特許第5969678号(P5969678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969678
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】裁縫定規
(51)【国際特許分類】
   A41H 3/00 20060101AFI20160804BHJP
   B43L 7/033 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   A41H3/00 E
   A41H3/00 D
   B43L7/033
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-202394(P2015-202394)
(22)【出願日】2015年9月24日
【審査請求日】2015年10月28日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515284685
【氏名又は名称】加藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 優子
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−070291(JP,A)
【文献】 特許第3895765(JP,B1)
【文献】 特開2009−108454(JP,A)
【文献】 特開平10−183417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 3/00
B43L 7/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3本以上の基本線を有し、その基本線と平行するガイド部が多角形を形成し、基本線とガイド部の距離がそれぞれ異なることを特徴とする、型紙に描かれた縫製線をもとに、裁断線を描く為の裁縫定規。
【請求項2】
請求項1に記載の裁縫定規において、基本線が形成する多角形が複数あることを特徴とする裁縫定規。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の裁縫定規において、透明体でかつ弾性を有する材質からなることを特徴とする裁縫定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は裁縫や手芸の型紙に描かれた縫製線をもとに、裁断線を描く裁縫定規に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縫製用型紙には布地の種類や分量に違いがあるので、裁断線が描かれていない。近年は初心者用に、裁断線を記載した単純なデザインの書籍も出ているが、ごくわずかである。裁縫を楽しむ個人にとっては、型紙に描かれた縫製線を基にした裁断線の印付けは、同じことを繰り返す手間のかかる作業である。
それを解決するために、下記特許文献に挙げた特許が出願されている。
【先行技術文献】
【特許文献1】特許第3895765号明細書
【特許文献2】特開2009−108454号公報
【特許文献3】特開平10−183417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術文献の特許文献1、特許文献2においては、底辺を起点に裁断線の寸法を印す。しかし寸法の場所が固定されていないので、1つ1つ寸法の場所を探しながら、縫製線を移動して行かなければならない。よって、多種類の寸法が一目で確認できて、軽快に裁断線を描いていくことは難しくなる。
先行技術文献の特許文献3においては、線引き辺(本発明においてはガイド部)に対応する目安線(本発明においては基本線)が平行に引かれていることから、時に寸法差の少ない目安線が近接することで、裁断線の寸法を確認することが難しくなる。従って目安線の数が限定されてしまうので、より多種類の基本線の寸法に対応することは難しくなる。
【0004】
縫製用型紙や布地に定規で多種類の裁断線を印す場合に、定規を直視すれば一目で基本線を縫製線に合わせながら、容易に裁断線の印付けができる。多種類で、寸法差の少ない裁断線の寸法も、間違えること無く、迅速にかつ軽快に印すことができる裁縫定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の裁縫定規は、3本以上の基本線と平行するガイド部が多角形を形成し、基本線と平行するガイド部が複数あることで多種類の寸法に対応する。
また透明な材料を使用し弾性を持たせることで、手になじみ連続した印付けを軽快に行なうことができる裁縫定規になる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の裁縫定規は、複数の基本線とそれに対応する多角形のガイド部があることから、多種類で寸法差の少ない裁断線の寸法も容易に、かつ正確に印すことができる。
また、透明な材料を使用して弾性を持たせることにより、手になじんで操作がしやすくなるので、連続した印付け作業を軽快に行なう事が可能となった裁縫定規である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1の説明図
図2】本発明の実施例2の説明図
図3】本発明の実施例3の説明図
図4】本発明の実施例4の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の裁縫定規は、3本以上の基本線と平行するガイド部が多角形を形成することで、多種類の寸法が一目で確認でき、軽快に裁断線を印すことを可能にした。本発明の実施の形態を、以下の実施例の図1図4に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例1の説明図である図1は、裁縫定規本体を通して布地が見える柔軟性のある透明体に、6本の基本線(60)の6角形と、各基本線と平行なガイド部(80)を6個設けた6角形の定規である。
各基本線とガイド部の距離は、それぞれ7mm、9mm、10mm、12mm、15mm、20mmとなっている。基本線(60)の中で例えば数字が12と示している部分は、基本線(60)とガイド部(80)との間が12mmであることを示す。
ガイド部それぞれの長さは、基本線から平行するガイド部を延長した交点と交点の間とする。
【0010】
実施例1では6本の基本線(60)で6角形となっているが、3本以上の基本線および平行するガイド部の個数によって、任意の多角形にすることができる。
また、基本線1辺の長さは全体の大きさに比例するので、基本線各1辺の長さを調整することで、基本線と平行するガイド部である、裁縫定規本体の大きさを任意に変えることができる。
【0011】
各基本線とガイド部の距離は、洋服の多種多様なデザインや布地の材質によって変える必要があり実施例1に限らず必要に応じて任意に変えることができる。
【0012】
次に実施例1の定規の使い方について説明する。洋服を制作する場合、実物大の型紙が必要である。布地はほつれ易いので、縫製線を基準として外側に裁断線を設ける。元々型紙には制作者側が使用する布地の種類や分量に違いがあり、布地の裁断部分が記載されていないので、裁断線は改めて書き加えなければならない。型紙は裁断線を追加して作る場合と、型紙を置いて直接布地に裁断線を書き込む場合とがある。どちらも型紙に裁断線を加えてその裁断線に沿って布地を断ち切り、多種類の部位のパーツを作製する。その各パーツの縫製線どうしを縫い合わせることや、切り端の始末をすることで洋服は完成する。このとき縫製線と裁断線の距離は、各パーツの部位により多種類の寸法が必要になる。
【0013】
本発明の裁縫定規は、基本線からの距離がそれぞれ異なるガイド部が複数設けられているので、必要な寸法のガイド部を選択し、定規の基本線を縫製線に合わせ、必要とする距離の裁断線をガイド部に沿って簡単に印付けることが出来る。また裁縫定規が透明体で作られていることで、重ね合わせて使う縫製線と基本線がより合わせやすくなる。
なお、本発明の裁縫定規は、裾や脇のように縫製線が長い直線の場合の裁断線は、各ガイド部の長さを利用した線引きで行い、袖ぐりや首回りなど曲線の裁断線は、点で印付けをおこなう。
【0014】
次に手早く裁断線を引く為の裁縫定規の持ち方を説明する。必要とするガイド部の反対側を持ったまま、裁縫定規本体の柔軟性を利用し、基本線に沿うように裁縫定規をしならせ、手を離さずに基本線と縫製線を合わせ、ガイド部に沿って次々と裁断線を引いていく。
【実施例2】
【0015】
本発明の実施例2の説明図である図2は裁縫定規本体を通して布地が見える、柔軟性のある透明体に基本線の3角形を2つにした裁縫定規である。重ねた2つの三角形の一方を60度回転させ、6本の基本線(70)を形成する。次に基本線に平行するガイド部(80)を設ける。各基本線とガイド部の距離は、それぞれ25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mmとなっている。基本線(70)の中で例えば数字が25と示している部分は、基本線(70)とガイド部(80)との間が25mmであることを示す。
ガイド部それぞれの長さは、基本線から平行するガイド部を延長した交点と交点の間の長さとなる。基本線1辺の長さは全体の大きさに比例する。ここでは1辺の基本線の長さを60mmとする。
【0016】
各ガイド部の長さを出来るだけ均等な多角形に近づけるには、基本線と平行するガイド部の距離を、寸法の大きい方から左右に順番に振り分けていくことで可能となる。
【0017】
本発明の実施例2で3角形を2個設けたことは、6本の基本線による6角形1個より、一辺の基本線の長さが長くなり、縫製線に基本線をより合わせやすくすることを可能にした。
実施例1の図1および実施例2の図2において、ガイド部の各寸法はそれぞれ独立しているので、一目で確認したい寸法を見つけ出すことができる。更に寸法が隣どうしになることで、見間違えも無くす効果がある。
【0018】
図1および図2が多角形を形成し、柔軟性のある透明体でできていることにおいて、寸法の数字や基本線の配色、更に透明体に限定しない基本線内側の配色で、各基本線がより確認しやすくなる。これはデザイン的にも優れた物になり、面倒な作業を心地良く行う事ができる。
【実施例3】
【0019】
本発明の実施例3の説明図である図3は、裁縫定規本体を通して布地が見える柔軟性のある透明体で、図1図2の基本線を重ねて1つにした裁縫定規で、12種類の寸法の裁断線を印すことを可能とした。
【0020】
基本線とガイド部の設定手順について説明する。まず重ねた2つの三角形の一方を60度回転させた6本の基本線(70)を形成する。
次に基本線(70)に平行するガイド部(80)を設ける。基本線(70)とガイド部(80)の距離はそれぞれ25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mmとなり6種類となる。更にガイド部(80)を基にガイド部(80)に平行の7本目以降の基本線(60)を設ける。7本目以降のガイド部(80)と基本線(60)の距離は、7mm、9mm、10mm、12mm、15mm、20mmとなり基本線の(70)と(60)を合わせて12種類の寸法の裁断線を持つ裁縫定規となる。基本線(70)の中で、例えば数字が35と示している部分は、基本線(70)とガイド部(80)との間が35mmであることを示す。また、数字が15と示している部分は、基本線(60)とガイド部(80)との間が15mmであることを示す。
1個に12種類の裁断寸法を配置した裁縫定規は、より幅広い用途に対応する。
【実施例4】
【0021】
本発明の実施例4の説明図である図4は、裁縫定規本体を通して布地が見える柔軟性のある透明体で、16種類の寸法の裁断線を印すことを可能とした裁縫定規である。
図4に基づき基本線およびガイド部の設定について説明する。まず重ねた2つの四角形の一方を45度回転させた8本の基本線(70)を形成し、更に基本線(70)に平行するガイド部(80)を設ける。
基本線(70)とガイド部(80)の距離は、それぞれ20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mmとなっている。次にガイド部(80)に平行に9本目以降の基本線(60)を設ける。9本目以降のガイド部(80)と基本線(60)の距離は、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、15mm、18mmとなり基本線(70)と基本線(60)で合計16本の基本線となる。これにより16種類の裁断線の寸法が配置された裁縫定規となり、より幅広い用途に対応することを可能にした裁縫定規となる。
【0022】
本発明の裁縫定規は、基本線の本数を増やして、より多種類の寸法の裁断線を配置する場合にも、基本線1辺の長さを変えることで、裁縫定規本体が適当な大きさに変更できるので、手に収まり作業し易い形状を保つことができる。
【0023】
本発明の裁縫定規は、基本線と平行するガイド部の距離各々が、独立された場所にあり離れているので、同じ面に複数の目盛が付いた定規のように、目をこらしてそれぞれの寸法を細かい目盛の中から見付け出す作業が無く、必要な寸法を一瞬で確認することができる。よってストレス無く短時間で多数の寸法を印付けることが可能となった裁縫定規である。
【0024】
以上、本発明に関して実施例や使用例を具体的に説明したが、構成方法、寸法、形状、材質等はこれに限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
縫製用型紙や布地に裁断線を印すことは非常に面倒なことで、裁断線を正確に印すことが、仕上がりを左右するほど重要である。布地を断ち切るので裁断線の位置は間違えることができない。それゆえに裁断線を印す作業は、非常に神経を使い敬遠したくなるストレスのかかる作業である。本発明の裁縫定規は、一瞬に裁断線の寸法を確認することができるので、間違うこと無く軽快に印付けができる。
【0026】
多種類の寸法を印す面倒な作業を、ストレス無く迅速かつ正確に印すことが可能で、作業効率を格段に上げる裁縫定規である。本発明は手に収まる形状で、扱いやすく保管がしやすい、単純な形状で加工がしやすい、画期的な裁縫定規である。
【符号の説明】
【0027】
60 基本線
70 基本線
80 ガイド部
【要約】
【課題】縫製を楽しむ個人が、縫製用型紙に定規で裁断線を印す場合において、それを直視すれば一目で寸法の確認ができて、間違うことなく短時間で印付けができることを課題とする。更に多種類の寸法の印付け作業が、定規を手放すことなく、軽快に出来ることを課題とする。
【解決手段】本発明の裁縫定規は、3本以上の基本線と平行するガイド部が多角形を形成し、基本線と平行するガイド部が複数あることで、多種類の寸法が一目で確認できて、多種類の裁断線を正確に印していく。また透明な材料を使用し弾性を持たせることで、手に馴染み連続した寸法を軽快に印すことができる裁縫定規になる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4