特許第5969604号(P5969604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969604ピペラジン誘導体、それらの製造方法及びインスリン抵抗性の処置におけるそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969604
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ピペラジン誘導体、それらの製造方法及びインスリン抵抗性の処置におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/74 20060101AFI20160804BHJP
   C07D 241/20 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 277/42 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/088 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/096 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/155 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/192 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/205 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 295/26 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 307/33 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C07D213/74
   C07D241/20
   C07D277/42
   C07D295/088
   C07D295/096
   C07D295/155
   C07D295/192
   C07D295/205
   C07D295/26
   C07D307/32 QCSP
   C07D495/04 105Z
   A61P3/10
   A61K45/00
   A61K31/495
   A61K31/496
   A61K31/497
   A61K31/519
【請求項の数】16
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2014-516381(P2014-516381)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公表番号】特表2014-517058(P2014-517058A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2012062154
(87)【国際公開番号】WO2012175715
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】1155547
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513323623
【氏名又は名称】メタボリス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179039
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール モワネ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル バベレル
(72)【発明者】
【氏名】レミ ナザレ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール フェリエ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−521477(JP,A)
【文献】 特表2005−501012(JP,A)
【文献】 特表2006−517920(JP,A)
【文献】 特表2005−507923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
(式中、
1は、以下:
‐C(O)CR34CR56C(O)OH基;
‐C(OH)(H)CR34CR56C(O)OH基;又は
【化2】
の基、を表し;
nは、0又は1を表し;
mは、0〜8の範囲の整数を表し;
1は、‐C(O)‐、‐C(O)O‐、又は‐S(O)2‐基を表し;
2は、以下:
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の炭素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、8〜14員の多炭素環(polycarbocycle)基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、5、6又は7員の複素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、8〜14員の多複素環(polyheterocycle)基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、炭素環が5、6又は7員である、‐L2‐炭素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、多炭素環が8〜14員である、‐L2‐多炭素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、複素環が5、6又は7員である、‐L2‐複素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、多複素環が8〜14員である、‐L2‐多複素環基;又は
直鎖又は分岐の、C1〜C5の、炭化水素基
を表し;
2は、直鎖又は分岐の、C1〜C5の、アルキルを表し;
3、R4、R5及びR6は、同一又は異なる、以下:
水素原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5の、アルキル基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の、炭素環基
を表すか、又は
3とR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、5、6又は7員の炭素環を形成し;又は
5とR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、5、6又は7員の炭素環を形成し;
7は、同一又は異なる以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C5の、アルキル;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、炭素環が5、6又は7員である、‐L2‐炭素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、多炭素環が8〜14員である、‐L2‐多炭素環基;
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、複素環が5、6又は7員である、‐L2‐複素環基;又は
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、多複素環が8〜14員である、‐L2‐多複素環基
を表す)
の化合物、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマー、又はそれらの医薬的に許容される塩基若しくは酸付加塩。
【請求項2】
前記置換又は非置換の、炭素環が、6員の芳香族であり、前記置換又は非置換の、多炭素環が、9又は10員であり、前記置換又は非置換の、複素環が、5又は6員でありそして1、2又は3つのヘテロ原子を含み、前記置換又は非置換の、多複素環が、9又は10員であり、そして1、2又は3つのヘテロ原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記炭素環、多炭素環、複素環及び多複素環が、非置換、又は同一又は異なる、以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5炭化水素基;
1つ以上のハロゲン原子で置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5炭化水素基;
シアノ基(‐CN);
置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の炭素環基;又は
アルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル)
から選択される、1つ以上の置換基によって置換される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
2が、以下:
非置換の、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
1つ以上のハロゲン原子で置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基により置換される、アリール基;又は
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル)
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、6員の芳香族炭素環基;
非置換の、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
1つ以上のハロゲン原子によって置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基により置換される、アリール基;又は
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル)
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、同一又は異なる、1又は2つのヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香族複素環基;
非置換の、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
1つ以上のハロゲン原子によって置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル);又は
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基により置換される、アリール基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基よって置換される、同一又は異なる、1〜3つのヘテロ原子を含む、8〜14員の芳香族多複素環;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
炭素環が、非置換、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
1つ以上のハロゲン原子によって置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル);又は
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、アリール基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、5〜6員の芳香族であり、
Alkが、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基である、‐Alk‐炭素環基;
を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
2が、以下:
非置換の、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
直鎖又は分岐の、1つ以上のハロゲン原子よって置換される、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル);又は
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、アリール基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、フェニル;
非置換、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
直鎖又は分岐の、1つ以上のハロゲン原子よって置換される、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル);又は
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、アリール基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、以下:
【化3】
から選択される、単環式又は多環式のヘテロアリール;
炭素環が、非置換の、又は以下:
直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
1つ以上のハロゲン原子によって置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基;
シアノ基(‐CN);
アルキルが、直鎖又は分岐の、C1〜C5である、スルホニルアルキル基(‐S(O)2‐アルキル);又は
非置換の、又はハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、直鎖又は分岐のC1〜C5アルキル基から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、アリール基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、フェニルであり、
Alkが、直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基である、‐Alk‐炭素環基;又は
直鎖又は分岐の、C1〜C5アルキル基
を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
3、R4がそれぞれ、水素原子を表し、そしてR5及びR6は、同一又は異なる、以下:
水素原子;
直鎖又は分岐の、C1〜C5の、アルキル基;
飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の、炭素環;
を表すか;又は
3とR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、5、6又は7員の炭素環を形成し;又は
5とR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の5、6又は7員の炭素環を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
1が、C(O)CR34CR56C(O)OH基を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
nが0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
nが1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の調製方法(P1)であって、以下:
(a)以下の式(II):
【化4】
(式中、
1は、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表し、R3、R4、CR5及びR6は、請求項1又は6で定義された通りである)
の化合物の酸官能基(R1によってもたらされる)を保護し;
(b)ステップ(a)で得られた化合物と、式R9‐(CH22‐R8(式中、R8及びR9は、同一又は異なる、脱離基を表す)とを反応させ;
(c)ステップ()で得られた化合物と、以下の式(III):
【化5】
(式中、
1、n、m、R2及びR7は、請求項1〜9のいずれか1項で定義された通りである)
の化合物とを反応させ;
(d)ステップ(c)で得られた化合物を脱保護する
ことを含む、方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の調製方法(P2)であって、以下:
(i)以下の式(III):
【化6】
(式中、
1、n、m、R2及びR7は、請求項1〜9のいずれか1項で定義された通りである)
の化合物と、式R9‐(CH22‐R8(式中、R8及びR9は、請求項10で定義された通りである)とを反応させ;
(ii)以下の式(II):
【化7】
(式中、
1は、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表し、R3、R4、CR5及びR6は、請求項1〜6のいずれか1項で定義された通りである)
の化合物の酸官能基を保護し;
(iii)ステップ(i)で得られた化合物とステップ(ii)で得られた化合物とを反応させ;
(iv)ステップ(iii)で得られた化合物を脱保護する
ことを含む、方法。
【請求項12】
医薬としての請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
インスリン抵抗性症候群に関連する病状を処置するために使用する請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
2型糖尿病を処置するために使用する請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物を、有効成分として少なくとも1つ含む、医薬組成物。
【請求項16】
さらに他の抗糖尿病薬を少なくとも1つ含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、インスリン抵抗性症候群(又はシンドロームX)に関連する病状の処置、特に、2型糖尿病の処置において有用な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界において糖尿病の症例の顕著な増加が、数年間観察されている。現在のところ、全世界において、約2.5億人の糖尿病患者が存在し、そして2030年についての予想では、約4億人超の糖尿病患者が存在する。1型糖尿病(インスリン産生細胞の破壊)は、インスリンの注射によって主に処置される。より蔓延している2型糖尿病(糖尿病症例の90%)は、インスリンに関する組織の抵抗性によって特徴付けられ、そして特別な処置を必要とする。
【0003】
多くの化合物が、糖尿病、特に2型糖尿病を処置するために提案されてきた。ピペラジン誘導体は、特に、EP2781797から公知である。フェニル誘導体は、また、WO02/100341から公知である。
【0004】
現在のところ、約40%の症例において、処置は有効ではなく、そして空腹時の所望する血糖上昇閾値1.26g/Lを達成しない。従って、インスリン抵抗性症候群に関連する病状のより有効な処置をすることができる新規化合物を提案する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの目的は、従って、インスリン抵抗性症候群に関連する病状の処置において有効である化合物を提供することである。本発明の他の目的は、これらの化合物を調製するための方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、インスリン抵抗性症候群に関連する病状、特に2型糖尿病を処置する手段を提供することである。本発明の1つの目的は、特に、糖新生を阻害するための化合物を提供することである。さらに他の目的は、以下の本発明の説明を読めば明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、以下の式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、
nは、0又は1を表す)
の化合物、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマー、及びそれらの医薬的に許容される塩基又は酸付加塩に関する。
【0009】
本発明は、以下の式(Ia):
【0010】
【化2】
【0011】
の化合物に相当する、式(I)(式中、nは0である)の化合物、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマー、及びそれらの医薬的に許容される塩基又は酸付加塩に関する。
【0012】
本発明は、以下の式(Ib):
【0013】
【化3】
【0014】
の化合物に相当する、式(I)(式中、nは1である)の化合物、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマー、及びそれらの医薬的に許容される塩基又は酸付加塩に関する。
【0015】
本発明に従った式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、以下:
1は、以下:
‐C(O)CR34CR56C(O)OH基;
‐C(OH)(H)CR34CR56C(O)OH基;又は
【0016】
【化4】
【0017】
の基
を表し;
nは、0又は1を表し;
mは、0〜8の範囲の整数を表し;
1は、‐C(O)‐、‐C(O)O‐、又は‐S(O)2‐基を表し;
2は、以下:
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の炭素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、8〜14員、好ましくは9又は10員の多炭素環(polycarbocycle)基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、5、6又は7員の複素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、8〜14員、好ましくは9又は10員の多複素環(polyheterocycle)基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、炭素環が5、6又は7員である、‐L2‐炭素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、多炭素環が8〜14員、好ましくは9又は10員である、‐L2‐多炭素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、複素環が5、6又は7員である、‐L2‐複素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、多複素環が8〜14員、好ましくは9又は10員である、‐L2‐多複素環基;又は
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4の、炭化水素基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル
を表し;
2は、直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキルであり;
3、R4、R5及びR6は、同一又は異なる、以下:
‐水素原子;
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の、炭素環基
を表すか、又は
3とR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成し;又は
5とR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成し;
7は、同一又は異なる以下:
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル;例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert‐ブチル;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、炭素環が5、6又は7員である、‐L2‐炭素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、多炭素環が8〜14員、好ましくは9又は10員である、‐L2‐多炭素環基;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、複素環が5、6又は7員である、‐L2‐複素環基;又は
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、同一又は異なる、特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよい、多複素環が8〜14員、好ましくは9又は10員である、‐L2‐多複素環基
を表す。
【0018】
炭素環、多炭素環、複素環及び多複素環は、非置換、又は同一又は異なる、特に以下:
‐直鎖又は分岐の、C1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
‐ハロゲン原子;
‐直鎖又は分岐の、炭化水素基、好ましくは、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert‐ブチル;
‐直鎖又は分岐の、炭化水素基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子で置換される、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル;
‐シアノ(‐CN)基;又は
‐スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
‐飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、5、6又は7員の炭素環基、好ましくは、特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5、好ましくはC1〜C4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル
から選択される、1つ以上の置換基によって置換される。
【0019】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R1は、‐C(O)CR34CR56C(O)OH基を表す。
【0020】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R7は、同一又は異なる以下:
‐直鎖又は分岐の、C1〜C3の、アルキル;又は
‐‐L2‐炭素環基、L2が直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキルであり;そして炭素環が5又は6員の芳香族、例えば、任意により置換されてもよいフェニルである
を表す。
【0021】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、mは、0又は1、好ましくは、0を表す。
【0022】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R2は、以下:
‐非置換の、又は特に、以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換される、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
アリール基、好ましくは、特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、6員の炭素環基;
‐非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
アリール基、好ましくは、特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、特に窒素、硫黄及び酸素から選択される、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香族複素環基;
複素環は、好ましくは、非置換、又は特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル基によって置換され;
‐非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
アリール基、好ましくは、特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換された、窒素、硫黄及び酸素から選択される、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含む、8〜14員、好ましくは、9〜10員の芳香族多複素環;
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert‐ブチル;又は
‐炭素環が5又は6員の芳香族である、‐L2‐炭素環基、例えば、非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
アリール基、好ましくは、特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換のフェニル
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換された、フェニル;
2は、直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルである
を表す。
【0023】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R2は、以下:
‐非置換の、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換の、フェニル基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換された、フェニル;
好ましくは、置換基は、フェニルのオルト又はパラ位にあり;
‐非置換、又は特に、以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換の、フェニル基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換された、以下:
【0024】
【化5】
【0025】
から選択される単環式又は多環式のヘテロアリール;
好ましくは、単環式又は多環式のヘテロアリールは、以下:
【0026】
【化6】
【0027】
から選択され;
‐炭素環が、非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換の、フェニル基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、フェニル基である、‐L2‐炭素環基;
2は、直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4のアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル、例えば、‐CH2‐であり;又は
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル
を表す。
【0028】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R2は、以下:
‐非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、フェニル;
好ましくは、置換基は、フェニルのオルト又はパラ位にあり;
‐非置換、又は特に、以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
特に、ハロゲン原子、直鎖又は分岐のC1〜C6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;C1〜C5アルキル基、好ましくはC1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルから選択される、同一又は異なる、特に1つ以上の置換基によって置換された又は非置換の、フェニル基
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、以下:
【0029】
【化7】
【0030】
から選択される単環式又は多環式のヘテロアリール;
好ましくは、単環式又は多環式のヘテロアリールが、以下:
【0031】
【化8】
【0032】
から選択され;
‐炭素環が、非置換、又は特に以下:
1〜C6アルコキシ基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C3、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はtert‐ブトキシ;
ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素又は臭素;
1〜C5アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
1〜C5アルキル基、好ましくは、特に1つ以上のハロゲン原子によって置換された、直鎖又は分岐の、C1〜C4、例えば、トリフルオロメチル;
シアノ(‐CN)基;又は
スルホニルアルキル(‐S(O)2‐アルキル)基、ここでアルキルが直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチルであり、例えば、スルホニルメタン(‐S(O)2CH3);
から選択される、同一又は異なる、1つ以上の置換基によって置換される、フェニル基である、‐L2‐炭素環基;
2は、直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4のアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル、例えば、‐CH2‐であり;又は
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくは、C1〜C4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル
を表す。
【0033】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なる、以下:
‐水素原子;
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の、炭素環基、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル
を表すか、又は
3とR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成し;又は
5とR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成する。
【0034】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R3、R4はそれぞれ、水素原子を表し、そしてR5及びR6は、同一又は異なる、以下:
‐水素原子;
‐直鎖又は分岐の、C1〜C5、好ましくはC1〜C4の、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル又はtert‐ブチル;
‐置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の、炭素環基、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル
を表すか、又は
3とR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成し;又は
5とR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の、好ましくは飽和の、5、6又は7員の炭素環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成する。
【0035】
好ましくは、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、水素原子を表す。
【0036】
本発明に従った多炭素環及びヘテロ多炭素環(polyheterocarbocycle)は、特に2つの縮合環を含む、炭素環及び多環式のヘテロ炭素環である。
【0037】
好ましくは、記載がない限り、本発明に従った式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、多炭素環は、9又は10員を含み、そして置換又は非置換であり、好ましくは、10員を含み、そして置換又は非置換の芳香族である。
【0038】
好ましくは、そして記載がない限り、本発明に従った式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、ヘテロ多炭素環は、9又は10員を含み、そして特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよく、それらは、置換され又は非置換であり、飽和、部分的に不飽和又は芳香族であり、好ましくは芳香族である。ヘテロ多炭素環は、特に以下:
【0039】
【化9】
【0040】
を表す。
【0041】
好ましくは、そして記載がない限り、本発明に従った式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、炭素環は、5又は6員を含み、置換又は非置換の、飽和、部分的に不飽和又は芳香族であり、そして好ましくは、6員を含み、そして芳香族であり、例えば、フェニルである。
【0042】
好ましくは、そして記載がない限り、本発明に従った式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物において、ヘテロ炭素環は、5又は6員を含み、そして特に、窒素、酸素又は硫黄から選択される、同一又は異なる、1、2又は3つのヘテロ原子を含んでもよく、それらは、置換され又は非置換であり、飽和、部分的に不飽和又は芳香族であり、好ましくは芳香族である。それらは、例えば以下:
【0043】
【化10】
【0044】
から選択される。
【0045】
本発明は、また、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物の溶媒和物に関する。式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は、カルボン酸官能を有し、そして塩化されてもよい。その後、それらを、有機又は無機塩基との付加塩の形態にしてもよい。塩基との付加塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩などの医薬的に許容される塩であり、塩基として対応するアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物を使用して得られる。医薬的に許容される塩基との付加塩の他の種類として、アミン、特に、グルカミン、N‐メチルグルカミン、N,N‐ジメチルグルカミン、エタノールアミン、モルホリン、N‐メチルモルホリン又はリシンで作られた塩が挙げられる。
【0046】
式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は、また、鉱酸又は有機酸、好ましくは、塩酸、リン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、硫酸、アスコルビン酸、酒石酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ラクトビオン酸、グルコン酸、グルカル酸、コハク酸、スルホン酸又はヒドロキシプロパンスルホン酸などの医薬的に許容される酸で塩化されてもよい。
【0047】
本発明は、また、以下のステップ:
(a)以下の式(II):
【0048】
【化11】
【0049】
(式中、
1は、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表す)
の化合物の酸官能(R1によってもたらされる)を保護し;
(b)ステップ(a)で得られた化合物と式R9‐(CH22‐R8(式中、R8及びR9は、同一又は異なる、脱離基を表し、好ましくは、R9は、R8よりも優れた脱離基である)とを反応させ;
(c)ステップ(c)で得られた化合物と以下の式(III):
【0050】
【化12】
【0051】
(式中、
1、n、m、R2及びR7は、式(I)について定義した通りである)
の化合物とを反応させ、
(d)ステップ(c)で得られた化合物を脱保護する
ことを含む、式(I)の化合物を調製するための第一方法(P1)に関する。
【0052】
出発物質は市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0053】
1が、‐(OH)(H)CR34CR56C(O)OHを表す化合物は、R1が、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の還元によって得られる。この還元は、例えば、NaBH4の存在下、エタノールにおいて行われてもよい。この還元は、例えば、ステップ(b)と(c)の間に生じてもよい。
【0054】
1が、以下:
【0055】
【化13】
【0056】
を表す化合物は、以下:
‐R1が、‐C(OH)(H)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の分離;この分離は、例えば、ステップ(c)の前に行われ;又は
‐R1が、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の分離;この分離は、例えば、ステップ(d)の後に行われる
によって、得られてもよい。
【0057】
これらの分離は、当業者に公知の任意の方法によって行われてもよく、そして例えば、CF3CO2Hの存在下、ジクロロメタンにおいて行われてもよい。
【0058】
酸官能の保護に相当するステップ(a)は、保護がアルコール官能について選択的な酸官能である場合、当業者に公知の任意の方法で実施されてもよい。カルボン酸官能を保護する基の中で、Protective Groups in Organic Synthesis,Green T.W.及びWuts P.G.M,ed.John Wiley及びSons,1991及びProtective Groups,Kocienski P.J.,1994,Georg Thieme Verlagに通常記載されたものが適切である。例として、エステル形態におけるカルボン酸官能の保護(C1〜C6アルキル、例えばメチル)が想定することができる。例えば、ステップ(a)は、酸、特に硫酸の存在下、式(I)の化合物のメタノールとの反応によって実施することができる。
【0059】
ステップ(b)は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及びジクロロメタン又はジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素中で、適切な温度、特に15℃〜80℃、好ましくは、15℃〜35℃で、好ましくは実施される。好ましい溶媒は、特に、アセトニトリルである。有利なことに、本ステップは、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で実施する。当業者は、より安定した対応する陰イオン種であれば、脱離基がいっそう不安定であることを知っている。従って、R9‐がR8‐よりも安定である事実に応じ、R9はR8よりも優れた脱離基である。脱離基R8及びR9は、同一又は異なって、ハロゲン原子、好ましくは塩素及び臭素;(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基(アリール基は、任意により、1つ以上のC1〜C6アルキル基で置換される);(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基、(アルキル基は、任意により、1つ以上のハロゲン原子によって置換される)から選択される。好ましくは、R8は塩素を表し、R9は臭素を表す。
【0060】
ステップ(c)は、操作条件が当業者によって容易に決定することができる求核置換反応である。有利なことに、反応は、塩基の存在下、非プロトン性極性溶媒中で実施される。適切な溶媒の例は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、及びハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン又はジクロロエタンが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸カリウムが、塩基として挙げられる。有利なことに、ステップ(c)の反応は、50℃〜120℃の温度、例えば、溶媒の還流温度で、アルカリ金属ヨウ化物、例えば、ヨウ化カリウムの存在下、実施される。アルカリヨウ化物の量は、変化してもよく、基本的に試薬の性質、溶媒の性質及び反応温度に依拠する。反応は、一般的に化学量論的である。それにもかかわらず、いずれかの試薬の微量に過剰な量でも働くことができる。
【0061】
脱保護ステップ(d)は、当業者に公知の任意の脱保護でもよく、酸官能を取り戻すためのステップ(a)で使用される保護と適合してもよい。例えば、塩基性で、酸又は触媒(Pd/C)でケン化してもよい。
【0062】
式(Ia)の化合物を調製するために、以下の式(IIIa):
【0063】
【化14】
【0064】
(式中、
m、R2及びR7は、式(Ia)について定義された通りである)
の化合物で、同じ方法(P1)を適用する。
【0065】
出発物質は、市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0066】
式(Ib)の化合物を調製するために、以下の式(IIIb)
【0067】
【化15】
【0068】
(式中、
1、n、m、R2及びR7は、式(Ib)について定義された通りである)
の化合物で、同じ方法(P1)を適用する。
【0069】
出発物質は、市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0070】
本発明は、また、以下のステップ:
(i)式(III)の化合物と式R9‐(CH22‐R8(式中、R8及びR9は、方法(P1)で定義された通りである)とを反応させ;
(ii)式(II)の化合物の酸官能を保護し;
(iii)ステップ(i)で得た化合物とステップ(ii)で得た化合物とを反応させ;
(iv)ステップ(iii)で得た化合物を脱保護する
ことを含む、式(I)の化合物を調製するための第二方法(P2)に関する。
【0071】
出発物質は、市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0072】
1が、‐(OH)(H)CR34CR56C(O)OHを表す化合物は、R1が、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の還元によって得られる。この還元は、例えば、NaBH4の存在下、エタノールにおいて行われてもよい。この還元は、例えば、ステップ(ii)と(iii)の間に生じてもよい。
【0073】
1が、以下:
【0074】
【化16】
【0075】
を表す化合物は、以下:
‐R1が、‐C(OH)(H)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の分離;この分離は、例えば、ステップ(iii)の前に行われ;又は
‐R1が、‐C(O)CR34CR56C(O)OHを表す化合物の分離;この分離は、例えば、ステップ(iV)の後に行われる
によって、得られてもよい。
【0076】
これらの分離は、当業者に公知の任意の方法によって行われてもよく、そして例えば、CF3CO2Hの存在下、ジクロロメタンにおいて行われてもよい。
【0077】
1が、‐C(OH)(H)CR34CR56C(O)OHを表す形態とR1が、以下:
【0078】
【化17】
【0079】
を表す形態は、一般的に平衡で存在する。
【0080】
ステップ(i)は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及びジクロロメタン又はジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素中で、適切な温度、特に15℃〜80℃、好ましくは、15℃〜35℃で、好ましくは実施される。好ましい溶媒は、特に、アセトニトリルである。有利なことに、本ステップは、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で実施する。
【0081】
酸官能の保護に相当するステップ(ii)は、保護がアルコール官能について選択的な酸官能である場合、当業者に公知の任意の方法で実施されてもよい。カルボン酸官能を保護する基の中で、Protective Groups in Organic Synthesis,Green T.W.及びWuts P.G.M,ed.John Wiley及びSons,1991及びProtective Groups,Kocienski P.J.,1994,Georg Thieme Verlagに通常記載されたものが適切である。例として、エステル形態におけるカルボン酸官能の保護(C1〜C6アルキル、例えばメチル)が想定することができる。例えば、ステップ(a)は、酸、特に硫酸の存在下、式(I)の化合物のメタノールとの反応によって実施することができる。
【0082】
ステップ(iii)は、操作条件が当業者によって容易に決定することができる求核置換反応である。有利なことに、反応は、塩基の存在下、非プロトン性極性溶媒中で実施される。適切な溶媒の例は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、及びハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン又はジクロロエタンが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸カリウムが、塩基として挙げられる。有利なことに、ステップ(c)の反応は、50℃〜120℃の温度、例えば、溶媒の還流温度で、アルカリ金属ヨウ化物、例えば、ヨウ化カリウムの存在下、実施される。アルカリヨウ化物の量は、変化してもよく、基本的に試薬の性質、溶媒の性質及び反応温度に依拠する。反応は、一般的に化学量論的である。それにもかかわらず、いずれかの試薬の微量に過剰な量でも働くことができる。
【0083】
脱保護ステップ(iv)は、当業者に公知の任意の脱保護でもよく、酸官能を取り戻すためのステップ(ii)で使用される保護と適合してもよい。例えば、塩基性で、酸又は触媒(Pd/C)でケン化してもよい。
【0084】
式(Ia)の化合物を調製するために、以下の式(IIIa):
【0085】
【化18】
【0086】
(式中、
m、R2及びR7は、式(Ia)について定義された通りである)
の化合物で、同じ方法(P2)を適用する。
【0087】
出発物質は、市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0088】
式(Ib)の化合物を調製するために、以下の式(IIIb):
【0089】
【化19】
【0090】
(式中、
1、n、m、R2及びR7は、式(Ib)について定義された通りである)
の化合物で、同じ方法(P2)を適用する。
【0091】
出発物質は、市販されているか、又は有機化学の一般的な知識に基づいて当業者によって容易に調製することができる。
【0092】
本発明の化合物は、医薬として有用である。それらは、特に、インスリン抵抗性症候群(又はシンドロームX)に関連する病状、特に、2型糖尿病の処置のために有用である。
【0093】
本発明は、また、他の処置、特に、例えば、インスリン、スルホニルウレア(例えば、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリメピリド(glimepiride)、グリピジド(glipizide))、チアゾリジン‐ジオン、グリニド(glinide)、DPP‐IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼの阻害剤)、GLP‐1(グルカゴン様ペプチド‐1)又はそのアナログから選択される、少なくとも1つの他の抗糖尿病薬と組み合わせた、本発明の化合物の使用に関する。
【0094】
有利なことに、本発明の化合物は、糖新生を阻害する強い活性を有する。有利なことに、本発明の化合物は、グルコース消費活性を示す。
【0095】
本発明は、また、医薬を調製するための本発明に従った化合物の使用に関する。本発明は、また、インスリン抵抗性症候群(又はシンドロームX)に関連する病状、特に、2型糖尿病を処置するための医薬を調製するための本発明の化合物の使用に関する。
【0096】
本発明は、また、有効成分のために、本発明に従った少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物に関する。これらの組成物は、また、医薬的に許容されるビヒクル及び/又は賦形剤を含んでもよい。
【0097】
医薬組成物は、当業者に公知の任意の形態、特に、非経口、経口、経腸、経粘膜、又は経皮方法、好ましくは経口方法によって投与するために意図された形態であってもよい。
【0098】
本発明に従った組成物は、注射用溶液又は懸濁液又は複数回投与バイアルの形態、裸又は被覆錠剤、丸薬、カプセル、粉末、坐薬又は腸溶カプセル、極性溶媒における、経皮的な使用のための、又は経粘膜的使用のための、溶液又は懸濁液の形態が示される。
【0099】
そのような投与に好適な賦形剤は、セルロース又は微結晶セルロースの誘導体、アルカリ土類炭酸塩、リン酸マグネシウム、デンプン、加工デンプン又は固形形態のラクトースである。
【0100】
直腸使用のために、ココアバター又はステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい賦形剤である。非経口使用のために、水、水溶液、生理食塩水及び等張液が、最も都合良く使用されるビヒクルである。投与量は、治療指標及び投与方法、並びに対象の年齢及び体重に従って、広範に変化してもよい。
【0101】
本発明はまた、有効成分として本発明の化合物の少なくとも1つと、例えば、インスリン、スルホニルウレア(例えば、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド)、チアゾリジン‐ジオン、グリニド、DPP‐IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼの阻害剤)、GLP‐1(グルカゴン様ペプチド‐1)又はそれらのアナログから選択される、他の抗糖尿病薬の少なくとも1つとの組み合わせを含む組成物に関する。これらの組成物はまた、医薬的に許容されるビヒクル又は賦形剤を含む。
【0102】
本発明はまた、医薬的に許容されるビヒクル又は賦形剤を有する、少なくとも1つの本発明の化合物の十分な量を、それを必要とする対象に投与することを含む、インスリン抵抗性症候群(又はシンドロームX)に関連する病状、特に2型糖尿病を処置するための方法に関する。
【0103】
上記の処置を必要とする患者の識別は、当業者によって定義される。獣医又は医師は、臨床検査、身体検査、生物学的試験又は診断及び家族歴及び/又は病歴によって、そのような処置を必要とする対象を識別してもよい。
【0104】
十分な量とは、病状の予防又は処置に有効である本発明の化合物の量を意味する。十分な量は、従来技術を用いて及び同様の状況で得られた結果を観察することにより、当業者によって決定されてもよい。十分な量を決定するために、様々な要素が、当業者によって考慮される必要があり、特にそして限定されないが;対象、サイズ、年齢、一般的な健康状態、関連する疾患及びそれらの重症度;対象の応答、化合物の種類、投与方法、投与される組成物の生物学的利用能、投与量、他の医薬の併用などが挙げられる。好ましくは、5〜500mg/日の本発明の化合物が、1回以上の投与で、好ましくは1回の投与で、患者に投与される。
【0105】
本発明はまた、医薬的に許容されるビヒクル又は賦形剤及び例えば、インスリン、スルホニルウレア(例えば、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド)、チアゾリジン‐ジオン、グリニド、DPP‐IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼの阻害剤)、GLP‐1(グルカゴン様ペプチド‐1)又はそれらのアナログから選択される少なくとも1つの他の抗糖尿病薬を有する、本発明の少なくとも1つの化合物の十分な量を、それを必要とする患者に投与することを含む、インスリン抵抗性症候群(又はシンドロームX)に関連する病状、特に2型糖尿病を処置するための方法に関する。本発明を、非限定的な実施例を用いて以下に記載する。
【実施例】
【0106】
実施例1.R1がC(O)CR34CR56C(O)OHを表す化合部物を調製するための一般略図
【0107】
【化20】
【0108】
ステップ1は、酢酸媒体において、HBrの反応により行うことができる脱メチル化ステップである。ステップ2は、硫酸の存在下でメタノールとの反応により行うことができるエステル化反応である。ステップ3及び4は、求核置換ステップである。ステップ5は、特に、酸加水分解又はケン化により行うことができる。
【0109】
ステップ1:脱メチル化
【0110】
【化21】
【0111】
装置:マグネチックアジテーター及び冷媒‐オイルバスを備えた1Lフラスコ
【0112】
4‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐オキソブタノン(40g)を、酢酸(360ml)及び48%臭化水素酸水溶液(120ml)中に入れる。反応媒体を、130℃で一晩加熱する。
【0113】
反応の進行を、TLC(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:1/1)によって監視する。これらの条件下で一晩撹拌後、より極性の高い生成物を選択して、開始エーテル()の消失を観察する。
【0114】
反応媒体を、減圧下で乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を水で溶解し、そして水相を、酢酸エチルを使用して3回抽出する。一旦一緒に集め、有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮して、固体を得る(38g)。粗反応生成物の1H NMR分析は、約6%の開始エステルとの混合物中に、予期されたフェノールの存在を明らかにする。定量的収率。
【0115】
ステップ2:エステル化
【0116】
【化22】
【0117】
装置:マグネチックアジテーター及び冷媒を備え、そして窒素フラッシング‐オイルバス下に設置した、1Lの三口フラスコ
【0118】
4‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐4‐オキソブタン酸()(48g)を、硫酸(48ml)中にゆっくりと注ぐ前に、メタノール(480ml)中に入れる。得られた溶液を70℃で一晩加熱する。
【0119】
反応の進行を、TLC(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:1/1)によって監視する。これらの条件下、一晩の撹拌後、より極性の低い生成物を選択して、開始酸の消失を確認する。
【0120】
反応媒体を減圧下で乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を水(500ml)及びジクロロメタン(500ml)で溶解する。不均一な媒体を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(pH7〜8)で、注意深く中和する。水相を、その後、酢酸エチルで3回抽出する。一旦一緒に集め、有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮して、固体を得る(49.6g)。粗反応媒体の1H NMR分析は、3%未満のメチル4‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐オキソブタノエート化合物との混合物中に、予期されたエステルの存在を明らかにする。収率は96%である。
【0121】
ステップ3:求核置換
【0122】
【化23】
【0123】
装置:マグネチックアジテーター及び冷媒を備え、そして窒素フラッシング‐オイルバス下に設置した、1Lの三口フラスコ
【0124】
メチル4‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐4‐オキソブタノエート(49.6g)を、アセトニトリル(400ml)中に入れる。炭酸カリウム(98.77g)を、溶液中に添加する。反応媒体を、1‐ブロモ‐2‐クロロメタン(102.5g)溶液をアセトニトリル(170ml)中に注ぐ前に、50℃に加熱する。反応媒体を、80℃で一晩加熱する。
【0125】
反応の進行を、TLC(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:7/3)によって監視する。これらの条件下、24時間撹拌後、より極性の低い生成物を選択して、化合物の消失を確認する。
【0126】
周囲温度に戻した後、反応媒体を濾過して、炭酸カリウムを除去する。炭酸カリウムをアセトニトリルで洗浄し、そしてその後、濾液を、減圧下で乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を水(500ml)で溶解し、そして水相を、酢酸エチル(600ml)を使用して2回抽出する。有機相を一緒に集め、1Mの水酸化ナトリウム溶液(400ml)で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮してベージュ色のオイルを得る(61.44g)。粗反応生成物の1H NMR分析は、予期された塩素化誘導体の存在を明らかにする。収率は95%である。
【0127】
ステップ4:求核置換
【0128】
【化24】
【0129】
装置:加熱システム及びオービタルアジテーターを備えた、基部装置、9ml反応槽‐マニホールド‐Multivac蒸発システム‐Allexis抽出装置
【0130】
窒素フラッシング下、塩素化誘導体(500mg、1.85mmol、1当量)を、様々な反応槽中に分配し、そしてその後、R‐ピペラジン(1.85mmol、1当量)、予め乾燥させた炭酸カリウム(766mg、5.54mmol、3当量)、及びヨウ化カリウム(307mg、1.85mmol、1当量)の存在下で、アセトニトリル中に入れる。窒素フラッシングを実施した後、反応槽を閉じ、そして80℃に加熱する。
【0131】
72時間後、加熱を停止する。周囲温度に戻した後、様々な反応媒体を、マニホールドに接続したSupelcoカートリッジ上で並行して濾過して、無機塩を除去する。アセトニトリルで洗浄後、濾液を、Multivacを使用して、減圧下で、乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を水(20ml)に溶解し、そして酢酸エチル(10ml)を使用して、Allexis装置上で並行して、3回抽出する。一緒に集めた有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そしてその後、Multivacを使用して、減圧下で濃縮する。様々な粗反応物質を、ジクロロメタン/メタノール勾配を使用して、クロマトグラフィー(Redisep 40g充填カラム、Biotage SP4システム)により精製する。
【0132】
ステップ5:加水分解
【0133】
【化25】
【0134】
装置:Syncore‐加熱システム‐オービタルアジテーター‐50ml反応槽
【0135】
様々なエステルを、塩酸中に入れ、そしてその後、溶液を90℃で2時間加熱する。それぞれの反応槽の反応媒体のTLC(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール、98/2 UV暴露)による監視は、より極性の高い生成物を選択して、エステルの消失を確認する。
【0136】
反応媒体を、減圧下、Multivacによって乾燥するまで濃縮する。得られた固体を、アセトン(10V)で粉砕し、そしてその後、焼結材料上で濾過し、真空下で乾燥させる。
【0137】
ステップ5:ケン化
【0138】
【化26】
【0139】
装置:反応槽を有し、マグネチックアジテーターを備えたRadley
【0140】
様々なエステルを、1Mの炭酸ナトリウム溶液(8V)の存在下、メタノール(4V)に入れる。これらの条件下で一晩撹拌後、TLC(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール、98/2 UV暴露)による監視は、より極性の高い生成物を選択して、エステルの消失を確認する。
【0141】
メタノールの濃縮後、様々な水溶液を、酢酸エチル(5ml)を使用して抽出し、そしてその後、3Mの塩酸溶液を使用してpH1まで酸性化する。酸を、次に、Porapak Rxn resin上で、様々な水溶液の溶出を産生する脱塩によって分離する。
【0142】
脱塩プロトコールは、以下:
‐45mlのメタノールによる樹脂の前処理
‐水相の蓄積(4〜5ml)
‐100mlのメタノールでの洗浄
‐100mlのメタノール中の2Mのアンモニア溶液での溶出
‐減圧下で乾燥するまで濃縮
である。脱塩後得られた固体を、酢酸エチルで粉砕するか、又はアセトニトリル中で再結晶化する。
【0143】
実施例2:得られた本発明に従った化合物
以下の化合物を、実施例1(ステップ5 酸加水分解)の一般略図の実施により得た
【0144】
【化27】
【0145】
【化28】
【0146】
【化29】
【0147】
【化30】
【0148】
【化31】
【0149】
【化32】
【0150】
【化33】
【0151】
【化34】
【0152】
【化35】
【0153】
【化36】
【0154】
【化37】
【0155】
【化38】
【0156】
【化39】
【0157】
【化40】
【0158】
【化41】
【0159】
【化42】
【0160】
【化43】
【0161】
【化44】
【0162】
【化45】
【0163】
【化46】
【0164】
【化47】
【0165】
【化48】
【0166】
【化49】
【0167】
実施例3:R1が、‐C(OH)HCR34CR56C(O)OH、又は以下:
【0168】
【化50】
【0169】
を表す化合物を調製するための一般略図
【0170】
【化51】
【0171】
【化52】
【0172】
図A及びBのステップ1〜3は、実施例1の略図のステップ1〜3に相当する。略図Bのステップ4及び5は、実施例1の略図のステップ4及び5に相当する。
【0173】
図Aのステップ4:4‐オキソ官能基の還元
【0174】
【化53】
【0175】
装置:マグネチックアジテーターを備え、そして窒素フラッシング下に設置した、100mlの三口フラスコ
【0176】
塩素化誘導体(5g、18.5mmol、1当量)を、無水エタノール(50ml)の懸濁液に入れる。テトラ水素化ホウ素ナトリウム(2.8g、74mmol、4当量)を、ブラインバスを使用して、予め0℃まで冷却した懸濁液に、15分間にわたって部分的に添加する。添加終了時、ブラインバスを除去し、そして反応媒体を、周囲温度で撹拌下、放置する。
【0177】
反応の進行を、TLC(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:1/1)によって監視する。撹拌1時間15分後、2つのより極性の高い生成物の形成を選択して、開始ケトン()の消失を観察する。
【0178】
エタノールを、減圧下、蒸発により除去する。得られた残渣を、水/氷混合物によって溶解し、そして3Nの塩酸溶液のゆっくりとした添加により、pH2で酸性化する。次に、水相を、酢酸エチルを使用して3回抽出する。一旦一緒に集めて、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮して黄色のオイルを得る(4.5g)。
【0179】
粗反応物質の1H NMR分析は、ラクトン型との混合物中に、予期されたアルコールの存在を明らかにする。粗反応物質を、精製ステップなしで環化する。
【0180】
図Aのステップ5:ラクトン化
【0181】
【化54】
【0182】
装置:マグネチックアジテーターを備え、そして窒素フラッシング下に設置した、100mlの三口フラスコ
【0183】
アルコール/ラクトン混合物(4.5g)を、トリフルオロ酢酸(0.2ml)の存在下、ジクロロメタン(30ml)に入れる。溶液を、還流温度で6時間加熱する。反応の進行を、TLC(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:1/1)によって監視する。反応は完了していないが、これ以上変化しない。
【0184】
加熱を停止する。反応媒体を周囲温度に戻した後、ジクロロメタン相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で連続して洗浄し、そしてその後、水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮して白色ワックス(3.8g)を得る。
【0185】
ワックス状の残渣を、クロマトグラフィー(充填カラム)により精製する(80g)。分離した化合物を、ヘプタン/酢酸エチル勾配を使用して溶出する。所望の化合物を、白色固体(1.3g)の形態で分離する。収率は、2ステップ全体で、29%である。
【0186】
図Aのステップ6:求核置換反応
【0187】
【化55】
【0188】
装置:マグネチックアジテーターを備えたシュレンク管
【0189】
窒素フラッシュ下、塩素化誘導体(1当量)を、R‐ピペラジン(10V)、予め乾燥させた炭酸カリウム(3当量)、及びヨウ化カリウム(1当量)の存在下で、アセトニトリル(4ml)中に入れる。窒素フラッシングを実施した後、反応槽を閉じ、そして80℃で72時間加熱する。
【0190】
72時間後、加熱を停止する。周囲温度に戻した後、反応媒体を、Supelcoカートリッジ上で濾過して、無機塩を除去する。アセトニトリルで洗浄後、濾液を、減圧下で、乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を、酢酸エチルに溶解し、そして水で2回洗浄する。有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そしてその後、減圧下で濃縮する。粗反応物質を、ジクロロメタン/メタノール勾配を使用して、クロマトグラフィー(Redisep 40g充填カラム、Biotage SP4システム)により精製する。
【0191】
実施例4:得られた本発明に従った式(I)の化合物
以下の化合物を、実施例3の略図Aに従った方法を使用して得た。
【0192】
【化56】
【0193】
【化57】
【0194】
ステップ6を、以下:
【0195】
【化58】
【0196】
のように行って、以下の化合物を、実施例3の略図Bに従った方法を使用して得た。
【0197】
装置:マグネチックアジテーターを備え、そして窒素フラッシング下に設置した、25mlの三口フラスコ
【0198】
化合物9(0.25g、0.528mmol、1当量)を、水(7.5ml)に懸濁し、そしてその後、2Nの水酸化ナトリウム(1.5ml)を添加することによって溶解する。テトラ水素化ホウ素ナトリウム(24mg、0.324mmol、1.2当量)を溶液に添加する。反応媒体を、室温で一晩、撹拌下で放置する。反応の進行を、TLC(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール:95/5)によって監視する。
【0199】
反応媒体をジクロロメタンで洗浄する。水相を、酸塩化物のモル溶液を使用して、pH1に酸性化し、そしてその後、ジクロロメタンで2回抽出する。生成物は部分的に水溶性であり、酸性水相を、減圧下で乾燥するまで濃縮する。塩を最小量の水に溶解し、そして生成物を、ジクロロメタンで2回抽出する。様々なジクロロメタン相を一緒に集め、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、白色のメレンゲ状物(0.2g)を得る。粗反応物質を、ジクロロメタン/メタノール勾配を使用して、クロマトグラフィー(Redisep 15g充填カラム、Biotage SP4システム)により精製する。収率は60%である。
【0200】
【化59】
【0201】
実施例5:db/dbマウスにおける抗糖尿病活性試験
2型糖尿病モデル動物、db/dbマウスにおいて、式(I)の化合物の抗糖尿病活性を、経口的に試験した。8週齢の糖尿病マウスを使用し、それらはその後、非常に高い血糖値を示す。動物を、受け入れ後から実験日まで、少なくとも1週間、21℃〜22℃に制御され、そして昼(午前7時〜午後7時)及び夜(午後7時〜午前7時)の固定されたサイクルに供される動物室で飼育する。それらの餌は、維持食で構成され、水と餌を自由摂取させた。
【0202】
マウスを、実験日の朝に、水及びメチルセルロースの混合物中の試験製品(経口あたり200mg/kg)の懸濁液、又はビヒクル(水及びメチルセルロースの混合物)で、経口的に処理する。製品の投与直前、製品の投与1及び2時間後、血糖値を測定するために、血液サンプル(血液1滴)を、尾を小さく切開して採取する。
【0203】
この血糖値を、グルコメーター(Lifescan OneTouch Ultra,LifeScan,Johnson‐Johnson社)及びOneTouchUltra血糖値測定ストリップを使用して測定する。表1に得られた結果を示す。これらの結果は、最初の血糖値の降下(%)を示す。比較のために、ビヒクルのみ及びメトホルミンを投与した対照動物に関して、血糖値の降下を報告する。
【0204】
【表1】
【0205】
これらの結果は、糖尿病動物における血糖値の低下を引き起こす式(I)の化合物の有効性を示す。