(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記角度センサで検出したバケットの傾斜角度が前記第1の閾値以上である場合には前記角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの前記角度センサの検出結果に基づいて前記バケットの姿勢状態を固定表示する、請求項10記載の作業車両。
車両本体に対して回転可能なブームと、前記ブームに対して回転可能なアームと、前記アームに対する回転軸であるバケット軸及び前記バケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心に回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法であって、
水平面に対するバケットの傾斜角度を検出するステップと、
検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、前記作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、前記作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を開始するステップと、
検出したバケットの傾斜角度が前記第1の閾値以上である場合、前記作業機制御を開始しないステップとを備える、作業車両の制御方法。
車両本体に対して回転可能なブームと、前記ブームに対して回転可能なアームと、前記アームに対する回転軸であるバケット軸及び前記バケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心に回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法であって、
水平面に対する車両本体の傾きを検出するステップと、
前記作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得するステップと、
前記車両本体の傾きと前記作業機の姿勢情報とに基づいて、水平面に対するチルト軸の傾斜角度を算出するステップと、
算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、前記作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を開始するステップと、
算出したチルト軸の傾斜角度が前記第1の閾値以上である場合、前記作業機制御を開始しないステップとを備える、作業車両の制御方法。
車両本体に対して回転可能なブームと、前記ブームに対して回転可能なアームと、前記アームに対する回転軸であるバケット軸及び前記バケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心に回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法であって、
水平面に対するバケットの傾斜角度を検出するステップと、
検出したバケットの傾斜角度に基づいて前記作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得するステップと、
検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、前記作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に対する前記バケットの姿勢状態を、前記姿勢情報に基づいて表示するステップと、
検出したバケットの傾斜角度が前記第1の閾値以上である場合にはバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときのバケットの傾斜角度に基づく姿勢情報を取得し、当該姿勢情報に基づいて前記バケットの姿勢状態を表示するステップとを備える、作業車両の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、チルト式バケットにおいて、チルト角度センサを使ってバケットのチルト角度データを取得することが可能である。
【0005】
バケットは、チルト用アクチュエータの駆動によって車幅方向の軸に対して傾斜するとともに、作業機の通常動作によっても車両前後方向の軸に対して傾斜する。そのため、作業機の動作により、チルト角度センサは、チルト用アクチュエータの駆動に基づくチルト角度データを取得することが困難となる可能性がある。このような場合、精度の良いチルト角度データに基づいて掘削制御を行うことができず、掘削制御の精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、チルト式バケットを用いる作業車両において、掘削制御の精度の低下を防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従う作業車両は、車両本体と、作業機と、角度センサと、作業機制御部とを備える。作業機は、ブームと、アームと、バケットとを有する。ブームは、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能である。アームは、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能である。バケットは、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能である。角度センサは、バケットに設けられ、水平面に対するバケットの傾斜角度を検出する。作業機制御部は、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を実行する。作業機制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機制御を開始し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合、作業機制御を開始しない。
【0008】
上記によれば、作業機制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合に作業機制御を開始し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には作業機制御を開始しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0009】
好ましくは、作業機制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、あるいは第2の閾値以上である場合、作業機制御を開始し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上でありかつ第2の閾値未満である場合、作業機制御を開始しない。
【0010】
上記によれば、作業機制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満あるいは第2の閾値である場合に作業機制御を実行し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上でありかつ第2の閾値未満である場合には作業機制御を実行しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い範囲状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する範囲状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0011】
好ましくは、作業車両は、傾き検出部と、姿勢状態取得部と、チルト軸角度算出部とをさらに備える。傾き検出部は、水平面に対する車両本体の傾きを検出する。姿勢状態取得部は、作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得する。チルト軸角度算出部は、車両本体の傾きと作業機の姿勢情報とに基づいて水平面に対するチルト軸の傾斜角度を算出する。作業機制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値未満である場合、作業機制御を開始し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値以上である場合、作業機制御を開始しない。
【0012】
上記によれば、作業機制御部は、さらにチルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値未満である場合に作業機制御を実行し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値以上である場合には作業機制御を実行しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態での作業機を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態での作業機を禁止することにより、さらに掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0013】
好ましくは、作業車両は、操作部をさらに備える。操作部は、オペレータからの作業機制御の開始の指示を受け付けることが可能である。作業機制御部は、操作部からの開始の指示に従って作業機制御を実行し、操作部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合にオペレータからの作業機制御の開始の指示を受け付けない。
【0014】
上記によれば、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態でオペレータの作業機制御の開始の指示を受け付けないことにより、オペレータに対して掘削精度が低下していることを認知させ、掘削精度の高い状態での作業機制御の実行を促すことができる。
【0015】
好ましくは、作業車両は、表示部と、表示制御部とをさらに備える。表示制御部は、表示部の表示内容を制御する。表示制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合にオペレータからの作業機制御の開始ができない旨の情報を表示部に表示する。
【0016】
上記によれば、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態でオペレータに対して掘削精度が低下していることを報知することにより、掘削精度の高い状態での作業機制御の実行を促すことができる。
【0017】
本発明の別の局面に従う作業車両は、車両本体と、作業機と、傾き検出部と、姿勢状態取得部と、チルト軸角度算出部と、作業機制御部とを備える。作業機は、ブームと、アームと、バケットとを有する。ブームは、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能である。アームは、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能である。バケットは、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能である。傾き検出部は、水平面に対する車両本体の傾きを検出する。姿勢状態取得部は、作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得する。チルト軸角度算出部は、車両本体の傾きと作業機の姿勢情報とに基づいて、水平面に対するチルト軸の傾斜角度を算出する。作業機制御部は、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を実行する。作業機制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機制御を開始し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合、作業機制御を開始しない。
【0018】
上記によれば、作業機制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合に作業機制御を実行し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合には作業機制御を実行しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0019】
好ましくは、作業機制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合、あるいは第2の閾値以上である場合、作業機制御を開始し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上でありかつ第2の閾値未満である場合、作業機制御を開始しない。
【0020】
上記によれば、作業機制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満あるいは第2の閾値である場合に作業機制御を実行し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上でありかつ第2の閾値未満である場合には作業機制御を実行しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い範囲状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する範囲状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0021】
好ましくは、作業車両は、操作部をさらに備える。操作部は、オペレータからの作業機制御の開始の指示を受け付けることが可能である。作業機制御部は、操作部からの開始の指示に従って作業機制御を実行する。操作部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合にオペレータからの作業機制御の開始の指示を受け付けない。
【0022】
上記によれば、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態でオペレータの作業機の開始の指示を受け付けないことにより、オペレータに対して掘削精度が低下していることを認知させ、掘削精度の高い状態での作業機制御の実行を促すことができる。
【0023】
好ましくは、作業車両は、表示部と、表示制御部とをさらに備える。表示制御部は、表示部の表示内容を制御する。表示制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合にオペレータからの作業機制御の開始ができない旨の情報を表示部に表示する。
【0024】
上記によれば、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態でオペレータに対して掘削精度が低下していることを報知することにより、掘削精度の高い状態での作業機制御の実行を促すことができる。
【0025】
本発明のさらに別の局面に従う作業車両は、作業機と、角度センサと、姿勢状態取得部と、表示制御部とを備える。作業機は、ブームと、アームと、バケットとを有する。ブームは、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能である。アームは、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能である。バケットは、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能である。角度センサは、バケットに設けられ、水平面に対するバケットの傾斜角度を検出する。
【0026】
姿勢状態取得部は、角度センサの検出結果に基づいて作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得する。表示制御部は、姿勢情報に基づいて作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に対するバケットの姿勢状態を表示する。表示制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度に従うバケットの姿勢状態を表示し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を表示する。
【0027】
上記によれば、表示制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度に従うバケットの姿勢状態を表示し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合にはバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を表示する。バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態でのバケットの姿勢状態を表示することにより、検出精度が高い情報に基づく表示により精度の高い掘削作業を実行することができる。
【0028】
好ましくは、作業車両は、傾き検出部と、チルト軸角度算出部とをさらに備える。傾き検出部は、水平面に対する車両本体の傾きを検出する。チルト軸角度算出部は、車両本体の傾きと作業機の姿勢情報とに基づいて水平面に対するチルト軸の傾斜角度を算出する。表示制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値未満であり、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度に従うバケットの姿勢状態を表示し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値以上、あるいは、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を表示する。
【0029】
上記によれば、表示制御部は、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値未満である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度に従うバケットの姿勢状態を表示し、チルト軸角度算出部で算出したチルト軸の傾斜角度が第2の閾値以上である場合にはバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を表示する。バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態でのバケットの姿勢状態を表示することにより、さらに精度の高い掘削作業を実行することができる。
【0030】
好ましくは、表示制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を固定表示する。
【0031】
上記によれば、表示制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときの角度センサの検出結果に基づいてバケットの姿勢状態を固定表示することにより、検出精度が高い情報に基づく固定表示によりオペレータに対する誤認識を抑制することができる。
【0032】
好ましくは、表示制御部は、角度センサの検出精度を示すアイコンをさらに表示し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度に基づいてアイコンの状態を変化させる。
【0033】
上記によれば、オペレータに検出精度の状況を瞬時に把握させることが可能であり、精度の高い掘削作業を実行することが可能である。
【0034】
本発明のある局面に従う作業車両の制御方法は、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能なブームと、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能なアームと、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法である。当該制御方法は、水平面に対するバケットの傾斜角度を検出するステップと、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を開始するステップと、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合、作業機制御を開始しないステップとを備える。
【0035】
上記によれば、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合に作業機制御を開始し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合には作業機制御を開始しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0036】
本発明の別の局面に従う作業車両の制御方法は、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能なブームと、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能なアームと、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法である。当該制御方法は、水平面に対する車両本体の傾きを検出するステップと、作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得するステップと、車両本体の傾きと作業機の姿勢情報とに基づいて、水平面に対するチルト軸の傾斜角度を算出するステップと、算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を開始するステップと、算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合、作業機制御を開始しないステップとを備える。
【0037】
上記によれば、算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値未満である場合に作業機制御を実行し、算出したチルト軸の傾斜角度が第1の閾値以上である場合には作業機制御を実行しないことにより、バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態での作業機制御を実行し、バケットの傾斜角度の検出精度が低下する状態での作業機制御を禁止することにより、掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0038】
本発明のさらに別の局面に従う作業車両の制御方法は、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能なブームと、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能なアームと、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能なバケットとを有する、作業機を含む作業車両の制御方法である。当該制御方法は、水平面に対するバケットの傾斜角度を検出するステップと、検出したバケットの傾斜角度に基づいて作業機の姿勢に関する姿勢情報を取得するステップと、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に対するバケットの姿勢状態を、姿勢情報に基づいて表示するステップと、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合にはバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときのバケットの傾斜角度に基づく姿勢情報を取得し、当該姿勢情報に基づいてバケットの姿勢状態を表示するステップとを備える。
【0039】
上記によれば、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合には検出したバケットの傾斜角度に従うバケットの姿勢状態を表示し、検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合にはバケットの傾斜角度が第1の閾値未満であったときのバケットの傾斜角度に基づく姿勢情報を取得し、当該姿勢情報に基づいてバケットの姿勢状態を表示する。バケットの傾斜角度の検出精度が高い状態でのバケットの姿勢状態を表示することにより、検出精度が高い情報に基づく表示により精度の高い掘削作業を実行することができる。
【発明の効果】
【0040】
作業車両は、掘削制御の精度の低下を防止することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0043】
以下の説明においては、グローバル座標系及びローカル座標系のそれぞれを設定し、それら座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。グローバル座標系は、地球に固定された原点Pr(
図4参照)を基準とした座標系である。ローカル座標系は、作業車両CMの車両本体1に固定された原点P0(
図4参照)を基準とした座標系である。ローカル座標系を、車両本体座標系、と称してもよい。
【0044】
また、以下の説明においては、グローバル座標系を、XgYgZg直交座標系で示す。後述するように、グローバル座標系の基準位置(原点)Pgは、作業エリアに位置する。水平面内の一方向をXg軸方向、水平面内においてXg軸方向と直交する方向をYg軸方向、Xg軸方向及びYg軸方向のそれぞれと直交する方向をZg軸方向とする。また、Xg軸、Yg軸、及びZg軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θXg、θYg、及びθZg方向とする。Xg軸は、YgZg平面と直交する。Yg軸は、XgZg平面と直交する。Zg軸は、XgYg平面と直交する。XgYg平面は、水平面と平行である。Zg軸方向は、鉛直方向である。
【0045】
また、以下の説明においては、ローカル座標系を、XYZ直交座標系で示す。後述するように、ローカル座標系の基準位置(原点)P0は、旋回体3の旋回中心AXに位置する。ある平面内の一方向をX軸方向、その平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。X軸は、YZ平面と直交する。Y軸は、XZ平面と直交する。Z軸は、XY平面と直交する。
【0046】
[作業車両の全体構成]
図1は、実施形態に基づく作業車両の一例を示す斜視図である。
【0047】
図1に示されるように、本例においては、作業車両として油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベルCMを例に挙げて説明する。
【0048】
油圧ショベルCMは、車両本体1と、作業機2とを備える。後述するように、油圧ショベルCMには掘削制御を実行する制御システム200が搭載されている。
【0049】
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。
旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において油圧ショベルCMを操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、油圧ショベルCMが走行する。なお、走行装置5が車輪(タイヤ)で構成されていてもよい。
【0050】
本実施形態では、運転席4Sに着座したオペレータを基準として各部の位置関係を説明する。
【0051】
前後方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした左右方向をいう。左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)に一致する。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対する方向を前方向とし、前方向とは反対の方向を後方向とする。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したとき右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。前後方向は、X軸方向であり、左右方向は、Y軸方向である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対する方向は、前方向(+X方向)であり、前方向の反対方向は、後方向(−X方向)である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したときの車幅方向の一側の方向は、右方向(+Y方向)であり、車幅方向の他側の方向は、左方向(−Y方向)である。
【0052】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9に、エンジン及び油圧ポンプなどが配置される。
【0053】
作業機2は、旋回体3に接続される。
作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8と、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12と、チルトシリンダ30とを有する。
【0054】
ブーム6は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7は、アームピン14を介してブーム6に接続される。バケット8は、バケットピン15及びチルトピン80を介してアーム7に接続される。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブーム6の基端部(ブームフート)と旋回体3とが接続される。ブーム6の先端部(ブームトップ)とアーム7の基端部(アームフート)とが接続される。アーム7の先端部(アームトップ)とバケット8の基端部とが接続される。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、及びチルトシリンダ30はいずれも、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0055】
作業機2は、第1ストロークセンサ16と、第2ストロークセンサ17と、第3ストロークセンサ18とを有する。第1ストロークセンサ16は、ブームシリンダ10に配置され、ブームシリンダ10のストローク長さ(ブームシリンダ長)を検出する。第2ストロークセンサ17は、アームシリンダ11に配置され、アームシリンダ11のストローク長さ(アームシリンダ長)を検出する。第3ストロークセンサ18は、バケットシリンダ12に配置され、バケットシリンダ12のストローク長さ(バケットシリンダ長)を検出する。
【0056】
ブーム6は、回転軸であるブーム軸J1を中心に旋回体3に対して回転可能である。アーム7は、ブーム軸J1と平行な回転軸であるアーム軸J2を中心にブーム6に対して回転可能である。バケット8は、ブーム軸J1及びアーム軸J2と平行な回転軸であるバケット軸J3を中心にアーム7に対して回転可能である。バケット8は、バケット軸J3と直交する回転軸であるチルト軸J4を中心にアーム7に対して回転可能である。ブームピン13は、ブーム軸J1を有する。アームピン14は、アーム軸J2を有する。バケットピン15は、バケット軸J3を有する。チルトピン80は、チルト軸J4を有する。
【0057】
ブーム軸J1、アーム軸J2、及びバケット軸J3のそれぞれは、Y軸と平行である。ブーム6、アーム7、及びバケット8のそれぞれは、θy方向に回転可能である。
【0058】
以下の説明においては、ブームシリンダ10のストローク長さをブームシリンダ長又はブームストロークとも称する。また、アームシリンダ11のストローク長さをアームシリンダ長又はアームストロークとも称する。また、バケットシリンダ12のストローク長さをバケットシリンダ長又はバケットストロークとも称する。チルトシリンダ30のストローク長さをチルトシリンダ長とも称する。
【0059】
また、以下の説明において、ブームシリンダ長、アームシリンダ長、バケットシリンダ長、及びチルトシリンダ長を総称してシリンダ長データとも称する。
【0060】
[バケットの構成]
次に、実施形態に基づくバケット8について説明する。
【0061】
図2は、実施形態に係るバケット8の一例を示す側断面図である。
図3は、実施形態に係るバケット8の一例を示す正面図である。
【0062】
バケット8は、チルト式バケットである。
図2及び
図3に示されるように、作業機2は、バケット軸J3及びバケット軸J3と直交するチルト軸J4のそれぞれを中心にアーム7に対して回転可能なバケット8を有する。バケット8は、バケットピン15(バケット軸J3)を中心にアーム7に回転可能に支持されている。バケット8は、チルトピン80(チルト軸J4)を中心にアーム7に回転可能に支持される。
【0063】
バケット8は、接続部材(台枠)90を介して、アーム7の先端部に接続される。バケットピン15は、アーム7と接続部材90とを連結する。チルトピン80は、接続部材90とバケット8とを連結する。バケット8は、接続部材90を介して、アーム7に回転可能に接続される。
【0064】
バケット8は、底板81と、背板82と、上板83と、側板84と、側板85とを有する。底板81と上板83と側板84と側板85とによって、バケット8の開口部86が規定される。
【0065】
バケット8は、上板83の上部に設けられたブラケット87を有する。ブラケット87は、上板83の前後位置に設置される。ブラケット87は、接続部材90及びチルトピン80と連結される。
【0066】
接続部材90は、プレート部材91と、ブラケット92,93とを有する。ブラケット92は、プレート部材91の上面に設けられる。ブラケット93は、プレート部材91の下面に設けられる。ブラケット92は、アーム7及び後述する第2リンク部材95と連結される。ブラケット93はブラケット87の上部に設置され、チルトピン80及びブラケット87と連結される。
【0067】
バケットピン15は、接続部材90のブラケット92とアーム7の先端部とを連結する。チルトピン80は、接続部材90のブラケット93とバケット8のブラケット87とを連結する。これにより、アーム7に対して接続部材90及びバケット8がバケット軸J3を中心に回転可能となり、接続部材90に対してバケット8がチルト軸J4を中心に回転可能となる。
【0068】
作業機2は、第1リンク部材94と、第2リンク部材95とを有する。第1リンク部材94は、第1リンクピン94Pを介してアーム7に回転可能に接続される。第2リンク部材95は、第2リンクピン95Pを介してブラケット92に回転可能に接続される。
【0069】
第1リンク部材94の基端部が第1リンクピン94Pを介してアーム7に接続される。第2リンク部材95の基端部が第2リンクピン95Pを介してブラケット92に接続される。第1リンク部材94の先端部と第2リンク部材95の先端部とが、バケットシリンダトップピン96を介して連結される。
【0070】
バケットシリンダ12の先端部は、バケットシリンダトップピン96を介して、第1リンク部材94の先端部及び第2リンク部材95の先端部と回転可能に接続される。バケットシリンダ12の伸縮によって、接続部材90がバケット8と一緒にバケット軸J3を中心に回転する。
【0071】
チルトシリンダ30は、接続部材90に設けられたブラケット97、及びバケット8に設けられたブラケット88にそれぞれ接続される。チルトシリンダ30のロッドがピンを介してブラケット97に接続される。チルトシリンダ30の本体部がピンを介してブラケット88に接続される。チルトシリンダ30の伸縮によって、バケット8はチルト軸J4を中心に回転する。
【0072】
このように、バケット8は、バケットシリンダ12の作動により、バケット軸J3を中心に回転する。バケット8は、チルトシリンダ30の作動により、チルト軸J4を中心に回転する。バケット軸J3を中心とするバケット8の回転により、チルトピン80(チルト軸J4)が、バケット8と一緒に回転(傾斜)する。
【0073】
作業機2は、チルト軸J4を中心とするバケット8の回転角度(チルト角度)δおよびバケット軸J3を中心とするバケット8の回転角度(ピッチ角度)φを示すバケット角度データを検出するチルト角度センサ70を有する。
【0074】
具体的には、チルト角度センサ70は、グローバル座標系における水平面に対するバケット8の角度を検出する。チルト角度センサ70は、水平面に含まれる直交する2つの軸に対する角度をそれぞれ検出可能な角度センサであり、θXg方向、及びθYg方向に関する2つの方向に関する傾斜角度を検出する。チルト角度センサ70は、バケット8に設けられる。
【0075】
[油圧ショベルの構造]
図4は、実施形態に基づく油圧ショベルCMを模式的に示す側面図である。
図5は、実施形態に基づく油圧ショベルCMを模式的に示す背面図である。
図6は、実施形態に基づく油圧ショベルCMを模式的に示す平面図である。
【0076】
ブーム軸J1とアーム軸J2との距離L1を、ブーム長さL1とする。アーム軸J2とバケット軸J3との距離L2を、アーム長さL2とする。バケット軸J3とバケット8の先端部8aとの距離L3を、バケット長さL3とする。バケット8の先端部8aは、バケット8の刃先である。
【0077】
油圧ショベルCMは、車両本体1の現在位置を示す車両本体位置データP、及び車両本体1の姿勢を示す車両本体姿勢データQを検出可能な位置検出装置20を備えている。
【0078】
車両本体位置データPは、グローバル座標系における車両本体1の現在位置(Xg位置、Yg位置、及びZg位置)の情報を含む。
【0079】
車両本体姿勢データQは、θXg方向、θYg方向、及びθZg方向に関する旋回体3の位置情報を含む。
【0080】
車両本体1の車両本体姿勢データQは、水平面(XgYg平面)に対する旋回体3の左右方向の傾斜角度(ロール角)θ1と、水平面に対する旋回体3の前後方向の傾斜角度(ピッチ角)θ2と、グローバル座標の基準方位(例えば北)と旋回体3(作業機2)が向いている方位とがなす角度(ヨー角)θ3とを有する。
【0081】
位置検出装置20は、アンテナ21と、位置センサ23と、傾斜センサ24とを有する。
【0082】
アンテナ21は、車両本体1の現在位置を検出するためのアンテナである。アンテナ21は、GNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)用のアンテナである。アンテナ21は、受信した電波(GNSS電波)に応じた信号を位置センサ23に出力する。
【0083】
位置センサ23は、3次元位置センサ及びグローバル座標演算部を含み、グローバル座標系におけるアンテナ21の設置位置Prを検出する。グローバル座標系は、作業エリアに設置した基準位置Pgを元にした3次元座標系である。
図4に示すように、基準位置Pgは、作業エリアに設定された基準杭の先端の位置である。
【0084】
傾斜センサ24は、旋回体3に設けられる。傾斜センサ24は、IMU(Inertial Measurement Unit)を有する。位置検出装置20は、傾斜センサ24を使って、ロール角θ1及びピッチ角θ2を有する車両本体姿勢データQを取得する。
【0085】
図7は、実施形態に基づくバケット8を模式的に示す側面図である。
図8は、実施形態に基づくバケット8を模式的に示す正面図である。
【0086】
バケット軸J3とチルト軸J4との距離L4を、チルト長さL4とする。
側板84と側板85との距離L5を、バケット8の幅L5とする。
【0087】
チルト角度δは、水平面(XgYg平面)に対するバケット8の傾斜角度である。チルト角度δは、チルト角度センサ70の検出結果から導出される。
【0088】
チルト軸角度εは、ローカル座標系におけるXY平面に対するチルト軸J4(チルトピン80)の傾斜角度である。グローバル座標系の水平面(XgYg平面)に対するチルト軸J4の傾斜角度(チルト軸絶対角)は、センサコントローラ32(
図9)によって算出される。
【0089】
次に、実施形態に基づく制御システム200の概要について説明する。制御システム200は、作業機2を用いた掘削動作を制御する。掘削動作の制御は、一例として制限掘削制御を有する。
【0090】
[制限掘削制御]
図9は、制限掘削制御(介入制御)が行われるときの作業機2の動作の一例を模式的に示す図である。
【0091】
図9に示されるように、バケット軸J3と直交する作業機動作平面MPにおける掘削対象の2次元の目標形状を示す目標設計地形にバケット8が侵入しないように、制限掘削制御が行われる。
【0092】
バケット8による掘削において、アーム7の掘削操作に対してブーム6が上がるように、制御システム200が自動で制御する。掘削において、バケット8が目標設計地形に侵入しないように、ブーム6の上げ動作を有する介入制御が実行される。
【0093】
[制御システムの構成]
図10は、実施形態に基づく制御システム200の機能構成を示すブロック図である。
【0094】
図10に示されるように、制御システム200は、位置検出装置20と、チルト角度センサ70と、操作装置25と、作業機コントローラ26と、圧力センサ66と、制御弁27と、方向制御弁64と、表示コントローラ28と、表示部29と、入力部36と、センサコントローラ32とを備えている。
【0095】
表示部29は、表示コントローラ28の制御に基づいて、掘削を行うべき目標設計地形等の所定の情報を表示する。
【0096】
入力部36は、表示部で入力を行うタッチパネル等を用いることが可能であり、オペレータに入力操作される。オペレータに操作されることにより、入力部36は、オペレータの操作に基づく操作信号を生成して、表示コントローラ28に出力する。
【0097】
操作装置25は、運転室4に配置される。オペレータにより操作装置25が操作される。操作装置25は、作業機2を駆動するオペレータ操作を受け付ける。操作装置25は、パイロット油圧方式の操作装置である。
【0098】
なお、ここでは、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、及びチルトシリンダ30)の作動のために油圧シリンダに供給される油を作動油とも称する。作動油及びパイロット油は、同一の油圧ポンプから送出されてもよい。
【0099】
操作装置25は、第1操作レバー25Rと、第2操作レバー25Lと、第3操作レバー25Pとを有する。
【0100】
第1操作レバー25Rは、例えば運転席4Sの右側に配置される。第2操作レバー25Lは、例えば運転席4Sの左側に配置される。第3操作レバー25Pは、例えば第1操作レバー25Rに配置される。なお、第3操作レバー25Pは、第2操作レバー25Lに配置されてもよい。第1操作レバー25R及び第2操作レバー25Lでは、前後左右の動作が2軸の動作に対応している。
【0101】
第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。第1操作レバー25Rの前後方向の操作は、ブーム6の操作に対応し、前後方向の操作に応じてブーム6の下げ動作及び上げ動作が実行される。第1操作レバー25Rの左右方向の操作は、バケット8の操作に対応し、左右方向の操作に応じてバケット8の掘削動作及び開放動作が実行される。
【0102】
第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。第2操作レバー25Lの前後方向の操作は、アーム7の操作に対応し、前後方向の操作に応じてアーム7の開放動作及び掘削動作が実行される。第2操作レバー25Lの左右方向の操作は、旋回体3の旋回に対応し、左右方向の操作に応じて旋回体3の右旋回動作及び左旋回動作が実行される。
【0103】
第3操作レバー25Pにより、バケット8が操作される。第1操作レバー25Rにより、バケット軸J3を中心とするバケット8の回転が操作される。第3操作レバー25Pにより、チルト軸J4を中心とするバケット8の回転(チルト)が操作される。
【0104】
パイロット油圧ポンプから送出され、制御弁によってパイロット油圧に減圧されたパイロット油が操作装置25に供給される。操作装置25の操作量に基づいてパイロット油圧が調整され、そのパイロット油圧に応じて、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、及びチルトシリンダ30)に供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。パイロット油圧ライン450には、圧力センサ66が配置されている。圧力センサ66は、パイロット油圧を検出する。圧力センサ66の検出結果は、作業機コントローラ26に出力される。
【0105】
制御弁27は、電磁比例制御弁であり、作業機コントローラ26からの制御信号に基づいてパイロット油圧を調整する。
【0106】
センサコントローラ32は、作業機角度演算部281Aと、バケットデータ演算部282Aと、チルト軸角度演算部283Aとを含む。
【0107】
作業機角度演算部281Aは、第1ストロークセンサ16の検出結果に基づいて取得されたブームシリンダ長から、車両本体1の垂直方向に対するブーム6の回転角度αを算出する。作業機角度演算部281Aは、第2ストロークセンサ17の検出結果に基づいて取得されたアームシリンダ長から、ブーム6に対するアーム7の回転角度βを算出する。作業機角度演算部281Aは、第3ストロークセンサ18の検出結果に基づいて取得されたバケットシリンダ長から、アーム7に対するバケット8の回転角度γを算出する。
【0108】
なお、ブーム6の回転角度α、アーム7の回転角度β、及びバケット8の回転角度γは、ストロークセンサで検出されなくてもよい。例えば、ロータリーエンコーダのような角度検出器でブーム6の回転角度αが検出されてもよい。角度検出器は、旋回体3に対するブーム6の屈曲角度を検出して、回転角度αを検出する。同様に、アーム7の回転角度βがアーム7に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。バケット8の回転角度γがバケット8に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。
【0109】
チルト軸角度演算部283Aは、作業機角度演算部281Aで算出された回転角度α〜γと、傾斜センサ24で取得される車両本体の傾斜角度を示す車両本体姿勢データQとに基づいて水平面に対するチルト軸J4の角度(チルト軸絶対角)を算出する。
【0110】
具体的には、チルト軸角度演算部283Aは、作業機角度演算部281Aで算出された回転角度α〜γに基づいてローカル座標系におけるチルト軸J4の角度(チルト軸角度ε)を算出する。そして、チルト軸角度演算部283Aは、チルト軸角度εと、車両本体姿勢データQとに基づいてグローバル座標系におけるチルト軸絶対角を算出する。
【0111】
バケットデータ演算部282Aは、回転角度α〜γ、車両本体姿勢データQおよびチルト角度センサ70からのチルト角度δに基づいて、作業機動作平面におけるバケット8の断面の外形(バケット8の位置等)を示すバケットデータを生成する。
【0112】
センサコントローラ32は、回転角度α〜γ、チルト軸絶対角およびバケットデータを表示コントローラ28及び作業機コントローラ26のそれぞれに出力する。
【0113】
表示コントローラ28は、位置検出装置20から車両本体位置データP及び車両本体姿勢データQを取得する。
【0114】
チルト角度センサ70は、バケット角度データを、センサコントローラ32、作業機コントローラ26および表示コントローラ28に出力する。具体的には、チルト角度センサ70は、チルト角度δをセンサコントローラ32に出力する。また、チルト角度センサ70は、ピッチ角度φを作業機コントローラ26および表示コントローラ28に出力する。
【0115】
表示コントローラ28は、目標設計地形取得部283Cと、目標設計地形演算部284Aとを有する。
【0116】
表示コントローラ28は、目標設計地形データを算出し、作業機コントローラ26へ出力する。
【0117】
目標設計地形取得部283Cは、掘削対象の3次元の目標形状である立体設計地形を示す目標施工情報(3次元設計地形データ)および位置検出装置20から車両本体位置データP及び車両本体姿勢データQを取得する。
【0118】
目標設計地形演算部284Aは、目標設計地形取得部283Cで取得したデータと、バケットデータ演算部282Aより取得したバケットデータより作業機動作平面における掘削対象の2次元の目標形状である目標設計地形を示す目標設計地形データを生成する。目標施工情報は、目標設計地形データを生成するために必要とされる座標データ及び角度データを有する。なお、目標施工情報は、例えば無線通信装置を介して表示コントローラ28に供給されても外部メモリ等により表示コントローラ28に供給されてもよい。
【0119】
表示コントローラ28は、目標設計地形演算部284Aで生成した目標設計地形データに基づいて表示部29に目標設計地形を表示させる。
【0120】
また、表示コントローラ28は、目標設計地形データ及びバケットデータに基づく目標設計地形とそれに対応するバケットの姿勢状態等を表示部29に表示させる。
【0121】
表示部29は、例えばモニタであり、油圧ショベルCMの各種の情報を表示する。表示部29は、情報化施工用のガイダンスモニタとしてのHMI(Human Machine Interface)モニタを有する。
【0122】
表示コントローラ28は、位置検出装置20による検出結果に基づいて、グローバル座標系で見たときのローカル座標の位置を算出可能である。作業機コントローラ26に出力される目標設計地形データはローカル座標に変換されるが、それ以外の表示コントローラ28中の演算はグローバル座標系で行われる。
【0123】
センサコントローラ32からの入力も表示コントローラ28内でグローバル座標系に変換される。
【0124】
作業機コントローラ26は、作業機制御部26Aと、制限掘削制御受付禁止部26Bと、記憶部26Cとを有する。
【0125】
作業機制御部26Aは、作業機の動作を制御する。一例として作業機制御部26Aは、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する制限掘削制御を実行する。
【0126】
記憶部26Cには、作業機制御部26Aが作業機の動作を制御するために必要な各種プログラムおよびデータが格納されている。
【0127】
作業機制御部26Aは、表示コントローラ28から目標設計地形データおよびバケットデータを取得する。
【0128】
作業機制御部26Aは、目標設計地形データおよびバケットデータに基づいて、制御弁27への制御指令を生成する。
【0129】
作業機制御部26Aは、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標設計地形とバケット8の位置を示すバケットデータとに基づいて、目標設計地形とバケット8との距離に応じて制限速度を決定し、作業機2が目標設計地形に接近する方向の速度が制限速度以下になるように、作業機2を制御する。
【0130】
これにより目標設計地形に対するバケット8の位置が制御されて目標設計地形に対するバケット8の侵入を抑制して、設計地形に応じた面を作る制限掘削作業を実行することが可能となる。
【0131】
制限掘削制御としては、上述のような、目標設計地形へのバケット8の侵入を抑制する停止制御の他に、平坦な目標設計地形に沿った整地作業を一部自動で行う制御も存在する。
【0132】
制限掘削制御(介入制御)においては、目標設計地形に対するバケット8の侵入が抑制されるように、ブームシリンダ10に接続された制御弁27に制御信号が出力され、ブーム6の位置が制御される。
【0133】
制限掘削制御受付禁止部26Bは、所定条件が成立する場合に制限掘削制御の実行を禁止する。本例においては、チルト角度センサ70から取得するピッチ角度φおよびセンサコントローラ32から取得するチルト軸絶対角に基づいて制限掘削制御の実行を禁止する。
【0134】
[チルト角度センサ]
上述したように、チルト角度センサ70は、グローバル座標系における水平面に対するバケット8のチルト角度δを検出する。チルト角度センサ70は、バケット8に配置されており、バケット8が水平面に対して傾斜することによって、その傾斜角度に応じたチルト角度データをセンサコントローラ32等に出力する。
【0135】
上述したようにバケットデータ演算部282Aは、回転角度α〜γ、車両本体姿勢データQおよびチルト角度センサ70からのチルト角度δに基づいて、作業機動作平面におけるバケット8の断面の外形(バケット8の位置等)を示すバケットデータを生成する。
【0136】
図11は、実施形態に基づくチルト角度センサ70の原理を説明するための模式図である。
【0137】
図11に示されるように、チルト角度センサ70は、グローバル座標系における水平面(XgYg平面)に対するチルト角度を検出する。チルト角度センサ70としては、例えば、液式の傾斜センサを利用することが可能である。
【0138】
チルト角度センサ70は、θXg方向、及びθYg方向に関する2つの方向に関する傾斜角度を検出する2軸の角度センサである。チルト角度センサ70は、基準面70Rを有し、水平面に対する基準面70Rの傾斜角度を検出する。具体的には、チルト角度センサ70は、θXg方向のチルト軸J4を中心とするバケット8の回転角度(チルト角度)δおよびθYg方向のバケット軸J3を中心とするバケット8の回転角度(ピッチ角度)φを検出する
バケット8は、チルトピン近傍にチルト角度センサ70が設置される設置面を有する。バケット8の設置面と水平面とが平行である場合、バケット8は初期姿勢(水平姿勢)となる。バケット8が初期姿勢の状態において、基準面70Rと水平面(設置面)とが平行となるように、チルト角度センサ70がバケット8の設置面に設置される。
【0139】
基準面70Rと水平面とが平行な状態において、チルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度は最も高い。基準面70Rと水平面とが直交する状態において、チルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度は最も低い。基準面70Rが水平になると、チルト角度センサ70の検出精度が向上し、基準面70Rが鉛直になると、チルト角度センサ70の検出精度が低下する。
【0140】
したがって、チルト角度センサ70が設置されているバケット8の姿勢が変化すると、チルト角度センサ70の検出精度が変化する。
【0141】
図12は、実施形態に基づくチルト角度センサの検出精度を説明する図である。
図12に示されるように、ブーム6及びアーム7の動作によってバケット8の姿勢が変化した場合においても、チルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度が低下する可能性がある。例えば、作業機2が伸長されて基準面70Rが鉛直に近づく(ピッチ角度が水平面に対して垂直に近づく)につれて、チルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度が低下する。
【0142】
チルト角度センサ70は、水平面に対する2軸(θXg方向及びθYg方向)の角度センサであり、基準面70Rが鉛直に近付くと、チルトシリンダ30の駆動によりチルト軸J4を中心に回転した場合であってもチルト角度センサ70の基準面70Rは鉛直方向を維持した状態で回転するため水平面に対する1軸(θXg方向)の変化を検出することが難しくなる。
【0143】
また、チルト角度センサ70のバケット8への設置において、チルト角度センサ70の基準面70Rとチルト軸J4とが平行でない可能性がある。バケット8は、チルト軸J4を中心に回転するが、当該チルト軸J4が鉛直(チルト軸絶対角が水平面に対して垂直)に近づくにつれてチルト角度センサ70の検出精度が低下する可能性がある。
【0144】
チルト角度センサ70は、水平面に対する2軸(θXg方向及びθYg方向)の角度センサであり、チルト軸J4が鉛直に近付くと、チルトシリンダ30の駆動によりチルト軸J4を中心に回転した場合であってもチルト角度センサ70の基準面70Rは鉛直方向を軸として回転するため水平面に対する1軸(θXg方向)の変化を検出することが難しくなる。
【0145】
このように、チルト角度センサ70の基準面70Rの角度がグローバル座標系の鉛直方向に近づくと、チルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度が低下する。また、チルト角度センサ70の基準面70Rとチルト軸J4とが平行でない場合には、チルト軸J4の傾斜角度が鉛直方向に近づくことによってもチルト角度センサ70によるチルト角度の検出精度が低下する可能性がある。
【0146】
その結果、チルト角度センサ70からリアルタイムで取得されるチルト角度データ(モニタデータ)に基づいて制限掘削制御を実行すると、検出精度が低下したチルト角度センサ70から出力されたチルト角度データで制限掘削制御が行われ、掘削精度が低下する可能性がある。
【0147】
[制限掘削制御の禁止]
本実施形態においては、制限掘削制御を実行する場合には、制御システム200の入力部36の操作により制限掘削制御モードに設定する。
【0148】
入力部36は、制限掘削制御を行うか否かを指令するボタン(掘削制御モード切替ボタン)を有する。
【0149】
オペレータにより掘削制御モード切替ボタンが操作されると、制限掘削制御モードの開始及び終了の少なくとも一方の指令信号が作業機コントローラ26に出力される。
【0150】
入力部36の操作により、制限掘削制御モードの開始指令及び終了指令の少なくとも一方が作業機コントローラ26に出力される。制限掘削制御モードの開始時点は、制限掘削制御モードが開始されるように掘削制御モード切替ボタンが操作された時点である。制限掘削制御モードの終了時点は、制限掘削制御モードが終了するように掘削制御モード切替ボタンが操作された時点である。
【0151】
チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度が低下する場合には、制限掘削制御モードへの移行を禁止する。具体的には、作業機コントローラ26の制限掘削制御受付禁止部26Bが作業機制御部26Aに指示して制限掘削制御モードへの移行を禁止する。
【0152】
制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト角度センサ70から入力されるピッチ角度データ(ピッチ角度φ)に基づいて制限掘削制御モードへの移行を禁止する。また、センサコントローラ32のチルト軸角度演算部283Aから入力されるチルト軸絶対角に基づいて制限掘削制御モードへの移行を禁止する。
【0153】
図13は、制限掘削制御受付禁止部26Bの制限掘削制御モードへの移行を制御するフロー図である。
【0154】
図13に示されるように、制限掘削制御受付禁止部26Bは、ピッチ角度データを取得する(ステップSA1)。具体的には、制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト角度センサ70からのピッチ角度φのピッチ角度データを取得する。
【0155】
次に、制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト軸絶対角を取得する(ステップSA2)。具体的には、制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト軸角度演算部283Aで演算されたチルト軸絶対角を取得する。
【0156】
次に、制限掘削制御受付禁止部26Bは、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップSA3)。具体的には、バケット8のピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上であるか否かを判断することにより、バケット8に取り付けられたチルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍であるか否かを判断する。本例において第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい値である。
【0157】
ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満の範囲では、基準面70Rが鉛直近傍となり、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度が低下する。ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上である場合の範囲は、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度を確保することが可能な状態である。
【0158】
制限掘削制御受付禁止部26Bは、ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満である場合(ステップSA3においてNO)には制限掘削制御モードへの移行を禁止する(作業機制御禁止指示)(ステップSA6)。バケット8に取り付けられたチルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍である場合には、チルト角度センサ70の検出精度が低下するために制限掘削制御モードへの移行を禁止する。
【0159】
一方、制限掘削制御受付禁止部26Bは、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上である場合(ステップSA3においてYES)には、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上であるか否かを判断する(ステップSA4)。具体的には、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上であるか否かを判断することにより、チルト軸J4が鉛直近傍であるか否かを判断する。本例において第4の閾値は、第3の閾値よりも大きい値である。
【0160】
チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満の範囲では、チルト軸J4が鉛直近傍となり、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度が低下する。チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上である場合の範囲は、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度を確保することが可能な状態である。
【0161】
制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満である場合(ステップSA4においてNO)には制限掘削制御モードへの移行を禁止する(作業機制御禁止指示)(ステップSA6)。チルト軸J4が鉛直近傍である場合には、チルト角度センサ70の検出精度が低下するために制限掘削制御モードへの移行を禁止する。
【0162】
一方、制限掘削制御受付禁止部26Bは、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上である場合(ステップSA4においてYES)には、制限掘削制御モードへの移行を許可する(作業機制御開始指示)(ステップSA5)。チルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍でない場合、かつ、チルト軸J4が鉛直近傍でない場合には、チルト角度センサ70の検出精度を確保することが可能であるために制限掘削制御モードへの移行を許可する。
【0163】
当該構成により、検出精度が低下したチルト角度センサ70から出力されたチルト角度データでの制限掘削制御を禁止し、検出精度が高いチルト角度データでの制限掘削制御を実行する。これにより掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0164】
なお、上記においては、ピッチ角度φおよびチルト軸絶対角の両方のパラメータを利用してチルト角度データの検出精度が低下する状態に制限掘削制御モードへの移行を禁止する場合について説明したが、いずれか一方のみを用いるようにすることも可能である。
【0165】
また、上記においては、ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満である場合に制限掘削制御モードへの移行を禁止する場合について説明したが、ピッチ角度φが第1の閾値以上である場合に制限掘削制御モードへの移行を禁止するようにしてもよい。また、チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満である場合に制限掘削制御モードへの移行を禁止する場合について説明したが、チルト軸絶対角が第3の閾値以上である場合に制限掘削制御モードへの移行を禁止するようにしてもよい。
【0166】
制限掘削制御受付禁止部26Bは、入力部36の制限掘削制御を行うか否かを指令するボタン(掘削制御モード切替ボタン)の受付を禁止するようにしても良い。具体的には、当該ボタンを無効に設定するようにしても良い。これにより、オペレータに掘削精度が低下していることを認知させることが可能となり、掘削精度の高い状態での制限掘削制御の実行を促すことが可能である。
【0167】
また、当該ボタンが表示部29に表示されている場合には表示しないようにしても良い。また、当該ボタンが無効であることを示すように表示を変更(例えば黒くする等)するようにしても良い。
【0168】
また、制限掘削制御が実行できない旨を表示するようにしても良い。
図14は、実施形態に基づく表示部29の一例を示す図である。
【0169】
図14に示されるように、表示部29は、目標設計地形データ及びバケットデータに基づいて目標設計地形とそれに対応するバケット8の姿勢状態等を表示する。
【0170】
表示部29の画面は、バケット8のチルト角度を示す正面
図282と、目標設計地形とバケット8とを示す側面
図281とを有する。正面
図282は、バケット8を示すアイコン101を有する。
【0171】
側面
図281は、バケット8を示すアイコン103と、作業機動作平面における目標設計地形の表面を示す線104とを有する。アイコン103は、作業機動作平面におけるバケット8の外形を示す。また、側面
図281は、目標設計地形とバケット8との距離(目標設計地形とバケット8との最短距離)を示す距離データ291Bと、目標設計地形とバケット8の底面とがなす角度を示す角度データ292Bとを有する。
【0172】
当該表示により、作業機動作平面を基準として制御対象が特定され、制限掘削制御が精度良く行われる。
【0173】
本例においては、表示部29において制限掘削制御が実行できない旨のメッセージ283が表示される場合が示されている。
【0174】
このように、オペレータに掘削精度が低下していることを報知することにより、掘削精度の高い状態での制限掘削制御の実行を促すことが可能となる。
【0175】
また、チルト角度データの検出精度を示すアイコン284を設けることも可能である。表示コントローラ28は、チルト角度データの検出精度の状態に応じてアイコン284の状態を変化させる。具体的には、チルト角度データの検出精度が低下している状態と、チルト角度データの検出精度を確保可能な状態とでアイコン284の状態を切り替える。
【0176】
当該状態の切り替えによりオペレータにチルト角度データの検出精度の状況を瞬時に把握させることが可能であり、精度の高い掘削作業を実行することが可能である。
【0177】
状態の切り替え方としては、色を変化させることにより状態を変化させることが可能である。あるいは、アイコンの形態を変化させたりして静的な態様を変化させることが可能である。あるいは、点滅等の速さを変更することにより動的な態様を変化させるようにしても良い。また、2段階に変化させる場合のみならず、さらに複数段階に態様を変化させるようにしても良い。例えば、チルト角度センサ70の基準面70Rが水平面に近い、チルト角度データの検出精度がより高い状態の場合と、検出精度が高い状態の場合とでアイコンの態様を変化させるようにしても良い。さらにチルト角度データに応じて変化させることも可能である。
【0178】
これによりオペレータに掘削精度が低下していることを報知することにより、掘削精度の高い状態での掘削作業の実行を促すことが可能となる。掘削精度が低下していることを報知する方法としては、上記に加えてスピーカから音声で報知しても良い。また、図示しない振動させることが可能な振動部材を振動させることで報知させても良い。また、これらを組み合わせた方式で報知させても良い。
【0179】
(別の実施形態)
別の実施形態としてチルト角度データの検出精度に基づいて表示部に表示する目標設計地形等の表示制御を実行することも可能である。
【0180】
図15は、別の実施形態に基づく表示コントローラ28の表示処理を説明するフロー図である。
【0181】
図15に示されるように、表示コントローラ28の目標設計地形取得部283Cは、パラメータを取得する(ステップSB1)。具体的には、目標設計地形取得部283Cは、作業機の姿勢に関する姿勢情報等のパラメータを取得する。目標設計地形取得部283Cは、車両本体位置データP、車両本体姿勢データQ、目標施工情報、バケットデータ演算部282Aからのバケットデータ等を取得する。
【0182】
次に、目標設計地形取得部283Cは、ピッチ角度データを取得する(ステップSB2)。具体的には、目標設計地形取得部283Cは、チルト角度センサ70からのピッチ角度φのピッチ角度データを取得する。
【0183】
次に、目標設計地形取得部283Cは、チルト軸絶対角を取得する(ステップSB3)。具体的には、目標設計地形取得部283Cは、チルト軸角度演算部283Aで演算されたチルト軸絶対角を取得する。
【0184】
次に、目標設計地形演算部284Aは、目標設計地形データを算出する(ステップSB4)。目標設計地形演算部284Aは、目標設計地形取得部283Cで取得したパラメータデータに基づいて目標設計地形データを生成する。
【0185】
次に、目標設計地形演算部284Aは、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップSB5)。具体的には、バケット8のピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上であるか否かを判断することにより、バケット8に取り付けられたチルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍であるか否かを判断する。ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満の範囲は、基準面70Rが鉛直近傍であり、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度が低下する場合である。ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上である場合の範囲は、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度を確保することが可能な状態である。
【0186】
目標設計地形演算部284Aは、ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満である場合(ステップSB5においてNO)には、固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行する(ステップSB8)。バケット8に取り付けられたチルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍である場合には、チルト角度センサ70の検出精度が低下する。
【0187】
したがって、本例においては、検出精度が高い状態のバケットデータに基づく表示制御を実行する。具体的には、ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2閾値未満である場合には、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上のときのチルト角度データを用い、当該チルト角度データに基づく表示制御を実行する。このように、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上のときのチルト角度データを保持し、チルト角度データを固定することにすれば、精度の高いチルト角度データに基づいた表示を行うことができる。
図14の正面
図282には、固定化されたチルト角度データに基づくバケット8が一例として表示されている。
【0188】
目標設計地形演算部284Aは、ピッチ角度φが第1の閾値未満あるいは第2の閾値以上であると判断した場合(ステップSB5においてYES)には、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上であるか否かを判断する(ステップSB6)。具体的には、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上であるか否かを判断することにより、チルト軸J4が鉛直近傍であるか否かを判断する。チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満の範囲では、チルト軸J4が鉛直近傍となり、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度が低下する。チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上である場合の範囲は、チルト角度センサ70のチルト角度データの検出精度を確保することが可能な状態である。
【0189】
目標設計地形演算部284Aは、チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満である場合(ステップSB6においてNO)には、固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行する(ステップSB8)。バケット8に取り付けられたチルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍である場合には、チルト角度センサ70の検出精度が低下するため検出精度が高い状態のバケットデータに基づく表示制御を実行する。
【0190】
一方、目標設計地形演算部284Aは、チルト軸絶対角が第3の閾値未満あるいは第4の閾値以上である場合(ステップSB6においてYES)には、現在取得されているバケットデータに基づく表示制御を実行する(ステップSB7)。チルト角度センサ70の基準面70Rが鉛直近傍でない場合、かつ、チルト軸J4が鉛直近傍でない場合には、チルト角度センサ70の検出精度を確保することが可能であるため当該状態のバケットデータ演算部282Aで演算されたバケットデータに基づく表示制御を実行する。
【0191】
当該構成により、検出精度が低下したチルト角度センサ70から出力されたチルト角度データでのバケットの表示制御を禁止し、検出精度が高いチルト角度データでのバケットの表示制御を実行する。これにより掘削精度を向上させ、所期の施工を実行することができる。
【0192】
なお、上記においては、ピッチ角度φおよびチルト軸絶対角の両方のパラメータを利用してチルト角度データの検出精度が低下する状態に固定されたチルト角度データに基づく表示制御に移行する場合について説明したが、いずれか一方のみを用いるようにすることも可能である。
【0193】
また、上記においては、ピッチ角度φが第1の閾値以上および第2の閾値未満である場合に、固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行する場合について説明したが、ピッチ角度φが第1の閾値以上である場合に固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行するようにしてもよい。また、チルト軸絶対角が第3の閾値以上および第4の閾値未満である場合に、固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行する場合について説明したが、チルト軸絶対角が第3の閾値以上である場合に固定されたバケットデータに基づく表示制御を実行するようにしてもよい。
【0194】
表示部29に、固定されたチルト角度データに基づくバケットの表示制御が実行されている場合には、オペレータの操作に従ってバケット8のチルト角度δが変更される場合であっても、表示部29におけるバケット8の姿勢状態は固定表示される。
【0195】
これにより、検出精度が低下するチルト角度センサ70から出力されたチルト角度データに基づいてバケットデータが生成されて表示されることを回避することが可能である。
【0196】
検出精度が低下した場合には、誤差により表示部29に表示されるバケットの動きが急激に変化する(ふらつく)可能性がある。この場合、操作レバーの操作による実際のバケット8の状態と表示部29に表示されるバケットの状態との間に乖離が生じ、オペレータに誤認識させる可能性があり、精度の高い掘削作業を実行することができない。例えば、操作レバーを操作していないにも拘わらず、表示部29に表示されるバケットが動作しているように表示される可能性がある。
【0197】
当該方式によりチルト角度センサ70の検出精度が低下した場合には、当該検出精度が低下した情報に基づく表示を中止して、検出精度が低下する前の検出精度が高い情報に基づく表示に切り替えることにより視認性をよくすることが可能である。これにより、バケットの表示に関するオペレータに対する誤認識を抑制して、精度の高い掘削作業を実行することが可能である。また、検出精度が元の状態に戻る場合には、当該状態から早期に復帰して精度の高い表示が可能である。
【0198】
また、検出精度が低下するチルト角度センサ70から出力されたチルト角度データに基づいて、
図15で説明した目標設計地形とバケット8との距離(目標設計地形とバケット8との最短距離)を示す距離データ291Bと、目標設計地形とバケット8の底面とがなす角度を示す角度データ292Bとの値が変動(ふらつく)可能性があるが、当該方式により、当該検出精度が低下した情報に基づく表示を中止して、検出精度が高い情報に基づく表示に切り替えることにより視認性をよくすることが可能である。
【0199】
<その他>
なお、バケット8の傾斜角度の軸は、もう1軸増えてもよく、水平面に垂直な軸(鉛直軸)に対して傾くバケットであってもよい。この場合、チルト角度センサとしては、3軸それぞれに対する角度を検出可能なセンサを採用すればよい。
【0200】
なお、実施形態においては、グローバル座標系における油圧ショベルCMの車両本体位置データP及び車両本体姿勢データQを取得し、ローカル座標系で求めたバケット8の位置(バケットデータS)と、車両本体位置データP及び車両本体姿勢データQを用いて、グローバル座標系における目標設計地形とバケット8との相対位置を取得することとした。目標設計地形データをローカル座標系で規定して、ローカル座標系における目標設計地形とバケット8との相対位置を取得してもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0201】
上記の実施形態では、作業車両の一例として油圧ショベルを挙げているが油圧ショベルに限らず、他の種類の作業車両に本発明が適用されてもよい。
【0202】
グローバル座標系における油圧ショベルCMの位置の取得は、GNSSに限らず、他の測位手段によって行われてもよい。従って、バケットの先端部と目標設計地形との距離の取得は、GNSSに限らず、他の測位手段によって行われてもよい。
【0203】
ブーム操作量とアーム操作量とバケット操作量とは、操作レバー(25R、25L)の位置を示す電気的な信号に基づいて取得されてもよい。
【0204】
なお、本例においては、作業車両として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、ブルドーザ、ホイールローダ等の作業車両にも適用可能である。
【0205】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
作業車両は、車両本体と、作業機と、角度センサと、作業機制御部とを備える。作業機は、ブームと、アームと、バケットとを有する。ブームは、ブーム軸を中心に車両本体に対して回転可能である。アームは、ブーム軸と平行なアーム軸を中心にブームに対して回転可能である。バケットは、アーム軸と平行なバケット軸及びバケット軸と直交するチルト軸のそれぞれを中心にアームに対して回転可能である。角度センサは、バケットに設けられ、水平面に対するバケットの傾斜角度を検出する。作業機制御部は、作業機による作業対象の目標形状を示す設計地形に基づいて、作業機の動作を少なくとも一部自動で制御する作業機制御を実行する。作業機制御部は、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値未満である場合、作業機制御を開始し、角度センサで検出したバケットの傾斜角度が第1の閾値以上である場合、作業機制御を開始しない。