(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップ(a)のインク組成物が、樹脂を含む粒子が懸濁されているキャリア液をさらに含み、ステップ(b)の後およびステップ(c)の前に現像ローラが回転して現像ローラ上の樹脂粒子と液体キャリアとがスキージローラと現像ローラとのニップを通過するようにし、ここで、スキージローラは現像ローラと逆の方向に回転しており、そして電圧が現像ローラとスキージローラの間に印加されて粒子が現像ローラに向かって移動するようにされ、このときに現像ローラ上に粒子と共に存在するいくらかの液体キャリアが除去され、そして、スキージローラと現像ローラの間の電圧の差が少なくとも200Vである、請求項1から3のいずれか一項による方法。
フォトイメージングプレートと現像ローラが係合していない状態にあるときにインク組成物中の少なくともいくらかの粒子が、現像ローラからフォトイメージングプレートに移送される前に、第一の電極を複数回通り過ぎて循環し、その後、現像ローラとフォトイメージングプレートが係合すると、粒子の少なくともいくらかを現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送する、請求項1から5のいずれか一項による方法。
第一のポリマーがエステル基を含まないポリマーであり、樹脂が、(i)エステル化アクリル酸もしくはエステル化メタクリル酸から選択されるエステル側基を持つ第一のモノマー、(ii)アクリル酸もしくはメタクリル酸から選択される酸性側基を持つ第二のモノマー、および(iii)エチレンおよびプロピレンから選択される第三のモノマーのコポリマーである、エステル側基を持つ第二のポリマーをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項による方法。
現像ローラの軸とフォトイメージングプレートの軸がお互いに対して作動可能であり、現像ローラとフォトイメージングプレートが係合されていない状態から係合された状態へと移行でき、係合していない状態において、現像ローラからフォトイメージングプレートへと粒子を移送することなく、樹脂を含む粒子を含むインク組成物を電極を通過して循環させるよう装置が構成され、係合した状態において、粒子を現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送させるよう装置が構成される、請求項8から11のいずれか一項による装置。
第一のポリマーがエステル基を含まないポリマーであり、樹脂が、(i)エステル化アクリル酸もしくはエステル化メタクリル酸から選択されるエステル側基を持つ第一のモノマー、(ii)アクリル酸もしくはメタクリル酸から選択される酸性側基を持つ第二のモノマー、および(iii)エチレンおよびプロピレンから選択される第三のモノマーのコポリマーであるエステル側基を持つ第二のポリマーをさらに含む、請求項13による印刷媒体。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明を開示し、説明する前に、この発明は、本明細書に開示の特定のプロセスのステップおよび物質に限定されるものではなく、それは、そのようなプロセスのステップおよび物質は変更し得るためであるということは理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を説明するためにのみ使用されるものであると理解されるべきである。用語は限定することを意図せず、それは、本発明の範囲は添付の請求項およびその均等物によってのみ限定されることを意図するからである。
【0005】
単数形である「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のものを記述しているのでなければ、複数の意味を含むことは注意されたい。
【0006】
本明細書において使用されるとき、「液体キャリア」、「キャリア液」「キャリア」もしくは「キャリアベヒクル」は、その中にポリマー、粒子、着色剤、チャージディレクタおよび他の添加剤が分散して液体静電インクもしくは電子写真インクを生じることのできる液体を指す。そのようなキャリア液およびベヒクル成分は当技術分野において公知である。典型的なキャリア液は、界面活性剤、共界面活性剤、粘度調整剤および/もしくは他の含有可能な成分のようなさまざまな異なる剤の混合物を含み得る。
【0007】
本明細書において使用されるとき、「静電インク組成物」は、しばしば電子写真印刷プロセスと呼ばれる静電印刷プロセスにおける使用に典型的に好適なインク組成物を一般的に指す。
【0008】
本明細書において使用されるとき、「顔料」は一般的に顔料着色剤、磁性粒子、アルミナ、シリカおよび/もしくは他のセラミクスもしくは有機金属を一般的に含み、そのような粒子は色をもたらしてももたらさなくてもよい。このように、本明細書での記載は主に顔料着色剤の使用を例示するが、用語「顔料」は、より一般的に、顔料着色剤のみではなく、有機金属、フェライト、セラミクスなどのような他の顔料をもまた記載する。
【0009】
本明細書において使用されるとき、「コポリマー」は、少なくとも二つのポリマーより重合化されるポリマーを指す。
【0010】
特定のモノマーは、ポリマーの特定の重量パーセントを構成するものとして記載され得る。これは、ポリマー中の前記モノマーより形成される繰り返し単位が、ポリマーの前記重量パーセントを構成することを示す。
【0011】
本明細書において標準試験について述べられるとき、他に指定がない限り、試験のバージョンは本願の出願時における最新のものを指す。
【0012】
本明細書において使用されるとき、「静電印刷」もしくは「電子写真印刷」は、フォトイメージング基体から印刷媒体へと、直接的に、もしくは中間転写部材を介して間接的に転写される画像を提供するプロセスを一般的に指す。このように、画像は、それが塗布されるフォトイメージング基体中に実質的に吸収されない。さらに「電子写真印刷機」もしくは「静電印刷機」は、上述の電子印刷もしくは静電印刷を実施できる印刷機を一般的に指す。「液体電子写真印刷」は、電子写真印刷の特別の型であり、ここでは、電子写真プロセスにおいて粉状トナーよりも液体インクが用いられる。静電印刷プロセスは、静電インク組成物を、例えば1000V/cmもしくはそれ以上のの電場勾配を持つ電界、もしくはある例においては1000V/cmもしくはそれ以上のの電場勾配を持つ電界のような、電界へと供することを含む。
【0013】
本明細書において使用されるとき、用語「約」は、数値範囲の末端に対し、与えられた範囲が、その末端の「少し上」もしくは「少し下」であってよいということをもたらすことによって、柔軟性をもたらす。この用語の柔軟性の度合いは、特定の変数によっても決定でき、そして経験および本明細書中の関連した記載に基づいて決定する当業者の知識の範囲内でもあり得る。
【0014】
本明細書において使用されるとき、複数の物品、構造要素、組成要素、および/もしくは材料は、便宜上、共通のリストにおいて示される。しかしながらこれらのリストは、リストにおけるそれぞれの要素が別々の、かつ独自の要素として個別に識別されているように解釈されるべきである。このように、否定する表示がないときに、そのようなリストの個別の要素のすべては、それらが共通の群に示されることのみに基づいて同じリストの他の任意の要素の事実上の均等物として解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書において、濃度、量および他の数値は範囲の形式で示され得る。そのような範囲の形式は単に利便性と簡潔さのためにのみ使用されるものであって、範囲の臨界点として明示的に示される数値を含むだけでなく、あたかもそれぞれの数値範囲とサブ範囲とが明示的に示されているように、その範囲内に包含される数値もしくはサブ範囲(sub−range)をもまた含むものであると柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約1重量%から約5重量%」という数値範囲は、明示的に示された約1重量%から約5重量%という範囲のみを含むのではなく、示された範囲内の個々の値とサブ範囲とをも含むと解釈されるべきである。このように、この数値範囲は、2、3.5および4のような個々の範囲と、1〜3、2〜4および3〜5などのようなサブ範囲とを含む。同じ原理は数値のみを示す範囲にも適用される。さらに、そのような解釈は、記載される範囲もしくは性質の広さに関わらず適用されるべきである。
【0016】
特に指定されない限り、本明細書に記載されるすべての特徴は、本明細書に記載されるすべての態様もしくは全ての他の特徴と組み合わせることができる。
【0017】
一態様において、静電印刷のための方法が提供され、方法は:
(a)樹脂を含む粒子を含むインク組成物であって、インク組成物の固形物1グラム当たり0.3mg未満のチャージディレクタを含むインク組成物を提供するステップ、
(b)インク組成物を第一の電極と現像ローラとの間を通過させ、ここで、現像ローラと電極の間に十分な電圧を印加し、樹脂粒子が現像ローラに帯電し、かつ接着するようにするステップ、
(c)少なくとも粒子のいくつかを現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送してフォトイメージングプレート上に画像を形成するステップ、
(d)フォトイメージングプレートから印刷媒体へと画像を転写するステップ、
を含む。
【0018】
一態様において、静電印刷のための装置が提供され、装置は、
第一の電極、現像ローラおよびフォトイメージングプレートを含み、
ここで第一の電極と現像ローラは、使用の際、樹脂を含む粒子を含むインク組成物がその間を通過できるような間隔を画定するように離れて配置され、
フォトイメージングプレートは現像ローラに近接して配置され、現像ローラからフォトイメージングプレートへと粒子が移送されるようにし、
そしてここで、インク組成物がインク組成物の固形物1グラム当たり0.3mg未満のチャージディレクタを含むときにインク組成物中の樹脂を含む粒子を帯電するのに十分な電圧を第一の電極と現像ローラとの間に印加するように装置が構成されている。
【0019】
一態様において、印刷媒体が提供され、該印刷媒体は、エチレンもしくはプロピレンと、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれかのエチレン不飽和酸とのコポリマーである第一のポリマーを含む樹脂を含むインク組成物をその上に印刷されて持ち、そしてここで静電インク組成物はチャージディレクタを実質的に欠いている。
【0020】
本願発明者は、静電印刷プロセスにおいて、少量のチャージディレクタを含むか、またはチャージディレクタを含まないインク組成物を印刷できることを見出した。樹脂含有粒子に帯電を与え、電界勾配においてそれらを操作できるようにするためにチャージディレクタは存在する必要があると予想されてきたため、これは驚くべきことである。大量のチャージディレクタを含む組成物は、長期間にわたって劣化するため、これは非常に有利である。高品質の画像を印刷しつつ、チャージディレクタを使用する必要性を排除するシステムの開発によって、非常に長い保存可能期間を持つ組成物を作り出すことができる。さらに、本願発明者は、電極の相対極性を変化させることによってトナー粒子を正極性もしくは負極性に効果的に帯電することができることを見出し、これは粒子の帯電により多くの汎用性をもたらす。
【0021】
インク組成物
ステップ(a)におけるインク組成物は、樹脂を含む粒子を含む。ある例では、インク組成物は液体キャリアをさらに含み、樹脂を含む粒子は液体キャリアに懸濁され得る。インク組成物は着色剤をさらに含み得る。樹脂を含む粒子は、着色剤をさらに含み得る。ある例において、インク組成物は、液体キャリアを実質的に欠くか、または欠き、そして粒子は流動可能な形態であってよく、例えばそれは本明細書に記載される装置中を通過できる。ある例では、インク組成物は粉末状であってよい。
【0022】
樹脂は、熱可塑性ポリマーを含み得る。詳細には、樹脂のポリマーは、エチレンアクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、エチレンビニルアセタートコポリマー、エチレン(例えば80重量%〜99.9重量%)とメタクリル酸もしくはアクリル酸のアルキル(例えばC1〜C5)エステル(例えば0.1重量%〜20重量%)のコポリマー、エチレン(例えば80重量%〜99.9重量%)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸(例えば0.1重量%〜20.0重量%)と、メタクリル酸もしくはアクリル酸のアルキル(例えばC1〜C5)エステル(例えば0.1重量%〜20重量%)とのコポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、イソタクチックポリプロピレン(結晶性)、エチレンエチルアクリラート、ポリエステル、ポリビニルトルエン、ポリアミド、スチレン/ブタジエンコポリマー、エポキシ樹脂、アクリル樹脂(例えば、メチルメタクリラート(例えば50重量%〜90重量%)/メタクリル酸(例えば0重量%〜20重量%)/エチルヘキシルアクリラート(例えば10重量%〜50重量%)のような、アクリル酸もしくはメタクリル酸とアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルの少なくとも一つとのコポリマーであって、ここでアルキルが1から約20個の炭素原子を含むもの)、エチレンアクリラートターポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸(MAH)もしくはグリシジルメタクリラート(GMA)ターポリマー、エチレンアクリル酸イオノマー、ならびにそれらの組み合わせから選択し得る。
【0023】
ある例において、樹脂は、エチレンもしくはプロピレンと、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれかのエチレン性不飽和酸とのコポリマーである第一のポリマーを含む。ある例において、第一のポリマーがエステル基を含まず、樹脂はさらに、(i)エステル化アクリル酸もしくはエステル化メタクリル酸から選択されるエステル側基を持つ第一のモノマー、(ii)アクリル酸もしくはメタクリル酸から選択される酸性側基を持つ第二のモノマー、ならびに(iii)エチレンおよびプロピレンから選択される第三のモノマーのコポリマーである、エステル側基を持つ第二のポリマーをさらに含む。
【0024】
ステップ(a)において、樹脂は、インク組成物の固形物の5重量%〜99重量%を、ある例ではインク組成物の固形物の50重量%〜90重量%を、ある例ではインク組成物の固形物の70重量%〜90重量%を構成する。インク組成物中の残余の固形物の重量%は、着色剤であってよく、ある例では存在し得る任意の他の添加剤であってよい。
【0025】
上述のように、インク組成物は液体キャリアをさらに含み得、樹脂を含む粒子は液体キャリア中に懸濁され得る。一般的に、液体キャリアはインク中の他の成分を分散させる媒体として作用する。例えば、液体キャリアは炭化水素、シリコーン油、植物油などを含み得るか、またはそれらであり得る。液体キャリアは、トナー粒子の媒体として使用できる絶縁性の、非極性の、非水性の液体を含み得るがそれらに限定されない。液体キャリアは、約10
9オーム−cmを超える抵抗を持つ化合物を含み得る。キャリア液は約30未満の誘電率を、ある例では約10未満の誘電率を、ある例では約5未満の誘電率を、ある例では約3未満の誘電率を持ち得る。液体キャリアは、炭化水素を含み得るがそれらに限定されない。炭化水素は、脂肪族炭化水素、異性化脂肪族炭化水素、分岐鎖脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素およびそれらの組み合わせを含み得るがそれらには限定されない。キャリア液の例は、脂肪族炭化水素、イソパラフィン化合物、パラフィン化合物、脱芳香族炭化水素化合物などを含むがそれらには限定されない。詳細にはキャリア液は、Isopar−G(商標)、Isopar−H(商標)、Isopar−L(商標)、Isopar−M(商標)、Isopar−K(商標)、Isopar−V(商標)、Norpar 12(商標)、Norpar 13(商標)、Norpar 15(商標)、Exxol D40(商標)、Exxol D80(商標)、Exxol D100(商標)、Exxol D130(商標)およびExxol D140(商標)(それぞれ、EXXON CORPORATIONによって販売される);Teclen N−16(商標)、Teclen N−20(商標)、Teclen N−22(商標)、Nisseki Naphthesol L(商標)、Nisseki Naphthesol M(商標)、Nisseki Naphthesol H(商標)、#0 Solvent L(商標)、#0 Solvent M(商標)、#0 Solvent H(商標)、Nisseki Isosol 300(商標)、Nisseki Isosol 400(商標)、AF−4(商標)、AF−5(商標)、AF−6(商標)およびAF−7(商標)(それぞれNIPPON OIL CORPORATIONによって販売される);IP Solvent 1620(商標)およびIP Solvent 2028(商標)(それぞれIDEMITSU PETROCHEMICAL CO.,LTD.によって販売される);Amsco OMS(商標)およびAmsco 460(商標)(それぞれAMERICAN MINERAL SPIRITS CORP.によって販売される);およびElectron、Position、New II、Purogen HF(100%合成テルペン)(ECOLINK(商標)によって販売される)を含み得るが、それらには限定されない。本開示のキャリア液および他の成分は、米国特許第6,337,168号、米国特許第6,070,042号および米国特許第5,192,638号に記載され、それら全ては参照により本明細書に組み入れられる。
【0026】
ある例では、ステップ(a)において、液体キャリアは、インク組成物の約20〜99.5重量%を、ある例ではインク組成物の50〜99.5重量%を構成する。ある例では、ステップ(a)において、液体キャリアは、インク組成物の40〜90重量%を構成する。ある例では、ステップ(a)において、液体キャリアは、インク組成物の60〜80重量%を構成する。ある例では、ステップ(a)において、液体キャリアは、静電インク組成物の約90〜99.5%を、ある例では静電インク組成物の95〜99%を構成する。
【0027】
本明細書で述べられるように、ある例ではインク組成物は着色剤をさらに含み得る。本明細書で述べられるように、ある例では、樹脂を含む粒子はさらに着色剤を含み得る。着色剤は染料もしくは顔料であってよい。着色剤は、液体キャリアと相溶性であり、かつ静電印刷に有用である任意の着色剤であってよい。例えば、着色剤は顔料粒子として存在しても良いし、樹脂(本明細書に記載されるポリマーに加えて)および顔料を含むものでも良い。樹脂と顔料は、当技術分野に公知の一般的に使用される任意のものであってよい。ある例では、着色剤は、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料およびブラック顔料から選択される。例えば、Permanent Yellow DHG、Permanent Yellow GR、Permanent Yellow G、Permanent Yellow NCG−71、Permanent Yellow GG、Hansa Yellow RA、Hansa Brilliant Yellow 5GX−02、Hansa Yellow X、NOVAPERM(登録商標)YELLOW HR、NOVAPERM(登録商標)YELLOW FGL、Hansa Brilliant Yellow 10GX、Pemanent Yellow G3R−01、HOSTAPERM(登録商標)YELLOW H4G、HOSTAPERM(登録商標)YELLOW H3G、HOSTAPERM(登録商標)ORANGE GR、HOSTAPERM(登録商標)SCARLET GO、Permanent Rubine F6Bを含む、Hoechstによる顔料、L74−1357 Yellow、L75−1331 Yellow、L75−2337 Yellowを含むSun Chemicalによる顔料、DALAMAR(登録商標)YELLOW YT−858−Dを含むHeubachによる顔料、CROMOPHTHAL(登録商標)YELLOW 3G、CHROMOPHTHAL(登録商標)YELLOW GR、CHROMOPHTHAL(登録商標)YELLOW 8G、IRGAZINE(登録商標)YELLOW 5GT、IRGALITE(登録商標)RUBINE 4BL、MONASTRAL(登録商標)MAGENTA、MONASTRAL(登録商標)SCARLET、MONASTRAL(登録商標)VIOLET、MONASTRAL(登録商標)RED、MONASTRAL(登録商標)VIOLETを含むCiba−Geigyによる顔料、LUMOGEN(登録商標)LIGHT YELLOW、PALIOGEN(登録商標)ORANGE、HELIOGEN(登録商標)BLUE L 690 IF、HELIOGEN(登録商標)BLUE TBD 7010、HELIOGEN(登録商標)BLUE K 7090、HELIOGEN(登録商標)BLUE L 710 IF、HELIOGEN(登録商標)BLUE L 6470、HELIOGEN(登録商標)GREEN K 8683、HELIOGEN(登録商標)GREEN L 9140を含むBASFによる顔料、QUINDO(登録商標)MAGENTA、INDOFAST(登録商標)BRILLIANT SCARLET、QUINDO(登録商標)RED 6700、QUINDO(登録商標)RED 6713、INDOFAST(登録商標)VIOLETを含むMobayによる顔料、Maroon B STERLING(登録商標) NS BLACK、STERLING(登録商標)NSX76、MOGUL(登録商標)Lを含むCabotによる顔料、TIPURE(登録商標)R−101を含むDuPontによる顔料、UHLICH(登録商標)BK8200を含むPaul Uhlichによる顔料などである。
【0028】
本明細書に記載されるチャージディレクタの量は、インク組成物中のチャージディレクタの全量に関する。ある例において、複数の型のチャージディレクタがインク組成物に含まれ、その量はインク組成物中の異なる型のチャージディレクタの合計である。
【0029】
上述のように、従来技術におけるいくつかの静電インクにおいて、チャージディレクタは、インク粒子上に十分な帯電を与えるためにキャリア液に添加される。インク組成物の固形物のグラム当たり0.3mg未満の量のチャージディレクタは、もし存在しても小さな帯電効果しか示さない。方法のステップ(a)において、インク組成物は、インク組成物中の固形物のグラム当たり0.2mg未満のチャージディレクタを、ある例ではインク組成物中の固形物のグラム当たり0.1mg未満のチャージディレクタを、ある例ではインク組成物中の固形物のグラム当たり0.05mg未満のチャージディレクタを含み得る。ある例では、方法のステップ(a)において、インク組成物は、チャージディレクタを実質的に含まないか、または含まない。ある例では、方法のステップ(a)において、チャージディレクタは、例えばジルコニウムオクトアートのような脂肪酸のジルコニウム塩、スルホサクシナートの金属塩、オキシホスホナートの金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸もしくは芳香族スルホン酸の金属塩、ポリオキシエチル化アルキルアミン、レシチン、ポリビニルピロリドンおよび多価アルコールの有機酸エステルから選択されるディレクタと定義される。ある例では、方法のステップ(a)において、インク組成物は、ジルコニウムオクトアートのような脂肪酸のジルコニウム塩、スルホサクシナートの金属塩、オキシホスホナートの金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸もしくは芳香族スルホン酸の金属塩、ポリオキシエチル化アルキルアミン、レシチン、ポリビニルピロリドンおよび多価アルコールの有機酸エステルを実質的に含まないか、または含まない。ある例では、方法のステップ(a)において、インク組成物は、油溶性石油スルホナート(例えば、中性Calcium Petronate(商標)、中性Barium Petronate(商標)、および塩基性Barium Petronate(商標))、ポリブチレンサクシンイミド(例えば、OLOA(商標)1200およびAmoco575)、グリセリド塩(例えば、不飽和酸および飽和酸の置換基を持つ、リン酸化モノグリセリドおよびリン酸化ジグリセリドのナトリウム塩)、スルホン酸の、バリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩を含むがそれらに限定されないスルホン酸塩を実質的に含まないか、または含まない。ある例では、方法のステップ(a)において、インク組成物は、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸およびアルキルサクシナートのスルホン酸を含むがそれらに限定されないスルホン酸(例えばWO2007/130069を参照できる)を実質的に含まないか、または含まない。
【0030】
ある例では、チャージディレクタは物質であり、インク組成物の固形物のグラム当たり5mgのこの物質の量を、この物質を含まないインク組成物に添加するとき、24時間を超えてインク組成物の高電界電気伝導度を、少なくとも5%、ある例では少なくとも10%、ある例では少なくとも20%、ある例では少なくとも30%、ある例では少なくとも50%、ある例では少なくとも100%高める。高電界電気伝導度は、この文脈においては、23°でDC電流を用いて1500V/mmで測定される。
【0031】
静電インク組成物は、例えば帯電補助剤、ワックス、界面活性剤、殺生物剤、有機界面活性剤、粘度調整剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、相溶性付与剤、乳化剤などのような一つもしくはそれ以上の添加剤を含み得る。ある例では、方法のステップ(a)において、インク組成物は、アルミニウムステアラートを含むがそれらに限定されない脂肪酸のアルミニウム塩のようなアルミニウム塩を含む。これは、第一の電極と現像ローラの間を通過することによって帯電された後の樹脂粒子の帯電を安定化させるのに作用する。ある例では、アルミニウムステアラートを含むアルミニウム塩は、例えば酸性側基を持つ樹脂と組み合わせて使用される際にはチャージディレクタではない。
【0032】
本明細書に記載される方法は、第一の電極と現像ローラの間にインク組成物を通過させることを含み、このとき樹脂粒子が帯電して現像ローラに接着するのに十分な電圧が現像ローラと電極の間に印加される。
【0033】
ある例では、ステップ(a)において、インクは、50pmho/cmもしくはそれ未満の高電界電気伝導度を、ある例では30pmho/cmもしくはそれ未満の高電界電気伝導度を、ある例では20pmho/cmもしくはそれ未満の高電界電気伝導度を、ある例では10pmho/cmもしくはそれ未満の高電界電気伝導度を持つ。インク組成物の高電界伝導度は、1500V/mmでDC電流を用いて23℃で測定された。
【0034】
ある例では、ステップ(a)において、インクは、10pmho/cmもしくはそれ未満の低電界電気伝導度を、ある例では5pmho/cmもしくはそれ未満の低電界電気伝導度を、ある例では2pmho/cmもしくはそれ未満の低電界電気伝導度を、ある例では0pmho/cmもしくはそれ未満の低電界電気伝導度を持つ。低電界電気伝導度は、一定振幅の交流電圧を2つの平行な電極に印加し、流体を通る電流を観測することで測定され、この場合は電界振幅は5V/mmであり、周波数は5Hzであり、温度は23℃であった。
【0035】
第一の電極は、現像ローラと第一の電極の間に電圧を印加できる任意の好適な電極であってよい。電極は、現像ローラに対して静止していてよい。第一の電極は、少なくとも部分的に、現像ローラの少なくとも部分の形状に対応する形状を持ち得る。例えば、現像ローラが軸を持つシリンダであるとき、電極は、シリンダの形状の部分を形成する内部表面を持っていてよく、このシリンダの形状の軸は現像ローラのシリンダのそれと同一であってよい。ある例では、第一の電極は、インク組成物の貯蔵容器の壁もしくは壁の部分を形成し得る。ある例では、第一の電極と実質的に同一の電圧であるか、同一の電圧である第二の電極が存在し、第二の電極は第一の電極および現像ローラと近接して配置される。ある例では、第一の電極と第二の電極は、一緒になってインク組成物の貯蔵容器の壁もしくは壁の部分を形成し得る。
【0036】
ある例では、現像ローラと第一の電極の間に隙間が存在する。ある例では、第一の電極と現像ローラの間の隙間は少なくとも100μm、ある例では少なくとも200μm、ある例では少なくとも300μmである。ある例では、第一の電極と現像ローラの間の隙間は、100μmから1000μmであり、ある例では100μmから800μmであり、ある例では100μmから700μmであり、ある例では200μmから600μmであり、ある例では200μmから600μmであり、ある例では300μmから500μmであり、ある例では350μmから450μmである。
【0037】
合う例では第一の電極は、ローラもしくはベルトの形状であってよく、現像ローラの表面と同じ方向に稼動することができ、そして現像ローラの表面と接触できる表面を持つ。第一の表面が、例えばシリンダのようなローラの形状であるとき、第一の電極のローラは、現像ローラの直径より小さい直径を持つ。
【0038】
第一の電極は、金属および炭素を含むがそれらには限定されない導電性材料を含み得る。電極は、銅、アルミニウムおよびスチールから選択される金属を含み得る。
【0039】
方法において、樹脂粒子が帯電して現像ローラに接着のに十分な電圧が現像ローラと第一の電極の間に印加される。現像ローラと電極の間の電圧は、1200Vもしくはそれ以上であり、ある例では1300Vもしくはそれ以上であり、ある例では1350Vもしくはそれ以上であり、ある例では1400Vもしくはそれ以上であり、ある例では1500Vもしくはそれ以上であり、ある例では1800Vもしくはそれ以上であり、ある例では2000Vもしくはそれ以上であり、ある例では2400Vもしくはそれ以上である。
【0040】
ある例では、電極に印加される電圧は、−1800Vもしくはそれ未満(すなわち、より負)であり、ある例では−2000Vもしくはそれ未満であり、ある例では−2200Vもしくはそれ未満であり、ある例では−2200Vもしくはそれ未満であり、ある例では−2500Vもしくはそれ未満であり、かつ、現像ローラは電極よりもより正である電圧にある。現像ローラは、例えば、−600Vもしくはそれ以上の、ある例では−550Vもしくはそれ以上の、ある例では−500Vもしくはそれ以上の、ある例では−450Vもしくはそれ以上の、ある例では−400Vもしくはそれ以上の電圧であり得る。
【0041】
ある例では、電極に印加される電圧は、1800Vもしくはそれ以上(すなわち、より正)であり、ある例では2000Vもしくはそれ以上であり、ある例では2200Vもしくはそれ以上であり、ある例では2200Vもしくはそれ以上であり、ある例では2500Vもしくはそれ以上であり、かつ現像ローラは電極よりも、より正ではない電圧を持つ。現像ローラは、例えば、600Vもしくはそれ未満の、550Vもしくはそれ未満の、500Vもしくはそれ未満の、450Vもしくはそれ未満の、400Vもしくはそれ未満の電圧であり得る。
【0042】
本明細書に記載される装置は、本明細書の方法を実施するように構成され得る。本明細書に記載される装置は、本明細書に記載される電圧を印加するよう構成され得る。装置は、本明細書に記載される方法を実施するか、ならびに/または本明細書に記載される電圧を印加するようにプログラムされ得る。装置は、本明細書に記載される方法を実施するか、ならびに/または本明細書に記載される電圧を印加するような指示を含むソフトウェアおよびハードウェアによって制御され得る。
【0043】
方法において、現像ローラの表面は、0.1〜5m/秒の速度で、ある例では1〜3m/秒の速度で、ある例では1.5〜2.5m/秒の速度で、ある例では約3m/秒の速度で移動し得る。
【0044】
現像ローラと第一の電極の間の隙間における電圧の勾配は、少なくとも約1×10
5V/mであってよく、ある例では約5×10
5V/mであってよく、ある例では約1×10
6V/mであってよく、ある例では約2×10
6V/mであってよく、ある例では約3×10
6V/mであってよく、ある例では約4×10
6V/mであってよく、ある例では約5×10
6V/mであってよく、ある例では約5.5×10
6V/mであってよく、ある例では約6×10
6V/mであってよい。現像ローラと第一の電極の間の隙間における電圧の勾配は、約1×10
5V/m〜約1×10
8V/mであってよく、ある例では約1×10
5V/m〜約1×10
7V/mであってよく、ある例では約1×10
6V/m〜約1×10
7V/mであってよく、ある例では約2×10
6V/m〜約8×10
6V/mであってよく、ある例では約2×10
6V/m〜約7×10
6V/mであってよく、ある例では約2×10
6V/m〜約7×10
6V/mであってよく、ある例では約3×10
6V/m〜約6×10
6V/mであってよい。勾配電圧は、現像ローラと第一の電極の間の電極の差異を測定し、この電圧の差異を、現像ローラと第一の電極の間の最も近い点における隙間の距離によって割ることによって計算され得る。
【0045】
第一の電極は、現像ローラより下に配置され得、第一の電極と現像ローラの間の分離が隙間を形成する。方法は、静電印刷プロセスのためのインクが現像ローラと第一の電極の間の隙間を満たすか、もしくは少なくとも部分的に満たし、そしてステップ(a)において電圧が樹脂を含む粒子が現像ローラに接着するように印加されるようであり得る。
【0046】
ある例において、第一の電極は、現像ローラの下であり、かつ濃縮される(ステップ(a)において)べきインク組成物の貯蔵容器中に配置されるローラを含む。
【0047】
現像ローラ
現像ローラは金属を含み得る。ある例において、現像ローラは、弾性物質を含む表面カバーを持つ金属を含み得る。例えば、現像ローラは、弾性物質を含む外部表面層を持つ金属のコアを含み得る。金属はスチール、アルミニウムおよび銅から選択され得るがそれらには限定されない。表面カバーもしくは外部表面層は、弾性物質と、弾性物質中に分散し得る抵抗制御剤とを含み得る。抵抗制御剤は、弾性物質の抵抗を(前記抵抗制御剤を含まない同一の物質と比較して)増加させたり減少させたりできる。弾性物質は、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴム、フルオロエラストマー(市販のVitonのような)、およびポリウレタンから選択される物質を含み得る。
【0048】
弾性物質中に分散され得る抵抗制御剤は、イオン性物質、金属もしくは炭素から選択され得る。イオン性物質は、第四級アンモニウム化合物であってよい。弾性物質中に分散され得る抵抗制御剤は、有機染料、有機顔料、有機塩、高分子電解質、無機塩、可塑剤、無機顔料、金属粒子、電荷移動錯体もしくは例えばポリウレタンのような弾性物質と共に電荷移動錯体を作製する物質から選択され得る。抵抗制御剤は、表面カバーの0.1〜6重量%の量で存在し得、ある例では残余の重量パーセントは弾性物質である。抵抗制御剤は、例えば式(NR
1’R
2’R
3’R
4)X’〔式中、R
1’、R
2’、R
3’およびR
4はそれぞれ独立して、炭化水素基であり、アルキルもしくはアリール基を含むがそれらには限定されず、そしてアルキルは、置換もしくは不置換、分岐もしくは直鎖、飽和もしくは不飽和であり、そしてX’はハライドのようなアニオンである〕の化合物のような第四級アンモニウム化合物であってよいか、またはそれを含み得るものである。第四級アンモニウム化合物の例は、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドを含むがそれらには限定されない。ある例において、抵抗制御剤はリチウム塩である。
【0049】
現像ローラが弾性物質を含む外部表面層を持つ金属コアを含み、ローラと金属ロッドが接触し、約340mmのローラに沿う接触部の全面積が約1cmであるときに、現像ローラの表面の抵抗は、1×10
5Ohm
*m〜1×10
8Ohm
*m、ある例では1×10
5Ohm
*m〜1×10
8Ohm
*mであり得る。
【0050】
スキージローラ
ある例において、方法は、スキージローラを用いること、またはスキージローラをさらに含む装置を含む。スキージローラは現像ローラに近接して配置され得る。ある例において、スキージローラの表面と現像ローラの表面は、インク組成物がないときに接触している。ある例において、スキージローラと現像ローラの一つもしくはその両方は、圧縮可能な表面を持つ。使用の際、スキージローラは、現像ローラと逆の方向に回転するよう構成され得る。
【0051】
スキージローラは金属を含み得る。ある例において、スキージローラは、弾性物質を含む表面カバーを持つ金属を含み得る。例えば、スキージローラは金属のコアを含み得、金属のコアは弾性物質を含む外部表面層を含み得る。金属はスチール、アルミニウムおよび銅から選択され得るがそれらには限定されない。表面カバーもしくは外部表面層は、弾性物質と、弾性物質中に分散し得る抵抗制御剤とを含み得る。抵抗制御剤は、弾性物質の抵抗を(前記抵抗制御剤を含まない同一の物質と比較して)増加させたり減少させたりできる。弾性物質は、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴム、フルオロエラストマー(市販のVitonのような)、およびポリウレタンから選択される物質を含み得る。
【0052】
弾性物質中に分散され得る抵抗制御剤は、イオン性物質、金属もしくは炭素から選択され得る。イオン性物質は、第四級アンモニウム化合物であってよい。弾性物質中に分散され得る抵抗制御剤は、有機染料、有機顔料、有機塩、高分子電解質、無機塩、可塑剤、無機顔料、金属粒子、電荷移動錯体もしくは例えばポリウレタンのような弾性物質と共に電荷移動錯体を作製する物質から選択され得る。抵抗制御剤は、表面カバーの0.1〜6重量%の量で存在し得、ある例では残余の重量パーセントは弾性物質である。抵抗制御剤は、例えば式(NR
1’R
2’R
3’R
4)X’〔式中、R
1’、R
2’、R
3’およびR
4はそれぞれ独立して、炭化水素基であり、アルキルもしくはアリール基を含むがそれらには限定されず、そしてアルキルは、置換もしくは不置換、分岐もしくは直鎖、飽和もしくは不飽和であり、そしてX’はハライドのようなアニオンである〕の化合物のような第四級アンモニウム化合物であってよいか、またはそれを含み得るものである。第四級アンモニウム化合物の例は、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドを含むがそれらには限定されない。ある例において、抵抗制御剤はリチウム塩である。
【0053】
ある例において、スキージローラと現像ローラの間の電圧の差は少なくとも200Vであり、ある例では少なくとも250Vであり、ある例では少なくとも300Vであり、ある例では少なくとも350Vであり、ある例では少なくとも380Vであり、ある例では少なくとも400Vである。ある例では、スキージローラに印加される電圧は、−600Vもしくはそれ未満であり、ある例では−650Vもしくはそれ未満であり、ある例では−700Vもしくはそれ未満であり、ある例では−750Vもしくはそれ未満であり、ある例では−780Vもしくはそれ未満であり、ある例では−800Vもしくはそれ未満である。ある例では、スキージローラに印加される電圧は、−600V〜−900Vであり、ある例では−550V〜−950Vである。
【0054】
ある例において、スキージローラに印加される電圧は600Vもしくはそれ以上であり、ある例では650Vもしくはそれ以上であり、ある例では700Vもしくはそれ以上であり、ある例では750Vもしくはそれ以上であり、ある例では780Vもしくはそれ以上であり、ある例では800Vもしくはそれ以上である。ある例では、スキージローラに印加される電圧は、600V〜950Vであり、ある例では550V〜950Vである。
【0055】
ある例では、電極が現像ローラよりも、より負の電圧であるとき、スキージローラもまた現像ローラよりも、より負の電圧である。ある例では、電極が、現像ローラよりも、より正の電圧であるとき、スキージローラもまた現像ローラよりもより正の電圧である。
【0056】
ある例において、装置は現像ローラと係合するスキージローラをさらに含み、ここで、使用の際、スキージローラが現像ローラと逆方向に回転し、電圧がスキージローラと現像ローラの間に印加され、スキージローラと現像ローラの間の電圧の差が少なくとも200Vである。
【0057】
ある例において、ステップ(a)のインク組成物は、樹脂を含む粒子が懸濁されているキャリア液をさらに含み、ステップ(b)の後およびステップ(c)の前に現像ローラが回転して現像ローラ上の樹脂粒子と液体キャリアとがスキージローラのニップと現像ローラの間を通過するようにし、ここで、スキージローラは現像ローラと逆の方向に回転しており、そして電圧が現像ローラとスキージローラの間に印加されて粒子が現像ローラに向かって移動するようされ、このときに現像ローラ上に粒子と共に存在するいくらかの液体キャリアが除去され、そして、スキージローラと現像ローラの間の電圧の差が少なくとも200Vである。スキージローラのニップはおよび現像ローラは、それらの表面がお互いに最短になるような点にある。
【0058】
ある例において、インク組成物中の少なくともいくらかの粒子は、現像ローラからフォトイメージングプレートに移送される前に、第一の電極を複数回通り過ぎて巡回する。
【0059】
ある例において、フォトイメージングプレートと現像ローラが係合していない状態にあるときにインク組成物中の少なくともいくらかの粒子は、現像ローラからフォトイメージングプレートに移送される前に、第一の電極を複数回通り過ぎて巡回するが、その後、現像ローラとフォトイメージングプレートが係合すると、粒子の少なくともいくらかを現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送する。係合していない状態は、フォトイメージングプレートと現像ローラの間が分離している状態であってよい。分離は、粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送することを妨げるような状態であってよい。係合した状態は、粒子が接触して現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送するのに十分なほど現像ローラとフォトイメージングプレートが近づいている状態であってよい。係合した状態は、粒子が存在しないときに現像ローラとフォトイメージングプレートが接触しているような状態であってよい。
【0060】
ある例において、フォトイメージングプレートは軸上で回転するシリンダの形状にあり、かつ現像ローラが軸上を回転し、現像ローラとフォトイメージングプレートの軸は、現像ローラとフォトイメージングプレートが係合していない状態から係合した状態へと移行できるようにお互いに対して作動可能である。ある例において、装置は、係合していない状態において、粒子が現像ローラからフォトイメージングローラへと移送されることなく、樹脂を含む粒子を含むインク組成物を電極を通過して循環させ、係合した状態において、粒子を現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送できる。
【0061】
ある例において、係合していない状態において、現像ローラと、もし存在するならスキージローラは回転し、現像ローラと第一の電極の間に、そしてもしスキージローラが存在するなら、現像ローラとスキージローラの間に電圧が印加されて粒子が帯電されて現像ローラに向かって移動するが、現像ローラからフォトイメージングローラへの粒子の移送が起きないようにされ、ある例において、現像ローラと第一の電極の間に電圧が印加され、そしてもしスキージローラが存在する時、現像ローラとスキージローラは本明細書に記載されるようなものであり得る。ある例において、現像ローラ上の粒子の少なくともいくらかは、係合していない状態においてスキージローラを通過したのち、現像ローラから取り除かれ、ある例において、第一の電極と現像ローラの間の隙間に戻り、再び現像ローラに接着し、そしてある例において、係合状態において現像ローラがフォトイメージングプレートと係合し、粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移動する前にこれは一回もしくはそれ以上繰り返され得る。
【0062】
ある例において、係合していない状態において、粒子は第一の電極と現像ローラの間を通過し、現像ローラと第一の電極の間に樹脂粒子の少なくともいくらかが帯電して現像ローラへと接着するのに十分な電極が印加され、現像ローラがフォトイメージングプレートと係合して粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移動できる係合状態になる前に、現像ローラは全周期を複数回回転する。複数回は、少なくとも2回転であってよく、ある例では少なくとも5回転であってよく、ある例では少なくとも10回転であってよく、ある例では少なくとも20回転であってよく、ある例では少なくとも40回転であってよく、ある例では少なくとも50回転であってよく、ある例では少なくとも100回転であってよい。
【0063】
ある例において、装置は係合していない状態にあってよく、現像ローラがフォトイメージングプレートと係合して粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移動できる係合状態になる前に、粒子は0.1秒〜60秒の間に、ある例では0.5秒〜30秒の間に、ある例では0.5秒〜15秒の間に、ある例では0.5秒〜10秒の間に電極を通過して巡回する。
【0064】
方法は、粒子の少なくともいくらかを現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送してフォトイメージングプレート上に画像を形成するステップを含む。ある例において、粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移動するように現像ローラとフォトイメージングプレートの間に電荷が印加される。ある例において、フォトイメージングプレートは現像ローラに対して正の電圧であってよい。ある例において、フォトイメージングプレートは現像ローラに対して負の電圧であってよい。ある例において、第一の電極と、もし存在するならスキージローラとは、現像ローラよりも、より正の電圧であり、フォトイメージングプレートは、現像ローラよりも、より正の電圧である。ある例において、第一の電極と、もし存在するならスキージローラとは、現像ローらよりも、より負の電圧であり、フォトイメージングプレートは現像ローラよりも、より負の電圧である。
【0065】
画像がフォトイメージングプレート上に形成されると、ある例においては中間転写部材を介して、画像が印刷媒体へと転写される。
【0066】
中間転写部材は、圧縮可能な表面層を持つ回転ドラムであってよく、それは例えば80〜160℃、ある例では90〜130℃、ある例では100〜110℃に加熱されていてもよい。
【0067】
印刷媒体は、任意の好適な基体であってよいかまたは任意の好適な基体を含む。印刷媒体は、その上に印刷された画像を持つことができる任意の好適な基体であってよい。印刷媒体は、有機物質もしくは無機物質より選択される物質を含んでよい。物質は、例えばセルロースのような天然ポリマー物質を含んでよい。物質は、ポリエチレンおよびポリプロピレンならびにスチレンポリブタジエンのようなコポリマーを含むがそれらに限定されない例えば、アルキレンモノマーより生成されるポリマーのような合成ポリマー物質を含んでよい。ポリプロピレンは、二軸延伸ポリプロピレンであってよい。材料は、シート形状であり得る金属を含んでよい。金属は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、銅(Cu)、それらの混合物から選択され得るか、それらより作製され得る。ある例では、印刷媒体はセルロース紙を含む。ある例では、セルロース紙は、例えばスチレン−ブタジエン樹脂より形成されるポリマーのようなポリマー物質によってコートされる。ある例では、セルロース紙は、(インクによる印刷前に)その表面にポリマー材料と共に結合した無機物質を持ち、ここで無機物質は、例えば、カオリナイトもしくは炭酸カルシウムから選択できる。印刷媒体は、ある例では、紙のようなセルロース印刷媒体である。セルロース印刷媒体は、ある例では例えばポリマー物質をその上にコートされたようなコートされたセルロース印刷媒体である。
【0068】
一態様において、本明細書に記載される方法によって印刷された印刷媒体が提供される。
【0069】
ある例において、装置は、インクを現像ローラから除去するためのローラをさらに含み得る。そのようなインクは、インクがフォトイメージングプレートへと移送されないときに、装置を用いる方法において除去され得る。フォトイメージングプレートと第一の電極の間の位置に一つもしくはそれ以上のさらなるローラが配置され得る。粒子が現像ローラからインク除去のためのローラへと移動するように、第一のローラとインク除去のためのローラの間に電圧が印加され得る。
【0070】
上述のように、一態様において、その上に印刷がなされた印刷媒体において、エチレンもしくはプロピレンとアクリル酸およびメタクリル酸のいずれかのエチレン性不飽和酸とのコポリマーである第一のポリマーを含む樹脂を含むインク組成物が提供され、静電インインク組成物はチャージディレクタを実質的に欠く。ある例において、第一のポリマーがエステル基を含まず、樹脂はさらに、(i)エステル化アクリル酸もしくはエステル化メタクリル酸から選択されるエステル側基を持つ第一のモノマー、(ii)アクリル酸もしくはメタクリル酸から選択される酸性側基を持つ第二のモノマー、ならびに(iii)エチレンおよびプロピレンから選択される第三のモノマーのコポリマーである、エステル側基を持つ第二のポリマーをさらに含む。
【0071】
一態様において、静電印刷のための装置が提供され、装置は、
第一の電極、現像ローラおよびフォトイメージングプレートを含み、
ここで第一の電極と現像ローラは、使用の際、間隔を画定するように離れて配置され、
フォトイメージングプレートは現像ローラに近接して配置され、
装置は、第一の電極と現像ローラの間に少なくとも1400Vもしくはそれ以上の差の電圧を印加するよう画定される。第一の電極、現像ローラおよびフォトイメージングプレートは本明細書に記載されるようなものである。
【0072】
本明細書に記載される方法の非限定的な例が
図1に示される。ステップ1Aは、樹脂を含む粒子を含むインク組成物を提供し、ここでインク組成物はインク組成物の固形物1グラム当たり0.3mg未満のチャージディレクタを含む。ステップ1Bは、第一の電極と現像ローラの間にインク組成物を通過させ、樹脂粒子が帯電して現像ローラに接着するようにする。ステップ1Cは、粒子の少なくともいくらかを現像ローラからフォトイメージングプレートへと移送させる。ステップ1Dは、フォトイメージングプレートから印刷媒体へと画像を転写する。
【0073】
本明細書に記載される装置と方法の非限定的な例が
図2を参照してここに記載される。
【0074】
図2は、静電印刷装置100を示す。装置はブランケットドラム101、光伝導性ドラムの形状のフォトイメージングドラム102、および装置のバイナリインク現像装置部(Binary Ink Development;BID)104を含む。
【0075】
バイナリインク現像装置104は、その中にBIDの他の構成要素が配置される筐体106を含む。筐体106は、最終的に媒体シート118上に画像を形成するのに使用されるインクを貯蔵するインクトレイ108を画定する。ある例では、インクは、液体キャリア含む粒子を含むインク組成物であり、ここで粒子はその中に分散された樹脂を含む。
【0076】
BID104は、第一の電極110と第二の電極112を含む。第一の電極110と第二の電極の112の両方は、負の電圧であり、例えば−1800ボルトもしくはそれ未満である。第一の電極と第二の電極は、入口チャンバ111を画定する。
【0077】
第一の電極は、現像ローラ114の湾曲した外部表面の形状と実質的に対応する形状にある。使用の際、樹脂を含む粒子を含むインク組成物は、入口チャンバ111へと移動し、液体インク組成物がチャンバ111の頂点に到達するまでそこを満たし、回転する現像ローラ114を接触する。本願発明者は、第一の電極110と現像ローラの間に十分な電圧が印加されると、樹脂含有粒子は、チャージディレクタを含まずに十分に帯電することを見出した。インクがフォトイメージングプレート102へと移送される前にBIDの周りにインクの循環があると、樹脂粒子の帯電は促進される。この循環は以下により詳細に記載される。
【0078】
現像ローラ114は、電極110よりも、より負の電圧にあり、例えば、−200〜−600ボルトである。現像ローラ114は、
図2に示されるように回転する。液体インク組成物が現像ローラに接触すると、粒子は電場中で現像ローラに向かい接着するように移動する。液体キャリアのいくらかは粒子と共に現像ローラに残る。
【0079】
BID104は、現像ローラに対し逆の方向に回転するスキージローラ116を含み、スキージローラは現像ローラ114よりも、より負の電圧であり、例えば−600〜−1000ボルトである。現像ローラ114が回転するとき、現像ローラ上のインク組成物はスキージローラと接触するようにされる。インクが存在しないときスキージローラは現像ローラへと圧着され、スキージローラと現像ローラのいずれか一方もしくはその両方は、圧着可能な表面を持つ。インクが現像ローラとスキージローラの間を通過するとき、現像ローラとスキージローラの間の電圧の差によって樹脂含有粒子は現像ローラへと向かって移動するようにされ、粒子と結合した液体キャリアのいくらかは除去され、現像ローラ上のインクは濃縮される。除去された液体キャリアは空洞117へと流れ落ち、そして空洞117と流体接続したインクトレイ108へと移動する。
【0080】
装置は、
図2に示されるように、現像ローラ114に対して反対の方向に回転する光伝導性ドラム102をさらに提供する。インクがスキージローラによって現像ローラ上に濃縮された後に、それは現像ローラの回転に従って、光伝導性ドラム102に到達するまで現像ローラの周りを移動する。現像ローラ114上に残ったインクは
図2に示されるように現像ローラ114に対して反対の方向に回転する光伝導性ドラム102へと選択的に移送される。光伝導性ドラム102は、媒体シート118の上に形成されることが望まれる画像に対応して、あらかじめ選択的に帯電している。現像ローラ114上のインクは、光伝導性ドラム102の選択的に帯電されたドラム102の位置へと移送される。それゆえ、光伝導性ドラム102はブランケットドラム101と接触し、それは媒体シート118と接触してインクを媒体シート118へと転写する。この方法において、所望の画像は媒体シート118上に形成される。ドラム101と102は
図2に示されるように回転する。
【0081】
現像ローラ114から光伝導性ドラム102へと移送されなかったインクは、未使用のインクと呼ぶ。BID104は、
図2に示されるように回転する洗浄ローラ120を含み、これは現像ローラよりも、より負の電圧であり、例えば−100〜250ボルトである。洗浄ローラ120は、現像ローラ114から未使用のインクを削除する。
【0082】
BID104は、洗浄ローラ120と同じ方向に回転するスポンジローラ112を含む。スポンジローラ122は、その中にいくつかの開放セルもしくは孔を持つ。例えば、スポンジローラ122は、開放セルポリウレタン発泡体から製造できる。スポンジローラ122は圧縮でき、第二の電極112、洗浄ローラ120およびBID104のスキージローラ130によって妨害されるその経路において圧縮される。
【0083】
スポンジローラ122は、現像ローラ114から洗浄ローラ120によって、およびワイパーブレード124によって削除された未使用のインクを吸収する。すなわち、スポンジローラ122によって吸収されなかった洗浄ローラ120上に残った任意の未使用のインクは、ワイパーブレード124によって洗浄ローラ120からスポンジローラ122へと擦り取られる。ワイパーブレード124は、BID124のワイパー機構126の一部であり、ワイパー機構126はまた、ワイパー(バック)壁128を含む。
【0084】
圧縮ローラ130は、再利用のために、スポンジローラ122に吸着した未使用のインクを絞り出す(すなわち解放する)。このように、圧縮ローラ130によってスポンジローラ122から解放された実使用のインクは、インクトレイ108へと帰る。スポンジローラ122は、未使用のインクの固形物部分を解放して、インクトレイ108中で、より濃縮されていないインクとそれを均一に混合できるようにするよう作用する。圧縮ローラ130は、スポンジローラ122を圧縮することによってスポンジローラ122から未使用のインクを解放する。すなわち、圧縮ローラ130は、スポンジローラ122を圧縮して未使用のインクをスポンジローラ122から解放する。
【0085】
スポンジローラ122は弾力性物質より作製されるため、圧縮されたのちに、続けて膨張する。
【0086】
上述のように、一例では、インク組成物はフォトイメージングプレート102へと移送される前にBID内を循環する。一例では、現像ローラ114は、BIDの他の構成要素の要求によりフォトイメージングプレート102に対して作動可能であって、現像ローラ114の表面とフォトイメージング102の表面が係合しないようになったり分離したりできるようにされる。ある例では、方法の開始ステップとして、フォトイメージングプレート102の表面と現像ローラの表面は係合しないようになり、インクがBID104の周りを流れ、例えば現像ローラ114上をスキージローラを通過して洗浄ローラへと循環し、そこで除去され、上述の印刷プロセスに入るときにそれぞれのローラはそれへと印加される電圧を持ち、インクはトレイ108へと帰り、そしてその後現像ローラへと入口チャンバを通って移送される。この係合していない状態での循環の後、現像ローラとフォトイメージングプレートとが係合し、粒子が現像ローラからフォトイメージングプレートへと移動できるようになる。
【実施例】
【0087】
以下の実施例は、発明者に知られる本願の装置および方法のいくつかの変形を例示する。しかしながら、以下のものは、本願の装置および方法の本質的な用途の例もしくは例示でしかないことは理解されるべきである。本願の装置および発明の精神および範囲から離れることなく多くの修正のおよび代替の装置および方法は当業者によって想到し得る。添付の請求項はそのような修正および変形を包含することが意図されている。このように、本願の装置および方法は、具体的に上述されるが、以下の実施例は、何がいま許容できると認識されるかということに関連してより詳細な点を与える。
【0088】
本願発明者は、インクを用いる多くの試験を実施して、静電印刷プロセスにおいてチャージディレクタを欠いた静電インク組成物を印刷して合理的な品質の印刷画像を得ることが可能であることを証明した。
【0089】
試験において、本願発明者は、
図2に図示されるBID、フォトイメージングプレート102、ブランケットドラム101ならびにブランケットドラム102のあとで媒体シート118を通過させる手段を備えるシリーズII HP−Indigo デジタルプレスを用いた。彼らは、以下に詳細に説明される二つの異なるインク組成物を使用し、それらのいずれもチャージディレクタを欠いている。
【0090】
チャージディレクタを欠いた静電インク組成物の調製
組成物A−「Coral」組成物
この例は、チャージディレクタを欠いたインク組成物/配合を説明する。このインク組成物は、それぞれ72:18:10の重量比の樹脂Nucrel925、Nucrel2806およびBynel2022の配合を用い、Isopar Lによってペーストを作製するよう調製され、ペーストは、顔料、VCA(ジ/トリ Alステアラート塩)およびHPBが添加された。このインクは、Isoparおよび/もしくはMarcolのような重油を添加することによってワーキング分散液の固形物濃度へと希釈された。
【0091】
インク組成物を作成する一般的な手順を以下に記載する。
【0092】
第一のステップとして、それぞれ72:18:10の重量比の樹脂Nucrel925、Nucrel2806およびBynel2022が、Ross二軸プラネタリーミキサーによって1500グラムのIsopar L(EXXONによって製造されるイソパラフィン油)キャリア液によって60rpmの速度で130℃の温度で1時間混合された。それぞれの場合において、樹脂の全量は1000グラムであった。温度が下げられ、混合は混合物が室温になるまで続けられた。混合中、ポリマーは、Isoparを溶媒和し、冷却中に、キャリア液中のポリマー(溶媒和したキャリア液とともに)の顆粒が形成された。
【0093】
第二のステップにおいて、第一のステップで作製された1000グラムの混合物が帯電補助剤としての5グラムのアルミニウムトリステアラートおよび適切な量の顔料と共にUion Process 1Sボール磨砕機へと充填された。シアン組成物を作製するために、顔料TB5およびBSG87が添加され、それらは組成物の固形物の12.1重量%および0.9重量%を形成した。TB5は主要なシアン顔料であり、TOYO社によって供給されるフタロシアニン顔料ブルー15:3を示す。BSG87は、二次的なシアン顔料であり、BASF社によって供給されるフタロシアニン顔料グリーン7を示す。
【0094】
ブラックインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)15.8重量%および3.2重量%の顔料Monarch800およびAlkali Blue D6200(それぞれ、CabotおよびFlingグループより入手可能)と置き換えられた。イエローインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)11.2重量%および2.8重量%の顔料Paliotol Yellow D1155およびPaliotol Yellow D1819(いずれもBASFより入手可能)と置き換えられた。マゼンタインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)18重量%および2.5重量%の顔料Permanent Carmine FBB02およびQuindo Magenta122( それぞれ、ClariantおよびSun Chemicalより入手可能 )と置き換えられた。
【0095】
上で作製されたNucrel925、Nucrel2806およびBynel2022の樹脂粒子を含むトナー濃縮物は調製タンクへと移送され、追加のIsopar Lによって希釈され、Isopar Lであるキャリア液を98%含むおおよそ5%NVSを持つトナーをもたらした。
【0096】
トナー粒子のNVSに関して4.5%の重量パーセントであるIsopar−Lに懸濁されたワックス粒子が添加された。ワックスはHoneywellより入手可能なポリエチレンワックスAcumist B6であった。
【0097】
上述のように作製されたインク組成物はチャージディレクタを欠く。
【0098】
組成物B−「EI4.5」組成物
この例は、同様にチャージディレクタを欠くさらなるインク組成物の作製を記載する。このインク組成物は、磨砕機S1と呼ばれる研究室の破砕ツールを用いて、以下の表Aに説明されるような配合を混合することによって作製された。
【表1】
【0099】
上に用いられる「樹脂」は、重量比4:1のDuPontから入手可能なNucrel699およびHoneywellから入手可能なA−C5120であった。
【0100】
TB5は主要なシアン顔料であり、TOYO社によって供給されるフタロシアニン顔料ブルー15:3を示す。BSG87は、二次的なシアン顔料であり、BASF社によって供給されるフタロシアニン顔料グリーン7を示す。ブラックインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)15.8重量%および3.2重量%の顔料Monarch800およびAlkali Blue D6200(それぞれ、CabotおよびFlingグループより入手可能)と置き換えられた。イエローインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)11.2重量%および2.8重量%の顔料Paliotol Yellow D1155およびPaliotol Yellow D1819(いずれもBASFより入手可能)と置き換えられた。マゼンタインク組成物のために、TB5およびBSG87は、それぞれ(組成物の固形物の)18重量%および2.5重量%の顔料Permanent Carmine FBB02およびQuindo Magenta122(それぞれ、ClariantおよびSun Chemicalより入手可能 )と置き換えられた。
【0101】
VCAは、Riedel de−Haanより入手可能なアルミニウムトリステアラートおよびパルミタート塩を示す。
【0102】
HPBは、Honeywell社より商品名AcumistB6として入手可能であるホモポリマーポリエチレンワックスを示す。
【0103】
DS72は、Degussa−Evonikより商品名Aerosil R7200として入手可能なシリカ粉末である。
【0104】
Sol−Lは、EXXONによって製造されるイソパラフィン油であるIsopar Lを指す。
【0105】
HPBは、後からインク組成物へと混合しながら添加された。
【0106】
破砕は二段階のステップ:
i)高温ステージ−53℃1.5時間
ii)低温ステージ−45℃10.5時間
で実施された。
【0107】
これにより約20%の固形物含量を持つインクが作製された。インクは3%NVSへと希釈され、表Bに示されるような以下の添加剤が添加された。
【表2】
【0108】
W12はテフロン粉末である。
Marcolは0.83gr/ccの粘度を持つ高粘性のパラフィンオイルである。
HPBは、Honeywell社より商品名AcumistB6として入手可能であるホモポリマーポリエチレンワックスを示す。
【0109】
上述のインク組成物はチャージディレクタを欠く。
【0110】
結果
本願発明者は第一の電極、現像電極、スキージローラおよび洗浄ローラにおけるさまざまな電圧の組み合わせを試験した。これら試験のいくらかの結果が以下の表1に示される(全ての電圧はVの単位の負の電圧である)。
【0111】
【表3】
【0112】
本願発明者は、特定のインク(チャージディレクタを欠く)に対して、表2に示される電圧を用いて最良の印刷結果が得られることを見出した(全ての電圧はVの単位の負の電圧である)。
【0113】
【表4】
【0114】
上述の表1および2において、Kはブラックを示し、Cはシアンを示し、Mはマゼンタを示し、そしてYはイエローを示す。
【0115】
比較のために、特定のインク(チャージディレクたを含む)に対する最良の印刷結果が表3に示される電圧を用いて得られた(全ての電圧はVの単位の負の電圧である)。ここで用いられるインクは、Hewlett Packardより入手可能なElectroink4.5シリーズからのものであり、それぞれは固形物1グラム当たり15mgのチャージディレクタを含む。チャージディレクタは、(i)天然大豆レシチン、(ii)塩基性バリウムペトロナート、および(iii)ドデシルベンゼンスルホン酸の成分を相対重量比6.6:9.8:3.6で持つ天然チャージディレクタであった。印刷装置は、HP Indigo 7000プレスであった。PIP放電電圧は−50Vであった。
【0116】
【表5】
【0117】
発明が特定の例を参照して説明されているが、当業者なら本開示の精神を離れることなくさまざまな修正、変化、省略、および置換をなしえることを理解し得るであろう。それゆえ、本発明は以下の請求項の範囲によってのみ限定されることが意図されている。他に特に言及されていない限り、任意の従属請求項の特徴は他の任意の従属項の特徴と組み合わせることができる。