(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
構造体に沿って昇降する昇降体を備え、前記昇降体を前記構造体の上部から吊下げた索状体の巻上げ/巻下げによって昇降させる昇降機を有し、前記昇降機による索状体の巻上げ/巻下げによって前記昇降体を構造体の所定位置に着床させて保持するように構成した設備における昇降体着床検知制御装置であって、
前記昇降体を構造体の所定位置で保持する定位置保持装置と、
前記昇降体を前記構造体の所定位置で検知する検知器と、
前記昇降機で前記昇降体を昇降させて前記検知器が前記昇降体を検知し、前記定位置保持装置を保持位置の状態にして前記昇降体を所定位置に保持した後、前記昇降機で昇降体を巻下げて前記昇降機の駆動電流値が所定値に達したことを検知すると前記昇降機を停止させて前記昇降体を着床状態にする制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記昇降体の着床状態を解除するときに、前記昇降体を一時停止位置まで上昇させて前記定位置保持装置を通過位置の状態に切替えるように構成されていることを特徴とする昇降体着床検知制御装置。
前記停止信号は、前記インバータに備えられたトルク検知手段によるトルク検知信号が所定値に達したときに出力されるように構成されている請求項2に記載の昇降体着床検知制御装置。
前記制御装置は、前記昇降体の着床状態を解除するときに、前記複数個の検知センサで同時に被検出体を検知する位置まで昇降体を上昇させるように構成されている請求項6に記載の昇降体着床検知制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記先行技術のように機械式の装置を搬器に備えさせて着床停止させる場合には、昇降以外の動作(横行や旋回など)で弾性体に作用する荷重が変化すると、搬器に設けられたセンサの動作条件も変化し、動作条件によっては停止した状態のままとなるおそれがある。
【0008】
また、搬器を吊り下げている複数本のワイヤの下端に機械式の弾性支持部を設け、その弾性支持部に設けた第一連結部材と第二連結部材との間の付勢機構の力を利用してロープの張力を保つようにしているため、搬器の複数箇所で付勢機構を同一条件に設定するのは難しく、上記したように弾性体に作用する荷重が変化すると、搬器の着床位置が変動するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、所定位置に着床させた搬器などの昇降体に積載荷重の変化などを生じても、索状体の伸縮から起こる昇降体の着床位置が変動しないようにできる昇降体着床検知制御装置とそれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る昇降体着床検知制御装置は、構造体に沿って昇降する昇降体を備え、前記昇降体を前記構造体の上部から吊下げた索状体の巻上げ/巻下げによって昇降させる昇降機を有し、前記昇降機による索状体の巻上げ/巻下げによって前記昇降体を構造体の所定位置に着床させて保持するように構成した設備における昇降体着床検知制御装置であって、前記昇降体を構造体の所定位置で保持する定位置保持装置と、前記昇降体を前記構造体の所定位置で検知する検知器と、前記昇降機で前記昇降体を昇降させて前記検知器が前記昇降体を検知し、前記昇降体を前記定位置保持装置で所定位置に保持した後、前記昇降機で昇降体を巻下げて前記昇降機の駆動電流値が所定値に達したことを検知すると昇降機を停止させる制御装置とを備えている。
【0011】
この構成により、昇降体を吊下げた索状体を昇降機で巻上げ/巻下げし、構造体の所定位置で検知器によって昇降体を検知し、その位置で定位置保持装置により昇降体を着床させて保持した後、昇降機の駆動電流値が所定値に達すると昇降機を停止させれば、昇降体を所定位置に保持した状態で索状体に作用する荷重(張力)を昇降体の荷重変化に影響されることなくほぼ一定にすることができ、着床後に生じる載置荷重変動等によって起こる着床位置の変動などを防止することができる。しかも、電気的な手段で索状体の荷重を検知するので、索状体の端部構造や形態の設計自由度を増すこともできる。
【0012】
また、前記昇降機は、インバータ制御の昇降モータであり、前記制御装置は、前記搬器を前記定位置保持装置で保持した後に、前記昇降モータを駆動するインバータの出力電流値に基づいて停止信号を出力して昇降機を停止させるように構成されていてもよい。
【0013】
このように構成すれば、昇降体が着床した後のインバータの出力電流値に基づいて索状体の荷重から昇降体の吊下げ負荷が減少したことを判定して昇降モータの巻下げを停止させ、索状体を所定の荷重に調整した状態で昇降体を所定の着床位置に保持することができる。
【0014】
また、前記停止信号は、前記インバータに備えられたトルク検知手段によるトルク検知信号が所定値に達したときに出力されるように構成されていてもよい。
【0015】
このように構成すれば、インバータに備えられたトルク検知手段を利用し、そのトルク検知信号に基づいて昇降モータを停止させ、昇降体を所定の着床位置に停止させることができる。
【0016】
また、前記停止信号は、前記インバータの出力トルク指令値が所定の閾値を越えたときに出力されるように構成されていてもよい。
【0017】
このように構成すれば、昇降体を電気信号によって所定位置に着床させるため、昇降モータを停止させるインバータの出力トルク指令値の閾値設定で索状体の荷重を容易に変更することができる。例えば、装置の個体差や経年変化によって昇降体の荷重が変化したとしても、簡単な操作で闇値を適宜再設定できるので、経年変化等による条件変化にも容易に対応することができる。
【0018】
また、前記検知器は、被検出体と検知センサとを有し、前記被検出体は、前記構造体の所定位置に設けられ、前記検知センサは、前記昇降体に設けられていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、電気的に検知する検知センサは昇降体のみに設けられ、構造体に設けられた被検出体を検知するので、費用を要する構成要素が少なく、信頼性の向上とコストの低減を図ることができる。
【0020】
また、前記検知センサは、前記被検出体を検知する複数個の検知センサを有し、前記被検出体は、前記複数個の検知センサで同時に検知できる大きさを有し、前記複数個の検知センサで同時に被検出体を検知する位置を昇降体の一時停止位置とし、前記一時停止位置から昇降体を下降させて、下部の検知センサが被検出体を非検知で、上部の検知センサが被検出体を検知していることが前記昇降機を停止させる条件に含まれているように構成されていてもよい。
【0021】
このように構成すれば、複数の検知センサで被検出体を検知する一時停止位置に停止させた後、一方の検知センサで被検出体を検知できない位置まで昇降体を下降させ、その後、その昇降体を巻下げる索状体が所定の荷重になるのを検知することで、昇降体を着床前に迅速に昇降させて着床させることができる。
【0022】
また、前記制御装置は、前記昇降体の着床状態を解除するときに、前記複数個の検知センサで同時に被検出体を検知する位置まで昇降体を上昇させるように構成されていてもよい。
【0023】
このように構成すれば、昇降体を常に所定位置まで上昇させて、この昇降体を保持する定位置保持装置を保持位置の状態から通過位置の状態に切替える空間を確保して定位置保持装置の安定した切替えが行えるようにできる。
【0024】
一方、本発明に係る機械式駐車設備は、前記いずれかの昇降体着床検知制御装置を備え、前記構造体が駐車塔であり、前記昇降体が搬器であり、前記搬器を保持する所定位置が複数の格納棚であり、前記昇降機が前記駐車塔の上部から垂下させた索状体で搬器を巻上げ/巻下げする昇降モータであり、前記検知器は、前記複数の格納棚位置で搬器を検知し、前記定位置保持装置は、前記検知器の検知信号に基づいて搬器を所定の格納棚位置で保持するように構成されている。
【0025】
この構成により、機械式駐車設備において、搬器を所定の格納棚の位置に定位置保持装置で保持した状態で、索状体を弛ませることなく、索状体に作用する荷重が搬器の着床状態及び上昇時に適した荷重状態となるようにして昇降機を停止させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、昇降体を定位置保持装置で保持した状態で積載荷重が変化しても、索状体に作用する荷重は適した状態に保って、着床位置の変動等を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備の一例であるエレベータ式駐車設備1を例に説明する。また、この実施形態では、索状体として「ワイヤーロープ」(以下、単に「ロープ21」という)を例にし、このロープ21の巻上げ/巻下げにより搬器16を昇降させるエレベータ式駐車設備1を例に説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、
図1に示すエレベータ式駐車設備1に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0029】
図1に示すように、エレベータ式駐車設備1は、4隅の鉛直方向に設けられた主柱3(
図3)と、この主柱3を水平方向に連結する梁4(
図3)等とによって鉄骨構造体が形成され、この鉄骨構造体の外面に外装板5が設けられて駐車塔2が形成されている。この駐車塔2は、地上1階が乗入れ部6となっており、乗入れ部6の乗入れ床7にはピット8が形成されている。また、この例のエレベータ式駐車設備1は、乗入れ部6の左方向に入出庫口9が設けられた90°乗入れ方式となっている。入出庫口9の近傍に、運転操作盤53が設けられている。
【0030】
このようなエレベータ式駐車設備1は、駐車塔2の中央部鉛直方向に平面視が矩形状の昇降路(エレベータシャフト)12が設けられている。昇降路12は、平面視で駐車塔2の前後方向が長寸で、左右方向が短寸の矩形状となっている(
図3)。また、この昇降路12を挟んで図の左右両側の鉛直方向に複数段の格納棚13が設けられている。各格納棚13には、図示する左右方向に延びる棚レール14が設けられている。棚レール14は、上記主柱3と、この主柱3と平行に鉛直方向に設けられた棚柱15とに棚受材19(
図3)で固定されており、この棚レール14に沿ってパレット70が左右方向に搬入/搬出される。
【0031】
また、上記昇降路12には、パレット70を搬送する昇降体たる搬器(エレベータ)16が設けられている。搬器16には、パレット移載機構17が設けられており、このパレット移載機構17によって搬器16と各格納棚13の棚レール14との間でパレット70の搬入/搬出が行われる。上記ピット8内には、上記搬器16のパレット70を持上げて旋回させるパレット持上旋回装置18が備えられており、このパレット持上旋回装置18により、パレット70が乗入れ部6で入出庫口9の方向に90°旋回させられる。これらのパレット移載機構17及びパレット持上旋回装置18は、公知の手段が採用される。
【0032】
さらに、このエレベータ式駐車設備1では、上記駐車塔2の乗入れ部6に昇降機20が設置されている。この昇降機20は、複数本のロープ(索状体)21が駆動シーブ23に掛けられ、これらのロープ21は、駐車塔2の最上部に設けられた転向プーリ24によって水平方向に転向させられている。このロープ21の一部は、昇降路12の上方に設けられた吊下げプーリ25で下方に曲げられて搬器16に向けて垂下し、搬器16の下部に設けられた動滑車11に掛けられた後、駐車塔2の上部まで延ばされて駐車塔2の索状体支持部10に吊下げられている。また、他のロープ21は、格納棚13の後方部分に設けられた吊下げプーリ26で下方に曲げられ、昇降機20による巻上げ力を軽減するカウンターウェイト22を吊下げている。従って、昇降機20を駆動することにより、ロープ21で吊下げられた搬器16を昇降路12で昇降させることができる。
【0033】
また、この実施形態では、上記ロープ21の巻上げ/巻下げを行う昇降機20として、インバータの出力電流値に基づいて駆動する昇降モータが用いられている。この昇降モータ20を駆動するインバータの出力電流値は、後述するように出力トルク指令値として検知されるようになっている。
【0034】
図2に示すように、上記搬器16の吊下げは、搬器16の下部に設けた動滑車11に掛けたロープ21の一方を駐車塔2の索状体支持部10に支持し、他方を昇降機20の駆動シーブ23に巻き掛けた後、動滑車掛けでカウンターウェイト22を吊持する動滑車方式となっている。
【0035】
この動滑車方式による搬器16の吊持は、昇降機20の駆動シーブ23に掛けられた複数本のロープ21が、両端部のいずれもが駆動シーブ23から上方に延び、駐車塔2の最上部に設けられた複数の転向プーリ24によって水平方向に転向させられる。その後、一方のロープ21は、吊下げプーリ25によって垂直方向に転向させられて、上記搬器16を吊持した後、駐車塔2の上部に支持されている。他方のロープ21は、吊下げプーリ26によって垂直方向に転向させられて、上記カウンターウェイト22を吊持した後、駐車塔2の上部に設けられた索状体支持部10で支持されている。従って、昇降機20でロープ21を巻上げ/巻下げ駆動することにより、搬器16とカウンターウェイト22とはつるべ式に動作し、搬器16を上昇させれば、そのストローク分でカウンターウェイト22が下降するように駆動される。
【0036】
図3に示すように、上記エレベータ式駐車設備1には、搬器16を所定の格納棚13の位置で保持する定位置保持装置30が設けられている。この実施形態の定位置保持装置30は、各格納棚13の位置において形鋼の棚柱15に設けられた棚側受けブラケット31,32と、搬器16に設けられて上記棚側受けブラケット31,32に保持される保持部材33,34を有する搬器保持機構35とを備えている。搬器保持機構35は、搬器16の中心に対して前後対称に配置され、この搬器保持機構35に設けられた保持部材33,34が、上記棚側受けブラケット31,32によって4点で保持されるようになっている。棚側受けブラケット31,32は、各格納棚13の所定位置(搬器16と格納棚13との間でパレット70のスムーズな搬入/搬出ができる高さ位置)にそれぞれ設けられている。
【0037】
図4(a),(b) に示すように、上記定位置保持装置30の各搬器保持機構35には、両端部に保持部材33,34が設けられている。この保持部材33,34は、搬器16に設けられた軸受36に支持された回動自在な駆動軸37の両端部に設けられている。この駆動軸37は、搬器16に設けられた駆動モータ38によって、チェーン39を介して水平軸回りで回動させられるようになっている。駆動軸37の回動は、駆動モータ38によって約90°の範囲で可能となっている。
【0038】
また、この実施形態では、駆動軸37の両端部に異なる形態の保持部材33,34が設けられている。図示する右側の保持部材33は、略L字状に形成されたものであり、駆動軸37の端部に固定されている。この保持部材33は、駆動軸37の軸心に当接面の中央部が位置するように配設されている(
図4(b) )。
【0039】
一方、図示する左側の保持部材34は、駆動軸37の軸心から一方に突出する略逆L字状に形成されている。この保持部材34は、駆動軸37の軸心に対して当接面が一方向にのみ突出するように配設されている(
図4(b) )。
【0040】
このような保持部材33,34によれば、当接面33a,34aが鉛直方向を向くように駆動軸37を回動させれば(
図4に示す二点鎖線)、格納棚13と棚側受けブラケット31,32とに干渉させることなく搬器16を昇降させることができる(
図3では実線で示す)。また、
図4(a) に示すように、当接面33a,34aが水平方向を向くように駆動軸37を回動させれば(
図4に示す実線)、各格納棚13の位置に設けられた棚側受けブラケット31,32に搬器16を保持することができる(
図3では二点鎖線で示す)。このように、上記搬器保持機構35は、搬器16を保持する保持部材33,34を、棚側受けブラケット31,32に載置する保持位置の状態と、これらの棚側受けブラケット31,32と干渉しない通過位置の状態とに切替え可能になっている。
【0041】
また、
図4(a) に示すように、保持部材33,34は、形態を異ならせるとともに当接面33a,34aが駆動軸37の回転中心に対して上下方向にオフセットされている。この実施形態では、保持部材33の当接面33aが駆動軸37の軸心に対して下方に所定量オフセットされ、保持部材34の当接面34aが駆動軸37の軸心に対して上方に所定量オフセットされている。
【0042】
さらに、
図4(b) に示すように、上記保持部材33,34による搬器16の保持は、駆動軸37の両端部に設けられた保持部材33,34の当接面33a,34aが平面視で互いに対角位置で棚側受けブラケット31,32に載置されて保持されるようになっている。このように駆動軸37の対角位置で搬器16を保持することにより、搬器保持状態において駆動軸37に作用する回転モーメントが互いに逆方向に作用するようにしている。
【0043】
このような搬器保持機構35によれば、搬器16を各格納棚13の棚側受けブラケット31,32で保持するときには上記保持部材33,34を
図4(b) に実線で示す保持位置の状態とし、搬器16を昇降させるときには保持部材33,34を
図4(b) に二点鎖線で示す通過位置の状態に切替えることで、棚側受けブラケット31,32によって搬器16を保持するか、通過させるかを変更することができる。
【0044】
なお、この実施形態における定位置保持装置30は一例であり、他の構成で搬器16を各格納棚13の所定位置に保持するようにしてもよい。
【0045】
図5に示すように、上記搬器16と固定側である駐車塔2の棚柱15との間に検知器40が設けられている。この実施形態における検知器40は、搬器16に設けられた検知センサたる階床センサ41,42と、固定側の棚柱15に設けられた被検出体43とを有している。被検出体43は、板材で形成されている。このように階床センサ41,42と被検出体43とを配置することにより、電気的に検知する階床センサ(検知センサ)41,42を搬器(昇降体)16のみとして、費用を要する構成要素を少なくし、信頼性の向上とコストの低減を図っている。
【0046】
また、この実施形態の階床センサ41,42は、上下に並べて複数個(2個)が設けられている。これらの階床センサ41,42の取付けピッチは、後述する
図7に示すように、2個の階床センサ41,42の上下方向中心距離Pと被検出体43の上下方向寸法Tとが同じ寸法となっている。これにより、2個の階床センサ41,42による被検出体43の同時検知と、個々の階床センサ41,42による被検出体43の個別検知とができるようになっている。
【0047】
図6に示すように、上記階床センサ41,42は、搬器16の枠体から側方に突出するように固定されたL字形ブラケット44に取付けられている。この実施形態における階床センサ41,42は、溝形近接センサが用いられている。これらの階床センサ41,42は、U字状の溝部分45が上下方向に開口するように配設されている。
【0048】
上記被検出体43は、棚柱15から上記階床センサ41,42の溝部分45に向けて延びるように設けられた板材であり、上記階床センサ41,42の溝部分45がL字状の先端部分43aを通過するように形成されている。
【0049】
従って、搬器16の昇降によって階床センサ41,42の溝部分45が被検出体43の位置に達すると、近接センサである階床センサ41,42が被検出体43を検知することができる。
【0050】
図7に示すように、上記階床センサ41,42の検知範囲としては、被検出体43が階床センサ41,42の一部に入っているときに検知(オン)されるようになっている。この状態から階床センサ41,42(搬器側)が、被検出体43(固定側)に対して上下方向に移動し、階床センサ41,42の検知範囲が被検出体43から外れると、非検知(オフ)となる。
【0051】
上記エレベータ式駐車設備1に備えられた昇降体着床検知制御装置46は、これらの階床センサ41,42及び被検出体43を備えた検知器40からの検知信号を用いて、搬器16を上記定位置保持装置30で所定位置(所定階)に着床させた後、後述するように制御装置50で制御するように構成されている。
【0052】
図8は、上記
図1に示すエレベータ式駐車設備1の制御ブロック図である。図示するように、上記エレベータ式駐車設備1の制御ブロックとしては、制御装置50と、駆動部51と、検知部52及び上記運転操作盤53とが、I/O装置54(入出力装置)を介して接続されており、各部の間で信号の送受信が行われるようになっている。制御装置50は、RAMやCPU等を備え、各部を制御する信号の入出力が行われるようになっている。
【0053】
上記駆動部51は、搬器16の昇降駆動部(昇降機20;昇降用インバータ)を有している。昇降駆動部は、トルク閾値等を保持するRAMと、トルク指令値を出力するようになっている。また、この駆動部51は、定位置保持装置駆動部、パレットの持上げ・旋回・移載駆動部、入出庫口扉の開閉駆動部等を備えている。
【0054】
上記検知部52は、搬器16の階床検知手段(検知器40)、パレットの持上げ・旋回・移載検知手段(パレット持上旋回装置18)、乗入れ部の車両・人検知手段、入出庫口の車両・人検知手段等を備えている。
【0055】
一方、上記運転操作盤53には、最上部に表示部55が設けられており、その下方には、表示灯を備えた「スタート」、「安全確認」、「終了扉閉」、「暗証」と「空呼」、「取消」の各釦が配設された釦部56が設けられている。この釦部56の側方には、「入口番号」と「呼番号」との案内表示部57とが設けられている。また、この案内表示部57の下方には、入出庫を行うパレット番号や暗証番号の入力等に使用されるテンキー58が設けられている。このテンキー58の側方には、警報・案内放送を行う放送手段59(スピーカ;警報手段)が設けられ、その下方には、非常停止表示ランプを備えた「非常停止」釦60が設けられている。さらに、最下部には、「制御電源」、「運転モード」、「運転管理」、「待機モード」の各選択スイッチが配置されたスイッチ部61が設けられている。なお、この運転操作盤53の構成は一例であり、他の構成であってもよい。
【0056】
以上のように構成されたエレベータ式駐車設備(機械式駐車設備)1によれば、以下のようにして搬器(昇降体)16を所定の格納棚13の位置に着床させて保持した状態で、ロープ21に作用する荷重を所定量減少させた荷重に調整することができる。
【0057】
図9は、上記昇降体着床検知制御装置46による着床時の動作フローチャートであり、
図10は、この動作フローチャートにおける階床センサ41,42と被検出体43との位置関係を示す模式図である。これらの図に基づいて、搬器16を上昇移動させて所定の格納棚13へ着床させる時の動作を説明する。各動作は
図9のフローチャートに基づいて説明し、
図10に示す階床センサ41,42と被検出体43との位置関係となる時の説明を付記する。なお、下記フローチャートでは、下部の階床センサ41を「Z0」、上部の階床センサ42を「Z1」として説明する。
【0058】
まず、スタートして、搬器16を上昇させる(S1)。これにより、搬器16は現在位置(例えば、乗入れ部6)から上昇を開始する。この搬器16は、格納棚13の所定位置に設けられた階床センサZ0と階床センサZ1とが共にオンになる位置まで上昇させられる(S2)。この位置は、
図10(a) に示すように、階床センサ41(Z0),42(Z1)と被検出体43とが位置するようになった状態である。
【0059】
そして、この階床センサ41と階床センサ42とが共にオンになると、搬器16はその位置から更に所定距離(例えば、数mm〜十数mm)上昇した位置まで上昇を続け(S3)、所定位置まで上昇すると停止する(S4)。この位置は、
図10(b) に示すように階床センサ42(Z1)が被検出体43から外れ、階床センサ42(Z0)は被検出体43によって検知されている状態である。このように階床センサ41,42で検知した位置から更に所定距離上昇させることにより、センサのチャタリング防止を図っている。
【0060】
その後、搬器16を所定位置まで上昇させた状態で、定位置保持装置30が保持位置の状態に作動させられる(S5)。そして、定位置保持装置30の作動が完了すると(S6)、搬器16が下降させられる(S7)。このように、搬器16を所定位置に保ち、その位置で定位置保持装置30を保持位置の状態とした後、搬器16の微速下降を開始する。
【0061】
この搬器16の下降により、階床センサ41(Z0)がオフで、階床センサ42(Z1)がオンになったか否かが判断される(S8)。
図10(c) に示す状態は、階床センサ41(Z0)がオフで、階床センサ42(Z1)がオンになった状態であるが、この実施形態では、更に階床センサZ0がオフとなり階床センサZ1がオンの位置から所定パルス経過したか否かが判断されている(S9)。この実施形態では、インバータ制御の昇降モータ20を用いているため、搬器16の下降量を昇降モータ20所定パルス経過によって判断している。これにより、搬器16は所定距離(例えば、数十mm)下降させられ、
図10(d) に示すように階床センサ41,42と被検出体43とが位置する状態となる。
【0062】
そして、この搬器16の所定距離下降後、更に搬器16を徐々に下降させる。この下降動作により、搬器16が定位置保持装置30を介して棚柱15(固定側)の棚側受けブラケット31,32に支持され、搬器重量が徐々に棚柱15側で支持される。この下降動作中にロープ21に作用する荷重は、当初は搬器16側の荷重がカウンターウエイト22側の荷重よりも大きいが、搬器16側とカウンターウエイト22側との荷重がバランスした後は、カウンターウエイト22側の荷重が増加する。つまり、搬器16側の所定荷重を棚柱15によって支持した後は、カウンターウエイト22の重量を持ち上げるためのトルクが必要となり、昇降モータ20のトルク指令値信号が増加し始める。そこで、インバータ制御の昇降モータ20からのトルク指令値信号を繰り返し確認し、上記トルク指令値信号が増加して所定の閾値に達した検知信号(トルク指令値>閾値)を検知すると(S10)、昇降モータ20が停止させられて搬器16の下降が停止させられる(S11)。
【0063】
これにより、搬器16は定位置保持装置30によって所定の格納棚13の位置に着床させられて保持された状態となり、この状態では、ロープ21には所定の荷重(張力)が作用した状態となっている。つまり、この状態では、搬器16は定位置保持装置30に支持され、且つロープ21の張力は所定値まで減少した状態となっている。
【0064】
しかも、昇降モータ20のトルク指令値が所定の閾値に達することで昇降モータ20による搬器16の下降を停止させるため、搬器16が空の状態でも車両搭載状態でも定位置保持装置30に搬器16を着床させた後にカウンターウエイト22と搬器16の自重に応じた荷重がロープ21に作用している状態で停止させることになり、ロープ21には常に同じ荷重(張力)が作用している状態とすることができる。
【0065】
なお、上記
図9に示すフローチャートでは、階床センサ41(Z0)がオフで階床センサ42(Z1)がオンとなっていることを条件とし、インバータ制御の昇降モータ20のエンコーダのパルス数による所定距離(例えば、数十mm)下降の確認を併用して信頼性を高めているが、この所定パルス数の経過確認は省略してもよい。
【0066】
また、
図9の説明では、搬器16を上昇させて所定の格納棚階に着床させる例を示したが、下降(例えば、上部の格納棚13から下部の格納棚13へ移動)の場合も、上記フローチャートにおける[搬器の上昇停止]が[搬器の下降停止]に変わること以外は同じである。
【0067】
このように、上記エレベータ式駐車設備1によれば、搬器16の重量、及びその上部にパレット70、車両Vを搭載した場合の大きな重量はロープ21の端部に連結された索状体支持部10で固定側の駐車塔2で支持し、搬器16によって昇降させるパレット70が空車のときと実車のときでロープ21に作用する荷重が大きく異なっても、また搬器16にパレット70を搭載しない状態でも、上記したように階床センサ41,42による被検出体43の検知によって搬器16を正確な位置に停止させることができる。
【0068】
そして、搬器(昇降体)16を所定の格納棚13の位置で保持するときには、上記階床センサ41,42による搬器16の位置検知と、搬器16の重量を棚側受けブラケット31,32に着床させて保持した後、にロープ21に作用する荷重が所定量に減少したことを、昇降モータ20の出力トルク指令値が閾値に達したことを検知して昇降モータ20を停止させることができる。しかも、昇降モータ20のトルク値と搬器16の位置の条件を満足した状態で停止させるようにしている。
【0069】
そのため、搬器16を格納棚13で保持した状態でロープ21に作用する荷重は、昇降モータ20を駆動するインバータの出力トルク指令値に適した閾値を設定することで、搬器16の保持状態におけるロープ21に作用する荷重を常に安定した荷重に保つことができる。
【0070】
従って、上記昇降体着床検知制御装置46によれば、ロープ21に作用する荷重が経年変化等で変化したとしても、昇降モータ20を停止させる条件(閾値等)を設定することでロープ21に作用する荷重を常にほぼ一定とすることができ、昇降モータ20が停止している状態では搬器16を吊下げているロープ21は弛ませることなく常に所定の荷重が作用している状態とすることができ、常に搬器(昇降体)16を着床位置に安定して保持することが可能となる。
【0071】
その上、ロープ21に作用している荷重を常時監視していないので、昇降以外の動作(例えば、横行)によって荷重が変化したとしても、検知器40による検知状態を保つことができる。
【0072】
また、ロープ21に所定の荷重が作用している状態で昇降モータ20を停止させる構成を簡単な構成(例えば、強制的に拘束するための複雑な機構が不要)とすることができ、昇降体着床検知制御装置46の信頼性向上、及びメンテナンス性向上を図ることが可能となる。
【0073】
次に、
図11のフローチャートに基づいて、上記
図9のフローチャートの流れで格納棚13に着床させた搬器16を、その格納棚13から他の格納棚位置へ移動させる場合の動作を説明する。
【0074】
まず、スタートして搬器16を上昇させ(S21)、搬器16が所定位置に設けられた階床センサ41(Z0)と階床センサ42(Z1)とを共にオンにする位置(
図10(a) の位置)まで上昇させられる(S22)。
【0075】
そして、階床センサ41(Z0)と階床センサ42(Z1)とが共にオンになると、搬器16はその位置から更に所定距離(例えば、数mm〜十数mm)上方位置まで上昇を続け(S23)、所定位置まで上昇すると停止する(S24)。このように、階床センサ41(Z0),42(Z1)で検知した位置から更に所定距離上昇させることにより、センサのチャタリング防止を図っている。
【0076】
この搬器16が着床状態から上昇を開始し、所定位置で上昇停止(S24)するまでは、上記着床時と同様である。
【0077】
また、このように階床センサ41(Z0)と階床センサ42(Z1)とが共にオンになる位置まで搬器16を上昇させることにより、定位置保持装置30を保持位置の状態から通過位置の状態に安定して切替えることができるようにしている。この一時停止位置は、上昇時、下降時とも搬器16は一旦ここで停止し、定位置保持装置30を保持位置の状態/通過位置の状態に動作させる位置である。
【0078】
そして、搬器16を所定位置まで上昇させた位置で、定位置保持装置30が搬器保持機構35を通過位置の状態に作動させられる(S25)。この定位置保持装置30の作動が完了すると(S26)、搬器16が目的階の格納棚13へと移動させられる(S27)。
【0079】
この目的階の格納棚13への移動は上昇または下降であり、目的階の格納棚13に到着した搬器16は、上記
図9に示すフローチャートの流れで目的階の格納棚13に着床させて保持される。
【0080】
そして、搬器(昇降体)16を所定の格納棚13の位置に着床させて保持した後は、上述したように、昇降モータ20を駆動するインバータの出力トルク指令値が所定値(閾値)に達したことを検知して昇降モータ20を停止させることで、搬器16の保持状態におけるロープ21に作用する荷重を、搬器側の荷重に影響されることなくほぼ一定にすることができる。しかも、昇降モータ20の閾値設定でロープ21に作用する荷重を容易に変更できるので、経年変化による荷重変化にも容易に対応することができる。
【0081】
以上のように、上記昇降体着床検知制御装置46を備えたエレベータ式駐車設備1によれば、搬器16によって昇降させるパレット70が空車のときと実車のときでロープ21に作用する積載荷重が大きく異なったり、また積載荷重の搬入/搬出(横行動作)等に伴う荷重変化が生じても、ロープ21の伸縮から起こる昇降停止位置の変動やトラクションシーブの摩擦力変動を防止することができる。
【0082】
そして、搬器(昇降体)16を所定の格納棚13の位置に着床させるときには、搬器16の重量を定位置保持装置30で支持した後にロープ21に作用する荷重が減少して所定値に達したことを、昇降モータ20のトルク指令値変動で検知するため、搬器16を格納棚13で保持した状態でロープ21に作用する荷重を常に安定した荷重に保つことができ、搬器16に荷重変化を生じても搬器16の着床位置が変動しないように保持することが可能となる。
【0083】
また、ロープ21に作用する荷重が経年変化等で変化したとしても、昇降モータ20のトルク指令値の閾値を調整することで、昇降モータ20が停止している状態では搬器16を吊下げているロープ21は弛ませることなく常に所定の荷重が作用している状態とすることができ、常に搬器(昇降体)16の安定した着床位置保持が可能となる。
【0084】
しかも、上記実施形態のように階床センサ(検知センサ)41,42をオン/オフの単純な構成とすることができるので、ロープ21に所定の荷重を作用させた状態で昇降モータ20を停止させる昇降体着床検知制御装置46の信頼性向上、及びメンテナンス性向上を図ることが可能となる。
【0085】
なお、上記実施形態では、昇降体着床検知制御装置46を備えた設備として機械式駐車設備であるエレベータ式駐車設備1を例に説明したが、少なくとも1カ所の搬器停止位置において、少なくとも1方向(例えば、下方向、上下方向)の昇降体移動を制限する定位置保持装置30と、昇降体を昇降させる昇降機を備えた設備であれば同様に適用でき、他の設備においても同様に適用できる。
【0086】
また、上記実施形態では、下部駆動方式のエレベータ式駐車設備1を例に説明したが、機械式駐車設備としては索状体(ロープ、チェーン等)で搬器16を昇降させる駐車設備等であれば上部駆動方式や他の形式の機械式駐車設備等であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。さらに、搬器16が動滑車方式の吊持方法となったエレベータ式駐車設備1例を説明したが、搬器16を昇降させる吊持方法は上記実施形態に限定されるものではなく、他の方式であってもよい。定位置保持装置30も、他の形式であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、昇降機20の索状体支持部10を固定構造部である駐車塔2に設けた例を説明したが、索状体支持部10を搬器(昇降体)16に設けたものであってもよく、索状体支持部10は固定構造部または昇降体のいずれに設けてもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0088】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。