(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出口に隣接して設置されたトラップをさらに含み、前記トラップは、前記溶けた相転移インク内に存在する水が前記複数のインク滴発生装置の方へ移動するのを抑制するように構成されている、請求項2に記載の印字ヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態を全体的に理解するために、図面を参照する。図面では、類似の参照番号は、全体を通じて類似の要素を示すために使用されている。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「インクジェット画像装置」は、媒体に印刷するためにインク画像を塗布する装置を一般に示している。用語「印刷媒体」は、プレカットされているか、またはウェブ供給かにかかわらず、画像用の紙、プラスチック、または他の好適な物理的印刷媒体基材の物理的シートである可能性がある。画像装置は、仕上げ装置、給紙装置などの他のさまざまな構成要素を含む可能性があり、コピー機、プリンタ、または多機能機として具体化できる。「印刷ジョブ」または「文書」は、普通は、関連するシートの集合であり、特定のユーザからの、または関連する他の方法での、元の印刷ジョブシートまたは電子文書ページ画像の集合からコピーされた、ページ順に並べた通常1つ以上のコピー集合である。画像は、マーキングエンジンにより印刷媒体上に実際に描画される予定の電子的形態の情報を一般に含み、テキスト、グラフィックス、写真などを含むことができる。
【0011】
図1および
図2は、コントローラ10と、印刷出力媒体15上に直接に、または中間転写面30上に、インク滴33を射出する複数のインクジェットを含む印字ヘッド20と、を含むインクジェット画像装置の実施形態の模式的ブロック図である。印刷媒体搬送機構40が印字ヘッド20に対して印刷媒体を移動させる。印字ヘッド20は、印字ヘッド20に流動的に連結された複数のオンボードインク容器61、62、63、64からインクを受け取る。オンボードインク容器61〜64は、それぞれ、各インク供給経路71、72、73、74を介して複数の遠隔インク容器51、52、53、54からインクを受け取る。
【0012】
図1および
図2には示していないが、インクジェット画像装置は、遠隔インク容器51〜54にインクを供給するためのインク送出システムを含んでいる。一実施形態では、インクジェット印刷装置が相転移インク画像装置である。それに応じて、インク送出システムは、固形の相転移インクの少なくとも1色の少なくとも1つの供給源を有する相転移インク送出システムを含んでいる。また、相転移インク送出システムは、固形の相転移インクを溶かして液状にして、溶けたインクを適切な遠隔インク容器に送出するための溶融および制御装置(図示せず)を含んでいる。
【0013】
遠隔インク容器51〜54は、溶けた相転移インクをオンボードインク容器61〜64に供給するように構成されている。一実施形態では、遠隔インク容器51〜54が、例えば、圧縮空気源67により複数の弁81、82、83、84を介して提供される圧縮空気により、選択的に加圧できる。遠隔インク容器51〜54からオンボードインク容器61〜64に流れて印字ヘッド20の中で1つにまとめられるインクの流れが、例えば、流体により、または重力により加圧できる。オンボードインク容器61〜64へのインクの流れを制御するために出力弁91、92、93、94が設けてある。
【0014】
また、オンボードインク容器61〜64は、例えば、遠隔インク容器51〜54を選択的に加圧して、弁85を介して空気経路75を加圧することにより、選択的に加圧できる。あるいは、インク供給経路71〜74は、例えば、出力弁91〜94を閉じて、空気経路75を加圧することにより、閉じることができる。オンボードインク容器61〜64は、例えば、印字ヘッド20上で清浄動作またはパージ動作を実行するために加圧できる。オンボードインク容器61〜64および遠隔インク容器51〜54は、溶けた固体インクを貯蔵するように構成して加熱できる。また、インク供給経路71〜74および空気経路75は加熱できる。
【0015】
オンボードインク容器61〜64は、例えば、弁85を制御して空気経路75を大気に通気することにより、通常の印刷動作中に大気に通気される。また、オンボードインク容器61〜64は、インクを遠隔インク容器51〜54から加圧せずに移送する間に(すなわち、オンボードインク容器61〜64を加圧せずに、インクを移送するとき)大気に通気できる。
【0016】
図2は、
図1の実施形態と同様のインクジェット画像装置の実施形態の模式的ブロック図であり、印字ヘッド20により射出された滴を受け取るための転写ドラム30を含んでいる。印刷媒体搬送機構40が印刷媒体15に当接して印刷媒体15を転写ドラム30に接触させて、転写ドラム上に印刷された画像を、印刷媒体15に転写する。
【0017】
図3に模式的に示すように、インク供給経路71〜74および空気経路75の一部分が、多導管ケーブル70内の導管71A、72A、73A、74A、75Aとして実現できる。固体インクのインクジェット画像装置の実施形態では、これらの導管を加熱して、溶けたインクが印字ヘッド内の容器をあふれさせることができる温度に溶けたインクを維持する。
【0018】
図4は、印字ヘッド20と単一のインク容器61との横断面図を示している。液体インクがインク供給経路を通っていったん印字ヘッドに到達すると、液体インクはオンボードインク容器61内に集められる。オンボードインク容器は、印刷媒体(
図1)上に、または転写ドラム30(
図2)のような中間転写部材上にインクを射出するための複数のインクジェットを含むジェットスタック100にインクが流体連通するように構成されている。
【0019】
図4は、少なくとも1つのオンボードインク容器61を含む印字ヘッド20の実施形態を示している。出口98は、オンボードインク容器61とジェットスタック100とを流動的に連結している。ジェットスタック100は多くの方法で形成できるが、この実施例では、ステンレス鋼板および高分子層のような複数の積層板でインクジェットスタックを形成している。ジェットスタック100のステンレス鋼板および高分子層は、互いに一枚一枚突き合わせる形で位置合わせしながら積み重ねて、その後、ろう付け、または他の方法で一緒に接着され、機械的に一体的で使用可能なインクジェットスタックを形成する。
【0020】
各平板の中にエッチングされた空洞が、印字ヘッド用のインクジェットを規定する流路および通路を形成するように一列に並んでいる。より大きな空洞が、ジェットスタックの長さ全体にわたって走る、より大きな通路を形成するように一列に並んでいる。これらの、より大きな通路は、複数のインクジェット108にインクを供給するように配置されたインクマニホルド104である。各インクジェットと関連しており、インクジェットスタック開口プレート140内に形成された複数の開口部134が、インク滴138を射出する。
【0021】
一実施形態では、例えば、真空発生装置などの圧力源を用いて、オンボード印字ヘッド容器61内の穴または通気孔144を介して、オンボード印字ヘッド容器61内のインクに負圧を加える、または真空にすることができる。それを通じてオンボード印字ヘッド容器61に負圧を導入する通気孔144は、それを通じてパージ動作を行うために正圧を導入するのと同じ通気孔である可能性がある。したがって、圧力源67は、双方向圧力源、真空源、または正負両圧をオンボード印字ヘッド容器61に供給するように構成された空気ポンプである可能性がある。しかしながら、別々の圧力源を使用して、オンボード印字ヘッド容器に正圧および負圧を導入できる。
【0022】
印字ヘッド20のオンボード印字ヘッド容器61は、溶けた相転移インク155を貯蔵するようになされた
空間154を取り囲むために、さらなる側壁と協調する少なくとも1つの側壁152に連結された底壁150を、さらに含んでいる。溶けた相転移インク155は、容器154から遠く離れているが、曲がりやすい管類または他の導管156を用いて容器に流動的に連結された上述の遠隔インク容器のうちの1つから供給できる。
【0023】
空間154を部分的に形成する側壁152に隣接してヒータ162を配置してある。ヒータ162は、
空間154内に保持された相転移インクの液体状態を維持できるくらい十分高温の熱を提供する。また、
図4に模式的に示すように、印字ヘッド20は循環装置163を含んでいる。循環装置163は、
図5に示すように、インクの
空間の中に流れを生成して、流路内でインクを移動させるように構成されている。循環装置163は、
空間154内に、下方部分161から上方部分164への、および側方部分166のうちの一方への、矢印170で示す方向を有するインク流路またはインク循環を作り出す。また、インク循環装置165が前壁220に位置する可能性がある。インク循環装置163およびインク循環装置165は両方同時に使用でき、または一方もしくはもう一方を提供できる。また、ヒータ165はジェットスタックに近い側壁に位置する可能性がある。インク循環装置163および165はインク循環装置が位置する側壁の中央部分内にほぼ位置する可能性があり、大きさはインク循環装置が位置する側壁よりも小さい可能性があったり、または側壁全体を含む可能性があったりする。さらに、インク循環装置は側壁の表面に取り付けることができ、または側壁内に存在する空洞の中に埋め込むことができる。
【0024】
たとえ遠隔インク容器からインクジェット108にいたるインク流路に沿ったさまざまな点でインクをフィルタ(図示せず)によりフィルタ処理できる場合でも、容器154内にすでに存在したり、フィルタを通過するほど小さかったり、またはインクの凍結/解凍サイクルで生成されたりした粒子が、インクジェットスタックに流れ込む可能性がある。このような粒子は、画像品質アーチファクトを引き起こす可能性がある噴射の欠落または噴射のスパッタリングなどの噴射問題を潜在的に引き起こす可能性があるとともに、このような粒子はインクジェットを詰まらせる可能性があり、インクジェットから媒体上にインクを射出できないようにする。循環装置163は容器内のインクを移動させるだけでなく、循環するインクと一緒に多くの粒子172も移動させる。この循環するインクは、粒子172がインクジェットスタックに吸い込まれる可能性が低い低流動性領域に粒子172を運ぶ。いくつかの実施形態では、気泡の流れなどの力を加えてインクの流れを駆動することにより、循環装置163がインクの流れを能動的に起こす。気泡の流れは、インク内の水分を泡立たせる、容器154の側壁上の局所的なヒータで作り出すことができる。インク内の水分は、固体の相転移インクのような、そのようなインクと混ざらない液中の水滴を含む可能性があり、またはインク内の水分は水性インクの主成分である水を含む可能性がある。他の実施形態では、能動ポンプを使用して、空気を送り込んで上昇気泡を形成することにより、または流体を送り込んで流れを作り出すことにより、インク循環を引き起こすことができる。他の実施形態では、液体インク内の温度勾配により引き起こされ
る流れを用いて、循環装置がインクの流れを受動的に起こすことができる。このような温度勾配は、ヒータ163を用いて作り出すことができる。最も速い速度が容器の出口98(
図4)付近に存在しており、粒子が容器出口のこの領域から離れて、粒子が沈降できる低速領域の方に向かって移動するように、流れを確立する。
【0025】
低速領域は、より大きな粒子が沈降することを可能にする。一実施形態では、ヒータ163が提供する局部加熱が、上方部分164に向かっての比較的急速で局所的なインクの上昇をもたらし、その後、側方部分166に向かって、その次に低流速領域の方に向かっての、より広い「下降気流」領域を引き起こす、より大きな面積の冷表面をもたらす。気泡の浮力は上昇するインクに局所的に作用するため急速な上昇流が気泡の流れにより自然に実現されるが、他方、下降する気泡はないため下向きのインクには作用しない。
【0026】
空間154の中に設置された分離器200が、第1のデバイダ202と、第2のデバイダ204と、を含むことができる。第1のデバイダ202は、全体として垂直な部分210と、全体として傾斜した部分212と、を含み、この全体として傾斜した部分212は、全体として垂直な部分210に連結されているが、それとは同一平面上にはない。第2のデバイダ204は同様に形成され、側壁215の近くに位置している。デバイダ202は
空間154を仕切って、流れから外れて、デバイダ202と、オンボード印字ヘッド容器61の側壁216との間に捕捉される粒子状物質を集めるように形成された第1の領域214を作る。デバイダの反対側全体は、インクがほぼ妨げられることなく流れる上述の領域161を形成する。全体として垂直な部分210は、オンボード印字ヘッド容器61の底壁150のほかに
図4の側壁152にも、前壁220にも連結されている。
【0027】
図6で分かるように、デバイダ202内のほかにデバイダ204(図示せず)内にもスクリーン網またはフィルタ230を提供することにより、粒子とインクの間の分離が生じる可能性がある。インクからの望ましくない粒子の分離はスクリーン網230により提供されるが、その理由は、インクの主要
な流れがスクリーン網を通り抜けると、選抜された粒子が第1の領域214に残り、スクリーン網を通り抜けた後には、きれいなインクが提供されるためである。オンボード印字ヘッド容器内の粒子量が一般に小さいため、長期にわたる搭載は大きな問題でない。
【0028】
デバイダ202および204は、全体として垂直な部分と、この全体として垂直な部分に対して傾斜した第2の部分と、を含むことを示しているが、不要な粒子を集めることができる領域であって、かつ循環するインクの流れを実質的に妨げない領域をデバイダが提供する限り、記載の部分はこのような構造を含む必要はない。例えば、傾斜した部分212を完全になくすことができるとともに、収集領域214を提供するために全体として垂直な部分を側壁に対して曲げることができる。
【0029】
分離器200は、第1のビン206と、第2のビン208と、をさらに含むことができる。第1のビン206および第2のビン208のそれぞれは、底壁から所定の距離のところに位置しており、底壁には連結されていないが、前壁220から後壁152まで延びている。各ビンは、デバイダが形成する収集領域に隣接して収集領域ビンを形成して、矢印170の経路内の循環する粒子をビンにより捕捉でき、循環するインクから取り除くことができるようになっている。2つのビンを示しているが、分離器はゼロ個を含む任意の個数のビンを含むことができ、ビンがゼロ個の場合には、1つ以上のデバイダにより形成された領域内で粒子の収集が行われる。主要
な流れから沈降ビン206および208内で分離することと、スクリーン網を通り抜けた後230に粒子を選抜して取り除くこととにより、実質的にきれいなインクを提供できる。
【0030】
図7は、1つの望ましいインクの流れを提供するように構成されている循環装置165の模式図を示している。粒子循環は、高温のオンボード印字ヘッド容器61の側面、この場合、前壁220に沿って上向きに移動し、上壁を横切り、冷温側面または後壁152(図示せず)に沿って下向きに移動し、その後、高温側面220の下端の出発点に戻る経路に従う。方向を持った流れを提供するために、例えば、ヒータは、ヒータが結合している前壁よりも小さい長方形形状で形成でき、提供される温度は、底壁から
空間の上端に向かって徐々に上昇し、後壁および側壁に向かって低下するようになっている。したがって、印字ヘッド容器および/または遠隔インク容器が、低価格で循環装置を含むように構成できる。このような装置は、印字ヘッドが使われておらず、顧客から見えない期間中に有効である可能性がある。
【0031】
インクの熱伝導率が低いため、水の
空間の中への熱の移動は遅く、気泡発生のほとんどは、通常、アルミニウムであるオンボード印字ヘッド容器61の水滴と底壁150の間の接触点付近で見られる。水は高温インク内で沈殿でき、蒸気泡の結果として生じる生産は115℃のインク内の水に対して一般にうまく行われる。例えば、溶けた固体インク中に沈んでいる水分により生成される蒸気泡が、プールの底の巨視的な液滴として、またはアルミニウム表面の微視的構造内に吸収された水分として現れる可能性がある。より高い温度は水の急速な蒸発を引き起こすことができ、したがって、ヒータ163またはヒータ165の温度は、何らかの正確さで選択されなければならない。また、水がインクジェットスタックに吸い込まれて、水泡が噴射の欠落を引き起こすことがないように、水を管理する必要がある。
【0032】
ジェットスタックの中への水の導入を大幅に軽減するために、印字ヘッドは底壁150に位置する水滴トラップ250を含むことができる。底壁150は、出口98から所定の距離だけ離れて底壁150から延びる側壁254を含む凹部またはくぼみ252を含んでいる。側壁254は、側壁254の上端が出口98の上端部分256にとどかないように、底壁から距離Dだけ延びている。距離Dは、側壁の片面上に水滴を捕捉することを提供するが、出口98を通るインクの流れを実質的に妨げない。しかしながら、水滴トラップ250が出口98から十分離れている場合には、側壁254の高さDの選択は、それほど重要ではなくなる。また、
図8Bに示すように、ジェットスタックの中への水の導入を軽減するために、第2のトラップまたは毛細管構造260を使用できる。毛細管装置260は、底壁150のところに単一の小径オリフィス262を含むことができる。毛細管装置260は、蒸気または水の供給264に連結されており、オリフィス262から上へ出口98から離れるように蒸気泡266を駆動する力を提供する。水滴トラップ250または毛細管装置260のどちらか一方または両方を含むことができる。
【0033】
図9を参照すると、先行技術のインクジェット画像システム320を示している。本開示の目的のために、画像装置は、1つ以上のインクジェット印字ヘッドと、関連する固体インク供給とを使用するインクジェットプリンタの形をしている。しかしながら、溶けた相転移インクを供給する相転移インク容器と、本明細書に記載の印字ヘッドとは、インクジェットを使用して1つ以上の着色剤を媒体上に射出する他のさまざまなインクジェット画像装置のうちのいずれかに適用できる。画像装置は、インクジェットエジェクタに対する制御信号を生成する前に画像データを処理するための印刷エンジンを含んでいる。着色剤は、インクである可能性があり、または1つ以上の色素または顔料を含み、選択された媒体に塗布できる任意の好適な物質である可能性がある。着色剤は黒または他の任意の所望の色である可能性があり、所与の画像装置は複数の異なる着色剤を媒体に塗布できる可能性がある。媒体は、特に、普通紙、コート紙、光沢紙、またはトランスペアレンシーを含むさまざまな被印刷物のうちのいずれかを含むことができ、媒体は、シート、ロール、または他の物理的形式で利用できる可能性がある。
【0034】
図9は、上述の、溶けた相転移インクを供給するための相転移インク容器と、印字ヘッドと、を含むことができる、ダイレクト・トゥー・シート(直接シートに印刷される)で、連続媒体の、相転移インクジェット画像システム320の簡略化した模式図である。媒体供給および媒体取り扱いシステムが、ウェブローラ308上に取り付けられた媒体のスプール310などの媒体供給源からの「被印刷物」(紙、プラスチック、または他の印刷可能な材料)の媒体Wの長い(すなわち、実質的に連続的な)ウェブを供給するように構成されている。片面印刷では、プリンタは供給ローラ308、媒体調節装置316、印刷ステーション320、印刷済みウェブ調節装置380、コーティングステーション360、および巻き取りユニット390を含んでいる。両面印刷運転では、巻き取りユニット390で巻き取る前に、ウェブ反転器384を使用してウェブをひっくり返して印刷ステーション320、印刷済みウェブ調節装置380、およびコーティングステーション360に媒体の第2の面を提示する。片面印刷運転では、媒体供給源310は、それを越えて媒体がプリンタの中を通って移動するローラの幅を実質的に覆う幅を有している。両面印刷運転では、媒体供給源はローラ幅の約半分であり、その理由は、ウェブが印刷ステーション320、印刷済みウェブ調節装置380、およびコーティングステーション360内のローラの半分を覆って移動し、その後、必要に応じて、ウェブ裏面の印刷、調節、およびコーティングを行うために、ウェブ反転器384でウェブをひっくり返して、印刷ステーション320、印刷済みウェブ調節装置380、およびコーティングステーション360の反対側のローラの残りの半分を覆ってウェブが移動できるようにする距離だけウェブを横方向にずらすためである。巻き取りユニット390は、プリンタおよび後続の処理を免除するために、ローラ上にウェブを巻き付けるように構成されている。
【0035】
媒体は、必要に応じて、媒体供給源310から巻き出すことができ、1つ以上のローラを回転させる図示されていないさまざまなモータにより動かすことができる。媒体調節装置は、ローラ312と、予熱器318と、を含んでいる。媒体は、一連の印字ヘッドモジュール321A、321B、321C、および321Dを含む印刷ステーション320を通って搬送され、各印字ヘッドモジュールは媒体の幅を横切って効果的に延びており、動いている媒体上に直接に(すなわち、中間部材またはオフセット部材を使用せずに)インクを付与できる。周知のように、印字ヘッドのそれぞれは、カラー印刷で通常使用される色のそれぞれに対して、単一色のインク、すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック(CMYK)を射出できる。プリンタのコントローラ350が、4個の印字ヘッドの反対側の経路の部分の両側に設置されたローラに近接して取り付けられたエンコーダから速度データを受け取って、印字ヘッドを通過するときのウェブの位置を計算する。コントローラ350は、これらのデータを使用して、印字ヘッド内のインクジェットエジェクタを作動させるためのタイミング信号を生成して、異なる色のパターンの見当合わせ(位置合わせ)のために信頼できる精度で4色の色を射出できるようにして、媒体上に4原色の画像を形成する。発射信号により作動されるインクジェットエジェクタは、コントローラ350により処理される画像データに対応している。画像データは、プリンタに送信され、プリンタの構成要素であるスキャナ(図示せず)により生成され、または他の方法で生成されて、プリンタに送出できる。さまざまな可能な実施形態では、各原色用の印字ヘッドモジュールは、1つ以上の印字ヘッドを含むことができ、モジュール内の複数の印字ヘッドは単列または複数列配置に形成でき、複数列配置の印字ヘッドは交互に配置でき、印字ヘッドは2色以上を印刷でき、または印字ヘッドもしくは印字ヘッドの一部分は、スポットカラーの塗布などのために、プロセス方向Pを横断する方向に移動できるように取り付けることができる。
【0036】
プリンタは「相転移インク」を使用でき、このことは、相転移インクが、室温では実質的に固体であり、受像表面上に噴射するために相転移インクの融点まで加熱したときには実質的に液体であるということを意味している。相転移インクの融点は、固体の相転移インクを溶かして液状または溶融形態にできる任意の温度である可能性がある。一実施形態では、相転移インクの融点が約70℃〜140℃である。他の実施形態では、画像装置に利用するインクがUV硬化性ゲルインクを含むことができる。また、ゲルインクは印字ヘッドのインクジェットエジェクタにより射出する前に加熱できる。本明細書で使用する場合、液体インクは、溶けた固体インク、加熱したゲルインク、または他の既知の形態のインク、例えば、水性インク、インクエマルジョン、インクサスペンション、インク溶液など、を示している。
【0037】
実質的に印字ヘッドの反対側の、媒体の裏面に配置されており、通常、バーまたはロールの形をした支持部材324A〜324Dが、各印字ヘッドモジュールに関連している。各支持部材は、支持部材に向かい合った印字ヘッドから所定の距離に媒体を位置付けるために使用される。各支持部材は、熱エネルギーを放射して媒体を所定温度まで加熱するように構成でき、この所定温度は、実際的な一実施形態では、約40℃から約60℃の範囲である。さまざまな支持部材を、個々に、またはまとめて、制御できる。予熱器318、印字ヘッド、支持部材324(加熱される場合)、および周囲空気が組み合わさって、印刷ステーション320の反対側の経路の部分に沿って媒体を約40℃〜70℃の所定温度範囲に維持する。
【0038】
印刷ステーション320の印字ヘッドから、さまざまな色のインクを受け取るために部分的に画像化済みの媒体が動くとき、媒体の温度を所与の範囲内に維持する。受け取る側の媒体温度よりも、通常、大幅に高い温度の印字ヘッドからインクを射出する。その結果として、インクは媒体を加熱する。そのため、さまざまな実施形態では、媒体温度を所定範囲内に維持するために他の温度調節装置を使用する。印刷ゾーン320の後には媒体経路に沿って1つ以上の「中間ヒータ」330がある。中間ヒータ330は、媒体の温度を制御するために、接触熱、放射熱、伝導熱、および/または対流熱を使用できる。スプレッダ(展着装置)340を通って媒体上のインクを送るときに、中間ヒータ330は所望の特性に適した温度まで媒体上に載っているインクを昇温する。一実施形態では、中間ヒータの目標温度に対する有効範囲が約35℃〜約80℃である。
【0039】
中間ヒータ330の直後には、定着アセンブリまたはスプレッダ340が、媒体に熱および/または圧力を加えて、画像を媒体に定着させるように構成されている。定着アセンブリは、加熱した、または加熱していない圧力ローラ、放射ヒータ、加熱ランプ、およびその種の他のものを含む、画像を媒体に定着させるのに適した任意の装置または器具を含むことができる。
【0040】
また、スプレッダ340は画像側ローラ342に関連する清浄/注油ステーション348を含むことができる。清浄/注油ステーション348はローラ表面を清浄して、および/または何らかの離型剤または他の材料の層をローラ表面に塗布する。離型剤材料は、約10〜200センチポアズの粘度を有するアミノシリコーン油である可能性がある。ほんの少量の油だけが必要であり、媒体により運ばれる油はA4サイズ1ページあたり約1〜10mgだけである。
【0041】
コーティングステーション360は印刷済み媒体に透明なインクを塗布する。この透明なインクは、プリンタを出た後の汚損または他の環境悪化から印刷済み媒体を保護するのを助ける。透明なインクのオーバレイは、取り扱い時に汚れたり、および/または裏移りしたりしても、下部にある画像の見た目に影響を与えない可能性があるインクの犠牲層として機能する。コーティングステーション360は、ローラ、またはパターン内に透明なインクを射出する印字ヘッド370のどちらかを用いて透明なインクを塗布する。インクには、すべての着色剤が欠けているかどうかにかかわらず、本開示の目的のために、透明なインクは最終的に印刷される色に対して最小限の影響しか与えない実質的に透明な保護膜インクとして機能上規定される。
【0042】
スプレッダ340を通過した後は、印刷済み媒体をローラ上に巻き付けてシステムを出る(片面印刷)か、または印刷済み媒体をウェブ反転器384に導いて反転させて、ローラの他の部分に位置をずらして、印字ヘッド、中間ヒータ、スプレッダ、およびコーティングステーションを経由しての2回目の通過を行うか、のどちらかが可能である。その後、巻き取りユニット390により両面印刷済みの材料をローラ上に巻き付けてシステムを出ることができる。あるいは、媒体を裁断すること、製本すること、落丁を調べること、および/またはホチキスでとじることなどの作業を行う他の処理ステーションに媒体を導くことができる。
【0043】
装置320のさまざまなサブシステム、構成要素、および機能の運転および制御が、コントローラ350の助けを借りて実行される。コントローラ350は、プログラムされた命令を実行する一般的なまたは特殊なプログラム可能プロセッサを用いて実現できる。プログラムされた機能を実行するのに必要な命令およびデータは、プロセッサまたはコントローラに関連するメモリ内に通常保存される。プロセッサ、それらのメモリ、およびインタフェース回路が、上述の機能を実行するためのコントローラおよび/または印刷エンジンを構成する。これらの構成要素は、プリント基板カード上に提供でき、または特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路として提供できる。回路のそれぞれは個別のプロセッサを用いて実現でき、または同じプロセッサ上に複数の回路を実現できる。あるいは、回路はVLSI回路内に設けた個別の構成要素または回路を用いて実現できる。また、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、またはVLSI回路の組み合わせを用いて本明細書に記載の回路を実現できる。
【0044】
また、画像システム320は、印刷済みのウェブを画像化するための上述のシステムと同様の方法で構成される光学的画像システム354を含むことができる。光学的画像システムは、例えば、受け取る側の部材上に印字ヘッドアセンブリのインクジェットにより噴射されたインク滴の存在、強度、および/または位置などを検出するように構成されている。