(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧縮空気導入部の内部には、前記圧縮空気導入部内部での圧縮空気の流動方向を遮蔽するように、遮蔽板が備えられた請求項1または2に記載のバグフィルター用空気増幅装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、焼却場や一般的な工場などにおける粉塵の除去や、紛体工場などにおける紛体の収集などに、バグフィルター(濾布式集塵機)が用いられている。バグフィルターは、濾過集塵装置の一つであり、濾材として織布や不織布を用い、これを円筒状にして粉塵の除去や紛体の収集などを行う装置である。
【0003】
例えば、特許文献1には、含塵空気室と浄化空気室とを選択して連結する清掃回路を設け、該回路には有毒ガス除去部材と加熱器及び温風循環ファンとを備え、浄化空気室内の空気を清掃回路を介して加熱して含塵空気室に導入し、循環して含塵空気室内を加熱し、該含塵空気室内の塵埃を有毒ガス除去部材により無害化することにより、作業者の立ち入りを可能とし、濾布の取り出し作業を容易に行うことを可能とした濾布式集塵機が開示されている。
【0004】
このようなバグフィルターでは、通常時には、吸引されてきた粉塵や紛体がフィルター(特許文献1の
図1では符号10)に付着し、粉塵や紛体を含有しない空気のみが排出される(特許文献1の
図1では符号5側へ排出される)ことで、粉塵の除去や紛体の収集などが行われる。しかし、操業を続けていると、次第にフィルターに粉塵や紛体が付着し堆積することにより、フィルターの濾過効果が低下する。そこで、一定周期毎に、圧縮した空気をフィルターの濾過方向とは逆の方向から噴射し、フィルターに付着した粉塵や紛体を払落する、所謂、逆洗が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1の濾布式集塵機は、圧縮空気を送り込む逆噴射パイプ(特許文献1の
図1では符号12)と、圧縮空気を噴射するノズル(特許文献1の
図1では符号13)とを用いて、逆洗を行うことができるように設計されている。
【0006】
また、近年においては、コアンダ効果を有する空気増幅装置を用いてバグフィルターの逆洗を行うことが行われつつある。コアンダ効果を有する空気増幅装置からは、フィルターの側面とほぼ平行に逆洗用の空気が噴射されるため、フィルターの側面にダメージを与えることなく、フィルターに付着した粉塵や紛体を払落することができる。
【0007】
例えば、特許文献2には、加圧空気の経路変更による圧力損失を軽減するために、加圧空気の流入口と、外部空気の流入口とが同一平面上に配置されたコアンダインジェクターが開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、圧縮空気を供給する導管を2つの分岐管に分けて、その分岐管の上部に空気増幅器を共に連結して空気増幅器から増幅された空気の圧力によって周辺装備の障害なく、より多量の周辺空気をより早い速度でバグフィルターに均一に供給して高い脱塵効果が発揮できるようにした空気増幅器を利用した圧縮空気噴射装置が開示されている。
【0009】
ここで、これらの空気増幅器の原理を、特許文献3の図面を用いて説明する。まず、圧縮された空気が圧縮空気導入部(特許文献3
図3では符号(1))へ送りこまれる。そして、送り込まれた圧縮空気が、圧縮空気噴射孔から空気増幅部へ噴射されると(特許文献3
図3では符号(2)〜(3))、コアンダ効果が発生する。発生したコアンダ効果により、外部の空気が空気増幅部へ誘引され(特許文献3
図3では符号(4))、空気が増幅される。
【0010】
ところで、コアンダ効果を効率よく発生させるためには、圧縮空気噴射孔からの圧縮空気の噴射能力が非常に重要である。従来の空気増幅装置では、例えば、特許文献2
図5の符号16のように、圧縮空気噴射孔の部分にスペーサーなどを配置して、圧縮空気噴射孔の孔を確保していた。つまり、空気増幅部へ続く下側のボディー(特許文献3
図3では符号222)と、上側のボディー(特許文献3
図3では符号221、特許文献2
図5では符号10)とで、圧縮空気噴射孔の隙間が無い状態の圧縮空気導入部(特許文献2
図5では符号5)を形成し、その後、圧縮空気噴射孔の部分にスペーサー(特許文献2
図5では符号16)などを配置して、圧縮空気噴射孔の隙間を確保していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、従来の空気増幅装置では、圧縮空気噴射孔の部分にスペーサー(特許文献2
図5では符号16)などを配置して、圧縮空気噴射孔の隙間を確保していた。しかし、この方法は、本来、密接している上側ボディーと下側ボディーとの間に、スペーサーによって無理やり隙間を形成しているため、密接状態へ戻ろうとする力が発生し、スペーサーが配置されていない部分の上側ボディーが落ち込み、スペーサー部分の隙間と、スペーサーの無い部分の隙間の大きさに差が生じるという問題があった。この場合、圧縮空気噴射孔からの圧縮空気の噴射にムラができてしまい、その結果、空気増幅能力も落ちてしまうという問題があった。
【0013】
また、スペーサーによって、圧縮空気の流れが妨げられ、これもまた、圧縮空気噴射孔からの圧縮空気の噴射能力の低下、ひいては、空気増幅能力の低下につながるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明では、コアンダ効果を効率よく発生させるために、圧縮空気噴射孔からの圧縮空気の噴射能力の優れた、バグフィルターの逆洗に適する空気増幅装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記技術的課題を解決するために、本願発明者は圧縮空気噴射孔の隙間を確保するための具体的な構成について鋭意研究を行った結果、従来の構造から発想を転換し、圧縮空気噴射孔の部分以外の構造に着目し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明では、まず、バグフィルターの逆洗に用いる空気増幅装置であって、
外部の空気を誘引する外部空気誘引口と、増幅された空気を排出する増幅空気排出口と、前記外部空気誘引口から前記増幅空気排出口へ渡って設けられた筒状の側壁と、が備えられた空気増幅部と、
圧縮された空気を導入する圧縮空気導入口と、圧縮空気を前記空気増幅部へ噴射する圧縮空気噴射孔と、前記圧縮空気導入口から導入された圧縮空気を前記圧縮空気噴射孔へ誘導する湾曲状の圧縮空気誘導壁と、が備えられた圧縮空気導入部と、
を少なくとも備え、
前記圧縮空気導入部は、
前記圧縮空気誘導壁を含む第1部材と、
前記空気増幅部へ連設された第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材が継合される加締め部と、
該加締め部において、前記第1部材と前記第2部材に挟持され、前記圧縮空気噴射孔の幅を調整するためのシム部材と、
からなるバグフィルター用空気増幅装置を提供する。
本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置の前記シム部材の具体的な形態としては、リング状のシム部材を用いることができる。
本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置の前記圧縮空気導入部の内部には、前記圧縮空気導入部内部での圧縮空気の流動方向を一部遮蔽するように、遮蔽板を備えることができる。
この際、前記遮蔽板は、前記シム部材に連設して設けることができる。
また、前記遮蔽板は、前記圧縮空気導入口における圧縮空気の導入直後の流動方向側に設けることができる。
【0017】
以上の本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置は、前記空気増幅装置の前記圧縮空気導入部へ圧縮空気を導入する圧縮空気導入管を加えて、バグフィルターの逆洗に用いる空気増幅システムとして好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置は、圧縮空気噴射孔の隙間が所望の大きさで一定に保たれているため、従来の空気増幅装置に比べ、圧縮空気噴射孔からの圧縮空気の噴射能力が高い。その結果、コアンダ効果を効率よく発生させ、空気増幅効率を向上させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照としながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0021】
<1.バグフィルター用空気増幅装置1>
図1は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の第1実施形態を模式的に示す模式斜視図である。
図2は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の第1実施形態を、側面から視た断面模式図である。
【0022】
本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1は、大別して、空気増幅部11と、圧縮空気導入部12と、を少なくとも備える。そして、空気増幅部11は、外部空気誘引口111と、増幅空気排出口112と、側壁113と、を備え、圧縮空気導入部12は、圧縮空気導入口121と、圧縮空気噴射孔122と、圧縮空気誘導壁123と、必要に応じて遮蔽板124と、を備える。以下、各部および圧縮空気導入部12の構造的特徴について、詳細に説明する。
【0023】
(1)空気増幅部11
空気増幅部11は、後述する圧縮空気導入部12から噴射された圧縮空気によるコアンダ効果を利用して、空気を増幅させる部分である。
【0024】
(a)外部空気誘引口111
外部空気誘引口111は、コアンダ効果によって、外部の空気を誘引する部分である。誘引される外部空気の流れを、
図2符号F
3で示す。外部空気誘引口111の開口面積や開口形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的のバグフィルターに用いる濾布の大きさなどに合わせて自由に設計することができる。一例を挙げると、例えば、バグフィルターの濾布の直径が150mm程度の場合、内径70〜80mmに外部空気誘引口111を設計することができる。
【0025】
(b)増幅空気排出口112
増幅空気排出口112は、増幅された空気をバグフィルターへ向かって排出する部分である。排出される増幅された空気の流れを、
図2符号F
4で示す。増幅空気排出口112の開口面積や開口形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的のバグフィルターに用いる濾布の大きさなどに合わせて自由に設計することができる。一例を挙げると、例えば、バグフィルターの濾布の直径が150mm程度の場合、内径70〜80mmに増幅空気排出口112を設計することができる。
【0026】
従来のバグフィルター用空気増幅装置では、外部空気誘引口111と増幅空気排出口112は、同一の開口面積および開口形状に設計されていた(例えば、特許文献3
図3参照)。本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1においても、従来と同様に、外部空気誘引口111と増幅空気排出口112を、同一の開口面積および開口形状に設計することも可能であるが、
図3に示す第2実施形態のように、増幅空気排出口112の断面面積を、外部空気誘引口111の断面面積より広く設計することが好ましい。増幅空気排出口112の断面面積を、外部空気誘引口111の断面面積より広く設計することで、空気増幅効率を更に向上させることができる。
【0027】
増幅空気排出口112の断面面積を、外部空気誘引口111の断面面積より広く設計する方法としては、後述する側壁113の所定部分を外側へ広げる方法がある。この際、圧縮空気噴射孔122から噴射される圧縮空気によるコアンダ効果が少なくとも持続される部位において、側壁113を外側へ広げることが好ましい(
図3符号W参照)。コアンダ効果が少なくとも持続される部位において、側壁113を外側へ広げることで、確実に、空気増幅効率を向上させることができる。
【0028】
(c)側壁113
側壁113は、外部空気誘引口111から増幅空気排出口112へ渡って設けられ、外部空気誘引口111から誘引された外部空気と、後述する圧縮空気噴射孔122から噴射された圧縮空気と、を増幅空気排出口112へ誘導するために、筒状を呈する。側壁113の長さなどの具体的態様は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的のバグフィルターなどに合わせて自由に設計することができる。
【0029】
(2)圧縮空気導入部12
圧縮空気導入部12は、後述する圧縮空気導入管2から送られてくる圧縮空気を、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の内部へ導入するための部位である。
【0030】
(a)圧縮空気導入部12の構造的特徴
本発明に係る空気増幅装置1の圧縮空気導入部12は、第1部材Aと、第2部材Bと、シム部材Dと、からなることを特徴とする。第1部材Aと、第2部材Bとは、加締め部Cにおいて継合される。そして、シム部材Dは、この加締め部Cにおいて、第1部材Aと第2部材Bに挟持された状態で備えられる。
【0031】
従来の空気増幅装置では、圧縮空気噴射孔122の部分にスペーサー(図示しない)などを配置して、圧縮空気噴射孔122の隙間を確保していた。しかし、この方法は、本来、密接している第1部材Aと第2部材Bとの間に、スペーサーによって無理やり隙間を形成しているため、第1部材Aと第2部材Bとが密接状態へ戻ろうとする力が発生し、スペーサーが配置されていない部分の第1部材Aが落ち込み、スペーサー部分の隙間と、スペーサーの無い部分の隙間の大きさに差が生じるという問題があった。また、スペーサーによって、圧縮空気の流れが妨げられるといった問題もあった。これらが、圧縮空気噴射孔122からの圧縮空気の噴射能力の低下、ひいては、空気増幅能力の低下につながっていた。
【0032】
一方、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1では、従来の空気増幅装置の構造から発想を転換し、加締め部Cにおいて、第1部材Aと第2部材Bとの間に、圧縮空気噴射孔122の幅を調整するためのシム部材Dを配設することで、従来の問題を解消することに成功した。即ち、加締め部Cにおいて、第1部材Aと第2部材Bとの間にシム部材Dを配設するため、第1部材Aと第2部材Bとが密接状態へ戻ろうとする力は発生しない。そのため、圧縮空気噴射孔122の隙間を所望の大きさで一定に保つことができる。また、圧縮空気噴射孔122の隙間には、何ら障害物は存在しないため、圧縮空気の流れが妨げられるといった問題も生じない。更に、シム部材Dの厚さを変更するだけで、圧縮空気噴射孔122の幅を容易に変更することが可能である。
【0033】
図4〜6は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1を上部側から視た平面模式図である。本発明に係る空気増幅装置1に用いるシム部材Dの形態は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。例えば、
図4に示す第1実施形態のようにリング状にしてもよいし、
図5に示す第3実施形態や
図6に示す第4実施形態のように、複数の円弧状のシム部材Dを備えることもできる。
【0034】
(b)圧縮空気導入口121
圧縮空気導入口121は、後述する圧縮空気導入管2から送られてくる圧縮空気を、圧縮空気導入部12の内部へ導入するための部位である。導入される圧縮空気の流れを、
図2符号F
1で示す。圧縮空気導入口121の開口面積や開口形状など具体的な態様は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的のバグフィルターや接続する圧縮空気導入管2の形態などに合わせて自由に設計することができる。
【0035】
(c)圧縮空気噴射孔122
圧縮空気噴射孔122は、圧縮空気導入口121から導入された圧縮空気を、空気増幅部11へ噴射するための部位である。噴射される圧縮空気の流れを、
図2符号F
2で示す。なお、本発明の特徴を分かり易くするために、図面では、圧縮空気噴射孔122の隙間を、実際の装置に比べ誇張して表している。
【0036】
本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1では、圧縮空気噴射孔122から空気増幅部11への圧縮空気の噴射角度は、特に限定されないが、本発明では特に、外部空気の誘引方向に対して90°よりも小さい角度で噴射することが好ましい。このように、圧縮空気噴射孔122から空気増幅部11への圧縮空気が、外部空気の誘引方向に対して90°よりも小さい角度で噴射されることにより、従来のバグフィルター用空気増幅装置に比べ、空気増幅効率を飛躍的に向上させることができる。
【0037】
なお、従来のバグフィルター用空気増幅装置のように、圧縮空気噴射孔122から空気増幅部11への圧縮空気の噴射角度を、外部空気の誘引方向に対して略垂直に設計することも可能である(
図7に示す第5実施形態参照)。
【0038】
圧縮空気噴射孔122を形成する間隙の幅は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、導入される圧縮空気の量や目的の噴出速度などに合わせて自由に設計することができる。一例を挙げると、例えば、幅0.3〜2mmに圧縮空気噴射孔122を形成する間隙を設計することができる。本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の圧縮空気噴射孔122からは、超音速で圧縮空気が噴射される。この空気の噴射によって、外部空気誘引口111付近にはコアンダ効果が発生し、空気増幅部11へ外部空気が誘引される。その結果、非常に高効率で空気を増幅させることが可能である。
【0039】
(d)圧縮空気誘導壁123
圧縮空気誘導壁123は、圧縮空気導入口121から導入された圧縮空気を、圧縮空気噴射孔122へ誘導するために、湾曲状の形態を成す。圧縮空気誘導壁123の具体的な形態は、圧縮空気導入口121から導入された圧縮空気を、圧縮空気噴射孔122へ誘導するために、少なくとも湾曲状の形態を成していれば、本発明の効果を損なわない限りその他の構造は特に限定されない。目的のバグフィルターや接続する圧縮空気導入管2の形態などに合わせて自由に設計することができる。
【0040】
(e)遮蔽板124
図8は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の第6実施形態を側面から視た断面模式図である。本発明に係る空気増幅装置1の圧縮空気導入部12の内部には、圧縮空気導入部12内部での圧縮空気の流動方向を遮蔽するように、遮蔽板124を備えることができる。なお、この遮蔽板124は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1においては必須ではないが、後述する実施例で示すように、空気増幅効率を向上させるためには、備えることが好ましい。
【0041】
遮蔽板14を設置した場合の具体的な効果について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の第1実施形態における圧縮空気導入部12の内部を、上部側から視た断面模式図であり、
図10は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の第6実施形態における圧縮空気導入部12の内部を、上部側から視た断面模式図である。
【0042】
図9に示すように、遮蔽板124を有さない第1実施形態に係るバグフィルター用空気増幅装置1では、後述する圧縮空気導入管2から送られてくる圧縮空気が、圧縮空気導入口121から導入され(
図9中符号F
1参照)、圧縮空気導入部12の内部を循環しながら、圧縮空気噴射孔122から圧縮空気が噴出される(
図9中符号F
2参照)。
【0043】
一方、
図10に示すように、遮蔽板124を有する第6実施形態に係る空気増幅装置1では、圧縮空気導入口121から導入された圧縮空気は、一部が遮蔽板124にぶつかって進行方向を逆向きに変化する(
図10中符号F
1a参照)。そして、遮蔽板124に遮蔽されなかった圧縮空気F
1bと、進行方向が逆向きに変化した圧縮空気F
1aは、圧縮空気導入部12の内部で衝突し、新たな圧力が発生する。そのため、この圧力によって、遮蔽板124を有さない場合に比べて、より多くの圧縮空気が圧縮空気噴射孔122から噴出される(
図10中符号F
2参照)。
【0044】
本発明において、遮蔽板124の形態は、本発明の効果を損なわない限り自由に設計することができる。本発明では特に、圧縮空気導入部12内部の垂直方向の断面積に対し、30%以上の大きさに設計することが好ましい。この範囲の大きさに設計することで、圧縮空気導入部12の内部で十分な圧力を発生させることができる。
【0045】
なお、本発明に係る空気増幅装置1では、遮蔽板124を用いて、圧縮空気導入部12内部を垂直方向に、全遮蔽してもよい。全遮蔽した場合、圧縮空気導入口121から導入された圧縮空気は、遮蔽板124に衝突することにより新たな圧力が発生し、圧縮空気噴射孔122から効率よく圧縮空気が噴射される。
【0046】
また、圧縮空気導入部12の内部における遮蔽板124の設置方法も、本発明の効果を損なわない限り限定されず、自由な方法で設置することが可能である。例えば、
図8の第6実施形態に係るバグフィルター用空気増幅装置1のように、シム部材Dに連設することができる。シム部材Dに連設することで、加締め部Cにおいて、固定することができるため、新たな固定具などを設ける必要がなく、脱着も容易に行うことができる。
【0047】
更に、圧縮空気導入部12の内部における遮蔽板124の設置位置も、本発明の効果を損なわない限り限定されず、自由な位置に設置することが可能である。本発明では特に、
図10の第6実施形態に係るバグフィルター用空気増幅装置1のように、圧縮空気導入口121における圧縮空気の導入直後の流動方向側に設けることが好ましい。この位置に設けることで、圧縮空気導入部12の内部で十分な圧力を発生させることができる。
【0048】
<2.バグフィルター用空気増幅システム10>
図11は、本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10の第1実施形態を側面から視た断面模式図である。本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10は、前述した本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1と、圧縮空気導入管2と、を少なくとも備える。また、本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10には、固定手段3を備えることもできる。以下、各部について、詳細に説明する。なお、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置1の詳細は、前述と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0049】
(1)圧縮空気導入管2
圧縮空気導入管2は、空気増幅装置1の前記圧縮空気導入部12へ圧縮空気を導入する。圧縮空気導入管2の太さや長さなどの具体的な形態は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的のバグフィルター、設置場所の形態などに合わせて自由に設計することができる。
【0050】
また、圧縮空気導入管2の配置についても本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、設置場所の形態などに合わせて自由に設計することができるが、本発明においては、バグフィルター用空気増幅装置1の圧縮空気導入部12に連通するように、圧縮空気導入部12の下部に設置することが好ましい。例えば、特許文献2に記載のコアンダインジェクターのように、外部空気誘引口の上部に、圧縮空気導入管を設置することも理論的には可能である。しかしながら、外部空気誘引口の上部に圧縮空気導入管を設置すると、外部空気誘引口からの外部空気の誘引の際に空気の流れの障害となり、誘引する空気量が低下する場合があり、空気増幅効果が低下する恐れがある。そのため、本発明においては、圧縮空気導入管2を圧縮空気導入部12の下部に設置することが好ましい。
【0051】
更に、圧縮空気導入管2の具体的な断面形状についても、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、設置場所の形態などに合わせて自由に設計することができる。本発明においては特に、
図11の第1実施形態に係るバグフィルター用空気増幅システム10のように、圧縮空気導入部12の圧縮空気導入管2との接続面と、圧縮空気導入管2の前記圧縮空気導入部12との接続面とが、互いに平行となるように設計することが好ましい。圧縮空気導入部12の圧縮空気導入管2との接続面と、圧縮空気導入管2の前記圧縮空気導入部12との接続面とが、互いに平行となるように設計することで、圧縮空気の漏出を防止することができる。
【0052】
圧縮空気導入部12と圧縮空気導入管2との接続は、溶接により行うことも可能であるが(図示なし)、
図11に示す第1実施形態のように、パッキンPを用いてシールすることも可能である。パッキンPを用いて接続することにより、圧縮空気導入管2からバグフィルター用空気増幅装置1を容易に取り外すことが可能となり、破損による単品交換や、緊急に濾布穴を塞ぐ必要が生じた場合などに対応可能である。
【0053】
加えて、本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10に備える圧縮空気導入管2の数も、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、設置場所の形態などに合わせて1本或いは2本以上の複数本、備えることも可能である。本発明では特に、圧縮空気導入管2の数は、1本にすることが好ましい。
【0054】
(2)固定手段3
本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10には、バグフィルター用空気増幅装置1を固定する固定手段3を更に備えることも可能である。固定手段3は本発明においては必須ではないが、固定手段3を設けることで、バグフィルター用空気増幅装置1の水平性を保つことができる。
【0055】
通常、バグフィルターのメンテナンスなどを行う際、バグフィルター用空気増幅システム10上を、人が移動する場合がある。
図11に示す第1実施形態に係る本発明に係るバグフィルター用空気増幅システム10のように、バグフィルター用空気増幅装置1を固定する固定手段3を更に備えれば、人の重さによるバグフィルター用空気増幅装置1の傾き防止して、その水平性を維持することができ、その結果、優れた空気増幅効果を維持することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0057】
<実験例1>
実験例1では、バグフィルター用空気増幅装置1の圧縮空気導入部12の内部に遮蔽板124を備えた場合と、備えない場合とで、空気増幅効果が変化するか否かを調べた。具体的には、本発明に係るバグフィルター用空気増幅装置の例として、
図2および
図9に示す第1実施形態に係るバグフィルター用空気増幅装置(実施例1)、
図8及び
図10に示す第6実施形態に係るバグフィルター用空気増幅装置(実施例2)を用いて、空気増幅効率を比較した。
【0058】
(1)実験方法
実施例1及び2に係るバグフィルター用空気増幅装置1をそれぞれ9連にしたバグフィルター用空気増幅システムの圧縮空気導入管に、0.5MPaの圧縮空気を0.1秒間流し、増幅空気排出口からの空気圧を測定した。
【0059】
空気圧の測定について
図12を参照しながら簡単に説明する。空気圧の測定には、少なくとも増幅空気排出口の断面径の約2倍の径を有し、増幅空気排出口から排出される空気(
図12、矢印F
4参照)を受ける円板41と、1〜10キログラムフォース(Kgf))の荷重に応じて1〜10cmの変位を生じるばね42(
図12、矢印F
5参照)と、ばね42を介して円板41と接続された支持体43と、円板41の変位を記録するための変位計44と、を備える装置を使用した。ばねの最大変位から換算した荷重(Kgf)を空気圧の測定値とした。
【0060】
(2)結果
結果を
図13に示す。
図13に示す通り、遮蔽板124を有さないバグフィルター用空気増幅装置を用いた実施例1に比べ、遮蔽板124を有するバグフィルター用空気増幅装置を用いた実施例2の方が、全体的に約1.5Kgf風圧が上昇し、安定した空気増幅効果が得られることが分かった。