(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組立体の連結体は、前記トップカバー片同士が同一の大きさに形成され、前記ボトムレール片同士が同一の大きさに形成され、前記ピニオンギヤ同士が同一の大きさに形成され、前記ラック部材片同士が同一の大きさで形成されている請求項1又は2に記載の可動ルーバー回転機構の組立体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の第1の実施形態による可動ルーバー建具が取付枠に装着されている状態、
図2には可動ルーバー建具単体の外観、
図3には本発明の一実施形態に係る可動ルーバー建具の分解斜視状況、
図6には回動機構部の外観、
図7には本発明の一実施形態に係る可動ルーバー建具の要部正面視状況、
図8には
図7中のV−V線矢視状況、
図9には
図7中のVI−VI線矢視状況、
図10にはピニオンギヤとラックギヤとの関係を表す斜視状況、
図11には可動ルーバーの開閉位置とラック部材との関係を表す概念状況、
図12にはラックギヤの配設状況を説明するラック部材の外観、
図13には可動ルーバーの取り外し状況を説明する可動ルーバー建具の要部外観が示されている。
【0016】
図1(a)に示すように、4つの可動ルーバー建具(以下、単に可動ルーバー建具をルーバー建具ともいう)11は、取付枠100に装着され、各々のルーバー建具11は、
図1(b)に示すように、左右にスライドが可能になっている。なお、ルーバー建具11は、前側の一対のルーバー建具11aと後側の一対のルーバー建具11bとで構成されているが、これらを総称してルーバー建具11とする。また、本実施形態では、ルーバー建具11a,11bはスライドドアであるが、壁若しくは窓枠などに固定されている状態のものも含む。
本実施形態のルーバー建具11は、長尺板状の可動ルーバー4を備え、可動ルーバー4の端部が枠体である縦枠(スタイル)1にそれぞれ回動自在(若しくは傾動自在)に支持されている。そして、可動ルーバー4は上下方向に複数配設され、互いに平行な状態を維持し、同期して回動されるようになっている。可動ルーバー4の回動操作は、いずれかの可動ルーバー4の上部もしくは下部を手で押し引きすることで行なわれる。一対の縦枠1の上部同士及び下部同士は横枠(以下、レールと呼ぶ)2により連結され、四角の枠型に可動ルーバーが備えられた可動ルーバー建具とされている。
なお、可動ルーバー4、縦枠1,横枠2は、木製、アルミニウム等の金属あるいはプラスチック等の樹脂などの材料で形成される。
【0017】
図2に基づいて可動ルーバー建具の概要を説明する。
図2(a)は可動ルーバーが閉じられた状態、
図2(b)は可動ルーバーの上部が内側に傾けられた状態、
図2(c)は可動ルーバーの上部が下側に傾けられた状態である。
図2に示すように、本実施形態のルーバー建具11は、枠材としての互いに平行な一対の縦枠1及び縦枠の上部同士、下部同士をそれぞれ連結する横枠(レール)2により、枠体3が形成されている。一対の縦枠1の間には可動ルーバー4が上下方向に等間隔で複数が備えられ、互いに平行に配設され、可動ルーバー4の長手方向の端部がそれぞれ縦枠1に回動自在に支持されている。
一方側(
図2中右側:可動ルーバー4の一端側)の縦枠1には連結組立式機構部8(
図9:詳細は後述する)が備えられ、複数の可動ルーバー4の一方側の端部は連結組立式機構部8の連動機構により連動して回動される状態に支持されている。また、連結組立式機構部8は複数の可動ルーバー4の回動位置(若しくは傾動状態)を同期して保持する機能を備えている。
他方側(
図2中左側:可動ルーバー4の他端側)の縦枠1には回動支持部6(
図8:詳細は後述する)が備えられ、複数の可動ルーバー4の一端部は回動支持部6を介して回動自在に軸支されている。
【0018】
図2に示したルーバー建具11で可動ルーバー4の回動操作を行なう場合、いずれかの可動ルーバー4の上部もしくは下部を手で押し引きすることで行なわれる。
即ち、
図2(a)に示すように、可動ルーバー4が閉じられた状態から可動ルーバー4の上部を引き操作、もしくは、下部を押し操作することで、
図2(b)に示すように、可動ルーバー4の上部が内側に傾けられて回動位置が保持された状態になる。この状態で、例えば、外部からの視野を遮断した状態で外部の光が採り込まれる。
【0019】
また、
図2(a)に示すように、可動ルーバー4が垂直方向に向けられて閉じられた状態から可動ルーバー4の上部を大きく引き操作、もしくは、下部を押し操作することで、可動ルーバー4が水平方向に傾けられて水平状態が保持された状態になる。この状態で、例えば、外部への視野を確保した状態で外部の光が採り込まれる。
図2(a)に示すように、可動ルーバー4が閉じられた状態から可動ルーバー4の上部を更に大きく引き操作することで、
図2(c)に示すように、可動ルーバー4の上部が下側に傾けられて回動位置が保持された状態になる。この状態で、例えば、外部からの視野を遮断した状態で外部の光が充分に採り込まれる。
【0020】
図3〜
図10に基づいて前述した回動支持部6及び連結組立式機構部8を含めたルーバー建具11の構成を詳細に説明する。
一方側の縦枠1の内側縁には上下方向に矩形溝7が収容され、矩形溝7には上下方向に延びる連結組立式機構部8が収容されている。
図3、
図7に示すように、他方側の縦枠1の内側縁には上下方向に凹溝5が形成され、凹溝5には上下方向に延びる回動支持部6が収容されている。
【0021】
先に、回動支持部6を説明する。
図3、
図7、
図8に示すように、他方側の縦枠1(可動ルーバー4の他端側)の凹溝5には断面が四角形で柱状のブッシュホルダー15が嵌合している。ブッシュホルダー15は複数のブッシュホルダー片15aで形成され、1つのブッシュホルダー片15aは1つの可動ルーバー4に対応し、各ブッシュホルダー片15aは、同一の大きさ、形状を有する。各ブッシュホルダー片15aには、保持穴16が形成されている。ブッシュホルダー片15は、1つのブッシュホルダー片15aの長さを基準にして、複数を一体的に形成してもよい。例えば、ブッシュホルダー片15aの2つを一体的に形成したものは、可動ルーバー4の支持間隔に応じた位置に保持穴16が2つ形成される。
この保持穴16には筒状のブッシュ17がそれぞれ嵌合し、ブッシュ17には圧縮コイルバネ18により突出側に付勢される支持ピンとしてのピン19がそれぞれ設けられている。可動ルーバー4の端部(他端側)にはピン穴20が形成され、ピン穴20にはピン19が付勢状態で嵌合して可動ルーバー4の端部が回動自在に支持される。
【0022】
ブッシュホルダー15、ブッシュ17及びピン19は樹脂製(プラスチック製)とされ、例えば、射出成形又は圧縮成形により作製された成型品とされている。
ブッシュホルダー15を用いて可動ルーバー4の端部を支持するピン19を縦枠1に設けるようにしたので、後述する連結組立式機構部との間隔を高い精度に維持することが可能になる。つまり、縦枠1に直接ピン19を設ける場合に比べ、穴あけ加工の工数及び時間が不要になり、製造時間を短くすることが可能になり、位置の誤差をなくして製造精度を向上させることができる。
【0023】
次に、連結組立式機構部8を説明する。
図3〜
図10に示すように、一方側(可動ルーバー4の一端側)の縦枠1には、連結組立式機構部8が配設される横断面が四角形状の縦溝である矩形溝7が形成され、矩形溝7は可動ルーバー4が配設される側が開口されている。
連結組立式機構部8には、ボトムレール21、トップカバー23、ラック部材24及びピニオンギヤ33が設けられている。
長尺板状のボトムレール21は、ピニオンギヤ33の回転軸を支持し、矩形溝7の底部を縦枠1に沿って上下方向に亘って配設されている。ボトムレール21は複数のボトムレール片21a同士が連結されることにより形成されている。
【0024】
このボトムレール21を構成するボトムレール片21aは、ボトムレール21の長手方向に分割され、本実施形態では各ボトムレール片21aの形状、大きさは等しく形成されている。ボトムレール片21aは、横断面形状が厚さが薄い略ハット型であり、各ボトムレール片21aの一端部(ボトムレール21の長手方向に対する)に接続部としての接続片21bを一体成形によって形成し、接続片21bの表面には円形突起21cが形成されている。一方、各ボトムレール片21aの他端部の裏面に接続片21bを受け入れる受け部を形成し、受け部には円形突起21cが嵌合する係止部としての円形孔21dが形成されている。
接続片21bを隣接する他のボトムレール片21aに形成した受け部に組み込んで、円形突起21cを円形孔21eに嵌合することによって、複数のボトムレール片21aを縦枠1の延在方向へ連結することができる。ボトムレール片21aが連結されたボトムレール21は、ボトムレール21の長手方向と直角方向に形成した円形突起21cを円形孔21dに嵌合することによって、ボトムレール21の長手方向に対する引っ張り力に抗する力が維持される。
【0025】
ボトムレール21には断面コ字形で長尺のトップカバー23が被せられ、トップカバー23は、複数のトップカバー片23aによって構成されている。本実施形態では各トップカバー片23aの形状、大きさは等しく形成されており、底面23bと底面23bから垂直方向に立設する一対の側面23cから形成され、底面23bが矩形溝7の開口を覆う位置に配設されている。トップカバー片23aには、底面23bに円形の貫通孔35が形成され、側面23cには、止め孔23dが形成されている。この止め孔23dは、ボトムレール片21aに形成した突起21gに係止可能であり、複数のトップカバー片23aがボトムレール片21aに取付けられることによって、ボトムレール21は連続して延在するように形成されている。
本実施形態では、縦枠1の延在(長手)方向における長さに対して、トップカバー片23aは、ボトムレール片21aの本体部(接続片21bを除く部分)と同じ長さで形成されている。
【0026】
トップカバー23がボトムレール21に組み付けられた状態で、ボトムレール21の幅方向の両端部にはレール溝26a(
図9)が形成されている。また、トップカバー23の底部内側の幅方向両端部にはレール溝26b(
図9)が形成されている。これらのレール溝26a,26b間に亘り長尺板状のラック部材24が縦枠1の長手方向へ往復移動自在にそれぞれ嵌入されている。
ラック部材24は複数のラック部材片24aで構成され、ラック部材片24aは、ラック部材24の長手方向に分割され、本実施形態では各ラック部材片24aの形状、大きさは等しく形成されている。各ラック部材片24aの一端部(ラック部材24の長手方向に対する)に突出片24bを一体成形によって形成し、突出片24bの表面には円形突起24cが形成されている。一方、各ラック部材片24aの他端部の裏面に突出片24bを受け入れる受け部24dを形成し、受け部24dには円形突起24cが嵌合する円形孔24eが形成されている。
【0027】
このような構成により、突出片24bを他のラック部材片24aに形成した受け部24dに組み込んで、円形突起24cを円形孔24eに嵌合することによって、複数のラック部材片24aを縦枠1の延在方向へ連結することができる。ラック部材片24aが連結されたラック部材24は、円形突起24cを円形孔24eに嵌合することによって、ラック部材24の長手方向に対する引っ張り力が強化され、ラック部材片24aが外れることがない。上述したように、トップカバー23の底部内側の幅方向両端部にはレール溝26b(
図9)が形成されており、これらのレール溝26a,26b間にラック部材24が嵌入されるので、ラック部材片24aが外れる方向への移動が規制される。こうして
、ボトムレール片21a、トップカバー片23a及びラック部材片24aが連結されることにより、長尺のラック部材24がボトムレール21及びトップカバー23の長手方向に亘って配設される。
本実施形態では、縦枠1の延在(長手)方向における長さに対して、ラック部材片24aの本体部(突出片24bを除く部分)は、ボトムレール片21aの本体部(接続片21bを除く部分)と同じ長さで形成されている。
一対のラック部材24は対向して移動自在に配設され、各ラック部材片24aのピニオンギヤ33が配設される側の対向面の中間位置には、該ピニオンギヤ33の歯と噛み合うラックギヤ25の歯がそれぞれ長手方向に形成されている(
図10)。
このようなボトムレール片21a、トップカバー片23a及び
ピニオンギヤ33の各々の1つ
と一対のラック部材片24aを組立体として組み付けることで、それらの部材の1ユニットが構成される。これらの個々部材の精度を高めることによって、全体として精度が高い長尺状のボトムレール21、トップカバー23及びラック部材24が構成される。
【0028】
可動ルーバー4の上下の配置間隔に応じてピニオン部材31が等間隔に配設され、ピニオン部材31は可動ルーバー4の端部(一端側)の支持穴32に連結するようになっている。ピニオン部材31は、ピニオンギヤ33と該ピニオンギヤ33の一端側軸部としてのピン筒34とが一体に設けられ、可動ルーバー4の回動軸周りに回動中心を有し縦枠1に収容されるようになっている。
即ち、
図10に示すように、一つのラックギヤ25は可動ルーバー4の回動に必要な歯数(例えば7歯)で構成され、一対のラック部材24の各組のラックギヤ25の間にピニオンギヤ33がそれぞれ噛み合った状態で配置されている。
一組のラックギヤ25は可動ルーバー4の回動に必要な歯数で構成されているので、ラックギヤの歯形状のピッチに拘わらず、所定の間隔(ピッチ)で可動ルーバー4の配置間隔(ピニオンギヤ33の配置間隔)を設定することができる。
【0029】
即ち、連続した歯が形成されたラックギヤの場合では、歯の形状や大きさにより可動ルーバー4の配置間隔(ピニオンギヤ33の配置間隔)が決まってしまい、累積精度を求めることが困難であるが、ピニオンギヤ33毎に一組のラックギヤ25を噛み合せる構成にして、隣接する組のラックギヤ25の間隔を所定の間隔に設定することで、可動ルーバー4の配置間隔(ピニオンギヤ33の配置間隔)を任意の所定の間隔に設定することが可能になる。
尚、一対のラック部材24の間にピニオン部材31を配置した構成としたが、ラック部材24はトップカバー23の側面23cの一方側にのみ設けることも可能である。ラック部材24が一方側にのみ設けられた場合でも、一組のラックギヤ25は可動ルーバー4の回動に必要な歯数(例えば7歯)で構成されるので、ラックギヤの歯形状のピッチに拘わらず、任意の間隔(ピッチ)で可動ルーバー4の配置間隔(ピニオンギヤ33の配置間隔)を設定することができる。
また、ラック部材を一体成形して一本の部材を用いると、ピニオンギヤとラックギヤとのピッチ間隔があわず、可動ルーバーを回動させるときに、円滑さが失われるのが実状である。しかしながら、本願発明のように、ラック部材片24aを連結して用いたものは、ラックギヤ25とピニオンギヤ33とのピッチが一致するため、可動ルーバー4を回動させるときに、円滑に操作できるようになる。
【0030】
トップカバー23の底面にはピニオン部材31のピン筒34の端面が臨む貫通孔35が形成され、ピン筒34の端面には2つの回動ピン36が設けられている。ピン穴20に対応する位置の可動ルーバー4の端部(一端側)には2つの支持穴32が形成され、支持穴32にはピン筒34の2つの回動ピン36が嵌合している。そして、
図3、
図10に示すように、一対のラック部材24の複数のラックギヤ25は、ピニオン部材31に対応した間隔で、即ち、可動ルーバー4の配置間隔に対応して設けられ、各ラック部材片24aの1つのラックギヤ25が1つのピニオン部材31のピニオンギヤ33にそれぞれ噛み合っている。
【0031】
ラック部材24がピニオンギヤ33の両側に備えられ、ピニオンギヤ33は一対のラックギヤ25に挟まれた状態になっている。このため、ピニオンギヤ33とラックギヤ25の噛み合いが適度な抵抗となって、ピニオンギヤ33の回動角度が維持される。即ち、可動ルーバー4を回動させて手を離した位置が可動ルーバー4の回動角度になるよう維持される。
ボトムレール21、トップカバー23はそれぞれ樹脂製とされ、ラック部材24のラック部材片24a、ラックギヤ25はそれぞれ一体の樹脂製とされ、ピニオン部材31のピニオンギヤ33、ピン筒34、回動ピン36は一体の樹脂製とされ、それらは、例えば、射出成形又は圧縮成形により作製された成型品とされている。
【0032】
ラック部材24のラック部材片24aの複数組のラックギヤ25における一組のラックギヤ25は、例えば、
図12(a)に示すように、7歯で構成され、隣接する一組のラックギヤ25の中心の歯同士の間隔が、ピニオン部材31の上下の配置間隔(可動ルーバー4の上下の配置間隔)と等しい寸法(例えば、26mm)に設定されている。一組のラックギヤ25同士には適宜の間隔が存在しているため、歯車のピッチによらない間隔で、可動ルーバー4の上下の配置間隔と等しい寸法の間隔で複数組のラックギヤ25を作製することが可能になる。
【0033】
また、隣接する一組のラックギヤ25の中心の歯同士の間隔を任意に設定することにより、任意の種類の幅の可動ルーバー4に対応することができる。また、使用するラックギヤ25の組を適宜選択することで、一つのラック部材24で複数の幅の可動ルーバー4に対応することができる。
例えば、
図12(a)に示した例では、隣接する一組のラックギヤ25の中心の歯同士の間隔が、例えば、26mmに設定され、26mm間隔の幅、52mm間隔の幅、78mm間隔の幅の可動ルーバー4に対応することができる。
【0034】
図1、
図14を参照にして、ルーバー建具11は、取付枠100の上枠100aに2本のガイド溝70が設けられ、各ガイド溝70には、各々2つのルーバー建具11が配設されている。ガイド溝70は上方へ窪む凹断面形状であり、横枠2の上端部に上方へ突出するに嵌め込まれている。なお、図示は省略するが、ルーバー建具11の下部についても、取付枠100のガイド部に案内されて、ルーバー建具11は横方向に引き戸としてスライドが可能な構造になっている。
ルーバー建具11のラック部材24は、上述したようにラック部材片24aを複数連結させている。一対のラック部材24のうち、一方のラック部材24の最も上方位置に連結されているラック部材24a片には、材質の硬い、例えば金属製のストッパピン72の下端部が連結されている。ストッパピン72は円柱形状であり軸を上下方向に向け、ラック部材24の上端部から直上方へ立設されている。
【0035】
取付枠100がルーバー建具11によって閉塞されている位置において(
図1(a)参照:窓枠の閉じ状態)、且つストッパピン72の位置の直上方に対応させた位置の上枠100aには、断面が円形のストッパ孔73が上枠100aの下面から上方へ形成されている。ピニオンギヤ33と噛合する一対のラック部材24のうち、一方のラック部材24のみストッパピン72が設けられ、他方のラック部材24の上端部には、ストッパピン72は連結されていない。
図14(a)に示す状態では、可動ルーバー4は閉位置(可動ルーバー4は垂直方向に向いている)にあり、上下動する一対のラック部材24は同じ高さ位置(この高さを中間位置ともいう)に配設され、この状態ではストッパピン72の上端が、横枠2の上面を僅かに上方へ越え、上枠100aの底面より下の位置に位置付けられる。
可動ルーバー4が閉位置から開位置まで移動すると、可動ルーバー4は水平方向へ向き、可動ルーバー4に連結されているピニオンギヤ33が可動ルーバー4と連動して回動する。すると、
図14(b)に示すように、ピニオンギヤ33と噛み合っているラックギヤ25(
図10参照)によって、ストッパピン72を有する一方のラック部材24が上昇し、ストッパピン72を有さない他方のラック部材24が下降する。一方のラック部材24の上昇に伴って、ストッパピン72が直上方に形成されているストッパ孔73に差し込まれる。このように、ストッパピン72がストッパ孔73に差し込まれることによって、ルーバー建具11は、横方向のスライド移動が阻止される。
再度、可動ルーバー4を閉位置に戻すと、ピニオンギヤ33が反対方向へ回動し、一方のラック部材24を
図1(a)に示す、中間(初期)位置に位置付ける。
【0036】
図15、
図16に示すように、縦枠1の一方には、可動ルーバー4(ピニオンギヤ)の回転動調節機構90が設けられている。回転動調節機構90は、可動ルーバー4の回転角度を固定したいときに、機能させるものである。
回転動調節機構90は、任意のピニオン部材31の他端側の軸部31aを延在させた延長部31bを形成し、該延長部31bはボトムレールの支持孔21aを貫通して縦枠1の矩形溝7の底部から縦枠1の内部まで延在させている。
縦枠1の内部には、挟持部材91が設けられ、挟持部材91にはほぼ平行な隙間95を形成した一対の挟持板92a,92bを設け、挟持板92a,92bの基端部93で連結されている。一方の挟持板92aには挿通孔94aが形成され、他方の挟持板92bにはネジ孔94bが形成され、これらの孔94a,94bは隙間95の形成方向に対して直角方向に向けて形成されている。上述した基端部93には大径孔94cが形成され、挟持板92a,92bの先端と大径孔94cの間のやや大径孔94c側には、軸孔94dが形成されている。軸孔94dには、ピニオン部材31の延長部31bの先端が挿通されている。
【0037】
挿通孔94a及びネジ孔94bには、調整ボルト96の軸97が挿通されている。挿通孔94aにはネジ山が形成されておらず、軸97はネジ孔94bと螺着される。調整ボルト96の軸97にはスリーブ98が配設され、スリーブ98の径は挿通孔94aの径よりも大きく、調整ボルト96の頭部99と挟持板92aとの間に配置される。頭部99にはスリット99aが形成され、スリット99aの幅は硬貨が入る厚さに形成し、硬貨によって調整ボルト96を回転させることができる。
調整ボルト96を締める方向へ回転させると、スリーブ98が挟持板92aを押圧し、隙間95の間隔が狭くなり、軸孔94dが調整ボルト93の延長部31bを強く挟着する。よって、ピニオンギヤ33の回動が阻止される。各ピニオンギヤ33はラック部材24と連動しているので、1つのピニオンギヤ33の動きを抑制することによって、ラック部材24と連動している全てのピニオンギヤ33の回動を阻止でき、この結果、可動ルーバー14の回動を抑制できる。このように、可動ルーバー14の回動を抑制することによって、風の強い日に可動ルーバー14が強風にふかれて、若しくは子供のいたずらなどで、可動ルーバー14の傾斜角が変更されるのを防止できる。
【0038】
次に、ルーバー建具11の可動ルーバー回転機構の第1の組立手順を説明する。
本組立て手順は、トップカバー片23a、ボトムレール片21a、ピニオン部材31及びラック部材片24aを1ユニットとして組立てる手順である。
図6、
図9、
図17を参照にして、トップカバー片23aをボトムレール片21aに組付ける。すなわち、ボトムレール片21aに形成した突起21gに、トップカバー片23aの側面23cに形成した止め孔23dにはめ込む。これにより、トップカバー片23aとボトムレール片21aによる矩形の筒体が完成する。トップカバー23がボトムレール21に組み付けられると、ボトムレール21にはレール溝26a,26b(
図9)が形成されるので、これらの一対のレール溝26a,26b間に、ラック部材24を差し込むことができる。
【0039】
そして、
図6に示すように、貫通孔35からピニオン部材31を差し込むことによって、ピニオン部材31のピン筒34が該貫通孔35に支持され、ピニオン部材31の他端である軸部31aがボトムレール片21aの支持孔21fに支持される。こうして、トップカバー片23a、ボトムレール片21a、ピニオン部材31及びラック部材24の組立体13が1ユニットとして組立てられる。
組立体13,13同士の組付けは、ボトムレール片21aの円形突起21を隣接する他のボトムレール片21aの円形孔21eに嵌合することによって、複数のボトムレール片21aを連結する。また、ラック部材片24aの円形突起24cを隣接する他のラック部材片24aの円形孔24eに嵌合することによって、組立体13,13同士が組み付けられる。
なお、ボトムレール片21aの円形突起21をボトムレール片21aの円形孔21eに嵌合するときは、それらの部材の外側から作業ができるが、ラック部材片24a同士の組付けは、それらの部材の内部になってしまうので、予めラック部材片24aを外で取付け、後からレール溝26a,26bに組み込めば容易組み付けることができる。
このように、トップカバー片23a、ボトムレール片21a、ピニオン部材31及びラック部材片24aを組立体13として1ユニットに扱うことによって、組立、修理、販売時において、1ユニット単位で扱える利点がある。
ボトムレール片21とトップカバー23を組付けた後は、
図9に示すように、ボトムレール片21は縦枠1の矩形溝7の底部に密着した状態で組み込まれるので、円形突起21が円形孔21eから抜けることがない。また、ラック部材24はレール溝26a,26bに組み込まれた状態であるので、ラック部材片24aの円形突起24cが円形孔24eから抜けることがない。
【0040】
上述したように、トップカバー片23a、ボトムレール片21a、ピニオン部材31及びラック部材片24aの各取付け、組立体13,13同士の組付けについて、接着剤などの固定具を使用していないので、それらの部材の取り外しについては、上述の逆の手順で個々の部品に分解することができる。
しかしながら、組立体13については、各構成部材を着脱可能にしたが、例えば、トップカバー片23aとボトムレール片21aを固定することは差し支えがない。
また、ピニオン部材31については、貫通孔35の内径よりも、ピニオン部材31の最大径をほぼ同じにして、外側からトップカバー片23aとボトムレール片21aによって形成された筒体内に差し込むようにしたが、ピニオン部材31の貫通孔35側の軸部について、胴部(貫通孔に支持されていない部分)を貫通孔35よりも大きくして、ピニオン部材31を貫通孔35から抜けないようにしてもよい。この場合は、ピニオン部材31をトップカバー片23aとボトムレール片21aの組込みと同時に行う必要がある。
【0041】
回動支持部6は、ブッシュホルダー15が縦枠1の凹溝5に嵌め込まれ、保持穴16にブッシュ17、圧縮コイルバネ18、ピン19がセットされる。ブッシュホルダー15を用いたことにより、縦枠1にブッシュ17等を挿入するための穴を加工する必要がない。縦枠1の凹溝5の上端及び下端は、図示しない止材(又はストッパピン72をストッパ孔73の底部に当接させることによって:
図14参照)により止められる。
回動支持部6が嵌め込まれた縦枠1及び連結組立式機構部8が嵌め込まれた縦枠1の上端部同士及び下端部同士が横枠2で連結されて枠体3が形成される。枠体3が形成された後、可動ルーバー4を1枚ずつピニオン部材31の回動ピン36とピン19の間に挿入し、支持穴32に回動ピン36を嵌合すると共にピン穴20にピン19を嵌合する。
【0042】
即ち、可動ルーバー4の一端側の支持穴32に回動ピン36を嵌合した後、ピン19を圧縮コイルバネ18の付勢力に抗して没動させた状態で可動ルーバー4の他端側を移動させ、ピン19の位置にピン穴20を合致させて圧縮コイルバネ18の付勢力によりピン穴20にピン19を嵌合する。全ての可動ルーバー4を装着することでルーバー建具11の完成とされる。
このように、圧縮コイルバネ18の付勢力に抗してピン19を没動させた状態で可動ルーバー4の他端側を配置することで、組立てを容易に行うことができ、組立て工数を削減することが可能になると共に、組立に熟練した技術を必要としない。
上述したルーバー建具11では、可動ルーバー4の他端側がブッシュ17、圧縮コイルバネ18、ピン19により支持されているので、可動ルーバー4を単品で交換する必要が生じた場合でも容易に交換することが可能である。
【0043】
次に、上述したルーバー建具11の可動ルーバーの回転機構の第2の組立手順の例を説明する。
先ず、ボトムレール21を使用すべき長さに形成するために、ボトムレール片21aの円形突起21を隣接する他のボトムレール片21aの円形孔21eに嵌合することによって、複数のボトムレール片21aを連結する。
また、ラック部材24を使用すべき長さに形成するために、ラック部材片24aの円形突起24cを隣接する他のラック部材片24aの円形孔24eに嵌合することによって、複数のラック部材片24aを任意の長さに連結する。
ボトムレール21が完成すると、ボトムレール片21aに形成した突起21gに、トップカバー片23aの側面23cに形成した止め孔23dにはめ込むことができる。これにより、1つのボトムレール片21aに1つのトップカバー片23aを取付けることができ、ボトムレール21とトップカバー23とが組み付けられる。トップカバー片23aは合成樹脂製であるので、その側壁を多少広げることによって、突起21gに止め孔23dを嵌め込むことができる。
【0044】
トップカバー23がボトムレール21に組み付けられると、ボトムレール21にはレール溝26a,26b(
図9)が形成されるので、これらの一対のレール溝26a,26b間に、長尺板状のラック部材24を差し込むことができる。
連結組立式機構部8は、ボトムレール21とトップカバー23が嵌め合わされた後、複数組のラックギヤ25が対向する状態に一対のラック部材24が挿入される。ラック部材24の位置を所定の位置に調整し、貫通孔35からピニオン部材31を挿入して対向する複数組のラックギヤ25にピニオンギヤ33をそれぞれ噛み合わせる(
図6の状態)。
詳しくは、貫通孔35からピニオン部材31を差し込むことによって、ピニオン部材31のピン筒34が該貫通孔35に支持され、ピニオン部材31の他端側の軸部31aがボトムレール片21aの支持孔21fに支持される。
この時、ピニオン部材31の回動ピン36は全て同じ状態の向きにされている。連結組立式機構部8が縦枠1に嵌め込まれ、矩形溝7の上端及び下端は、図示しない止材により止められる。この状態で、ピニオン部材31の回転によりラック部材24が互いに上下方向に逆向きに往復移動し、移動端が止材に規制される。
【0045】
このように、トップカバー片23a、ボトムレール片21a、ピニオン部材31及びラック部材片24aの各取付け、トップカバー23、ボトムレール21、ラック部材24の取付けに際し、接着剤などの固定具を使用していないので、それらの部材の取り外しについては、上述の逆の手順で個々の部品に分解することができる。分解するときには、各部材が合成樹脂製であり、弾性を有するので部材を広げたり、曲げたりすることによって、容易に部材同士の離脱が可能である。
組立体13が複数連結された後は、上述した第1の組立手順と同じであるので、上述した回動支持部6などの組付け手順は省略する。
【0046】
次に、完成された可動ルーバー建具11の可動ルーバー4の交換について
図13に基づいて説明する。
図13(a)は回動支持部側の状況であり、
図13(b)は連結組立式機構部側の状況である。
図13(a)に示すように、交換する可動ルーバー4の他端側を支持している樹脂製のピン19を切断することで、可動ルーバー4の他端側の支持が解除される。可動ルーバー4の他端側を枠体3の外側に移動させ、可動ルーバー4の一端側を抜き外すことで可動ルーバー4を枠体3から取り外す。この時、
図13(b)に示すように、ピニオン部材31の回動ピン36が枠体3の内側に臨んだ状態とされている。
切断したピン19を取り除くと共に、新たなピン19をブッシュ17に装着し、新しい可動ルーバー4をピニオン部材31の回動ピン36とピン19の間に挿入し、支持穴32(
図9参照)に回動ピン36を嵌合すると共にピン穴20(
図8参照)にピン19を嵌合する。
【0047】
以上により、可動ルーバー4を容易にしかも短時間で交換することが可能になる。つまり、例えば、全ての可動ルーバーに一つの連動用の操作アーム等が設けられた可動ルーバー建具では、1枚の可動ルーバーを交換する際には、全ての可動ルーバーに関係する操作アームと、交換が必要な可動ルーバーとの分離・装着が必要であり、大掛かりな作業になり多大な労力を必要としていた。これに対し、本願発明のルーバー建具11では、連結組立式機構部8が可動ルーバー4同士の間で直接関係していないので、1枚の可動ルーバー4を短時間で容易に交換することができる。
【0048】
上述したルーバー建具11における可動ルーバー4の開閉状態を
図2及び
図11に基づいて説明する。
図2(a)に示した状態は可動ルーバー4が閉じられた状態であり、
図11(a)に示すように、一方(図中左側)のラック部材24が最上段に位置すると共に他方(図中右側)のラック部材24が最下段に位置する。この時、一方(図中左側)のラックギヤ25の下側に位置する歯と他方(図中右側)のラックギヤ25の上側に位置する歯がピニオンギヤ33に噛み合っている。
図2(b)に示した状態は可動ルーバー4の上部が内側に傾けられた状態であり、いずれかの可動ルーバー4の上部を引き操作、もしくは、下部を押し操作することで、可動ルーバー4の上部が内側に傾けられて回動位置が保持された状態になる。つまり、
図11(b)に示すように、いずれかの可動ルーバー4を傾けることで、ピニオンギヤ33を介して一方(図中左側)のラック部材24が最上段から下側に移動すると同時に他方(図中右側)のラック部材24が最下段から上側に移動し、全てのピニオンギヤ33が反時計回り方向に回動して全ての可動ルーバー4が同一角度で回動して回動位置が保持される。
【0049】
可動ルーバー4が水平方向に傾けられた状態は、いずれかの可動ルーバー4の上部を大きく引き操作、もしくは、下部を押し操作することで、可動ルーバー4が水平方向に傾けられて水平状態が保持された状態になる。つまり、
図11(c)に示すように、いずれかの可動ルーバー4を傾けることで、ピニオンギヤ33を介して一方(図中左側)のラック部材24が下側に移動すると同時に他方(図中右側)のラック部材24が上側に移動し、全てのピニオンギヤ33が反時計回り方向に回動して一方(図中左側)のラックギヤ25の中央に位置する歯と他方(図中右側)のラックギヤ25の中央に位置する歯がピニオンギヤ33に噛み合う。これにより、全ての可動ルーバー4が同一角度で回動して水平位置が保持される。
【0050】
図2(c)に示した状態は可動ルーバー4の上部が下側に傾けられた状態であり、いずれかの可動ルーバー4の上部を大きく引き操作することで、可動ルーバー4の上部が下側に傾けられて回動位置が保持された状態になる。つまり、
図11(d)に示すように、いずれかの可動ルーバー4を傾けることで、ピニオンギヤ33を介して一方(図中左側)のラック部材24が更に下側に移動すると同時に他方(図中右側)のラック部材24が更に上側に移動し、全てのピニオンギヤ33が反時計回り方向に回動して全ての可動ルーバー4が同一角度で回動して回動位置が保持される。
上述したルーバー建具11では、いずれかの可動ルーバー4を回動させることによりピニオンギヤ33が回転し、ラックギヤ25を介してラック部材24が軸方向に移動し、他のラックギヤ25を介してピニオンギヤ33が回動することにより複数の可動ルーバー4が同期して一斉に回動する。
【0051】
また、ピニオンギヤ33が一対のラックギヤ25により挟まれているので、いずれかの可動ルーバー4を操作した時に回動の角度を維持する抵抗力が得られ、任意の角度に傾けることが容易になる。そして、いずれかの可動ルーバー4だけに過大な負荷が働いても、ピニオンギヤ33とラックギヤ25との噛み合いが確実に維持され、過大な負荷が働いた可動ルーバー4だけが異なる角度になることがない(同期が維持される)。このため、可動ルーバー4の操作性が向上すると共に、見栄えの低下を確実に抑制することが可能になる。
【0052】
次に、可動ルーバー建具を横方向に移動する際における可動ルーバー建具の破損防止作用について説明する。
図1(a)に示す取付枠100は、
図1(a)の状態では、ルーバー建具11によって閉位置にあり、ルーバー建具11自体もまた、可動ルーバー4が垂直方向に向いて閉位置にある。ルーバー建具11は、可動ルーバー4が閉じられているときに、いずれのルーバー建具11についても、引き戸として横方向へスライドさせることができる。
図1(b)は、前側のルーバー建具11aを外側へスライドさせて取付枠100を開放した状態を示す。
本実施形態では、ルーバー建具11の可動ルーバー4を閉じたときにのみルーバー建具11をスライドすることができ、可動ルーバー4がある程度傾斜若しくは水平方向へ向いた状態ではルーバー建具11をスライドできないようになっている。
【0053】
詳しくは、
図14(a)に示すように、可動ルーバー4が閉位置にあるとき、ストッパピン72を取付けたラック部材24は初期位置にあり、前側ルーバー建具11a及び後側ルーバー建具11bの各ストッパピン72は下降位置に位置付けられ、ストッパピン72は、ストッパ孔73との係合がない。そこで、ルーバー建具11を横方向へスライドして、取付枠100を開放することができる。なお、
図14は、鎖線の左右で、前側のルーバー建具11aの断面と後側のルーバー建具11bの断面をずらして表している。
詳しくは、
図14(a)に示すように、取付枠100を閉位置にした状態で、可動ルーバー4を傾斜若しくは水平にしてルーバー建具11を開状態にする。すると、
図14(b)のように、一対のラックギヤ25のうち一方のラックギヤ25が上昇し、他方のラックギヤ25が下降する。このうち、上昇した側のラックギヤ25の上端部にはストッパピン72が取付けられているので、ストッパピン72が上方のストッパ孔73に差し込まれ、ルーバー建具11をスライドさせようとしても、ストッパピン72がストッパ孔73に移動が規制され、これに伴ってルーバー建具11の移動が阻止される。したがって、可動ルーバー4が開位置にあるとき、ルーバー建具11の移動ができないので、可動ルーバー4が隣接するルーバー建具11に当たることがなく、可動ルーバー4やルーバー建具11の破損が防止できる。
【0054】
したがって、ルーバー建具11をスライドさせるときは、
図14(b)に示す可動ルーバー4の開位置から、
図14(a)に示すように、可動ルーバー4を閉位置に戻すことによって、ルーバー建具11をスライド移動することができる。
また、
図14(c)は、ルーバー建具11が閉位置以外の場所に移動した状態を示し、取付枠100の上枠100aにストッパ孔73が形成されていない箇所に、ストッパピン72が位置付けられる。この場所では、可動ルーバー4を開こうとしても、ストッパピン72が上枠100aの底面に当たり、ラックギヤ25を上方へ移動することができない、これによって、可動ルーバー4が開くことを防止できる。若しくはストッパピン72の長さを短くすることによって、可動ルーバー4が他と接触しない程度の一定回転角度のみの回転(傾斜)を許容するようにしてもよい。よって、可動ルーバー4を開くことができないので、可動ルーバー4が隣接するルーバー建具11に当たることがなく、可動ルーバー4やルーバー建具11の破損が防止できる。
このように、ルーバー建具11を引き戸に適用した場合でも、引き違い操作の際に可動ルーバー4が相手側の枠体3に干渉することがなく、操作機能を損なうことがない。
一方、
図15,
図16に示す可動ルーバー4の回転動調節機構90は、ルーバー建具11が閉位置にあるとき、調整ボルト96を締める方向へ回転させると、スリーブ98が挟持板92aを押圧し、隙間95の間隔が狭くなり、軸孔94dが調整ボルト93の延長部31bを強く挟着することによって、ピニオンギヤ33の回動が阻止し、可動ルーバー4の回動を阻止することができる。また、調整ボルト96の回転を調整することによって、可動ルーバー4の開閉時における回動抵抗を調整できる利点もある。
風の強い日の窓辺にルーバー建具11が配設されているような場合では、吹き込んだ風が可動ルーバーに当たっても、可動ルーバーの回転角が変わってしまったり、子供などのいたずらにより可動ルーバーの回動角が変更されてしまうことを防止できる。
なお、この可動ルーバー建具の破損防止機構や、回転動調節機構90は、ルーバー建具11に任意に設けるものであり、本実施形態では説明の便宜上、1つのルーバー建具11に、両者を設けている形態で説明している。
【0055】
次に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
図18は、上部側の横枠40と該横枠40の下部に配設される可動ルーバー41を示す。本実施形態では、上下のレールと可動ルーバー41の形状が上記実施形態と異なっている。その他の構成については、上記実施形態と同じである。なお、説明の便宜上、
図18(a)の可動ルーバー建具の左側を可動ルーバー建具の前面(外側)とし、反対側を後面(室内側)として説明する。
ほぼ平板形状の横枠40は、該横枠40の下端部に沿って、且つ横方向の一端から他端の全体に亘って、切り込み42を形成している。切り込み42は、前面側の下角部のみに断面がほぼ凹形状の切り込みが前面から後面側に向かって切り欠くように形成され、切り込み42の下端部には前面側に突出する下端庇部43が横枠40の横方向全体に亘って形成されている。したがって、下端庇部43が形成されている箇所よりも上側は、薄肉部44となる。そして、薄肉部44は垂直方向に形成され、下端庇部43は水平方向前側へ突出し、薄肉部44と下端庇部43とを併せた断面形状はL字状に形成されている。下端庇部43の先端部は断面が半円形状に形成されている。
【0056】
横枠40の下側に複数配設される可動ルーバー41は、該可動ルーバー41の上端部に沿って、且つ長手方向の一端から他端の全体に亘って、上部切り込み47を形成している。上部切り込み47は、後面側の下角部に断面がほぼ凹形状の切り込みが後面から前面側に向かって切り込むように形成され、上部切り込み47の上端部には前面側に突出する上部庇部48が可動ルーバー41の横方向全体に亘って形成されている。したがって、上部庇部48が形成されている箇所よりも下側は、薄肉部49となる。そして、可動ルーバー41が閉位置にあるとき、薄肉部49は垂直方向に形成され、上部庇部48は水平方向後側へ突出し、薄肉部49と上部庇部48とを併せた断面形状がL字状に形成されている。下端庇部43の先端部は、半円形状に形成されている。
可動ルーバー41の下端側は、該可動ルーバー41の下端部に沿って、且つ横方向の一端から他端の全体に亘って、下部切り込み51を形成している。下部切り込み51は、前面側の下角部に断面がほぼ凹形状の切り込みが前面から後面側に向かって切り込むように形成され、下部切り込み51の下端部には前面側に突出する下部庇部52が横枠40の長手方向全体に亘って形成されている。したがって、下部庇部52が形成されている箇所よりも上側は、薄肉部53となる。そして、薄肉部53は垂直方向に形成され、下部庇部52は水平方向前側へ突出し、薄肉部53と下部庇部52とを併せた断面形状がL字状に形成されている。下部庇部43の先端部は半円形状に形成されている。
【0057】
横枠40の切り込み42と可動ルーバー41の上部庇部48を形成する位置は、可動ルーバー41が閉位置にあるとき、切り込み42に上部庇部48の先端部が、切り込み42の薄肉部44の垂直壁面に接するように入り込み、また、横枠40の下端庇部43と可動ルーバー41の上部切り込み47を形成する位置は、下端庇部43の先端部が上部切り込み47に入り、薄肉部49の垂直壁面に接するようにする。
同様に各可動ルーバー41の下端部と上端部は、下方に配置されている可動ルーバー41の上部庇部48の先端部が、上方に配置されている可動ルーバー41の下部切り込み51に入り込み、薄肉部53の壁面に接するようにし、上方に配置されている可動ルーバー41の下部庇部52の先端部が下方に配置されている可動ルーバー41の上部切り込み47に入り込み、薄肉部49の壁面に接するようにする。なお、下端庇部43、上部庇部48、下部庇部52の突出長さは、一致させている。
また、説明は省略するが。下方のレールと最下段の可動ルーバーの各々についても上方のレールと最上段の可動ルーバーと同様に、庇部と切り込みが形成されている。
【0058】
このような構成により、可動ルーバー41が閉位置にあるとき、切り込み42,47,51に各々対応する庇部43,48,52が入り込む。その一方、薄肉部44,49,53は、いずれも垂直方向に延在し、庇部43,48,52が水平方向へ延在している。よって、可動ルーバー41が閉位置にあるときにおいて、可動ルーバー建具の外側から光りが入り込む場合、横枠40と可動ルーバー41との接合部、及び可動ルーバー41の上下端部における可動ルーバー41同士の接合部に光が当たった場合に、接合部が光りを遮断する。
例えば、横枠40と最上段の可動ルーバー41に当たった光が室内側に進むときには、反射光が上部庇部48と薄肉部44との間を下側に向かって通り、その後庇部43と48との間を反射した光りが進入してきた方向と反対方向に向かってとおる。したがって、この段階で反射光はほぼ消失した状態となるが、さらに、その後庇部43と薄肉部49との間を通らなければならない。このように、反射光はクランク形状に進まなければならず、途中で消失させることによって、光漏れを効果的に防止する。
このように、光漏れや直射日光の侵入を確実に防止することができ、さらに内外気の環境の影響を確実に遮断することができ、冷暖房効率を向上させて省エネルギー効果に寄与することが可能になる。
【0059】
次に、本願発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態に対して縦枠の構造が異なっている。
図19の(a)は可動ルーバーが水平にあるときの状態を示し、
図19の(b)は可動ルーバーが垂直にあるときの状態を示す。図に示すように、ルーバー建具81は横断面がコ字形状である縦枠82を上下方向に配設している。縦枠82の内部には、上記第1の実施形態で説明した組立体13を連結して形成したボトムレール21、トップカバー23、ラック部材24、ピニオン部材31を配設している。これらの部材については、上記第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
コ字形状の縦枠82の両端部は、ボトムレール21の可動ルーバー84側の端面よりもルーバー建具81の左右(横)方向内方に突出する遮蔽部86が形成されている。また、可動ルーバー84が閉位置にあるときの上下方向の長さL3は、縦枠82の前後方向の長さL2よりも小さく形成されている。よって、
図19に示すように、可動ルーバー84を水平方向に向けても、可動ルーバー84が遮蔽部86に干渉することがない。
なお、可動ルーバー84の高さL3が縦枠82の前後方向の長さL2よりも小さい場合で説明したが、可動ルーバー84の高さL3が縦枠82の長さL2よりも大きくしたい場合は、
図19の(c)に示すように、縦枠82の両端部をクランク形状に形成すればよい。すなわち、縦枠82が可動ルーバー84の側端面に位置する部位で、縦枠82を直角に折り曲げ、可動ルーバー84の長さに対応させた位置で、さらに可動ルーバー84の長手方向に折り曲げ遮蔽部86を形成すればよい。
【0060】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、縦枠82に可動ルーバー84側に突出する遮蔽部86を形成したので、縦枠82若しくはトップカバー23と、可動ルーバー84の端面との間の隙間を遮蔽部86で覆うことができる。したがって、それらの間からの光漏れを防止できる。
このように、光漏れや直射日光の侵入を確実に防止して内外気の環境の影響を確実に遮断することができ、冷暖房効率を向上させて省エネルギー効果に寄与することが可能になる。
【0061】
以上、本発明
の実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形が可能である。
上述した第1〜第3の実施形態では、可動ルーバー4(84)「を水平(横)方向に複数備えたルーバー建具11を例に挙げて説明したが、可動ルーバー4(84)を垂直(縦)方向に複数備えた可動ルーバー建具とすることも可能である。
また、
図20に示すように、可動ルーバー4を取付枠100に対して、上下方向にスライドするものにも対応が可能である。この場合は、ルーバー建具11のストッパピン72が係合するストッパ孔72(図示省略)は、上枠100aや下枠100bでなく、側枠100cに形成される
。
また、可動ルーバー建具を適用するものとしては、木製の内装用の建具に限らず、例えば、ガラス製の可動ルーバーを備えた窓自体として適用したり、通路の仕切り、乗り物や公共施設、オフィスにおける間仕切りや仕切りとして適用する等、内装、外装問わず他のあらゆる可動ルーバー建具機能部材として適用することが可能である。
また、ボトムレール片21a、トップカバー片23a、ラック部材片24aの長さは、各々1種類で説明したが、2種以上の長さのものを組み合わせて構成することも可能である。例えば、第1の実施例で説明したとおり、26mmのものと52mmのものを混在させて使用することができる。
【0062】
上記第2の実施形態の可動ルーバーを第1の実施形態の可動ルーバーに置き換えることも可能である。