(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969898
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-248514(P2012-248514)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-96527(P2014-96527A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年6月30日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、次世代素材等レーザー加工技術開発プロジェクト、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】影山 進人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 治正
(72)【発明者】
【氏名】宮島 博文
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛徳
(72)【発明者】
【氏名】前田 純也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 昌浩
【審査官】
多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第00/011717(WO,A1)
【文献】
特開2005−340532(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0032937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が載置される載置領域を有すると共に、冷却用の流体が供給される供給口及び前記流体を排出する排出口が前記載置領域から離間して設けられた本体部を備え、
前記本体部の内部には、前記供給口から供給された前記流体を前記載置領域側に向かって導くIN側流路と、前記IN側流路を通った前記流体を前記載置領域下で噴出させる噴出孔列と、前記噴出孔列から噴出した前記流体を前記排出口に向かって導くOUT側流路と、によって構成される流路ユニットが複数段に積層されており、
前記載置領域下において、前記流路ユニットのそれぞれの前記噴出孔列は、各噴出孔の配列方向と交差する方向に配列されていることを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、
前記流路長が長い前記流路ユニットにおける前記噴出孔の内径は、前記流路長が短い前記流路ユニットにおける前記噴出孔の内径よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、
前記流路長が長い前記流路ユニットにおける前記噴出孔の配列数は、前記流路長が短い前記流路ユニットにおける前記噴出孔の配列数よりも少なくなっていることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、
前記流路長が長い前記流路ユニットにおける前記IN側流路の断面積は、前記流路長が短い前記流路ユニットにおける前記IN側流路の断面積よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記IN側流路及び前記OUT側流路は、前記流路ユニットの面内方向に延びる第1の部分と、前記流路ユニットの積層方向に延びる第2の部分とを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザ等の発熱体の放熱にはヒートシンクが用いられている。例えば特許文献1に記載のヒートシンクでは、上面に溝が形成された平板と、下面に溝が形成された平板とを、複数の貫通孔(流体の噴出孔)が形成された仕切板を介して接合して冷却用の流体の流路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/11717号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなヒートシンクでは、冷却効率を十分に確保する観点から、流路を流れる流体の流速や圧力を十分に確保する必要がある。また、冷却の均一性を確保する観点から、流体の流速ムラをできる限り抑える必要がある。このような課題に対し、噴出孔の径を単に拡大する構成や、流路に複数列の噴出孔を接続する構成では、流速や圧力の確保が困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、十分な冷却効率で均一に発熱体を冷却できるヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係るヒートシンクは、発熱体が載置される載置領域を有すると共に、冷却用の流体が供給される供給口及び流体を排出する排出口が載置領域から離間して設けられた本体部を備え、本体部の内部には、供給口から供給された流体を前記載置領域側に向かって導くIN側流路と、IN側流路を通った流体を載置領域下で噴出させる噴出孔列と、噴出孔列から噴出した流体を前記排出口に向かって導くOUT側流路と、によって構成される流路ユニットが複数段に積層されており、載置領域下において、流路ユニットのそれぞれの噴出孔列は、各噴出孔の配列方向と交差する方向に配列されていることを特徴としている。
【0007】
このヒートシンクでは、冷却用の流体が噴出する噴出孔列が各噴出孔の配列方向と交差する方向に複数列で配列されている。これにより、発熱体が載置される載置領域に対して広範囲に流体を噴出させることができ、発熱体の冷却を均一に行うことが可能となる。また、このヒートシンクでは、複数の噴出孔列が単一の流路に接続されているのではなく、各流路ユニットにそれぞれ噴出孔列が接続されている。したがって、流路内の流体の圧力及び流速を確保でき、十分な冷却効率を達成できる。この構成では、流体の流速ムラも抑えられるので、冷却の均一性が損なわれることも回避できる。
【0008】
また、流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、流路長が長い流路ユニットにおける噴出孔の内径は、流路長が短い流路ユニットにおける噴出孔の内径よりも小さくなっていることが好ましい。この場合、流路長が異なる場合であっても、流路ユニットの噴出孔から噴出する流体の圧力及び流速を揃えることができる。したがって、発熱体の冷却を一層均一化できる。
【0009】
また、流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、流路長が長い流路ユニットにおける噴出孔の配列数は、流路長が短い流路ユニットにおける噴出孔の配列数よりも少なくなっていることが好ましい。この場合、流路長が異なる場合であっても、流路ユニットの噴出孔から噴出する流体の圧力及び流速を揃えることができる。したがって、発熱体の冷却を一層均一化できる。
【0010】
また、流路ユニットごとに流路長が互いに異なっており、流路長が長い流路ユニットにおけるIN側流路の断面積は、流路長が短い流路ユニットにおけるIN側流路の断面積よりも小さくなっていることが好ましい。この場合、流路長が異なる場合であっても、流路ユニットの噴出孔から噴出する流体の圧力及び流速を揃えることができる。したがって、発熱体の冷却を一層均一化できる。
【0011】
また、IN側流路及びOUT側流路は、流路ユニットの面内方向に延びる第1の部分と、流路ユニットの積層方向に延びる第2の部分とを有していることが好ましい。この場合、流路ユニットを流れる流体と本体部との接触面積が増加し、発熱体の冷却効率を一層向上できる。また、各流路ユニットの第2の部分同士を隔てる本体部の壁部によって、本体部の積層方向の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るヒートシンクによれば、十分な冷却効率で均一に発熱体を冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るヒートシンクの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したヒートシンクの一部を切り欠いて示す要部拡大斜視図である。
【
図3】
図1に示したヒートシンクの要部拡大断面図である。
【
図4】
図1に示したヒートシンクを構成する板状部材の層構成を示す分解斜視図である。
【
図5】
図4に示した板状部材の第2層のパターンを示す平面図である。
【
図6】
図6に示した板状部材の第11層のパターンを示す平面図である。
【
図7】本発明に係るヒートシンクの変形例を示す図である。
【
図8】本発明に係るヒートシンクの別の変形例を示す図である。
【
図9】本発明に係るヒートシンクの更に別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るヒートシンクの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るヒートシンクの一実施形態を示す斜視図である。同図に示すヒートシンク1は、例えば高出力の半導体レーザーバーS(
図3参照)を冷却する冷却部材として用いられるものである。このヒートシンク1は、例えば長さ30mm、幅12mm、厚さ3mm程度の扁平な直方体形状をなす本体部2を備えている。
【0016】
本体部2の上面2aの一端部は、半導体レーザーバーSが載置される載置領域Pとなっている。また、本体部2には、冷却用の流体(例えば水)が供給される供給口3と、流体を排出する排出口4とが載置領域P側から順に設けられている。供給口3及び排出口4は、いずれも例えば断面円形をなし、載置領域Pから離間した位置で本体部2の上面2aから下面2bまで貫通している。
【0017】
本体部2の内部には、
図2及び
図3に示すように、複数(本実施形態では3系統)の流路ユニット11(本体部2の下面側から順に11A〜11C)が積層されている。流路ユニット11のそれぞれは、供給口3から供給された流体を載置領域P側に向かって導くIN側流路12(12A〜12C)と、IN側流路12を通った流体を載置領域P下で噴出させる噴出孔列13(13A〜13C)と、噴出孔列13から噴出した流体を排出口4に向かって導くOUT側流路14(14A〜14C)と、によって構成されている。また、各流路ユニット11のIN側流路12及びOUT側流路14は、流路ユニット11Cを除き、流路ユニット11の面内方向に延びる第1の部分と、流路ユニット11の積層方向に延びる第2の部分とを有している。
【0018】
流路ユニット11AにおけるIN側流路12Aの第1の部分12aは、本体部2において最も下面2b側に位置し、載置領域P下で本体部2の長さ方向の端部近傍まで延びている。IN側流路12Aの第2の部分12bは、第1の部分12aの端部から本体部2の上面2a側に略直角に折れ曲がり、本体部2の上面2aの近傍で噴出孔列13Aに接続されている。また、流路ユニット11AにおけるOUT側流路14Aの第1の部分14aは、IN側流路12Aの第1の部分12aの上層側に位置し、載置領域P下でIN側流路12Aの第2の部分12bよりも僅かに内側の位置まで延びている。OUT側流路14Aの第2の部分14bは、第1の部分14aの端部から本体部2の上面側に略直角に折れ曲がり、噴出孔列13Aに接続されている。
【0019】
流路ユニット11BにおけるIN側流路12Bの第1の部分12cは、本体部2の厚さ方向の略中央部分に位置し、載置領域P下でOUT側流路14Aの第2の部分14bよりも僅かに内側の位置まで延びている。IN側流路12Bの第2の部分12dは、第1の部分12cの端部から本体部2の上面2a側に略直角に折れ曲がり、本体部2の上面2aの近傍で噴出孔列13Bに接続されている。また、流路ユニット11BにおけるOUT側流路14Bの第1の部分14cは、IN側流路12Bの第1の部分12cの上層側に位置し、載置領域P下でIN側流路12Bの第2の部分12dよりも僅かに内側の位置まで延びている。OUT側流路14Bの第2の部分14dは、第1の部分14cの端部から本体部2の上面側に略直角に折れ曲がり、噴出孔列13Bに接続されている。
【0020】
流路ユニット11CのIN側流路12Cは、本体部2の厚さ方向の上面2a側で流路ユニット11の面内方向に延び、載置領域P下でOUT側流路14Bの第2の部分14dよりも僅かに内側の位置で噴出孔列13Cに接続されている。また、流路ユニット11CのOUT側流路14Cは、本体部2において最も上面2a側に位置して流路ユニット11の面内方向に延び、噴出孔列13Bに接続されている。以上のようなIN側流路12及びOUT側流路14の構成により、各流路ユニット11における流路長は、流路ユニット11Aが最も長くなっており、次いで、流路ユニット11B、流路ユニット11Cの順となっている。
【0021】
以上の構成を有するヒートシンク1は、
図4に示すように、所定の溝パターンが形成された複数(本実施形態では全13層)の平板部材21を積層することによって形成されている。平板部材21は、例えば厚さ1μm〜5μm程度のNiめっき及び厚さ2μm以上のAuめっきを銅板の表面に施した部材である。平板部材21の最表面には、各層同士を接合するためのAuSnハンダが蒸着されている。ヒートシンク1の形成にあたっては、まず、板状部材21を
図4の順序で積層し、加圧・昇温によって一体化させて積層体を得る。そして、積層体を研磨・研削して外形寸法を調整した後、例えば厚さ1μm〜2μm程度のNiめっき及び厚さ0.1μm〜0.3μm程度のAuめっきを積層体の外表面全体に施す。
【0022】
次に、各層の平板部材21の要部を説明する。ここでは、説明の便宜上、本体部2の下面2b側から上面2a側に向かって第1層〜第13層(平板部材21A〜21M)とする。
図4に示すように、全ての平板部材21には、供給口3に相当する第1溝パターン22及び排出口4に相当する第2溝パターン23が形成されている。第1層の平板部材21A及び第13層の平板部材21Mは、カバー部材として機能し、第1溝パターン22及び第2溝パターン23のみが形成されている。
【0023】
供給口3とIN側流路12とが接続される第2層の平板部材21Bでは、
図5に示すように、IN側流路12に相当する第3溝パターン24が形成されている。この第3溝パターン24は、供給口3から載置領域P側に向かって裾広がりの形状となっており、第3溝パターン24の先端部は複数の仕切りによって分岐している。また、第1溝パターン22と第3溝パターン24との接続部分には、第1溝パターン22の直径よりも幅が小さくなるような狭窄部24aが形成されている。
【0024】
この狭窄部24aにより、供給口3からの流体がIN側流路12の両サイドに過剰に流れることを抑制できる。半導体レーザーバーSの中央部分は温度が比較的上昇し易い部分であり、流体を載置領域Pの中央に集めることで冷却効率を向上できる。このような狭窄部24aは、供給口3とIN側流路12とが接続される第6層の平板部材21F及び第10層の平板部材21Jにおいても同様に形成されている(
図4参照)。
【0025】
排出口4とOUT側流路14とが接続される第2層〜第4層の平板部材21B〜21D、第6層〜第8層の平板部材21F〜21H、及び第10層〜第12層の平板部材21J〜21Lでは、
図4に示すように、OUT側流路14に相当する第4溝パターン25が形成されている。この第4溝パターン25は、本体部2の幅方向の端部に沿って所定の長さで延在し、第2溝パターン23の近傍で本体部2の中央側に折れ曲がって第2溝パターン23に接続されている。
【0026】
第11層の平板部材21Kには、
図6に示すように、噴出孔列13が設けられている。噴出孔列13は、例えば断面円形をなす噴出孔26が本体部2の幅方向に等間隔に配列されることによって構成されている。噴出孔26の直径は、噴流冷却効果の確保及び圧力損失の抑制を考慮して、例えば直径0.2mm〜0.4mm程度となっている。本実施形態では、3系統の流路ユニット11A,11B,11Cにそれぞれ対応して3列の噴出孔列13A〜13Cが載置領域P下に配置されている。噴出孔列13A〜13Cは、噴出孔26の配列方向と交差する方向、すなわち、本体部2の長さ方向に配列され、本体部2の長さ方向の端部側から見て、噴出孔列13A、噴出孔列13B、噴出孔26Cの順に等間隔で配列されている。この噴出孔列13の配列方向は、載置領域Pに載置される半導体レーザーバーSの共振器長方向に一致する(
図3参照)。
【0027】
噴出孔列13A,13B間において本体部2の幅方向に帯状に延在する溝パターンは、OUT側流路14Aの第2の部分14bに相当する第5溝パターン27であり、噴出孔列13B,13C間において本体部2の幅方向に帯状に延在する溝パターンは、OUT側流路14Bの第2の部分14dに相当する第6溝パターン28である。第5溝パターン27は、第5層の板状部材21Eから第11層の板状部材21Kにわたって同位置に形成され、第6溝パターン28は、第9層の板状部材21Iから第11層の板状部材21Kにわたって同位置に形成されている。
【0028】
さらに、第5溝パターン27の外側には、IN側流路12Aの第2の部分12bに相当する第7溝パターン29が第3層の板状部材21Cから第11層の板状部材21Kにわたって形成され、第5溝パターン27と第6溝パターン28との間には、IN側流路12Bの第2の部分12dに相当する第8溝パターン30が第7層の板状部材21Gから第11層の板状部材21Kにわたって形成されている。
【0029】
以上説明したように、ヒートシンク1では、冷却用の流体が噴出する噴出孔列13が各噴出孔26の配列方向と交差する方向に複数列で配列されている。これにより、半導体レーザーバーSが載置される載置領域Pに対して広範囲に流体を噴出させることができ、半導体レーザーバーSの冷却を均一に行うことが可能となる。また、このヒートシンク1では、複数の噴出孔列13が単一の流路に接続されているのではなく、各流路ユニット11にそれぞれ噴出孔列13が接続されている。したがって、流路内の流体の圧力及び流速を確保でき、十分な冷却効率を達成できる。この構成では、流体の流速ムラも抑えられるので、冷却の均一性が損なわれることも回避できる。
【0030】
また、ヒートシンク1では、IN側流路12及びOUT側流路14が、流路ユニット11の面内方向に延びる第1の部分12a,12c,14a,14cと、流路ユニット11の積層方向に延びる第2の部分12b,12d,14b,14dとを有している。このような構成により、流路ユニット11を流れる流体と本体部2との接触面積が増加し、半導体レーザーバーSの冷却効率を一層向上できる。また、各流路ユニット11の第2の部分同士を隔てる本体部2の壁部によって、本体部2の積層方向の剛性を高めることができる。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態に対し、流路ユニット11A,11B,11Cの流路長の違いを考慮した構成を追加してもよい。すなわち、流路ユニット11の流路長に差がある場合、流路長が長いほど流体の圧力及び流速が減少するため、流体の圧力及び流速の差を低減させる構成を追加してもよい。
【0032】
かかる構成として、まず、各噴出孔列13における噴出孔26の内径を調整することが挙げられる。この場合、流路長が長い流路ユニットにおける噴出孔の内径を、流路長が短い流路ユニットにおける噴出孔の内径よりも小さくすることが好適であり、例えば
図7に示すように、流路ユニット11Aの噴出孔26の内径<流路ユニット11Bの噴出孔26の内径<流路ユニット11Cの噴出孔26の内径、とすることが好ましい。
【0033】
また、各噴出孔列13における噴出孔26の配列数を調整してもよい。この場合、流路長が長い流路ユニットにおける噴出孔の配列数を、流路長が短い流路ユニットにおける噴出孔の配列数よりも少なくすることが好適であり、例えば
図8に示すように、流路ユニット11Aの噴出孔26の配列数<流路ユニット11Bの噴出孔26の配列数<流路ユニット11Cの噴出孔26の配列数、とすることが好ましい。配列数を変えた場合であっても、噴出孔26,26間の間隔が等間隔を保っていることが好ましい。
【0034】
さらに、IN側流路12の断面積を調整することも可能である。この場合、流路長が長い流路ユニットにおけるIN側流路の断面積を、流路長が短い流路ユニットにおけるIN側流路の断面積よりも小さくなくすることが好適であり、例えば
図9に示すように、流路ユニット11AにおけるIN側流路12の断面積<流路ユニット11BにおけるIN側流路12の断面積<流路ユニット11CにおけるIN側流路12の断面積、とすることが好ましい。このような断面積の調整は、例えば板状部材21の板厚を各層で変えることによって容易に実現できる。
【0035】
以上のような各変形例においては、流路ユニット11の流路長が互いに異なる場合であっても、流路ユニット11の噴出孔26から噴出する流体の圧力及び流速を揃えることができる。したがって、載置領域Pにおける半導体レーザーバーSの冷却を一層均一化できる。
【符号の説明】
【0036】
1…ヒートシンク、2…本体部、3…供給口、4…排出口、11(11A〜11C)…流路ユニット、12(12A〜12C)…IN側流路、12a,12c…IN側流路の第1の部分、12b,12d…IN側流路の第2の部分、13(13A〜13C)…噴出孔列、14(14A〜14C)…OUT側流路、14a,14c…OUT側流路の第1の部分、14b,14d…OUT側流路の第2の部分、S…半導体レーザーバー(発熱体)、P…載置領域。