特許第5969729号(P5969729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969729
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/42 20060101AFI20160804BHJP
   B65C 9/36 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B65C9/42
   B65C9/36
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-518467(P2016-518467)
(86)(22)【出願日】2016年1月5日
(86)【国際出願番号】JP2016050133
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-57298(P2015-57298)
(32)【優先日】2015年3月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌志
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−34047(JP,A)
【文献】 特開2014−61900(JP,A)
【文献】 特開2007−230566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/42
B65C 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを発行するラベル発行部と、
前記ラベル発行部によって発行された前記ラベルを吸着保持する吸着保持部と、
前記吸着保持部を前記ラベルの吸着位置と貼付位置との間で上下方向に移動させると共に、前記上下方向と平行な回転軸周りに回転させて物品に前記ラベルを貼り付ける移動機構と、
前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備えたラベル貼付装置であって、
前記吸着保持部は、負圧の発生源に接続される本体部と、前記ラベルと接触する吸着面と、前記本体部と前記吸着面とを連通する少なくとも一つの吸引孔と、を有しており、
前記吸着面には、前記吸引孔と連通し、平面視において前記吸引孔とは異なる形状を呈する凹部が設けられており、
前記制御部は、前記ラベル発行部により発行された前記ラベルの長さに応じて、前記ラベルに対して前記凹部が第1状態となる第1吸着位置と、前記ラベルに対して前記凹部が前記第1状態とは異なる第2状態となる第2吸着位置と、の少なくとも2つの前記吸着位置で前記吸着保持部が前記ラベルを吸着するように前記移動機構を制御する、ラベル貼付装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記平面視において、前記吸引孔よりも面積が大きく且つ長手方向を有する形状を呈し、
前記制御部は、前記ラベル発行部により発行された前記ラベルの長さに応じて、前記凹部の前記長手方向が第1方向に沿う前記第1状態となる前記第1吸着位置と、前記凹部の前記長手方向が前記第1方向に直交する第2方向に沿う前記第2状態となる前記第2吸着位置と、で前記吸着保持部が前記ラベルを吸着するように前記移動機構を制御する、請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ラベルが所定長さ未満である場合には、前記ラベル発行部による前記ラベルの発行方向に対して前記凹部の前記長手方向が直交する前記第1吸着位置に前記吸着保持部を前記移動機構により位置させ、
前記ラベルが前記所定長さ以上である場合には、前記ラベルの前記発行方向と前記凹部の前記長手方向が沿う前記第2吸着位置に前記吸着保持部を前記移動機構により位置させる、請求項2に記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記ラベル発行部によって発行された前記ラベルを前記吸着保持部まで移送するラベル移送部を備え、
前記ラベル移送部は、前記ラベルが前記所定長さ以上である場合、前記ラベルの前記発行方向における略中央位置が前記吸着保持部によって吸着保持されるように、前記ラベルを移送する、請求項3に記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
前記ラベルは、台紙レスラベルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラベル貼付装置として、例えば、特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1に記載のラベル貼付装置は、台紙レスラベルロールからラベル用紙を繰り出し、切断手段により所定長さにラベル用紙を切断して、枚葉状の台紙ラベルを発行するラベル発行手段と、ラベル発行手段により発行される台紙レスラベルを吸着保持して、台紙レスラベルを貼付対象物に貼付する貼付手段と、貼付手段を移動機構により移動制御する制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−249113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のラベル貼付装置では、ラベルが長い場合、ラベルの端部が下方に垂れ下がるおそれがある。ラベルの端部が垂れ下がると、ラベルの端部が貼付対象物以外の物に接触したり、台紙レスラベルの場合には貼付位置以外の箇所にラベルが貼り付いたりする等の問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、長尺のラベルを良好に貼付できるラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るラベル貼付装置は、ラベルを発行するラベル発行部と、ラベル発行部によって発行されたラベルを吸着保持する吸着保持部と、吸着保持部をラベルの吸着位置と貼付位置との間で上下方向に移動させると共に、上下方向と平行な回転軸周りに回転させて物品にラベルを貼り付ける移動機構と、移動機構の動作を制御する制御部と、を備えたラベル貼付装置であって、吸着保持部は、負圧の発生源に接続される本体部と、ラベルと接触する吸着面と、本体部と吸着面とを連通する少なくとも一つの吸引孔と、を有しており、吸着面には、吸引孔と連通し、平面視において吸引孔とは異なる形状を呈する凹部が設けられており、制御部は、ラベル発行部により発行されたラベルの長さに応じて、ラベルに対して凹部が第1状態となる第1吸着位置と、ラベルに対して凹部が第1状態とは異なる第2状態となる第2吸着位置と、の少なくとも2つの吸着位置で吸着保持部がラベルを吸着するように移動機構を制御する。
【0007】
このラベル貼付装置では、吸着面に設けられた凹部は、平面視において吸引孔とは異なる形状を呈している。制御部は、ラベル発行部により発行されたラベルの長さに応じて、ラベルに対して凹部が第1状態となる第1吸着位置と、ラベルに対して凹部が第1状態とは異なる第2状態となる第2吸着位置と、の少なくとも2つの吸着位置で吸着保持部がラベルを吸着するように移動機構を制御する。これにより、ラベル貼付装置では、ラベルの長さに応じて、ラベルを吸着するために適切な凹部の状態でラベルを保持できる。例えば、ラベルが長い場合には、ラベルの長手方向に凹部の長手方向が沿う状態でラベルを吸着する。このとき、凹部内にラベルが入り込むように湾曲し、ラベルが発行方向に沿って凸状に折れ曲がる。そのため、ラベルの断面二次モーメントの値を大きくすることができる。したがって、ラベルの端部が垂れ下がることを抑制できる。その結果、ラベル貼付装置では、長尺のラベルを良好に貼付できる。
【0008】
一実施形態においては、凹部は、平面視において、吸引孔よりも面積が大きく且つ長手方向を有する形状を呈し、制御部は、ラベル発行部により発行されたラベルの長さに応じて、凹部の長手方向が第1方向に沿う第1状態となる第1吸着位置と、凹部の長手方向が第1方向に直交する第2方向に沿う第2状態となる第2吸着位置と、で吸着保持部がラベルを吸着するように移動機構を制御してもよい。すなわち、凹部の長手方向の延在方向が異なる2つの吸着位置において、ラベルを吸着する。これにより、ラベル貼付装置では、ラベルの長さに応じて、ラベルを吸着するために適切な凹部の向きでラベルを保持できる。例えば、ラベルが長い場合には、ラベルの長手方向に凹部の長手方向が沿うようにラベルを吸着する。このとき、凹部内にラベルが入り込むように湾曲し、ラベルが発行方向に沿って凸状に折れ曲がる。そのため、ラベルの断面二次モーメントの値を大きくすることができる。したがって、ラベルの端部が垂れ下がることを抑制できる。その結果、ラベル貼付装置では、長尺のラベルを良好に貼付できる。
【0009】
一実施形態においては、制御部は、ラベルが所定長さ未満である場合には、ラベル発行部によるラベルの発行方向に対して凹部の長手方向が直交する第1吸着位置に吸着保持部を移動機構により位置させ、ラベルが所定長さ以上である場合には、ラベルの発行方向と凹部の長手方向が沿う第2吸着位置に吸着保持部を移動機構により位置させてもよい。このように、ラベルが所定長さ以上である場合に、ラベルの発行方向と凹部の長手方向が沿うようにラベルを吸着保持することで、ラベルが発行方向に沿って凸状に折れ曲がる。したがって、ラベルの断面二次モーメントの値を大きくすることができ、ラベルの垂れ下がりを抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、ラベル発行部によって発行されたラベルを吸着保持部まで移送するラベル移送部を備え、ラベル移送部は、ラベルの発行方向における略中央位置が吸着保持部によって吸着保持されるように、ラベルを移送させてもよい。このように、吸着保持部の回転軸とラベルの中心位置とが一致するようにラベルを移送することにより、ラベルの略中央位置が保持されるため、ラベルを安定的に保持できる。したがって、ラベルの端部が垂れ下がることを、より一層抑制できる。
【0011】
一実施形態においては、ラベルは、台紙レスラベルであってもよい。台紙レスラベルは、台紙が設けられていないため、ラベル発行部から発行されたときに、ラベルが接着性(粘着性)を有している。そのため、台紙レスラベルの場合、ラベルが垂れ下がると、吸着保持部に保持されたラベルが貼付位置以外の場所に貼り付く場合がある。ラベル貼付装置では、ラベルの断面二次モーメントの値を大きくすることにより、ラベルの端部が垂れ下がることを抑制できる。そのため、ラベルが貼付位置以外の物(場所)に貼り付くことを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺のラベルを良好に貼付できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るラベル貼付装置を示す正面図である。
図2図2は、ラベル発行機の内部構成を示す図である。
図3図3は、ラベル貼付機の内部構成を示す図である。
図4図4は、ラベル移送部を示す斜視図である。
図5図5は、ラベル移送部を下から見た図である。
図6図6は、吸着保持部を示す斜視図である。
図7図7(a)は、吸着保持部の一部を断面で示す図であり、図7(b)は、吸着保持部を下から見た図である。
図8図8は、吸着保持部にラベルが吸着されている状態を示す断面図である。
図9図9は、ラベル貼付装置の構成を示すブロック図である。
図10図10(a)は、第1吸着位置を示す図であり、図10(b)は、第1吸着位置で保持されたラベルを示す図である。
図11図11(a)は、第2吸着位置を示す図であり、図11(b)は、第2吸着位置で保持されたラベルを示す図である。
図12図12(a)〜図12(d)は、ラベル貼付機の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[ラベル貼付装置の全体構成]
図1は、一実施形態に係るラベル貼付装置の正面図である。図1に示されるように、ラベル貼付装置1は、商品(物品)Gを搬送するコンベア2と、コンベア2で搬送される商品Gの上面にラベルL(図3参照)を貼り付ける上貼り機構3と、コンベア2で搬送される商品Gの下面にラベルを貼り付ける下貼り機構4と、入力操作及び表示を行うための操作表示部5と、各部を支持するラック6と、制御部10と、を備えている。
【0016】
[コンベア]
コンベア2は、ラベル貼付装置1の正面側から見て、左から右に向かう搬送方向Dに沿って商品Gを移動させるように設けられている。コンベア2は、上流側コンベア2aと、下流側コンベア2bと、を有している。下流側コンベア2bは、搬送方向Dにおいて、上流側コンベア2aの下流側に上流側コンベア2aと間隔をあけて配置されている。コンベア2の下方に配設された下貼り機構4は、上流側コンベア2aと下流側コンベア2bとの間隙を通して、商品Gの下面に下側からラベルを貼り付ける。上流側コンベア2a及び下流側コンベア2bは、例えば無端ベルトで構成されており、コンベア用モータ2c(図9参照)により駆動される。
【0017】
上流側コンベア2aの近傍には、商品通過センサ7が配設されている。商品通過センサ7は、上貼り機構3及び下貼り機構4によるラベル貼付位置よりも搬送方向Dの上流側に配置されている。商品通過センサ7は、上流側コンベア2a上の所定位置を商品Gが通過したか否かを検出する。商品通過センサ7は、例えば、発光部と受光部とを有する光学式のセンサである。
【0018】
[上貼り機構]
上貼り機構3は、商品Gの上面に貼り付けられるラベルLを発行する上貼り用のラベル発行機(ラベル発行部)8と、ラベル発行機8で発行されたラベルLを商品Gの上面に貼り付けるラベル貼付機9と、を備えている。
【0019】
ラベル発行機8及びラベル貼付機9は、コンベア2の上方に配設されている。ラベル貼付機9は、ラベル発行機8の下流側に、ラベル発行機8に隣接して配設されている。ラベル貼付機9の下流側には、商品Gの上面に貼り付けられたラベルLを上側から押さえ付けるための別のラベル貼付機、又は、商品Gの上面に貼り付けられたラベルLに上方からエアを吹き付けるエア吹付装置を配設してもよい。
【0020】
ラベル発行機8は、ラック6によって下側から支持されている。ラベル発行機8とラベル貼付機9とは、ユニット化されている。ラベル貼付機9は、ラベル発行機8を介してラック6に支持されている。ラック6には、搬送方向Dに直交するラベル貼付装置1の奥行き方向に延びるレール部11が設けられている。ラベル発行機8は、レール部11に沿ってスライド可能に設けられている。ラベル発行機8及びラベル貼付機9は、ラベル発行機8をレール部11に沿ってスライドさせることで、一体的に奥行き方向に移動する。これにより、ラベル発行機8及びラベル貼付機9の奥行き方向における位置調整を行うことができる。
【0021】
(ラベル発行機)
ラベル発行機8の構成について、図2を参照して詳細に説明する。ラベル発行機8には、いわゆる台紙レスのラベルロールLRが用いられる。ラベルロールLRは、糊面(接着面)と、当該の糊面とは反対側の非糊面とを有する帯状のラベル連続体LCを、糊面が内側を向くようにロール状に巻くことで形成されている。ラベル連続体LCの非糊面は、熱の印加により発色する印字面である。
【0022】
ラベル発行機8は、ラベルロールLRの巻回中心部を支持する支持軸20と、ラベルロールLRの外周部から延びるラベル連続体LCの延長部分をガイドする複数のガイドローラ21a,21b,21cと、ラベル連続体LCの印字面に印字する印字部22と、印字部22と共にラベル連続体LCを挟み込む印字ローラ23と、印字ローラ23と協働してラベル連続体LCをラベル発行口Wに向けて送り込むアシストローラ24と、ラベル連続体LCを切断する切断部25と、ラベル発行機8の各種構成要素を収容するハウジング26と、を備えている。以下の説明においては、ラベル連続体LCがラベルロールLRからラベル発行口Wに向けて送り込まれる方向を「ラベル供給方向」(図中Fで示す)という。ラベル発行口WからラベルLが発行される方向を「ラベル発行方向」(図中Sで示す)という。
【0023】
支持軸20は、その一端がハウジング26に固定されており、他端が自由端とされている。ラベルロールLRは、巻回中心部が支持軸20に差し込まれることで、ラベル発行機8にセットされている。
【0024】
印字部22は、印字データに応じて加熱される複数の微小な発熱体を備えたサーマルヘッドである。印字部22は、加熱された発熱体をラベル連続体LCの印字面に接触させることで、ラベル連続体LCに対して感熱印字方式の印字を行う。
【0025】
印字ローラ23は、その表面がゴム系の素材で構成されている。印字ローラ23は、印字ローラ用モータ27によって回転駆動される駆動ローラである。印字ローラ用モータ27は、例えば、ステッピングモータである。印字ローラ23は、印字部22の下方に配置されており、印字部22との協働でラベル連続体LCを挟み込む。印字ローラ23は、ラベル連続体LCの印字面を印字部22に押し付けながら、印字ローラ23の回転駆動によりラベル連続体LCをラベル供給方向Fに移動させる。印字ローラ23により、ラベル連続体LCは、印字面が上面となる姿勢でラベル発行口Wへ送り出される。
【0026】
印字ローラ23は、正逆両方向に回転可能に設けられている。ここでいう「正方向」とは、ラベル連続体LCをラベル供給方向Fに送り込む回転方向であり、「逆方向」とは、ラベル連続体LCをラベル供給方向とは反対方向に引き込む回転方向である。
【0027】
アシストローラ24は、その表面がゴム系の素材で構成されている。アシストローラ24は、アシストローラ用モータ28によって回転駆動される駆動ローラである。アシストローラ用モータ28は、例えば、ステッピングモータである。アシストローラ24は、ラベル供給方向Fにおいて、印字ローラ23の上流側に配設されている。アシストローラ24は、従動ローラ24aとの協働でラベル連続体LCを挟み込む。アシストローラ24は、正逆両方向に回転可能に設けられている。
【0028】
ラベル発行機8では、印字ローラ23とアシストローラ24とが正方向に回転駆動されることにより、ラベル連続体LCがラベル供給方向Fにフィードさる。ラベル発行機8では、印字ローラ23とアシストローラ24とが逆方向に回転駆動されることにより、ラベル連続体LCがラベル供給方向Fと反対方向にバックフィードされる。
【0029】
ラベル連続体LCは、アシストローラ24と印字ローラ23との間において、ガイドローラ21cによって下方に迂回するように案内されている。アシストローラ24と印字ローラ23との間には、ラベルセンサ29が配置されている。ラベルセンサ29は、アシストローラ24と印字ローラ23との間におけるラベル連続体LCの有無を検知するセンサである。ラベルセンサ29は、例えば、発光部と受光部とを有する光学式のセンサである。
【0030】
切断部25は、可動カッタ25aと、固定カッタ25bと、を備えている。可動カッタ25aは、下方に刃を向けて配設されている。可動カッタ25aは、カッタ用モータ25cによって上下方向にスライドするように駆動される。固定カッタ25bは、上方に刃を向けた姿勢でハウジング26に固定されている。
【0031】
切断部25では、可動カッタ25aの刃は、非動作時(待機状態)において、固定カッタ25bの刃よりも上側に配置される。切断部25によってラベル連続体LCが切断されるとき、ラベル連続体LCは、先端部がラベル発行口Wを通してハウジング26の外側に送り出され、且つ、被切断位置が固定カッタ25bの刃と可動カッタ25aの刃とに位置合わせされる。このようにラベル連続体LCが位置合わせされた状態で、可動カッタ25aが下方へスライド駆動されると、ラベル連続体LCは、固定カッタ25bの刃と可動カッタ25aの刃とによって上下から挟み込まれて切断される。このようにして切断部25によってラベル連続体LCが切断されることで、ラベル連続体LCから切り取られたラベルLがラベル発行口Wから発行される。
【0032】
(ラベル貼付機)
続いて、ラベル貼付機9の構成について説明する。
【0033】
図3に示されるように、ラベル貼付機9は、ラベル発行機8で発行されたラベルLを商品Gの上面に貼り付けるラベル貼付機構30と、ラベル貼付機構30を収容するハウジング31と、を有する。
【0034】
ラベル貼付機構30は、ラベル発行機8によって発行されたラベルLを保持して移送するラベル移送部32と、ラベル移送部32により移送されるラベルLを吸着保持する吸着保持部33と、吸着保持部33をラベルLの吸着位置と貼付位置との間で所定方向に往復移動させると共に、所定方向と平行な回転軸周りに回転させて商品GにラベルLを貼り付ける移動機構34と、を備えている。
【0035】
<ラベル移送部>
最初に、ラベル移送部32について、図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5に示されるように、ラベル移送部32は、吸着ブロック35と、移送ブロック36と、を備えている。吸着ブロック35は、ラベル発行機8から発行されたラベルLを吸着して保持する。移送ブロック36は、ラベル発行口Wから発行されたラベルLを吸着し、ラベル発行口Wから離れる(遠ざかる)方向にラベルLを移送(搬送)する。
【0036】
吸着ブロック35は、ハウジング31の下部に配置されている。吸着ブロック35は、板状を呈している。吸着ブロック35には、後述する吸着保持部33を挿通させる挿通部37が設けられている。また、吸着ブロック35には、後述する吸引部43が通過する通過部38が設けられている。通過部38は、ラベル発行方向Sに沿って設けられている。
【0037】
吸着ブロック35の下面35aは、平面である。吸着ブロック35の下面35aには、吸引孔39及び吸引孔40が複数設けられている。吸引孔39は、接続部41と連通しており、接続部41を介して第1吸引負圧源100(図9参照)に接続されている。第1吸引負圧源100の動作は、制御部10により制御される。吸引孔40は、接続部42と連通しており、接続部42を介して第2吸引負圧源102(図9参照)に接続される。第2吸引負圧源102の動作は、制御部10により制御される。吸着ブロック35では、第1吸引負圧源100及び第2吸引負圧源102の動作により吸引孔39及び吸引孔40でラベルLを吸着し、下面35aにラベルLを貼り付けてラベルLを保持する。
【0038】
移送ブロック36は、ラベルLを移送する。移送ブロック36は、ラベルLを吸引する吸引部43と、吸引部43を移動させる移動部44と、を有している。吸引部43は、吸着ブロック35の通過部38に沿って移動可能に設けられている。吸引部43の下端面43aは、吸着ブロック35の下面35aと略面一となっている。吸引部43の下端面43aには、吸引孔45が設けられている。吸引孔45は、接続部46と連通しており、接続部46を介して第3吸引負圧源104(図9参照)に接続されている。第3吸引負圧源104の動作は、制御部10により制御される。吸引部43では、第2吸引負圧源102の動作により吸引孔45でラベルLを吸着し、下端面43aにラベルLを貼り付けてラベルLを保持する。
【0039】
移動部44は、リニアシャフト47と、第1連結部48と、第2連結部49と、移送ブロック用モータ50と、を有している。リニアシャフト47は、例えば棒状を呈しており、2本設けられている。リニアシャフト47は、その長手方向が吸引部43の移動方向(通過部38の延在方向)に沿うように、所定の間隔をあけて互いに平行に配置されている。リニアシャフト47は、吸着ブロック35にブラケット(図示しない)を介して固定されている。リニアシャフト47は、吸引部43に挿通されている。吸引部43は、リニアシャフト47に沿って(ラベル発行方向Sに沿って)スライドする。第1連結部48は、その一端が吸引部43に回転可能に接続されており、第2連結部49は、その一端が移送ブロック用モータ50の軸に固定されている。第1連結部48の他端と第2連結部49他端とは、互いに回転可能に連結されている。移動部44は、移送ブロック用モータ50の回転に応じて第1連結部48及び第2連結部49が可動することにより、吸引部43をリニアシャフト47に沿ってラベルLのラベル発行方向Sに沿って移動させる。移送ブロック用モータ50の動作は、制御部10により制御される。
【0040】
<吸着保持部>
続いて、吸着保持部33について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7に示されるように、吸着保持部33は、本体部52と、吸着部53と、連結部54と、を有している。本体部52は、円筒形状を呈しており、その上端部に後述の貼付アーム60の下端部が接続されている。吸着部53は、円錐台形状を呈している。吸着部53は、下端にラベルLを吸着する略水平面状の吸着面55を有している。吸着部53は、吸着ブロック35の下面35aに保持されているラベルLを、下面35aから押し下げて受け取る。連結部54は、本体部52と吸着部53とを連結する。連結部54は、蛇腹状に形成されており、吸着部53を傾動可能に支持している。
【0041】
吸着保持部33には、その回転軸Cに沿って、本体部52、連結部54及び吸着部53に連通する吸引孔56(貫通孔)が形成されている。吸引孔56は、本体部52に接続された貼付アーム60を介して貼付アーム用負圧源106(図9参照)に接続されている。
【0042】
吸着部53の吸着面55には、凹部57が設けられている。凹部57は、図7(b)に示されるように、平面視において、長方形状を呈している。すなわち、凹部57は、長手方向を有している。凹部57は、吸着保持部33の回転軸Cから偏心した位置で、吸引孔56を含む位置に配置されている。凹部57は、吸引孔56と連通しており、平面視において吸引孔56よりも面積が大きい。凹部57は、ラベルLを吸着した際、凹部57とラベルLによって囲まれた空間が吸引孔56から排気されることによって、負圧になる。これにより、図8に示されるように、凹部57に対向するラベルLの部分は、凹部57の内側に引き込まれる。
【0043】
吸着保持部33は、ラベルLに対して摩擦係数が大きい、例えば、エチレン・プロピレン・ジエン系ゴム(以下、EPDMという)等の弾性部材で構成されている。弾性部材は、JIS K 6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されたゴム硬さが50〜70の範囲にあることが好ましい。
【0044】
吸着面55の外周縁部55aは、例えば、動摩擦係数(対紙)が0.04のポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)等、すべり性の良い樹脂で構成されている。外周縁部55aは、例えば、平坦状の樹脂製リングを吸着部53に一体成形することで略水平状態に形成される。外周縁部55aは、EPDMにすべり性を良くするための、例えばフッ素コーティング等の表面処理を施して形成してもよい。
【0045】
<移動機構>
図2に示されるように、移動機構34は、吸着ブロック35の下面35aに吸着保持されたラベルLの上側から下降することで、吸着ブロック35の下方に位置する商品Gの上面にラベルLを押し付ける貼付アーム60と、貼付アーム60に上向きの付勢力を作用させるコイルスプリング61を介して貼付アーム60に連結されることで貼付アーム60を保持するアーム保持体62と、を有する。また、ラベル貼付機構30は、アーム保持体62を貼付アーム60と共に上下方向に移動させる上下動用モータ63と、貼付アーム60を軸周りに回転させる回転用モータ64と、を有する。
【0046】
貼付アーム60は、中空の棒材である。貼付アーム60は、例えば、ステンレスにより形成されている。貼付アーム60は、アーム保持体62を貫通して、上下方向に延びるように配設されている。貼付アーム60の中空部は、貼付アーム60の上端部に取り付けられた接続部65を介して貼付アーム用負圧源106(図9参照)に連通している。
【0047】
貼付アーム60には、その中間部に下側ストッパ66が設けられている。下側ストッパ66は、アーム保持体62に対する貼付アーム60の相対的な上方移動を規制する規制部として機能するように、アーム保持体62よりも下側に配設されている。
【0048】
貼付アーム60には、その上端部に上側ストッパ67が設けられている。コイルスプリング61の上端部は、上側ストッパ67に固定されている。コイルスプリング61の下端部は、アーム保持体62に固定されている。上側ストッパ67とアーム保持体62との間にコイルスプリング61が圧縮された状態で介装されることで、コイルスプリング61による上向きの付勢力が貼付アーム60に作用する。
【0049】
上下動用モータ63の出力軸は、水平方向に沿って配置されている。上下動用モータ63の出力軸には、駆動側プーリ68が固定されている。駆動側プーリ68は、無端状のベルト69を介して、駆動側プーリ68の下方に配設された従動側プーリ70に連結されている。ベルト69にはアーム保持体62が固定されている。これにより、上下動用モータ63の駆動によって、ベルト69の移動と一緒にアーム保持体62が上下方向に移動する。
【0050】
回転用モータ64の出力軸は、上下方向に沿って配置されている。回転用モータ64の出力軸には、駆動側プーリ71が固定されている。駆動側プーリ71は、無端状のベルト72を介して従動側プーリ73に連結されている。従動側プーリ73には、貼付アーム60が上下方向にスライド可能に挿通されている。貼付アーム60の外周面と従動側プーリ73の貫通穴の内周面との間には、例えば、ボールベアリングが介装されている。貼付アーム60は、回転用モータ64の駆動によって従動側プーリ73が回転したときに、これに連動して回転軸C(図6参照)周りに回転するようになっている。
【0051】
[下貼り機構]
図1に示されるように、下貼り機構4は、商品Gの下面に貼り付けられるラベルを発行する下貼り用のラベル発行機12と、ラベル発行機12から発行されたラベルを商品Gの下面へ搬送するラベル搬送装置13と、商品Gの下面に貼り付けられたラベルに下方からエアを吹き付けるエア吹付装置14と、を備えている。ラベル発行機12は、上貼り機構3のラベル発行機8と同様の構成を有している。
【0052】
ラック6には、搬送方向Dに直交するラベル貼付装置1の奥行き方向に延びるレール部15が設けられている。ラベル発行機8は、レール部15に沿ってスライド可能に設けられている。ラベル搬送装置13は、ラベルを搬送して商品Gの下面にラベルを貼り付ける。ラベル搬送装置13は、例えば、ラベル搬送モータにより無端ベルトを回転駆動させて、無端ベルトに支持されたラベルを上方へ搬送する。
【0053】
[操作表示部]
操作表示部5は、表示パネル16と、ストロークキー部17と、を有する。表示パネル16がタッチパネルである場合、操作表示部5において、必ずしもストロークキー部17を設ける必要はない。
【0054】
[制御部]
続いて、制御部10について詳細に説明する。制御部10は、ラベル貼付装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、及びRAM[Random Access Memory]等を含んで構成されている。図9に示されるように、制御部10は、ラベル貼付装置1の動作に必要な各種情報を記憶する記憶部110を有している。本実施形態では、制御部10は、例えばラック6(図1参照)に取り付けられるが、制御部10の取付け位置は限定されない。
【0055】
記憶部110には、例えば、操作表示部5に表示される画面に関する情報、商品マスター、トレーマスター、ラベルマスター及びカセットマスターを含む種々の情報が記憶される。記憶部110に記憶される各種情報の変更、追加又は削除は、操作表示部5での入力操作により行うことができる。
【0056】
制御部10には、操作表示部5からの信号と、ラベル発行機8のラベルセンサ29からの信号と、商品通過センサ7からの信号と、が入力される。制御部10には、その他の種々の機器からの信号が入力される。
【0057】
制御部10は、記憶部110に記憶された情報、及び/又は、各種入力信号に基づいて、コンベア2(具体的には、コンベア用モータ2c)、ラベル発行機8(具体的には、印字ローラ用モータ27、アシストローラ用モータ28、印字部22及びカッタ用モータ25c)、ラベル貼付機9(具体的には、移送ブロック用モータ50、上下動用モータ63、回転用モータ64、貼付アーム用負圧源106、第1吸引負圧源100、第2吸引負圧源102、第3吸引負圧源103)、及び、操作表示部5に制御信号を出力する。
【0058】
具体的には、制御部10は、移送ブロック用モータ50を制御することによりラベル移送部32の動作を制御し、上下動用モータ63、回転用モータ64及び貼付アーム用負圧源106を制御することにより貼付アーム60(吸着保持部33)の動作を制御する。
【0059】
制御部10は、第1吸引負圧源100を制御することにより吸着ブロック35の接続部41(図4参照)に供給される負圧を制御し、第2吸引負圧源102を制御することにより吸着ブロック35の接続部42(図4参照)に供給される負圧を制御し、第3吸引負圧源104を制御することによりラベル移送部32の接続部46(図4参照)に供給される負圧を制御する。第1〜第3吸引負圧源100,102,104として真空エジェクタを用いる場合、第1〜第3吸引負圧源100,102,104の制御は、真空エジェクタの駆動及び停止を制御することで行ってもよいし、真空エジェクタと接続部41,42,46とを接続する負圧供給経路に設けられたバルブを制御することで行ってもよい。
【0060】
本実施形態では、制御部10は、ラベル発行機8により発行されたラベルLの長さに応じて、移動機構34を制御する。具体的には、制御部10は、吸着保持部33によるラベルLの吸着位置がラベルLの長さに応じて変更されるように、移動機構34を制御する。制御部10は、図10(a)に示されるように、吸着保持部33の凹部57の長手方向がX方向(第1方向)に沿う第1吸着位置P1と、図11(a)に示されるように、凹部57の長手方向が第X方向に直交する第Y方向(第2方向)に沿う第2吸着位置P2と、の2つの吸着位置で吸着保持部33がラベルLを吸着するように移動機構34を制御する。図10(a)及び図11(a)に示すX方向は、ラベル発行方向Sに直交する方向であり、Y方向は、ラベル発行方向Sに沿う方向である。
【0061】
制御部10は、記憶部110に記憶されている情報(例えば、ラベルマスタ)に基づいて、発行されるラベルLの長さを取得する。制御部10は、取得したラベルLの長さに応じて、移動機構34を制御する。制御部10は、図10(a)に示されるように、ラベルLの長さNが所定長さ(例えば、60mm)未満である場合には、ラベル発行口Wから発行されるラベルLのラベル発行方向S(図中Y方向)に対して吸着保持部33の凹部57の長手方向が直交する第1吸着位置P1となるように(凹部57の長手方向がX方向に沿うように)、回転用モータ64を制御する。これにより、吸着保持部33は、図10(b)に示されるように、ラベルLを吸着保持する。
【0062】
制御部10は、図11(a)に示されるように、ラベルLの長さNが所定長さ以上である場合には、ラベルLのラベル発行方向Sと吸着保持部33の凹部57の長手方向が沿う第2吸着位置P2となるように(凹部57の長手方向がX方向に沿うように)、回転用モータ64を制御する。これにより、吸着保持部33は、図11(b)に示されるように、ラベルLがラベル発行方向Sに沿って凸状に折れ曲がった状態でラベルLを保持する。制御部10は、通常、吸着保持部33の凹部57が第1吸着位置P1でラベルLを吸着するように設定されている。
【0063】
制御部10は、ラベルLが所定長さ以上である場合、ラベルLのラベル発行方向Sにおける略中央位置が吸着保持部33によって吸着保持されるように、ラベル移送部32の動作を制御してラベルLを移送する。具体的には、制御部10は、ラベルLの長さが所定長さ以上である場合には、移送ブロック用モータ50及び第1〜第3吸引負圧源100,102,104を制御して、ラベル発行口Wから発行されたラベルLの吸着位置等を制御し、ラベルLのラベル発行方向Sにおける略中央位置を、吸着保持部33の回転軸C上に位置させる。
【0064】
続いて、図12を参照しながら、上記構成を有するラベル貼付機構30の動作の一例について説明する。
【0065】
図12(a)に示されるように、ラベル発行機8で発行されたラベルLは、ラベル移送部32の移送ブロック36により移送され、吸着ブロック35の下面35aに吸着保持される。このとき、制御部10は、ラベルLの長さが所定長さ以上である場合には、ラベルLのラベル発行方向Sにおける略中央位置が吸着保持部33によって吸着保持されるように、ラベル移送部32を制御する。また、制御部10は、ラベルLの長さが所定長さ以上である場合には、吸着保持部33の凹部57が第2吸着位置P2(図11(a)参照)となるように、移動機構34を制御する。制御部10は、ラベルLの長さが所定長さ未満である場合には、吸着保持部33の凹部57が第1吸着位置P1(図10(a)参照)となりように、移動機構34を制御する。
【0066】
次に、図12(b)に示されるように、吸着ブロック35の下面35aにおけるラベルLの吸着が解除されると、上下動用モータ63によってアーム保持体62が高速で下降するように駆動される。アーム保持体62が下降されると、下側ストッパ66がアーム保持体62によって下方へ押し込まれることによって、貼付アーム60がアーム保持体62と共に下降する。これにより、貼付アーム60に連結された吸着保持部33は、吸着ブロック35の下面35aよりも下方へ突出し、ラベルLを吸着ブロック35から引き離して押し下げる。
【0067】
このとき、吸着保持部33の下面には負圧が供給されており、ラベルLは、吸着保持部33の吸着面55に吸着保持された状態で押し下げられる。ラベルLが吸着ブロック35から引き離されると、回転用モータ64によって貼付アーム60が回転軸C周りに所定角度回転するように駆動される。これにより、吸着保持部33の下面に保持されたラベルLは、所定の向きになるまで貼付アーム60と共に回転しながら下降する。なお、ラベルLが所定長さ以上である場合において、ラベルLを例えば時計回りに180°回転させて貼付するときには、制御部10は、吸着保持部33を反時計回りに90°回転させた状態でラベルLを吸着する。
【0068】
続いて、図12(c)に示されるように、アーム保持体62が所定高さまで下降すると、上下動用モータ63の駆動が停止されてアーム保持体62の下降が停止される。このとき、貼付アーム60には下向きの慣性力が作用し、貼付アーム60は、慣性による下降を開始する。その後、貼付アーム60は、コイルスプリング61をさらに圧縮させながら、慣性による下降を継続する。
【0069】
そして、図12(d)に示されるように、慣性による貼付アーム60の下降中に、吸着保持部33に保持されたラベルLが商品Gの上面に押し当てられる。また、ラベルLが商品Gの上面に押し当てられる直前の所定タイミングで、吸着保持部33の下面への負圧供給が停止される。これにより、商品Gに大きな衝撃力を与えることなく、商品Gの上面にラベルLを貼り付けることができる。
【0070】
その後、貼付アーム60は、コイルスプリング61による上向きの付勢力によって引き上げられる。また、吸着保持部33が商品Gの上面から離間すると、上下動用モータ63及び回転用モータ64が貼付アーム60の下降時とは反対方向に回転するように作動して、図12(a)に示す待機状態と同じ高さ及び同じ角度になるまで、貼付アーム60が回転しながら引き上げられる。
【0071】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係るラベル貼付装置1では、吸着保持部33の吸着面55に設けられた凹部57は、平面視において長手方向を有する長方形状を呈している。制御部10は、ラベルLの長さに応じて、凹部57の長手方向がX方向に沿う第1吸着位置P1(図10(a)参照)と、長手方向がY方向に沿う第2吸着位置P2(図11(a)参照)との2つの吸着位置で吸着保持部33がラベルLを吸着するように移動機構34を制御する。すなわち、凹部57の長手方向の延在方向が異なる2つの吸着位置において、ラベルLを吸着する。これにより、ラベル貼付装置1では、ラベルLの長さに応じて、ラベルLを吸着するために適切な凹部57の向きでラベルLを保持できる。例えば、ラベルLが長い場合には、ラベルLの長手方向に凹部57の長手方向が沿うようにラベルLを吸着する。このとき、凹部57内にラベルLが入り込むように湾曲し、ラベルLがラベル発行方向Sに沿って凸状に折れ曲がる。そのため、ラベルLの断面二次モーメントの値を大きくすることができる。したがって、ラベルLの端部が垂れ下がることを抑制できる。その結果、ラベル貼付装置1では、長尺のラベルを良好に貼付できる。
【0072】
本実施形態では、制御部10は、ラベルLが所定長さ未満である場合には、ラベル発行機8によるラベルLのラベル発行方向Sに対して凹部57の長手方向が直交する第1吸着位置P1に吸着保持部33を移動機構34により位置させ、ラベルLが所定長さ以上である場合には、ラベルLのラベル発行方向Sと凹部57の長手方向が沿う第2吸着位置P2に吸着保持部33を移動機構34により位置させる。このように、ラベルLが所定長さ以上である場合に、ラベルLのラベル発行方向Sと凹部57の長手方向が沿うようにラベルLを吸着保持することで、ラベルLが発行方向に沿って凸状に折れ曲がる。したがって、ラベルLの断面二次モーメントの値を大きくすることができ、ラベルLの垂れ下がりを抑制できる。
【0073】
本実施形態では、ラベル発行機8によって発行されたラベルLを吸着保持部33まで移送するラベル移送部32を備えている。ラベル移送部32は、ラベルLの発行方向における略中央位置が吸着保持部33によって吸着保持されるように、ラベルLを移送させる。このように、吸着保持部33の回転軸CとラベルLの中心位置とが一致するようにラベルを移送することにより、ラベルLの略中央位置が保持されるため、ラベルLを安定的に保持できる。したがって、ラベルLの端部が垂れ下がることを、より一層抑制できる。
【0074】
本実施形態では、ラベルLは、台紙レスラベルである。台紙レスラベルは、台紙が設けられていないため、ラベル発行機8から発行されたときに、ラベルLが接着性(粘着性)を有している。そのため、台紙レスラベルの場合、ラベルLが垂れ下がると、吸着保持部33に保持されたラベルが貼付位置以外の場所に貼り付く場合がある。ラベル貼付装置1では、ラベルLの断面二次モーメントの値を大きくすることにより、ラベルLの端部が垂れ下がることを抑制できる。そのため、ラベルLが貼付位置以外の物(場所)に貼り付くことを抑制できる。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、第1吸着位置P1と第2吸着位置P2との2つの吸着位置でラベルLを吸着する形態を一例に説明したが、更に他の吸着位置でラベルLを吸着してもよい。
【0076】
上記実施形態では、下貼り機構4を備える形態を一例に説明したが、下貼り機構4は備えていなくてもよい。
【0077】
上記実施形態では、アーム保持体62を上下方向に移動させる駆動機構として、上下動用モータ63等を含む構成を一例に説明したが、駆動機構は、例えば、エアシリンダ等であってもよい。この場合、エアシリンダを上下方向に伸縮させることで、エアシリンダのロッド又はシリンダに固定されたアーム保持体62を上下方向に移動させることができる。
【0078】
上記実施形態では、台紙レスのラベルロールLRを用いる形態を一例に説明したが、台紙を有するラベルロールを用いることもできる。
【0079】
上記実施形態では、凹部57が、平面視において、長方形状を呈している(長手方向を有している)形態を一例に説明したが、凹部の形状はこれに限定されない。凹部57は、例えば、楕円形状等を呈してもよい。また、凹部は、平面視において吸引孔56と異なる形状であればよい。この場合、制御部10は、ラベル発行機8により発行されたラベルLの長さに応じて、ラベルLに対して凹部が第1状態となる第1吸着位置と、ラベルLに対して凹部が第1状態とは異なる第2状態となる第2吸着位置と、の少なくとも2つの吸着位置で吸着保持部33がラベルLを吸着するように移動機構34を制御すればよい。
【0080】
上記実施形態では、吸引孔56が1つ設けられている形態を一例に説明したが、吸引孔は複数設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…ラベル貼付装置、8…ラベル発行機(ラベル発行部)、10…制御部、32…ラベル移送部、33…吸着保持部、34…移動機構、52…本体部、55…吸着面、56…吸引孔、57…凹部、P1…第1吸着位置、P2…第2吸着位置、L…ラベル。
【要約】
長尺のラベルを良好に貼付できるラベル貼付装置を提供する。ラベル貼付装置(1)では、吸着保持部(33)は、負圧の発生源に接続される本体部(52)と、ラベル(L)と接触する吸着面(55)と、本体部(52)と吸着面(55)とを連通する吸引孔(56)と、を有しており、吸着面(55)には、吸引孔(56)と連通し、平面視において吸引孔(56)とは異なる形状を呈する凹部(57)が設けられており、制御部(10)は、ラベル発行部(8)により発行されたラベル(L)の長さに応じて、ラベル(L)に対して凹部(57)が第1状態となる第1吸着位置(P1)と、ラベル(L)に対して凹部(57)が第1状態とは異なる第2状態となる第2吸着位置(P2)と、の少なくとも2つの吸着位置で吸着保持部(33)がラベル(L)を吸着するように移動機構(34)を制御する。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12