(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969807
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】車両用ハンドルおよび車両用ハンドルの製造方法
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20160804BHJP
【FI】
E05B85/16 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-103549(P2012-103549)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-231300(P2013-231300A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】遠山 孝生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 修一
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−140181(JP,A)
【文献】
特開2010−101054(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2400087(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着されるハンドル本体と、
主体部の両端に形成される係止部がハンドル本体に係止されて該ハンドル本体の表面に装着される装飾カバーと、
前記ハンドル本体に固定される機能付加部品とを有し、
前記機能付加部品には、装飾カバーの少なくとも一方の係止部の移動を規制する移動規制部が設けられる車両用ハンドル。
【請求項2】
車両に装着されるハンドル本体と、
主体部の両端に形成される係止部がハンドル本体に係止されて該ハンドル本体の表面に装着される装飾カバーと、
前記ハンドル本体に固定される機能付加部品とを有し、
前記機能付加部品には、装飾カバーの少なくとも一方の係止部の移動を規制する移動規制部が設けられ、
前記装飾カバーは、一方の係止部を回転支点とした主体部の回転操作により他方の係止部をハンドル本体に弾発係止して装着される車両用ハンドルの製造方法。
【請求項3】
前記装飾カバーの主体部はハンドル本体の長手方向に沿って長寸に形成されるとともに、
前記他方の係止部は、主体部の撓みを伴ってハンドル本体に弾発係止される請求項2記載の車両用ハンドルの製造方法。
【請求項4】
前記他方の係止部と、ハンドル本体に形成されて前記他方の係止部が係止する被係止部の少なくとも一方には、他方の係止部の被係止部への押し込み操作力により、湾曲状に形成された主体部を湾曲曲率が小さくなる方向に撓ませる力を発生させる傾斜面が形成される請求項3記載の車両用ハンドルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ハンドル
および車両用ハンドルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアを開閉操作するためにドアに取り付けられる車両用ハンドルとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、ハンドルはハンドル本体にモール部材(装飾カバー)を固定して形成される。装飾カバーの固定は、装飾カバーをスライドさせることにより装飾カバーに設けられる差込爪をハンドル本体の差込溝に嵌合させた後、双方をスクリューにより連結して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-82018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例において、装飾カバーの装着にスクリューの締結操作を要するために、組立作業性が悪いという欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、装飾カバーの装着作業性を良好にした車両用ハンドル装置
および車両用ハンドルの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記目的は、
車両に装着されるハンドル本体1と、
主体部2の両端に形成される係止部3がハンドル本体1に係止されて該ハンドル本体1の表面に装着される装飾カバー4と、
前記ハンドル本体1に固定される機能付加部品5とを有し、
前記機能付加部品5には、装飾カバー4の少なくとも一方の係止部3の移動を規制する移動規制部6が設けられる車両用ハンドルを提供することにより達成される。
【0007】
装飾カバー4は、上記従来例に示されるように、ハンドル本体1に沿ったスライド操作、あるいは弾発係止等、種々の手段によってハンドル本体1に係止されて連結され、その後ハンドル本体1に取り付けられる取付部品により係止解除方向への移動が規制される。
【0008】
車両用ハンドルにおいて装飾カバー4は構造部品、あるいは強度負担部品ではないために、装着スペースも十分でない範囲に装着する必要があり、取付強度に対する十分な配慮が困難な場合が多々発生する。また、装飾カバー4は外観部品であるために、例えば、弾性変形を利用した装着方法を採用する場合等には、撓み代を大きくすると、メッキ面等の表面処理層へのダメージが大きくなる虞があることから、勢い係合代を多く取って十分な取付強度を確保することが困難になることが多々ある。
【0009】
これに対し、ハンドル本体1に係止される装飾カバー4の移動が機能付加部品5により最終的に規制される本発明において、装飾カバー4に弾性変形を全く与えることなく、例えば、スライド操作だけで行い、その後の機能付加部品5の装着により最終固定したり、あるいは、装飾カバー4をハンドル本体1に僅少の撓みを伴って仮装着を行った後、機能付加部品5の装着により最終固定を行う等、多様な固定方法を選択することが可能になる。
【0010】
この結果、外観への損傷をなくして装飾カバー4を装着することが可能になり、さらに、取付強度は機能付加部品5との関係により決定することができるために、不用意な脱落、あるいは悪戯等による脱落を確実に防止することができる。
【0011】
機能付加部品5は、車両用ハンドルに新たな機能を付加するものであれば足り、照明装置、制御ボタン等の電子部品が含まれる。
【0012】
装飾カバー4は、上述したように、スライド操作のみにより装着することも可能であるが、
前記装飾カバー4は、一方の係止部3を回転支点とした主体部2の回転操作により他方の係止部3をハンドル本体1に弾発係止して装着することができる。
すなわち、本願発明によれば、
車両に装着されるハンドル本体1と、
主体部2の両端に形成される係止部3がハンドル本体1に係止されて該ハンドル本体1の表面に装着される装飾カバー4と、
前記ハンドル本体1に固定される機能付加部品5とを有し、
前記機能付加部品5には、装飾カバー4の少なくとも一方の係止部3の移動を規制する移動規制部6が設けられ、
前記装飾カバー4は、一方の係止部3を回転支点とした主体部2の回転操作により他方の係止部3をハンドル本体1に弾発係止して装着される車両用ハンドルの製造方法を提供することができる。
【0013】
本発明において、装飾カバー4は一方の係止部3周りに回転操作して他方の係止部3をハンドル本体1に形成される被係止部8に押し当てることにより、係止部3、被係止部8、あるいは装飾カバー4全体が一旦弾性変形して係止部3と被係止部8との干渉部を乗り越えた後、弾性的に復帰し、係止関係に移行する。
【0014】
一旦装飾カバー4全体を撓ませてハンドル本体1に装着する工程を取る場合、係止に必要な撓み量は予め分からないために、過度に装飾カバー4を撓ませてしまって装飾カバー4の破損等を発生させることがあるが、一端を回転支点として回転操作した状態で他端部を係止させる取付方法を採用することにより、組立作業者によって装飾カバー4への過度の変形操作が加えられることがなく、組立効率を向上させることができる上に、不良発生が少なくなる。
【0015】
さらに、車両用ハンドル
の製造方法は、
前記装飾カバー4の主体部2はハンドル本体1の長手方向に沿って長寸に形成されるとともに、
前記他方の係止部3は、主体部2の撓みを伴ってハンドル本体1に弾発係止されるように構成することができる。
【0016】
係止部3と被係止部8との係止は、係止部3、あるいは被係止部8のいずれかを弾性変形させて係止状態に移行させることも可能であるが、主体部2を長尺部材として形成し、該主体部2の撓みを利用して係止状態への移行をすると、装飾カバー4が長寸であるために、各部の撓み量が小さくても被係止での変位量を大きくすることができるために、各部への過大な応力発生をもたらすことなく係止操作を行うことができる。
【0017】
この場合、
前記
他方の係止部3と、ハンドル本体1に形成されて前記
他方の係止部3が係止する被係止部8の少なくとも一方には、
他方の係止部3の
被係止部8への押し込み操作力により、湾曲状に形成された主体部2を湾曲曲率が小さくなる方向に撓ませる力を発生させる傾斜面7が形成される車両用ハンドル
の製造方法を構成すると、主体部2を回転させた後、他方の係止部3をハンドル本体1側に押し込む だけで装着操作が完了し、装着作業性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ねじ止め等の作業が不要となるために、装飾カバーの装着作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の1B-1B線断面図である。
【
図2】
図1の断面図で、(a)は
図1(a)の2A-2A線断面図、(b)は装飾カバーの弾発係止状態を示す断面図である。
【
図3】車両用ハンドルの分解斜視図で、(a)は斜め前方から見た図、(b)は斜め後方から見た図である。
【
図4】装飾カバーを示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)の4B方向矢視図である。
【
図5】表カバーを示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の5B-5B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1以下に本発明の実施の形態を示す。本例の車両用ハンドルは、車両のドアに固定される図外のハンドルベースにヒンジ突部1aを回転自在に連結して使用されるもので、ハンドルベースとの連結部周りに回転操作した際の他端に形成された作動脚1bの変位をドア内のドアロック装置(図示せず)に伝達することにより該ドアロック装置が操作される。
【0021】
ハンドルは、ハンドル本体1と、ハンドル本体1表面を装飾するための装飾カバー4と、ハンドル本体1にハンドル操作のための把手としての本来の機能に加えて所定の付加機能を付与するための機能付加部品5とを有する。
【0022】
ハンドル本体1は、裏カバー9に表カバー10を連結して中空形状に形成される。表裏カバー9、10の連結は、裏カバー9の後端部(以下、
図1において左側を「前」、
図1(b)の上側を「表」として位置を説明する。)に形成される突片9aを表カバー10に係止させるとともに、前端部の固定片9bを表カバーの埋め込みナット10aにネジ止めして行われる。なお、
図1(b)において11は埋め込みナットにねじ込まれる固定用ネジを示す。
【0023】
本例において、機能付加部品5としてアンテナユニット5Aとプッシュスイッチ5Bとが組み込まれ、図外のリード線を経由してハンドル本体1外に引き出された後、車両に搭載された車載コンピュータ等の制御装置に接続される。
【0024】
図1(b)に示すように、プッシュスイッチ5Bは、スイッチケース5a内に図外の接点部を収容して形成され、頭部に装着される押しボタン5bへの押下操作により接点部を断接させる所謂押しボタンスイッチとして構成される。上記スイッチケース5aには、位置決め突起5cが設けられ、該位置決め突起5cを表カバー10に形成される位置決め凹部10bに嵌合させることにより所定位置に位置決めされる。
【0025】
このプッシュスイッチ5Bは、施錠ボタンとして使用され、該プッシュスイッチ5Bを押下操作すると、制御装置から利用者の所持する携帯型電子キー(図示せず)と後述するアンテナを経由して交信して該携帯型電子キーから出力される認証用コードを取得し、取得した認証用コードに対する認証が成立すると、ドアを施錠状態に移行させる。
【0026】
また、アンテナユニット5Aは、静電センサの電極とアンテナとを有し、表裏カバー9、10に挟まれるようにして所定位置に固定される。静電センサは、利用者によるハンドル本体1の把持を検出することができ、利用者による把持動作を静電センサが検知すると、上述したプッシュスイッチ5Bと同様に認証用コードの取得手順が実行され、取得された認証コードに対する認証が成立すると、ドアが解錠状態に移行する。
【0027】
図3、4に示すように、装飾カバー4は、合成樹脂等の弾性に優れた材料によりハンドル本体1の長手方向に長寸に形成され、表カバー10の表面には、上記装飾カバー4を嵌合するための嵌合凹部10cが設けられる。また、装飾カバー4と表カバー10には、上述したプッシュスイッチ5Bの押しボタン5bを露出させるためのスイッチ開口10dが開設される。
【0028】
装飾カバー4は、
図3に示すように、前端部から中間部までが平板状形状に、中間部から後端部にかけて徐々に「く」字状に移行する断面形状を有し、上記ハンドル本体1の嵌合凹部10cの表面も同様に中間部から後端部にかけて平面から中央部が盛り上がった形状に形成される。
【0029】
以上のように形成される装飾カバー4の主体部2の両端部には各々係止部3が設けられる。後端部に配置される係止部3(3B)は、
図4に示すように、後方に向けて係止片12を突設してフック形状に形成され、両側縁部に一対配置される。
図2に示すように、表カバー10には、これら係止片12が係止可能な被係止部8が形成されており、
図2(b)に示すように、係止片12を被係止部8に係止させることにより主体部2を係止部位周りに回転操作することができる。
【0030】
さらに、上記装飾カバー4の前端部に配置される係止部3(3A)は、
図4に示すように、支柱部13から前方に向けて係止片14を突設してフック形状に形成される。この係止部3の先端には、後述する被係止部8の張り出し片8aへの圧接操作力に対する該張り出し片8aからの反力により主体部2の座屈方向への分力が発生する傾斜面7が形成される。
【0031】
また、係止部3Aは、支柱部13が中央部において前方において張り出すことにより幅方向に3領域に区画され、中央部の係止部3の係止片14による係止寸法が小さくされている。
【0032】
一方、上記装飾カバー4の前端部の係止部3Aに対応して、表カバー10には被係止部8が設けられる。
図5に示すように、被係止部8は、後方に向けて板状の張り出し片8aを突設させることにより形成される。張り出し片8aは上記装飾カバー4の係止部3Aに対応して中央部において張り出し寸法が短く、両端において長く設定される。
【0033】
したがってこの実施の形態において、装飾カバー4の装着は、
図2(b)に示すように、後端側の係止部3Bの係止片12を係止させた状態で係止箇所周りに主体部2を反時計回りに回転させて行われ、主体部2を回転させることによって装飾カバー4の係止部3Aに形成される傾斜面7が表カバー10の被係止部8に当接する。
【0034】
この状態から主体部2の先端部に押し込み操作力(F)を与えると、傾斜面7の作用によって主体部2には座屈方向の分力が発生する。この分力により、湾曲状に形成されている主体部2は、湾曲曲率が小さくなる方向に弾性的にやや撓んで係止部3Aが被係止部8を乗り越えた後、主体部2の弾性復帰により係止部3Aが被係止部8に係止する。
【0035】
さらに、装飾カバー4の連結強度を高めるために、
図2(b)に示すように、係止部3の移動が移動規制部6により規制される。本例において移動規制部6は、装飾カバー4を表カバー10に連結した後に組み付けられることを利用して、プッシュスイッチ5Bのスイッチケース5aに形成されて後端側の係止部3Bの前方への移動を規制する。
【0036】
移動規制部6を配置することによって、悪戯で後端部の係止部3Bに前方への力が負荷されても係止部3Bが前方に移動して係止が解除されることがなく、連結強度が向上する。また、
図2(a)に示すように、移動規制部6は、係止部3に対して回転方向への移動も規制しているために、前端側の係止部3Aを後方に移動させる力を負荷しても、装飾カバー4全体が上記後端側の係止部3Bと被係止部8との係止部位周りの回転が規制されるために、装飾カバー4の取り外しが困難になる。
【符号の説明】
【0037】
1 ハンドル本体
2 主体部
3 係止部
4 装飾カバー
5 機能付加部品
6 移動規制部
7 傾斜面