(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969652
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ランバーサポートアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60N 2/66 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
B60N2/66
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-91357(P2015-91357)
(22)【出願日】2015年4月28日
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0047723
(32)【優先日】2015年4月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515116065
【氏名又は名称】ディーエスシー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チョ チャンギ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン インウン
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−019452(JP,A)
【文献】
特開昭61−037212(JP,A)
【文献】
実開平01−143958(JP,U)
【文献】
特開2003−159149(JP,A)
【文献】
特開昭61−037213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシート内部のシートバックフレームに設置されて搭乗者の背部位を支持するランバーサポートアセンブリにおいて、
前記シートバックフレームに結合されるサスペンションマットと、
前記サスペンションマットに結合されたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに結合され、一側には前記ガイドボックスの内部に位置されるスピンドル軸が備えられたアクチュエータと、
前記スピンドル軸にねじ結合され、前記スピンドル軸の回転に従い、互いに反対方向にスライド移動する一対のスピンドルナットと、
各各の一端が前記シートバックフレームに結合され、他端が前記一対のスピンドルナットに各々結合される一対のケーブルと、を含み、
前記ガイドボックスは半分された形状からなり、相互結合される上部及び下部ハウジングからなり、前記上部及び下部ハウジングの各々の内側面には案内溝が相互向き合うように形成され、
前記上部及び下部ハウジングの各々の内側面に形成された案内溝では長さ方向に沿ってガイド突起が形成され、
前記スピンドルナットの上部では上部リブが形成され、両側面では二つの側面リブが対称に形成され、前記両側面で形成された二つの側面リブの間には前記ガイド突起が結合されることを特徴とするランバーサポートアセンブリ。
【請求項2】
前記サスペンションマットの上部の両側では、前記シートバックフレームに連結されるテンションスプリングが少なくとも一つ以上備えられ、下部の一側ではワイヤクリップを介して、前記シートバックフレームの下部に結合される固定ワイヤが備えられることを特徴とする請求項1に記載のランバーサポートアセンブリ。
【請求項3】
前記シートバックフレームの両側面の長さ方向の所定位置では前記一対のケーブルの各々の一端が結合される結合具が備えられ、
前記結合具は前記シートバックフレームの両側面長さ方向の所定位置に結合される胴体部と、前記胴体部の所定位置に形成された切開溝と、前記切開溝に連通されるよう形成され、内周面では上広下狭の傾斜面が形成された挿入部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のランバーサポートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランバーサポートアセンブリに関し、詳しくは、車両のシートバックフレームの内部に設置されて、搭乗者の脊柱及び背の部位を支持するランバーサポートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内部には搭乗者が座ることができるようシートが設置されている。シートは搭乗者のお尻を支持するシートクッション、背を支持するシートバック、搭乗者の腕を挙げて置けるアームレスト及び、頭を支持するヘッドレストからなる。
【0003】
その中で本発明と関連するシートバックを詳しく見ると、シートバックの内部にはシートバックの骨格になるシートバックフレームが設置され、シートバックフレームの内部には搭乗者の背を支持するランバーサポートアセンブリが設置される。
【0004】
ランバーサポートアセンブリは自動車の運行中、搭乗者の疲労を減らすため、搭乗者の脊柱形状に合わせることができるよう可変型構造を持つ。
【0005】
かかるランバーサポートアセンブリを観察してみると、シートバックフレームに結合されて回転する回転棒に突出部を形成した後、この突出部に搭乗者の腰を支持するサポート部材を設置し、シートに座っている搭乗者の姿勢に従って回転棒が回転しながらサポート部材をシートバックフレームの前後に移動させて搭乗者の腰を支えている。
【0006】
しかしながら、かかる従来のランバーサポートアセンブリは多数の部品などによって組立・製作されていることから故障発生率が高く、製作の費用と時間が大いに要され、自動車の運行中、道路事情や交通状況などにより発生される振動と衝撃が突出部を介して搭乗者の腰部位に伝達され、搭乗者がすぐ疲労を感じるようになるか負傷発生の危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1149075号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−1388983号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0217978号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第10−2014−0048743号公報
【特許文献5】特開2014−094598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、前述した問題点を解決しようとするもので、搭乗者の身体条件によりランバーサポートの突出程度を調節することができ、簡単な構造としてのモジュール化が可能で製作の費用と時間を節減でき、これによって、価格競争力を向上させることができるランバーサポートアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記及び他の本発明の目的を達成するために、本発明の実施形態によれば、車両のシート内部のシートバックフレームに設置されて搭乗者の背部位を支持するランバーサポートアセンブリにおいて、前記シートバックフレームに結合されるサスペンションマットと、前記サスペンションマットに結合されたガイドボックスと、前記ガイドボックスに結合され、一側には前記ガイドボックスの内部に位置されるスピンドル軸が備えられたアクチュエータと、前記スピンドル軸にねじ結合され、前記スピンドル軸の回転に従い、互いに反対方向にスライド移動する一対のスピンドルナットと、各々の一端が前記シートバックフレームに結合され、他端が前記一対のスピンドルナットに各々結合される一対のケーブルと、を含んでなることを特徴とするランバーサポートアセンブリが提供される。
【0010】
前記ガイドボックスは半分された形状からなり、相互結合される上部及び下部ハウジングからなり、前記上部及び下部ハウジングの各々の内側面には案内溝が相互向き合うように形成されたことを特徴とする。
【0011】
前記上部及び下部ハウジングの各々の内側面に形成された案内溝では長さ方向に沿ってガイド突起が形成されることを特徴とする。
【0012】
前記スピンドルナットの上部では上部リブが形成され、両側面では二つの側面リブが対称に形成され、前記両側面で形成された二つの側面リブの間には前記ガイド突起が
結合されることを特徴とする。
【0013】
前記サスペンションマットの上部の両側では、前記シートバックフレームに連結されるテンションスプリングが少なくとも一つ以上備えられることを特徴とする。
前記サスペンションマットの上部の両側では、前記シートバックフレームに連結されるテンションスプリングが少なくとも一つ以上備えられ、下部の一側ではワイヤクリップを介して、前記シートバックフレームの下部に結合される固定ワイヤが備えられることを特徴とする。
【0014】
前記シートバックフレームの両側面の長さ方向の所定位置では前記一対のケーブルの各々の一端が結合される結合具が備えられ、前期結合具は前記シートバックフレームの両側面長さ方向の所定位置に結合される胴体部と、前記胴体部の所定位置に形成された切開溝と、前記切開溝に連通されるよう形成され、内周面では上広下狭の傾斜面が形成された
挿入部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前述された構成を持つ本発明によれば、搭乗者の身体条件に従い、ランバーサポートの突出程度が調節でき、簡単な構造としてのモジュール化が可能であり、製作の費用と時間を節減することができ、これによって価格競争力向上の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図面は単に例示のために提供されるものであり、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【
図1】本発明の1実施例によるランバーサポートアセンブリの斜視図である。
【
図2】本発明の1実施例によるランバーサポートアセンブリの分解斜視図である。
【
図3】
図2に図示されたスピンドルナットの移動によるケーブルの作動を図示する図面である。
【
図4】ケーブルが結合具を介してシートバックフレームに結合されたことを図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な一実施形態について説明する。この過程で、図示の線の太さや構成要素の大きさなどは説明の明瞭性及び便宜性のために誇張されていてもよい。
【0018】
また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザー、運用者の意図または慣例などによって異なってくるため、その定義は、本明細書の全般に亘る内容を踏まえて下されるべきである。
【0019】
図1は本発明の1実施例によるランバーサポートアセンブリの斜視図である。
図2は本発明の1実施例によるランバーサポートアセンブリの分解斜視図である。
図3は
図2に図示されたスピンドルナットの移動によるケーブルの作動を図示する図面である。
図4はケーブルが結合具を介してシートバックフレームに結合されたことを図示する斜視図である。
【0020】
図1〜
図4を参照すると、本発明の1実施例に係わるランバーサポートアセンブリ100は車両シート内部のシートバックフレームに設置され、搭乗者の背部位を支持するものであり、サスペンションマット110と、ガイドボックス120と、アクチュエータ130と、一対のスピンドルナット140と、一対のケーブル150と、で構成される。
【0021】
ここで、シートバックフレーム10は車両のシートバック(seat back)内部に設置され、シートバックの形状を維持させ、シートクッション(seat cushion)と繋がって搭乗者の荷重を支持するものとして、シートバックの外郭形状に対応される形状で形成される。
【0022】
サスペンションマット110はシートバックフレーム10に結合され、車両搭乗者の脊柱及び背の部位を支持するもので、合成樹脂または金属材質で製作される。
【0023】
また、サスペンションマット110の中心部の幅方向の両側の所定位置では後述する一対のケーブル150の各々の長さ方向の所定位置が挿入される一対のケーブル挿入部112が形成される。
【0024】
この場合、サスペンションマット110の上部は少なくとも一つ以上のテンションスプリング114によって支持される。即ち、テンションスプリング114の両端では結合リング114aが形成され、テンションスプリング114のどちらか一方に形成された結合リングはシートバックフレーム10の両側に各々結合され、他方に結合された結合リングはサスペンションマット110の両側に各々結合される。
【0025】
また、サスペンションマット110の下部はワイヤクリップ116aにより、シートバックフレーム10の下部に結合される固定ワイヤ116を介して、シートバックフレーム10に結合される。
【0026】
ガイドボックス120はサスペンションマット110に結合されて、後述するスピンドルナット140がスピンドル軸132aの回転により、スライド移動される時、スピンドルナットがスピンドル軸132aと共に回転されないようにする。
【0027】
このようなガイドボックス120は半分された形状からなり、相互結合される上部及び下部ハウジング122、124で構成され、上部及び下部ハウジング122、124の各々の内側面では案内溝126が相互向き合うように形成される。
【0028】
上部及び下部ハウジング122、124の各々の内側面で形成された案内溝126は、上部及び下部ハウジング122、124が相互結合される時、ガイドボックス120の内部に空間部(図示せず)を形成するが、この空間部では後述するスピンドル軸132aと、スピンドル軸132aにねじ結合されて、スライド移動されるスピンドルナット140が位置される。
【0029】
また、案内溝126では長さ方向に沿ってガイド突起126aが形成されるが、このガイド突起126aはスピンドル軸132aにねじ結合されて、スライド移動されるスピンドルナット140のスライド移動をガイドする。
【0030】
アクチュエータ130はガイドボックス120に結合され、一側の所定位置ではガイドボックス120の内部に位置されるスピンドル軸132aを備える。
【0031】
アクチュエータ130はスピンドル軸132aが備えられたギアボックス132と、ギアボックス132に結合されるモータ134からなり、モータ134はギアボックス132に備えられたクランプ136によって固定される。
【0032】
スピンドル軸132aでは後述する一対のスピンドルナット140が、同時に互いに反対方向にスライド移動されるよう右ねじ山と左ねじ山がスピンドル軸132aの中間部を基準にして、互いに対称されるよう形成される。
【0033】
ここで、スピンドル軸132aの中心部と先端部ではスピンドルナット140の移動距離を制限するストッパ133が備えられることが好ましい。
【0034】
一対のスピンドルナット140はスピンドル軸132aの上で互いに離隔し、ねじ結合されてスピンドル軸132aの回転により、互いに反対方向へスライド移動する。
【0035】
ここで、一対のスピンドルナット140ではスピンドル軸132aが挿入・結合される挿入孔142が形成され、下部では後述する一対のケーブル150の端部が各々結合される結合溝144が形成される。
【0036】
また、スピンドルナット140の上部では上部リブ140aが形成され、両側面では二つの側面リブ140bが対称に形成される。この時、スピンドルナット140の両側面で形成された二つの側面リブ140の間では前述したガイドボックス120の上部及び下部ハウジング122、124が相互結合される時、上部及び下部ハウジング122、124の案内溝126に突出して形成されたガイド突起126aが
結合される。
【0037】
ここで、上部リブ140aと側面リブ140bはスピンドルナット140がスライド移動される時、スピンドルナット140の外側面と案内溝126の内側面の間で発生される摩擦力を減少させる。
【0038】
一対のケーブル150はサスペンションマット110を前方または後方へ移動させるもので、各々の一端がシートバックフレーム10に対して結合され、他端が一対のスピンドルナット140に各々結合される。
【0039】
ここで、シートバックフレーム10に対して結合された一対のケーブル150の一端はマウンティングクリップ152を介してシートバックフレーム10に結合されることが好ましいが、これと違って、シートバックフレーム10に結合されるケーブル150の端部にリング部(図示せず)を形成することも可能である。
【0040】
また、一対のケーブル150の各々の一端はシートバックフレーム10の両側面の長さ方向の所定位置に備えられた結合具160に結合できる。
【0041】
結合具160はシートバックフレーム10の両側面の長さ方向の所定位置に結合される胴体部162と、胴体部162の所定位置に形成された切開溝164と、切開溝と連通されるよう形成され、内周面では上広下狭の傾斜面166aが形成された
結合部166と、を備える。
【0042】
図3を参照すると、一対のスピンドルナット140がスピンドル軸132aの上で互いに遠くなった方向へ移動された場合では一対のケーブル150の長さ方向の所定位置がサスペンションマット110の後方に折り曲げられて入り込み、サスペンションマット110を支持するようになる。一対のスピンドルナット140がスピンドル軸132aの上で互いに近くなる方向へ移動された場合では、一対のケーブル150は長さが制限されているので、サスペンションマット110の後方へ折り曲げられて入り込み、サスペンションマット110を支持していた部分が伸びながらサスペンションマット110を前方へ移動させるようになる。
【0043】
以下、前述したように構成されたランバーサポートアセンブリの作動を説明することにする。
【0044】
搭乗者がアクチュエータ130を作動させると、スピンドル軸132aが正回転しながらスピンドル軸132aの上で互いに等距離で離隔されるよう設置された一対のスピンドルナット140が互いに近くなるようスライド移動するようになる。
【0045】
一対のスピンドルナット140が互いに近くなるようスライド移動すると、長さ方向の所定位置がサスペンションマット110の後方へ折り曲げられて入りこみ、サスペンションマット110を支持していた一対のケーブル150の折り曲げられた部分が伸びながらサスペンションマット110を前方へ押され移動させ、搭乗者の背部位を支持するようになる。
【0046】
これと反対に、サスペンションマット110が後方へ移動して原位置に復帰することは、スピンドル軸132aが逆回転をしながら一対のスピンドルナット140が互いに遠くなる方向へスライド移動すると同時に、シートフォーム(seat foam)の弾性復元力と、搭乗者がシートバックの方向に加わる荷重により達成される。
【0047】
以上、本発明の好ましい一実施形態を添付図面参照して説明したが、当該技術分野の当業者は下記の特許請求範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で本発明を様々な形に修正及び変更する可能性があることを理解できるはずである。
【符号の説明】
【0048】
110 サスペンションマット
112 ケーブル挿入部
114 テンションスプリング
114a 結合リング
116 固定ワイヤ
116a ワイヤクリップ
120 ガイドボックス
122 上部ハウジング
124 下部ハウジング
126 案内溝
126a ガイド突起
130 アクチュエータ
132 ギアボックス
132a スピンドル軸
133 ストッパ
134 モータ
136 クランプ
140 スピンドルナット
140a 上部リブ
140b 側面リブ
142 挿入孔
144 結合溝
150 ケーブル
160 結合具
162 胴体部
164 切開溝
166
結合部
166a 傾斜面
【要約】 (修正有)
【課題】搭乗者の身体条件によりランバーサポートの突出程度を調節することができ、簡単な構造としてのモジュール化が可能で製作の費用と時間を節減でき、価格競争力を向上させることができるランバーサポートアセンブリを提供する。
【解決手段】シートバックフレームに設置されて搭乗者の背部位を支持するランバーサポートアセンブリにおいて、シートバックフレームに結合されるサスペンションマット110と、サスペンションマットに結合されたガイドボックスと、ガイドボックスに結合され、一側にはガイドボックスの内部に位置されるスピンドル軸132aが備えられたアクチュエータ130と、スピンドル軸にねじ結合され、スピンドル軸の回転に従い、互いに反対方向にスライド移動する一対のスピンドルナット140及び、各各の一端がシートバックフレームに結合され、他端が一対のスピンドルナットに各々結合される一対のケーブル150とを含む。
【選択図】
図2