(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の課題は、高い感度を有し、小さなオフセット電圧を備えたホールセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、独立請求項に記載の発明により解決される。変形例および実施例は、従属請求項に示されている。
【0010】
たとえば、ホールセンサには、好ましくは同様に実装されたホールセンサ素子が半導体基板に3つ以上設けられ、それぞれのホールセンサ素子の内部接続端子は互いに接続され、またホールセンサの外部の接続端子と接続されている。しかしながら、ホールセンサ素子の全ての内部接続端子が外側に、すなわちホールセンサの外部接続端子に導かれているわけではなく、むしろある場合は、この内部接続端子は部分的に個々のホールセンサ素子間でのみ接続されている。外部接続端子の少なくとも3つを介して、一般的なホールセンサ同様、このホールセンサは接続され、駆動される。したがってホールセンサ素子の数と配置は、外部に対しては考慮する必要が無いようにできる。
【0011】
これらの内部接続端子は、素子接続端子(Elementanschlusse)と呼ぶことができ、これに対し外部接続端子はセンサ接続端子(Sensoranschlusse)と呼ぶことができる。
【0012】
たとえばこれらのセンサ接続端子の2つは、電源電流のような、ホールセンサの電源信号の導入に用いられ、これに対し少なくとも1つの他のセンサ接続端子は、測定電圧のような、測定信号の取得に用いられる。特にホールセンサ素子の素子接続端子は、通常は外部から直接接続されるものではなく、それぞれのセンサ接続端子を介してのみ接続される。換言すれば、これらの素子接続端子は、これらを介して電源電流のような電源信号をホールセンサに導入するものではない。ホールセンサ素子の個々の素子接続端子が外部への接続端子に導かれている場合には、これらの接続端子は単にセンサ接続端子として理解され、ホールセンサが動作中では、とりわけ測定動作でのある動作時間では、これらの素子接続端子はホールセンサの接続に必要でありまた使用されるものである。しかしながら、外部に導出された素子接続端子が内部での目的、たとえばホールセンサでの測定に用いられる場合、このような接続端子は、ホールセンサの追加の補助接続端子として見做される。
【0013】
これらのセンサ接続端子は、互いに接続されたホールセンサ素子の複数個がこれらのセンサ接続端子を介して個別のホールセンサのように接続可能となるような機能を有する。以上のようにセンサ接続端子は、適宜外部に導出される素子接続端子と異なっている。とりわけこれらのセンサ接続端子は、ホールセンサの動作における接続のために設けられている。
【0014】
複数のホールセンサ素子を設けることによって、またこれらを適宜回路接続することによって、改善された確度での残留オフセット電圧を低減することができる。この効果は、たとえばホールセンサ素子を回路接続することによって、センサ接続端子に印加された駆動電圧が複数のホールセンサ素子に分散されるので、個々のセンサ素子での電界が低減されるからである。
【0015】
同様なホールセンサ素子とは、少なくともこれらが部分的に同じ特性を有していることを意味する。たとえばこれらのホールセンサ素子は、同数の素子接続端子を備え、および/または同じ幾何学的寸法を有している。ホールセンサ素子は互いに接続されるが、様々な実施形態ではこの接続は異なってよい。
【0016】
1つの実施形態では、ホールセンサは少なくとも3つのホールセンサ素子を含み、特にこれらのホールセンサ素子はそれぞれ少なくとも3つの素子接続端子を備えた同様のホールセンサ素子であり、グリッド特に回路グリッドであって、2次元以上の構造で接続され、またホールセンサの接続のために少なくとも3つのセンサ接続端子を備えている。それぞれのセンサ接続端子は、少なくとも1つのホールセンサ素子とその素子接続端子で接続されている。
【0017】
このグリッドによって、2次元あるいは多次元のホールセンサ素子の回路接続を行うことができる。さらに、このグリッドにより、たとえばアレイ状の回路接続が形成される。換言すれば、グリッド状に接続されたホールセンサ素子は、少なくとも1つの面に広がっている。
【0018】
たとえば、複数のホールセンサ素子は、1つのN×Mグリッドあるいはアレイに配設され、この際Nは1より大きく、Mは1より大きい。MとNは同じであっても異なっていてもよい。たとえなNおよびMは2を基底とする指数である。3つのホールセンサ素子の場合は、2×2のグリッドで、1つのグリッド位置が占有されていないような、隅部の位置となるように回路接続する。このグリッドは、たとえば8×8、16×16、32×32または対応した数のホールセンサ素子を有するより大きなグリッドである。ホールセンサ素子の数が多いほど、オフセット電圧あるいは残留オフセット電圧をより低減することができる。このグリッドは、完全に埋まっていなくともよく、個々のグリッドノードは空いていてもよい。これに対応して、正方形状でなく、たとえば円状または十字形状または多角形状の回路接続グリッドを形成してもよい。グリッド状の回路接続によって、ホールセンサ素子の2次元または多次元の回路接続が得られる。
【0019】
このグリッドにおいて個々のホールセンサ素子は、幾つかの実施形態では、グリッドの1つ以上の行または列が隣接する行または列と重なり合うように、ただしこれらのホールセンサ素子が対向せざるを得ないことのないように配設される。たとえば、これらのホールセンサ素子は蜂の巣形状のグリッド構造で接続される。
【0020】
1つの実施形態では、このグリッドは2次元以上の行列である。1次元行列は、たとえば複数のセンサ素子の単なる直列回路で実現することができる。
【0021】
このグリッドでは、たとえばそれぞれのホールセンサ素子は、2次元または多次元の座標、たとえば座標の組(Koordinatenpaar)で表される。
【0022】
たとえば、1つの実施形態では、ホールセンサは、特に同様のホールセンサ素子である少なくとも3つのホールセンサ素子は、それぞれの2つのセンサ接続端子が、これらの接続端子の間に少なくとも1つの信号路を形成し、この信号路では、この信号路に接続されているホールセンサ素子の数が、このホールセンサのホールセンサ素子総数より小さくなるように接続される。
【0023】
これにより、ホールセンサ素子が2つのセンサ接続端子と接続されるが、この2つの接続が異なるホールセンサ素子で行うことが可能である。さらに、それぞれのセンサ接続端子は、複数のホールセンサ素子と接続されることができる。このように、センサ接続端子に対するホールセンサ素子の純粋な並列接続あるいは純粋な直列接続は行われない。
【0024】
ホールセンサの任意のセンサ接続端子から、このホールセンサの他の任意のセンサ接続端子への接続は、様々なホールセンサ素子の回路接続により原理的に複数の信号路が存在し、この信号路は定まった数のホールセンサ素子を経由する。本発明によるホールセンサのホールセンサ素子は、この際グリッド形状またはアレイ形状の回路接続を呈するように接続される。
特にこれらのホールセンサ素子も純粋な直列回路には配列されない。これにより、本発明によるホールセンサでは、常に少なくとも1つの信号路が存在し、この信号路はある数のホールセンサ素子を介して2つのセンサ接続端子をせつぞくし、この数はこのホールセンサのホールセンサ素子総数より小さい。もし複数のホールセンサ素子が機能的に単一のホールセンサ素子となるように相互接続されている場合、これはこのホールセンサで接続されているものであり、それぞれの信号路がこの単一のホールセンサ素子のみを通ることになる。ただしこの単一のホールセンサ素子の一部分を通過するのではない。たとえば、2つの完全に並列接続されたホールセンサ素子は単一のホールセンサ素子となる。
【0025】
センサ接続端子は、たとえば一対で用いられ、この一対および他のもう1つの一対で測定信号を取得するために用いられる。上記の回路接続に対応して、電源信号および測定信号はそれぞれ複数のホールセンサ素子を通過し、これにより残留オフセット電圧が低減される。
【0026】
様々な実施形態では、少なくとも2つまたは全てのホールセンサ素子において、センサ接続端子と接続されていない少なくとも1つの素子接続端子は、他のもう1つの、とりわけ隣接したホールセンサ素子と、丁度その、センサ接続端子に接続されていない素子接続端子で接続されている。これはとりわけそれぞれ、ホールセンサの定められた動作時刻に対して成り立ち、ここではこのホールセンサは定められたセンサ接続端子に接続されている。
【0027】
1つの実施形態では、このホールセンサは、多くとも2つの素子接続端子は、それぞれセンサ接続端子の1つと接続されている。これにより、このホールセンサに含まれるホールセンサ素子の数に応じて、ホールセンサ素子がセンサ接続端子に全く接続されないか、または丁度1つの素子接続端子から1つのセンサ接続端子へ接続されるか、または丁度1つのホールセンサの2つの異なる素子接続端子から2つの異なるセンサ接続端子へ接続される。特にホールセンサ素子の数が多い場合には、たとえば内側にあるホールセンサ素子はセンサ接続端子に接続されておらず、外側にあるホールセンサ素子のみがセンサ接続端子と接続されている。様々なホールセンサ素子の構成に関係して、たとえばホールセンサ素子の素子接続端子はそれぞれ、外側の辺の中央に位置するセンサ接続端子と接続される。小規模の構成では、隅部あるいは2つのセンサ接続端子の間の移行部にあるホールセンサ素子は、2つのセンサ接続端子にも接続することができる。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態では、全てのホールセンサ素子において、少なくとも1つの素子接続端子は、センサ接続端子でなく、単に他の1つの、とりわけ隣接するホールセンサ素子の素子接続端子と接続されている。これに対応して、たとえば、全てのホールセンサ素子において、センサ接続端子に接続されていない少なくとも1つの素子接続端子は、丁度隣接している、センサ接続端子に接続されていないホールセンサ素子の素子接続端子と接続されている。これにより、このホールセンサ素子の回路接続は、ホールセンサの残留オフセット電圧が低減される結果となるように改善される。
【0029】
様々な実施形態では、これらのホールセンサ素子は、画定された面形状内に配設され、たとえばそれぞれ2つのホールセンサ素子が互いに平行および/または離間して配設される。たとえば、様々なホールセンサ素子によって、この面に同様なパターンが生成される。これに対応して、オフセット電圧あるいは残留オフセット電圧に対して好ましい特性が得られるように、これらのホールセンサ素子は、同じ向きまたは所定に回転した向きで規定されて配設される。ホールセンサ素子の向きは、たとえばこの素子をを通る電流方向または幾何学的構造または半導体ウェル(Halbleiterwanne)の特殊な構造によって定められる。
【0030】
これらのホールセンサ素子が配設されている面形状は、たとえば少なくとも1つの対称関係、たとえば軸対称または点対称を有している。さらに、この面は、特に対称的形状を備えており、たとえば長方形、正方形、十字形、円形または偶数多角形、たとえば六角形または八角形、である。たとえば半導体基板の上に画定される面をできる限り有効に利用できるようにするため、ホールセンサ素子の形状および大きさはホールセンサの面の形状に合わせられる。たとえば、この面が領域に分割されていると、これらのそれぞれにおいてその形状に合わせてホールセンサ素子が配設される。
【0031】
個々のホールセンサ素子、とりわけ非常に多くのホールセンサ素子の場合にこの面の縁部ではみ出すものは、巨視的にはこの面に含まれるものとみなす。これに対応して、様々な実施形態では、面の厳密な対称性は維持されなくともよい。実質的には、この面あるいはこの面を部分領域に分割した部分がこれらのホールセンサ素子の回路接続様式を規定し、様々な実施形態で、この面は回路接続面と見做すことができ、ホールセンサ素子の実際の位置は、この面の寸法には依存しない。
【0032】
様々な実施形態で、センサ接続端子と接続されたこれらのホールセンサ素子は、それぞれこの面の外縁部に接して配設されている。さらに、様々な実施形態では、この面に配設されたセンサ素子で、この面の外縁部に接していないものは、好ましくはその全ての素子接続端子がそれぞれまさに隣接するホールセンサ素子の素子接続端子と接続されている。
【0033】
これに対応して、ホールセンサのこれらのホールセンサ素子は、接続されたグリッドを形成し、とりわけそれぞれのホールセンサ素子の特性を利用し、また外向きに接続されて単一の大きなホールセンサのようになる。この面の外縁部に接していないホールセンサ素子は、好ましくは、個々の素子接続端子でそれぞれ異なる隣接するホールセンサ素子と接続される。これに対応して、このようなホールセンサ素子のそれぞれの素子接続端子は、他の隣接するホールセンサ素子と接続される。
【0034】
外側に向かって、すなわちホールセンサのセンサ接続端子に、個々のホールセンサ、とりわけこの面の縁部に接して配設されたホールセンサが接続される。センサ接続端子の1つに接続されるホールセンサ素子の数は、様々な実施形態で変更して構成することができ、この際それぞれのセンサ接続端子から、少なくとも1つのホールセンサ素子への接続が形成される。
【0035】
様々な実施形態では、この際1つのセンサ接続端子から1つの素子接続端子への少なくとも1つの接続は、たとえば固定された配線または半導体基板に固定されたカップラ(Koppelung)による固定された接続である。これに対応してそれぞれのセンサ接続端子には、1つ以上のホールセンサ素子がこのセンサ接続端子と固定接続されている。
【0036】
さらに、この固定接続に加えて、センサ接続端子はそれぞれ、少なくとも1つの他のホールセンサ素子への断接可能な接続を、少なくとも1つ備える。好ましくは、このようなホールセンサ素子へのこのような断接可能な接続が形成されて、ホールセンサ素子に隣接して配設され、このホールセンサ素子もまた同様に、その接続が固定であるかあるいは断接されるかに関わらず、そのセンサ接続端子に接続される。
【0037】
1つのセンサ接続端子に接続されるホールセンサ素子の数が多いほど、このホールセンサ全体として、その入力抵抗は小さくなる。これに対して、より少ないホールセンサ素子数を有するホールセンサほど、その入力抵抗は増加する。ホールセンサのこの特性は、ホールセンサの動作に利用することができ、あるいは所定のアプリケーションに合わせたホールセンサの仕様に利用することができる。このため、所定の入力抵抗を有するホールセンサを作製することができる。さらに、この断接可能な接続によって、動作中のホールセンサの入力抵抗を変更することも可能である。たとえば、ホールセンサを用いている構成の休止モードあるいはスタンバイモードにおいては、ホールセンサの高抵抗接続構成に設定され、これは低電流とありかつこれによって低消費電力となるように作用する。この休止モードでのホールセンサの正確さはあまり重要な意味を持つものでないが、好ましくは大きな値の測定に対する要求を満たすものである。通常の動作モードでは、たとえば高い確度が要求され、このホールセンサは低抵抗接続構成で動作される。さらに、たとえば断接可能な接続によって、多くのホールセンサ素子がセンサ接続端子に接続される。
【0038】
全体としてこのホールセンサを形成するこれらのホールセンサ素子は、それ自体は横方向のホールセンサであり、このホールセンサの表面に垂直な磁場を測定し、また、しかしながら縦方向のホールセンサはこのホールセンサの表面に平行な磁場を測定する。複数の横方向のホールセンサ素子を相互接続することにより、これに対応した横方向の大きなホールセンサを形成することができ、これはまたこのホールセンサの表面に垂直な磁場を測定する。このホールセンサが複数の縦方向のホールセンサ素子で形成されている場合、このホールセンサの表面に平行な磁場を測定する大きな縦方向ホールセンサとなる。複数のホールセンサ素子によって、その横方向および縦方向のホールセンサ素子のためにホールセンサの確度および感度が向上し、この際オフセット電圧あるいは残留オフセット電圧が低減される。
【0039】
個々のホールセンサ素子は、技術的あるいは幾何学的な向き(Orientierung)に関し同様にあるいは互いに回転して接続されてよい。とりわけ縦方向のホールセンサ素子の技術的な向きは、測定のために接続される、それぞれの素子接続端子に依存する。
【0040】
様々な実施形態では、これらのホールセンサ素子は、たとえば同様に形成され、それぞれ少なくとも4つの素子接続端子を備え、これらの素子接続端子は第1の素子接続端子対と少なくとも1つの第2の素子接続端子対とによって構成されている。これらのホールセンサ素子の少なくとも一部においては、1つのホールセンサ素子の第1の素子接続端子対の、第1の素子接続端子は、他の1つのホールセンサ素子、とりわけ隣接するホールセンサ素子の第2の素子接続端子対の1つの素子接続端子と接続されている。さらにこのホールセンサ素子の第2の素子接続端子対の第1の素子接続端子は、他のもう1つの、とりわけ隣接するホールセンサ素子の第1の素子接続端子対の素子接続端子と接続されている。縦方向のホールセンサ素子の使用の場合でもまた横方向のホールセンサ素子でも、この実施形態では、ホールセンサ素子は向きに対応して回転して回路接続され、これらのホールセンサ素子で互いに異なって存在する変動の効果(Storeffekte)を打ち消し合い、残留オフセット電圧を低減することに寄与する。
【0041】
同様に構成されたホールセンサ素子を有する、もう1つの実施形態では、ホールセンサ素子の少なくとも一部分において、ホールセンサ素子の第1の素子接続端子対の第1の素子接続端子は、他のホールセンサ素子、とりわけ隣接するホールセンサ素子の第1の素子接続端子対の第2の素子接続端子と接続され、このホールセンサ素子の第2の素子接続端子対の第1の素子接続端子は、他のホールセンサ素子、とりわけ隣接するホールセンサ素子の第2の素子接続端子対の第2の素子接続端子と接続されている。この実施形態では、これらのホールセンサ素子は、技術的に好ましくは、互いに同様に接続されている。とりわけ縦方向のホールセンサ素子を使用する場合、このように同様な回路接続が行われ、このホールセンサの動作における全てのホールセンサ素子での電流分布を、好ましく同様なものとする。横方向のホールセンサ素子においては、しかしながらホールセンサ素子の幾何学的な回転が行われており、これは個々のホールセンサ素子に異なる効果を及ぼす。
【0042】
これに対応して、様々な実施形態では、全てのホールセンサ素子は、第1および第2の素子接続端子対に関して同じ向きを有している。これはたとえば全てのホールセンサ素子の均等あるいは同様な回路接続に対応している。
【0043】
他の実施形態では、これらのホールセンサ素子は、第1および第2の素子接続端子対の配向に関して、少なくとも部分的に互いにずれた向きを備えている。これによって、このホールセンサにおいて、とりわけ個々のホールセンサ素子の回転された回路接続の効果が得られる。
【0044】
回転された回路接続の際には、このホールセンサの個々のホールセンサ素子は、たとえばセンサ接続端子との接続がホールセンサの動作中にどのセンサ接続端子対が接続されるかに依存しないように、配設され、このホールセンサで同一またはほぼ同一の電流分布が生成される。横方向のホールセンサ素子の例においては、これはたとえばホールセンサの正方形の面を用いた場合、この面でホールセンサが90°回転しても個々のホールセンサ素子の回転に関して同一またはほぼ同一に見えるように、これらのホールセンサ素子を配置する。これに対応して、たとえばこの正方形の面の4分割したそれぞれの部分が同様に構成されており、隣接した4分割部分に対して90°回転したものに対応してしている。これによって、高度の対称性を有するホールセンサを得ることができ、またこれにより確度の向上が達成することができる。この対称性は、回路の対称性またはホールセンサの幾何学的対称性によって生成される。
【0045】
同様に構成されたホールセンサ素子を有する、さらにもう1つの実施形態では、ホールセンサの少なくとも4つのホールセンサ素子は、それぞれ第1、第2、第3、および第4の素子接続端子を備える。4個のホールセンサ素子からなる少なくとも1つのグループにおいて、このグループの第1のホールセンサ素子の第1の素子接続端子と、このグループの第2のホールセンサ素子の第2の素子接続端子と、このグループの第3のホールセンサ素子の第3の素子接続端子と、およびこのグループの第4のホールセンサ素子の第4の素子接続端子とが、1つのまとまった接続体を形成している。これに対応して、4個のホールセンサ素子のそれぞれの異なる接続端子は、少なくとも部分的に相互接続されている。このような回路接続は、たとえば横方向のホールセンサ素子の回路接続において、明示されているようにホールセンサ素子の隅部で適宜接続されることによって得られる。縦方向のホールセンサ素子の使用の場合は、これに対応して回路接続される。1つのグループの4個のホールセンサ素子は、たとえば隣接して配設される。
【0046】
1つの変形例では、4個のホールセンサ素子からなるグループの少なくとも1つにおいて、このグループのホールセンサ素子のそれぞれの第1の素子接続端子は1つのまとまった接続体を形成する。これに対応して、4個のホールセンサ素子のそれぞれの同じ接続端子は、少なくとも部分的に相互接続されている。1つのグループの4個のホールセンサ素子はここでも、たとえば隣接して配設される。代替として、4個のホールセンサ素子からなる少なくとも1つのグループにおいて、このグループの第1のホールセンサ素子の第1の素子接続端子と、このグループの第2のホールセンサ素子の第3の素子接続端子と、このグループの第3のホールセンサ素子の第1の素子接続端子と、およびこのグループの第4のホールセンサ素子の第3の素子接続端子とで、1つのまとまった接続体が形成されている。これに対応して、2つのホールセンサ素子の2つの同じ素子接続端子はそれぞれ、他の2つのホールセンサ素子の2つの同じ素子接続端子と少なくとも部分的に相互接続されている。横方向のホールセンサ素子の使用の場合には、これらは同様に幾何学的に互いに回転されてよい。
【0047】
1つの実施形態では、ホールセンサは少なくとも4つのホールセンサ素子を備え、これらはそれぞれ少なくとも3つの素子接続端子を有し、第1、第2、第3、および第4のセンサ接続端子、とりわけ丁度4個のセンサ接続端子を有する。これらのセンサ接続端子の2つはそれぞれ、互いに第1および第2のセンサ接続端子対を形成する。これらのホールセンサ素子は、とりわけ点対称の回路接続で接続され、第1のセンサ接続端子対の接続端子間の電気的特性が、第2のセンサ接続端子対の接続端子間の電気的特性と同一になるように接続される。
【0048】
この対称性は、このホールセンサでは回路技術的に4分割部分から形成され、それぞれの分割部分がホールセンサ素子の幾何学的回転あるいはホールセンサ素子の素子接続端子の回路技術的な回転において同一となるように構成されることによって生じる。これに対応して、上記のホールセンサ素子の回転においては、回転前の他の接続端子で行われたような、回転した接続端子での同様な回路形成が行われる。
【0049】
他のもう1つの実施形態においては、ホールセンサは、少なくとも3つのホールセンサ素子を備え、これらはそれぞれ3つの素子接続端子を備え、第1、第2、および第3のセンサ接続端子、とりわけ丁度3個のセンサ接続端子を有する。これらのセンサ接続端子の2つからなる組み合わせはそれぞれ、互いに第1、第2および第3のセンサ接続端子対を形成する。これらのホールセンサ素子は、とりわけ対称の回路接続で接続され、第1、第2、および第3のセンサ接続端子対の接続端子間の電気的特性が、同一になるように接続される。
【0050】
様々な実施形態では、それぞれのホールセンサ素子は、機能的に丁度1つのホールセンサ素子かまたは複数の接続されたホールセンサ素子の組み合わせを備える。とりわけこれらのホールセンサ素子のそれぞれは、ここでも上述の実施形態によるホールセンサのように構成されてよい。しかしながら、複数の個別のホールセンサ素子を並列または他の回路接続によって1つの機能的なホールセンサ素子を形成することが可能である。さらに、上述の実施形態のホールセンサの複数からなる他の回路接続形態も可能である。上述の実施形態のいずれかによるホールセンサは、従来のホールセンサのように、任意の駆動変形例または動作変形例で作動させることができる。
【0051】
様々な実施形態で説明したこれらのホールセンサは、最初に述べたスピン電流技術またはペアリングを用いて動作させることができる。これは、このホールセンサが含まれているホールセンサ素子の数に関係なく、単一のホールセンサとして作用し、接続されるからである。
【0052】
とりわけ縦方向のホールセンサ素子の使用の場合には、高い確度を有するホールセンサ素子を得るために、これらのホールセンサ素子は、僅かな寸法で、またとりわけ小さなウェルの深さ(Wannentiefe)で実現することができる。このようにしてこれに適合して、同様に高い正確性を有し、かつまったく大きくない深さのウェルを必要とする縦方向のホールセンサを製造することができる。これは半導体プロセスにおいて有利である。
【0053】
互いにある角度、たとえば互いに90°かつホールセンサの表面に平行に設けられた2つの縦方向のホールセンサで磁場が測定されなければならない場合も同様に、上述の実施形態で説明した個々のホールセンサ素子の回路接続の方式を利用することができる。この際、とりわけこれらの縦方向のホールセンサ素子は、半導体基板の同じ領域で、異なる幾何学的な向きで配設されてよく、ここでこれらのホールセンサ素子の一部は1つのホールセンサに属し、またその他の部分のホールセンサ素子は他のホールセンサに属してよい。このようにしてこれに適合して2次元の磁場測定を、半導体基板の同じ領域で行うことができる。
【0054】
本発明は、複数の実施形態について図を参照して以下に詳細に説明される。ここでは同じ参照番号は、同じ機能の素子または部品を示す。回路部分またはデバイスが機能的に同様な場合は、それらの説明は以下のそれぞれの図ではこれらの説明を繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの実施形態を示す図である。
【
図2】ホールセンサの実施形態の概略を示す図である。
【
図3】ホールセンサ素子の実施形態を示す図である。
【
図4】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図5】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図6】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図7】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの他の実施形態を示す図である。
【
図8】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図9】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図10】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの他の実施形態を示す図である。
【
図11】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図12】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図13】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図14】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの他の実施形態を示す図である。
【
図15】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図16】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図17】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図18】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの他の実施形態を示す図である。
【
図19】ホールセンサのもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図20】ホールセンサ素子の実施形態の概略を示す図である。
【
図21】ホールセンサ素子のもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図22】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図23】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図24】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図25】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示す図である。
【
図26】ホールセンサ素子のもう1つの実施形態の概略を示す図である。
【
図27】複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの1つの実施形態のレイアウトを例示する図である。
【0056】
図1は、互いに接続され、またこのようにして全体で1つの大きなホールセンサを形成する、複数のホールセンサ素子11,12,21,22を有するホールセンサの様々な実施形態を示す。ここで
図1Aには、横方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されており、
図1Bでは縦方向のセンサ素子が用いられている。これらのホールセンサ素子11,12,21,22は、これら2つの実施形態
図1Aおよび
図1Bにおいては、それぞれ4つの素子接続端子すなわち素子接続端子A,B,C,Dを備え、これらは一部が隣接するホールセンサ素子に接続され、また一部が外部接続端子すなわちEXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dと接続されている。これら2つの実施形態における回路接続は互いに同様に行われており、この回路接続についての以下の記載は、
図1Aおよび
図1Bに共に有効である。
このホールセンサでは、ホールセンサ素子11,12の素子接続端子がまとめてセンサ接続端子EXT_Aに接続されている。同様にして、素子11,21の素子接続端子はセンサ接続端子EXT_Bと接続され、素子21,22の素子接続端子はセンサ接続端子EXT_Cと接続され、素子12,22の素子接続端子はセンサ接続端子EXT_Dと接続されている。さらに、素子11の接続端子Dと素子12の接続端子Bとが互いに接続され、素子11の接続端子Cと素子21の接続端子Dとが互いに接続され、素子12の接続端子Cと素子22の接続端子Aとが互いに接続されている。
【0057】
これらのホールセンサ11,12,21,22は、たとえば1つの半導体基板の正方形あるいは長方形の面に配設される。
図1Aおよび1Bに象徴的に示されている実施形態は、半導体基板の面すなわち表面の平面図であると考えてよい。これらのホールセンサ素子は、個々の分離された素子であってよい。
【0058】
図1Aおよび1Bに示された実施形態において、同じ向きを有する個々のホールセンサ素子11,12,21,22は、とりわけ幾何学的な向きあるいは回路接続技術的な向きで配設され、このホールセンサの動作において、個々のホールセンサ素子での電流分布が同様となるように配設される。とりわけ信号あるいは信号フローがそれぞれ、センサ接続端子EXT_A,EXT_Cと接続されている素子接続端子AおよびCの間、またセンサ接続端子EXT_B,EXT_Dと接続されている素子接続端子BおよびDの間で生成される。
【0059】
これらの向きは、たとえば
図2に概略的に示されており、個々のホールセンサ素子11,12,21,22で矢印方向が、素子接続端子A,Cの間で、たとえばホールセンサ素子の電流方向によって定義される、例示的に選択された向きを示している。
【0060】
図3には、ホールセンサ素子およびそれらの動作における可能なそれぞれの電流フロー方向が例示されている。ここで
図3Aは、横方向のホールセンサ素子の実施形態を示し、このホールセンサ素子では1つの動作相においては、たとえばスピン電流技術で、素子接続端子Aから素子接続端子Cへ電流I1が流れ、これに対し他の1つの動作相においては、素子接続端子Bから素子接続端子Dへ電流I2が流れる。たとえば、正方形で示された横方向のホールセンサ素子のそれぞれの側部の中央に、素子接続端子A,B,C,Dの接続端子が設けられている。このような横方向のホールセンサ素子を用いて、この正方形で示された素子の表面に垂直な磁場を測定することができる。
【0061】
図3Bには、縦方向のホールセンサ素子の実施形態が示されており、このホールセンサ素子では、p型ドープされた半導体基板HLにn型ドープされたウェルWが設けられている。この半導体基板HLあるいはウェルWの表面に、素子接続端子A,B,C,D用の接続面が設けられており、ここで素子接続端子A用の接続が二重すなわち対称的に実装される。
【0062】
図3Aに示す横方向のホールセンサ素子と同様に、
図3Bに示す縦方向のホールセンサ素子の場合では、第1の動作相において、素子接続端子Cから素子接続端子Aの接続端子へ、電流の矢印I1a,I1bで示す電流が流れる。1つの第2の動作相においては同様に、素子接続端子Bから素子接続端子Dへの電流フローが発生する。
図3Bで示すホールセンサ素子を用いて、半導体基板HLすなわちウェルWの表面に平行な磁場を測定することができる。とりわけ、図で表現すると、
図3Bの図に垂直に流入する磁場が測定される。
【0063】
縦方向のホールセンサ素子の感度および残留オフセットは、外側の接続端子の空間的な距離の他に、ウェルWの深さにも依存する。より大きな縦方向のホールセンサを得るために、従来のホールセンサではこのウェルの深さが増大された。しかしながら、大きな深さのウェルの形成は、プロセスの条件によって制限されるので、従来のホールセンサでは任意の大きさのものが得られなかった。
図1Bに示すように、ここに記載する方式は、制限されたウェルの深さを有する複数の小さな縦方向のホールセンサ素子の回路接続を用いることにより、大きなホールセンサを形成することができ、これは接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dによって1つの大きなホールセンサとして機能することができる。ホールセンサ素子11,12,21,22の回路接続によって、改善された確度あるいは感度を有する大きなホールセンサが生成される。さらに、このホールセンサ素子の回路接続によって、ホールセンサのオフセット電圧あるいは残留オフセット電圧を低減することができ、とりわけ同程度の大きさの従来のホールセンサに比べ低減することができる。これは特に、センサ接続端子でのホール電圧が個々のホールセンサ素子に分散し、これによって個々のセンサ素子での電界が低減されることによる。この低減された電界により、オフセット電圧に関し改善された特性が得られる。
【0064】
外部に対しては、このホールセンサは従来のホールセンサのように作動でき、とりわけ他のホールセンサと接続することができる。さらに、このようなホールセンサを、スピン電流技術およびペアリングのような公知の技術を追加で用いることにより、オフセット電圧あるいは残留オフセット電圧のさらなる低減を実現することができる。
【0065】
図4は、
図1および
図2に示す方式に関連したホールセンサのもう1つの実施形態を示す。ここでこのホールセンサは、ホールセンサ素子の2次元形状の8×8グリッドを備え、すなわち参照番号11,12,...,88までで示す合計64個のホールセンサ素子を備えている。このホールセンサは、ここでも4つのセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dを備え、これらはそれぞれ2つのホールセンサ素子と接続されている。特にセンサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子14,15と接続され、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子41,51と接続され、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子84,85と接続され、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子48,58と接続されている。たとえば全てのホールセンサ素子11,12,...,88は同様に形成されており、また同様な向きを備え、たとえば
図2に示す向きに対応した向きを備えている。多数のホールセンサ素子によって、残留オフセット電圧がさらに低減され得る。
【0066】
図4に示すホールセンサに用いられているホールセンサ素子は、ここでもたとえば横方向のホールセンサ素子または縦方向のホールセンサ素子であってよい。
【0067】
図5は、横方向のホールセンサ素子で実装された、64個のホールセンサ素子の実施形態を例示する。
図1Aの実施形態におけると同様に、全てのホールセンサ素子は、正方向の基本形状の辺の中央部で接続され、回転されている。
【0068】
これはこの図で表示角度0(°)で示されている。センサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dとの接続は、たとえば
図4の実施形態と同様に、素子14,15の行あるいは素子41,51の列のホールセンサ素子で行われる。
【0069】
これと異なり、
図6は、正方形の基板面の隅部で接続されている64個のホールセンサ素子を示す。ここでは、内側にあるホールセンサ素子はそれぞれ隅部で互いに接続されており、4つの異なる素子接続端子A,B,C,Dは異なるホールセンサ素子とそれぞれ接続されている。隅部での接続によって、
図3Aに示す方式と同様に、電流フローあるいは信号フローはホールセンサ素子により対角方向となる。
【0070】
これはこの図で表示角度45(°)で示されている。
図6に示すホールセンサ素子の接続は、たとえば僅かなコストで半導体基板に実装することができる。センサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dとの接続は、たとえばホールセンサ素子のそれぞれの隅部側にある素子接続端子18,11,81,88を接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dとして行われる。代替として、センサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dとの接続は、適宜
図4に示す回路接続と同様に行われ、すなわち素子14,15の行あるいは素子41,51の列のホールセンサ素子で行われる。
【0071】
上述のホールセンサの実施形態においては、個々のホールセンサ素子が同様の方向すなわち向きを備えているのに対して、
図7は、その向きが互いに回転されて回路接続あるいは配設されている複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの実施形態を示す。ここでも
図7Aでは、横方向のホールセンサ素子11,12,21,22が示されており、
図7Bでは、縦方向のホールセンサ素子11,12,21,22が示されている。
【0072】
図1Aおよび
図1Bの実施形態と比較し、ホールセンサ素子12,21は
図7Aでは幾何学的に、あるいは
図7Bでは電気的に90°回転しているが、素子接続端子A,B,C,Dの接続は外見的には互いに同様であり、センサ接続端子との接続は同様である。横方向のホールセンサ素子では、個々の素子の向きは、たとえば互いに回転して形成された異なるメタライジング層によって生成される。しかしながら、横方向のホールセンサ素子はまた、対称的に、とりわけメタライジング層に関して回転対称に形成されてよい。これらのホールセンサ素子の一部の回転によって、ホールセンサの動作において、異なる方向依存の効果の補正が行われる。この異なる方向依存の効果は、オフセット電圧に部分的に寄与するので、このオフセットは全体として低減される。
【0073】
横方向のホールセンサ素子においては、文字通り回転が個々のホールセンサ素子の幾何学的な回転によって行われるの対し、
図7Bの縦方向のホールセンサ素子を用いた実施形態においては、これは半導体ウェルWの接続を循環することによって行われる。たとえば、
図7Bのホールセンサ素子11,22は回転しておらず、A−B−C−Dの順番の素子接続端子を有しているが、素子12,21においては、接続順番をB−C−D−Aとすることにより、すなわち接続を循環することによって、90°回転が実現される。オフセットの低減に関しては、しかしながら縦方向のホールセンサ素子においてもあるいはこれらから形成されたホールセンサにおいても、
図7Aにおける場合と同様な内部オフセット補正が得られる。
【0074】
この回転あるいは部分的に回転されて配設されたホールセンサ素子の回転の方式が、
図8に概略的に示されており、ここでは
図2と同様に矢印の方向が対応したそれぞれのホールセンサ素子の方向を示している。
【0075】
この回転の方式は、ここでも、たとえば
図9に8×8のグリッドで示すように、多数のホールセンサ素子に拡張することができる。個々のホールセンサ素子は、ここでも横方向のホールセンサ素子としても、また縦方向のホールセンサ素子としても実装することができる。個々のホールセンサ素子がそれぞれどの向きを備えるかの選択は、任意に、とりわけアプリケーションに依存して選択されてよい。これに関して
図9に示されている向きの選択は単なる例示である。
【0076】
たとえば、個々の素子の向きは、ホールセンサができる限り対称的に形成されるように選択される。さらに個々のホールセンサ素子はとりわけ、センサ接続端子から見て、全ての有意な接続の組み合わせにおいて同じかあるいは同様な構成となるように配設あるいは接続される。
【0077】
ここで示された実施形態では、これらのホールセンサ素子は正方形あるいは長方形で示されている。しかしながら、これらのホールセンサ素子は、ホールセンサの外側カバーに関しては、十字型または円形または任意の知られた形状、たとえば橋形、四つ葉型(Kleeblattform)等に形成されてよい。素子接続端子の接続は、形状に依存して行われ、たとえば十字型のホールセンサ素子ではその前面で行われる。様々な実施形態において、横方向のホールセンサ素子の素子接続端子は、周囲あるいは周囲のカバーの任意の部位に配設されてよく、たとえば円形または楕円形のホールセンサ素子群に配設されてよい。矩形のホールセンサ素子群においては、これらの素子接続端子は、適宜側面異なる側面および/またはホールセンサ素子の隅部に配設されてよい。
【0078】
図10は、このような方式で実装された4個のホールセンサ素子11,12,21,22を有するホールセンサの実施形態を例示する。ここで
図10A及び
図10Cには、横方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示され、
図10B及び
図10Dには、縦方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されている。
【0079】
図10Aおよび
図10Cの実施形態においては、これらのホールセンサ素子は
図6の実施形態での場合と同様に、それぞれの素子接続端子を提供するように、決められた隅部に接続されている。隣接するホールセンサ素子は、それぞれ互いに90°回転して配設されている。センサ接続端子EXT_Aは、素子12の素子接続端子Aと接続され、センサ接続端子EXT_Bは、素子11の素子接続端子Bと接続され、センサ接続端子EXT_Cは、素子21の素子接続端子Cと接続され、センサ接続端子EXT_Dは、素子22の素子接続端子Dと接続されている。さらに、4個の全てのホールセンサ素子は、それらの素子接続端子の1つで、すなわち素子21の接続端子A、素子22の接続端子B、素子12の接続端子C、素子11の接続端子Dで、まとめて接続されている。さらに、隣接して配設された素子との接続はそれぞれ同様に設けられる。このようにして素子12の接続端子Bは素子11の接続端子Aと接続され、素子11の接続端子Cは素子21の接続端子Bと接続され、素子21の接続端子Dは素子22の接続端子Cと接続され、素子22の接続端子Aは素子12の接続端子Dと接続される。素子の回転は、対応した付与角度の数値45,135,225,315(度)で示されている。この回転の回転方向は、
図10Aおよび
図10Cの実施形態では異なっている。
【0080】
個々のホールセンサ素子の上記の図示および記載された接続によって、明示されているようにホールセンサの回転対称性あるいは点対称性が得られている。前述のオフセット補正の効果の他に、この対称性によってさらに、様々な可能な接続に関して、ホールセンサの均等な動作特性が得られる。
【0081】
図10Bおよび
図10Dに、縦方向のホールセンサ素子の同様な回路接続の方式が示されている。ここでは、それぞれの角度0°,90°,180°,および270°に対応した素子接続端子A,B,C,Dの接続端子の回転が行われている。さらに、それぞれのホールセンサ素子11は接続順番C−D−A−Bを有し、
図10Bのホールセンサ素子12および
図10Dの素子21は接続順番D−A−B−Cを有し、それぞれの素子21は接続順番A−B−C−Dを有し、
図10Bの素子21および
図10Dの素子12は接続順番B−C−D−Aを有する。個々の素子接続t端子の接続は、
図10Aあるいは
図10Cの横方向のホールセンサ素子を有する実施形態の場合と外見的には同一に行われる。これに対応して、
図10Bおよび
図10Dに示されているそれぞれのホールセンサでは、対称性に関し、同様のオフセットの低減および動作特性の改善の効果が得られる。素子接続端子の回転の回転方向は、
図10Bおよび
図10Cの実施形態では異なっている。
【0082】
図10で説明した方式が、
図11に概略的に示されており、ここでは
図2および
図8と同様に、ホールセンサ素子のそれぞれの向きの選択は矢印で示されている。ここで明らかに分かるように、全ての90°の回転では、個々のホールセンサ素子の方向およびセンサ接続端子の接続方向に関して、確実に再び同じ画像となっている。
【0083】
図12には、この方式が、64個のホールセンサ素子を有する8×8グリッドの様々な実施形態で示されている。、ここで個々のホールセンサ素子がそれぞれの向きの矢印によって示されている。
【0084】
図12Aにおいて、ここでは全ての4分割部分は同じ方向に向いたホールセンサ素子で形成されている。
【0085】
図12Bの実施形態では、全ての4分割部分には、同じ向きのホールセンサ素子からなるL字型の配置が行われており、それぞれのL字型は、隣接するL字型に対して90°回転した素子を備えている。しかしながらホールセンサ全体は、ここでも全ての90°回転に関し対称となっている。
【0086】
図12Cは、それぞれ互いに回転した4分割部分を有する、もう1つの実施形態を示し、ここではそれぞれのホールセンサ素子はその隣接する素子に関して90°回転している。
【0087】
図10、
図11および
図12に示されたこれらの様々な実施形態は、この対称性の特性によって、良好なオフセット補正および好ましい動作特性を備えている。個々のホールセンサ素子のそれぞれの選択された向きは、これに限定されるものでなく、ここに示す実施形態は単に更なる可能な実施形態を例示するものである。
【0088】
図13は、ホールセンサのもう1つの実施形態を例示し、ここではそれぞれ3つの素子接続端子A,B,Cを有する、3つのホールセンサ素子1,2,3が、回転対称的に同様または同一な電気的特性が得られるように回路接続されている。さらに、3つのホールセンサ素子1,2,3の素子接続端子Aは、互いにまとめて接続されている。さらにそれぞれ、素子接続端子Bは隣接する素子の素子接続端子Cと接続されており、たとえば、素子1の素子接続端子Bは素子2の素子接続端子Bと接続され、素子2の素子接続端子Bは素子3の素子接続端子Cと接続され、素子3の素子接続端子Bは素子1の素子接続端子Cと接続されている。全ての素子接続端子B,Cのこれらの接続では、それぞれにセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_Cが設けられている。この回路接続は、それぞれのホールセンサ素子が互いに120°回転していることに対応している。
【0089】
ここに示す回路接続によって、たとえば接続端子EXT_A,EXT_Bの間の電気的特性は、接続端子EXT_B,EXT_Cの間の電気的特性および接続端子EXT_C,EXT_Aの間の電気的特性と同一かまたは実質的に同一となる。この際には、ホールセンサ素子1,2,3の同一な特性が想定されている。ホールセンサの駆動には、このホールセンサの電源として、たとえばバイアス電流に、2つのセンサ接続端子が用いられ、第3のセンサ接続端子はホール電圧の取得に用いられる。ここに示す縦方向のホールセンサ素子は、3つの素子接続端子を有する、適宜回転された横方向のホールセンサ素子が用いられてもよい。
【0090】
ホールセンサの上述の実施形態では、個々のホールセンサ素子は、半導体基板上の1つの4分割部分または矩形の面の上に配設されている。このような形状は有利に実装されるが、しかしながらこれは、適宜回路接続されたホールセンサ素子を有するホールセンサの任意の形状の単なる例示である。他の実施形態では、ホールセンサ素子が配設される面として任意の他の形状が選択されてよい。
【0091】
図14は、この面に十字形を選択した場合の、複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの他の実施形態を示す。ここで
図14Aには、横方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されており、
図14Bには縦方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されている。この際、5個のホールセンサ素子12,21,22,23,32が設けられるが、これらのホールセンサ素子はホールセンサ素子22の回りに配置されるように、それぞれ配設される。ここでセンサ接続端子EXT_Aは、素子12の素子接続端子Aと接続されているのに対し、センサ接続端子EXT_Bは、素子21の素子接続端子Bと接続され、センサ接続端子EXT_Cは、素子32の素子接続端子Cと接続され、センサ接続端子EXT_Dは、素子23の素子接続端子Dと接続されている。素子12,21,22,23,32は互いに回転されないで配設されている。これに対応して、素子22の素子接続端子Aは素子12の素子接続端子Cと接続され、素子22の素子接続端子Bは素子21の素子接続端子Dと接続され、素子22の素子接続端子Cは素子32の素子接続端子Aと接続され、素子22の素子接続端子Dは素子23の素子接続端子Bと接続される。個々の素子接続端子は自在に、他の素子接続端子ともまたセンサ接続端子とも接続される。
【0092】
図14Aおよび
図14Bに示すホールセンサの動作においては、センサ接続端子EXT_A,EXT_CあるいはEXT_B,EXT_Dに印加される電圧は、これらの間にあるホールセンサ素子に分割され、これはここでもまた個々のホールセンサ素子の電場の低減をもたらす。これによって、残留オフセットすなわち残留オフセット電圧を小さく維持することができる。
【0093】
図15は、
図14Aおよび
図14Bの実施形態に対応するホールセンサ素子の配置の概略図を示す。
図2のように、ホールセンサ素子12,21,22,23,32の同様な向きが、対応する矢印で示されている。
【0094】
十字型はここでも任意に拡大されてよく、生成されるホールセンサが多数のホールセンサ素子を備えてよい。これは
図16の実施形態によって例示されている。ここではこのホールセンサは、肢部方向でそれぞれ8個のセンサ素子を有している。十字型のこれらの肢部は、それぞれホールセンサ素子4個の幅となっている。肢部の端部に配設されているホールセンサ素子は、それぞれのセンサ接続端子と接続されている。たとえばホールセンサ素子13,14,15,16はセンサ接続端子EXT_Aと接続され、ホールセンサ素子31,41,51,61はセンサ接続端子EXT_Bと接続され、ホールセンサ素子83,84,85,86はセンサ接続端子EXT_Cと接続され、ホールセンサ素子38,48,58,68はセンサ接続端子EXT_Dと接続されている。ホールセンサの個々のホールセンサ素子は異なる向きで配設されているが、これらは上記で何回も用いられている表示のように、対応する方向を向いた矢印で示されている。
【0095】
このホールセンサの十字型は、前述の低オフセット電圧すなわち低残留オフセット電圧の特性の他に、動作中における隣接するセンサ接続端子からの横方向電流の発生が僅かである、すなわち無視できるという特徴を示す。たとえば動作中において、センサ接続端子EXT_AとEXT_Cとの間の電流フローあるいはEXT_BとEXT_Dとの間の電流フローが期待される場合には、たとえばセンサ接続端子EXT_AとEXT_Bとの間には電流が全く流れないようにしなくてはならない。この十字型の空いている隅部では、ホールセンサ素子が全く存在しないこと、たとえば
図4に比べて素子11,12,21,22が欠落していることにより、ここでは電流フローが全く存在しない。これは特にホールセンサの感度を改善する。
【0096】
図17は、
図4に示されているように、8×8グリッドを有する正方形あるいは矩形のホールセンサを示している。
図4では全ての辺の2個の中央のホールセンサ素子がそれぞれEXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dの1つと接続されているが、
図17の実施形態では接続されるホールセンサ素子の数が4個に増加されている。これに対応してセンサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子13,14,15,16と接続され、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子31,41,51,61と接続され、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子83,84,85、86と接続され、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子38,48,58,68と接続されている。
【0097】
より多数のホールセンサ素子が1つのセンサ接続端子に接続されることにより、このホールセンサの動作における、対応するセンサ接続端子間の入力抵抗が低くなる。この入力抵抗は、たとえば熱雑音に影響し、この熱雑音はホールセンサの確度に影響する。一般的に、ホールセンサの入力抵抗は、接続されるホールセンサ素子の数が増加するにつれて減少する。さらに、この減少した入力抵抗によってホールセンサの確度が向上する。しかしながら、入力抵抗が大きい場合には、ホールセンサでのホール電圧が所望の大きさとなるように、より大きな電流が生成される。このため小さい入力抵抗は、原理的に、ホールセンサの動作中での大きな電力消費をもたらすことになる。これより、必要な入力抵抗あるいは必要な数の外部接続されたホールセンサ素子は、アプリケーションに対応して変更されてよい。
【0098】
図18はホールセンサのさらなる実施形態を示し、ここではセンサ接続端子は、回路接続されたホールセンサ素子11,...,94の一方の側に、全て配設されている。
図18に示すこれらの図では、ホールセンサ素子の回路接続マトリックスの4つあるいは5つの行のみが示されているが、この行数はまたより大きくすることあるいは様々に選択することができ、たとえばホールセンサ素子の正方形の回路接続を得ることができる。
【0099】
図18Aでは、3個のセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_Cが設けられており、ここでセンサ接続端子EXT_Aはホールセンサ素子21と接続され、センサ接続端子EXT_Bはホールセンサ素子51と接続され、センサ接続端子EXT_Cはホールセンサ素子81と接続されている。このようなホールセンサの動作中に、
図18Aに示すように、たとえば2つのセンサ接続端子に電源信号を印加することによって測定が行われるが、この際基準電位に対するホール電圧が第3のセンサ接続端子で測定される。
【0100】
図18Bには、前述の実施形態例に対応した、4個のセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dが設けられたホールセンサ素子の実施形態が示されている。ここではセンサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子21と接続され、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子41と接続され、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子61と接続され、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子81と接続されている。
【0101】
図18Cには、5個のセンサ接続端子が設けられた、もう1つのホールセンサの実施形態が示されている。ここでは
図3Bの縦方向のホールセンサ素子の実施形態と同様に、外部接続端子EXT_Aが2重に実装されている。これに対応して、この実施形態では、センサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子11および91と接続され、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子31と接続され、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子51と接続され、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子71と接続されている。
【0102】
図18の実施形態で使用されているセンサ接続端子の数に関係なく、それぞれのホールセンサ素子は、たとえば4個または5個のホールセンサ素子と互いに回路接続することができる。外部に対して、すなわちセンサ接続端子に対しては、ホールセンサは、設けられているセンサ接続端子の選択された数に対応して動作する。
【0103】
図19はホールセンサのもう1つの実施形態を示し、この実施形態は、
図4あるいは
図17の実施形態に基づいている。ここで
図4でのように、センサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子14,15と、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子41,51と、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子84,85と、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子48,58と固定接続されている。さらにセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dの断接可能な接続がそれぞれ、固定接続されてホールセンサ素子に隣接して配設された素子に対して設けられている。これに対応して、制御信号ACTによって作動するそれぞれのスイッチを介して、センサ接続端子EXT_Aは、ホールセンサ素子13,16と断接可能に接続され、センサ接続端子EXT_Bは、ホールセンサ素子31,61と断接可能に接続され、センサ接続端子EXT_Cは、ホールセンサ素子83,86と断接可能に接続され、センサ接続端子EXT_Dは、ホールセンサ素子38,68と断接可能に接続されている。
【0104】
このような回路接続においては、ホールセンサは、たとえば2つの動作モード、すなわち静止動作すなわちスタンバイ動作とアクティブ動作すなわち通常動作とで動作させることができる。静止動作においては、たとえばホールセンサの確度は低くなるが、制御信号ACTで制御されるスイッチは開となるように制御されてよい。これによって、ホールセンサは高い入力抵抗となるが、これは低電流でかつこれによる低エネルギ消費をもたらす。確度あるいは感度が低いにせよ、とにかくホールセンサは動作可能であり、また磁場信号を測定することができる。これに対応して、このホールセンサは高抵抗動作にある。
【0105】
もし高い確度が要求されている場合は、アクティブ動作に切り替えることができ、これには適合した制御信号ACTによってスイッチが閉じられる。これによって、ホールセンサは低抵抗モードで動作する。このように、アクティブ動作では、このホールセンサを用いて、正確なあるいは感度の高い測定を行うことができる。静止動作とアクティブ動作との切り替えは、たとえば外部の制御によって行われてよく、あるいはこのホールセンサの静止動作の測定信号に基づき、このホールセンサの測定で限界値を超えた場合に行われてよい。
【0106】
使用されるホールセンサ素子の数によって、アクティブ動作においても多数の追加のホールセンサ素子をセンサ接続端子と接続することができる。さらに、
図19には正方向あるいは矩形状に設定されているが、この形状は他の実施形態では他の面形状に代えてもよく、たとえば
図16に示すような十字形でもよい。
【0107】
接続されるホールセンサ素子の選択では、接続されるホールセンサ素子が隅部を介して侵入する、隣接するセンサ接続端子間の好ましくない短絡電流をもたらし得ることに注意しなければならない。
【0108】
以上の実施形態の変形例が、他の形状あるいは用いられているホールセンサ素子の他の素子接続端子の数によって得られる。以上に示した実施形態においては、正方形あるいは矩形の、3個または4個の素子接続端子を有する横方向のホールセンサ素子または4つの接続部を有する縦方向ホールセンサ素子が用いられていた。縦方向のホールセンサ素子に関しては、
図3Bに示すように、5個の接続部を有する素子が用いられてよく、これらの接続部では、素子接続端子Aが2つの接続部に分割されている。さらに、4個の接続端子と2個の短絡された外側の接続部とを有する縦方向ホールセンサ素子が用いられてもよい。
図2、
図4、
図8、
図9、
図12、
図17、
図18、および
図19に示す実施形態の様々な構成では、とりわけ横方向のホールセンサ素子の構成におけるホールセンサ素子間の接続が、隅部および/または側面で行われる。回路接続は、たとえば
図5または
図6のように行われる。
【0109】
図20には、とりわけ横方向のホールセンサ素子においても個々の素子に対して三角形を選択できることが例示されている。ここでは、2つの三角形状の、それぞれ素子接続端子A,B,Cを有するホールセンサ素子1,2が示されている。三角形の代わりに他の形状が選択されてもよく、この際にはホールセンサ素子はそれぞれ3つの素子接続端子を備える。ここで素子の素子接続端子Aは、それぞれ他の素子の素子接続端子Cと電気的に接続されている。実際には、このような相互接続された三角形状の、それぞれ3つの素子接続端子A,B,Cを有する2つのホールセンサ素子1,2は、矩形あるいは正方形の、4個の素子接続端子A,B,C,Dを有する横方向のホールセンサ素子のように、
図20に等号によって表現されている。
【0110】
図20の左半分に示されている、2つのホールセンサ素子1,2の回路接続方法は、縦方向のホールセンサ素子にも転用できる。これが
図21に、それぞれ3個の素子接続端子A,B,Cを備える、2つの縦方向のホールセンサ素子で示されている。第1のホールセンサ素子1の素子接続端子A(1),B(1),C(1)は、第2のホールセンサ素子(2)の素子接続端子A(2),B(2),C(2)と回路接続され、この際とりわけ素子接続端子A(2)とC(1)との間あるいはA(1)とC(2)との間に電気的接続が適宜形成される。これは、実際にはここでも、4個の接続端子A−B−C−D、または5個の接続端子A−B−C−D−A、または外側での短絡を有する4個の接続端子E−A−B−C−D−Eを有する上述の縦方向のホールセンサ素子に対応し、
図21においてもまた等号を用いて表現されている。
【0111】
図22は、複数のホールセンサ素子を有するホールセンサのもう1つの実施形態を示し、ここではこれらのホールセンサ素子は三角形状である。特にこのホールセンサは、それぞれ3個の素子接続端子A,B,Cを有する、8個のホールセンサ素子1,2,...,8を備えており、これらのホールセンサ素子は互いに直接接しており、互いに電気的に接続されている。たとえば、素子1の素子接続端子Aは、素子2の素子接続端子Cおよび素子5の素子接続端子Bと接続されている。さらに中央部に位置する素子2,3,4,5,6,7の接続端子は電気的に接続されている。ホールセンサのセンサ接続端子は、たとえば形成される正方形あるいは矩形の隅部に設けられてよい。代替として、これらのセンサ接続端子は、正方形あるいは矩形の辺の中央部に選択されてよい。さらに、辺の中央部に設けられた接続端子も隅部に設けられた接続端子も、ホールセンサのセンサ接続端子として用いることができ、このようにして8個のセンサ接続端子を有するホールセンサが形成される。
【0112】
図23は複数のホールセンサ素子11,12,21,22を有するホールセンサ素子のもう1つの実施形態を示し、この実施形態のこれらのホールセンサ素子は、それぞれ8個の素子接続端子A,B,C,D,E,F,G,Hを備える。それぞれのホールセンサ素子11,12,21,22は、完全な正方形または矩形の、8個の素子接続端子を有する横方向のホールセンサであり、あるいは代替としてたとえば8個の接続端子を有する1つのホールセンサによって、
図22に示すように形成される。個々のホールセンサ素子の互いに隣接して配設された素子接続端子は、ここでも互いに電気的に接続されている。また、たとえば素子11の素子接続端子HおよびGは、素子12の素子接続端子BおよびCとそれぞれ接続されている。さらに素子11の接続端子Fは素子21の接続端子H、素子22の接続端子B、素子12の接続端子Dと接続されている。他の接続についても図からすぐ得られるが、繰り返しを避けるため個々の説明は行わない。
【0113】
図23に示すように生成されたホールセンサは、ここでも4個のセンサ接続端子を有するホールセンサとして使用することができ、たとえば正方形あるいは矩形のそれぞれの隅部またはこの形状の辺中央部で接続することができる。さらに、
図22の実施形態に類似して、8個のセンサ接続端子を有するホールセンサも形成することができ、このホールセンサは隅部においても、辺中央部においても接続される。
【0114】
図22および
図23には、ホールセンサの正方形あるいは矩形の面全体が個々のホールセンサ素子で埋め尽くされている。しかしながら、ホールセンサの正方形または矩形の面の所定の領域は空いたままとなっていてよい。
図24は、8個のホールセンサ素子1,2,...,8を有する基本的に正方形あるいは矩形のホールセンサを示し、これらのホールセンサ素子は使用できる面積の半分しか占有していない。ここではホールセンサのそれぞれの4分割部分において、先端で立っている菱形が設けられており、この菱形はそれぞれ2つの三角形のホールセンサ素子で形成されている。上述の
図22または
図23の実施形態におけるように、互いに接するあるいは隣接している、個々のホールセンサ素子の素子接続端子は、電気的に互いに接続され、たとえば素子2および5あるいは素子4および7の素子接続端子Bが接続され、または接続端子Aは、隣接しているホールセンサ素子の接続端子Cとそれぞれ接続されている。
【0115】
ここに示す実施形態は4個のセンサ接続端子を有するホールセンサとなり、これらのセンサ接続端子は、素子1および3の素子接続端子B、素子3,4,7,8の外側にある素子接続端子A,C、素子6,8の素子接続端子B、および素子1,2,5,6の外側にある素子接続端子A,Cで形成されている。
【0116】
実際にはこれは、
図25に示されているように、4個の正方形状あるいは矩形状のホールセンサ素子11,12,21,22を有する実質的に1つのホールセンサに相当している。このようにして、たとえば三角形の素子1および2の組み合わせからなるホールセンサ素子11、素子3および4の組み合わせからなるホールセンサ素子21等は、このように
図25に示す実施形態を回路技術的に
図1に示すホールセンサの変形例に帰着され、ここで2個の三角形のホールセンサ素子からなる正方形または矩形のホールセンサ素子はそれぞれ
図24の構成に対応して組み上げられている。
【0117】
図22〜25においては横方向のホールセンサ素子が例示されているが、これに対応した縦方向のホールセンサ素子を有する回路であってもよい。これはまた
図21に示す関係を考慮することによって可能となる。
図22〜25に示す実施形態は、ホールセンサ素子のグリッド状の回路接続を示している。
【0118】
図26は、ホールセンサのもう1つの実施形態を示し、ここではそれぞれ3つの素子接続端子A,B,Cを有するホールセンサ素子1,2,3,4が回路接続されている。ここで
図26Aには、三角形状に例示された横方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されており、
図26Bにはこれに対応した縦方向のホールセンサ素子を有する実施形態が示されている。
【0119】
ここで、ホールセンサ素子1,2,3,4の素子接続端子Aは、相互接続あるいは互いに接続されている。これは
図26Aでは、正方形あるいは矩形の面を分割して、先端が重なるような4つの三角形の面に変換されている。さらに、ホールセンサ素子の素子接続端子Bは隣接するホールセンサ素子の素子接続端子Cと接続されるが、これは
図26Aではたとえば隣接して配設されたホールセンサ素子あるいは対向している素子接続端子B,Cによって示されている。まとめて接続される素子接続端子B,Cは、それぞれ4つの接即端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dの1つを形成する。この回路接続は、それぞれのホールセンサ素子が互いに90°回転していることに対応している。
【0120】
図10〜
図13に示されている実施形態と同様に、
図26に示す回路接続によって、ホールセンサ素子は回転対称性を生成し、たとえばセンサ接続端子EXT_AおよびEXT_Cの間の電気的特性は、センサ接続端子EXT_BおよびEXT_Dの間の電気的特性と同一かまたは実質的に同一となる。
図26に示す実施形態は、さらに多数のホールセンサ素子を用いても実現することができる。このように
図26に示す、4個のホールセンサ素子を有する変形例は、単に見易くするために選定されたものである。
【0121】
これらの図示された形態の他に、ホールセンサの面にさらに他の形状を選択してよい。さらに、この面の個々のホールセンサ素子への分割を他の形態で行うこともできる。たとえば横方向のホールセンサの面の分割に、正三角形が選択される場合、6個のこれらの三角形が、6個のセンサ接続端子を有するホールセンサに組み合わされてよい。このような6個の接続端子を有する横方向のホールセンサは、たとえば6個の接続端子を有する縦方向のホールセンサにも対応する。このようなそれぞれホールセンサ素子に見立てた6個の正三角形の組み合わせにより、ホールセンサの面は、多数の六角形を有する蜂の巣状の構造に分割される。
【0122】
ここに示す実施形態においては、さらにホールセンサ素子、とりわけ横方向のホールセンサ素子が、正方形、矩形または十字形に示されている。しかしながら、これらのホールセンサ素子は、矩形または円形または任意の知られた形状、たとえば橋形、四つ葉型(Kleeblattform)等に形成されてよい。このようなことから、したがってここで示す実施形態は、単に様々の変形実施可能性を例示しているものである。
【0123】
上述のホールセンサの実施形態では、個々のホールセンサ素子の素子接続端子間の内部接続は固定された接続であり、たとえば直接的な電気的接続によって実現される。しかしながら、さらなる変形実施例では、このホールセンサ素子の素子接続端子間の内部接続は、たとえばトランジスタスイッチによりスイッチ可能に回路接続されて設けられる。これに対応して、たとえば2つまたは3つの異なる回路接続構成を設定することができ、ここでそれぞれの設定の回路接続構成、好ましくは上述の実施形態の1つが実装される。このようにして、ホールセンサの動作特性が切り替えられる。このため、たとえばこれに合わせた数のトランジスタを有するスイッチマトリックスが設けられ、このスイッチマトリックスはこれらのホールセンサを第1の内部回路接続構成から第2の内部回路接続構成に切り替えることができる。
【0124】
複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの上述の実施形態の幾つかでは、それぞれのホールセンサは、少なくとも3個のホールセンサ素子から形成されている。さらに、それぞれのホールセンサ素子は、三角形のホールセンサ素子で3個の素子接続端子を備え、あるいは正方形または矩形のホールセンサ素子で4個以上の素子接続端子を備える。用いられるホールセンサ素子の少なくとも3つの素子接続端子のこの数は、縦方向のホールセンサ素子でも有効である。上述のホールセンサのセンサ接続端子は、それぞれ少なくとも1つのホールセンサ素子と、少なくともその1つの素子接続端子で接続されている。さらに、ホールセンサ素子の少なくとも2つにおいて、または全てのホールセンサ素子において、センサ接続端子に接続されていない少なくとも1つの素子接続端子は、丁度他の、とりわけ隣接している、センサ接続端子に接続されていないホールセンサ素子の素子接続端子と接続されている。好ましくは、それぞれのホールセンサ素子の多くとも2つの素子接続端子は、それぞれセンサ接続端子の1つと接続されている。
【0125】
好ましくは、複数のホールセンサ素子を有するホールセンサの上述の全ての実施形態では、それぞれのホールセンサ素子は、グリッドにおいて2次元以上の構造で、あるいは2つ以上の行および2つ以上の列を有するアレイで回路接続されている。
【0126】
図27は、縦方向のホールセンサ素子からなる64×64のグリッドを有するホールセンサのレイアウトを例示し、これらは上述の方法に対応して互いに回路接続されている。このホールセンサは4つのセンサ接続端子EXT_A,EXT_B,EXT_C,EXT_Dを備えている。
図27には、さらにこのグリッドの一部が拡大表示されており、ここでは個々の縦方向のホールセンサ素子を明瞭に認識することができる。特に、これらの個々のホールセンサ素子が、たとえば
図3Bに例示されているように、5個の素子接続端子を有して形成されていることが分かる。
【0127】
ここに示す実施形態では、とりわけ半導体基板の表面に平行な磁場が測定され、この磁場は、このホールセンサの矩形の面の長辺に直角な方向に走っている。
【0128】
さらに他の実施形態では、それぞれ複数の縦方向のホールセンサ素子を有する2つのホールセンサが、一方のホールセンサのホールセンサ素子と他方のホールセンサのホールセンサそしとが1つの共通な面に配設されるようにしてもよく、この際一方のホールセンサの縦方向のホールセンサ素子は、他方のホールセンサの縦方向のホールセンサ素子に対して90°回転されている。このようにして、この半導体基板の空間的に同じ面で、この半導体基板に平行であって直交する磁場成分を測定することができる。
【0129】
以上に示した実施形態では、主に個々の可能な改変および変形を互いに別々に示して説明した。しかしながら、これらの様々な変形および構成は、互いに任意に組み合わせることができる。これによってホール線の多様な構成を得ることができ、これらはそれぞれオフセット電圧あるいは残留オフセット電圧に関して好ましい特性を備え、磁場測定において高い確度と感度とを示す。