(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、複写機・プリンタ・ファクシミリ等の電子写真装置においては、例えば、記録媒体への転写後の感光体上に残存した残存トナーをクリーニングするためのロール状のクリーニングブラシが設けられている。このロール状のクリーニングブラシは、ロール状の基体に繊維からなるブラシ毛を植毛してなっている。
【0003】
ところで、この種のロール状のクリーニングブラシにおいては、近年、クリーニング性能を高めるために、繊維からなるブラシ毛に無機物粒子を固着することが行われるようになってきている。
例えば、特許文献1に開示されたクリーニングブラシは、多数のブラシ繊維を高密度に放射状に設けると共に、そのブラシ繊維先端部にトナー外添剤の少なくとも1種類と同一の材料である無機酸化物微粒子として酸化チタンが吸着されて構成されている。これにより、トナー外添剤の回収効率を向上させることができ、画質の信頼性を向上することができるクリーニングブラシを提供するものとなっている。
【0004】
一方、エアーフィルター等のフィルターの分野では、フィルター濾材として繊維からなるブラシに光触媒機能を付与させたものが提案されている。
例えば、
図15(a)、15(b)に示すように、特許文献2に開示された光触媒機能を持った汎用フィルター100は、筒状体101の内部に酸化チタンを塗布したブラシ体102を充填してなっており、前記ブラシ体102は、芯材であるシャフト102aにブラシ毛102bを起毛したものからなっている。そして、この汎用フィルター100の筒状体101の内部に気体や液体を通すことにより、ブラシ毛102bに塗布された有害物質除去用機能物質である酸化チタンの光触媒機能によって窒素酸化物(NO
X
)を分解したり、又は大腸菌等を滅菌したりできるものとなっている。尚、特許文献2では、確認実験として、アルミニウム(Al)板に酸化チタンをコートしている旨の開示があるが、ブラシに酸化チタンを固着する方法については開示がない。
【0005】
ところで、上述した繊維ブラシの表面に固体粒子を担持する方法としては、例えば、繊維の中に固体粒子を混合して紡糸する手段や繊維表面に固体粒子を固着する手段が知られている。前者の混合紡糸は、例えば、合成繊維のポリマーに5μm以下の銀系抗菌剤の微粒子を混合して紡糸する方法がある。しかしながら、混合紡糸の方法では、抗菌剤微粒子の多くが繊維の内部に存在したままとなり、繊維表面に必要な抗菌剤微粒子の露出が少なくなるので、抗菌効果が発揮され難いという問題がある。
【0006】
一方、後者の繊維表面に固体粒子を固着する手段は、接着剤を用いて繊維製品に固体粒子を担持する方法が一般的である。しかしながら、この方法では、微粒子が接着剤に包埋されて機能剤の効果が低い上に、接着剤により繊維同士が接着され、隙間が減少したり、ブラシ毛が硬くなったりする欠点がある。特にブラシという製品においては単一繊維で多数のブラシ毛が起毛しているという製品の構成上、繊維同士が接着される問題の解決が難しい。更に、ブラシ毛の風合いを損なわないように、接着剤を塗布したとしても、その膜厚はブラシ毛の繊維径にもよるが、10nmオーダーの膜厚が限界であり、更には粒子との接着力だけではなく繊維から接着剤が剥がれ落ちる懸念があり接着力が弱い。それゆえ、接着可能な粒子はバインダーの膜厚よりもさらに微小な1nmオーダー以下程度の粒径の粒子しか接着させることが出来ないし、その粒子に対する接着力も弱いものとなる。
【0007】
また、繊維表面に固体粒子を固着する手段として、例えば、低融点の合成繊維を含む繊維構造体を用いて、低融点繊維の溶融により例えば銀抗菌剤粒子を固着するホットメルト固着方式も提案されている。しかし、この技術は、銀抗菌剤微粒子の露出が多いことについては機能剤の効果が期待できるが、前記と同様に、使用した低融点繊維の溶融により、隣接する繊維を融着固化して製品の隙間が減少し、風合いが悪くなる欠点がある。
【0008】
そこで、このような繊維同士の融着固化の欠点を防止するものとして、例えば、特許文献3には、
図16に示すように、湿熱接着性繊維を平行に配列されたスライバーを含有する繊維素材201を原料として機能性の微粒子202を仮固定して熱水処理を行い、該熱水処理による該繊維素材201のクリンプ収縮によって空隙203を生じると共に、該繊維素材201の表面に微粒子の少なくとも一部が湿熱接着することによって繊維素材201の表面に微粒子202による多くの突起が突出した柔軟性繊維素材200を製造する方法が記載されている。この方法では、該熱水処理による該繊維素材のクリンプ収縮によって空隙を生じることができるので、隣接する繊維の融着固化を防止でき、製品の風合いをよくして抗菌剤、美白剤、保湿剤、抗酸化剤等の微粒子の本来機能を十分に発揮できるとしている。
【0009】
また、例えば、特許文献4には、熱可塑性樹脂からなる繊維に固体粒子を固着するために、固体粒子を熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に加熱した状態にて繊維と接触させて、繊維表面に該繊維表面の融着により固体粒子を担持させ、固体粒子融着繊維を冷却することにより、その繊維表面に固体粒子を固着させる固体粒子担持繊維の製造方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、これらの各特許文献に開示の技術には、以下に述べるような問題点がそれぞれある。
【0011】
すなわち、前記特許文献1では、例えば、酸化チタンをクリーニングブラシに供給しながら、対向電極として回収ローラに高バイアスを印加することによって、回収ローラとクリーニングブラシのブラシ繊維先端部との間で微小放電を発生させ、この時に発生する放電生成物をクリーニングブラシのブラシ繊維先端部に吸着させるようになっている。
しかしながら、この方法では、ブラシ繊維先端部のみに酸化チタンを固着させた形態になっており、多量の粒子を固着させたものにはなっておらず、パイル先端部への接触物にしか機能を発揮できない。
【0012】
また、前記特許文献3に開示された技術は、柔軟性繊維素材200を用いた不織布およびパイル織物の製造方法であり、ブラシに適用できるほどの硬質性を有しない。したがって、ブラシに適用することが困難であるという問題点を有している。
【0013】
また、前記特許文献3に開示された方法は、具体的には、湿熱接着性繊維は、スキンとコアとの二部分より形成されてなり、スキン部がエチレンビニールアルコール共重合体からなると共に、コア部がポリエステルからなっている。すなわち、特許文献3では、熱水処理による該繊維素材201のクリンプ収縮によって空隙203を生じさせているが、熱水処理による該繊維素材201のクリンプ収縮を生じさせるためには、繊維素材201は親水性を有していなければならず、鞘部が疎水性の例えばポリエステル等の繊維素材201には適用できない。このため、クリンプ収縮を生じてもよいブラシやパイル生地にしか適用できず、同種の材料の芯部と鞘部との芯鞘構造の合成繊維では、隣接する合成繊維同士の融着接合を防止することが困難であり、延いては風合いが悪くなるという問題を有している。更に、この方法によると熱水処理下でしか粒子を熱融着させることが出来ないので100℃以下の融点を持つ繊維への適応に限られる。このため、耐熱性が弱いブラシやパイル生地しか作製できないという問題点を有している。更にこの方法においては熱水処理下で処理する為、熱融着時に水流の影響を受ける。その為、溶融状態の繊維と熱融着される粒子に水流による圧力がかかり、脱離する粒子が発生する。この為、繊維への粒子の被覆状態が悪化してしまうという問題点を有している。
【0014】
また、前記特許文献4では、加熱粒子を繊維に接触させて粒子を固着させているが、この方法をブラシに適用するとブラシ毛が加熱粒子と接触しても反発により十分な接触圧力を得られず、十分な熱融着時間も得られない。この為、粒子のブラシ毛への固着力が弱い。更には、ブラシ毛の先端にしか粒子が接触しない為、固着させる粒子量を多くすることができないという問題を有している。
【0015】
以上の様に、従来の技術では、粒子の表面性の活用に適した熱溶融繊維を使った粒子固着ブラシ又は粒子固着パイルについて、均一に十分な量の粒子を固着させたブラシおよびパイルが無く、かつブラシ同士又はパイル同士の融着接合の回避が不十分である結果、風合いが悪くなるという問題点を有している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施の形態1)
本発明の合成繊維からなるブラシ毛に粒子を熱融着したブラシ、およびその製造方法に関する実施の一形態について
図1〜3に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0039】
図1(b)に示すように、本実施の形態のブラシ10は、基材11と、この基材11の表面に起毛された複数本の合成繊維からなるブラシ毛12とを備えている。また、ブラシ毛12には、粒子13が熱融着されている。
【0040】
前記基材11としては特に限定されず、例えば、金属若しくは樹脂からなるシャフト、板金、フィルム、又はモールド等を使用することができる。シャフトの場合には回転効果が得られる一方、板金、フィルム、又はモールド等の場合には省スペース化が可能となる。また、基材11には、静電植毛されたブラシ毛12を接着するための接着剤(図示しない)が塗布されている。当該接着剤としては特に限定されず、従来公知のものを採用することができる。
【0041】
前記複数のブラシ毛12は、例えば、静電植毛により基材11に設けられている。但し、ブラシ毛12は、必ずしも静電植毛に限らず、例えば、静電植毛以外の歯ブラシ等に見られる機械的な植毛により基材にブラシ毛12が植毛されていてもよい。また、パイル織物をブラシ10とすることも可能であり、縦糸と横糸とによって織り込まれた基材11に対し、直交して織り込まれたパイルをブラシ毛12とすることもできる。また、このようなパイル織物や、前記のフィルムを基材11とした場合においては、後述する
図2に示すシャフト14や板金のような2次的な基材に貼り付けて使用することも可能である。
【0042】
また、本実施の形態のブラシ毛12の長さ、太さ(直径、繊維径)、植毛密度は用途により適正化されるパラメーターであり、特に限定されるものではないが、ブラシ毛の長さは例えば0.5mm〜50mm程度が好ましく、0.5mm〜10mm程度がさらに好ましい。また、ブラシ毛12一本の直径は、3μm〜500μm程度が好ましく、10μm〜100μmがより好ましい。さらに、ブラシ毛12の植毛密度は、1×10
2〜2×10
6フィラメント/inch
2程度が好ましく、1×10
3〜1×10
6フィラメント/inch
2がより好ましい。本実施の形態においては、それぞれ前記数値範囲の直径および植毛密度のブラシ毛12であっても、近接する他のブラシ毛12と熱融着することなく、粒子13をブラシ毛12に熱融着させることができる。尚、前記植毛密度に関しては、下限を1×10
2本/inch
2以上にすることにより、例えば、クリーニングブラシとして用いる場合には、クリーニング機能が低下するのを防止するなど、ブラシ10としての種々の性能が低減するのを抑制することができる。また、上限を2×10
6フィラメント/inch
2以下にすることにより、粒子13を熱融着する際のブラシ毛12同士の接触を一層低減して、両者の熱融着を防止することができる。尚、植毛密度とは、基材11における単位面積(inch
2)当たりのブラシ毛12の本数を意味する。
【0043】
本実施の形態において、ブラシ毛12は、
図1(a)に示すように、芯鞘構造となっている。すなわち、芯部12aと、その芯部12aの少なくとも側周面を被覆する鞘部12bとからなる構造となっている。ここで、
図1(a)において、ブラシ毛12の先端部には鞘部12bが存在しないが、本発明はこの態様に限定されるものではない。すなわち、ブラシ毛12の先端部に鞘部12bが形成された態様も含む。また、鞘部12bの融点は、芯部12aの融点よりも低くなっている。さらに、ブラシ毛12は合成繊維からなり、芯部12aと鞘部12bの材料の組み合わせは、同種であってもよく異種同士であってもよい。
【0044】
前記合成繊維は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる。
【0045】
前記ポリエステル系樹脂としては特に限定されず、従来公知のもの用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらにアジピン酸、イソフタル酸、イソフタル酸スルホネートおよびポリエチレングリコールなどの第三成分を共重合した共重合ポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
前記ポリアミド系樹脂としては特に限定されず、従来公知のもの用いることができる。具体的には、例えば、ナイロン6,6、ナイロン6、ナイロン4,6等が挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
前記アクリル系樹脂としては特に限定されず、従来公知のもの用いることができる。具体的には、例えば、アクリロニトリルと、当該アクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの重合体が挙げられる。前記モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イタコン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩等のビニル単量体が挙げられる。これらのモノマーと、アクリロニトリルとの共重合により得られる各種のアクリル系樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
前記フッ素系樹脂としては特に限定されず、従来公知のもの用いることができる。具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
前記ポリプロピレン系樹脂としては特に限定されず、従来公知のもの用いることができる。具体的には、例えば、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0050】
前記に例示した樹脂のうち、本発明は、疎水性樹脂からなる合成繊維やクリンプ収縮を生じない合成繊維や融点が100℃以上の合成繊維についても好適に用いることができる。例えば、特許文献3にもある通り、従来においては、クリンプ収縮を生じる湿熱接着性繊維を用いて、熱水処理により粒子の湿熱接着を行っていた。しかし、熱水処理によりクリンプ収縮を生じない繊維については、空隙を生じさせることができないことから、繊維同士の接着を防止することはできなかった。一方、本発明に於いては、後述の通り、鞘部12bに付着した粒子13が、近接するブラシ毛12同士の熱融着を防止するため、親水性の樹脂からなる合成繊維やクリンプ収縮を生じる合成繊維の使用に限定されない。さらに、芯部12aおよび鞘部12bのいずれもクリンプ収縮機能の有無は問わない。しかも、従来の方法では、クリンプ収縮を生じてもよいブラシやパイル生地にしか適用できず、ブラシ毛の繊維密度が非常に高いブラシに対して適用することは困難であるし、鞘部の融点が100℃未満の繊維にしか適用できなかったが、本発明に於いてはそのような制限がない。尚、前記の従来の方法では、クリンプ収縮による繊維同士の接触を低減させる方法以外では、微弱な水流の影響により、繊維同士の熱融着を避けることはできない。また、前記疎水性樹脂とは、これを構成する重合体のモノマー単位の合計量を基準として、疎水性モノマー単位の割合が50質量%を超えるものを意味する。
【0051】
前記粒子13は、ブラシ毛12における鞘部12bの熱溶融により熱融着されている。粒子13を熱溶融させて鞘部12bに熱融着させるという方法も考えられるが(例えば、特許文献4)、この場合、熱溶融した粒子13が鞘部12bに接触して直ちに熱融着することはなく、また、熱融着の強度も低下する。さらに、熱融着させる粒子13の量も低減する。しかし、鞘部12bを熱溶融させる方法であると、より多くの粒子13を確実かつ強固に鞘部12bに熱融着させることが可能になる。
【0052】
前記粒子13は、ブラシ毛12の合成繊維とは異なる1種類以上の無機材料または高分子材料からなることが好ましい。無機材料又は高分子材料は、用途によって、適宜選択することができるが、ブラシ毛12の鞘部12bの融点よりも高いものが好ましい。これにより、後述の通り、鞘部12bを熱溶融する際に、粒子13も同時に熱溶融するのを回避することができる。前記無機材料としては特に限定されず、例えば、合成繊維よりも低い電気抵抗値を有するカーボン、金属又は導電性高分子材料等が挙げられる。また、触媒、多孔質材料およびこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることもできる。さらに、カーボンナノチューブ等も採用可能である。また、前記高分子材料としては特に限定されず、例えば、電子写真装置の電荷制御ブラシ等のブラシ汚染を嫌う用途に用いられる場合の材料には表面エネルギーの高い表面性を持つ粒子が挙げられる。より具体的には、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0053】
粒子13の形状は特に限定されず、例えば、略球形状や直方体状のものなどが挙げられる。略球形状とは、真球の他に楕円形状のものなど、変形した球状のものも含む意味である。
【0054】
また、粒子13の融点は、前記鞘部12bの融点よりも高いことが必要である。粒子13の融点が鞘部12bの融点以下であると、鞘部12bの熱溶融の際に、粒子13も同時に熱溶融するからである。
【0055】
また、露出して熱融着された粒子13の1本のブラシ毛12に対する被覆率は50%以上であり、好ましくは70%〜100%、より好ましくは90%〜100%である。従来、粒子を繊維に固着させる方法としては、バインダー(接着剤)が広く用いられてきた。しかし、この方法ではバインダーが粒子を覆ってしまい、粒子の機能が活かせないという問題があった。一方、本発明においては、前記の通り、少なくとも一部が露出した状態で熱融着された粒子13の被覆率が、ブラシ毛12の表面の50%以上となっている。そのため、熱融着された粒子13が鞘部12b内に埋没されることにより、その活性や表面特性が阻害されて機能が果たせなくなるのを防止し、十分な量の粒子が機能を発揮することができる。
【0056】
ここで、被覆率とは、ブラシ毛12一本当りにおける断面以外の全表面積に対し、露出して熱融着された粒子13の被覆の割合を意味し、例えば、レーザーマイクロスコープ(キーエンス(株)製、商品名;VK−8700)の測定により算出可能である。具体的には、まず粒子13を熱融着するブラシ毛12と同素材の繊維をレーザーマイクロスコープにより測定し、表面の凹凸の高さを測定する。このときの測定は、例えば、100倍の対物レンズを用いて前記のブラシ毛の高さデータを採取し、長手方向100μm幅の任意の線領域について線粗さ(Ra)を測定する(JIS B0601:1994 カットオフ値:0.08mm)。
次に、粒子13の熱融着後のブラシ毛12において前記の測定範囲における表面の凹凸の高さを、再びレーザーマイクロスコープにより測定し、粒子13により熱融着されているブラシ毛の線粗さ(Ra)を測定する。この線粗さの差分により測定範囲に粒子が熱融着されているかを判定する。熱融着前後の線粗さの差異の割合が200%以上あることをこの測定領域で粒子13により熱融着されているかの基準とする。続いて、この測定を1本のブラシ毛の中で任意の10点で行う。この測定での基準を上回る測定領域の数の割合により被覆率が算出される。尚、この測定の測定領域は少なくとも3点以上で行うことが好ましい。被覆状態については、必ずしもこの方法に限定されず、例えば、粒子13の種類に応じて、電気抵抗値や摩擦係数との相関により確認することも可能である。
【0057】
さらに、前記の被覆率が50%以上となるブラシ毛12の割合は、総本数の70%以上であり、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%である。前記の割合は、例えば、粒子13が熱融着された任意のブラシ毛を100本選択し、前記の方法により算出された被覆率が50%以上となるブラシ毛の本数を数え、算出した値である。
尚、この算出は少なくとも10本以上のブラシ毛で行うことが好ましい。
【0058】
また、粒子13は、ブラシ毛12の繊維径に対し40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは、20%以下の平均最大径を有している。平均最大径をブラシ毛12の繊維径に対し40%以下にすることにより、バインダーと同等以上の強度で、粒子13を鞘部12bに強固に熱融着させることができる。但し、ブラシ毛12への粒子13の埋没を防ぎ糸同士の固着を防ぐ観点からは、前記平均最大径は、ブラシ毛12の繊維径に対し0.1%以上にすることが好ましい。また、前記平均最大径は、前記レーザーマイクロスコープでの観察測定により熱融着後の粒子13を観察・測定した値である。尚、平均最大径は、粒子13が略球形状の場合は、その直径(最大粒径)の平均値を意味している。
また、ブラシの製作に当っては、粒子13の粒度分布を例えばレーザー回折・錯乱法による粒度分布測定装置((株)島津製作所、商品名;SALD−7100)により測定して適切な粒子を選定して用いることが出来る。この場合、体積積算分布において50%粒径を前記平均最大径の基準とすることが出来る。
【0059】
また、ブラシ毛12における鞘部12bの厚さは、熱融着による接着強度や熱融着可能な粒径の範囲の広さの観点から、粒子の平均最大径の25%以上の厚みを持つことが好ましく、40%以上の厚みを持つことがより好ましい。鞘部12bを粒子の平均最大径に対し25%以上の厚みにすることにより、従来バインダー等では不可能な粒子13を熱融着させることが可能となる。また、ブラシ毛12の形状維持の観点から、鞘部12bの厚みは、ブラシ毛12の繊維径(ブラシ毛12の直径)に対し、5%〜30%の範囲内が好ましく、20%以下の範囲内がより好ましい。これにより熱溶融してもブラシ毛12がブラシ毛の形状を保つことができ、粒子13の熱融着も十分な固着力を得られる。また、熱融着された粒子13の少なくとも一部は鞘部12bから外部に露出している。また、露出は粒子13の少なくとも一部であってもよい。さらに、鞘部12bの内部に埋没された粒子13が存在してもよい。
【0060】
また、前記ブラシ10では、粒子13が熱融着したブラシ毛12の曲げ剛性は、粒子13の熱融着前のブラシ毛12の曲げ剛性に対して5倍以下の範囲が好ましく、0.5倍〜4倍の範囲がより好ましく、0.5倍〜3倍の範囲が特に好ましい。ブラシ毛12に粒子13を熱融着することによって繊維の硬化やブラシ毛12同士の熱融着が起こり、ブラシ毛12の曲げ剛性が大きくなりすぎると、例えば、そのブラシ10を感光体のクリーニングブラシとして使用した場合には、感光体の表面を傷付ける虞がある。しかしながら、本実施の形態では、前記の通り、粒子13が熱融着したブラシ毛12の曲げ剛性を、粒子13の熱融着前のブラシ毛12の曲げ剛性の5倍以下にするので、例えば、感光体のクリーニングブラシに使用した場合においても、接触対象物である感光体の表面を傷付けることはない。その結果、クリーニング機能等の機能を有効に発揮し得る粒子13を熱融着したブラシ10を提供することができる。尚、クリーニングにおけるトナー等の掻き取り性能を向上させる観点からは、熱融着前よりも大きく軟化することは好ましくなく、前記曲げ剛性の下限値は0.5倍にするのがより好ましい。また、曲げ剛性は、熱融着温度や粒子分散液の濃度等を調節することにより制御可能である。前記曲げ剛性の数値範囲は、実験的観察により求めた適正値である。
【0061】
前記曲げ剛性EI(Eは縦弾性係数であり、Iは断面二次モーメントである。)は、例えば、縦弾性係数Eと断面二次モーメントIとの積により求めることができる。また、例えば、繊維の撓みδ(mm)=PL
3
/kEIより間接的に求めることができる。ここで、Pは繊維軸にかかる荷重であり、Lは繊維長さである。また、kは繊維軸の支持方法によって異なる定数である。
この曲げ剛性の測定は例えばロードセル等を用いて一定幅のプローブへの加重を測定した値の平均値により算出してもよいし、一定量の食込み幅でのブラシの押圧を測定した値による比較によっても測定可能である。
【0062】
本実施の形態においては、
図2に示すように、前記ブラシ毛12を植毛した基材11を帯状とし、例えば、回転自在のシャフト14の周囲に螺旋状に巻回することによって形成したロールブラシ10aとすることが可能である。尚、
図2に示すロールブラシ10aは、フレキシブルな基材11を有するブラシ10をシャフト14に巻いた例である。但し、本発明はこれに限定されず、例えば、静電植毛等の方法によりシャフト14自体を
図1に示す基材11としてロールブラシ10aと同様の形態のロールブラシを作製することも可能である。
【0063】
次に、本実施の形態に係るブラシ10の製造方法について、ロールブラシ10aの場合を例にして説明する。
図3は、ロールブラシ10aの製造方法を示すフローチャートである。
【0064】
先ず、
図3に示すように、芯鞘型溶融糸を静電植毛又はパイル織りにしたブラシ毛12を有するブラシ形状のものを作製する(S1)。ブラシ毛12としては、芯部12aと、その芯部12aよりも融点の低い鞘部12bとを有する芯鞘構造の合成繊維を用いる。
【0065】
次に、ブラシ毛12の直径(繊維径)に対し40%以下の平均最大径を有する粒子13をアルコールに混ぜて分散液を作成する(S2)。前記分散液における分散媒としては特に限定されず、例えば、水やイソプロピルアルコール(IPA)、エタノール等のアルコール等が挙げられる。これらの分散媒のうち、後述の乾燥工程において、ブラシ毛12の良好な開繊状態を作り出すという観点からは、アルコールが好ましい。アルコールは水よりも表面張力が低い為、繊維を被覆する分散液や繊維同士が凝集しにくくなり、ブラシ毛12を開繊状態にして乾燥させるのが容易になるからである。また、水等のアルコール以外の分散媒を用いる場合では界面活性剤等を用いて分散液の表面張力を下げる事により適切な処理を行うことも可能である。また、交互積層法等を用いて微粒子と繊維のゼータ電位をコントロールし、被覆率を向上させる方法も効果的である。
【0066】
次に、この分散液をブラシ毛12に接触させる(S3:付着工程)。接触方法としては特に限定されず、例えば、はけ塗り、スプレーによる吹き付け、ディップ法等が挙げられる。当該工程により、ブラシ毛12に対し、粒子13を付着させることができる。
【0067】
次に、分散液に接触させたブラシ毛12の乾燥を行う(S4:乾燥工程)。乾燥方法としては特に限定されず、例えば、加熱による方法や自然乾燥、乾燥風を吹き付ける方法などが挙げられる。加熱による乾燥の場合、乾燥温度は適宜必要に応じて設定され、通常は25℃〜100℃、好ましくは25℃〜80℃、より好ましくは40℃〜60℃である。また、乾燥時間も適宜必要に応じて設定され、通常は5分間〜120分間、好ましくは10分間〜90分間、より好ましくは30分間〜60分間である。
【0068】
また、本工程においては、近接するブラシ毛12が少なくとも鞘部12bにおいて接触した状態となるのを低減するため、乾燥後のブラシ毛12が開繊した状態となるように乾燥を行う。ブラシ毛12を開繊した状態にするために開繊を行う場合、当該開繊をブラシ毛12の先端部分のみに施すのは好ましくない。ブラシ毛12の根本部分で、ブラシ毛12同士が熱融着する場合があるからである。また、開繊処理は多量の粒子の脱離が起こらないように適宜条件を調整することが好ましい。また、開繊の方法としては特に限定されず、例えば、毛割り等が挙げられる。毛割りは1回に限らず複数回行ってもよい。ただし、分散媒と粒子13との条件により、乾燥後のブラシ毛12が開繊した状態となる場合には、前記の毛割り等は必ずしも必要ではない。
【0069】
次に、乾燥後のブラシ毛12に対し粒子13の熱融着を行う(S5:熱融着工程)。当該熱融着の方法としては特に限定されず、例えば、オーブン等による高温での雰囲気下におくことで行うことができる。加熱時間は、適宜必要に応じて設定され得る。また、加熱温度としては、鞘部12bの融点以上であって、かつ、芯部12aおよび粒子13の融点よりも低い温度で行う。これにより、融点12bのみを熱溶融させ、粒子13の熱融着が可能になる。また、粒子13は、ブラシ毛12の表面を覆う様にして付着しているため、スペーサーとしての役割を果たし、近接するブラシ毛12同士が熱溶融した鞘部12bにおいて接触するのを防止することができる。その結果、従来の芯鞘型の熱溶融繊維を溶融させることによる粒子の固着方法では困難であったブラシ毛12同士の熱融着を防止し、十分な量の粒子13の熱融着も可能にしている。さらに、芯部12aを熱溶融させないので、ブラシ12の大幅な形状崩れも防止できる。また、本実施の形態に於いては、ブラシ毛12同士の熱融着を防止するために、ブラシ毛12としてクリンプ収縮を生じる合成繊維を使用する必要もないので、ブラシ毛12(パイル織りに適用する場合にはパイル)の形状保持も可能であり、雰囲気温度により加熱するので繊維の溶融温度の制約もない。
【0070】
熱融着工程の後、熱融着されなかった粒子13や熱融着が不十分な粒子13の除去工程を行ってもよい(S6)。当該除去工程は、例えば、エアー等を吹き付けることにより行われる。また、このとき、ブラシ毛12同士が接触しないように、エアーの吹き付けによって、ブラシ毛12を分離することが好ましい。以上により、ブラシ毛12に粒子13を熱融着させたロールブラシ10aが得られる。
【0071】
前記のロールブラシ10aの製造方法は、鞘部が芯部よりも熱溶融し易い芯鞘構造のブラシ毛12を用いるので、ブラシ毛12の形状崩れを抑制しながら、バインダー等を用いずに粒子13のブラシ毛への熱融着を可能にしている。また、鞘部12bの熱溶融の際には、粒子13が、近接するブラシ毛12同士が鞘部12bにおいて熱融着するのを防止するので、クリンプが無く繊維密度の高いブラシであっても、粒子活性を低下させないで、十分な量の粒子13をブラシ毛12に熱融着させることができる。
【0072】
本実施の形態に係るブラシ10は、各種の用途に好適に適用可能である。例えば、電子写真装置等の精密な設計が必要な分野でのクリーナーにおいては、クリンプ収縮を生じない合成繊維からなるブラシ毛12を用いることができるので、粒子13を熱融着させても形状保持が可能であり、製品毎のクリンプ状態のバラツキの発生を抑制したブラシを適用することができる。また、バインダーを用いて粒子13を接着させないので、被清掃物の種類によって親和性をコントロールすることが可能となり、被清掃物の種類によって、クリーニング性能を制御することもできる。さらに、十分な量の粒子13を熱融着させて、ブラシ毛12を粒子13で被覆させることができるので、ブラシ毛12の表面を均一に粒子13の特性に近づけさせることができる。また、研磨ブラシの分野では、摩擦係数、濡れ性および硬度等の向上が図れる。導電ブラシの分野では、電気抵抗値を大幅に下げることも可能になる。さらに、ブラシ10においてはブラシ毛12同士の熱融着が少ないので、クリーナーおよび研磨ブラシの分野においては、ブラシ剛性のバラつきが少なく、均一な機能を果たすことが可能なブラシを提供することができる。
尚、以下においては、さらに詳細に、ブラシ10を適用した具体例を説明する。
【0073】
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態について
図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
本実施の形態では、実施の形態1にて説明したブラシ10を電子写真装置に適用した場合について説明する。すなわち、実施の形態1にて説明したブラシ10は、例えば、電子写真装置のクリーニングブラシや、帯電制御用ブラシに適用することが可能である。まず、電子写真装置における画像形成部の構造を
図4に基づいて説明する。
図4は、本実施の形態のクリーニングブラシおよび帯電制御ブラシを備えた電子写真装置における画像形成部の構造を模式的に示す正面図である。尚、電子写真装置は、電子写真装置が備えるスキャナにて読み込まれたデータや、電子写真装置に接続された外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置)からのデータを画像として出力するものである。
【0075】
図4に示すように、画像形成部30は、感光体ドラム1と、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置4と、転写ロール5と、搬送ベルト6と、帯電制御装置7と、クリーニング装置20とを備えており、感光体ドラム1の周囲に、回転方向に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写ロール5および搬送ベルト6、帯電制御装置7、並びにクリーニング装置20をこの順序で配置した構成となっている。
【0076】
感光体ドラム1は、画像形成装置における本発明の静電潜像担持体および感光体となるものであり、円柱形状を有している。
【0077】
帯電装置2は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面を一様に所定の電位まで帯電させるためのものである。帯電装置2は、帯電制御用ブラシからなり、感光体ドラム1と互いの回転軸を平行にして隣接対向して設置されている。
【0078】
露光装置3は、帯電装置2によって帯電された感光体ドラム1の表面を、例えばパーソナルコンピュータ等の画像処理装置からのデータに基づき、レーザ光等により露光して、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成させるためのものである。露光装置3として、例えば半導体レーザや発光ダイオードを用いることができる。
【0079】
現像装置4は、感光体ドラム1の表面に現像剤を供給し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像剤像として顕像化するつまり現像するためのものである。現像装置4では、現像剤供給ロール4aにて現像ロール4bに現像剤が一定厚さに供給され、この現像ロール4bが感光体ドラム1に当接することにより、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給される。本実施の形態の現像装置4では、例えば非磁性1成分現像剤からなる現像剤が使用されており、いわゆる非磁性1成分現像方式を採用している。尚、本発明においては、必ずしも非磁性1成分現像剤に限らず、全ての現像剤を対象とすることができる。
【0080】
搬送ベルト6は、感光体ドラム1の表面に現像剤像が形成された後に、PPC(Plain Paper Copy)用紙等の記録媒体8を感光体ドラム1に運搬するためのものである。
【0081】
転写ロール5は、感光体ドラム1の表面の現像剤像を、転写材である記録媒体8に転写するためのものであり、板金の面方向と記録媒体8の面方向とを平行にして、搬送ベルト6を間に挟んで感光体ドラム1と隣接対向するように設置されている。尚、記録媒体8は、例えば用紙、OHP等である。転写ロール5は、例えば、ウレタンゴムロールからなっている。
【0082】
帯電制御装置7は、転写後の感光体ドラム1の残存している正極性および負極性の残存現像剤を例えば全てが負極性になるように帯電制御している。尚、帯電制御装置7は存在しない場合もある。
【0083】
クリーニング装置20は、クリーニングブラシ22を備えており、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を除去する。尚、クリーニング装置20については、後で詳述する。
【0084】
前記構成の画像形成装置においては、次の様な画像形成の動作を行う。
すなわち、感光体ドラム1の表面は、帯電装置2によって均一に帯電される。表面が帯電された感光体ドラム1は、露光装置3によって、データに基づき露光され、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置4の現像ロール4bにより、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給され、感光体ドラム1の表面の静電潜像が、現像されて顕像化される。続いて、搬送ベルト6によって記録媒体8が感光体ドラム1へ運搬され、転写ロール5によって、感光体ドラム1の表面の現像剤像が、記録媒体8に転写される。そして、転写後の感光体ドラム1は、残留した現像剤や紙粉等が、帯電制御装置7により負極性又は正極性に帯電制御された後、クリーニングブラシ22によって除去される。このようなサイクルで画像形成は行われる。
【0085】
次に、本実施の形態のクリーニング装置20の詳細について、
図4に基づいて以下に説明する。
前述のように、本実施の形態のクリーニング装置20は、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等の被クリーニング物を除去するものであり、前述したクリーニングブラシ22と、このクリーニングブラシ22に接触する導電ローラ23と、この導電ローラ23に摺察する清掃部材24とを備えている。尚、このクリーニング装置20は、一例であり、例えば、導電ローラ23および清掃部材24が存在しない場合もある。
【0086】
前記クリーニングブラシ22は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等の被クリーニング物を除去する。このクリーニングブラシ22に接触する導電ローラ23は、例えば正極性に帯電されることにより、クリーニングブラシ22の正極性からなるブラシ毛22aの先端にて吸着した負極性の残存現像剤を吸着すると共に、導電ローラ23に吸着された残存現像剤は、この導電ローラ23に摺察する清掃部材24によって除去されるものとなっている。
【0087】
本実施の形態では、前記クリーニングブラシ22は、前記実施の形態1で述べたブラシ10と同様の構成を有している。
すなわち、本実施の形態のクリーニングブラシ22は、
図4に示すように、ローラ22cに巻回した基材22bと、この基材22bの表面に起毛された複数本の繊維からなるブラシ糸を有するブラシ毛22aとを備えている。そして、このクリーニングブラシ22は、例えば、これら複数のブラシ毛22aを基材22bに静電植毛してなっている。したがって、クリーニングブラシ22は、前記実施の形態1におけるブラシ10において、ローラ22cが
図2に示すシャフト14に対応し、基材22bが基材11に対応し、ブラシ毛22aが粒子13を熱融着したブラシ毛12に対応するものとなっている。
【0088】
前記クリーニングブラシ22は、回転自在のローラ22cの周囲に螺旋状に巻回されており、前記感光体ドラム1の回転軸方向とローラ22cの回転軸方向とを互いに平行にして、感光体ドラム1に対向するように隣接して設置されている。
【0089】
このように、本実施の形態のクリーニングブラシ22は、合成繊維とは異なる1種類以上の材料である無機材料又は高分子材料からなる粒子13が、少なくとも一部露出する様にブラシ毛12に熱融着されているので、従来のブラシ毛よりも表面粗さを大きくすることができる。これにより、電子写真機内の転写後の感光体に残存したトナー等のクリーニング対象を容易に除去することが可能なクリーニングブラシ22を提供することができる。
【0090】
また、トナーの帯電と相反する帯電列を持つ材料を選択することによって静電的な吸着力を強くすることが可能なクリーニングブラシ22を提供することもできる。
【0091】
さらに、粒子13として多孔質材料や触媒からなるものを用いることにより、有害ガスや放電生成物といった従来の合成繊維のクリーニングブラシでは除去できなかった固体以外の物質を除去することが可能なクリーニングブラシ22を提供することができる。
さらに、導電性の粒子と合わせて融着させる事によって電気的な吸着機能を持たせる事も出来る。
【0092】
また、電子写真機以外の用途である、掃除機、半導体の清掃工程等のクリーニング用途においても容易にクリーニング対象を除去することが可能となるクリーニングブラシ22を提供することができる。
【0093】
また、本実施の形態のクリーニングシステムとしてのクリーニング装置20は、実施の形態1に記載のブラシ10、又はクリーニングブラシ22を備えている。これにより、疎水性の樹脂からなる合成繊維においても、隣接するブラシ毛同士の融着固化を低減し、合成繊維からなるブラシ毛に粒子を適切に熱融着し得るブラシ10、クリーニングブラシ22を備えたクリーニングシステムとしてのクリーニング装置20を提供することができる。
【0094】
尚、前記の説明においては、前記のブラシ10をクリーニングブラシ22およびクリーニング装置20に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、帯電装置2における帯電制御用ブラシに前記ブラシ10を適用してもよい。この場合、前記粒子13としては、繊維よりも低い抵抗値を有するカーボンや金属等の導電性材料(導電剤)を用いるのが好ましい。
【0095】
前記カーボンとしては特に限定されず、例えば、炭化珪素(SiC)、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。また、前記金属等の導電性材料についても特に限定されず、例えば、銅、銀等が挙げられる。これにより、バインダーなしに粒子13としての導電剤をブラシ毛12に熱融着させることができ、導電剤を紡糸段階で練り込んだ導電繊維を用いた従来の帯電制御用ブラシと比べて、電気抵抗値の一層の低減が可能になる。その結果、静電気等の帯電により強固に付着したトナー等のクリーニング対象物に電荷を注入し、帯電を除去して、トナー等の付着力を弱めることができる。また、帯電物自体の帯電も高効率に除去することができる。さらに、転写後の感光体に残存したトナーの帯電極性をより均一な帯電分布にすることもできる。すなわち、前記のブラシ10を帯電制御用ブラシとして用いることにより、帯電制御性に優れたものが得られる。
【0096】
これにより、本実施の形態の電子写真装置として、実施の形態1に記載のブラシ10、本実施の形態のクリーニングブラシ22又は帯電制御用ブラシの少なくとも何れか一つを備えたものを提供することができる。
【0097】
(実施の形態3)
本発明の他の実施の形態について、
図5〜
図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1および2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1および2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0098】
本実施の形態では、実施の形態1に記載のブラシ10を有害物質除去用フィルターおよび化学物質処理システムに適用する場合について説明する。
図5(a)、5(b)に示すように、本実施の形態の有害物質除去用フィルター40は、筒状構成体41と、その内壁面41aにパイル42aがブラシ毛状に起毛された有害物質除去機能を有する有害物質除去モジュール42とからなっている。尚、
図5(a)、5(b)では、単一の有害物質除去用フィルター40によって、本実施の形態の化学物質処理システムが構成されている。但し、本発明はこの態様に限定されず、ブラシ10を少なくとも一つ備えたものや、有害物質除去用フィルター40を複数備えたものであってもよい。
【0099】
前記筒状構成体41は、有害物質除去モジュール42を直接植毛するための基体となっており、
図5(b)に示すように円形状となっている。また、筒状構成体41は、縦糸と横糸とからなる地糸として構成されている。したがって、本実施の形態では、有害物質除去モジュール42は、この地糸である筒状構成体41に直接的に織り込まれたパイルから構成されている。前記パイルの先端は例えばカットされているが、カットせずにループ状に形成されていてもよい。尚、有害物質除去モジュール42の起毛方法については、必ずしもこれに限らず、例えば、基材に有害物質除去モジュール42を静電植毛したものでもよく、或いは、フィルム等の柔軟性を持つ基材に有害物質除去モジュール42を植毛したものでもよい。
【0100】
尚、 前記筒状構成体41の断面形状は円形状の場合に限定されず、例えば、楕円形、若しくは三角形、四角形、五角形…等の多角形であってもよく、又はその他の断面形状であってもよい。例えば、断面が四角形状の場合としては、
図6に示すような筒状構成体41が挙げられる。この場合、例えば、筒状構成体41の内壁面41aにおける床面および天井面に、それぞれ有害物質除去モジュール42を起毛したものでもよい。
図6には、基材43に有害物質除去モジュール42を植毛したものを記載している。
図6に示す有害物質除去用フィルター40の筒状構成体41の寸法は、例えば、内法巾Wが50mmであり、内法高さHが例えば50mmであり、筒長さLが30mmとなっている。また、有害物質除去モジュール42の起毛長さであるパイル長dは、それぞれ、例えば15mmとなっている。ここで、筒状構成体41の寸法等は、必ずしもこれに限らない。例えば、筒状構成体41における開口部の面積が10mm
2〜10m
2であり、有害物質除去モジュール42の繊維長が0.5mm〜30cmであり、筒状構成体41の筒内における有害物質除去モジュール42の体積占有率が0.01%〜40%であることが好ましい。
【0101】
このように、本実施の形態に係る筒状構成体41は、断面形状が直径3mm程度の円形状のものや、一辺が3m程度の正方形状のものにすることができ、その結果、配水管や大規模な排気ダクトに適用することができる。尚、筒状構成体41の開口部の面積は、50mm
2〜1m
2(直径1cm〜一辺30cmの正方形断面)の範囲内が好ましい。また、有害物質除去モジュール42の繊維長は、0.5mm〜5cmの範囲内が好ましい。
【0102】
前記構成の有害物質除去用フィルター40を製造する際には、例えば、パイルが織り込まれた板状の地糸を筒状に丸め、板両端を接着剤等にて接着すればよい。また、パイルが織り込まれた帯状の地糸を筒になるように螺旋状に丸め、帯両側端を接着剤等にて接着することによっても製造可能である。さらに、強度の補強のために、筒状に丸めて両端を接着した後に、筒の外側からシートを接着することも可能である。これにより、筒状構成体41の内壁面41aにブラシ状に間接的に起毛された有害物質除去モジュール42が得られる。
【0103】
また、筒状構成体41としては、
図7に示すように、任意の位置での屈曲を可能にするフレキシブルな材料からなるものを用いることもできる。これにより、筒状構成体41の内部を気体又は液体を通過させる際に乱流を発生させることができ、有害物質除去モジュール42への接触頻度が高まる。その結果、有害物質の除去効果を向上させることができる。尚、筒状構成体41の屈曲形状は気体等の通過を阻害しない範囲内であれば特に限定されず、任意の形状とすることができる。
【0104】
前記有害物質除去モジュール42は、
図5(a)、5(b)に示すように、合成繊維からなるパイル42aと、パイル42aに熱融着された有害物質除去機能を有する微粒子42bとからなる。有害物質除去モジュール42は、有害物質除去機能を有する微粒子42bをパイル42aに熱融着させることにより、パイル42aにおける篩機能による粉塵除去のみならず、ケミカルフィルターとしての機能を付与している。微粒子42bの熱融着は、パイル42aの鞘部から少なくとも一部が露出するようになされている(但し、鞘部の内部に埋没された微粒子42bが存在していてもよい。)。このため、有害物質を含む気体又は液体がブラシ状に起毛されたパイル42aの間を通るときに、有害物質を容易に微粒子42bに接触させることができる。この様に、バインダーを用いることなく微粒子42bをパイル42aに熱融着させることにより、例えば、パイル42aの間に有害物質を通過させた場合、微粒子42bが平面に塗布されたものに比べて微粒子42bの表面積が格段に増加しているので、接触面積の増大が図れる。その結果、有害物質の吸着又は分解効率が格段に向上する。尚、パイル42aは前記実施の形態1におけるブラシ毛12に対応し、微粒子42bは前記粒子13に対応し、前記内壁面41aは前記基材11に対応する。
【0105】
前記パイル42aは、ブラシ毛12の場合と同様、鞘部12bの融点が芯部12aの融点よりも低い熱溶融糸からなる芯鞘構造を有しており、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの材料である合成繊維からなる。これにより、柔軟性のある高分子繊維を選択することができる。
【0106】
また、パイル42aの直径(繊維径)は3μm〜70μm(繊度では、0.1デシテックス(dtex)〜30デシテックス(dtex))の範囲内が好ましく、10μm〜50μm(繊度では、1デシテックス(dtex)〜15デシテックス(dtex))の範囲内がより好ましい。パイル42aの直径を3μm以上にすることにより、有害物質除去モジュール42の製造を可能にしている。その一方、パイル42aの前記直径を70μm以下にすることにより、表面積を格段に大きくすることができ、有害物質除去効率を高めることができる。パイル42aの表面積は繊維径に反比例して増大するからである。
【0107】
前記パイル42aの長さは特に限定されず、筒状構成体41のサイズにより適宜必要に応じて設定され得る。本実施の形態においては、有害物質除去モジュール42の中心部に空間部44が形成されるようにパイル42aの長さが設定されている。この様に空間部44を設けることにより、有害物質除去モジュール42の内部を通過する流体に対する抵抗を抑制し、圧力損失の低減を図ることができる。すなわち、本実施の形態の構成であると、有害物質除去物質との接触面積を極力大きくしつつ、圧力損失を低減しながら、効率よく有害物質を除去することが可能になる。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、パイル42aが有害物質除去モジュール42の中心部に達する程度の長さを有しており、実質的に空間部44が形成されないような態様であってもよい。
【0108】
また、有害物質除去モジュール42内におけるパイル42aの体積占有率は特に限定されないが、0.01%〜40%(すなわち、前記空間部44の体積占有率は99.99%〜60%)の範囲内が好ましい。体積占有率を0.01%以上にすることにより、有害物質除去物質への接触面積が低下するのを防止することができる。その一方、体積占有率を40%以下にすることにより、通気性の悪化を防止すると共に、圧力損失が大きくなり過ぎるのを防止することができる。すなわち、前記数値範囲内にすることにより、有害物質除去物質への接触面積が広く、かつ圧力損失を小さくして、効率よく有害物質除去を行い得る有害物質除去用フィルター40を提供することができる。
【0109】
前記有害物質除去機能を有する微粒子42bとしては、吸着・分解・殺菌の少なくとも一つ以上の機能を果たすものが好ましい。これにより、有害物質除去モジュール42は、多様な有害物質除去機能を発揮し得る。
【0110】
また、前記微粒子42bは、光、電気または熱等のエネルギーが付与されることにより、有害物質除去機能を発現し、または向上させるものが好ましい。光エネルギーとしては、例えば紫外線、可視光、電磁波等が挙げられる。また、電気エネルギーとしては、電圧の印加によるものを含む。尚、微粒子42bとしては、光、電気または熱等のエネルギーを併用することによって、有害物質除去機能を発現させ、または向上させるものであってもよい。
【0111】
前記微粒子42bとしては、具体的には、例えば、触媒、多孔質材料およびこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0112】
前記触媒としては、金属触媒や光触媒が挙げられる。前記金属触媒としては特に限定されず、例えば、白金(Pt)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、またはこれらの酸化物等が挙げられる。これらの金属触媒は1種単独で、または2種以上を併用することができる。微粒子42bとして金属触媒を用いることにより、各種の触媒に対応したガス分解性能を発揮することができる。例えば、白金(Pt)は、自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NO
x)、硫黄酸化物(SO
x)等の有害ガスを、無毒の炭酸ガス(CO
2)と水(H
2O)等に分解することができる。また、二酸化マンガン(MnO
2)を用いた場合には、オゾンの分解能を付与することができる。また、前記光触媒はとしては、特に限定されず、例えば、二酸化チタン(TiO
2)、酸化タングステン(WO
3)等が挙げられる。これらの光触媒は1種単独で、または2種以上を併用することができる。例えば、微粒子42bとして、二酸化チタン(TiO
2)を用いた場合、アルデヒド(HCHO)、アセトアルデヒド(CH
3CHO)、およびその他の揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)、又は窒素酸化物(NO
x)、硫黄酸化物(SO
x)等の有害ガスを、無毒の炭酸ガス(CO
2)と水(H
2O)等とに分解することができる。また、大腸菌等を滅菌・殺菌することも可能である。
【0113】
前記多孔質材料としては特に限定されず、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等が挙げられる。これらの多孔質材料は1種単独で、または2種以上を併用することができる。また、多孔質材料を用いることにより、その孔の空隙内にガスを取り込むことができ、高いガス吸着能力等を有する。その結果、例えば、トルエン(C
6H
5CH
3)、ホルムアルデヒド(HCHO)、アセトアルデヒド(CH
3CHO)、その他の揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)等の有害ガスを多数吸着等させることができる。
【0114】
前記複合体としては、前記多孔質材料が前記触媒を、その細孔や表面に担持したものが挙げられる。
【0115】
次に、前記構成の有害物質除去用フィルター40における有害物質除去方法について説明する。
図5(a)に示すように、有害物質を含む気体又は液体等の流体が、筒状構成体41における一方の開口部としての流入開口部40aから流入され、有害物質除去モジュール42にて有害物質が除去された後、他方の開口部としての排出開口部40bから排出される。
【0116】
筒状構成体41の内壁面41aには、ブラシ状に起毛された有害物質除去機能を有する有害物質除去モジュール42が設けられているので、有害物質は有害物質除去モジュール42によって除去され、有害物質除去後の気体又は液体は、筒状構成体41における排出開口部40bから排出される。したがって、簡単な構成の有害物質除去用フィルター40を実現することができる。
【0117】
前記構成の有害物質除去用フィルター40は、非常に低圧力損失ながらも高い比表面積の機能部位を持ち、従来フィルターとして一般的に用いられている有害物質除去モジュール42を有しないハニカムの構造体と比較しても非常に高い機能を有している。また、従来、流体の移送手段としか考えられていないパイプやチューブ等の部材に、本実施の形態の有害物質除去用フィルター40を適用することにより、移送のみならず有害物質除去の効果も得られる。
【0118】
さらに、本実施の形態の有害物質除去用フィルター40をエアコンやクリーンルーム装置、純水装置、ケミカルフィルター等の有害物質を除去する化学物質処理システムに適用した場合、この有害物質除去用フィルター40は流体中の有害物質を効率的に吸着・分解・殺菌して除去することが可能なデバイスとなり、有害物質の除去が可能な高機能の化学物質処理システムを提供することができる。また、本実施の形態の有害物質除去用フィルター40を化学プラント装置等の化学物質処理装置に適用すれば、この有害物質除去用フィルター40は高品位な触媒・吸着剤を担持したデバイスであり、効率的な化学合成や精製を行う化学プラント装置等の化学物質処理システムを提供することができる。これにより、生成物と触媒・吸着剤粒子とを分離する手間や、触媒・吸着剤の表面積不足による効率の悪さを大幅に改善することができる。
【0119】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0120】
(粒子の平均粒径の測定)
ブラシ毛に熱融着させる粒子の平均(最大)粒径は、レーザー回折・錯乱法により測定した。測定装置としては、粒度分布測定装置((株)島津製作所製、商品名;SALD−7100)を用いた。
【0121】
(粒子の被覆率)
ブラシ毛に露出して熱融着された粒子の被覆率は、次の通りにして算出した。すなわち、粒子を熱融着する前のブラシ毛10本をレーザーマイクロスコープ(キーエンス(株)製、商品名;VK−8700)の測定により、表面の凹凸の高さを測定した。このときの測定は、100倍の対物レンズを用いて前記のブラシ毛の高さデータを採取し、長手方向100μm幅の任意の線領域について線粗さ(Ra)を測定した(JIS B0601:1994 カットオフ値:0.08mm)。この測定により得られた線粗さ(Ra)値の平均値を熱融着前のブラシ毛の線粗さ(Ra)の基準値とした。次に、粒子の熱融着後のブラシ毛について前記の測定と同様の方法で線粗さ(Ra)を測定した。この測定結果において熱融着前の線粗さ(Ra)の基準値との変化率が200%以上あることをこの測定領域で粒子により熱融着されているかの基準とした。続いて、この測定を1本のブラシ毛の中で任意の10点で行い、前記基準において熱融着された領域が何点あるかを確認した。この領域の割合により被覆率を算出した。更に熱融着後の任意のブラシ毛100本において同様の測定を行い、被覆率が基準を満たしているブラシ毛の割合を算出した。
【0122】
(曲げ剛性)
ブラシ毛の曲げ剛性EI(Eは縦弾性係数であり、Iは断面二次モーメントである。)は、ブラシ毛の曲げ剛性による平板に対する加圧荷重により測定した。具体的には温度25℃、湿度60%Rhの環境下で、ロール状のブラシの芯金を回転治具に固定した。このブラシに対してブラシ毛が1mmの食込むように精密天秤((株)島津製作所製、商品名;AUX320)にセットした厚み1mmのガラス平板に接触させた。尚、ガラス平板は前記食込み量での5cm幅分のブラシ毛の荷重がかかるように精密天秤にセットした。更に100rpmの回転数でブラシを60秒間、回転させ、この時のガラス板に掛かる荷重を、1秒おきに測定し、この測定値の平均値によりブラシ毛の加圧荷重を求めた。尚、各実施例、比較例および従来例のブラシ毛における測定値は、下記表1に示す。
【0123】
(曲げ剛性の変化率)
曲げ剛性の変化率は、粒子を熱融着する前のブラシ毛の曲げ剛性および熱融着後のブラシ毛の曲げ剛性を前記の通り測定し、下記式を用いて算出した。
(曲げ剛性の変化率)=(熱融着後の曲げ剛性)/(熱融着前の曲げ剛性)×100(%)
【0124】
【表1】
【0125】
(実施例1)
本実施例においては、ブラシとして、パイル織物をシャフトに巻き付けたロールブラシを用いた(
図2参照)。パイル織物に用いられている繊維(ブラシ毛)は、芯部が融点250℃の疎水性のポリエステルからなり、鞘部が融点160℃のポリエチレンテレフタレートからなる(商品名「メルセット」、ユニチカ株式会社製)。また、ブラシ毛の直径(繊維径)は約25μm(繊度5.8デシテックス(dtex))、長さは5mmであった。さらに、ブラシ毛の密度は1×10
5フィラメント(F)/inch
2であった。本実施例に於いては、このようなロールブラシ用いて、
図3に示す工程図に従い本実施例に係るブラシの作製を行った。
【0126】
すなわち、先ず、イソプロピルアルコール(IPA)からなる分散媒に、粒子として粒径範囲が3〜8μmであり平均最大粒径が5μmの炭化珪素(SiC)を5質量%の濃度で分散した分散液を作製した。この分散液をロールブラシのブラシに刷毛塗りにより十分量塗布した。更に、ブラシを回転させながら絞りを加え、シャフトに巻きつけたパイル織物の重量と同量の分散液がブラシに付着している状態にした。次に、分散液を塗布したブラシ毛を繊維同士が密着しないように毛割りを加えながら乾燥させた。このときの乾燥温度は60℃とし、乾燥時間は30分間とした。
【0127】
尚、粒子の平均最大粒径は、ブラシ毛の直径よりも小さく、本実施例では、粒子の平均最大粒径はブラシ毛の繊維径の20.0%となっている(すなわち、ブラシ毛の繊維径に対して40%以下の範囲内である)。
【0128】
次に、乾燥後のロールブラシをオーブンに入れて高温で加熱した。このときの加熱条件は、加熱温度165℃、加熱時間30分間とした。これにより、鞘部のみを熱溶融させて粒子を熱融着させた。その後、エアーを吹き付けることにより、熱融着していない粒子を除去した。
【0129】
以上のようにして得られた本実施例に係るブラシ(表2参照)について、電子顕微鏡を用いて粒子の熱融着の状態およびブラシ毛の開繊の状態を観察した。結果を
図8および
図9(a)に示す。
図8はブラシ毛に粒子が熱融着された状態を表す電子顕微鏡写真であり、
図9(a)はブラシ毛の開繊の状態を表す顕微鏡写真である。
図8から分かる通り、ブラシ毛の表面には、粒子が熱融着により被覆していることが確認された。また、
図9(a)から分かる通り、近接するブラシ毛同士が熱融着することなく開繊した状態にあることが確認された。尚、本実施例においては、上記のレーザーマイクロスコープの測定をブラシ毛1本当り10点行い、100本のブラシ毛に繰り返した所、50%以上被覆されているブラシ毛の割合は、100%であった。
【0130】
(実施例2)
本実施例に於いては、前記実施例1における分散液の分散媒を純水に替え、さらに、その後のブラシ毛の乾燥の際に毛割りを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。このようにして得られた本実施例に係るブラシにおけるブラシ毛の開繊の状態を電子顕微鏡にて観察した。結果を
図9(b)に示す。
図9(b)は、ブラシ毛の開繊の状態を表す顕微鏡写真である。同図から分かる通り、近接するブラシ毛同士が一部熱融着している部分はあるものの、ブラシ毛同士は開繊した状態にあり、問題がないことが確認された。尚、本実施例においては、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の本数は、その総本数の90%であった。
【0131】
(実施例3)
本実施例に於いては、前記実施例1と比較して、粒子を平均最大粒径が0.1μmの多孔質シリカゲルに替え、ブラシを後述の通りに替えたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。尚、多孔質シリカゲルは有色の物を用いた。
また、ブラシとしては、芯部が融点250℃の疎水性のポリエステルからなり、鞘部が融点160℃のポリエステルからなるブラシ毛を備え、植毛密度50×10
3フィラメント(F)/inch
2にて植毛したクリーニングブラシを用いた(
図6参照)。また、ブラシ毛の直径(繊維径)は30μm(繊度8.5デシテックス(dtex))、長さは5mmであった。尚、前記粒子は、クリーニングに適した性質とガス吸着性とを併せ持つ略球形状の多孔質シリカゲルを用いた。
本実施例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の93%であった。
【0132】
(実施例4)
本実施例に於いては、前記実施例3と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理を行ったこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。粒子の被覆率を下げる為の処理として具体的には、100rpmで回転させたブラシに0.05MPaの圧力に調整したエアーがブラシ長手方向全面に当たるように30cmの距離を空けて1分間吹き付けた。また、ブラシ毛および粒子については、前記実施例3と同様のものを用いた。本実施例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の73%であった。
【0133】
(比較例1)
本比較例においては、前記実施例4と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理において、エアーを吹き付ける距離を30cmから10cmに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の60%であった(表3参照)。
【0134】
(比較例2)
本比較例においては、前記実施例4と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理において、エアーの圧力を0.05MPaから0.1MPaに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の40%であった(表3参照)。
【0135】
(比較例3)
本比較例においては、前記実施例3と比較して、粒子を分散した分散液の濃度を5質量%から1質量%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の10%であった(表3参照)。
【0136】
(比較例4)
本比較例においては、前記実施例3と比較して、粒子を分散した分散液の濃度を5質量%から0.5質量%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の5%であった(表3参照)。
【0137】
(従来例1)
本従来例においては、鞘部を熱溶融させず、ブラシ毛に粒子を熱融着させなかったこと以外は、実施例3と同様にして、本従来例に係るブラシを作製した。
【0138】
【表2】
【0139】
(ブラシ毛同士の非接着状態)
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のそれぞれブラシについて、ブラシ毛同士の非接着状態をそれぞれ目視にて観察した。その結果、下記表3に示すように、実施例3および4においては、ブラシ毛同士における非接着の程度は良好であり、ブラシ毛同士の接着は少なく、曲げ剛性の変化率も低い為、製品として実用に耐えるものであった。すなわち、
図10(a)に示すように、粒子がブラシ毛の全体に熱融着し、各ブラシ毛が均一に黒々としていることが把握できる。
【0140】
これに対して、比較例1〜比較例4においては、
図10(b)に示すように、ブラシ毛同士の熱融着が多く、複数のブラシ毛が束状に凝集していることが観察され、曲げ剛性の変化率も高い為、製品としての実用には耐えないものであった。この結果、70%以上のブラシ毛が粒子により表面積の50%以上を被覆されている状態が、ブラシ毛同士の熱融着が小さいと判断されるものであることが判明した。
【0141】
【表3】
【0142】
(クリーニング性能)
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のブラシについて、それぞれクリーニング性能の確認実験を行った。実験では、前記のブラシ毛同士における非熱融着の程度の確認実験を行ったときの各試験体を用いて、ブラシをシャフトに巻いてクリーニングブラシとして使用して場合の、画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数について確認した。具体的には、
図11に示すように、感光体にクリーニングブラシを当接し、画像を用紙に印刷し、画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数を確認した。
【0143】
その結果を、
図12に示す。
図12は、各試験体での画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数を示すものである。
図12に示すように、画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数は、実施例3では21000枚、実施例4では20000枚であった。一方、比較例1では10000枚、比較例2では6000枚、比較例3では7000枚、比較例4では6000枚であり、従来例1では6000枚であった。この結果、実施例3、実施例4では、比較例1〜比較例4、および従来例1に比べて、各試験体での画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数が増加することが把握できた。
【0144】
(フィルター耐久性能)
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のブラシについて、それぞれフィルター耐久性能についての確認実験を行った。実験では、前記のブラシ毛同士における非熱融着の程度の確認実験を行ったときの各試験体を
図7(a)、7(b)に示す円形からなる筒状構成体41の内壁面41aに貼って有害物質除去モジュール42とし、この有害物質除去モジュール42にトルエンガスを通気させ、通気後の濃度を測定した。具体的には、通気後30分毎にトルエンガス濃度を測定し、吸着性能が50%以下に低下するまでの時間を測定した。
【0145】
その結果を
図13に示す。
図13は、各試験体でのトルエンの吸着性能が50%以下に低下するまでの時間を示すものである。
図13に示すように、各試験体でのトルエンの吸着性能が50%以下に低下するまでの時間は、実施例3では390時間、実施例4では360時間であった。一方、比較例1では210時間、比較例2では150時間、比較例3では180時間、比較例4では150時間、従来例1では0時間であった。この結果、実施例3、実施例4では、比較例1〜4および従来例1に比べて、トルエンの除去性能が長時間維持でき、優れていることが把握できた。
【0146】
(実施例5〜7)
本実施例5〜7に於いては、前記実施例3と比較して、平均最大粒径がそれぞれ1.5μm、6μm、12μmの粒子に替えたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。但し、粒子の平均最大粒径は、表2に示すように、実施例5では平均最大粒径1.5μm(繊維径の5%)、実施例6では平均最大粒径6μm(繊維径の20%)、実施例7では平均最大粒径12μm(繊維径の40%)とした。また、実施例5〜7により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、それぞれ総本数の100%、85%、74%であった。
【0147】
(実施例8)
本実施例8に於いては、前記実施例3と比較して、ブラシ毛として鞘部の厚さが1μmのものを用い、粒子として平均最大粒径が6μmのものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。
(実施例9)
本実施例9に於いては、前記実施例3と比較して、粒子として平均最大粒径が0.02μmのものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。
【0148】
(比較例5、6)
本比較例5、6に於いては、前記実施例3と比較して、平均最大粒径がそれぞれ18μm、24μmの粒子を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。
【0149】
(摩擦堅牢性およびブラシ毛同士の非接着状態)
前記実施例5〜9、および比較例5、6のブラシについて、それぞれブラシ毛に熱融着した粒子の摩擦堅牢性についての確認実験を行った。具体的には、食込み量1mmでブラシを白布に押し当てたまま回転させて2時間後の白布への色移りを目視にて観察した。
【0150】
実験の結果、
図14に示すように、実施例5〜7及び実施例9では粒子の白布への色移りはなく、実施例8においても色移りは僅かであった。これに対して、比較例5、6では粒子の白布への色移りがあった。この結果、ブラシ毛に熱融着させる粒子の平均最大粒径は、ブラシ毛の直径(繊維径)の40%以下が好ましいことが把握できた。すなわち、ブラシ毛に熱融着させる粒子の平均最大粒径が、比較例5、6のようにブラシ毛の直径の40%を越える場合には、粒子の白布への色移り発生する。このことは、粒子の平均最大粒径が直径の40%を越える場合には、鞘部からの粒子の露出度が大きくなり過ぎ、対向物との接触によって、容易に剥れる可能性がある。この点、ブラシ毛に熱融着させる粒子の粒径が直径の40%以下である場合には、ブラシを対向物に接触させても、容易に剥れることはなく、摩擦堅牢性が高いものとなる。
【0151】
また、ブラシ毛同士の非接着状態については、下記表4に示すように、実施例5〜9においては、曲げ剛性の変化率から見て若干の良し悪しはあるもものブラシ毛同士における非接着の程度はおおむね良好であり、ブラシ毛同士の接着は少なく、変化率も低い為、製品として実用に耐えるものであった。これに対して、比較例5および6においては、ブラシ毛同士の熱融着が多く、複数のブラシ毛が束状に凝集していることが観察され、変化率も高く、製品としての実用には耐えないものであった。
【0152】
【表4】
【0153】
(実施例10、11)
本実施例10、11に於いては、前記実施例5と比較して、分散液の分散媒を下記表5に示す通りに変更したこと以外は、実施例5と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した。
【0154】
(分散媒の種類に関する評価)
実施例5および10の様に、分散媒として水よりも表面張力の小さい溶媒を用いた場合には、ブラシ毛の乾燥工程でのブラシ毛の開繊を容易にして、開繊効率を向上させることができた。その結果、ブラシ毛同士の熱融着を一層防止し、曲げ剛性の変化率も低くできることが確認できた。
【0155】
【表5】
【0156】
(比較例7)
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、ブラシ毛として鞘部がなくPETからなるものを用い、粒子をブラシ毛に固着させると方法として、バインダー(日本合成化学工業(株)製、商品名;ニチゴーポリエスター)により接着させた。それ以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、前記バインダーをその濃度が全質量に対し2質量%となる様に配合した分散液を調製し、この分散液をブラシ毛に塗布した。その後、乾燥させて粒子をブラシ毛に接着させた。
【0157】
(比較例8)
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、粒子をブラシ毛に固着させると方法として、粒子を加熱してブラシ毛に固着させた。それ以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、アルミナからなる粒子をシャーレの中に入れ、当該粒子を165℃に加熱した。次に、このシャーレの中に、実施例1におけるブラシ毛を入れ、シャーレに蓋をして、手に持ち、上下に5回振ってから、粒子を固着させたブラシ毛を素早く取り出した。次に、固着しなかった粒子を水で洗浄して、本比較例に係るブラシ毛を得た。
【0158】
(比較例9)
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、ブラシ毛としてポリビニルアルコールからなる親水性の繊維を用い、粒子の熱融着の方法として熱水処理を行ったこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、ブラシ毛を分散液に塗布した後に、70℃で乾燥して粒子を付着させた。次いで、粒子が付着したブラシ毛を95℃に加熱した熱水に入れて20分間熱水処理をして乾燥した。
【0159】
(固着方法に関する評価)
下記表6から分かる通り、比較例7〜9においては、露出して熱融着された粒子による被覆率が50%以上となったブラシ毛は、総本数に対し、それぞれ40%、0%、30%であった。また、比較例9においては、粒子をブラシ毛に付着させる際に、熱水処理を行ったことから、ブラシ毛にクリンプ収縮が生じた。
【0160】
一方、実施例5のブラシ毛においては、熱水処理を行っていないのでクリンプ収縮を生じることはなかった。また、ブラシ毛として疎水性の合成繊維を用いても、露出して熱融着された粒子による被覆率が50%以上となったブラシ毛は、総本数に対し100%であった。
【0161】
また、実施例5、比較例7〜9については、前記と同様の摩擦堅牢性についての確認実験も行った。その結果、表6に示すように、実施例1では粒子の白布への色移りはなかった。これに対して、比較例7〜9では粒子の白布への色移りがあった。
【0162】
【表6】