(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969687
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】商用車用シングル車輪フロントアクスルモジュール
(51)【国際特許分類】
B62D 21/11 20060101AFI20160804BHJP
B62D 21/02 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
B62D21/11
B62D21/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-504872(P2015-504872)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-516330(P2015-516330A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2013000395
(87)【国際公開番号】WO2013152818
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2014年10月21日
(31)【優先権主張番号】102012007263.5
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・マウツ
(72)【発明者】
【氏名】ゾエーレン・アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・クレット
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−512221(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/074613(WO,A1)
【文献】
国際公開第2001/028791(WO,A1)
【文献】
特開2008−168791(JP,A)
【文献】
特開昭57−084268(JP,A)
【文献】
特表2009−528208(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0113394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/11
B62D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車用シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)であって、
左右のサスペンションアーム(2、3)を有し、各サスペンションアーム(2、3)がそれぞれ前部および後部軸受(4、6、5、7)を有し、
2つの前記サスペンションアーム(2、3)は、前記前部軸受(4、6)を介して商用車のサブフレーム(8)の前部横材(9)と関節式に連結されており、
2つの前記サスペンションアーム(2、3)は、前記後部軸受(5、7)を介して後部横材部材(12)と関節式に連結されており、
前記後部横材部材(12)は、商用車の前記サブフレーム(8)と共に解除可能な連結形成のために作用し、
前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)は、前記連結を解除する際、前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)の横方向(Q)に延びる旋回軸(S)の周りを旋回可能である、シングル車輪フロントアクスルモジュール。
【請求項2】
前記旋回軸(S)が、2つの前記前部軸受(4、6)を結ぶ連結直線(V)によって規定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項3】
前記前部軸受(4、6)が、前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)が旋回軸(S)の周りを旋回する為の、ゴム製ジョイントとして形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項4】
前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)は、前記連結が解除される際、前記後部横材部材(12)が前記サブフレーム(8)に固定可能である固定位置と、前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)を前記固定位置に対し前記旋回軸(S)の周りを旋回させる保守位置との間で旋回可能であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項5】
前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)が前記保守位置へ、2つの前記サスペンションアーム(2、3)によって規定された水平面からみて下向きに旋回されることを特徴とする、請求項4に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項6】
前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)が前記保守位置において、2つの前記サスペンションアーム(2、3)の周りの領域において、商用車の保守作業を実施するための保守領域を提供することを特徴とする、請求項4から5までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項7】
前記保守位置において、商用車のサブフレームに固定された油受けに、作業者が商用車の下側からアクセスできることを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項8】
左右の前記サスペンションアーム(2、3)が、それぞれ三角形サスペンションアームの形に形成されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項9】
前記保守位置から前記固定位置までの旋回の際、前記シングル車輪フロントアクスルモジュール(1)のガイドのため、前記後部横材部材(12)が、円錐形に形成されたガイドピン(16、17)を有し、かつ前記サブフレーム(8)が、前記ガイドピンに相補的な切り欠きを有する、またはその逆であることを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載のシングル車輪フロントアクスルモジュール(1)を有する商用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車用シングル車輪フロントアクスルモジュールに関する。本発明はこのほか、同種のシングル車輪フロントアクスルモジュールを有する商用車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシングル車輪フロントアクスルモジュールは、多岐にわたる方式で従来技術から知られている。
【0003】
特許文献1では、複数の横材を介して2つの縦材が互いに連結されているフレームを含め、可倒式運転室を有する商用車のシャシーが述べられている。シャシーは、リジッドアクスル本体がトレーリングリンクを介してフレーム固定の諸箇所にピボットで支えられている固定フロントアクスルを有する。2つのフレーム縦部材の前端は、おもにU字形の横材によって互いに連結されており、この横材は、各々フレーム縦部材にフランジを介して固定された2つの多機能軸受台と、この2つの多機能軸受台の下に延びて末端でそれぞれこの多機能軸受台に連結された横材から構成されている2つのフレーム縦部材の前端は、各々フレーム縦部材にフランジを介して固定された2つの多機能軸受台と、これらの下で延び、各々、末辺で、これらと連結された横材から構成される、実質的にU字形横材によって互いに連結されている。2つの多機能軸受台は、若干数の様々な車両部品のホルダーおよび支持機構、ベアリング機構そして固定機構として機能する。シャシーを用いることで、商用車の前部領域は、商用車の2つの縦部材間にできるだけ深く動力装置を設置することができ、その際、商用車のフレームの安定性が損なわれないように、形成されることが可能である。
【0004】
特許文献2では、低床運搬車両用車輪懸架式システムが述べられている。懸架式システムは、ホイールストロークと連結可能な回転軸、回転軸とそれぞれ連結し、さらに車両のフレームと連結可能なアッパー・サスペンションアームとロアー・サスペンションアームを含む。その他、懸架式システムは、車両のステアリングシステムと連結されている支柱を含み、その際、支柱は回転軸と連結されている。ロアー・サスペンションアームは、車両の横軸に対し非対称で、そのため、車両の走行中、ロアー・サスペンションアームと同じ平行面の中にできる空間領域は非対称形である。その際、支柱は、実質的に同様にこの面の中で延び、その結果、支柱が非対称形の空間領域の中に存在する一方で、車両のステアリングシステムの一部であるステアリングロッドが簡単なやり方で支柱と連結されることが可能である。
【0005】
従来のシングル車輪フロントアクスルモジュールは、取り付けられた状態において、保守が重要な車両部品へのアクセスが困難であるという欠点を有する。これは、例えば商用車の中で遮断された油受けや商用車のギア装置ユニットへのアクセスにもあてはまる。そのようなアクセスが困難な車両部品において、サービス作業の効果的かつ迅速な実施は、従って困難となっている。諸事情により、このようなサービス作業実施のため、商用車の前車軸を完全にとりはずすことさえも必要なこともあり得るが、このことは、サービス作業実施の労力およびそれに伴うコストを持続的に上昇させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 0 940 272 A1
【特許文献2】EP 1 932 691 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、シングル車輪フロントアクスルモジュールにおける上述の短所が排除され、もしくは少なくとも軽減されているシングル車輪フロントアクスルモジュールのための改善された実施形態を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題は、独立請求項に従った装置によって解決される。好ましい実施形態が従属請求項の対象物である。
本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールは、シングル車輪フロントアクスルモジュールの横方向に対し、実質的に互いに対置されている左右のサスペンションアームを有する。左右のサスペンションアームは、各々前部軸受および後部軸受を有し、その際、2つのサスペンションアームは、前部軸受を介して商用車のサブフレームの前部横材と関節式に連結されている。同様に、2つのサスペンションアームは、後部軸受を介して後部横材部材と関節式に連結されている。
【0009】
本発明によれば、後部横材部材と商用車のサブフレームとは共に、後部横材部材の、サブフレームへの解除可能な連結の形成のために作用するものであり、そのため連結が解除される際、シングル車輪フロントアクスルモジュールが、シングル車輪フロントアクスルモジュールの横方向へ延びる旋回軸の周りを旋回可能である。
【0010】
シングル車輪フロントアクスルモジュールのこのような旋回可能な構造によって、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、固定位置での2つのサスペンションアームの周りの領域の中に、旋回の結果として空間が作られるように商用車のサブフレームを基準として旋回が可能である。この空間によって、作業者は、例えばギア装置ユニットのような商用車の重要な部品へより容易にアクセスでき、しかも商用車の下側からアクセスが可能である。このことは、シングル車輪フロントアクスルモジュールの旋回により作られる空間を経由し、作業者が、同様に、特によくアクセスできる、商用車に設置された油受けにも該当する。
【0011】
サービス作業実施の後、あるいは商用車の保守されるべき車両部品の取り外しおよび再取り付けがサービス作業の枠内で必要な場合にはそれが済んだ後、本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールは、再び旋回軸の周りを逆旋回が可能で、その結果、後部横材部材は再びサブフレームに固定されることができる。商用車は、サブフレーム上に横材部材の再固定後すぐに、再走行が可能である。
【0012】
本発明により旋回可能な、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、第一に技術的に容易に実施できるやり方で、商用車のさまざまな車両部品に対するサービス作業のための空間を作ることを可能にし、同時に、本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールによって、商用車のサブフレームにおける後部横材部材の(またそれによってシングル車輪フロントアクスルモジュール全体の)迅速かつ厳密な固定も可能になり、その結果、シングル車輪フロントアクスルモジュールが本発明によって固定された後、本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールにおいて費用のかかる再保守およびそれに匹敵する保守作業はもはや必要ではない。
【0013】
旋回軸は、基本的に、左右サスペンションアームの2つの前部軸受を結ぶ連結直線によって規定されることが好ましい。このようなやり方で、シングル車輪フロントアクスルモジュールの、本発明による旋回により、作業者が保守作業を行うための特に大きな空間が得られる。
【0014】
他の実施形態において、旋回軸の周りをシングル車輪フロントアクスルモジュールが旋回するために、前部軸受がゴム製ジョイントとして形成されていることが可能である。このことにより、本発明により企図された、商用車のサブフレームを基準とするシングル車輪フロントアクスルモジュールの旋回性が、技術的に容易に実行される。
【0015】
特に好ましい実施形態では、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、連結が解除される際、後部横材部材がサブフレームに固定可能となる固定位置と、シングル車輪フロントアクスルモジュールが固定位置に対する旋回軸の周りを特にあらかじめ設定した旋回角度α
0で旋回する保守位置との間を、旋回できるようになっていてもよい。その際、旋回角度α
0は好ましくは20°から50°まで、非常に好ましいのは30°から40°である。固定位置においては、シングル車輪フロントアクスルモジュールが、商用車のサブフレームに固定されており、その結果、商用車の走行準備は整っており、一方、保守位置においては、固定位置では少なくとも部分的にシングル車輪フロントアクスルモジュールで隠され、従って作業者にとってアクセス困難な車両部品へのアクセス性が改善される。
【0016】
従来のシングル車輪フロントアクスルモジュールを使用した場合、通常、従来のシングル車輪フロントアクスルモジュールの構成部材によって隠れている特定の車両部品までのアクセスをより容易とするために、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、固定位置において、2つのサスペンションアームによって規定された面に対し、下向きに、特に旋回角度α
0で、特に、商用車の走行予定の車道の方向に旋回されてもよい。
【0017】
商用車の実地走行に特に重要な実施形態では、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、保守位置において、2つのサスペンションアームの周りの領域に、作業者にとって支障なくアクセスできる領域を、特に商用車における保守作業実施のための保守領域を形成することができる。
【0018】
特に好ましい実施形態では、商用車に、特に商用車のサブフレームに固定された油受けに、シングル車輪フロントアクスルモジュールを使用している商用車の下側から、作業者が支障なくアクセスできる。本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールが保守位置にあれば、このやり方で、油受けの保守作業は特に簡単に実施されることができる。
【0019】
技術面から特に好ましい変形では、左右のサスペンションアームが、それぞれ三角形のサスペンションアームのような形で形成されていることが可能である。
【0020】
シングル車輪フロントアクスルモジュールが、固定位置と保守位置との間で、繰り返し旋回する場合、商用車のサブフレームへの厳密な取り付け位置という観点からみて誤って調節されていないことを担保するため、後部横材部材が、特に円錐形のガイドピンを有し、またサブフレームがそのガイドピンに相補的な切り欠きを有することが可能で(あるいはその逆でもよい)、その結果、シングル車輪フロントアクスルモジュールは、保守位置から固定位置へ旋回する際、再生可能な高精度の調節をもって、サブフレームに固定されることができる。こうして、サブフレームに後部横材部材を固定後、時間がかかる事後の調節作業を省くことができる。
【0021】
その他、本発明は、1つもしくは複数の特徴を有するシングル車輪フロントアクスルモジュールおよびサブフレームを有する商用車に関する。
【0022】
本発明のその他の重要な特徴および長所は、従属請求項、図面、および図面に基づく説明から明らかになる。
【0023】
上述および後にさらに述べられることになる諸特徴は、そのつど提示される組み合わせのみならず、本発明の枠を逸脱することなく、他の組み合わせにおいても単独でも使用可能であることは自明である。
【0024】
本発明の好ましい実施例が、各図面に図示されており、以下の記述において詳細に説明されるが、その際、同一の照合符号は同一のあるいは類似の、あるいは機能的に同一の部材に適用されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールの実施例の等角図である。
【
図2】シングル車輪フロントアクスルモジュールと商用車のサブフレームの連結が解除されている
図1に基づく実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1では、本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュールが1として示されている。シングル車輪フロントアクスルモジュール1は、シングル車輪フロントアクスルモジュール1の縦軸Lに対し、左右のサスペンションアーム2、3を有する。縦軸Lに対し直角に進む横方向Qに関し、左右のサスペンションアーム2、3が互いに実質的に対置されている。左右のサスペンションアーム2、3は
図1、2の図示の中のように、三角形サスペンションアームのような形で形成されていることが可能である。
【0027】
左サスペンションアーム2は、前部軸受4および後部軸受5を有し、そして、右サスペンションアーム3は、同様に前部軸受6および後部軸受7を有する。
【0028】
2つのサスペンションアーム2、3は、前部軸受4、6を介して商用車のサブフレーム8の前部横材9と関節式に連結されている。その際、サブフレーム8は、横材9のほか、それぞれ実質的に縦軸Lに平行に延びる左と右の縦材10、11を含んでおり、この左右縦材10、11は両方とも横材9に固定されている。2つのサスペンションアーム2、3は、さらに、後部軸受5、7を介して後部横材部材12と関節式に連結されている。本発明によれば、シングル車輪フロントアクスルモジュール1の後部横材部材12はサブフレーム8と共に、サブフレーム8と後部横材部材12との解除可能な連結の形成のために作用する。その際、
図2の図示の中で示されているように、好ましくはサブフレーム8の左と右の縦部材10、11の後部末端部分13、14と後部横材部材12との解除可能な連結が形成されることが可能である。後部横材部材12をサブフレーム8に固定することを技術的に実現することに関し、専門家には本稿で説明された実施例の数多くの変形があることは明らかである。
【0029】
図2の図示では、シングル車輪フロントアクスルモジュール1の後部横材12とサブフレーム8との連結が解除されている状態における本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュール1が示されている。本発明によると、シングル車輪フロントアクスルモジュール1は、連結解除の際、横方向Qへ進む旋回軸S(
図1参照)の周りを旋回可能である。上記実施例に基づき、旋回軸Sは、その際、実質的に左右のサスペンションアーム2、3の2つの前部軸受4、6を結ぶ連結直線Vを通って延びている。その際、左右のサスペンションアーム2、3の前部軸受4、6は、好ましくはゴム製ジョイントとして形成されており、これが、固定の解除状態における旋回軸Sの周りをシングル車輪フロントアクスルモジュール1が、特に容易に旋回できることを可能にする。
【0030】
上記実施例に基づき、シングル車輪フロントアクスルモジュール1は、サブフレーム8の後部横材部材12との連結が解除される際、
図1で示された、後部横材部材12がサブフレーム8に固定が可能な、もしくは固定されている固定位置と、シングル車輪フロントアクスルモジュール1が固定位置に対し旋回軸Sの周りを旋回する保守位置との間で旋回される。シングル車輪フロントアクスルモジュール1が、
図1で示された固定位置から保守位置へと旋回することは、
図2の図示の中で、旋回軸Sの周りの固定位置から保守位置への旋回運動を表わしている矢印Pによって示されている。
【0031】
図1と
図2の図示から分かるように、本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュール1は、固定位置から保守位置へと旋回する際、2つのサスペクションアームによって規定された面(実質的に縦軸Lと横方向Qによって固定された面と同一)に対し、下向きに(矢印U参照)、つまり商用車によって走行予定の車道(
図2では示されていない)方向に旋回される。シングル車輪フロントアクスルモジュール1が最終的な保守位置にある場合、図中の明瞭性のため示されていない商用車の他の部品に対する、作業者による保守作業実施のため、シングル車輪フロントアクスルモジュール1は左右のサスペンションアーム2、3の前部と後部の軸受4、6、5、7の間に、
図2で示され、照合番号
15で示された領域(破線)を提供する。シングル車輪フロントアクスルモジュール1の上述の保守位置においては、商用車ないしは商用車のサブフレーム8に固定された、例えば商用車の油受け、ギアユニットあるいは内燃機関の部品のような車両部品が、商用車の下側から、よりよくアクセスされるようになる。こうして、シングル車輪フロントアクスルモジュール1の保守位置において、作業員によって効果的で、簡略化された方法で、商用車の上述の部品における保守作業が実施されることができる。
【0032】
図3の図示の中に、サブフレーム8の後部部分13、14が、ガイドピン16、17をそれぞれ有するような本発明によるシングル車輪フロントアクスルモジュール1の好ましい変形が示されている。これに応じて後部横材部材12は、それぞれガイドピン16、17に対し相補的な切り欠きを有し(
図3では、明瞭性のため示されていない)、その結果、シングル車輪フロントアクスルモジュール1が保守位置から固定位置まで旋回する際の自動調節が実現されており、これが後部横材部材12をサブフレーム8に固定した後の追加的でかつ労力のかかる調節作業を不必要にする自動調節が実現されている。
【0033】
ガイドピン16、17は、好ましくはそれぞれ円錐形に形成されることが可能で、このことによって、ガイドピン16、17に相補的な切り欠きへの挿入の際のガイドピン16、17のガイドの厳密さが、改善される。他の諸変形において、ガイドピン16、17が、後部横材部材12に配置されることが可能で、従って相補的な切り欠きが、サブフレーム8の後部部分13、14に配置されることが可能であることは明白である。