される。
【0028】
発明の詳細な説明
以下の記載は本発明の具体的態様に関するのみであり、そして本発明の範囲をこれらの具体的態様に限定することを全く意図していない。特に以下の記載は本質的に限定と言うより例である。本発明の本質から必ずしも逸脱しない開示した方法に対する変更および修飾は、当業者には明白となるだろう。
【0029】
ここで本発明を、Mancozeb,Diuron,AtrazineまたはCaptanの主に高負荷懸濁調合剤に関連して記載する。同様な結果が、連続相に溶解性ではない他の固体有効成分の油中懸濁調合剤について見出すことができると想定される。
【0030】
典型的なOD調合剤は、以下の表1に記載する組成を有する:
【実施例】
【0032】
すべての調合剤は、別に述べないかぎり54℃で加速される貯蔵に供し、そして可能ならば、懸濁性の測定をCIPAC MT 161に従い20ppmの環境用水中、2重量/容量%で貯蔵前(pre−storage)に行った。そのような試験はOD調合剤に関する国際連合食糧農業機関(“FAO”)の公的要件ではないにもかかわらず、希釈した時の油/固体分散物の品質を最も良く特性決定するために、この場合、残渣の懸濁性を測定した。
【0033】
有効成分としてMancozebを使用したOFおよびOD調合剤
【実施例1】
【0034】
(比較)
Bentone(登録商標)沈降防止剤を含んでなるOD調合剤の調製
以下の調合剤を調製した:
【0035】
【表2】
【0036】
調合剤は、油分散剤TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤を90%の油相に溶解し、そしてMancozeb粉末をそれに高剪断混合で加えてスラリーを形成し、次いでこれをビーズミルで粉砕して5ミクロン(μm)未満の平均粒子サイズ(d
0.5)のミルベースを工業的に生成することにより当業者に知られている様式で作成した。次いでこのミルベースに他の界面活性剤およびBentone(登録商標)増粘剤を撹拌しながら加える。
【0037】
調合剤を54℃の貯蔵に置いた。この調合剤の初期乳化は満足できたが、その後5日かからずに調合剤は堅く詰まった沈降層を含む濃いゲルを形成した。
【0038】
この調合剤は、たとえ比較的高い量のBentone(登録商標) 増粘剤でも沈降を防ぐことができず、そしてこの生成物に満足な粘度を与えることができないことも示す。
【実施例2】
【0039】
(比較)
以下のOF調合剤を調製した:
【0040】
【表3】
【0041】
TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤はポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物であり、構造(1)についてnは34単位以下である。
【0042】
油分散剤TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤を90%の油相に溶解し、そしてMancozeb粉末をそれに高剪断混合を用いて加えてスラリーを形成し、次いでこれをビーズミルで粉砕して5ミクロン(μm)未満の平均粒子サイズ(d
0.5)のミルベースを工業的に生成する。次いで最終調合剤はさらにHYDROSEAL(登録商標) G250Hで所定容量とし、そして混合物を均一になるまで撹拌した。
【0043】
調合剤を54℃の貯蔵に置いた。この調合剤の乳化は満足できず、そして調合剤は粘度が低かった。7日後、調合剤は10%の離液および非再分散性の堅く詰まった沈降層を示した。
【0044】
この調合剤は、TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤が沈降を防ぐことができず、そしてこの生成物に満足な粘度を与えることができないことも示す。
【実施例3】
【0045】
以下のOD調合剤を調製した:
【0046】
【表4】
【0047】
DS10486はモノブロックブチルエーテル縮合物であり、n+mは構造(1)について平均40単位であり、そしてxは構造(2)について平均5単位である。
【0048】
油分散剤TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤およびDS10486を90%の油相に、均一な透明溶液が得られるまで55℃で溶解する。油混合物が周囲温度に冷却された後、mancozeb粉末を高剪断混合で加えてスラリーを形成し、次いでこれをビーズミルで粉砕して5ミクロン(μm)未満の平均粒子サイズ(d
0.5)のミルベースを工業的に生成する。次いで最終調合剤はさらにHYDROSEAL(登録商標) G250Hで所定容量とし、そして混合物を均一になるまで撹拌した。
【0049】
調合剤を54℃の貯蔵に置いた。この調合剤の乳化は満足できた。7日後、調合剤はわずか3.6%の離液を示し、粘度に変化はなく、そして堅く詰まった沈降層は観察されなかった。
【0050】
この調合剤は、TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤およびDS10486の組み合わせが沈降を防ぐことができ、そして満足な粘度を与えることを示し、そしてDS10486が乳化剤として機能できることも示す。
【実施例4】
【0051】
以下のOD調合剤を調製した:
【0052】
【表5】
【0053】
DS10486はジブロック縮合物であり、n+mは構造(1)について平均90単位であり、そしてxは構造(2)について平均2.6単位である。
【0054】
油分散剤TERSPERSE(登録商標) 2510分散剤およびDS10485を90%の油相に、透明な均一溶液が得られるまで55℃で溶解する。油混合物が周囲温度に冷却された後、Mancozeb粉末をオーバーヘッド混合で加えてスラリーを形成する
。このMancozebプレミックスをビーズミルに移し、そして5ミクロン(μm)未満の平均粒子サイズ(d
0.5)が得られるまで粉砕を続行する。TERMUL(登録商標) 3665乳化剤をこの粉砕したプレミックスに高剪断下で加えた。次いで最終調合剤はさらにHYDROSEAL(登録商標) G250Hで所定容量とし、そして混合物を均一になるまで撹拌した。
【0055】
調合剤を54℃および20℃の貯蔵に置き、そして14日後、堅く詰まった層またはフロキュレーションは観察されず、そして調合剤はわずかな離液(<1%)を示しただけだった。調合剤は水で希釈すると優れた乳化を示した。調合剤の残渣懸濁性はCIPAC MT 161(懸濁調合剤の懸濁性)を使用して測定し、そして99%であることが分かった。
【実施例5】
【0056】
実施例4に記載の方法のように以下のOD調合剤を調製した:
【0057】
【表6】
【0058】
調合剤を54℃および20℃の貯蔵に置き、そして14日後、堅く詰まった層またはフロキュレーションは観察されなかった。調合剤はわずかな離液(<1%)を示した。調合剤は平均的なブルームを示し、そして水で希釈すると優れた乳化を示した。調合剤の残渣懸濁性はCIPAC MT 161(懸濁調合剤の懸濁性)を使用して測定し、そして99%であることが分かった。
【実施例6】
【0059】
以下の調合剤は、ポリアルキレングリコール脂肪酸縮合物の構造化効果をさらに補助できる添加物として調製した:
【0060】
【表7】
【0061】
KRATON(登録商標) G−1701ポリマーは、ジブロックとしてスチレンおよびポリエチレン/ポリプロピレンのポリマーとして説明される。
【0062】
SOLVESSO(登録商標) 200はExxon−Mobilから入手可能な芳香族溶媒である。
【0063】
適切な容器に、必要量のSOLVESSO(登録商標) 200およびKRATON(登録商標) G−1701を加える。次いで生じた混合物は、ゼラチン状ではあるが流動性の均一な粘稠度が観察されるまで、穏やかに撹拌しながら加熱する。冷却すると粘度が上昇し、さらに使用可能なゲルを形成し、これを後に使用するまで貯蔵する。
【実施例7】
【0064】
以下の調合剤を調製した:
【0065】
【表8】
【0066】
DS10541はモノブロックのブチルエーテル縮合物であり、構造(1)についてn+mは平均120単位であり、そして構造(2)についてxは平均5単位である。
【0067】
適切なサイズのビーカーに、333.12g/LのHYDROSEAL(登録商標) G250Hを加え、続いて必要量のTERSPERSE(登録商標) 2510,DS10486,DS10541およびTERMUL(登録商標) 3665を加えた。次いで混合物を数分間、中温の加熱に供し(約30〜40℃)、次いで高剪断混合に暴露して、均一な前分散剤を形成した。一旦周囲温度に冷却したら、必要量のMancozeb(85重量/重量%、工業用)を分散し、続いてKRATON(登録商標)G−1701およびSOLVESSO(登録商標) 200を含んでなる実施例6からの構造化ブレンドを漸次添加した。次いで生じた混合物は、均一でクランプを含まない分散剤が達成されたと満足するまでさらに高剪断にかけた。
【0068】
調合剤は最初に、中程度の粘度の均一な黄色い分散物として現れる。54℃で14日間貯蔵した後、調合剤は粘度のわずかな上昇に加えて6.6%の離液を示したが、わずかな再分散性の柔らかい詰まりの存在があるだけで、流動性を維持した。
【0069】
有効成分としてDiuron 400g/Lを使用したOD調合剤
【実施例8】
【0070】
(比較)
以下の調合剤を調製した:
【0071】
【表9】
【0072】
適切なサイズのビーカーに、約150g/L EXXSOL(登録商標) D130を加え、続いて必要量のTERSPERSE(登録商標) 2510,TERIC(登録商標) 12A3NおよびTERMUL(登録商標) 3665を加えた。次いで混合物を数分間、中温の加熱にかけ(約30〜40℃)、次いで高剪断混合に暴露して均一な前分散物を形成した。一旦周囲温度に冷却したら、必要量の非粉砕Diuron(95重量/重量%、工業用)を分散させ、そして高剪断混合を数分間続行した。次いで調合剤を静置させ、さらに(必要に応じて)EXXSOL(登録商標) D130で必要容量とし、そして均一になるまで剪断に戻した。
【0073】
調合剤は最初に、比較的低粘度の均一な白色分散物として現れ、これは20ppmの環境用水に希釈した時に容易に乳化する。中でも注目されることは、数分以内に発生した離液である。54℃で14日間貯蔵した後、上記調合剤は浸透性ではあるが幾分硬いゲル様マトリックスの存在に関連して55%の離液を生じ、このマトリックスは撹拌しても流動化が難しいことが観察された。
【0074】
この調合剤は適切な流動改質剤を欠くことにより、相対的に最適な安定性には至らないことを示す。
【実施例9】
【0075】
以下の調合剤は実施例8に概略した方法に従い調製した:
【0076】
【表10】
【0077】
HCA00103/132は、構造(1)についてはn+mが平均45単位であり、そして構造(2)についてはxが平均5単位であるジブロック縮合物、および構造(1)についてはn+mが平均90単位であり、そして構造(2)についてはxが平均5単位であるジブロック縮合物の1:1ブレンドである。
【0078】
調合剤は最初に、比較的中から高粘度の均一な白色分散物として現れ、これは20ppmの環境用水に希釈すると容易に乳化して30分後には77%の残渣の懸濁性を生じる。54℃で7日間貯蔵した後、調合剤は粘性の上昇を示したが、均一性を維持し、そして流動性を保持した。中でも重要なことは顕著な離液の抑制であり、これは8.8%と測定された。室温で同期間の後、調合剤は流動性および均一性を維持し、離液はわずかであった。
【0079】
この調合剤は、別の脂肪酸−アルキレングリコールをKRATON(登録商標) G−1701と組み合わせて使用することの改善効果を示す。
【0080】
有効成分としてAtrazine 400g/Lを使用したOD調合剤
【実施例10】
【0081】
(比較)
以下の調合剤は、実施例3に概説した方法に従い調製した:
【0082】
【表11】
【0083】
調合剤は、最初は比較的中粘度の均一な白色分散物として現れ、これは20ppmの環境用水中で適切な乳化性を与える。54℃で14日間貯蔵した後、調合剤は48%の離液を示し、大部分が均一な容易に浸透するゲル様構造からなり、撹拌を介して貯蔵前の外観に類似する流動性の粘稠度へと可逆的であった。
【0084】
ポリアルキレングリコール−脂肪酸縮合物を含んでなるAtrazine 400g/L
【実施例11】
【0085】
以下の調合剤は、実施例3に概説した方法に従い調製した:
【0086】
【表12】
【0087】
調合剤は、最初は比較的中粘度の均一な白色分散物として現れ、これは20ppmの環境用水中で適切な乳化性を与える。54℃で7日間貯蔵した後、調合剤は14.0%の離液を示し、大部分が流動性で均一なままであり、そしていかなる詰まりまたは粘結性も無かった。室温で同期間の後、調合剤は流動性を維持し、わずかな離液が存在するだけだった。
【0088】
本明細書で用語「含んでなる(comprise)」、「含んでなる(comprises)」、「含んでなる(comprised)」または「含んでなる(comprising)」が使用される場合、それらは言及した特徴、整数、工程または指摘した成分の存在を特定すると解釈されるが、1もしくは複数の他の特徴、整数、工程、成分、またはそれらの群の存在または付加を排除しない。