特許第5969909号(P5969909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969909
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】CO2センサの自動調整装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20160804BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20160804BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20160804BHJP
   G01N 1/00 20060101ALN20160804BHJP
【FI】
   G01N27/26 381B
   G01N27/00 K
   G01N27/416 376
   !G01N1/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-269028(P2012-269028)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-115175(P2014-115175A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】水高 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶大
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−272919(JP,A)
【文献】 特開2007−003160(JP,A)
【文献】 特開平05−249073(JP,A)
【文献】 特開平09−329559(JP,A)
【文献】 特開2004−148989(JP,A)
【文献】 特開2013−120114(JP,A)
【文献】 特開平11−326204(JP,A)
【文献】 特開平10−332615(JP,A)
【文献】 特開平10−142192(JP,A)
【文献】 特開平10−111270(JP,A)
【文献】 特開平7−151720(JP,A)
【文献】 特開平6−308073(JP,A)
【文献】 特開平6−11477(JP,A)
【文献】 特開平3−96852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
B60H 1/00−3/06
F24F 7/00−7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象空間のCO2濃度を測定するCO2センサからCO2濃度測定値を取得するCO2濃度測定値取得手段と、
前記CO2センサの自動調整時における外気ダンパの開閉指示パラメータを予め記憶するパラメータ記憶手段と、
予め定められた調整スケジュールに従って前記自動調整を実行すべきときに、前記開閉指示パラメータで規定された条件に従って前記外気ダンパの開度を制御して、前記制御対象空間に外気を導入し、前記CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±α(αは所定値)の範囲内になったときに、前記外気ダンパを閉めるダンパ制御手段と、
前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値をベースラインとし、このベースラインを前記基準値に置き換えるドリフト補正を行うCO2センサドリフト補正手段とを備えることを特徴とするCO2センサの自動調整装置。
【請求項2】
請求項1記載のCO2センサの自動調整装置において、
さらに、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの前記外気ダンパの開時間と、前記自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値とに基づいて、CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±αの範囲内になるまで低下するという条件を満たすように、前記開閉指示パラメータを更新するパラメータ設定手段を備えることを特徴とするCO2センサの自動調整装置。
【請求項3】
制御対象空間のCO2濃度を測定するCO2センサからCO2濃度測定値を取得するCO2濃度測定値取得ステップと、
予め定められた調整スケジュールに従って前記自動調整を実行すべきときに、パラメータ記憶手段に予め記憶された開閉指示パラメータで規定された条件に従って外気ダンパの開度を制御して、前記制御対象空間に外気を導入し、前記CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±α(αは所定値)の範囲内になったときに、前記外気ダンパを閉めるダンパ制御ステップと、
前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値をベースラインとし、このベースラインを前記基準値に置き換えるドリフト補正を行うCO2センサドリフト補正ステップとを含むことを特徴とするCO2センサの自動調整方法。
【請求項4】
請求項3記載のCO2センサの自動調整方法において、
さらに、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの前記外気ダンパの開時間と、前記自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値とに基づいて、CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±αの範囲内になるまで低下するという条件を満たすように、前記開閉指示パラメータを更新するパラメータ設定ステップを含むことを特徴とするCO2センサの自動調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2センサのドリフトを補正する自動調整装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人が日常生活を送る際、CO2は昼夜問わず発生している。たとえば、呼吸によっても発生する。このため、建物内にCO2の発生源である人がいない状態においては、外気による換気により大気濃度である400ppmを最小値として設定している。CO2の濃度を測定する固体電解型などのCO2センサは、検出エレメントの光学的要因により最大150ppm/年のドリフト(経時変化)によるずれが生じる。従来は、1年毎にCO2ゼロppmガスによる校正を手動で行い、CO2センサのドリフト量のリセットを実施していた。
【0003】
CO2ゼロppmガスによる校正は、確実な校正・調整ができるという利点があるが、煩雑でコストがかかるという問題がある。そこで、CO2センサによってサンプリングされた一定時間(期間)内におけるCO2濃度の最小値を、大気濃度(400ppm)に修正する自動調整機能(Automatic Baseline Correction)が普及している(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−14583号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“ダクト挿入形CO2センサ CDE”,[online],スリーケー株式会社,[2012年12月4日検索],インターネット<http://www.three−k.biz/pdf/CDE−J.pdf#search>
【非特許文献2】“大形CO2表示器 MODEL4018”,[online],鶴賀電機株式会社,[2012年12月4日検索],インターネット<http://www.tsuruga.co.jp/products/4018/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法によると、建物の気密性が高かったり24時間人が常駐したりしている環境下では、常にCO2が発生し続けている状況となり、建物内のCO2濃度が大気濃度付近まで低下しない場合がある。このような環境下で自動調整機能によりCO2濃度の最小値を修正すると、CO2濃度の測定値に誤差を重畳してしまう可能性があった。例えば、最低濃度が600ppmまでしか低下しない環境下だと、自動調整機能によって600ppmが400ppmとされるので、調整後のCO2濃度の測定値に−200ppmの誤差が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、補正後のCO2濃度測定値に誤差が重畳してしまうことを防ぐことが可能なCO2センサの自動調整装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のCO2センサの自動調整装置は、制御対象空間のCO2濃度を測定するCO2センサからCO2濃度測定値を取得するCO2濃度測定値取得手段と、前記CO2センサの自動調整時における外気ダンパの開閉指示パラメータを予め記憶するパラメータ記憶手段と、予め定められた調整スケジュールに従って前記自動調整を実行すべきときに、前記開閉指示パラメータで規定された条件に従って前記外気ダンパの開度を制御して、前記制御対象空間に外気を導入し、前記CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±α(αは所定値)の範囲内になったときに、前記外気ダンパを閉めるダンパ制御手段と、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値をベースラインとし、このベースラインを前記基準値に置き換えるドリフト補正を行うCO2センサドリフト補正手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のCO2センサの自動調整装置の1構成例は、さらに、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの前記外気ダンパの開時間と、前記自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値とに基づいて、CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±αの範囲内になるまで低下するという条件を満たすように、前記開閉指示パラメータを更新するパラメータ設定手段を備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のCO2センサの自動調整方法は、制御対象空間のCO2濃度を測定するCO2センサからCO2濃度測定値を取得するCO2濃度測定値取得ステップと、予め定められた調整スケジュールに従って前記自動調整を実行すべきときに、パラメータ記憶手段に予め記憶された開閉指示パラメータで規定された条件に従って外気ダンパの開度を制御して、前記制御対象空間に外気を導入し、前記CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±α(αは所定値)の範囲内になったときに、前記外気ダンパを閉めるダンパ制御ステップと、前記自動調整の開始時から前記外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値をベースラインとし、このベースラインを前記基準値に置き換えるドリフト補正を行うCO2センサドリフト補正ステップとを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、CO2センサの自動調整を実行すべきときに開閉指示パラメータで規定された条件に従って外気ダンパの開度を制御して、制御対象空間に外気を積極導入し、CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±αの範囲内になるようにしたので、補正後のCO2濃度測定値に誤差が重畳してしまうことを防ぐことができ、自動調整の確実性を高めることができる。
【0011】
また、本発明では、自動調整の開始時から外気ダンパが閉まるまでの外気ダンパの開時間と、自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、自動調整の開始時から外気ダンパが閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値とに基づいて、開閉指示パラメータを更新することにより、CO2濃度測定値が一定時間連続して基準値±αの範囲内になるまで低下するように開閉指示パラメータの学習を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る空調制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態においてCO2センサのドリフトを補正する自動調整時における自動調整装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態においてパラメータ設定部に記録されるデータの記録例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の原理]
本発明では、外気ダンパをあらかじめ決められた周期で一定時間全開にすることにより、外気を一定時間取り込むようにした上で、CO2センサによって測定されたCO2濃度の最小値を大気濃度(400ppm)に修正するようにした。また、本発明では、外気ダンパの開時間を学習し、CO2濃度測定値が大気濃度まで低下するようにした。
【0014】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る空調制御システムの構成を示すブロック図である。空調制御システムは、空調機1と、外気OAの空調機1への導入量を制御する外気ダンパ2と、制御対象空間11から戻る還気RAの空調機1への導入量を制御する還気ダンパ3と、空調機1の冷水コイルに送る冷水の量を制御する冷水バルブ4と、空調機1の温水コイルに送る温水の量を制御する温水バルブ5と、空調機1の加湿器に送る冷水又は温水の量を制御する加湿バルブ6と、空調機1から送り出される空気(給気SA)の温度を計測する給気温度センサ7と、制御対象空間11の温度を計測する室内温度センサ8と、制御対象空間11のCO2濃度を計測するCO2センサ9と、制御対象空間11の湿度を計測する湿度センサ10と、ダンパ2,3とバルブ3,4,5とを制御するコントローラ12と、VAV(Variable Air Volume )ユニット13とから構成される。空調機1は、フィルター14と、空気を冷却する冷水コイル15と、空気を加熱する温水コイル16と、加湿器17と、冷却又は加熱された空気を送るファン18とを備えている。
【0015】
次に、図1の空調制御システムの動作を簡単に説明する。空調機1の冷水コイル15は、図示しない熱交換器から冷水バルブ4を介して供給される冷水により外気OAおよび還気RAを冷却する。空調機1の温水コイル16は、熱交換器から温水バルブ5を介して供給される温水により外気OAおよび還気RAを加熱する。また、熱交換器から送り出された冷水又は温水は、加湿バルブ6を通って加湿器17に供給される。加湿器17は、水噴霧状態を作り出すことにより、コイル15,16で冷却又は加熱された給気SAの湿度を制御する。コイル15,16で冷却又は加熱され加湿器17で加湿された給気SAは、ファン18によって制御対象空間11に送り出される。制御対象空間11の空気の一部は、還気RAとして空調機1に戻される。
【0016】
給気温度センサ7は、空調機1から送り出される給気SAの温度を測定する。室内温度センサ8は、制御対象空間11の温度を測定し、CO2センサ9は、制御対象空間11のCO2濃度を計測し、湿度センサ10は、制御対象空間11の湿度を計測する。コントローラ12は、給気SAの温度が所定の給気温度設定値と一致するようにバルブ4,5の開度を制御する。また、コントローラ12は、制御対象空間11のCO2濃度が所定のCO2濃度設定値と一致するように外気ダンパ2の開度を制御する。さらに、コントローラ12は、制御対象空間11の湿度が所定の湿度設定値と一致するように加湿バルブ6の開度を制御する。
【0017】
VAVユニット13は、制御対象空間11の温度が所定の室内温度設定値と一致するように制御対象空間11の要求風量を演算して、その要求風量を確保するようにVAVユニット13内のダンパ(不図示)の開度を制御する。コントローラ12は、複数のVAVユニット13から送られてくる要求風量値からシステム全体の総要求風量値を演算し、この総要求風量値に応じたファン回転数を求め、この求めたファン回転数となるように空調機1を制御する。
【0018】
以上のような空調制御システムに係わるビル管理法では、CO2濃度は、年6回測定して、1000ppm以下とすることと規定されている。以下、CO2センサ9のドリフトを補正する自動調整装置について説明する。
図2はコントローラ12の構成を示すブロック図である。コントローラ12は、CO2センサ9からCO2濃度測定値を取得するCO2濃度測定値取得部120と、ダンパ2,3を制御するダンパ制御部121と、CO2センサ9の自動調整時における外気ダンパ2の開閉指示パラメータを予め記憶するパラメータ記憶部122と、開閉指示パラメータを更新するパラメータ設定部123と、CO2センサ9のドリフト補正を行うCO2センサドリフト補正部124と、給気温度センサ7と湿度センサ10から測定値を取得する測定値取得部125と、バルブ4,5,6を制御するバルブ制御部126とを備えている。CO2濃度測定値取得部120とダンパ制御部121とパラメータ記憶部122とパラメータ設定部123とCO2センサドリフト補正部124とは、自動調整装置を構成している。
【0019】
ダンパ制御部121による通常時の外気ダンパ2の制御、およびバルブ制御部126による通常時のバルブ4,5,6の制御については上記のとおりであるので、詳細な説明は省略する。
【0020】
図3はCO2センサ9のドリフトを補正する自動調整時における自動調整装置の動作を示すフローチャートである。
ダンパ制御部121は、あらかじめ決められた調整スケジュール(例えば1年に1回、1月1日に実行するといったスケジュール)に従って自動調整を実行すべきときになると(図3ステップS1においてYES)、パラメータ記憶部122に記憶された外気ダンパ2の開閉指示パラメータ(外気ダンパ2の開時間、開度など)に従って外気ダンパ2の開度を制御して、自動調整を開始する(図3ステップS2)。自動調整時においては、外気ダンパ2の開度は、通常100%(全開)に設定される。こうして、外気ダンパ2から空調機1を介して制御対象空間11に外気が導入され、制御対象空間11のCO2濃度が低下する。
【0021】
パラメータ設定部123は、自動調整が開始されると、外気ダンパ2が開いている開時間と、CO2濃度測定値取得部120が取得するCO2濃度測定値とを記録する(図3ステップS3)。
ダンパ制御部121は、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度(400ppm)±α(αは所定の許容値)の範囲内になると(図3ステップS4においてYES)、外気ダンパ2を閉じる(図3ステップS5)。なお、開閉指示パラメータで規定された外気ダンパ2の開時間が経過したにも拘わらず、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度(400ppm)±αの範囲内にならない場合には、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度(400ppm)±αの範囲内になるまで外気ダンパ2の開時間が延長される。
【0022】
CO2センサドリフト補正部124は、外気ダンパ2が閉まると、自動調整の開始時から外気ダンパ2が閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値をベースラインとし、このベースラインを基準値である大気濃度値(400ppm)に置き換えるドリフト補正を行う(図3ステップS6)。以後、CO2センサ9によってサンプリングされるCO2濃度測定値は、このドリフト補正時に定められたベースラインが400ppmであることを前提として扱われる。
【0023】
最後に、パラメータ設定部123は、自動調整の開始時から外気ダンパ2が閉まるまでの外気ダンパ2の開時間と、自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、自動調整の開始時から外気ダンパ2が閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値とに基づいて、必要に応じてパラメータ記憶部122の開閉指示パラメータを更新する(図3ステップS7)。
【0024】
図4はパラメータ設定部123に記録されるデータの記録例を示す図である。図4の例では、自動調整の開始時から外気ダンパ2が閉まるまでの外気ダンパ2の開時間と、自動調整が始まる直前のCO2濃度測定値と、自動調整の開始時から外気ダンパ2が閉まるまでの期間におけるCO2濃度測定値の最小値と、直前のCO2濃度測定値とCO2濃度測定値の最小値との差分が記録されている。
【0025】
例えば2011年10月25日や2012年10月7日の例では、外気ダンパ2を2時間開くと、CO2濃度測定値が400ppm±α(例えば10ppm)の範囲まで低下する。したがって、開閉指示パラメータで規定された外気ダンパ2の開時間が2時間であれば、開閉指示パラメータを更新する必要はない。一方、2012年4月20日の例では、CO2濃度測定値が400ppm±αの範囲まで低下するのに2時間20分かかっていることが分かる。したがって、開閉指示パラメータで規定された外気ダンパ2の開時間が2時間の場合、この開時間では足らないことが分かる。そこで、パラメータ設定部123は、開閉指示パラメータで規定された外気ダンパ2の開時間や開度を更新する。この例では、開時間を2時間20分にすればよい。
【0026】
こうして、パラメータ設定部123は、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度(400ppm)±αの範囲内になるまで低下するという条件を満たすように、パラメータ記憶部122の開閉指示パラメータを更新する。次回の自動調整では、この更新された開閉指示パラメータが使用されることになる。なお、図4の記録例は一例であり、在室人数の平均値などを記録するようにしてもよい。
【0027】
以上のように、本実施の形態では、CO2センサ9の自動調整を実行すべきときに開閉指示パラメータで規定された条件に従って外気ダンパ2の開度を制御して、制御対象空間11に外気を積極導入し、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度±αの範囲内になるようにしたので、補正後のCO2濃度測定値に誤差が重畳してしまうことを防ぐことができ、自動調整の確実性を高めることができる。また、本実施の形態では、CO2濃度測定値が一定時間連続して大気濃度±αの範囲内になるまで低下するように開閉指示パラメータの学習を行うことができる。
【0028】
本実施の形態のコントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このようなコンピュータにおいて、本発明の自動調整方法を実現させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供される。CPUは、記録媒体から読み込んだプログラムを記憶装置に書き込み、この記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態の処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、CO2センサのドリフトを補正する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…空調機、2…外気ダンパ、3…還気ダンパ、4…冷水バルブ、5…温水バルブ、6…加湿バルブ、7…給気温度センサ、8…室内温度センサ、9…CO2センサ、10…湿度センサ、11…制御対象空間、12…コントローラ、13…VAVユニット、14…フィルター、15…冷水コイル、16…温水コイル、17…加湿器、18…ファン、120…CO2濃度測定値取得部、121…ダンパ制御部、122…パラメータ記憶部、123…パラメータ設定部、124…CO2センサドリフト補正部、125…測定値取得部、126…バルブ制御部。
図1
図2
図3
図4