(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2次元回折格子サブパターンは壁によって分離された穴をそれぞれ有しており、該穴及び該壁は各サブパターン内部におい非周期的である、請求項2に記載のモノリシック面発光レーザアレイ。
前記2次元回折格子サブパターンは溝と該溝によって分離されたポストとを有しており、該溝及び該ポストは各サブパターン内部におい非周期的である、請求項2に記載のモノリシック面発光レーザアレイ。
前記反射層は、2つ以上の非周期的なサブ波長回折格子(1604)を用いて構成される第2の回折格子層(1602)を更に備えており、該第2の回折格子層内の各サブ波長回折格子は、前記回折格子層(112)内の前記2つ以上のサブ波長回折格子と空洞共振器を形成するように位置合わせされる、請求項1又は2に記載のレーザアレイ。
前記発光層と前記回折格子層との間に配置される絶縁層(110)を更に備え、電流を閉じ込めるとともに前記発光層から放射される光を光学的に閉じ込めるための、前記サブ波長回折格子と位置合わせされる前記絶縁層内の2つ以上の開口部(126〜128)を含む、請求項1又は2に記載のレーザアレイ。
各空洞共振器内で増幅され、該空洞共振器から放射される光は、対応する各サブ波長回折格子の回折格子パターンに基づいて偏光されるか又は偏光されない、請求項1又は2に記載のレーザアレイ。
前記回折格子層の2つ以上のサブ波長回折格子のそれぞれが、縦モードが単一モードの光を放射するための単一モード空洞共振器を形成するように構成される、請求項1又は2に記載のレーザアレイ。
1つ以上の内部共振器モードを実現する回折格子パターンを用いて構成される各サブ波長回折格子は、結果としてドーナツ形の輝度断面を有する光ビームを生成する回折格子パターンを更に備える、請求項1又は2に記載のレーザアレイ。
前記多導波路ファイバは、複数のコア(1714)を有するように構成されるフォトニック結晶ファイバ(1712)であって、各コアは前記レーザアレイの面発光レーザと位置合わせされる、請求項14に記載のレーザシステム。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の種々の実施形態はモノリシックVCSELアレイを対象とし、モノリシックV
CSELアレイにおいて、各VCSELは、異なる波長においてレーザ光を放射する(la
se)ように構成することができる。VCSELアレイ内の各VCSELは1つ以上の平坦
で、非周期的なサブ波長回折格子(「SWG」)を含む。各VCSELのSWGは、異な
る回折格子構成を有するように構成することができ、それにより各VCSELが異なる波
長においてレーザ光を放射できる。各VCSELのSWGは、内部共振器モードの形状、
及びVCSELから放射される外部モードの形状を制御するように構成することができる
。各VCSELは、小さなモード体積、概ね単一の空間出力モードを有し、狭い波長範囲
にわたって光を放射し、単一偏光の光を放射するように構成することができる。
【0007】
以下の説明では、用語「光」は、電磁スペクトルの赤外線及び紫外線部分を含む、電磁
スペクトルの可視部分及び非可視部分内の波長を有する電磁放射を指す。
【0008】
以下の説明では、簡単化及び便宜上のために、本発明のVCSELアレイ実施形態は、
4つのVCSELからなる正方形配列を有するものとして説明されることにも留意された
い。しかしながら、本発明の実施形態はそのように限定されることを意図していない。V
CSELアレイ実施形態は実際には、任意の適切な数のVCSELを用いて構成すること
ができ、VCSELはモノリシックVCSELアレイ内で任意の適切な配列を有すること
ができる。
【0009】
垂直共振器面発光アレイ
図1Aは、本発明の1つ以上の実施形態に従って構成される一例のモノリシックVCS
ELアレイ100の等角図を示す。VCSELアレイ100は、分布ブラッグ反射体(「
DBR」)104上に配置される発光層102を含む。DBR104は更に基板106上
に配置され、基板106は第1の電極108上に配置される。VCSELアレイ100は
、発光層102上に配置される絶縁層110、層110上に配置される回折格子層112
、及び回折格子層112上に配置される第2の電極114も含む。
図1Aの例において示
されるように、第2の電極114は、4つの長方形の開口部116〜119を有するよう
に構成され、各開口部は回折格子層112の一部を露出させる。矢印120〜123によ
って示されるように、各開口部によって、発光層102から放射される光の縦モード又は
軸モードが、層のxy平面に対して実質的に垂直にVCSELから出られるようになる(
すなわち、光の縦モードはz方向において各開口部を通ってVCSELアレイ100から
放射される)。
【0010】
図1Bは、本発明の1つ以上の実施形態に従って構成されるVCSELアレイ100の
組立分解等角図を示す。その等角図は、絶縁層110内の4つの開口部126〜129、
及び回折格子層112内の4つのSWG132〜135を明らかにする。開口部126〜
129によって、発光層102から放射される光が、対応するSWG132〜135にそ
れぞれ達することができるようになる。本発明の実施形態は、長方形の形状を有する開口
部116〜119及び126〜129には限定されないことに留意されたい。他の実施形
態では、第2の電極及び絶縁層内の開口部は正方形、円形、楕円形又は任意の他の適切な
形状とすることができる。
【0011】
各SWG116〜119は、モノリシックVCSELアレイ100内の別々のVCSE
Lを画定することに留意されたい。SWG116〜119がそれぞれ異なる波長において
レーザ光を放射するように構成できることを除いて、SWG116〜119によって画定
される4つのVCSELは全て同じDBR104及び発光層102を共用する。例えば、
図1Aに示されるように、SWG116〜119はそれぞれ波長λ
1、λ
2、λ
3及びλ
4を有する光を放射するように構成される。後に更に詳細に説明されるように、各SWG
は、異なる偏光を有する光を放射するか、又は無偏光の光を放射するように構成すること
もできる。
【0012】
層104、106及び112は、適切な化合物半導体材料の種々の組み合わせで構成さ
れる。化合物半導体は、III−V族化合物半導体及びII−VI族化合物半導体を含む
。III−V族化合物半導体は、窒素(「N」)、リン(「P」)、ヒ素(「As」)及
びアンチモン(「Sb」)から選択された列Va元素と組み合わせた、ホウ素(「B」)
、アルミニウム(「Al」)、ガリウム(「Ga」)及びインジウム(「In」)から選
択された列IIIa元素で構成される。III−V族化合物半導体は、二元化合物半導体
、三元化合物半導体、四元化合物半導体のように、III元素及びV元素の相対的な量に
従って分類される。例えば、二元半導体化合物は、限定はしないが、GaAs、GaAl
、InP、InAs及びGaPを含む。三元化合物半導体は、限定はしないが、In
yG
a
y−1As又はGaAs
yP
1−yを含む。ただし、yは0〜1の範囲にある。四元化
合物半導体は、限定はしないが、In
xGa
1−xAs
yP
1−yを含む。ただし、x及
びyはいずれも独立して0〜1の範囲にある。II−VI族化合物半導体は、酸素(「O
」)、硫黄(「S」)及びセレン(「Se」)から選択されたVIa元素と組み合わせた
亜鉛(「Zn」)、カドミウム(「Cd」)、水銀(「Hg」)から選択された列IIb
元素により構成される。例えば、適切なII−VI族化合物半導体は、限定はしないが、
CdSe、ZnSe、ZnS及びZnOを含み、それらは二元II−VI族化合物半導体
の例である。
【0013】
VCSELアレイ100の層は、化学気相成長、物理気相成長又はウェハーボンディン
グを用いて形成することができる。SWG132〜135は、反応性イオンエッチング、
集束ビームミリング、又はナノインプリントリソグラフィーを用いて回折格子層112内
に形成することができ、回折格子層112は絶縁層110に結合させることができる。
【0014】
或る実施形態では、層104及び106はp型不純物をドープされ、一方、層112は
n型不純物をドープされる。他の実施形態では、層104及び106はn型不純物をドー
プされ、一方、層112はp型不純物をドープされる。p型不純物は、半導体格子の中に
組み込まれ、層の電子バンドギャップに、「正孔」と呼ばれる空の電子エネルギー準位を
導入する原子である。これらのドーパントは「電子受容体」とも呼ばれる。一方、n型不
純物は、半導体格子の中に組み込まれ、層の電子バンドギャップに充満した電子エネルギ
ー準位を導入する原子である。これらのドーパントは「電子供与体」とも呼ばれる。II
I−V族化合物半導体では、列VI元素がIII−V格子内の列V原子と置き換わり、n
型ドーパントとしての役割を果たし、列II元素がIII−V格子内の列III原子と置
き換わり、p型ドーパントとしての役割を果たす。
【0015】
絶縁層110は、SiO
2若しくはAl
2O
3又は大きな電子バンドギャップを有する
別の適切な材料のような、絶縁性材料により構成することができる。電極108及び11
4は、金(「Au」)、銀(「Ag」)、銅(「Cu」)又はプラチナ(「Pt」)のよ
うな適切な導体により構成することができる。
【0016】
図2は、本発明の1つ以上の実施形態による、
図1Aに示される線A−Aに沿ったVC
SELアレイ100の断面図を示す。その断面図は、個別の層からなる構造を明らかにす
る。DBR104は、発光層102に対して平行に向けられるDBR対のスタックにより
構成される。実際には、DBR104は、約15〜約40又はそれ以上のDBR対により
構成することができる。DBR104のサンプル部分の拡大
図202は、DBR104の
層がそれぞれ約λ/4n及びλ4n’の厚みを有することを明らかにする。ただし、λは
発光層102から放射される光の真空波長であり、nはDBR層206の屈折率であり、
n’はDBR層204の屈折率である。濃い網掛けの層204は、第1の半導体材料によ
り構成されるDBR層を表し、薄い網掛けの層206は、第2の半導体材料により構成さ
れるDBR層を表し、層204及び206は関連する屈折率が異なる。例えば、層204
はGaAsにより構成することができ、3.6の近似的な屈折率を有し、層206はAl
Asにより構成することができ、2.9の近似的な屈折率を有し、層106はGaAs又
はAlAsにより構成することができる。
【0017】
図2は、発光層102の拡大
図208も含み、発光層102を構成する層のための1つ
以上の取り得る構成を明らかにする。拡大
図208は、発光層102が障壁層212によ
って分離される3つの別々の量子井戸層(「QW」)210により構成されることを明ら
かにする。QW210は、閉じ込め層214間に配置される。QW210を構成する材料
は、障壁層212及び閉じ込め層214よりも小さな電子バンドギャップを有する。発光
層102の全厚が概ね、発光層102から放射される光の波長になるように、閉じ込め層
214の厚みを選択することができる。層210、212及び214は、異なる真性半導
体材料により構成される。例えば、QW層210は、InGaAs(例えば、In
0.2
Ga
0.8As)により構成することができ、障壁層212はGaAsにより構成するこ
とができ、閉じ込め層はGaAlAsにより構成することができる。本発明の実施形態は
、3つのQWを有する発光層102には限定されない。他の実施形態では、発光層は、1
つ、2つ、又は4つ以上のQWを有することができる。
【0018】
図2は、回折格子層112の構成も明らかにする。SWG132及び133は、回折格
子層112の残りの部分よりも薄く、SWG132及び133と発光層102との間に空
隙216及び217を作り出すために、発光層102の上方に浮いた状態で支持(suspen
d)される。
図2及び
図1Bに示されるように、SWG132〜135は、1つのエッジ
に沿って回折格子層112に取り付けることができ、空隙が回折格子層112からSWG
132〜135の3つの残りのエッジを分離している。例えば、
図2に示されるように、
空隙216がSWG132を回折格子層112から分離し、空隙220がSWG133を
回折格子層112から分離する。また、回折格子層112及び絶縁層110は、回折格子
層112の部分222が絶縁層110の開口部を通して発光層102と接触するように構
成される。絶縁層110は、回折格子層112の部分222を通る電流の流れを抑制する
。SWG132〜135及びDBR104は、VCSELアレイ100の各VCSELが
レーザ光を放射している間に、光学的なフィードバックのための反射共振器を形成する反
射体である。例えば、SWG132及びDBR104は、VCSELアレイ100の第1
のVCSELの光共振器を形成し、SWG133及びDBR104は、VCSELアレイ
100の第2のVCSELの光共振器を形成する。また、SWG134及び135も、D
BR104と別々の光共振器、すなわち、VCSELアレイ100の第3及び第4のVC
SELに関連付けられる光共振器を形成する。
【0019】
非周期的なサブ波長回折格子
上記のように、回折格子層112のSWG132〜135は、発光層102の上方に浮
いた状態で支持される平面膜として実装される。本発明の1つ以上の実施形態に従って構
成されるSWGは、VCSELアレイ100の対応する共振器の中に反射して戻される光
の波面の形状の制御、及び
図1Aに示されるように、第2の電極114内の対応する開口
部を通って放射される光の波面の形状の制御を含む、反射機能を提供する。これは、SW
Gの高い反射率に実質的に影響を及ぼすことなく、SWGから反射される光の位相を制御
する非周期的なサブ波長回折格子パターンを有するように各SWGを構成することによっ
て成し遂げることができる。後に示されるように、或る実施形態では、SWGが円筒鏡又
は球面鏡として動作できるようにする回折格子パターンを有するように、SWGを構成す
ることができる。
【0020】
簡単にするために、以下の説明では、回折格子層の1つのSWGだけを構成することが
説明されることに留意されたい。実際には、回折格子層は多数のSWGを実際に含むこと
ができ、回折格子層の各SWGは後に説明されるように構成することができる。
【0021】
図3Aは、本発明の1つ以上の実施形態による、回折格子層サブパターン302内に形
成される1次元回折格子パターンを用いて構成されるSWG300の平面図を示す。1次
元回折格子パターンは、複数の1次元回折格子サブパターンにより構成される。
図3Aの
例では、3つの回折格子サブパターン301〜303が拡大される。
図3Aにおいて表さ
れる実施形態では、各回折格子サブパターンは、回折格子層302内に形成される、「ラ
イン」と呼ばれる、回折格子層102材料の規則的に間隔を置いて配置される複数のワイ
ヤ状の部分を含む。ラインはy方向に延在し、x方向において周期的に間隔を置いて配置
される。また、
図3Aは、回折格子サブパターン302の拡大された端面
図304も含む
。ライン306は、溝308によって分離される。各サブパターンは、特定の周期的なラ
イン間隔、及びx方向におけるライン幅によって特徴付けることができる。例えば、サブ
パターン301は、周期p
1だけ分離された幅w
1のラインを含み、サブパターン302
は、周期p
2だけ分離された幅w
2のラインを含み、サブパターン303は、周期p
3だ
け分離された幅w
3のラインを含む。
【0022】
回折格子サブパターン301〜303は、サブ波長回折格子を形成し、その回折格子は
、周期p
1、p
2及びp
3が入射光の波長よりも小さいという条件で、1つの方向、すな
わち、x方向に偏光された入射光を優先的に反射する。例えば、入射光の波長に応じて、
ライン幅は約10nm〜約300nmの範囲とすることができ、周期は約20nm〜約1
μmの範囲とすることができる。或る領域から反射された光は、ライン厚tによって決ま
る位相φ、及び以下のように定義されるデューティサイクルηを取得する。
【数1】
ただし、wはライン幅であり、pはラインの周期間隔である。
【0023】
SWG300は、非常に高い反射率を保持しながら、反射光に特定の位相変化を加える
ように構成することができる。1次元SWG300は、ラインの周期、ライン幅及びライ
ン厚を調整することによって、入射光のx偏光成分又はy偏光成分を反射するように構成
することができる。例えば、x偏光成分を反射するが、y偏光成分を反射しないために、
特定の周期、ライン幅及びライン厚が適している場合があり、y偏光成分を反射するが、
x偏光成分を反射しないために、異なる周期、ライン幅及びライン厚が適している場合が
ある。
【0024】
本発明の実施形態は、1次元回折格子には限定されない。SWGは、極性の影響を受け
ない光(polarity insensitive light)を反射するために、2次元非周期的回折格子パタ
ーンを有するように構成することができる。
図3B〜
図3Cは、本発明の1つ以上の実施
形態による、2次元非周期的なサブ波長回折格子パターンを有する2つの平坦なSWG例
の平面図を示す。
図3Bの例では、SWGは、溝によって分離されるラインではなく、ポ
ストにより構成される。デューティサイクル及び周期は、x及びy方向において変動させ
ることができる。拡大
図310及び312は、2つの異なる長方形のポストサイズの平面
図を示す。
図3Bは、拡大
図310を構成するポストの等角
図314を含む。本発明の実
施形態は、長方形のポストには限定されず、他の実施形態では、ポストは正方形、円形、
楕円形又は任意の他の適切な形状とすることができる。
図3Cの例では、SWGは、ポス
トではなく、穴として構成される。拡大
図316及び318は、2つの異なる長方形の穴
サイズを示す。デューティサイクルはx及びy方向において変更することができる。
図3
Cは、拡大
図316を構成する等角
図320を含む。
図3Cにおいて示される穴は長方形
であるが、他の実施形態では、穴は正方形、円形、楕円形又は任意の他の適切な形状とす
ることができる。
【0025】
他の実施形態では、1次元及び2次元の両方の回折格子パターンにおいて、ライン間隔
、厚み及び周期を連続的に変動させることができる。
【0026】
SWG300の各回折格子サブパターン301〜303は、各サブパターンに関連付け
られるデューティサイクル及び周期が異なることに起因して、1つの方向、例えば、x方
向に偏光された入射光を異なるように反射する。
図4は、本発明の1つ以上の実施形態に
よる、反射光によって取得される位相を明らかにする2つの別々の回折格子サブパターン
からのラインの断面図を示す。例えば、ライン402及び403は、SWG400内に配
置される第1の回折格子サブパターン内のラインとすることができ、ライン404及び4
05は、SWG400内の他の場所に配置される第2の回折格子サブパターン内のライン
とすることができる。ライン402及び403の厚みt
1は、ライン404及び405の
厚みt
2よりも厚く、ライン402及び403に関連付けられるデューティサイクルη
1
も、ライン404及び405に関連付けられるデューティサイクルη
2よりも大きい。x
方向に偏光され、ライン402〜405上に入射する光は、ライン404及び405によ
って閉じ込められる入射光の部分よりも相対的に長い時間にわたって、ライン402及び
403によって閉じ込められるようになる。結果として、ライン402及び403から反
射される光の部分は、ライン404及び405から反射される光の部分よりも大きな位相
シフトを取得する。
図4の例において示されるように、入射波408及び410は、概ね
同じ位相でライン402〜405に突き当たるが、ライン402及び403から反射され
る波412は、ライン404及び405から反射される波414によって取得される位相
φ’よりも相対的に大きな位相シフトφを取得する(すなわち、φ>φ’)。
【0027】
図5は、本発明の1つ以上の実施形態による、反射した波面がいかに変化するかを明ら
かにするライン402〜405の断面図を示す。
図5の例において示されるように、実質
的に均一の波面502を有する入射光がライン402〜405に突き当たり、曲がった反
射波面504を有する反射光を生成する。曲がった反射波面504は、入射波面502が
相対的に大きなデューティサイクルη
1及び厚みt
1を有するライン402及び403と
相互作用する部分、及び同じ入射波面502が相対的に小さなデューティサイクルη
2及
び厚みt
2を有するライン404及び405と相互作用する部分に起因する。反射波面5
04の形状は、ライン404及び405に突き当たる光によって取得される小さな位相に
対する、ライン402及び403に突き当たる光によって取得される大きな位相に一致す
る。
【0028】
図6は、本発明の1つ以上の実施形態による、SWG602の特定の回折格子パターン
によって生成される例示的な位相変化等高線
図600の等角図を示す。等高線
図600は
、SWG602から反射された光によって取得される位相変化の大きさを表す。
図6にお
いて示される例では、SWG602の回折格子パターンは、SWG602の中心付近にお
いて反射された光によって取得される位相の大きさが最も大きく、SWG602の中心か
ら離れると、反射光によって取得される位相の大きさが減少する等高線
図602を生成す
る。例えば、サブパターン604から反射された光はφ
1の位相を取得し、サブパターン
606から反射された光はφ
2の位相を取得する。φ
1はφ
2よりもはるかに大きいので
、サブパターン606から反射された光は、サブパターン608から反射された光よりも
はるかに大きな位相を取得する。
【0029】
位相変化は更に、SWGから反射された光の波面を形作る。例えば、
図4及び
図5を参
照して上記で説明されたように、相対的に大きなデューティサイクルを有するラインは、
相対的に小さなデューティサイクルを有するラインよりも、反射光内に大きな位相シフト
を引き起こす。結果として、第1のデューティサイクルを有するラインから反射された波
面の第1の部分は、相対的に小さな第2のデューティサイクルを有するように構成された
異なる1組のラインから反射された同じ波面の第2の部分に遅れる。本発明の実施形態は
、SWGが集光鏡のような特定の光学的特性を有する鏡として動作できるように、SWG
のパターンを形成して、位相変化を、そして最終的には、反射波面の形状を制御すること
を含む。
【0030】
図7は、本発明の1つ以上の実施形態による、集光鏡として動作するように構成される
SWG702の側面図を示す。
図7の例において、SWG702は、x方向に偏光された
入射光が反射され、その波面が反射光を焦点704において合焦させることに対応するよ
うな回折格子パターンを用いて構成される。
【0031】
非周期的なサブ波長回折格子を構成する
本発明の実施形態は、回折格子層の各SWGを鏡として動作するように構成することが
できるいくつかの方法を含む。所望の波面を有する光を反射するようにSWGを構成する
ための第1の方法は、SWGの回折格子層のための反射係数プロファイルを求めることを
含む。反射係数は、以下の式によって表される複素数値関数である。
【数2】
ただし、R(λ)はSWGの反射率であり、φ(λ)はSWGによって引き起こされる位
相シフト又は位相変化である。
図8は、本発明の1つ以上の実施形態による、一例のSW
Gのための入射光波長の範囲にわたる反射率及び位相シフトのプロットを示す。この例で
は、回折格子層は、1次元回折格子を有するように構成され、回折格子層のラインに対し
て垂直に偏光された電界成分を有する垂直入射において動作する。
図8の例では、約1.
2μmから約2.0μmの波長範囲にわたる入射光の場合に、曲線802は反射率R(λ
)に対応し、曲線804はSWGによって引き起こされる位相シフトφ(λ)に対応する
。反射率及び位相曲線802及び804は、既知の有限要素法、又は厳密結合波解析のい
ずれかを用いて求めることができる。SWG及び空気の屈折率コントラストが強いことに
起因して、SWGは、高い反射率806の広いスペクトル領域を有する。しかしながら、
曲線804は、反射光の位相が、破線808と810との間の高反射率のスペクトル領域
全体にわたって変動することを明らかにする。
【0032】
ラインの周期及び幅の空間寸法がファクタαによって一様に変更されるとき、反射係数
プロファイルは実質的に変更されないが、波長軸はファクタαによってスケーリングされ
る。言い換えると、回折格子が自由空間波長λ
0において特定の反射係数R
0を有するよ
うに設計されているとき、異なる波長λにおいて同じ反射係数を有する新たな回折格子は
、周期、ライン厚及びライン幅のような全ての回折格子幾何パラメータにファクタα=λ
/λ
0を乗算し、r(λ)=r
0(λ/α)=r
0(λ
0)を与えることによって設計す
ることができる。
【0033】
加えて、高反射率スペクトル窓806内で元の周期的回折格子のパラメータを不均一に
スケーリングすることによって、|R(λ)|→1であるが、空間的に位相が変動するよ
うに回折格子を設計することができる。横方向座標(x,y)を用いて、SWG上の或る
点から反射された光の部分に位相φ(x,y)を導入することが望まれると仮定する。徐
々に変化する回折格子スケールファクタα(x,y)を有する不均一な回折格子が、点(
x,y)付近において、反射係数R
0(λ/α)を有する周期的回折格子であるかのよう
に局所的に挙動する。したがって、或る波長λ
0において位相φ
0を有する周期的回折格
子設計を考えると、局所的スケールファクタα(x,y)=λ/λ
0を選択することによ
って、動作波長λにおいてφ(x,y)=φ
0が与えられる。例えば、SWG設計におい
て点(x,y)から反射された光の一部に約3πの位相を導入することが望まれるが、そ
の点(x,y)のために選択されたライン幅及び周期が約πの位相を導入するものと仮定
する。
図8のプロットを再び参照すると、所望の位相φ
0=3πは曲線804上の点81
2及び波長λ
0≒1.67μm814に対応し、点(x,y)に関連付けられる位相πは
、曲線804上の点816及び波長λ≒1.34μmに対応する。したがって、スケール
ファクタは、α(x,y)=λ/λ
0=1.34/1.67=0.802であり、動作波
長λ=1.34μmにおいて所望の位相φ
0=3πを得るために、ファクタαを乗算する
ことによって、点(x,y)におけるライン幅及び周期を調整することができる。
【0034】
図8に示される反射率及び位相シフト対波長範囲のプロットは、SWGの特定の点から
反射された光に特定の位相を導入するために、ライン幅、ライン厚及び周期のようなSW
Gのパラメータを求めることができる1つの方法を表す。他の実施形態では、SWGを構
成するために、周期及びデューティサイクルの関数としての位相変動を用いることができ
る。
図9は、本発明の1つ以上の実施形態による、SWGを構成するために用いることが
できる、周期及びデューティサイクルの関数としての位相変動の位相等高線プロットを示
す。
図9に示される等高線プロットは、既知の有限要素法又は厳密結合波解析のいずれか
を用いて生成することができる。等高線901〜903のような等高線はそれぞれ、その
等高線に沿ったいずれかの場所に位置する、或る周期及びデューティサイクルを有する回
折格子パターンから反射した光によって取得される特定の位相に対応する。それらの位相
等高線は、0.25πradだけ離隔される。例えば、等高線901は、反射光に−0.
25πradの位相を加える周期及びデューティサイクルに対応し、等高線902は、反
射光に−0.5πradの位相を加える周期及びデューティサイクルに対応する。−0.
25πradと−0.5πradとの間の位相が、等高線901と902との間に位置す
る、周期及びデューティサイクルを有するSWGから反射した光に加えられる。700n
mの回折格子周期及び54%のデューティサイクルに対応する第1の点(p,η)904
、及び660nmの回折格子周期及び60%のデューティサイクルに対応する第2の点(
p,η)906はいずれも等高線901上に位置し、同じ位相シフト−0.25πを引き
起こすが、異なるデューティサイクル及びライン周期間隔を有する。
【0035】
図9は、位相等高線表面上に重なる、それぞれ95%及び98%反射率の場合の2つの
反射率等高線も含む。破線の等高線908及び910は95%反射率に対応し、実線の等
高線912及び914は、98%反射率に対応する。等高線908と910との間のいず
れかの場所に位置する点(p,η,φ)は95%の最小反射率を有し、等高線912と9
14との間のいずれかの場所に位置する点(p,η,φ)は98%の最小反射率を有する
。
【0036】
次のサブセクションにおいて以下に説明されるように、位相等高線プロットによって表
される点(p,η,φ)を用いて、最小反射率を有する特定のタイプの鏡として動作する
ことができる回折格子のための周期及びデューティサイクルを選択することができる。言
い換えると、
図9の位相等高線プロットにおいて表されるデータを用いて、SWG光学デ
バイスを設計することができる。或る実施形態では、周期又はデューティサイクルを固定
する一方、他のパラメータを変更して、SWGを設計し、作製することができる。他の実
施形態では、周期及びデューティサイクルの両方を変更して、SWGを設計し、作製する
ことができる。
【0037】
或る実施形態では、回折格子層のSWGを、一定の周期及び可変のデューティサイクル
を有する円筒鏡として動作するように構成することができる。
図10Aは、本発明の1つ
以上の実施形態による、回折格子層1002内に形成され、x方向に対して平行に偏光さ
れた入射光のための集光円筒鏡として動作するように構成される1次元SWG1000の
平面図を示す。
図10Aは、網掛け領域1004〜1007のような網掛け領域を含み、
各網掛け領域は異なるデューティサイクルを表しており、領域1004のような濃い網掛
け領域は、領域1007のような薄い網掛け領域よりも相対的に大きさデューティサイク
ルを有する領域を表す。また、
図10Aは、サブ領域の拡大
図1010〜1012も含み
、それらの拡大図は、それらのラインがy方向において平行であり、ライン周期間隔pが
x方向において一定であるか、又は固定されていることを明らかにする。また、拡大
図1
010〜1012は、デューティサイクルηが中央から離れると減少することも明らかに
する。SWG1000は、
図7を参照して上記で説明されたように、x方向に偏光された
反射光を焦点に合焦させるように構成される。また、
図10Aは、焦点における反射ビー
ムプロファイルの等高線プロットである等角
図1008及び平面
図1010の例も含む。
V軸1012はy方向に対して平行であり、反射ビームの垂直成分を表し、H軸1014
はx方向に対して平行であり、反射ビームの水平成分を表す。反射ビームプロファイル1
008及び1010は、x方向に偏光された入射光の場合、SWG1000は、ラインに
対して垂直な方向(「H」又はx方向)において狭く、ラインに対して平行な方向(「V
」又はy方向)において広いガウス形状ビームを反射することを示す。
【0038】
或る実施形態では、SWGの中心から離れた回折格子層のラインにテーパーを付けるこ
とによって、一定の周期を有するSWGを、入射偏光のための球面鏡として動作するよう
に構成することができる。
図10Bは、本発明の1つ以上の実施形態による、回折格子層
1022内に形成され、x方向に偏光された入射光のための集光球面鏡として動作するよ
うに構成される1次元SWG1020の平面図を示す。SWG1020は、円形の鏡径を
画定する。SWG1020の回折格子パターンは、環状の網掛け領域1024〜1027
によって表される。各網掛け環状領域は、ラインの異なる回折格子サブパターンを表す。
拡大
図1030〜1033は、ラインがy方向においてテーパーを付けられ、x方向にお
いて一定のライン周期間隔pを有することを明らかにする。詳細には、拡大
図1030〜
1032は、y方向において破線基準線1036に対して平行に延在する同じラインの拡
大図である。拡大
図1030〜1032は、周期pが固定されていることを示す。各環状
領域は、同じデューティサイクルηを有する。例えば、拡大
図1031〜1033は、実
質的に同じデューティサイクルを有する環状領域1026内の異なるラインの部分を含む
。結果として、環状領域の各部分は、環状領域から反射した光に概ね同じ位相シフトを与
える。例えば、環状領域1026内のいずれかの場所から反射した光は、実質的に同じ位
相シフトφを取得する。
図10Bは、焦点における反射ビームプロファイルの等高線プロ
ットである等角
図1038及び平面
図1039の例も含む。ビームプロファイル1038
及び1039は、球形SWG1020がSWG1000の反射ビームよりもV方向又はx
方向において狭い対称なガウス形反射ビームを生成することを明らかにする。
【0039】
SWG1000及び1020は、本発明の1つ以上の実施形態に従って構成することが
できる回折格子層の2つのみ又は多数の異なる種類のSWGを表す。回折格子層の各SW
Gは、異なる反射特性を有するように構成することができる。
【0040】
レーザ動作及び共振器構成
VCSELアレイの各VCSELは同じように動作するので、VCSELアレイ100
の1つのVCSELのみの動作が説明される。
図11A及び
図11Bは、本発明の1つ以
上の実施形態に従って動作するVCSELアレイ100の1つの空洞共振器の断面図を示
す。
図11Aに示されるように、電極114及び108が、発光層102を電子的にポン
ピングするために用いられる電圧源1102に電子的に結合される。
図11Aは、SWG
1106の一部、空隙1108、発光層102の一部及びDBR104の一部の拡大
図1
104を含む。SWG1106は、SWG132〜135のうちの1つを表す。VCSE
Lアレイ100にバイアスがかけられないとき、QW210は、対応する伝導帯内に相対
的に低い濃度の電子、及び対応する価電子帯内に相対的に低い濃度の空電子状態、すなわ
ち、正孔を有し、発光層102から光はほとんど放射されない。一方、VCSELアレイ
100の層に順方向バイアスがかけられるとき、QW210の伝導帯内に電子が注入され
、一方、QW210の価電子帯内に正孔が注入され、反転分布と呼ばれるプロセスにおい
て、過剰な伝導帯電子及び過剰な価電子帯正孔を生成する。「電子−正孔再結合」又は「
再結合」と呼ばれる放射プロセスにおいて、伝導帯内の電子は価電子帯内の正孔と自発的
に再結合する。電子及び正孔が再結合するとき、最初に、或る波長範囲にわたって全ての
方向において光が放射される。順バイアス方向において、適切な動作電圧が印加される限
り、QW210において電子及び正孔反転分布が保持され、電子が正孔と自発的に再結合
し、ほぼ全ての方向において光を放射することができる。
【0041】
上記のように、SWG1106及びDBR104は、矢印1108によって示されるよ
うに、発光層102に対して実質的に垂直に、狭い波長範囲にわたって放射される光を反
射して、発光層102の中に戻す共振器を形成するように構成することができる。反射し
てQW210の中に戻された光は、連鎖反応において、QW210から更なる光の放射を
誘導する。発光層102は最初に自然放出によって或る範囲の波長にわたって光を放射す
るが、SWG1106は波長λ
iを選択して反射し、発光層102の中に戻して、誘導放
出を引き起こすことに留意されたい。ただし、iは1、2、3又は4に等しい。この波長
は、縦モード、軸モード、又はz軸モードと呼ばれる。経時的に、利得が縦モードによっ
て飽和状態になり、縦モードが、発光層102からの光放射を支配し始め、他の縦モード
は消滅する(decay)。言い換えると、SWG1106とDBR104との間で反射して
往復しない光は、共振器によってサポートされる縦モードが支配し始めるのに応じて、感
知できるほど増幅されることなくVCSELアレイ100から漏出し、最終的には消滅す
る。
図11Bに示されるように、SWG1106とDBR104との間で反射した支配的
な縦モードは、発光層102を横切って往復するのに応じて増幅され、定在波1110を
生成し、その定在波はSWG1106内で終端し、DBR104の中に延在する。最終的
に、SWG1106から、波長λ
iを有する実質的にコヒーレントな光ビーム1112が
現れる。発光層102から放射される光は、DBR104及びSWG1106に入り込み
、共振器内の光の往復位相への寄与を加える。DBR104及びSWG1106は、空間
をシフトして実効的な追加位相シフトを与える完全な鏡と考えることができる。
【0042】
VCSELアレイの各SWGは、発光層102から放射される異なる縦モードの光を選
択するように構成することができる。
図12は、本発明の1つ以上の実施形態による、波
長λを中心にして発光層102から放射される光の輝度又は利得プロファイル1204の
一例のプロット1202を示す。
図12は、4つの異なる単一共振器モードの一例のプロ
ット1206を含み、各単一共振器モードは異なるVCSELのVCSELアレイ100
に関連付けられる。例えば、プロット1206内のピークは、単一縦共振器モードλ
1、
λ
2、λ
3及びλ
4を表し、それはSWG132〜135及びDBR104によってそれ
ぞれ形成される4つの共振器に関連付けられる。発光層102は、輝度プロファイル12
04によって表される広範囲の波長を放射して利用できるようにし、各VCSELに関連
付けられる共振器は、そのプロファイルから、プロット1206において表される縦単一
共振器モードのうちの1つを選択する。各縦モードは、関連するVCSELの共振器内で
増幅され、
図11を参照して上記で説明されたように放射される。例えば、プロット12
08は、VCSELアレイ100の4つのVCSELから放射される波長の輝度プロファ
イルを示す。プロット1208において示されるように、各縦モードは実質的に同じ輝度
で放射することができる。
【0043】
VCSELアレイはVCSEL毎に異なる波長を放射するように示されるが、本発明の
実施形態は、そのように限定されることを意図していないことに留意されたい。他の実施
形態では、VCSELアレイの全てのVCSELを含む、VCSELの任意の組み合わせ
を、同じ波長を放射するように構成することができる。
【0044】
先行するサブセクション「非周期的なサブ波長回折格子を構成する」において上記で説
明されたように、回折格子層の各SWGは、内部縦共振器モード又は内部z軸共振器モー
ドを実現し、凹面鏡として動作するように構成することができる。
図13は、本発明の1
つ以上の実施形態による、VCSELアレイ100内のVCSELの空洞共振器の構成を
概略的に表す平凹共振器1302を示す。平凹共振器1302は、平面鏡1304及び凹
面鏡1306を含む。VCSELアレイ100のDBR104は、平面鏡1304に対応
し、SWG1106は、上記のように、SWG1106とDBR104との間の発光層1
02の領域内で光が集中するように光を反射する凹面鏡として動作するように構成するこ
とができる。例えば、SWG1106は、
図10A及び
図10Bにおいて表される輝度プ
ロファイルの光を反射するように構成することができる。
【0045】
VCSELアレイのVCSELはそれぞれ、異なる偏光共振器モードを放射するように
構成することができる。例えば、或るVCSELは、種々の方向に偏光された光を放射す
るように構成することができ、一方、他のVCSELは無偏光の光を放射するように構成
することができる。先行するサブセクション「非周期的なサブ波長回折格子を構成する」
において上記で説明されたように、SWGのライン及び溝に対して実質的に垂直に偏光さ
れた光を反射するようにSWGを構成することができる。言い換えると、空洞共振器のS
WGは、発光層から放射される光のうち、特定の偏光を有する成分を選択する。発光層か
ら放射される光の偏光成分は、SWGによって選択され、反射して共振器内に戻される。
利得が飽和状態になるとき、SWGによって選択された偏光を有する縦モードのみが増幅
される。SWGによって選択されない発光層から放射される縦モードは、感知できるほど
増幅されることなくVCSELアレイ100から漏出する。言い換えると、SWGによっ
て選択された偏光以外の偏光を有するモードは消滅し、共振器によって増幅されない。最
終的に、SWGによって選択された方向に偏光されたモードのみがVCSElアレイから
放射される。
【0046】
図14は、本発明の1つ以上の実施形態による、VCSELアレイ100の1つのVC
SELから放射される偏光された光の一例を示す。発光層102から放射される光は偏光
されない。しかしながら、経時的に、利得が飽和するのに応じて、SWG132によって
1つの偏光状態が選択される。VCSELアレイ100内からSWG132上に入射する
両方向矢印1402は、SWG132によって選択された偏光状態を表す。SWG132
は、上記のように、y方向に対して平行に延在するライン及び溝を有するように構成する
ことができる。
図14の例では、SWG132は、x方向に偏光された、発光層102か
ら放射された縦モードのみを選択する。偏光された光は、
図11を参照して上記で説明さ
れたように、SWG132及びDBR104によって形成された共振器内で増幅される。
図14の例において示されるように、SWG132を通して放射される光は、両方向矢印
1404によって表されるように、x方向に偏光される。
【0047】
z方向に沿って共振器によってサポートされる定在波に対応する、振動の特定の縦モー
ド又は軸モードをサポートすることに加えて、各共振器によって横モードもサポートする
ことができる。横モードは共振器又はz軸に対して垂直であり、TEM
nmモードとして
知られる。ただし、m及びnの下付き文字は、出現するビームを横切るx及びy方向にお
ける横方向の節線の整数である。言い換えると、共振器内で形成されるビームは、その断
面において、1つ以上の領域に分割することができる。SWGは、1つ又は特定の横モー
ドのみをサポートするように構成することができる。
【0048】
図14は、本発明の1つ以上の実施形態による、SWG1408及びDBR104によ
って形成される共振器1406内で生成される2つの横モードの一例も示す。SWG14
08は、SWG132〜135のうちのいずれか1つを表すことができる。上記のように
、SWG1408は、共振器のサイズを画定するように構成することができる。
図14に
示されるように、TEM
00モードは、破線の曲線1410によって表され、TEM
10
モードは、実線の曲線1412によって表される。TEM
00モードは節を有さず、完全
に共振器1406内に存在する。一方、TEM
10モードは、x方向において1つの節を
有し、部分1414及び1416が共振器1406の外側に存在する。結果として、利得
飽和中に、TEM
00モードは、共振器1406内に完全に存在するので増幅される。し
かしながら、TEM
10モードの一部は共振器1406の外側に存在するので、利得飽和
中にTEM
10モードは減少し、最終的には消滅するが、TEM
00モードは増幅し続け
る。共振器1406によってサポートすることができないか、又は共振器1406内に完
全には存在することができない他のTEM
mnモードも消滅する。
【0049】
図14は、本発明の1つ以上の実施形態による、VCSELアレイ100の1つのVC
SELから放射されるTEM
00の輝度プロファイルの等高線プロット1418を示す。
TEM
00は、ほぼ平坦なコヒーレントな波面を有し、かつ等高線プロット1418によ
って表されるガウス横方向放射照度プロファイルを有するように、SWG133から現れ
る。輝度プロファイルはz軸について対称である。外部TEM
00モードは内部TEM
0
0モードに対応しており、
図10Bを参照して上記で説明されたような球面鏡として動作
するように構成されるSWG133によって生成することができる。他の実施形態では、
SWG133は、
図10Aを参照して上記で説明されたように、SWG133のラインに
対して垂直な方向(x方向)において狭く、SWG133のラインに対して平行な方向(
y方向)において広い最低次の横モードTEM
00を生成する円筒鏡として動作するよう
に構成することができる。ファイバのコアがSWG133に極めて近接して位置するよう
にファイバを配置することによって、TEM
00モードは光ファイバのコアに結合するこ
とができる。また、SWG133は、中空導波路のEH
11モードのような、中空導波路
内に結合するのに適している横モードを放射するように構成することもできる。
【0050】
SWGは、特定の輝度プロファイルパターンを有する光ビームを生成するように構成す
ることができる。
図14は、VCSELから放射される光ビームの一例の断面
図1420
を示す。断面
図1420は、ビームの長さに沿って、ドーナツ形の輝度プロファイルを有
する光ビームを明らかにする。線1414に沿った放射ビームの輝度プロファイルは、円
筒形ビームを明らかにする。SWGは、エアリービーム又はベッセルビームプロファイル
のような、他の種類の断面ビームパターンを生成するように構成することもできる。
【0051】
図1及び
図2に戻ると、絶縁層110は電流及び光の閉じ込めを提供するように構成さ
れる。しかしながら、
図13を参照して上記で説明されたように、SWGとDBRとの間
に位置する発光層の領域に反射光を閉じ込めるように、SWGを構成することができるの
で、本発明のVCSELアレイ実施形態は絶縁層110を含むことには限定されない。図
15A及び
図15Bは、本発明の1つ以上の実施形態に従って構成される一例のVCSE
Lアレイ1500の等角図及び線B−Bに沿った断面図を示す。VCSELアレイ100
の絶縁層110がVCSELアレイ1500では存在しないことを除いて、VCSELア
レイ1500はVCSELアレイ100に類似している。代わりに、回折格子層112の
各SWGが、SWGとDBR104との間に位置する発光層102の領域内に反射光を誘
導するように構成される。
【0052】
本発明の実施形態に従って構成されるVCSELの高さ及び共振器長は、2つのDBR
を用いて構成される従来のVCSELの高さ及び共振器長よりも著しく短いことに留意さ
れたい。例えば、通常のVCSEL DBRは、いずれかの場所に、約5μm〜約6μm
に相当する約15〜約40のDBR対を有し、一方、SWGは約0.2μm〜約0.3μ
mの範囲の厚みを有し、同等又はより高い反射率を有する。
【0053】
本発明の更に別の実施形態では、2つの回折格子層を用いることによって、VCSEL
アレイの高さを更に低くすることができる。
図16A及び
図16Bは、本発明の1つ以上
の実施形態に従って構成される一例のVCSELアレイ1600の等角図及び線C−Cに
沿った断面図を示す。DBR104が第2の回折格子層1602で置き換えられることを
除いて、VCSELアレイ1600はVCSELアレイ100に類似している。
図16B
に示されるように、回折格子層112及び1602のSWGは空洞共振器を形成するよう
に位置合わせされる。例えば、SWG132及び1604が空洞共振器を形成する。回折
格子層1602のSWGは、1次元又は2次元の回折格子パターンを有し、上記の回折格
子層112のSWGと同様に動作するように構成することができる。回折格子層のSWG
対は、球形共振器として動作し、反射光を発光層102の領域内に誘導するように構成す
ることができるので、絶縁層110が不要になる可能性がある。
【0054】
本発明の実施形態は、VCSELアレイの各VCSELから出力される光の波長を導波
路内に伝搬させるためのレーザシステムを含む。
図17は、本発明の1つ以上の実施形態
に従って構成される一例のレーザシステム1700の等角図を示す。システム1700は
、7つのVCSEL1702〜1708を含むモノリシックVCSELアレイ1701と
、7つの導波路1712〜1718を含む多導波路ファイバ(multiple waveguide fiber
)1710とを含む。
図17の例において示されるように、7つのVCSEL1702〜
1708は、導波路1712〜1718の構成と一致するように配置され、矢印によって
示されるように、各VCSELから放射される光が導波路の中に直接結合できるようにす
る。例えば、その導波路は光ファイバの単一モードコアとすることができ、VCSEL1
702〜1708は、対応するコアに直接結合する、
図14を参照して上記で説明された
ような、TEM
00のような単一モードを出力するように構成することができる。
【0055】
或る特定の実施形態において、ファイバ1710はフォトニック結晶ファイバとするこ
とができる。
図17は、7つのコア1714を含むフォトニック結晶ファイバ1712の
平面図を含む。各コアは、ファイバの長さに及ぶ中空のチューブ1715によって包囲さ
れる。中空のチューブ1715は、より高次の屈折率コア1714に光を閉じ込めるクラ
ッディング層としての役割を果たす。光をファイバ1712のコアの中に結合するために
、VCSEL1702〜1708がファイバ1712のコア1714と位置合わせされる
ように、VCSELアレイ1701を構成することができる。
【0056】
他の実施形態では、VCSELアレイによって生成される光を搬送するために、フォト
ニック結晶ファイバを用いるのではなく、VCSELが中空導波路によってサポートされ
るモードと一致する光のモードを出力するように構成されることを条件として、一群の中
空導波路を用いることもできる。
【0057】
本発明を十分に理解してもらうために、説明の便宜上、これまでの説明は特有の用語を
使用した。しかしながら、本発明を実施するために、具体的な細部が不要であることは当
業者には明らかであろう。本発明の具体的な実施形態のこれまでの説明は、例示し、説明
するために提示された。それらの実施形態は、本発明を網羅することも、本発明を開示さ
れるのと全く同じ形に限定することも意図していない。上記の教示に鑑みて、明らかに、
数多くの変更及び変形が可能である。それらの実施形態は、本発明の原理及びその実用的
な応用例を最もわかりやすく説明し、それにより、意図した特定の用途に相応しいように
種々の変更を加えながら、当業者が本発明及び種々の実施形態を最大限に利用できるよう
にするために、図示及び説明された。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均
等物によって規定されることが意図されている。