特許第5969894号(P5969894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000002
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000003
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000004
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000005
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000006
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000007
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000008
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000009
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000010
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000011
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000012
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000013
  • 特許5969894-パネル取付構造 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969894
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】パネル取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20160804BHJP
   E04H 17/16 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   E04F11/18
   E04H17/16 102Z
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-242515(P2012-242515)
(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公開番号】特開2014-91949(P2014-91949A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】山家 克哉
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−235372(JP,A)
【文献】 特開2006−183246(JP,A)
【文献】 実開平06−006531(JP,U)
【文献】 特開2003−097023(JP,A)
【文献】 特開平06−173415(JP,A)
【文献】 実開平05−061338(JP,U)
【文献】 特開2011−208393(JP,A)
【文献】 特開昭58−098569(JP,A)
【文献】 特開平11−343661(JP,A)
【文献】 特開2010−144403(JP,A)
【文献】 特開2006−233668(JP,A)
【文献】 特開平10−331388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
E04H 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で設けられる複数の支柱にパネルユニットが取り付けられて構成されるパネル取付構造であって、
前記パネルユニットは、パネル部材と、そのパネル部材の背面側であってかつ隣り合う他のパネルユニットとの境界部となる位置に前記支柱と同方向に延びるように設けられる第1フレーム部材とを有し、
前記第1フレーム部材は、前記パネル部材の背面側に延びる延出部を有しており、
隣り合う2つのパネルユニットの境界部の背後に1つの前記支柱が配置されており、
前記境界部において各パネル部材の端部同士が互いに当接されるとともに、前記第1フレーム部材が、前記境界部の背面側において各第1フレーム部材の延出部が前記2つのパネルユニットに共通の挟持手段により挟持された状態で、前記支柱に対して固定されていることを特徴とするパネル取付構造。
【請求項2】
前記支柱又は支柱を覆う支柱カバーの側面部は、前記パネル部材の背面に平行となっており、
前記第1フレーム部材において、前記延出部は、前記パネル部材の背面から離間した位置に前記パネル部材の背面に平行に延びる部分を有しており、
前記挟持手段は、前記延出部を前記支柱又は支柱カバーの側面部との間で挟持して固定する第1固定部材であることを特徴とする請求項1に記載のパネル取付構造。
【請求項3】
前記境界部の背面側において、前記支柱又は前記支柱カバーの側面部と前記第1固定部材との間に前記延出部を挟持した状態で、前記第1固定部材を前記支柱に対して締結により固定する締結手段を有しており、
前記パネルユニットの正面側及び背面側のうち背面側からの前記締結手段の締結作業が可能となっていることを特徴とする請求項2に記載のパネル取付構造。
【請求項4】
前記第1フレーム部材は、リップ付きの溝形状をなすチャンネル材を、その横断面の中心位置で二分したのと同様の形状をなしており、前記チャンネル材のウエブに相当する部位が前記パネル部材の背面に固定されるとともに、前記チャンネル材のフランジ及びリップに相当する部位により前記延出部が形成されており、
隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材により形成される溝部内に、前記第1固定部材が配置され、その状態で、前記支柱又は前記支柱カバーの側面部と前記第1固定部材との間で前記延出部が挟持されて固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のパネル取付構造。
【請求項5】
前記第1固定部材は、前記第1フレーム部材に沿って延びる長尺材よりなり、その長手方向の所定位置が前記支柱の側に固定される固定位置となっており、
前記第1固定部材には、前記第1フレーム部材に対する位置合わせ手段として、前記第1フレーム部材の上端部に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のパネル取付構造。
【請求項6】
隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材の延出部についてそれら両延出部の相互の離間距離の拡がりを規制する規制部材を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパネル取付構造。
【請求項7】
前記パネルユニットは、前記パネル部材の背面側において前記第1フレーム部材とは異なる位置で前記各支柱に対して取り付けられる第2フレーム部材をさらに有しており、
前記第2フレーム部材が前記支柱に対して取り付けられる取付部には、前記支柱に対する前記第2フレーム部材の位置を調整可能とする位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のパネル取付構造。
【請求項8】
前記位置調整機構は、
前記支柱及び前記第2フレーム部材のいずれか一方の側から他方の側に延びるボルト部材を有し、その他方の側では前記ボルト部材がナットにより締結されるようになっており、
前記支柱及び前記第2フレーム部材の少なくともいずれかには、前記ボルト部材を挿通させた状態で、ボルト軸線に直交する方向への当該ボルト部材の移動を可能とする長孔が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のパネル取付構造。
【請求項9】
前記支柱及び前記第2フレーム部材のうち一方の側には、水平方向に延びる前記長孔が設けられ、他方の側には、鉛直方向に延びる前記長孔が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のパネル取付構造。
【請求項10】
前記第2フレーム部材はリップ付の溝形状をなすチャネル材よりなり、そのチャンネル材の溝開口部が前記支柱側に向くように設けられており、
前記第2フレーム部材においてその溝部内に固定された第2固定部材には、前記溝開口部となる位置に、水平方向及び鉛直方向のうち一方の第1方向に延びる第1長孔が形成され、前記支柱には、前記第1長孔に通じる位置に、水平方向及び鉛直方向のうち前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2長孔が形成されており、
前記ボルト部材が、前記第1長孔及び前記第2長孔に挿通させて設けられていることを特徴とする請求項9に記載のパネル取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル取付構造に関し、例えば建物においてバルコニー用又はテラス用のパネルユニットや、間仕切用のパネルユニット、外構用のパネルユニットを取り付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、例えばバルコニーには、バルコニー空間を囲むようにしてパネル部が設けられ、そのパネル部を形成する構成として、所定間隔で複数の支柱を設けるとともに、その支柱に対してパネルユニットを取り付ける構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−9418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のパネルユニットの境界部について見ると、上記従来の構成では、隣り合う2つのパネルの間を通じて、パネル背後の納まりである締結具(ナット等)が見えたり、各パネルの表面(パネル面)に同パネルを固定するための締結具が見えたりする納まりとなっており、こうした納まりにより外観の低下が生じることが考えられる。したがって、パネル取付構造の納まりとして改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う2つのパネルユニットの境界部において見栄えを向上させた納まりを実現することができるパネル取付構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
第1の発明は、
所定間隔で設けられる複数の支柱(25)にパネルユニット(35)が取り付けられて構成されるパネル取付構造であって、
前記パネルユニットは、パネル部材(36)と、そのパネル部材の背面側であってかつ隣り合う他のパネルユニットとの境界部となる位置に前記支柱と同方向に延びるように設けられる第1フレーム部材(37Y)とを有し、
前記第1フレーム部材は、前記パネル部材の背面側に延びる延出部(37b,37c)を有しており、
隣り合う2つのパネルユニットの境界部の背後に1つの前記支柱が配置されており、
前記境界部において各パネル部材の端部同士が互いに当接されるとともに、前記第1フレーム部材が、前記境界部の背面側において各第1フレーム部材の延出部が前記2つのパネルユニットに共通の挟持手段(38)により挟持された状態で、前記支柱に対して固定されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、隣り合う2つのパネルユニットの境界部では、1つの支柱に対して2つのパネルユニットの各第1フレーム部材が固定されるようになっている。そして、その境界部において隣り合うパネル部材の端部同士が互いに当接されるとともに、境界部の背面側において各第1フレーム部材の延出部が2つのパネルユニットに共通の挟持手段により挟持された状態(共締めされた状態)で、第1フレーム部材が支柱に対して固定されている。この場合、隣り合うパネル部材は端部同士が互いに当接されているため、その端部同士の間に隙間が形成され、その隙間によりパネル背後の構成が見えることで見栄えが低下するといった不都合を抑制できる。
【0009】
また、隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材が共通の挟持手段により挟持されていることから、各パネルユニットのパネル部材について位置の合わせ込みがしやすく、左右のパネル部材で段差(不陸)が生じたりすることを抑制できる。また、隣り合う2つのパネルユニットを挟持手段による挟み込みにより支持する構成としているため、パネルユニットごとにボルト、ナット等の締結具を必要とすることはなく、こうした締結具が外側から見えることによる外観の低下を抑制できる。以上により、隣り合う2つのパネルユニットの境界部において見栄えを向上させた納まりを実現することができる。
【0010】
第2の発明は、前記支柱又は支柱を覆う支柱カバー(32)の側面部は、前記パネル部材の背面に平行となっており、前記第1フレーム部材において、前記延出部は、前記パネル部材の背面から離間した位置に前記パネル部材の背面に平行に延びる部分を有しており、前記挟持手段は、前記延出部を前記支柱又は支柱カバーの側面部との間で挟持して固定する第1固定部材であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、パネル部材の背面に平行となっている支柱又は支柱カバーの側面部と第1固定部材との間で、その第1固定部材によって第1フレーム部材の延出部が挟持され、それにより各第1フレーム部材が固定されている。この場合、パネル部材のパネル面(表面)を面一で並べることができ、見栄え向上を図る上で好適なる構成となっている。
【0012】
また、パネル部材の背面に対して、第1フレーム部材の延出部と支柱又は支柱カバーの側面部とがそれぞれ平行になっているとともに、第1固定部材がその延出部を支柱又は支柱カバーの側面部に対して挟み込む構成となっており、ゆえに、第1フレーム部材は、その延出部が挟まれた状態(各延出部が第1固定部材により共締めされた状態)で上下方向の移動(スライド)が可能になっている。そのため、仮に左右のパネル部材で上下方向のずれが生じていても、そのずれ解消のための位置調整を容易に実施できる。
【0013】
第3の発明は、前記境界部の背面側において、前記支柱又は前記支柱カバーの側面部と前記第1固定部材との間に前記延出部を挟持した状態で、前記第1固定部材を前記支柱に対して締結により固定する締結手段(73,75)を有しており、前記パネルユニットの正面側及び背面側のうち背面側からの前記締結手段の締結作業が可能となっていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、締結手段は、パネルユニットの背面側、すなわち支柱の側からの締結作業が可能となっている。そのため、例えば本パネル構造を建物本体の外側に設けられるバルコニーとして採用する場合に、バルコニーの内側から締結の作業等を実施すればよいこととなる。したがって、建物外側に組まれる足場を利用しなくても、バルコニーの施工作業を実施でき、施工性の改善を実現できる。
【0015】
第4の発明は、前記第1フレーム部材は、リップ付きの溝形状をなすチャンネル材を、その横断面の中心位置で二分したのと同様の形状をなしており、前記チャンネル材のウエブに相当する部位が前記パネル部材の背面に固定されるとともに、前記チャンネル材のフランジ及びリップに相当する部位により前記延出部が形成されており、隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材により形成される溝部内に、前記第1固定部材が配置され、その状態で、前記支柱又は支柱カバーの側面部と前記第1固定部材との間で前記延出部が挟持されて固定されていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、2つの第1フレーム部材により形成される溝部内(チャンネル材と略同じ溝部内)に第1固定部材が収容されているため、第1フレーム部材の外側に張り出すことなく第1固定部材を配置でき、また、フランジ及びリップを各第1フレーム部材の延出部として用いるようにしたため、その延出部を第1固定部材により挟み込んで支柱に対して固定する上で好都合な構成を実現できる。
【0017】
第5の発明は、前記第1固定部材は、前記第1フレーム部材に沿って延びる長尺材よりなり、その長手方向の所定位置が前記支柱の側に固定される固定位置となっており、前記第1固定部材には、前記第1フレーム部材に対する位置合わせ手段として、前記第1フレーム部材の上端部に当接する当接部(38c)が設けられていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、それぞれ長尺材よりなる第1フレーム部材と第1固定部材とについて、それら両者を互いに固定する固定位置の位置合わせが容易となり、パネルユニットの取り付けの作業性が良好なものとなる。つまり、第1フレーム部材に対して第1固定部材を重ね合わせた後、その状態で第1固定部材の当接部を第1フレーム部材の上端部に当接させれば、前記両者の位置合わせが完了する。そのため、パネルユニットの取り付けの作業性が良好なものとなる。
【0019】
特に、上記第4の発明のように、2つの第1フレーム部材により形成される溝部内に第1固定部材が収容される構成では、第1固定部材における固定位置が確認しづらく、位置合わせが困難になり得るが、上記のとおり位置合わせ手段としての当接部を設けておくことにより、位置合わせの作業を容易化できる。
【0020】
第6の発明は、隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材の延出部についてそれら両延出部の相互の離間距離の拡がりを規制する規制部材(81)を有していることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、隣り合う2つのパネルユニットの各第1フレーム部材の延出部についてそれら両延出部の相互の離間距離の拡がりが規制部材により規制されるため、隣り合う2つのパネルユニットにおいて各パネル部材の端部同士の隙間が意に反して空いてしまうといった不都合を抑制できる。ゆえに、隣り合う2つのパネルユニットの境界部においてその見栄えの向上を図る上で有効な構成を実現できる。
【0022】
第7の発明は、前記パネルユニットは、前記パネル部材の背面側において前記第1フレーム部材とは異なる位置で前記各支柱に対して取り付けられる第2フレーム部材(37X)をさらに有しており、前記第2フレーム部材が前記支柱に対して取り付けられる取付部には、前記支柱に対する前記第2フレーム部材の位置を調整可能とする位置調整機構(51等)が設けられていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、第2フレーム部材が支柱に取り付けられる取付部には位置調整機構が設けられ、その位置調整機構により、支柱と第2フレーム部材との相対位置の調整が可能となっている。したがって、複数の支柱について傾きや間隔誤差により位置のばらつきが生じていても、そのばらつきを吸収した上で、パネルユニットを支柱に取り付けることができる。その結果、支柱に対してパネル部材を好適に取り付けることができ、ひいてはパネル取付作業に支障が生じたり外観が損なわれたりすることを抑制できる。
【0024】
また、第7の発明とその上位の各発明(第1の発明以降の発明)とを組み合わせた構成によれば、先にパネルユニットの端部(境界部)以外の中間部分において位置調整を行いつつ支柱に対する取り付け(仮固定)を実施し、その上でパネルユニットの端部での取り付けを実施することができる。つまり、複数の支柱について傾きや間隔誤差により位置のばらつきが生じていても、そのばらつきを吸収することで個々のパネル部材の傾きや位置ずれを解消し、その上でパネルユニットの端部の取り付けを好適に実施できる。
【0025】
第8の発明は、前記位置調整機構は、前記支柱及び前記第2フレーム部材のいずれか一方の側から他方の側に延びるボルト部材(55)を有し、その他方の側では前記ボルト部材がナット(63)により締結されるようになっており、前記支柱及び前記第2フレーム部材の少なくともいずれかには、前記ボルト部材を挿通させた状態で、ボルト軸線に直交する方向への当該ボルト部材の移動を可能とする長孔(54,61)が設けられていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、長孔におけるボルト部材の位置を変更することで、支柱と第2フレーム部材との相対位置を変更できる。これにより、支柱と第2フレーム部材とを締結する役割のボルト部材を用いて、支柱及び第2フレーム部材における相対的な位置ずれを解消でき、パネルユニットの取り付けに支障が生じたり、パネル部の見栄えが低下したりするといった不都合を解消できる。
【0027】
第9の発明は、前記支柱及び前記第2フレーム部材のうち一方の側には、水平方向に延びる前記長孔(54)が設けられ、他方の側には、鉛直方向に延びる前記長孔(61)が設けられていることを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、長孔は水平方向及び鉛直方向に十字状に設けられることとなる。したがって、ボルト部材は、その水平方向及び鉛直方向のいずれにも位置変更でき、水平方向及び鉛直方向のいずれの位置ずれにも対処可能となる。
【0029】
第10の発明は、前記第2フレーム部材はリップ付の溝形状をなすチャネル材よりなり、そのチャンネル材の溝開口部が前記支柱側に向くように設けられており、前記第2フレーム部材においてその溝部内に固定された第2固定部材(52)には、前記溝開口部となる位置に、水平方向及び鉛直方向のうち一方の第1方向に延びる第1長孔(54)が形成され、前記支柱には、前記第1長孔に通じる位置に、水平方向及び鉛直方向のうち前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2長孔(61)が形成されており、前記ボルト部材が、前記第1長孔及び前記第2長孔に挿通させて設けられていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、フレーム部材としてリップ付溝形状をなすチャネル材を用いており、そのチャンネル材の溝部内に固定部材を収容することで、フレーム部材の外側に張り出すことなく固定部材を配置でき、また、フランジやリップを用いることで、第1長孔を有する固定部材を、フレーム部材に対して容易に組み付けることができる。また、チャンネル材の溝開口部を用いてボルト部材を支柱側に引き出す構成とすることで、フレーム部材に対する孔あけ等の加工を要することなく、フレーム部材と支柱との両者間にボルト部材を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】バルコニー付き建物を示す斜視図。
図2】バルコニーのベース構造を分解して示す分解斜視図。
図3】バルコニーのパネル部を分解して示す分解斜視図。
図4】バルコニーのパネル部における縦断面の構成を示す断面図。
図5】位置調整機構の構成を説明するための分解斜視図。
図6】位置調整機構の横断面図。
図7】位置調整機構の横断面の構成を分解して示す断面図。
図8】縦フレームにおける各プレートの設置状態を示す図。
図9】2つの長孔の配置の状態を示す図。
図10】パネル境界部における固定機構を示す横断面図。
図11】パネル境界部における固定機構を分解して示す横断面図。
図12】別の実施形態におけるパネル境界部における固定機構を示す横断面図。
図13】別の実施形態における端部縦フレームを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットを用いて構築される二階建てユニット式建物に本発明を具体化しており、同ユニット式建物ではバルコニーの構造に特徴を有するものとなっている。
【0033】
まずは建物について簡単に説明する。図1に示す建物10において、建物本体11は複数の建物ユニット12により構成されており、そのうち二階部分のいずれかの建物ユニット12にバルコニー13が取り付けられている。バルコニー13は建物本体11から屋外側に張り出した、いわゆるキャンチバルコニー(片持ち式バルコニー)となっており、正面部14Aと2つの側面部14Bとを有している。この場合、バルコニー13を構成するパネル構造体が、建物ユニット12の躯体(柱や大梁)に対して固定されている。
【0034】
また、バルコニー13の囲い壁の部分は、大別して上下二段で別構成となっており、下段側はサイディングボード等の壁面材が取り付けられた腰壁部15、上段側は多数の横桟パネルが取り付けられた横桟パネル部16となっている。
【0035】
建物ユニット12の構成は周知であるため、図示による説明は割愛するが、簡単に説明をしておく。建物ユニット12は、四隅の柱と、それら各柱の上端部を連結する天井大梁と、各柱の下端部を連結する床大梁とを有し、全体として直方体状に形成されている。そして、隣接する建物ユニット12の柱同士を連結部材(ドッキングプレート等)により連結することで一体の建物本体11が構築されている。
【0036】
なお、バルコニー13の形態はキャンチ式に限られず、一階部分の建物ユニット12の上にバルコニー13が形成される構成(いわゆるルーフバルコニーの構成)であってもよい。
【0037】
次に、バルコニー13の構成を説明する。まずは、バルコニー13の前提構成を図2図4により説明する。図2は、バルコニー13のベース構造を分解して示す分解斜視図であり、図3は、バルコニー13のパネル部(囲い壁部)を分解して示す分解斜視図である。また、図4は、バルコニー13のパネル部における縦断面の構成を示す断面図である。
【0038】
図2に示すように、バルコニー13は、ベース構造として、床フレームユニット21と、その床フレームユニット21の張出先端部に取り付けられる壁フレームユニット22とを有している。床フレームユニット21は、互いに交差させて設けられる上フレーム23と下フレーム24とを有しており、このうち下フレーム24は、一端が建物本体11側に連結され、かつ建物本体11の外面に直交する向きに延びるようにして設けられている。また、上フレーム23は、下フレーム24に直交する方向(建物本体11の外面に平行な方向)に延びるようにして設けられている。そして、この床フレームユニット21に対して図示しない床材等が取り付けられることで、バルコニー床が構成されるようになっている。
【0039】
また、壁フレームユニット22は、所定間隔で設けられる複数の支柱25と、その支柱25を起立状態で固定する横フレーム26とを有している。支柱25と横フレーム26とは例えば溝形鋼よりなる。ただし、これら両者では横断面形状が異なり、支柱25は略正方形状をなしているのに対し、横フレーム26は支柱25よりも扁平な長方形状をなしている。そして、これら支柱25と横フレーム26とは互いに当接する部位にて溶接等により連結されている。図示の構成では、上下二段に横フレーム26が設けられており、そのうち上段の横フレーム26は、支柱同士の間に(柱勝ちの状態で)設けられ、下段の横フレーム26は、支柱部分で途切れることなく連続して(フレーム勝ちの状態で)設けられている。
【0040】
そして、支柱25及び横フレーム26により格子状に組まれた部分に、例えば窯業系サイディングボードよりなる壁面材27が取り付けられている。この場合、支柱25及び横フレーム26が腰壁部15の下地フレームとなっており、その支柱25及び横フレーム26に対してビス等により壁面材27が直接固定されている。
【0041】
なお、図2では、バルコニー13の正面部14Aに相当する部分についてのみ壁フレームユニット22と壁面材27とを示しているが、側面部14Bに相当する部分についても同様の構成が設けられている。
【0042】
また、図3には、壁フレームユニット22と壁面材27との一体物に対して組み付けられる各部材が示されている。なお、図2図3とでは、支柱25の数や壁フレームユニット22の形態が若干相違しているが、いずれかの形態にて限定されるものでなく、いずれの形態であってもよい。
【0043】
その構成を大まかに説明すると、壁フレームユニット22の各支柱25には、壁面材27よりも上方となる位置に、内側(建物本体側)及び外側(反建物本体側)で一対となる支柱カバー31,32が取り付けられており、各支柱25において外側支柱カバー32の側にパネルユニット35が取り付けられている。図3に示す構成では、壁フレームユニット22の長手方向に2つのパネルユニット35が横並びで設けられる構成となっている。パネルユニット35は、横格子となる複数の横桟パネル36と、その背面側に鉛直方向(横桟パネル36に直交する方向)に設けられる縦フレーム37とを有しており、縦フレーム37に対して各横桟パネル36がリベットやビス等により取り付けられている。
【0044】
支柱カバー31,32は、支柱25を囲むように配置される化粧カバーであり、本実施形態ではそれぞれアルミニウムにより成形されている。また、パネルユニット35の横桟パネル36と縦フレーム37についても本実施形態ではアルミニウムにより成形されている。
【0045】
パネルユニット35において縦フレーム37は支柱25と同じ間隔で配置されており、縦フレーム37が支柱25に対して位置合わせされ、それら両者が互いに固定されることで、パネルユニット35が支柱25に対して取り付けられている。ここで、縦フレーム37はそれぞれ、横桟パネル36の長手方向における中間位置に設けられる中間縦フレーム37Xと、横桟パネル36の長手方向の端部位置(すなわち、隣り合う他のパネルユニット35との境界部となる位置)に設けられる端部縦フレーム37Yとのいずれかからなる。この場合、中間縦フレーム37Xは、1対1の関係で支柱25に固定されているのに対し、端部縦フレーム37Yは、隣り合う2つのパネルユニット35の1つずつの同縦フレーム37Yが1つの支柱25に対応付けられ、2対1の関係で支柱25に固定されている。各縦フレーム37X,37Yの上下方向の長さは、上下複数の横桟パネル36からなるパネル群の上下方向の長さと略同じである。隣り合う2つのパネルユニット35の境界部分には、それら2つのパネルユニット35で共通に用いられ、各パネルユニット35の端部縦フレーム37Yを各々固定する固定金具38が取り付けられるようになっている。なお、中間縦フレーム37Xが「第2フレーム部材」に相当し、端部縦フレーム37Yが「第1フレーム部材」に相当する。
【0046】
本実施形態では、各縦フレーム37X,37Yにおける上下2カ所に、支柱25と縦フレーム37との取付箇所である取付部Kが設けられており、図4には、中間縦フレーム37Xにおける取付部Kの位置を示している。なお、取付部Kを、各縦フレーム37X,37Yの長手方向に1カ所にのみ設ける構成や、各縦フレーム37X,37Yの長手方向に3カ所以上設ける構成とすることも可能である。
【0047】
また、各支柱25の上端部には、水平方向に延びる長尺状のアタッチメント41を介して笠木42(上側笠木)が取り付けられている。
【0048】
その他、図4に示すように、腰壁部15の上端部となる部分の構成として、上下二段のうち上段側の横フレーム26の上面(溝形鋼のウエブ面)には、笠木固定金具44がボルト等の締結具により固定されており、その笠木固定金具44には笠木45(下側笠木)が取り付けられている。
【0049】
ところで、壁フレームユニット22に設けられる複数の支柱25は本来、鉛直方向に延び、かつあらかじめ定められた所定間隔で各々配置されるものであるが、その支柱25が鉛直方向に対して傾いていたり、隣り合う支柱同士の間隔に誤差が生じていたりすることがある。そして、こうして支柱25の位置のばらつきが生じていると、支柱25に対してパネルユニット35を取り付ける際においてその取り付けが困難又は不可になることが懸念される。また、取り付けが可能であったとしても、複数のパネルユニット35の意匠面側で段差が生じてしまい、外観が損なわれることが懸念される。上記不都合は、例えば、柱勝ちとなる上段側の横フレーム26における長さ寸法の誤差を要因として生じたり、支柱25に対して横フレーム26を溶接固定する場合に生じたりすることが考えられる。
【0050】
この点、本実施形態では、中間縦フレーム37Xにおいて上下2カ所の取付部Kに、支柱25に対する中間縦フレーム37Xの水平方向及び鉛直方向の位置調整を可能とする位置調整機構を設けており、以下にはその位置調整機構について説明する。図5は、位置調整機構の構成を説明するための分解斜視図であり、図6は、位置調整機構の横断面図であり、図7は、位置調整機構の横断面の構成を分解して示す断面図である。
【0051】
図5図7に示すように、パネルユニット35の中間縦フレーム37Xは、リップ付きの溝形状をなすアルミチャンネル材(アルミニウム製のチャンネル材)により構成されており、符号37aを付した部分がウエブ、符号37bを付した部分がフランジ、符号37cを付した部分がリップとなっている。中間縦フレーム37Xは、溝開口部37dが支柱25側に向くように設けられている。そして、中間縦フレーム37Xの溝部37e内に位置調整金具51が設けられるようになっている。
【0052】
位置調整金具51は、2枚のプレート材により構成される固定プレート52と可動プレート53とを有しており、固定プレート52を支柱側に、可動プレート53を反支柱側にして互いに重ねて配置されている。これらの両プレート52,53は、それぞれ断面略コ字状(溝形状)のアルミチャンネル材により構成されており、それぞれに一対のフランジ52a,53aを有している。この場合、固定プレート52では、一対のフランジ52aにおける外面間の寸法がL1であり、これが中間縦フレーム37Xの溝内寸法と略同じであるのに対し、可動プレート53では、一対のフランジ53aにおける外面間の寸法がL2であり、これが固定プレート52の同寸法(=L1)よりも小さいものとなっている(図7参照)。そして、固定プレート52は、そのフランジ52aと中間縦フレーム37Xのフランジ37bとがリベットやビス等の固定具56で互いに固定されることにより、中間縦フレーム37Xに対して固定されている。
【0053】
また、可動プレート53には、ボルト55が溶接により一体化されている。このボルト55は、可動プレート53の板面に直交する方向に延びるように設けられ、固定プレート52に形成された長孔54に挿通されるようになっている。固定プレート52の長孔54は、その長手方向が水平方向となる向きで形成されている。この場合、可動プレート53のフランジ間寸法L2が溝部37eの幅よりも小さく、かつボルト55が固定プレート52の長孔54に挿通されているため、可動プレート53及びボルト55は水平方向に位置変更可能となっている。
【0054】
ボルト55が可動プレート53に溶接により固定され、その可動プレート53及びボルト55の一体物が固定プレート52の内側に配設されているため、可動プレート53は、固定プレート52内における所定量の移動が許容されつつも、過剰に回転しないようになっている。つまり、図8に示すように、ボルト55の締め付け時に同ボルト55が回転しようとしても、可動プレート53が固定プレート52のフランジ52aに当たって、ボルト55の回転が規制される。したがって、ボルト55の締め付け時において可動プレート53が意図せず回転してしまい、所望とする位置でのボルト締結を行う上で不都合が生じることを抑制できる。
【0055】
また、支柱25には、中間縦フレーム37Xの側に外側支柱カバー32が設けられ、その反対側に内側支柱カバー31が設けられている。これら両カバー31,32は一方の支柱カバー(内側支柱カバー31)に形成された爪部31aの係合により一体化されており、一体化されることで支柱25が覆い隠されるようになっている。
【0056】
支柱25には、ボルト55を挿通させるための長孔61が形成されている。この長孔61は、その長手方向が鉛直方向となる向きで形成されている。また、支柱25の溝部内においてボルト55の先端部にはワッシャ62とナット63とが組み付けられている。要するに、ボルト55は、パネルユニット35の中間縦フレーム37Xの側から支柱25の側に延び、支柱25の側でナット63により締結されており、これにより支柱25と中間縦フレーム37Xとが一体化されている。なお、中間縦フレーム37Xと支柱25との間に存在する外側支柱カバー32にも、ボルト55を挿通させる孔部32aが形成されているが、これは長孔61と同サイズであるか、又は少なくとも長孔61よりも大きい孔サイズを有していればよいものとなっている。
【0057】
ここで、支柱25に対して中間縦フレーム37Xを組み付けた状態では、支柱25側からの正面視において、図9に示すように、2つの長孔54,61が十字状をなすように配置され、その十字状の孔(位置調整孔)に沿ってボルト55が移動可能となっている。換言すれば、十字状の孔(位置調整孔)に沿って、支柱25と縦フレーム37との相対位置が調整可能となっている。
【0058】
支柱25は中空状の鋼材であり、その内部に雨水等が浸入するのを防止すべく、支柱25の外面部には防水テープ(防水シート)が貼り付けられている。具体的には、支柱25の中間縦フレーム37X側には、長孔61を介して支柱内部に雨水等が浸入するのを防止すべく、上下2カ所の取付部Kに対応する位置に防水テープ64が貼り付けられており、支柱25の中間縦フレーム37Xとは反対側には、溝開口部25aを介して支柱内部に雨水等が浸入するのを防止すべく、支柱上端部から支柱下端部(少なくともパネル部の下端部)までの範囲で防水テープ65が貼り付けられている。
【0059】
また、中間縦フレーム37Xにおける各取付部Kにおいては、隙間調整用のスペーサ67を装着可能となっており、そのスペーサ67の装着により、支柱25及び中間縦フレーム37Xの間の隙間間隔が調整されるようになっている。より具体的には、スペーサ67は、ボルト55を通すための切欠部68を有する薄板材よりなり、例えば厚さ1mmのアルミ薄板により構成されている。この場合、各取付部Kにスペーサ67を装着するか装着しないか、又は各取付部Kに装着するスペーサ枚数を何枚にするかによって、パネルユニット35の厚み方向において支柱25に対する中間縦フレーム37Xの傾きを調整できる。この意味からして、スペーサ67は、傾き調整部材であるとも言える。
【0060】
また、隣り合う2つのパネルユニット35の境界部において、横桟パネル36の端部同士の間の隙間を通じてその背後の納まり(固定用ボルト等)が見えたり、パネル面が左右で段違いになっていたりすると、外観が著しく低下する。そこで本実施形態では、隣り合う2つのパネルユニット35の境界部において、各パネルユニット35の横桟パネル36の端部同士を互いに当接させた状態とし、さらに各パネルユニット35の端部縦フレーム37Yを後述の固定機構を用いて各々固定する構成とすることにより上記の外観上の不都合を解消するようにしている。
【0061】
図10は、隣り合う2つのパネルユニット35の境界部における固定機構を示す横断面図であり、図11は、その横断面の構成を分解して示す断面図である。なお、これら各図において、内側支柱カバー31や外側支柱カバー32など、図5図7で既に説明済みの構成については説明を省略する。
【0062】
図10図11に示すように、横桟パネル36の端部には合成樹脂製のキャップ71がはめ込まれており、パネルユニット35の取付状態では、隣り合う横桟パネル36の各キャップ71の端部同士が互いに当接するものとなっている。キャップ同士の当接状態では各キャップ71の弾性変形が可能となっている。
【0063】
パネルユニット35の端部縦フレーム37Yは、中間縦フレーム37Xとして用いたリップ付きの溝形状をなすアルミチャンネル材(図5参照)を横断面の中心位置(ウエブの真ん中)で二分した長尺材よりなる。なおここでは、説明の便宜上、端部縦フレーム37Yの各部について、中間縦フレーム37Xと同じ符号を付しており、符号37aを付した部分をウエブ、符号37bを付した部分をフランジ、符号37cを付した部分をリップとしている。横桟パネル36に対する端部縦フレーム37Yの取り付けの方向も、中間縦フレーム37Xに準じており、中間縦フレーム37Xの横断面において「ウエブ37aの長さ>リップ37cの長さ」となっている。
【0064】
このとき、隣り合う各パネルユニット35について見れば、それぞれの端部縦フレーム37Yは互いに逆となる向き(線対称の向き)で横桟パネル36に固定されており、図10に示す支柱25への取付状態では、リップ付きチャネル材を用いた場合と同様に、2つの端部縦フレーム37Yにおいて、ウエブ37aが横桟パネル36の側に当接固定されるとともに、リップ37cが外側支柱カバー32(支柱25)の側に当接固定されるようになっている。そして、2つの端部縦フレーム37Yは、同縦フレーム37Yの溝部(ウエブ37aとリップ37cとの間の空間)内に固定金具38を装着することでそれぞれ支柱25に対して固定されるようになっている。この固定の状態では、隣り合う2つのパネルユニット35において各横桟パネル36が連続して設けられることとなる。
【0065】
各端部縦フレーム37Yにおいて、フランジ37bとリップ37cとが横桟パネル36の背面側に延び、これらが「延出部」となっている。この場合特に、リップ37cは、横桟パネル36の背面から離間した位置に横桟パネル36の背面に平行に延びる向きで設けられており、横桟パネル36の背面と、端部縦フレーム37Yのリップ37cと、外側支柱カバー32の側面部とは互いに平行になっている(支柱25の側面部も同様)。
【0066】
端部縦フレーム37Yの固定機構について具体的には、固定金具38は、断面略コ字状(溝形状)のアルミチャンネル材により構成されており、その横断面の両端部に一対のフランジ38aを有している。固定金具38の上下方向の長さは、端部縦フレーム37Yの上下方向の長さと略同じである。そして、その固定金具38が、溝開放側を支柱25とは反対側に向けた状態(言い換えれば横桟パネル36の側に向けた状態)で、2つの端部縦フレーム37Yの溝部内に挿入されている。固定金具38では、一対のフランジ38aにおける外面間の寸法がL3であり(図11参照)、これは、隣り合う横桟パネル36の端部同士を互いに当接させた状態での2つの端部縦フレーム37Yの溝部内の幅寸法と略同じ寸法となっている(図10参照)。
【0067】
2つの端部縦フレーム37Yの溝部内に固定金具38を挿入した状態では、その固定金具38と端部縦フレーム37Yのリップ37cとが当接可能となっており、それにより、端部縦フレーム37Yのリップ37cを、固定金具38と外側支柱カバー32との間に挟み込むことが可能となっている。つまり、本実施形態では固定金具38が「挟持手段」に相当する。
【0068】
また、固定金具38には、ナット73が溶接により一体化されており、そのナット73に対しては、固定金具38の中央部(横断面中央部)に形成された貫通孔38bを通じてボルト75の螺着が可能になっている。この場合、2つの端部縦フレーム37Yからなる溝部内に固定金具38を挿入配置し、その状態で支柱25の内側からボルト75が装着することにより、固定金具38(ナット73)に対してボルト75が螺着されて支柱25と固定金具38とが一体化される。なお、支柱25にはボルト孔61Aが設けられており、そのボルト孔61Aは、ボルト75の挿通が可能であれば形状が任意であるが(本実施形態では丸孔)、図5等に示す長孔61と同様、上下方向に延びる長孔形状をなしていてもよい。このとき、固定金具38と外側支柱カバー32との間には端部縦フレーム37Yのリップ37cが挟み込まれており、ボルト75の螺着により、支柱25に対する端部縦フレーム37Yの取り付けが行われることとなる。
【0069】
固定金具38の上端部には、フランジ38aから外側に延びる引掛け部38cが設けられており(図11参照)、2つの端部縦フレーム37Yからなる溝部内に固定金具38が挿入された状態では、引掛け部38cが端部縦フレーム37Y(フランジ37b)の上端部に引っ掛かり(当接し)、その引っ掛かり(当接)により、固定金具38の下方への抜け落ちが規制されるとともに、端部縦フレーム37Yに対する固定金具38の上下方向の位置合わせ(すなわちナット73とボルト孔61Aとの位置合わせ)がなされるようになっている。
【0070】
バルコニー13として設けられるパネル構造体を構築する際には、先にベース構造としての床フレームユニット21と壁フレームユニット22とを建物本体(建物ユニット)に対して連結するとともに、壁フレームユニット22に対して壁面材27を取り付ける。これにより、横桟パネル部16よりも先に腰壁部15が構築される。また、腰壁部15の上方に笠木固定金具44や下側笠木45を取り付ける。
【0071】
そしてその後、支柱25に外側支柱カバー32を取り付けた状態で、その屋外側からパネルユニット35を装着する。このとき、
(1)パネルユニット35の中間縦フレーム37Xについて支柱25に対する仮固定を行い、
(2)その後、端部縦フレーム37Yについて支柱25に対する固定を行い、
(3)さらに、中間縦フレーム37Xについて支柱25に対する本固定を行う。なお、建物本体には既に床フレームユニット21が取り付けられていることから、これらの各作業は、床フレームユニット21の上に載った作業者がバルコニー内側から行うことができるようになっている。
【0072】
上記(1)について詳しくは、図5図7に示すように、パネルユニット35の中間縦フレーム37Xにはあらかじめ位置調整金具51が取り付けられており、その中間縦フレーム37Xから延びるボルト55を支柱25側の長孔61に挿し入れ、その状態で、支柱25と中間縦フレーム37Xとの相対的な位置ずれを長孔54,61により吸収しつつパネルユニット35の取付位置を決定する。また、必要に応じて支柱25と中間縦フレーム37Xとの間にスペーサ67を装着する。そして、ボルト55の先端部にナット63等を組み付けてパネルユニット35を支柱25に仮固定する。このとき、ボルト55に対するナット63の締め付け作業はバルコニー内側から実施される。ボルト55及びナット63の締め付けは、パネルユニット35が外れて落ちたりしない程度に、すなわちパネルユニット35の若干のずらし調整が可能となる程度に緩めに行われるとよい。
【0073】
ここで、パネルユニット35のパネル面に沿う方向については長孔54,61による位置調整が行われ、そのパネル面に直交する方向についてはスペーサ67による位置調整が行われる。こうして3方向の位置調整が行われることにより、支柱25及び中間縦フレーム37Xにおける相対的な位置ずれが好適に解消され、複数のパネルユニット35が取り付けられる場合において各パネルユニット35同士の位置ずれ(パネル面の段差等)の発生を抑制できる。
【0074】
上記(1)の作業が完了すると、隣り合う2つのパネルユニット35では、隣り合う横桟パネル36の端部同士が互いに当接した状態となり、その状態で、上記(2)の作業を実施する。すなわち、図10図11に示すように、まずは端部縦フレーム37Yの溝部内に固定金具38を挿入する。なお、各横桟パネル36の端部に取り付けられたキャップ71は弾性変形可能となっているため、左右の横桟パネル36で若干の位置ずれが生じていても、そのずれがキャップ71により吸収可能となっている。そして、ボルト75による締め付けを行い、各パネルユニット35を支柱25に対して固定する。このとき、ナット73(ウェルドナット)に対するボルト75の締め付け作業は、上記(1)での作業と同様に、バルコニー内側から実施される。
【0075】
上記(2)の作業では、隣り合う2つのパネルユニット35を連結する際に、各横桟パネル36のパネル面に段差が生じていても、各端部縦フレーム37Yのリップ37cが共に固定金具38と外側支柱カバー32との間に挟まれていることから(すなわち、各端部縦フレーム37Yのリップ37cが固定金具38により共締めされていることから)、各パネル面の段差を解消できる。
【0076】
また、隣り合う2つのパネルユニット35において各横桟パネル36の上下方向のずれ(高さずれ)が生じていても、各端部縦フレーム37Yのリップ37cが共に固定金具38と外側支柱カバー32との間に挟まれており、かつ中間縦フレーム37Xではパネルユニット35が緩めに仮固定されていることから、固定金具38と外側支柱カバー32との間にリップ37cが挟まれた状態で、各端部縦フレーム37Yを個々に上下方向にずらすことができ、高さずれを解消できる。
【0077】
その後、上記(3)の作業として、中間縦フレーム37Xにおいてボルト55の本締めを行う。
【0078】
上記(1)〜(3)の各作業の実施後には、各支柱25に防水テープ65を貼り付けるとともに、内側支柱カバー31を組み付ける。そしてその後、各支柱25の上端部にアタッチメント41を取り付けるとともに、そのアタッチメント41に上側笠木42を取り付ける。以上により、パネル構造体が構築される。
【0079】
ちなみに、上記のとおり構成されるパネル構造体は、あらかじめ工場にて作製された後、トラック等の輸送手段により建物施工現場に輸送されるとよい。又は、上記のパネル構造体において例えばパネルユニット35を現場取り付けにしたり、床フレームユニット21を現場取り付けにしたりするなど、構成の一部を現場取り付けにすることも可能である。
【0080】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0081】
隣り合う2つのパネルユニット35の境界部において各横桟パネル36の端部同士が互いに当接されるとともに、境界部の背面側において各端部縦フレーム37Yのリップ37c(延出部)が2つのパネルユニット35に共通の固定金具38により挟持された状態(共締めされた状態)で、端部縦フレーム37Yが支柱25に対して固定される構成となっている。この場合、隣り合う横桟パネル36は端部同士が互いに当接されているため、その端部同士の間に隙間が形成され、さらにその隙間によりパネル背後の構成が見えることで見栄えが低下するといった不都合を抑制できる。
【0082】
また、隣り合う2つのパネルユニット35の各端部縦フレーム37Yが共通の固定金具38により挟持されていることから、各パネルユニット35の横桟パネル36について位置の合わせ込みがしやすく、左右の横桟パネル36で段差が生じたりすることを抑制できる。また、隣り合う2つのパネルユニット35を固定金具38による挟み込みにより支持する構成としているため、パネルユニット35ごとにボルト、ナット等の締結具を必要とすることはなく、こうした締結具が外側から見えることによる外観の低下を抑制できる。以上により、隣り合う2つのパネルユニット35の境界部において見栄えを向上させた納まりを実現することができる。
【0083】
各横桟パネル36の背面に平行となっている外側支柱カバー32の側面部と固定金具38との間で、固定金具38によって端部縦フレーム37Yのリップ37cを挟持し、それにより各端部縦フレーム37Yを固定する構成とした。この場合、横桟パネル36のパネル面(表面)を面一で並べることができ、見栄え向上を図る上で好適なる構成となっている。
【0084】
また、各横桟パネル36の背面に対して、端部縦フレーム37Yのリップ37cと外側支柱カバー32の側面部とがそれぞれ平行になっているとともに、固定金具38がそのリップ37cを外側支柱カバー32の側面部に対して挟み込む構成となっており、ゆえに、端部縦フレーム37Yは、リップ37cが挟まれた状態で上下方向の移動(スライド)が可能になっている。そのため、仮に左右の横桟パネル36で上下方向のずれが生じていても、そのずれ解消のための位置調整を容易に実施できる。
【0085】
パネルユニット35の境界部の背面側において、固定金具38に一体化したナット73(ウェルドナット)に対して、支柱25側(パネルユニット35の背面側)からボルト75の締結作業を行う構成とした。この場合、バルコニーの内側から締結作業を実施できることとなるため、建物外側に組まれる足場を利用しなくても、バルコニーの施工作業を実施でき、施工性の改善を実現できる。
【0086】
また、ナット73に対するボルト75の締結は支柱25の内部空間にて実施される。そのため、これらのナット73やボルト75がパネルユニット35の外側から見えることはなく、その点でも見栄えの向上が図られている。本実施形態のパネル構造体では、パネルユニット35の中間部分及び端部部分のいずれにおいても外側からナットやボルトといった締結具が見えない構成となっている。
【0087】
隣り合う2つの端部縦フレーム37Yにより形成される溝部内に固定金具38を配置し、その状態で、外側支柱カバー32の側面部と固定金具38との間で端部縦フレーム37Yのリップ37cを挟持する構成とした。これにより、端部縦フレーム37Yの外側に張り出すことなく固定金具38を配置でき、固定金具38の挟み込みにより端部縦フレーム37Yを支柱25に対して固定する上で好都合な構成を実現できる。この場合、固定金具38を外から見えないようにしつつも、所望とする挟持作用を好適に得ることができる。
【0088】
端部縦フレーム37Yに対する位置合わせ手段として、固定金具38に、端部縦フレーム37Yの上端部に引っ掛けられる引掛け部38cを設ける構成とした。これにより、それぞれ長尺材よりなる端部縦フレーム37Yと固定金具38とについて、それら両者を互いに固定する固定位置の位置合わせが容易となり、パネルユニット35の取り付けの作業性が良好なものとなる。
【0089】
特に、2つの端部縦フレーム37Yにより形成される溝部内に固定金具38が収容される構成では、固定金具38における固定位置が確認しづらく、位置合わせが困難になり得るが、上記のとおり位置合わせ手段としての引掛け部38cを設けておくことにより、位置合わせの作業を容易化できる。
【0090】
パネルユニット35の中間縦フレーム37Xに関する構成として、中間縦フレーム37Xにおいて支柱25に対する取り付けが行われる取付部Kに、支柱25に対する中間縦フレーム37Xの位置を調整可能とする位置調整機構を設ける構成とした。その結果、支柱25に対して横桟パネル36を好適な状態で取り付けることができ、ひいてはパネル取付作業に支障が生じたり、仕上がり後のバルコニー13において外観が損なわれたりすることを抑制できる。
【0091】
また、中間縦フレーム37Xに上記の位置調整機構を設けるとともに、端部縦フレーム37Yに上記の固定機構を設ける構成としたため、先にパネルユニット35の端部(境界部)以外の中間部分において位置調整を行いつつ支柱25に対する取り付け(仮固定)を実施し、その上でパネルユニット35の端部での取り付けを実施することができる。つまり、複数の支柱25について傾きや間隔誤差により位置のばらつきが生じていても、そのばらつきを位置調整機構により吸収することで個々の横桟パネル36の傾きや位置ずれを解消し、その上でパネルユニット35の端部の取り付けを好適に実施できる。
【0092】
中間縦フレーム37Xの位置調整機構として、中間縦フレーム37Xの側から支柱25の側に延びるボルト55を支柱25の側でナット63により締結する構成とし、特に中間縦フレーム37Xと支柱25とに、ボルト55を挿通させた状態で、ボルト軸線に直交する方向へのボルト55の移動を可能とする長孔54,61を設ける構成とした。これにより、支柱25と中間縦フレーム37Xとを締結する締結部材としてのボルト55を用いて、支柱25及び中間縦フレーム37Xにおける相対的な位置ずれを解消できる。
【0093】
位置調整機構として、パネルユニット35の中間縦フレーム37Xの側には、水平方向に延びる長孔54を設けるとともに、支柱25の側には、鉛直方向に延びる長孔61を設ける構成とした。これにより、水平方向及び鉛直方向に十字状に延びる長孔(位置調整孔)が形成されることとなり、水平方向及び鉛直方向(バルコニーパネル面の正面視における水平方向及び鉛直方向)のいずれの位置ずれにも対処可能となる。
【0094】
パネルユニット35において中間縦フレーム37Xの溝部37e内に固定プレート52を固定し、その固定プレート52に水平方向に延びる長孔54(第1長孔)を形成するとともに、支柱25側に鉛直方向に延びる長孔61(第2長孔)を形成し、ボルト55を長孔54,61を貫通させて設ける構成とした。この場合、中間縦フレーム37Xの溝部37e内に固定プレート52を収容することで、中間縦フレーム37Xの外側に張り出すことなく固定プレート52を配置でき、また、縦フレーム37のフランジ37bやリップ37cを用いて固定プレート52を固定することで、中間縦フレーム37Xに対して固定プレート52を容易に組み付けることができる。また、中間縦フレーム37Xの溝開口部37dを用いてボルト55を支柱25側に引き出すようにしたため、中間縦フレーム37Xに対する孔あけ等の加工を要することなく、中間縦フレーム37Xと支柱25との両者間にボルト55を設けることができる。
【0095】
中間縦フレーム37Xの溝部37e内において固定プレート52を挟んで反支柱側に設けられる可動プレート53を溝部37e内で位置変更可能(移動可能)とし、その可動プレート53にボルト55を固定する構成とした。この場合、可動プレート53自体の移動は固定プレート52により制限されており、ボルト55の締め付け時において可動プレート53が意図せず回転し、所望とする位置でのボルト締結を行う上で支障が及ぶ、といった不都合を抑制できる。
【0096】
複数の取付部Kのそれぞれにおいて隙間調整用のスペーサ67を装着可能としたため、スペーサ67の装着の状態に応じて、パネルユニット35の厚み方向において支柱25に対する中間縦フレーム37Xの傾きを調整できる。つまり、上述したとおりバルコニーパネル面の正面視における水平方向及び鉛直方向の位置調整に加えて、同正面視における前後方向の位置調整も可能となる。
【0097】
支柱25の上下となる位置にそれぞれ腰壁部15と横桟パネル部16とを設け、腰壁部15においては位置調整機構を用いずに支柱25に対して壁面材27を取り付けるのに対し、横桟パネル部16においては位置調整機構を用いて支柱25に対してパネルユニット35を取り付ける構成とした。つまり、支柱25に対して壁面材27が直接的に取り付けられる腰壁部15と、支柱25に対して中間縦フレーム37Xを介して横桟パネル36が取り付けられる横桟パネル部16とのうち、横桟パネル部16だけに位置調整機構を設ける構成とした。この場合、壁面材27の取り付けの時点では、支柱自体について多少の位置調整(面内での移動)は可能であると考えられるが、壁面材27の取り付け後には、支柱自体の位置調整が困難になると考えられる。この点、上記のとおり支柱25と中間縦フレーム37Xとの相対位置を調整可能な位置調整機構を設けたことにより、腰壁部15と横桟パネル部16とを有するパネル構造体において横桟パネル部16を好適に構築できる。
【0098】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0099】
図12に示すように、隣り合う2つのパネルユニット35の各端部縦フレーム37Yの延出部(フランジ37b及びリップ37c)についてそれらの相互の離間距離の拡がりを規制する規制金具81が設けられる構成であってもよい。この場合、規制金具81は、断面略コ字状(溝形状)のアルミチャンネル材により構成されており、その横断面の両端部に一対のフランジ81aを有している。一対のフランジ81aにおける内面間の寸法はL4であり、これは、2つのパネルユニット35を端部同士で接合させた場合に、2つの端部縦フレーム37Yのフランジ37bの外面間の寸法と略同じ寸法になっている。なお、符号81bはボルト75を挿通させるための挿通孔である。
【0100】
上記構成によれば、隣り合う2つのパネルユニット35において各横桟パネル36の端部同士の隙間が意に反して空いてしまうといった不都合を抑制できる。ゆえに、隣り合う2つのパネルユニット35の境界部においてその見栄えの向上を図る上で有効な構成を実現できる。
【0101】
・上記実施形態では、端部縦フレーム37Yとして、リップ付きの溝形状をなすチャンネル材(中間縦フレーム37Xと同じチャンネル材)をその横断面の中心位置で二分した長尺材を用いたが、この構成を変更してもよい。要は、端部縦フレーム37Yは横桟パネル36の背面側に延びる延出部を有し、その延出部が固定金具38(挟持手段)により挟持可能になっている長尺材であればよい。具体的には、図13(a)に示すように、横桟パネル36の背面に固定される部分と、固定金具38により挟持される部分とが同じ長さである構成や、図13(b)に示すように、横桟パネル36の背面に固定される部分と、固定金具38により挟持される部分とが非対向となる構成であってもよい。
【0102】
・上記実施形態では、中間縦フレーム37Xの位置調整機構において、ボルト55を一体化した可動プレート53(ベースプレート)を中間縦フレーム37X側に設けることで、中間縦フレーム37X側から支柱25側に延びるようにボルト55を設け、このボルト55を支柱25側でナット63により締結する構成としたが、この構成を変更してもよい。例えば、可動プレート53(ベースプレート)を支柱25側に設けるとともに、この支柱25側からボルトを締結する構成としてもよい。この場合、支柱25側からの締結作業ができるように、中間縦フレーム37X側にウェルドナットを設けておき、そのウェルドナットに対して支柱25側からボルトの締結を行うようにするとよい。
【0103】
・上記実施形態では、中間縦フレーム37Xの位置調整機構において、支柱25側に縦長の長孔61を設けるとともに、パネルユニット35における中間縦フレーム37X側の位置調整金具51に横長の長孔54を設ける構成としたが、これを逆にして、支柱25側に横長の長孔61を設けるとともに、パネルユニット35における中間縦フレーム37X側の位置調整金具51に縦長の長孔54を設ける構成としてもよい。
【0104】
・上記実施形態では、支柱25側及び中間縦フレーム37X側のそれぞれに、水平方向及び鉛直方向のそれぞれに延びる2つの長孔54,61を設けたが、これを変更し、水平方向及び鉛直方向のうち一方の方向に延びる長孔だけを設ける構成としてもよい。例えば、支柱25に、長孔61ではなくボルト55を挿通させるだけの円形状のボルト挿通孔を設ける構成とする。この場合、長孔54による水平方向の位置調整のみが可能となる。
【0105】
・上記実施形態では、パネル部材として横桟パネル36を用い、その横桟パネル36に対して各縦フレーム37X,37Yを取り付ける構成としたが、これを変更してもよい。パネル材として壁面材を用いてもよい。また、パネル部材として縦桟パネルを用い、その縦桟パネルに対して横フレームを取り付ける構成としてもよい。この場合、横フレームは、支柱25に対して直交する方向に延びるものであり、その長手方向において支柱25同士の間隔と同じ間隔で、支柱25に対する取り付けが行われる取付部が設けられる。
【0106】
・上記実施形態では、縦フレーム37X,37Y(フレーム部材)としてアルミチャンネル材を用いたが、これに代えて、鋼材よりなるチャンネル材(溝形鋼)を用いたり、樹脂チャンネル材を用いたりしてもよい。
【0107】
・上記実施形態では、支柱25に化粧カバーとしての支柱カバー31,32を取り付ける構成としたが、この支柱カバー31,32を用いない構成であってもよい。例えば、支柱25をアルミニウム(アルミ押出型材)やステンレス鋼などで構成し、その外面が化粧面を兼ねる構成としてもよい。この場合、パネルユニット35の縦フレーム37X,37Y(フレーム部材)は、支柱25に当接した状態で取り付けられ、その状態で支柱25に対して固定される。
【0108】
・上記実施形態では、腰壁部15と横桟パネル部16とを上下に連続して設ける構成としたが、これに限定されず、腰壁部15を設けない構成としてもよい。また、横桟パネル部16の上に化粧用の笠木ではなく、人による手づかみが可能な手摺を設ける構成であってもよい。
【0109】
・上記実施形態では、図1等に示すバルコニーのパネル構造に本発明を適用したが、これを変更してもよい。例えば、バルコニーは、バルコニー空間の上方に屋根部(庇)を有する屋根付きバルコニーであってもよい。屋根付きバルコニーとする場合、屋根部(庇)は建物本体から延びる片持ち式の構成であってもよいし、バルコニーのパネル部分から上方に延びる支柱により下方から支えられる構成であってもよい。なお後者の構成の場合、屋根を支える支柱は、壁フレームユニット22の支柱25が上方に延びるものであるとよい。つまり、壁フレームユニット22の複数の支柱25のうち特定の支柱(例えば出隅部分に位置する支柱)をパネル上端部(上側笠木)よりも上方に延ばし、その支柱により屋根を支持することとする。
【0110】
また、テラス、外階段、建物外壁、建物屋内の間仕切、外構フェンスなどに用いられるパネル構造に本発明を適用することも可能である。また、ユニット式建物以外に、鉄骨軸組工法からなる建物や、パネル工法よりなる建物において具体化することも可能である。
【符号の説明】
【0111】
10…建物、12…建物ユニット、13…バルコニー、25…支柱、31,32…支柱カバー、35…パネルユニット、36…横桟パネル(パネル部材)、37X…中間縦フレーム(第2フレーム部材)、37Y…端部縦フレーム(第1フレーム部材)、37a…ウエブ、37b…フランジ(延出部)、37c…リップ(延出部)、38…固定金具(挟持手段、第1固定部材)、38c…引掛け部(当接部)、51…位置調整金具、52…固定プレート(第2固定部材)、53…可動プレート(ベースプレート)、54…長孔(第1長孔)、55…ボルト(ボルト部材)、61…長孔(第2長孔)、63…ナット、73…ナット(締結手段)、75…ボルト(締結手段)、81…規制金具(規制部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13