【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1の構成を備えた光電部品、および、請求項11および請求項13の構成を備えた方法によって解決される。
【0004】
1つの観点によれば、光電部品は少なくとも1つの第1の半導体チップを有している。光電部品は第2、第3、第4または更なる半導体チップを有していてよい。第1の半導体チップとは、好ましくはIII−V族半導体材料をベースにした半導体チップである。第1の半導体チップは電磁放射線を放射するために適している。第1の半導体チップは例えば光を放射する。しかし第1の半導体チップは紫外線(UV)または赤外線(IR)を放射してもよい。第1の半導体チップは好ましくはLEDチップである。
【0005】
第1の半導体チップは高出力半導体チップであってよい。すなわち、第1の半導体チップは少なくとも1Wの、特に少なくとも3Wの入力電力を有していてよい。第1の半導体チップは直接照明のために構成されていてよい。例えば、第1の半導体チップはカメラのフラッシュ機能のために光を放出するチップとして使用することができる。半導体チップは、光の状態が悪い場合にディスプレイを背面から照明するためにも特に好適に使用することができる。第1の半導体チップは、携帯電話のフラッシュ機能のために赤外線を放射することができ、或いは、距離センサ用のエミッターとして赤外線を放射することができる。
【0006】
これとは択一的に、第1の半導体チップは低エネルギー半導体チップであってよい。このケースでも、半導体チップは距離センサ用の赤外線エミッターとして機能することができる。これとは択一的に、半導体チップは種々の色を放射するために構成されていてよい。例えば半導体チップは着色光、多色光、または白色光を放射することができる。
【0007】
光電部品のすべての半導体チップは、すなわち第1、第2、第3、第4および他の各半導体チップは同一構成であってよい。これとは択一的に、光電部品が有利には異なるスペクトル範囲で放出を行うように構成された種々の半導体チップ、特に異なる半導体材料をベースにした半導体チップを含んでいてもよい。この場合、異なる半導体チップは異なる機能のために、例えば直接照明または間接照明のために設けられていてよい。
【0008】
光電部品は、ハウジングをさらに有している。光電部品は好ましくは表面実装可能な光電部品である(SMDまたはsurface mounted device)。特に、光電部品のハウジングは表面実装可能である。ハウジングは、第1の半導体チップを受容するために構成されている。ハウジングは、半導体チップを外部の影響から保護するために構成されている。ハウジングは少なくとも1つの第1の凹部を有している。凹部はハウジングのベース体に窪み、凹部、又は中空部として形成されている。原理的には、凹部のいかなる任意の形状も考えられる。例えば、凹部の開口は、該凹部を平面図で見て円形、角形または楕円形の形状を有していてよい。凹部は好ましくは漏斗状または円錐状に形成されている。第1の半導体チップは第1の凹部内に配置されている。好ましくは、第1の半導体チップは凹部の底部に固定されている。例えば、半導体チップは底部に結合され、すなわち特に蝋付けまたは導電性接着されている。この場合、凹部の底部上には、半導体チップを電気接続可能にする接続導線または接続個所が露出していてよい。
【0009】
第1の凹部は少なくとも部分的に、特に全体的に第1のリフレクタとして構成されている。第1の凹部または第1のリフレクタは、第1の半導体チップの動作中に生成される放射を反射させるように構成されている。第1の凹部または第1のリフレクタは1つの表面を有している。この表面は第1の半導体チップのまわりに配置されている。表面は反射性を持つように形成されている。表面は、動作中に第1の半導体チップから放射される放射の放射特性を目的に応じて調整するために形成されている。
【0010】
第1のリフレクタの表面の目的に応じた構成、および特に表面の特性の目的に応じた選択により、光電部品はその特定された使用にあたり、まさに必要な条件通りに適合され得る。
【0011】
例えば、表面は、少なくとも部分的に、特に全体的に、光電部品から放出された放射が指向性反射または鏡反射されるように構成されていてよい。特に、表面は、半導体チップから放出される放射を合焦させるように構成されていてよい。これに関連して、合焦または指向性反射とは、入射する放射が面法線に対し+/−15゜だけまたはこれ以下で散乱するということを意味している。これは、光電部品が赤外線を放射するために設けられている場合に特に有利であると指摘できる。赤外線は利用者によって、例えば携帯電話所有者によって知覚されず、その結果赤外線を放出する光電部品、例えば携帯電話の赤外線フラッシュ機能用の光電部品は、赤外線カメラとともに使用され、惑わされるものとして、眩しいものとして、または不快なものとして知覚されない。
【0012】
これとは択一的に、表面は少なくとも部分的に、特に全体的に、光電部品から放出される放射が拡散するように、すなわち複数の方向に散乱及び/又は反射するように構成されていてよい。これに関連して、拡散する散乱及び/又は反射とは、入射する放射が面法線に対し+/−60゜だけ散乱することを意味している。これは、例えば、強すぎる合焦放射によって利用者を眩しくさせたり、惑わせたりしないようにするため、光電部品が可視放射を生成するために設けられている場合に特に有利である。
【0013】
これとは択一的に、表面は、光電部品から放出される放射を指向性反射または合焦放射させるとともに、拡散反射をもさせることができるように構成されていてよい。すなわち表面の異なる個所または異なる領域で表面は異なる態様で構成されていてよい。
【0014】
従って、表面を目的に応じて構成することにより、光電部品の放射特性を光学的要件に依存して光電部品に目的に応じて調整することができる。このようにして特に効率的な光電部品が提供される。放射特性を調整するために表面のみが対応的に構成されずに過ぎず、更なるコンポーネント、例えばレンズを必要としないので、光電部品は特にコスト上好ましい。
【0015】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、表面は少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2の領域とを有している。第1の領域は、第2の領域の拡がりに対応する拡がりを有していてよい。これとは択一的に、第1の領域は第2の領域よりも大きくてもよく、或いはその逆であってもよい。表面の第1の領域は、例えば凹部の、半導体チップ付近に配置されている部分、すなわち凹部の底部付近に配置されている部分に配置されていてよい。第2の領域は、凹部の、半導体チップからより離れている部分、すなわち例えば光電部品のデカップリング面の領域に配置されていてよい。原理的には、凹部内での第1および第2の領域のいかなる空間的配置も可能である。
【0016】
表面の第1の領域は、第1の半導体チップから放出される放射を拡散反射及び/又は拡散散乱させるように構成されている。この場合、第1の領域は放射を特に光学的に拡張させることができる。表面の第2の領域は、第1の半導体チップから放出される放射を、第1の領域よりも指向性反射させるように構成されている。特に、表面の第2の領域は、半導体チップから放出される放射を合焦させるように構成されている。換言すれば、表面の、放射が入射する領域に依存して、拡散反射させるか、或いは、指向性反射させる。第1の領域に入射する放射は例えばすべての方向において(拡散)散乱されて、少なくとも部分的には第2の領域にも確実に入射し、該第2の領域により放射はさらに指向性反射される。これにより、光電部品に対する光学的要求と一致するように光電部品の放射特性を目的に応じて調整することができる。
【0017】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、表面の第1の領域は表面の第2の領域よりも大きな表面粗さを有している。表面粗さと、特に第1の領域の粗さ測定の絶対値の相加平均とは、好ましくは第1の半導体チップから放出される放射の波長以上となる。表面粗さが大きければ大きいほど、衝突する放射が第1の領域によって拡散反射する程度が大きい。
【0018】
好ましくは、表面粗さと、特に第1の領域の粗さ測定の絶対値の相加平均、すなわち平均粗値Raとは、第1の半導体チップから放出される放射の波長の1.0ないし2.0倍の大きさである。好ましくは、可視範囲(λ=0.4μmないし0.8μm)において放射される放射の半導体チップに対する第1の領域の平均粗値Raは、1μmと2μmの間、例えば1.5μm程度である。好ましくは、赤外線範囲(λ=約1μm)において放射される放射の半導体チップに対する第1の領域の平均粗値Raは、2μmよりも大きいかこれに等しく、例えば2.5μm程度である。この平均粗値の場合、半導体チップから放射される放射は第1の領域によって拡散反射する。
【0019】
表面粗さと、特に第2の領域の粗さ測定の絶対値の相加平均とは、好ましくは第1の半導体チップから放出される放射の波長よりも小さい。第2の領域の表面粗さが小さければ小さいほど、第2の領域に入射する放射は、より指向性をもって反射する。好ましくは、表面粗さと、特に第2の領域の粗さ測定の絶対値の相加平均とは、第1の半導体チップから放出される放射の波長の0.1ないし0.9倍の大きさである。半導体チップから放射される放射を第2の領域によって鏡反射させるため、赤外線を放射する半導体チップ(λ=約1μm)に対し、第2の領域の平均粗値Raは好ましくは0.1μmよりも小さいかこれに等しく、例えば0.09μmである。半導体チップから放射される放射を第2の領域によって鏡反射させるため、可視放射を放射する半導体チップ(λ=0.4μmないし0.8μm)に対し、第2の領域の平均粗値Raは好ましくは0.08μm以下であって、例えば0.04μm又は0.01μmである。
【0020】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、ハウジングは少なくとも1つの第2の凹部を有している。第2の凹部は特に第2のリフレクタとして構成されている。ハウジングは第3、第4またはそれ以上の、リフレクタとして構成される凹部を有していてもよい。第2または他の各凹部は、第1の凹部と同一構成されていてよい。特に、第2及び/又は他の各凹部は、底面とは逆の側の開口部の同一径及び/又は第1の凹部と同一の深さを有していてよい。第2及び/又は他の各凹部は、第1の凹部と同一の形状を有していてよい。これとは択一的に、第2及び/又は他の各凹部は第1の凹部と異なるサイズを有することができる。例えば、第2及び/又は他の各凹部は第1の凹部よりも小さなサイズまたは小さな径を有していてよい。同様に、第2及び/又は他の各凹部は第1の凹部よりも浅く形成されていてよい。第2及び/又は他の各凹部は、第1の凹部とは異なる形状を有していてよい。好ましくは、第2及び/又は他の各凹部は楕円形または円形に成形されている。
【0021】
第2の半導体チップは第2の凹部内に配置されている。好ましくは、第2の半導体チップは第2の凹部の底部上に結合され、すなわち特に蝋付けまたは導電性接着されている。第1のリフレクタは、特に第1のリフレクタの表面は、第1の半導体チップから放出される放射を少なくとも大部分拡散反射させるように構成されている。第2のリフレクタ、特に第2のリフレクタの表面は、第2の半導体チップから放出される放射を大部分指向性反射させるように構成されている。特に第2のリフレクタは、第2の半導体チップから放出される放射を、第1の半導体チップから放出される放射を反射させる第1のリフレクタよりもより指向性をもって反射させるように構成されている。
【0022】
この構成は、例えば赤外線を放出する半導体チップと、可視放射線を放出する半導体チップとを、1つの光電部品内で組み合わせるために特に有利である。赤外線を放出する半導体チップから放射される放射は、好ましくは指向性反射させることができる(第2の半導体チップ)。他の(第1の)半導体チップの可視放射線は、有利には拡散散乱及び/又は拡散反射せしめられる。このように、異なるスペクトル範囲で放射する多数の半導体チップの組み合わせが1つの光電部品内で可能である。
【0023】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、第1のリフレクタの表面粗さは第2のリフレクタの表面粗さよりも大きい。第1のリフレクタの表面粗さ、特に表面の粗さ測定の絶対値の相加平均は、好ましくは第1の半導体チップから放出される放射の波長よりも大きいかこれに等しい。この場合、表面粗さが大きければ大きいほど、それだけ拡散され、衝突する放射は第1のリフレクタまたは第1のリフレクタの表面によって反射及び/又は散乱せしめられる。好ましくは、第1のリフレクタの表面粗さ、特に表面の粗さ測定の絶対値の相加平均は、第1の半導体チップから放出される放射の波長の1.0倍ないし2.0倍の大きさである。
【0024】
第2のリフレクタの表面粗さ、特に表面の粗さ測定の絶対値の相加平均は、好ましくは第2の半導体チップから放出される放射の波長よりも小さい。第2のリフレクタの表面粗さが小さければ小さいほど、第2のリフレクタに入射する放射はそれだけ指向性をもって反射する。好ましくは、第2のリフレクタの表面粗さ、特に表面の粗さ測定の絶対値の相加平均は、第2の半導体チップから放出される放射の波長の0.1倍ないし0.9倍の大きさである。
【0025】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、ハウジングはプラスチックから形成されている。光電部品は例えばいわゆるMolded Interconnect Device (MID)技術を用いて形成されていてよい。この場合、ハウジングは射出成形法で製造される。これとは択一的に光電部品は、金属めっきフレーム実装(Metal Plated Frame Implementation) 技術を用いて形成されていてよい。この場合もハウジングは好ましくは射出成形法で製造される。金属めっきフレーム実装方法は文献WO2011/157515A1に詳細に記載されており、その開示内容をここでは援用する。
【0026】
光電部品の少なくとも1つの実施態様によれば、第1のリフレクタの表面は少なくとも部分的に金属層を有している。これは特に、MID技術を用いて形成されている光電部品に対するケースである。好ましくは、第1のリフレクタの表面全体が金属層を有している。金属層は、半導体チップの高い歩留まりを可能にする。金属層は、表面に入射する放射を反射させるために用いる。同時に金属層は光電部品の電気接続導体としても機能することができる。金属層は例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び/又は金(Au)を有していてよい。
【0027】
第1のリフレクタまたは第1の凹部の第2の領域にある金属層は、好ましくは第1のリフレクタまたは第1の凹部の第1の領域にある金属層よりも厚い。好ましくは、第1の領域の金属層は、第2の領域の金属層の厚さの10%ないし90%に相当する厚さを有している。金属層の下にあるプラスチック表面の粗さに依存して、第1の領域の金属層は1μm以下の厚さ、例えば0.05μmの厚さを有している。第2の領域の金属層は、好ましくは10μm以上の厚さ、例えば15μmの厚さを有している。
【0028】
第2の領域の金属層をより厚く構成することにより、第1のリフレクタの第2の領域は、第1のリフレクタの第1の領域よりも小さな表面粗さを有している。特に、第2の領域の表面は該第2の領域のより厚い金属層によって滑らかに形成されている。これにより、第2の領域に入射する放射は、第1の領域に入射する放射よりもより指向性をもって反射せしめられる。
【0029】
従って、金属層を目的に応じて蒸着することにより、光電部品の放射特性を目的に応じて調整し、特に効率的な光電部品を提供することができる。
【0030】
第2のリフレクタの表面も好ましくは少なくとも部分的に金属層を有している。好ましくは、第2のリフレクタの表面全体が金属層を有している。第1のリフレクタの金属層は、好ましくは第2のリフレクタの金属層よりも薄い。好ましくは、第1のリフレクタの金属層は、第2のリフレクタの金属層の厚さの10%ないし90%に相当する厚さを有している。
【0031】
第2のリフレクタの金属層のより厚い構成により、第2のリフレクタは第1のリフレクタよりも小さな表面粗さを有している。従って、第2の半導体チップから放出されて第2のリフレクタに入射する放射は、第1の半導体チップから放出されてその後第1のリフレクタに入射する放射よりもより指向性をもって反射する。
【0032】
従って、金属層を目的に応じて被着させ構成することにより、光電部品の放射特性を目的に応じて調整し、特に効率的な光電部品を提供することができる。
【0033】
他の観点にしたがって、光電部品の、好ましくは上述した光電部品の製造方法を説明する。好ましくは、以下の方法によって、MID技術をベースにした光電部品が製造される。特に、この場合に製造される光電部品は好ましくはここで述べている光電部品に対応している。従って、光電部品に対し開示されている構成要件はすべて、この方法に対しても開示されており、その逆でもある。この方法は以下のステップを有している。
【0034】
第1のステップでハウジングを用意する。ハウジングは好ましくは射出成形ステップによって準備される。ハウジングは好ましくはプラスチックから形成されている。
【0035】
ハウジングは、少なくとも、上述した第1の凹部を有している。好ましくは、ハウジングは複数の、例えば2つ、3つまたは4つの凹部を有している。これらの凹部は空間的に互いに切り離されている。それぞれの凹部は1つの表面を有しており、その表面は方法によって生じ且つ材料によって生じる表面粗さを有している。例えば、表面の粗さは約10μmである。
【0036】
更なるステップで、少なくとも1つの半導体チップ、特に上述した第1の半導体チップを用意する。好ましくは複数の、例えば2つ、3つまたは4つの半導体チップを用意する。この場合、半導体チップの数量はハウジング内に形成されている凹部の数量に対応している。
【0037】
更なるステップでは、金属層を少なくとも凹部の表面の領域に、好ましくは凹部の表面全体に形成させる。この場合、金属層の形成は、少なくとも凹部の表面の領域で金属層を電気めっきまたは無電解めっき(英語でelectroless platingまたはchemical platingともいう)することによって行なう。凹部またはリフレクタの表面上に金属層を形成することにより、反射表面が形成される。さらに、凹部またはリフレクタの表面上に金属層を形成することは、動作中に光電部品から放出される放射の放射特性を目的に応じて調整するために用いる。例えば、金属層は、上述した第2の領域でよりも上述した第1の領域でより薄いように、及び/又は、少なくとも1つの他のリフレクタでよりも少なくとも1つのリフレクタでより薄いように、形成される。
【0038】
次のステップで、半導体チップを凹部中に配置する。好ましくは、半導体チップを凹部の底部上に結合させ、すなわち特に蝋付けまたは導電性接着で結合させる。
【0039】
上述したように、射出成形ステップによって得られるハウジング、特に凹部は、製造プロセスと使用する材料とによって設定される表面粗さを有している。金属被覆部を目的に応じて形成することにより、表面粗さを目的に応じて調整することができる。特に、より大きな表面粗さを備えた領域/リフレクタは、衝突する放射を拡散散乱及び/又は拡散反射させることのできるより薄い金属層を蒸着することによって形成させることができる。さらに、より小さな表面粗さを備えた領域/リフレクタは、衝突する放射を指向性反射させることのできるより厚い金属層、または、より大きな表面粗さを備えた領域/リフレクタよりもより指向性をもって反射させることのできるより厚い金属層を蒸着することによって形成させることができる。このように、それぞれの領域/リフレクタの反射特性または散乱特性を、よって光電部品の放射特性を、目的に応じて調整することができる。これによって、特に効率的な光電部品が提供される。本来必要な製造ステップおよび製造パラメータを簡単に変更することによって放射特性を得ることができることにより、および追加のコンポーネントが不要になることにより、光電部品またはその製造は特にコスト上好ましくなる。
【0040】
他の観点にしたがって、光電部品の、好ましくは上述した光電部品の製造方法を説明する。好ましくは、以下の方法により、金属めっきフレーム実装(Metal Plated Frame Implementation) 技術をベースにした光電部品が製造される。特に、その際に製造される光電部品は好ましくはここで説明している光電部品に対応している。従って、光電部品に対し開示されている構成要件はすべて、この方法に対しても開示されており、その逆でもある。この方法は以下のステップを有している。
【0041】
第1のステップで、射出成形法を用いて光電部品のハウジングを製造するための射出金型または射出成形金型を用意する。次のステップで、動作中に光電部品から放射される放射の放射特性を目的に応じて調整するために、射出金型の表面の少なくとも1つの領域の研磨をおこなう。射出金型の表面粗さは、以後の工程で製造されるハウジングの表面の粗さ、特に凹部の表面粗さを決定する。その結果、射出金型の研磨の長さ及び/又は強さ及び/又は選定領域により、ハウジングのそれぞれのプラスチック表面の表面粗さを修正または調整することができる。射出金型の表面または表面領域が厚ければ厚いほど、または、長ければ長いほど、ハウジングの、次のステップで射出成形法の経過中に射出金型の該当領域によって形成されるこの該当領域の表面粗さは小さくなる。
【0042】
この場合、第1の凹部を成形するために設けられる射出金型の表面領域は、例えば他の凹部を成形するために設けられる射出金型の表面領域よりも、短く及び/又は弱く研磨される。このようにして、他の凹部の表面の表面粗さは、第1の凹部の表面の表面粗さよりも著しく減少しており、または、減少が小さい。好ましくは、射出金型の表面の、上述の第2の領域及び/又は第2のリフレクタの形成のために設けられている領域は、射出金型の表面の、上述の第1の領域及び/又は第1のリフレクタの形成のために設けられている領域よりも、滑らかに研磨されている。射出金型の表面の、上述の第1の領域及び/又は第1のリフレクタの形成のために設けられている領域は、例えば研磨しないままでもよい。
【0043】
次のステップで、上述のハウジングを射出成形ステップによって用意する。ハウジングは、少なくとも、上述の第1の凹部を有している。好ましくは、ハウジングは多数の、例えば2つ、3つまたは4つの凹部を有している。これらの凹部は互いに空間的に分離されている。
【0044】
それぞれの凹部は1つの表面を有している。この表面は、射出金型の表面を目的に応じて研磨することによって目的に応じて調整されている表面粗さを有している。
【0045】
更なるステップで、少なくとも1つの半導体チップ、特に上述の第1の半導体チップを用意する。好ましくは、多数の、例えば2つ、3つまたは4つの半導体チップを用意する。この場合、半導体チップの数量は、ハウジングに形成されている凹部の数量に対応している。
【0046】
更なるステップでは、上述した金属層を少なくとも凹部の表面の領域において被着させる。好ましくは、金属層を表面全体に被着させる。その際被着はスパッタリングまたは熱蒸着によって行う。このようにして反射表面を形成させる。その際金属層は好ましくは次のような薄さであり、すなわち射出金型の表面を研磨することによって調整される、1つのリフレクタの複数の領域または複数のリフレクタの複数の領域の表面粗さが、金属層によって補償されないような薄さである。特に、金属層は表面の粗さに作用しない。金属層はその下にある表面と例えば一致した投影像を有している。好ましくは、金属層は約100nmの厚さを有している。
【0047】
最後のステップで、半導体チップを凹部内に配置する。好ましくは、半導体チップを凹部の底部上に結合させる。
【0048】
射出成形ステップによって得られるハウジング、特に凹部は、上述したように、製造プロセスと射出金型の研磨と材料とによって設定される表面粗さを有している。特に射出金型の複数の領域を目的に応じて処理することにより、或いは、目的に応じて研磨することにより、ハウジングの個々の領域の表面粗さを目的に応じて調整することができる。特に、より大きな表面粗さを備えた領域/リフレクタを、射出金型の付属の領域をより短く及び/又はより弱く研磨することによって形成することができる。これらの領域/リフレクタは、衝突する放射を散乱及び/又は拡散反射させる。さらに、より小さな表面粗さを備えた領域/リフレクタを、射出金型の付属の領域をより長く及び/又はより強く研磨することによって形成することができる。これらの領域/リフレクタは、衝突する放射を指向性反射させ、或いは、より高い表面粗さを備えた領域よりもより指向性をもって反射させる。このように、それぞれのリフレクタの反射特性または散乱特性を、よって光電部品の放射特性を目的に応じて調整することができる。これにより、生成された放射が使用必要条件に関し最適に活用されるような、特に効率的な光電部品が提供される。
【0049】
本来必要な製造ステップおよび製造パラメータを簡単に変更することによって放射特性を得ることができることにより、且つ付加的な要素が必要ないことにより、光電部品またはその製造は特にコスト上好ましい。
【0050】
次に、光電部品とその製造方法とを、いくつかの実施形態とその図面とを用いて詳細に説明する。