(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔緑茶抽出組成物〕
本発明の緑茶抽出組成物は、(A)非重合体カテキン類の含有量が25〜45質量%であるが、茶風味維持及び生理効果の観点から、27質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、32質量%以上が更に好ましく、またきしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び色調変化抑制の観点から、43質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、38質量%以下が更に好ましい。かかる(A)非重合体カテキン類の含有量の範囲としては、緑茶抽出組成物中に、好ましくは27〜43質量%であり、より好ましくは30〜40質量%であり、更に好ましくは32〜38質量%である。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなるガレート体と、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びカテキンからなる非ガレート体を併せての総称である。なお、非重合体カテキン類の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義され、本発明においては、上記8種の非重合体カテキン類のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、成分(A)の含有量は、通常知られている非重合体カテキン類の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0010】
本発明の緑茶抽出組成物は、非重合体カテキン類中のガレート体の割合が、きしみやえぐみ等の不快な風味低減の観点から、57質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、53質量%以下が更に好ましく、51質量%以下が殊更に好ましく、また茶風味維持及び生理効果の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、35質量%以上がより更に好ましく、40質量%以上が殊更に好ましい。かかるガレート体の割合の範囲としては、好ましくは10〜57質量%であり、より好ましくは15〜57質量%であり、更に好ましくは30〜57質量%であり、より更に好ましくは35〜55質量%であり、より更に好ましくは35〜53質量%であり、殊更に好ましくは40〜51質量%である。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類中のガレート体の割合」とは、非重合体カテキン類8種に対する上記ガレート体4種の質量比率である。
【0011】
また、本発明の緑茶抽出組成物は、(B)糖類の含有量が4〜13質量%であるが、色調変化(ΔL
*)抑制の観点から、4.5質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5.5質量%以上が更に好ましく、また茶風味維持、色調変化(Δa
*)抑制、及びきしみ等の不快な風味低減から、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7.5質量%以下が更に好ましい。かかる(B)糖類の含有量の範囲としては、緑茶抽出組成物中に、好ましくは4.5〜12質量%であり、より好ましくは5〜10質量%であり、更に好ましくは5.5〜7.5質量%である。ここで、本明細書において「糖類」とは、グルコース、フルクトース及びスクロースを併せての総称である。なお、(B)糖類の含有量は、上記3種の合計量に基づいて定義され、本発明においては、上記3種のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている糖類の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0012】
本発明の緑茶抽出組成物は、(A)非重合体カテキン類と(B)糖類との質量比[(B)/(A)]が、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び色調変化(ΔL
*)抑制の観点から、0.1以上が好ましく、0.11以上がより好ましく、0.12以上が更に好ましく、また茶風味維持、きしみ等の不快な風味低減、及び色調変化(Δa
*)抑制の観点から、0.5以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.23以下が更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.1〜0.5であり、より好ましくは0.11〜0.25であり、更に好ましくは0.12〜0.23である。
【0013】
また、本発明の緑茶抽出組成物は、(C)鉄の含有量が、色調変化抑制、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点から、0.00005質量%以上が好ましく、0.00008質量%以上がより好ましく、0.00009質量%以上が更に好ましく、そして0.006質量%以下が好ましく、0.005質量%以下がより好ましく、0.004質量%以下が更に好ましい。かかる(C)鉄の含有量の範囲としては、緑茶抽出組成物中に、好ましくは0.00005〜0.006質量%であり、より好ましくは0.00008〜0.005質量%であり、更に好ましくは0.00009〜0.004質量%である。ここで、緑茶抽出組成物に含まれる「鉄」には、非イオン状態の鉄と、解離状態の鉄があり、また解離した鉄には、二価の鉄イオン、三価の鉄イオンがある。なお、(C)鉄の含有量は、非イオン状態の鉄と、解離状態の鉄の合計量に基づいて定義され、本発明においては、上記3種のうち少なくとも1種を含有すればよい。また、成分(C)の含有量は、通常知られている鉄の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、原子吸光分析法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載のグラファイトファーネス法のみならず、フレーム法や誘導結合プラズマ発光分光法でも分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0014】
本発明の緑茶抽出組成物は、(B)糖類と(C)鉄との質量比[(C)/(B)]が、色調変化抑制、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点から、0.00008以上が好ましく、0.0001以上がより好ましく、0.00015以上が更に好ましく、0.0002以上が殊更に好ましく、そして0.0008以下が好ましく、0.0007以下がより好ましく、0.0006以下が更に好ましく、0.0005以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.00008〜0.0008であり、より好ましくは0.0001〜0.0007であり、更に好ましくは0.00015〜0.0006であり、殊更に好ましくは0.0002〜0.0005である。
【0015】
更に、本発明の緑茶抽出組成物は、(D)カフェインを含有する。本発明の緑茶抽出組成物は、(D)カフェインの含有量が、茶風味維持の観点から、2質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また色調変化(Δa
*)抑制、及びきしみ等の不快な風味低減の観点から、6質量%以下が好ましく、5.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、4質量%以下が殊更に好ましい。かかる(D)カフェインの含有量の範囲としては、緑茶抽出組成物中に、好ましくは2〜6質量%であり、より好ましくは2.5〜5.5質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%であり、殊更に好ましくは3〜4質量%である。また、成分(D)の含有量は、通常知られているカフェインの分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することが可能である。なお、測定の際には装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0016】
本発明の緑茶抽出組成物は、(A)非重合体カテキン類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(A)]が、色調変化(ΔL
*)抑制の観点から、0.04以上が好ましく、0.06以上がより好ましく、0.08以上が更に好ましく、0.086以上が殊更に好ましく、また色調変化(Δa
*)抑制、及びきしみ等の不快な風味低減の観点から、0.17以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.14以下が更に好ましく、0.11以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(D)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.04〜0.17であり、より好ましくは0.06〜0.15であり、更に好ましくは0.08〜0.13であり、殊更に好ましくは0.086〜0.11である。
【0017】
また、本発明の緑茶抽出組成物は、(B)糖類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(B)]が0.2〜0.8であるが、色調変化抑制、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点から、0.23以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、0.35以上が更に好ましく、そして0.79以下が好ましく、0.78以下がより好ましく、0.77以下が更に好ましく、0.76以下が殊更に好ましく、0.75以下が殊更に好ましく、0.7以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(D)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.23〜0.79であり、より好ましくは0.25〜0.78であり、更に好ましくは0.3〜0.77であり、殊更に好ましくは0.35〜0.76であり、殊更に好ましくは0.35〜0.75であり、殊更に好ましくは0.35〜0.7である。
【0018】
また、本発明の緑茶抽出組成物は、(C)鉄と(D)カフェインとの質量比[(C)/(D)]が、色調変化抑制、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点から、0.00003以上が好ましく、0.00005以上がより好ましく、0.0001以上が更に好ましく、0.0002以上が殊更に好ましく、そして0.002以下が好ましく、0.0017以下がより好ましく、0.0014以下が更に好ましく、0.0011以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(C)/(D)]の範囲としては、好ましくは0.00003〜0.002であり、より好ましくは0.00005〜0.0017であり、更に好ましくは0.0001〜0.0014であり、殊更に好ましくは0.0002〜0.0011である。
【0019】
更に、本発明の緑茶抽出組成物は、(E)没食子酸を含有する。本発明の緑茶抽出組成物は、(E)没食子酸の含有量が、色調変化(Δa
*)抑制、及びきしみ等の不快な風味低減の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.12質量%以上が更に好ましく、また茶風味維持の観点から、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましく、3質量%以下がより更に好ましい。かかる(E)没食子酸の含有量の範囲としては、緑茶抽出組成物中に、好ましくは0.05〜7質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜4質量%であり、殊更に好ましくは0.12〜3質量%である。また、成分(E)の含有量は、通常知られている没食子酸の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することが可能である。なお、測定の際には装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0020】
本発明の緑茶抽出組成物は、(E)没食子酸と(C)鉄との質量比[(E)/(C)]が55〜2500であるが、色調変化(Δa
*)抑制、及びきしみ等の不快な風味低減の観点から、60以上が好ましく、65以上がより好ましく、70以上が更に好ましく、80以上が殊更に好ましく、100以上が殊更に好ましく、150以上が殊更に好ましく、250以上が殊更に好ましく、また茶風味維持の観点から、2000以下が好ましく、1500以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは60〜2000であり、より好ましくは65〜1500であり、更に好ましくは70〜1000であり、殊更に好ましくは80〜1000であり、殊更に好ましくは100〜1000であり、殊更に好ましくは150〜1000であり、殊更に好ましくは250〜1000である。
【0021】
本発明の緑茶抽出組成物中の(F)含水率は、10質量%以下であるが、保存時の色調変化抑制の観点から、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。本発明の緑茶抽出組成物は、(F)含水率が5質量%以下であると、形態が粉体となるため、ハンドリング性に優れるだけでなく、保存安定性を高めることができる。なお、本発明の緑茶抽出組成物の(F)含水率の下限値は、きしみやえぐみ等の不快な風味低減の観点から、0.1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。具体的には、後掲の実施例に記載の常圧乾燥法のみならず、減圧乾燥法やカールフィッシャー滴定法でも分析することが可能である。
【0022】
また、本発明の緑茶抽出組成物は、保存時の色調変化が抑制されている。具体的には、65℃で2日間保存した後の緑茶抽出組成物のL
*値と、保存開始前(例えば、製造直後)の緑茶抽出組成物のL
*値との差分の絶対値(ΔL
*)を、好ましくは10未満、より好ましくは9未満、更に好ましくは8未満、より更に好ましくは7.5未満とすることができる。また,65℃で2日間保存した後の緑茶抽出組成物のa
*値と、保存開始前(例えば、製造直後)の緑茶抽出組成物のa
*値との差分の絶対値(Δa
*)を、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下とすることができる。ここで、「L
*値」とは、色をL
*a
*b
*表色系で表現したときに、明度を示すL
*であり、また「a
*値」とは、色をL
*a
*b
*表色系で表現したときに、色相、彩度を表す座標値であって、赤色方向の彩度を示す座標値である。L
*a
*b
*表色系には、黄色方向の彩度を示す座標値であるb
*もあるが、本発明においては、緑茶抽出組成物が色調変化したときに最も顕在化しやすいL
*及びa
*について規定するものである。なお、色調変化(ΔL
*)及び(Δa
*)の測定は、後掲の実施例に記載の「色相変化の測定」にしたがうものとする。
【0023】
本発明の緑茶抽出組成物の製造方法は、得られる緑茶抽出組成物が前述した構成を具備することができれば如何なる方法であっても良い。例えば、生茶葉の表面に温水を接触させた後、その茶葉を水にて抽出し、得られた緑茶抽出液を固液分離した後、必要によりタンナーゼ処理し、含水率が10質量%以下となるように濃縮又は乾燥することにより、緑茶抽出組成物に含まれる非重合体カテキン類及び糖類の各含有量、該糖類と、鉄又はカフェインとの各量比、没食子酸と鉄との量比、並びに含水率が特定量に制御された緑茶抽出組成物を製造することができる。ここで、本明細書において「タンナーゼ処理」とは、緑茶抽出液を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいう。タンナーゼ処理により、緑茶抽出液中の非重合体カテキン類のガレート体が分解され没食子酸が遊離する。
【0024】
(生茶葉)
本明細書において「生茶葉」とは、摘採後、熱処理前の茶葉、又は摘採後、熱処理前に冷蔵若しくは冷凍保存した茶葉をいう。また、本発明で使用する生茶葉は、通常摘採した状態の茶葉(フルリーフ)が使用される。更に、茶葉のみならず、茎も使用することができる。
生茶葉としては、一般に栽培されている茶品種であれば特に限定されず、1種又は2以上を適宜選択して使用することができる。茶葉の採取時期は、一番茶、二番茶、三番茶及び四番茶のいずれでもよい。また、摘採方法としては、二葉摘み、三葉摘み、普通摘み等を挙げることができる。
【0025】
(温水処理)
温水の種類は特に限定されず、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができる。
また、温水の温度は、色調変化(Δa
*及びΔL
*)抑制、及びきしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点から、好ましくは60〜99℃、より好ましくは70〜97℃、更に好ましくは80〜95℃である。
接触方法としては、生茶葉の表面を温水と接触させることができれば特に限定されないが、例えば、生茶葉を温水に浸漬させる方法、生茶葉に温水をシャワー状に供給する方法等を挙げることができる。
温水の量は、接触方法やスケールにより、適宜選択することが可能である。なお、色調変化(Δa
*及びΔL
*)抑制、きしみやえぐみ等の不快な風味低減、及び緑茶らしくない異味低減の観点からは、水と生茶葉との質量比(水/生茶葉)は、好ましくは5〜40であり、より好ましくは5〜35であり、更に好ましくは5〜30であり、また、温水との接触時間は、好ましくは10〜300秒、より好ましくは30〜270秒であり、更に好ましくは120〜240秒であり、殊更に好ましくは130〜240秒である。
【0026】
温水処理後、茶葉の表面に付着した水分を、振とう等により取り除いても、ウエス、ペーパー等で軽く拭き取ってもよい。また、温水処理後の茶葉を乾燥することもできる。
また、抽出する前に、非重合体カテキン類の抽出効率を高めるために、茶葉をCTC処理、裁断処理又は粉砕処理等することができる。ここで、本明細書において「CTC処理」とは、砕く(Crush)、裂く(Tear)及び丸める(Curl)の処理を一度に行う処理をいい、CTC処理装置を用いて行うことができる。このCTC処理は、紅茶製造における発酵前に用いられる処理であり、発酵を伴わない茶葉の処理には通常行われない。なお、本発明においては、揉捻等の茶葉を揉む工程は必ずしも要しない。
【0027】
(抽出)
抽出方法としては、撹拌抽出、カラム抽出、ドリップ抽出等の公知の方法を採用することができる。
抽出に使用する水の温度は、非重合体カテキン類の抽出効率の観点から、好ましくは25〜100℃、より好ましくは50〜98℃、更に好ましくは55〜92℃である。
また、水としては、前述と同様のものを使用することができるが、中でも、味の面から、イオン交換水が好ましい。
水の量は、抽出方法により適宜選択可能であるが、例えば、水と生茶葉との質量比(水/生茶葉=浴比)として、好ましくは1〜90、より好ましくは2〜85、更に好ましくは3〜80である。また、抽出時間は、スケール等により一様ではないが、例えば、好ましくは5〜60分、更に好ましくは10〜40分である。
【0028】
(固液分離)
抽出後、得られた緑茶抽出液を固液分離する。
固液分離としては、例えば、遠心分離、濾過、膜処理等を適宜選択することが可能であり、1種又は2種以上組み合わせて行うこともできる。中でも、本発明の効果が顕著に奏される観点から、膜処理が好ましく、MF膜(精密濾過膜)を用いた処理が更に好ましい。
【0029】
遠心分離は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器を使用することができる。遠心分離条件としては、温度が、好ましくは5〜70℃、更に好ましくは10〜40℃である。回転数と時間は、例えば、分離板型の場合、好ましくは4000〜10000rpm、より好ましくは5000〜10000rpm、更に好ましくは6000〜10000rpmであって、好ましくは0.2〜30分、より好ましくは0.2〜20分、更に好ましくは0.2〜15分である。
【0030】
濾過は、例えば、濾紙、ステンレス等の金属製フィルタ等によるフィルタ分離を採用することができる。金属製フィルタのメッシュサイズは、例えば、18〜300メッシュである。
【0031】
膜処理の条件は、例えば、下記のとおりである。温度は、5〜70℃が好ましく、10〜60℃が更に好ましい。圧力条件は、30〜400kPaが好ましく、50〜350kPaが更に好ましい。膜孔径としては、好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.2〜5μmである。なお、膜孔径の測定方法としては、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌濾過法などを用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いるのが好ましい。
膜の材質としては、例えば、炭化水素系高分子、フッ素化炭化水素系高分子又はスルホン系高分子、セラミックが挙げられる。また、膜の形態としては、平膜、スパイラル膜、中空糸膜、モノリス型膜、ペンシル型膜等が挙げられる。
【0032】
(タンナーゼ処理)
固液分離後、得られた分離液をタンナーゼ処理することができる。
タンナーゼは、非重合体カテキン類のガレート体を加水分解する活性を有するものであればよい。具体的には、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属などのタンナーゼ生産菌を培養して得られる酵素が使用できる。このうち、アスペルギルスオリーゼ由来のものが特に好ましい。タンナーゼ活性を有する酵素の市販品として、ペクチナーゼPLアマノ(天野エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製)、タンナーゼKTFH(キッコーマン社製)、タンナーゼKT05(キッコーマン社製)、タンナーゼKT50(キッコーマン社製)等を利用できる。
本発明で使用するタンナーゼは、500〜100,000U/gの酵素活性を有するものが好ましく、500U/g以上であると工業的に問題のない時間内で処理することが可能であり、100,000U/g以下であると反応系を制御することが可能である。ここで「1Unit」とは、30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量を示す。
タンナーゼ処理は、緑茶抽出物中の非重合体カテキン類に対してタンナーゼを0.5〜10質量%の範囲になるように添加することが好ましく、更に好ましくは1.0〜10質量%である。タンナーゼ処理の温度は、酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、更に好ましくは20〜30℃である。タンナーゼ処理時のpH(25℃)は、酵素活性が得られる4〜6であることが好ましく、より好ましくは4.5〜6であり、更に好ましくは5〜6である。その後、できるだけ速やかに45〜95℃、好ましくは75〜95℃まで昇温し、タンナーゼを失活させることにより反応を停止させる。当該タンナーゼの失活処理により、その後のガレート体率の低下が防止でき、目的とするガレート体率を有する非重合体カテキン類含有緑茶抽出物が得られる。
【0033】
(濃縮・乾燥)
緑茶抽出組成物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等の種々のものが挙げられる。緑茶抽出組成物の製品形態として液体が望ましい場合は、例えば、減圧濃縮、逆浸透膜濃縮等により濃縮することが可能であり、減圧濃縮として、具体的にはエバポレータ等を挙げることができる。また、粉体が望ましい場合は、例えば、噴霧乾燥や凍結乾燥等により乾燥して粉体化することが可能であり、濃縮と組み合わせて行うこともできる。いずれの形態であるとしても、前述の含水率となるように調整される。
【0034】
〔容器詰飲料〕
本発明の容器詰飲料は、前述の緑茶抽出組成物を配合したものである。
飲料中への緑茶抽出組成物の配合量は、適宜選択することが可能であるが、例えば、容器詰飲料中に、(A)非重合体カテキン類が、好ましくは0.1〜0.3質量%、更に好ましくは0.12〜0.2質量%含有するように配合することができる。この場合、所望の非重合体カテキン類量となるように水や他の茶抽出物等で希釈することも可能である。
水としては、前述と同様のものが挙げられ、中でも、味の面から、イオン交換水が好ましい。容器詰飲料のpH(25℃)は、好ましくは2〜7、より好ましくは2.5〜6.5、更に好ましくは3〜6である。
【0035】
本発明の容器詰飲料は、茶飲料でも、非茶系飲料であってもよい。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が挙げられる。また、非茶系飲料としては、例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の緑茶抽出組成物含有非アルコール飲料や、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等の緑茶抽出組成物含有アルコール飲料が挙げられる。なお、飲料の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
【0036】
更に、本発明の容器詰飲料には、香料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を組み合わせて配合することができる。これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0037】
また、本発明の容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
また、本発明の容器詰飲料は、加熱殺菌されていてもよく、加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、容器詰飲料の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
【0038】
〔インスタント粉末飲料〕
本発明のインスタント粉末飲料は、前述の緑茶抽出組成物を配合したものであって、水等の液体に溶解して還元飲料として飲用されるものである。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、天然水、水道水等を挙げることができる。水の温度は適宜選択可能であり、例えば、5〜100℃である。ここで、本明細書において「インスタント粉末飲料」とは、インスタント粉末緑茶飲料、インスタント粉末紅茶飲料、及びインスタント粉末烏龍茶飲料等を包含する概念である。「インスタント粉末緑茶飲料」とは、前述の緑茶抽出組成物、所望により緑茶フレーバーを含有するインスタント粉末飲料をいい、「インスタント粉末紅茶飲料」とは、前述の緑茶抽出組成物、並びに紅茶抽出物及び/又は紅茶フレーバーを含有するインスタント粉末飲料をいう。また、「インスタント粉末烏龍茶飲料」とは、前述の緑茶抽出組成物、並びに烏龍茶抽出物及び/又は烏龍茶フレーバーを含有するインスタント粉末飲料をいう。
【0039】
インスタント粉末飲料中への緑茶抽出組成物の配合量は、適宜選択することが可能である。例えば、インスタント粉末飲料3g当たりの非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは280〜1200mg、より好ましくは400〜1200mg、更に好ましくは450〜1000mg、より更に好ましくは500〜800mgとなるように緑茶抽出組成物を配合することができる。 具体的には、インスタント粉末飲料中の緑茶抽出組成物の含有量は60〜10質量%が好ましく、50〜15質量%がより好ましい。
【0040】
本発明のインスタント粉末飲料は、デキストリンを含有することができる。デキストリンの含有量は、インスタント粉末飲料中の緑茶抽出組成物の質量に対して、好ましくは0.1〜15倍量、より好ましくは0.5〜12倍量、更に好ましくは1〜11倍量である。
【0041】
本発明のインスタント粉末飲料は、アスコルビン酸及び又はその塩を含有することができる。塩としては生理学的に許容されるものであれば特に限定されないが、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。アスコルビン酸及び又はその塩の含有量は、インスタント粉末飲料中の緑茶抽出組成物の質量に対して、好ましくは0.1〜15倍量、より好ましくは0.5〜12倍量、更に好ましくは1〜11倍量である。
【0042】
更に、本発明のインスタント粉末飲料には、所望により、甘味料、酸化防止剤、香料、果汁エキス、果実片、果実粉末、ハーブ、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上含有させることができる。なお、これら添加剤の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜設定することが可能である。
【0043】
本発明のインスタント粉末飲料は適宜の形態を採り得るが、例えば、カップ1杯分毎に小分け包装したものを挙げることができる。なお、カップの容量は100〜320mLであることが好ましく、上記カップ容量に適合するように小分け包装された内容物の容量を適宜設定することが可能である。
【0044】
本発明のインスタント粉末飲料は、防腐・防菌やハンドリングの観点から、固形分量が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは96質量%以上である。なお、インスタント粉末飲料の固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、「固形分量」とは、インスタント粉末飲料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0045】
本発明のインスタント粉末は適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、前述の緑茶抽出組成物と、所望により他の成分とを混合し、必要により公知の造粒法を含む工程に供することより製造することができる。
【0046】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下の緑茶抽出組成物、容器詰飲料及びインスタント粉末飲料を開示する。
【0047】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E);
(A)非重合体カテキン類、
(B)糖類、
(C)鉄、
(D)カフェイン、及び
(E)没食子酸
を含み、
(A)非重合体カテキン類の含有量が25〜45質量%であり、
(B)糖類の含有量が4〜13質量%であり、
(B)糖類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(B)]が0.2〜0.8であり、
(E)没食子酸と(C)鉄との質量比[(E)/(C)]が55〜2500であり、かつ
(F)含水率が10質量%以下である緑茶抽出組成物。
【0048】
<2>
(A)非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは27質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは32質量%以上であって、好ましくは43質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは38質量%以下である、前記<1>記載の緑茶抽出組成物。
<3>
(A)非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは27〜43質量%であり、より好ましくは30〜40質量%であり、更に好ましくは32〜38質量%である、前記<1>又は<2>記載の緑茶抽出組成物。
<4>
非重合体カテキン類中のガレート体の割合が、好ましくは57質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは53質量%以下、より更に好ましくは51質量%以下であって、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、殊更に好ましくは40質量%以上である、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<5>
非重合体カテキン類中のガレート体の割合が、好ましくは10〜57質量%であり、より好ましくは15〜57質量%であり、更に好ましくは30〜57質量%であり、より更に好ましくは35〜55質量%であり、より更に好ましくは35〜53質量%であり、殊更に好ましくは40〜51質量%である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<6>
(A)非重合体カテキン類が、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、カテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びカテキンから選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<7>
(B)糖類の含有量が、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは5.5質量%以上であって、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下である、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<8>
(B)糖類の含有量が、好ましくは4.5〜12質量%であり、より好ましくは5〜10質量%であり、更に好ましくは5.5〜7.5質量%である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<9>
糖類が、グルコース、フルクトース及びスクロースから選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<10>
(A)非重合体カテキン類と(B)糖類との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.12以上であって、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.23以下である、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
【0049】
<11>
(A)非重合体カテキン類と(B)糖類との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.1〜0.5であり、より好ましくは0.11〜0.25であり、更に好ましくは0.12〜0.23である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<12>
(C)鉄の含有量が、好ましくは0.00005質量%以上、より好ましくは0.00008質量%以上、更に好ましくは0.00009質量%以上であって、好ましくは0.006質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、更に好ましくは0.004質量%以下である、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<13>
(C)鉄の含有量が、好ましくは0.00005〜0.006質量%であり、より好ましくは0.00008〜0.005質量%であり、更に好ましくは0.00009〜0.004質量%である、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<14>
(B)糖類と(C)鉄との質量比[(C)/(B)]が、好ましくは0.00008以上、より好ましくは0.0001以上、更に好ましくは0.00015以上、より更に好ましくは0.0002以上であって、好ましくは0.0008以下、より好ましくは0.0007以下、更に好ましくは0.0006以下、より更に好ましくは0.0005以下である、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<15>
(B)糖類と(C)鉄との質量比[(C)/(B)]が、好ましくは0.00008〜0.0008であり、より好ましくは0.0001〜0.0007であり、更に好ましくは0.00015〜0.0006であり、殊更に好ましくは0.0002〜0.0005である、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<16>
(D)カフェインの含有量が、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であって、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<15>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<17>
(D)カフェインの含有量が、好ましくは2〜6質量%であり、より好ましくは2.5〜5.5質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%であり、より更に好ましくは3〜4質量%である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<18>
(A)非重合体カテキン類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.08以上、より更に好ましくは0.086以上であって、好ましくは0.17以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.14以下、より更に好ましくは0.11以下である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<19>
(A)非重合体カテキン類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.04〜0.17であり、より好ましくは0.06〜0.15であり、更に好ましくは0.08〜0.13であり、殊更に好ましくは0.086〜0.11である、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<20>
(B)糖類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(B)]が、好ましくは0.23以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.35以上であって、好ましくは0.79以下、より好ましくは0.78以下、更に好ましくは0.77以下、より更に好ましくは0.76以下、殊更に好ましくは0.75以下、殊更に好ましくは0.7以下である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
【0050】
<21>
(B)糖類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(B)]が、好ましくは0.23〜0.79であり、より好ましくは0.25〜0.78であり、更に好ましくは0.3〜0.77であり、殊更に好ましくは0.35〜0.76であり、殊更に好ましくは0.35〜0.75であり、殊更に好ましくは0.35〜0.7である、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<22>
(C)鉄と(D)カフェインとの質量比[(C)/(D)]が、好ましくは0.00003以上、より好ましくは0.00005以上、更に好ましくは0.0001以上、より更に好ましくは0.0002以上であって、好ましくは0.002以下、より好ましくは0.0017以下、更に好ましくは0.0014以下、より更に好ましくは0.0011以下である、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<23>
(C)鉄と(D)カフェインとの質量比[(C)/(D)]が、好ましくは0.00003〜0.002であり、より好ましくは0.00005〜0.0017であり、更に好ましくは0.0001〜0.0014であり、殊更に好ましくは0.0002〜0.0011である、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<24>
(E)没食子酸の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.12質量%以上であって、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である、前記<1>〜<23>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<25>
(E)没食子酸の含有量が、好ましくは0.05〜7質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜4質量%であり、より更に好ましくは0.12〜3質量%である、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<26>
(E)没食子酸と(C)鉄との質量比[(E)/(C)]が、好ましくは60以上、より好ましくは65以上、更に好ましくは70以上、より更に好ましくは80以上、殊更に好ましくは100以上、殊更に好ましくは150以上、殊更に好ましくは250以上であって、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である、前記<1>〜<25>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<27>
(E)没食子酸と(C)鉄との質量比[(E)/(C)]が、好ましくは60〜2000であり、より好ましくは65〜1500であり、更に好ましくは70〜1000であり、殊更に好ましくは80〜1000であり、殊更に好ましくは100〜1000であり、殊更に好ましくは150〜1000であり、殊更に好ましくは250〜1000である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<28>
(F)含水率が、好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下であって、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上である、前記<1>〜<27>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<29>
(F)含水率が、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1.5〜5質量%である、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<30>
65℃で2日間保存した後の緑茶抽出組成物のL
*値と、保存開始前(例えば、製造直後)の緑茶抽出組成物のL
*値との差分の絶対値(ΔL
*)が、好ましくは10未満、より好ましくは9未満、更に好ましくは8未満、より更に好ましくは7.5未満である、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
【0051】
<31>
65℃で2日間保存した後の緑茶抽出組成物のa
*値と、保存開始前(例えば、製造直後)の緑茶抽出組成物のa
*値との差分の絶対値(Δa
*)が、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である、前記<1>〜<30>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
<32>
緑茶抽出組成物が、生茶葉の表面に温水を接触させた後、その茶葉を水にて抽出し、得られた緑茶抽出液をタンナーゼ処理して得られたものである、前記<1>〜<31>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物。
【0052】
<33>
前記<1>〜<32>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物を配合してなる、容器詰飲料。
【0053】
<34>
緑茶抽出組成物を、容器詰飲料中に(A)非重合体カテキン類が、好ましくは0.1〜0.3質量%、更に好ましくは0.12〜0.2質量%含有するように配合したものである、前記<33>記載の容器詰飲料。
<35>
pH(25℃)が、好ましくは2〜7、より好ましくは2.5〜6.5、更に好ましくは3〜6である、前記<33>又は<34>記載の容器詰飲料。
<36>
好ましくは茶飲料又は非茶系飲料である、前記<33>〜<35>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<37>
茶飲料が、好ましくは緑茶飲料、烏龍茶飲料又は紅茶飲料である、前記<36>記載の容器詰飲料。
<38>
非茶系飲料が、好ましくは緑茶抽出組成物含有非アルコール飲料(例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等)、又は緑茶抽出組成物含有アルコール飲料(例えば、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等)である、前記<36>記載の容器詰飲料。
<39>
好ましくは香料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、及び品質安定剤から選択される1種又は2種以上の添加剤を更に配合したものである、前記<33>〜<38>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<40>
好ましくはポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、又は瓶に充填したものである、前記<33>〜<39>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
【0054】
<41>
好ましくは加熱殺菌されたものである、前記<33>〜<40>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<42>
加熱殺菌が、好ましくは適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するもの、更に好ましくはレトルト殺菌、高温短時間殺菌(HTST)、又は超高温殺菌(UHT)である、前記<41>記載の容器詰飲料。
【0055】
<43>
前記<1>〜<32>のいずれか一に記載の緑茶抽出組成物を配合してなる、インスタント粉末飲料。
【0056】
<44>
好ましくはインスタント粉末緑茶飲料、インスタント粉末紅茶飲料、又はインスタント粉末烏龍茶飲料である、前記<43>記載のインスタント粉末飲料。
<45>
緑茶抽出組成物を、インスタント粉末飲料3g当たり(A)非重合体カテキン類が、好ましくは280〜1200mg、より好ましくは400〜1200mg、更に好ましくは450〜1000mg、より更に好ましくは500〜800mg含有するように配合したものである、前記<43>又は<44>記載のインスタント粉末飲料。
<46>
好ましくはデキストリンを更に含有する、前記<43>〜<45>のいずれか一に記載のインスタント粉末飲料。
<47>
デキストリンの含有量が、インスタント粉末飲料中の緑茶抽出組成物の質量に対して、好ましくは0.1〜15倍量、より好ましくは0.5〜12倍量、更に好ましくは1〜11倍量である、前記<46>記載のインスタント粉末飲料。
<48>
好ましくはアスコルビン酸及び又はその塩を更に含有する、前記<43>〜<47>のいずれか一に記載のインスタント粉末飲料。
<49>
アスコルビン酸及び又はその塩の含有量が、インスタント粉末飲料中の緑茶抽出組成物の質量に対して、好ましくは0.1〜15倍量、より好ましくは0.5〜12倍量、更に好ましくは1〜11倍量である、前記<48>記載のインスタント粉末飲料。
<50>
好ましくは甘味料、酸化防止剤、香料、果汁エキス、果実片、果実粉末、ハーブ、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、pH調整剤、及び品質安定剤から選択される1種又は2種以上の添加剤を更に配合したものである、前記<43>〜<49>のいずれか一に記載のインスタント粉末飲料。
【0057】
<51>
インスタント粉末飲料は形態が、好ましくはカップ1杯分毎に小分け包装したものである、前記<43>〜<50>のいずれか一に記載のインスタント粉末飲料。
<52>
インスタント粉末飲料の固形分量が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは96質量%以上である、前記<43>〜<51>のいずれか一に記載のインスタント粉末飲料。
【実施例】
【0058】
1.非重合体カテキン類、カフェイン、及び没食子酸の分析
純水で溶解希釈した試料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
【0059】
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0060】
2.糖類の測定
1)試料の調製
試料を純水で希釈した後、シリカベースの充填剤(BONDELUTE C18、バリアン社製)0.5g、強塩基性アニオン交換樹脂(SAX、バリアン社製)0.5g、強酸性カチオン交換樹脂(SCX、バリアン社製)0.5gに順次通液して試料を調製した。
2)測定装置
高速液体クロマトグラフ(D−2000、日立製作所社製)を使用した。
3)測定条件
高速クロマトグラフフに強陰イオン交換カラム(TSKgel Suger Axi、東ソー株式会社製)を装着し、カラム温度70℃でポストカラム反応法により測定した。移動相液はホウ酸0.5mol/L含有する蒸留水溶液とし、流速は0.4mL/分、試料注入量は10μLとした。また、ポストカラム反応試薬は、アルギニン1%及びホウ酸3%を含有する蒸留水溶液とし、150℃で反応させた。検出器は蛍光検出計を用い、励起波長は320nm、蛍光検出波長は430nmの条件で行った。
【0061】
3.鉄の分析
試料を0.1M硝酸水溶液で溶解希釈した後、原子吸光光度計(Z−2000、日立製作所社製)を用いてグラファイトファーネス法にて測定した。希釈した試料20μLを40秒間80−140℃で乾燥、20秒間500℃で灰化、5秒間2200℃で原子化した。そして、測定波長248.3nm、スリット0.2mmで測定した。
【0062】
4.含水率の測定
試料約1gを秤量し、105℃で3時間乾燥し、乾燥後の試料を秤量した。乾燥前後の試料の質量から、含水率(質量%)を算出した。
【0063】
5.色調変化の測定
分光光度計(形式Color Meter ZE-2000、日本電色工業社製)を使用し、粉末、またはペースト試料を30φの円形セルに入れてL
*a
*b
*表色系のL
*値及びa
*値を測定した。(なお、測定は反射測定で行った。)65℃で2日間保存した後の緑茶抽出組成物のL
*値及びa
*値と、製造直後の緑茶抽出組成物のL
*値及びa
*値との差分の絶対値(ΔL
*)及び(Δa
*)を求めた。
【0064】
6.官能評価
各容器詰飲料を、専門パネル4名が飲用し、不快な風味について下記の基準にて評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
【0065】
評価基準
不快な風味は、きしみ、えぐみ、緑茶らしくない異味に分けて5段階で評価した。ここで、本明細書において「きしみ」とは、舌が渇くような刺激味をいう。
実施例7の容器詰飲料のきしみ及びえぐみの評点を「1」とし、実施例11の容器詰飲料の緑茶らしくない異味の評点を「1」とした。一方、比較例3の容器詰飲料のきしみ、えぐみ及び緑茶らしくない異味の評点を「5」とした。具体的な評価基準は以下のとおりである。
【0066】
きしみ
5:きしみが強く感じられる
4:きしみが感じられる
3:きしみがわずかに感じられる
2:きしみがほとんど感じられない
1:きしみがない
【0067】
えぐみ
5:えぐみが強く感じられる
4:えぐみが感じられる
3:えぐみがわずかに感じられる
2:えぐみがほとんど感じられない
1:えぐみがない
【0068】
緑茶らしくない異味
5:緑茶らしくない異味が強く感じられる
4:緑茶らしくない異味が感じられる
3:緑茶らしくない異味がわずかに感じられる
2:緑茶らしくない異味がほとんど感じられない
1:緑茶らしくない異味がない
【0069】
実施例1
以下の手順により、緑茶抽出組成物を製造した。
温水処理
摘採した生茶葉を、90℃のイオン交換水に180秒浸漬し、その後金網により濾過して茶葉洗液を廃棄した。イオン交換水の使用量は、温水/生茶葉の質量比として5であった。
CTC処理
熱水浸漬した茶葉の水分を切り、CTC (Crush, Tear, Curl) 処理を行い、乾燥して乾燥茶葉を得た。
抽出
乾燥茶葉を90℃のイオン交換水で10分間、攪拌抽出し、その後金網により濾過して緑茶抽出液Aを得た。イオン交換水の使用量は、水/生茶葉の質量比として75であった。
固液分離
得られた緑茶抽出液Aを精密濾過モジュールであるペンシル型モジュール(旭化成ケミカルズ社製、細孔径0.45μm、材質:ポリフッ化ビニリデン)を装着し、ゲージ圧100kPa、温度25℃にて、加圧濾過し緑茶抽出液Bを得た。
タンナーゼ処理
得られた緑茶抽出液Bを、3質量%になるようにイオン交換水で調整し,25℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水にタンナーゼKT05(キッコーマン社製)を緑茶抽出液に対して40ppmとなる濃度で添加し、10分後に酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活させて緑茶抽出液Cを得た。
濃縮・噴霧乾燥
得られた緑茶抽出液Cをエバポレータで濃縮し、その後スプレードライヤーで粉末緑茶抽出組成物を得た。
得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った。また、粉末緑茶抽出組成物を、非重合体カテキン類濃度が0.175g/100mLとなるようにイオン交換水で希釈した後、容器に充填し138℃で30秒間殺菌して容器詰飲料を調製し、官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0070】
実施例2
実施例1において、タンナーゼ処理の酵素反応時間を15分にしたこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
実施例3
実施例1において、抽出時間を30分にし、且つ、タンナーゼ処理の酵素反応時間を15分にしたこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
実施例4
実施例1において、抽出時間を20分にし、タンナーゼ処理の酵素反応時間を10分にし、且つ、酵素添加量を緑茶抽出液に対して60ppmとなる濃度で添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0073】
実施例5
実施例1において、抽出時間を30分にし、タンナーゼ処理の酵素反応時間を20分にし、且つ、酵素添加量を緑茶抽出液に対して60ppmとなる濃度で添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
実施例6
実施例1において、抽出時間を30分にし、タンナーゼ処理の酵素反応時間を30分にし、且つ、酵素添加量を緑茶抽出液に対して60ppmとなる濃度で添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
実施例7
実施例1において、抽出時間を10分にし、タンナーゼ処理の酵素反応時間を10分にし、且つ、酵素添加量を緑茶抽出液に対して60ppmとなる濃度で添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
実施例8
実施例1において、温水への浸漬時間を120秒間に変更し、抽出時のイオン交換水の使用量を温水/生茶葉の質量比25とし、抽出時間を75℃にし、且つタンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0077】
実施例9
実施例1において、抽出温度を75℃に変更し、且つタンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
実施例10
実施例1において、タンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0079】
実施例11
実施例1において、抽出時間を30分間に変更し、タンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0080】
実施例12
実施例5において、タンナーゼ処理の酵素反応時間を35分にしたこと以外は、実施例5と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0081】
実施例13
実施例5において、タンナーゼ処理の酵素反応時間を45分にしたこと以外は、実施例5と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0082】
実施例14
実施例10と同様の操作により、濃縮液を得た後、没食子酸を加えて、表1に示す没食子酸量となるように調整したこと以外は、実施例10と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0083】
実施例15
実施例10と同様の操作により、濃縮液を得た後、没食子酸を加えて、表1に示す没食子酸量となるように調整したこと以外は、実施例10と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0084】
実施例16
実施例10において、原料茶葉として中国産緑茶を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0085】
比較例1
実施例1において、抽出温度を60℃に変更し、抽出時のイオン交換水の使用量を水/生茶葉の質量比120とし、且つタンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0086】
比較例2
国際公開第2004/037022号の実施例3において、濾液への活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)の添加量を30gから50gに、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)の添加量を30gから55gに、それぞれ変更したこと以外は、国際公開第2004/037022号の実施例3に記載に準じてカテキン組成物を得た。すなわち、緑茶抽出物を有機溶媒と水の混合溶液に溶解し、その後活性炭と酸性白土とに接触させて、有機溶媒を除去という方法でカテキン組成物を得た。
次いで、得られたカテキン類組成物を、実施例1と同様の操作で濃縮・噴霧乾燥し、粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた 粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を 調製し、官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0087】
比較例3
温水処理を行なわず、抽出時間を75℃に変更し、抽出時のイオン交換水の使用量を水/生茶葉の質量比として75としたこと以外は、比較例1と同様の操作により粉末緑茶抽出組成物を得た。次いで、得られた粉末緑茶抽出組成物について分析を行った後、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を調製し、官能試験を行った。その結果を表2に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
表1から、(A)非重合体カテキン類及び(B)糖類の各含有量、(B)糖類と、(C)鉄と、(D)カフェイン及び(E)没食子酸との各質量比、並びに含水率を特定量に制御することで、きしみやえぐみ等の不快な風味が低減され、かつ緑茶らしくない異味も低減されて風味が良好であるだけでなく、保存時において色調変化のし難い緑茶抽出組成物が得られることがわかる(実施例1〜16)。
【0091】
下記処方例1〜3に記載の各成分を混合し、緑茶抽出組成物を配合してなるインスタント粉末飲料を調製した。
【0092】
処方例1
インスタント粉末緑茶飲料
実施例1で得られた緑茶抽出組成物 30質量%
デキストリン 68質量%
アスコルビン酸ナトリウム 2質量%
【0093】
処方例2
インスタント粉末紅茶飲料
実施例1で得られた緑茶抽出組成物 30質量%
粉末紅茶抽出物 5質量%
デキストリン 63質量%
アスコルビン酸ナトリウム 2質量%
【0094】
処方例3
インスタント粉末烏龍茶飲料
実施例1で得られた緑茶抽出組成物 30質量%
粉末烏龍茶抽出物 5質量%
デキストリン 63質量%
アスコルビン酸ナトリウム 2質量%
を含み、(A)非重合体カテキン類の含有量が25〜45質量%であり、(B)糖類の含有量が4〜13質量%であり、(B)糖類と(D)カフェインとの質量比[(D)/(B)]が0.2〜0.8であり、(E)没食子酸と(C)鉄との質量比[(E)/(C)]が55〜2500であり、かつ(F)含水率が10質量%以下である、緑茶抽出組成物。