(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969659
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】円錐台形弁式のカラン
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20160804BHJP
E03C 1/086 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/086
【請求項の数】1
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2015-106484(P2015-106484)
(22)【出願日】2015年5月26日
【審査請求日】2015年8月3日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592254917
【氏名又は名称】木下 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】木下 輝雄
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−038869(JP,U)
【文献】
実開昭51−103862(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00 − 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がネジ接合部で他端が開口端であり、閉頂円錐台形弁受を内包する円筒形固定部に、曲がり先端が放水口で他端が嵌入開口であって、頂面が通水開口であり、前記閉頂円錐台形弁受と同様形状の貫通円錐台形弁体を内包する円筒形可動部が摺動嵌入する構成であり、斜周面に通水開口が中心線に対称的に設けられており、これら通水開口の閉頂側にパッキングのある前記閉頂円錐台形弁受が前記円筒形固定部の開口端から摺動行程以上の奥で円周固着し、かつその開口端近くのT字状始端から摺動行程の終端までの細巾スリットのある前記円筒形固定部に、前記貫通円錐台形弁体の裾周が前記円筒形可動部の嵌入開口に固着し、かつその円周固着に沿うパッキングのある前記円筒形可動部が、摺動嵌入接触した状態で、前記スリットの終端において該スリットを貫通するネジが該円筒形可動部に螺着していることを特徴とする円錐台形弁式カラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円錐台弁式円筒形の
プッシュ―プル式のカランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カランは各種が実用されているが、開閉方法の改善が要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平05−047694「管継手のバルブ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、壁際のひねり式開閉部に手を伸ばしてのひねりで開閉する煩わしさのないカランを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
円錐台弁形式カランは、一端がネジ接合部で他端が開口端であ
り閉頂円錐台形弁受を内包する円筒形固定部に、曲がり先端が放水口で他端が嵌入
開口であ
って、
頂面が通水開口である前記円錐台形弁受と同様形状の
貫通円錐台形弁体を内包する円筒形可動部が摺動嵌入する構成であり、
斜周面に通水開口
が中心線に対称的に設けられており、こ
れら通水開口の
閉頂側にパッキング
のある前記閉頂円錐台形弁受が前記円筒形固定部の開口端から摺動
行程以上の奥で円周固着し、かつその開口端近くの
T字状始端から摺動行程の終端までの細巾スリット
のある前記円筒形固定部に、
前記貫通円錐台形弁
体の裾周が
前記円筒
形可動部の嵌入開口に固着し
かつその円周固着に沿うパッキングのある前記円筒形可動部が、摺動嵌入接触した状態で、前記スリットの終端において該スリットを貫通するネジが該円筒形可動部に螺着しているカランである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の円錐台形弁式カランは、導水部先端の放水口を押し引きする手の動きの短く迅速、かつ手が汚れていてもカランを汚さず開閉で
き、清潔感が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】円錐台形弁式カランの止水閉状態の立断面概略図である。
【
図2】円錐台形弁式カランの放水開状態の立断面概略図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を
図1、2に基づいて説明する。水に限らず液体の流出の開閉を行う円錐台形弁式カラン1は、例えば一端が水道管に接合するネジ接合部2他端が開口
端3であり、内部に閉頂円錐台形弁受4を備える円筒形固定部5に、放水口6を一端とし他端に貫通円錐台形弁
体7を内向きに接合した円筒形可動部8が、摺動嵌入接触する構成であり、その可動部8を引き出して放水、押し戻して止水の状態になるカラン1である(
図1)。
【0009】
詳しくは、中心線9に対称に
図1に二個は表示してある通水開口4aを
円錐台形斜面に設け、その通水開口の閉頂側の輪溝
(以下図示略)にリングパッキング10を配置した前記閉頂円錐台形弁受4の裾端周を、円筒5aの前記開口
端3より奥
の摺動往復
行程以上、例えば略三倍までの位置に中心線9を共通に
全周接合し、その開口
端3近くの
T字状の始端11から
終端12までが摺動
行程である細巾スリット13を設け
た前記円筒固定部5に、
一端の頂面が通水開口7a
であり他端周が円開口であり、前記弁受4と略同形で斜面に通水開口のない貫通円錐台形弁体7が円筒8aの嵌入開口端に同軸全周接合して一体となり、かつこの
全周接合
に沿う前記円筒
外周に設けた輪溝に柔軟弾性リングパッキング14を配置した前記円筒可動部8が、
摺動嵌入接触後に、前記細巾スリット13
の終端12で貫通しそのスリットの巾に等しい外径のネジ15を
前記円筒可動部の円筒8aに螺設
してなるカランである。
【0010】
なお、中空円錐台形の弁体7と弁受4の形状は、中心線に対する傾斜角度が略10〜50度、頂面と裾面つまり底面の直径は弁受がやや大きく、高さは略等しい。また、上記の弁受4と円錐台形弁体7の頂面は水の下流側にあるのを順配置構成とするが、その逆配置
つまり頂面が上流側になる構成もよい。なお
各リングパッキングは一以上とし、異なる材質のパッキングの複数配置もよい。
【0011】
以上の構成のカランつまり放水開閉装置の閉状態において、可動部の放水口6を
プルつまり引き始めると、円錐台形弁体7と弁受4の間に生じる円錐台状隙間に弁受の通水開口4aより直ちに流入する水は、頂面通水開口7aより流出する、つまり生じた隙間は前記両通水開口とともに連通流出路を形成し、引き作動はスムーズに進み、前記ネジ15が前記細巾スリット13の始端11に当たり全開放水つまりカランの開状態となり(
図2)、これは可動部の移動限界でもある。そして可動部は中心線9周りに細巾スリットの
T字状始端
の周方向の両延伸だけ回動し、放水方向も左右へ振り向けられるのである。逆に放水中の放水口6を
プッシュつまり押し込んでゆくと円錐台形弁体7の内斜面が円錐台形弁受4の外斜面に接近し、また前記リングパッキング10にも当接し通水を止め、同時に可動部をその位置に保持するカランの閉状態に戻る。
【0012】
閉状態
(図1)における、可動部を押し出す水圧力に対しリングパッキング10と摺動面リングパッキング14さらに前記スリット13の巾の狭い
終端12に前記ネジ15が挟まることでも対抗する。なおこの閉状態において、弁受4の通水開口4aからの浸出水は、この弁受4のリングパッキング10と摺動面リングパッキング14によりカラン外部への漏出が止められ、また、開状態
(図2)において前記スリット13の終端12と前記摺動面リングパッキング14は離れておりスリットからの漏出はない。
また、前記ネジ15を外せばカランは円筒固定部5と円筒可動部8に分離し、パッキングの交換可能となる。なおカランの精密加工製作には鋳造、板金製ともレーザーと耐水接着剤の加工がよい。
【符号の説明】
【0013】
1円錐台形弁式カラン、 2ネジ接合部、 3開口
端、
4閉頂円錐台形受、 4a通水開口、 5円筒固定部、 5a円筒、
6放水口、 7貫通円錐台形弁
体、7a頂面通水開口、 8円筒可動部、
8a円筒 9中心線、 10リングパッキング、 11
始端、 12
終端、
13細巾スリット、 14摺動面リングパッキング、 15ネジ、
【要約】
【課題】
壁に設置するひねりや左右に回す開閉把手に手を伸ばしての開閉の煩わしさのない、放水口の押し引きで水の出し止めできるカランを提供する。
【解決手段】
円筒状固定部と円筒状固定部であり嵌入し合う二つの円筒内に円錐台形の弁受と弁体がそれぞれ配置され、それら弁受けと弁体も嵌入し合い、密着状態の閉弁から離間した開弁までの放水量を連続的に調整できるカランであり、放水口を引くと放水され、逆に押し戻せば止水となり、開閉把手のないシンプル構成の、汚れ手で開閉しても清潔に操作できるプッシュ―プル開閉式の円錐台形弁式カランである。
【選択図】
図2