特許第5969910号(P5969910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969910
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】水栓装置と浴室鏡との接続構造
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20160804BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   A47K4/00
   E03C1/044
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-272661(P2012-272661)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-117335(P2014-117335A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社ケーブイケー
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】安東 賢治
(72)【発明者】
【氏名】木村 和正
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−227272(JP,A)
【文献】 特開2003−339566(JP,A)
【文献】 特開2007−185447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 4/00
E03C 1/00 − 1/10
A47G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓装置と、
この水栓装置の上方に設けられた浴室鏡と
を備え、
前記水栓装置の上面には、左右方向に沿って上方に突出した突条が設けられ、
前記浴室鏡の前側下端部が、前記突条の前方に配置されて後方への位置決めがされた状態で、前記水栓装置の上面に当接している
水栓装置と浴室鏡との接続構造であって、
前記水栓装置は、
前記突条の長手方向の一部に設けられ前後に連通する通水開口と、
その一部が前記通水開口内に設けられ、前記浴室鏡の前側下端部に対応する箇所から前記通水開口の後方にまで連続した溝部と
を備え、
前記溝部は、前記浴室鏡の前側下端部と前記水栓装置の上面との間を通過した水を、毛細管現象によって後方に向かって吸い込んで排水するものである
ことを特徴とする水栓装置と浴室鏡との接続構造。
【請求項2】
前記溝部が、後方に向かうほど深く形成され、且つ平面視において後方に向かうほど左右方向に幅広となるよう形成されたものである
ことを特徴とする請求項1記載の水栓装置と浴室鏡との接続構造。
【請求項3】
前記溝部が、断面V字状に形成されたものである
ことを特徴とする請求項2記載の水栓装置と浴室鏡との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置と浴室鏡との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には従来の水栓装置と浴室鏡との接続構造が開示されている。この特許文献1記載の発明は、混合水栓と、この混合水栓の上方に設けられた防曇鏡とを備えている。この防曇鏡の下端部は、混合水栓の上面に当接している。
【0003】
ところで、この種の混合水栓と防曇鏡との接続構造は、混合水栓の上面に左右方向に沿って上方に突出した突条が設けられる場合がある。この突条は、防曇鏡の後方側に設けられ、これにより、防曇鏡の下端部を少なくとも後方側に移動しないよう位置決めするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−227272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の混合水栓と防曇鏡との接続構造のように、防曇鏡の下端部が混合水栓の上面に当接していると、混合水栓の上面に水が付着した場合には、防曇鏡の下端部と混合水栓の上面との間の僅かな隙間に水が入り込んでしまうことがある。この僅かな隙間に水が入り込んでしまうと、防曇鏡の後方には突条が突出しているため、入り込んだ水が抜けにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水栓装置の上面と浴室鏡の下端部とが当接した状態で設置された構造において、浴室鏡の下端部と水栓装置の上面との間に水が入り込んだとしても、入り込んだ水を効果的に排出することができる水栓装置と浴室鏡との接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水栓装置と浴室鏡との接続構造は、水栓装置と、この水栓装置の上方に設けられた浴室鏡とを備え、前記水栓装置の上面には、左右方向に沿って上方に突出した突条が設けられ、前記浴室鏡の前側下端部が、前記突条の前方に配置されて後方への位置決めがされた状態で、前記水栓装置の上面に当接している水栓装置と浴室鏡との接続構造であって、前記水栓装置は、前記突条の長手方向の一部に設けられ前後に連通する通水開口と、その一部が前記通水開口内に設けられ、前記浴室鏡の前側下端部に対応する箇所から前記通水開口の後方にまで連続した溝部とを備え、前記溝部は、前記浴室鏡の前側下端部と前記水栓装置の上面との間を通過した水を、毛細管現象によって後方に向かって吸い込んで排水するものであることを特徴とする。
【0008】
またこの水栓装置と浴室鏡との接続構造において、前記溝部が、後方に向かうほど深く形成され、且つ平面視において後方に向かうほど左右方向に幅広となるよう形成されたものであることが好ましい。
【0009】
またこの水栓装置と浴室鏡との接続構造において、前記溝部が、断面V字状に形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水栓装置と浴室鏡との接続構造によれば、水栓装置の上面と浴室鏡の下端部が当接した状態で設置された構造において、浴室鏡の下端部と水栓装置の上面との間に水が入り込んだとしても、この入り込んだ水を効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の水栓装置と浴室鏡との接続構造を示す斜視図である。
図2】本実施形態の浴室鏡装置の全体を示す斜視図である。
図3】本実施形態の浴室鏡を示す斜視図である。
図4】本実施形態の浴室鏡の前面下端部の近傍を示す斜視図であり、前カバーを透過した図である。
図5】本実施形態の水栓装置と浴室鏡との接続部分を示す要部断面図である。
図6】本実施形態の水栓装置を示す斜視図である。
図7】本実施形態の水栓装置を示す斜視図であり、浴室鏡の前カバーを取り外した状態を示している。
図8】本実施形態の水栓装置の要部斜視図である。
図9】本実施形態の上部カバーを下方から見た斜視図である。
図10】本実施形態の水栓装置と浴室鏡との接続部分を示す斜視図であり、上部カバーを透過した図である。
図11】本実施形態の水栓装置を下方から見た斜視図である。
図12】本実施形態の水栓装置の上部カバーを取り外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造は、図2に示すように、浴室鏡装置1に適用されている。浴室鏡装置1は、浴室鏡2と、水栓装置3と、浴室カウンター8とを備えており、これらが一体となって構成されている。浴室鏡装置1は、浴室鏡2と、水栓装置3と、浴室カウンター8とが上下方向に連続的に配置されている。浴室鏡装置1は、浴室の壁面に固定される。
【0014】
浴室鏡2は、図3に示すように、前面に鏡面を有している。浴室鏡2は、いわゆる防曇鏡により構成されている。浴室鏡2は、幅と長さと厚さとを有しており、正面視矩形状をしている。浴室鏡2の長さは、上下方向に平行となっている。浴室鏡2の幅は、左右方向に平行となっている。浴室鏡2の厚さは、前後方向に平行となっている。浴室鏡2は、水栓装置3の上方に配置されている。浴室鏡2は、図3に示すように、鏡面板21と、枠体部22と、配管部25と、シャワー管取付部26とを備えている。
【0015】
鏡面板21は、長さと幅とを有しており、正面視略矩形板状に形成されている。鏡面板21は、前面が鏡面となっている。鏡面板21は、枠体部22に嵌め込まれて固定されている。
【0016】
枠体部22は、正面視矩形枠状に形成されている。枠体部22は、鏡面板21の外周縁に固定される。枠体部22は、鏡面板21の左右方向の外側および鏡面板21の上方に配置される外枠体23と、鏡面板21の下方に取り付けられる前カバー24とを備えている。
【0017】
外枠体23は、浴室鏡2の側面を構成する縁材である。外枠体23は、前後方向に幅を有している。鏡面板21の左右方向の両側に位置する外枠体23は、上下方向に長さを有している。また、鏡面板21の上方に位置する外枠体23は、左右方向に長さを有している。
【0018】
前カバー24は、鏡面板21と水栓装置3との間の開口を覆うよう取り付けられる。鏡面板21と水栓装置3との間の開口は、水栓装置3の配管等を点検する点検口を構成する。つまり、前カバー24は点検カバーを構成する。前カバー24は、図4に示すように、前面部241と、前面部241の下端部に設けられた第一係止片242と、前面部241の上下方向の中間に設けられた第二係止片243とを有している。なお、図4において、前カバー24は、説明のために、透過した状態で記載されている。
【0019】
前面部241は、上下方向に幅を有し、左右方向に長さを有し、正面視矩形状をしている。前面部241の長さは、鏡面板21の幅と略同じ大きさに形成されている。また、前面部241は、点検口を前方から覆う。前面部241は、鏡面板21の下方に配置され、すなわち、浴室鏡2の前側下端部を構成する。
【0020】
第一係止片242は、図5に示すように、前面部241の後面の下端部に設けられている。第一係止片242は、逆L字状に形成されている。第一係止片242は、後述の水栓装置3の突条42の後方側に位置する。つまり、前カバー24が所定の位置に設置されると、前面部241が突条42の前方に配置され、第一係止片242が突条42の後方に配置され、これにより、前面部241が前後方向に位置決めされる。
【0021】
第二係止片243は、図4に示すように、前面部241の後面の上下方向の中間位置に設けられている。第二係止片243は、逆L字状に形成されている。第二係止片243は、前面部241の長さ方向の両端に設けられている。また、外枠体23の第二係止片243に対応する箇所には、被係止部27が設けられている。第二係止片243は、被係止部27の上方から差し込まれる。これにより、第二係止片243は、被係止部27に係止され、上下方向および前後方向に係止される。
【0022】
浴室鏡2の内部には、図3に示すように、配管部25が内装されている。配管部25は、鏡面板21の後面に当接または近接対向する。配管部25の上流側は、水栓装置3に連通接続されている。また配管部25の下流側は、シャワー管取付部26に連通接続されている。配管部25は、左右方向に折り返されている。配管部25に湯が流通すると、配管部25は、鏡面に一定の防曇領域を形成する。
【0023】
シャワー管取付部26は、枠体部22の側面に設けられている。シャワー管取付部26は、枠体部22の上下方向の略中間部分に設けられている。シャワー管取付部26は、水平軸廻りに回転自在となっている。シャワー管取付部26は、浴室鏡2の内部の配管部25を介して、水栓装置3のシャワー吐出口55(図12参照)に連通接続されている。シャワー管取付部26には、シャワーホース(図示せず)が取り付けられる。
【0024】
水栓装置3は、湯温調整部50を有する湯水混合水栓により構成されている。水栓装置3は、給湯管91と、給水管92とに連通接続されている(図12参照)。水栓装置3は、図6に示すように、水栓本体部4と、操作部7とを備えている。
【0025】
水栓本体部4は、給湯管91と給水管92とから供給された湯水を混合して、その混合した湯水を、シャワー吐出口55およびカラン吐出口54のうちのいずれか一方または両方から吐出させる。水栓本体部4は、ケーシング部40と、シャワー用弁部53と、カラン用弁部52と、湯温調整部50と、シャワー吐出口55と、カラン吐出口54とを備えている。
【0026】
ケーシング部40は、図6に示すように、水栓装置3の外郭を形成する。ケーシング部40は、上面と、側面と、下面とを有し、前後方向に開口した箱形状をしている。ケーシング部40の前方の開口には操作部7が取り付けられ、後方の開口を通過して給湯管91および給水管92が配管される。ケーシング部40は、上部カバー41と、内側カバー47と、下部カバー48とを備えている。
【0027】
上部カバー41は、図7に示すように、水栓装置3の上面および側面を構成する。上部カバー41は、平坦部411と、平坦部411の前端から延出する傾斜面部412と、平坦部411の左右方向の両端部から下方に向かって延出する側面部413とを備えている。傾斜面部412は、平坦部411の前端から前方に向かうほど下方に位置するよう傾斜している。
【0028】
上部カバー41の平坦部411は、前後方向に幅を有し、左右方向に長さを有している。平坦部411は、平坦な面により構成されている。平坦部411は、水平面となっている。平坦部411の後方側の端部には、上方に向かって突出する突条42が形成されている。突条42は、左右方向に沿って(長手方向が左右方向に平行となるようにして)設けられている。言い換えると、突条42は、水栓装置3の上面に、左右方向に沿って上方に突出している。
【0029】
突条42の長手方向の一部には、通水開口43が設けられている。通水開口43は、突条42の長手方向に部分的に複数箇所(本実施形態では4箇所)に設けられている。通水開口43間のピッチは、左右方向の中央に向かうほど小さく形成されている。
【0030】
具体的には、左右方向の中央に設けられた一対の通水開口43間の距離は、40mm程度に形成される。また、最も左側の通水開口43と、その直ぐ隣の通水開口43との間の距離は、60mm程度に形成される。また、最も右側の通水開口43と、その直ぐ隣の通水開口43との間の距離は、60mm程度に形成される。
【0031】
通水開口43は、突条42の前方側の空間と、突条42の後方側の空間とを連通する。言い換えると、通水開口43は、前後方向に連通している。通水開口43の底面は、平坦部411と略同じレベルか又はそれよりも低く形成されている。
【0032】
また、平坦部411の後方側の端部には、図8に示すように、通水開口43に対応する部位に、傾斜部44が設けられている。傾斜部44は、後方側に向かうほど、下方に位置するよう傾斜している。傾斜部44は、通水開口43の底面に連続して設けられている。傾斜部44の勾配は、例えば、平坦部411の上面に対して、約2°の下り勾配として形成されている。
【0033】
また、平坦部411の後方側の端部には、溝部45が設けられている。溝部45は、前後方向に長さを有している。溝部45の前方側の端部は、通水開口43の底面に位置している。また、溝部45の後方側の端部は、平坦部411の後端縁に設けられ、これにより、後方に開口している。言い換えると、溝部45は、その一部が通水開口43内に設けられており、通水開口43の底面(つまり、浴室鏡2の前側下端部が位置する部位)から通水開口43の後方にまで連続している。
【0034】
また、溝部45は、左右方向の中央ほど下方に位置しており、これにより、断面V字状(前後方向に直角な断面)に形成されている。溝部45は、平面視においてもV字状に形成されている。すなわち、溝部45は、後方側に向かうほど深く形成されており、且つ、平面視において、後方側に向かうほど、左右方向に幅広となるよう形成されている。
【0035】
水栓装置3の上方に浴室鏡2の前カバー24が配置されると、図5に示すように、突条42の前方に前面部241が配置される。言い換えると、浴室鏡2の前側下端部が、突条42の前方に配置されて後方への位置決めがされた状態で、水栓装置3の上面に当接する。このとき、溝部45の前方側の端部は、前カバー24の下方に配置される。より詳しくは、溝部45の前方側の端部は、前カバー24の前面部241の裏面と略同位置に配置され、この前面部241の表面よりも前方に、はみ出さないように設けられている。
【0036】
ユーザーが水栓装置3を使用すると、図1に示すように、平坦部411の上面に水が付着して、前カバー24と水栓装置3との間の僅かな隙間に水が入り込む場合がある。すると、前カバー24と水栓装置3との間の隙間に入り込んだ水は、表面張力により、前カバー24の下端面と平坦部411の上面との間に保持される。
【0037】
前カバー24の下端面と平坦部411の上面との間に保持された水は、溝部45により、毛細管現象の作用を利用して後方側に吸い込まれる。つまり、溝部45は、前カバー24の下端面と平坦部411の上面との間に保持された水を、毛細管現象の作用によって、後方に向かって吸い込む。これにより、平坦部411の上面に水が付着して、前カバー24と水栓装置3との間の僅かな隙間に入り込んだ水は、水栓装置3内に取り込まれる。
【0038】
水栓装置3内に取り込まれた水は、内側カバー47上を前方に向かって流通して(図10参照)、下部カバー48の排水口481を通って下方に排出される(図11参照)。内側カバー47と上部カバー41との間には一定の隙間が形成され、この隙間を水が流通する。上部カバー41の裏側には、この一定の隙間を形成するためのリブ部46が設けられている。
【0039】
上部カバー41の裏側には、図9に示すように、リブ部46が設けられている。リブ部46は、左右方向に長さを有する横リブ461と、前後方向に長さを有する縦リブ462とを有している。横リブ461の上下方向の長さは、縦リブ462の上下方向の長さよりも大きく形成されている。横リブ461は、前後方向に複数並設されている。また、縦リブ462は、左右方向に複数並設されている。横リブ461の下端は、図5に示すように、内側カバー47の上面に当接する。これにより、横リブ461は、内側カバー47と上部カバー41との間に一定の隙間を形成する。また、横リブ461の長手方向の一部には、図9に示すように、切欠部463が形成されている。切欠部463は、内部カバー47上に上部カバー41が設置された状態で、前後方向に開口している。
【0040】
内側カバー47は、図5に示すように、上部カバー41の下方に配置される。内側カバー47は、平板状に形成されている。内側カバー47は、前後方向に幅を有し、左右方向に長さを有している。内側カバー47の後端は、上部カバー41の平坦部411の後端よりも後方に位置している。また、内側カバー47の前端は、平面視で下部カバー48の後端よりも前方に位置している。これにより、内側カバー47は、上部カバー41から流下した水を、下部カバー48に導水する。
【0041】
なお、内側カバー47は、略水平面により構成されているが、前方に向かうほど下方に位置するよう傾斜していてもよい。
【0042】
下部カバー48は、水栓装置3の下面を構成する。下部カバー48は、前後方向に幅を有し、左右方向に長さを有している。下部カバー48の後端は、平面視で内側カバー47の前端よりも後方に位置している。下部カバー48には、図11に示すように、排水口481が形成されている。排水口481は、下部カバー48が所定の位置に設置された状態では、下方に向かって開口する。排水口481は、左右方向に長く形成されたスリット状の開口により構成されている。
【0043】
上部カバー41と浴室鏡2の前カバー24との間から吸い込まれた水は、溝部45を通って内側カバー47上に落下する。内側カバー47上に落下した水は、図10に示すように、上部カバー41の横リブ461に形成された切欠部463を通って前方に向かって流通する。内側カバー47上を前方に向かって流通した水は、内側カバー47の前端に導水され、下部カバー48上に流下する。下部カバー48に流下した水は、図11に示すように、排水口481を介して、水栓装置3外へ排出される。
【0044】
水栓装置3には、図12に示すように、湯温調整部50と、カラン用弁部52と、シャワー用弁部53とが内装されている。湯温調整部50・カラン用弁部52・シャワー用弁部53は、下部カバー48と操作部7との間に配置されている。
【0045】
湯温調整部50には、給湯管91と給水管92とが接続されている。湯温調整部50は、給湯管91から供給された湯と、給水管92から供給された水とを混合して、ユーザーの所望の温度に湯温を調整する。具体的に、湯温調整部50は、給湯管91から供給された湯と、給水管92から供給された水との混合割合を変えて、湯温を調整する。湯温調整部50は、この混合した湯水を、接続管93を介して、シリンダー部51に供給する。シリンダー部51には、カラン用弁部52およびシャワー用弁部53が内装されている。
【0046】
シリンダー部51には、カラン用弁部52と、シャワー用弁部53と、カラン吐出口54と、シャワー吐出口55とが設けられている。カラン吐出口54は、シリンダー部51の内部に連通している。カラン吐出口54は、下部カバー48の下面から下方に突出している。カラン用弁部52は、カラン吐出口54に連通する流路を開閉する。カラン用弁部52を開放すると、カラン吐出口54は、シリンダー部51内部の湯水を吐出する。カラン用弁部52を閉止すると、カラン吐出口54は、吐出中の湯水を止水する。
【0047】
また、シャワー吐出口55は、後方に向かって開口している。シャワー吐出口55は、接続管94を介して、浴室鏡2内部の配管部25に連通している。シャワー用弁部53は、シャワー吐出口55を開閉する。シャワー用弁部53を開放すると、シャワー吐出口55は、シリンダー部51内部の湯水を吐出する。
【0048】
シリンダー部51は、下部カバー48と操作部7との間に配置されている。つまり、シリンダー部51は、ケーシング部40の内部に設けられている。シリンダー部51は、左右方向に軸芯を有しており、左右方向に平行な方向に長さを有している。シリンダー部51の内部には、カラン用弁部52と、シャワー用弁部53とが、シリンダー部51の軸方向に沿って並設されている。カラン用弁部52は、回動弁により構成されている。また、シャワー用弁部53は、回動弁により構成されている。これらの回動弁は、操作部に連結されている。これらの回動弁は、各操作部が、シリンダー部51の軸廻りに(つまり、上下方向に)回動操作されることで開閉する。
【0049】
操作部7は、図2等に示すように、湯温調整部50を操作する湯温操作部71と、シャワーの吐水/止水を切り換えるシャワー操作部72と、カランの吐水/止水を切り換えるカラン操作部73とを備えている。湯温操作部71と、シャワー操作部72と、カラン操作部73とは、左右方向に並設されている。湯温操作部71と、シャワー操作部72と、カラン操作部73とは、止水状態において左右方向に連続している。特に、湯温操作部71の上面と、シャワー操作部72の上面と、カラン操作部73の上面とは、止水状態において面一に形成されており、また、全体として水平面となっている。
【0050】
湯温操作部71は、ケーシング部40の前部から前方に向かって突出している。湯温操作部71は、湯温調整部50に連結されており、左右軸廻りに(つまり、上下方向に)回動可能に構成されている。湯温操作部71は、左右軸廻りに回動すると、湯温調整部50における湯と水との混合割合を変化させる。なお、湯温操作部71は、その上面が水平となると、約40℃の湯温がシリンダー部51に送られるように設定されている。
【0051】
カラン操作部73は、ケーシング部40の前部から前方に向かって突出している。カラン操作部73は、カラン用弁部52に連結されており、左右軸廻りに(つまり、上下方向に)回動可能に構成されている。カラン操作部73は、左右軸廻りに回動すると、カラン用弁部52を開閉させる。
【0052】
シャワー操作部72は、ケーシング部40の前部から前方に向かって突出している。シャワー操作部72は、シャワー用弁部53に連結されており、左右軸廻りに(つまり、上下方向に)回動可能に構成されている。シャワー操作部72は、左右軸廻りに回動すると、シャワー用弁部53を開閉させる。
【0053】
水栓装置3の下方には、図2に示すように、浴室カウンター8が設けられている。浴室カウンター8には、例えば、風呂桶などが載置される。ユーザーは、浴室カウンター8上に風呂桶を載置し、カラン操作部73を操作することで、カラン吐出口54から吐出される湯水を風呂桶に貯留することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造は、水栓装置3と、浴室鏡2とを備えている。浴室鏡2は、水栓装置3の上方に設けられている。また、水栓装置3の上面には、左右方向に沿って上方に突出した突条42が設けられている。浴室鏡2の前側下端部は、突条42の前方に配置されて後方への位置決めがされた状態で、水栓装置3の上面に当接している。水栓装置3は、通水開口43と、溝部45とを備えている。通水開口43は、突条42の長手方向の一部に設けられており、また、前後に連通する。溝部45の一部は、通水開口43内に設けられている。また、溝部45は、浴室鏡2の前側下端部に対応する箇所から前記通水開口43の後方にまで連続している。そして、溝部45は、浴室鏡2の前側下端部と水栓装置3の上面との間を通過した水を、毛細管現象によって後方に向かって吸い込んで排水するものである。
【0055】
このため、本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造は、水栓装置3と浴室鏡2との間に水が付着した場合であっても、水栓装置3と浴室鏡2との間の隙間に水が溜まるのを防ぐことができる。通常、水栓装置3の上面と浴室鏡2の下端部とでなすコーナー部分(入隅部)には、止水材などが配設されておらず、表面張力により水が保持されやすい。これに対し、本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造は、毛細管現象を生じさせる大きさの溝部45が、浴室鏡2の前側下端部に対応する箇所から通水開口43の後方にまで連続している。このため、水栓装置3と浴室鏡2との接続構造によれば、水栓装置3の上面と浴室鏡2の下端部との間に保持された水を、後方に向かって吸い出すことができる。
【0056】
また、本実施形態の溝部45は、後方に向かうほど深く形成され、且つ、平面視において後方に向かうほど左右方向に幅広となるよう形成されたものである
このため、溝部45の前方側の端部から吸い込んだ水は、溝部45内に保持されたままとはならず、自重により、後方側に移動して排水される。これにより、水栓装置3の上面と浴室鏡2の下端部との間に入り込んだ水を、効果的に排水することができる。
【0057】
また、本実施形態の溝部45は、断面V字状に形成されたものである。
【0058】
このため、本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造によれば、簡単な構造で、水栓装置3の上面と浴室鏡2の下端部との間に入り込んだ水を、効果的に排水することができる。
【0059】
また、本実施形態の通水開口43および溝部45は、複数設けられている。通水開口43および溝部45は、左右方向の中央側ほど、隣り合う通水開口43および溝部45同士の間隔が短くなるよう形成されている。
【0060】
このため、水栓装置3の水の溜まり易い左右方向の中央ほど、効果的に排水することができ、水栓装置3の上面や、水栓装置3と浴室鏡2とのコーナー部分に水が溜まるのを効果的に防ぐことができる。
【0061】
なお、本実施形態の水栓装置3と浴室鏡2との接続構造は、溝部45により吸い込んだ湯水が、上部カバー41と内側カバー47との間・下部カバー48の排水口481と順に流通して排水されるものである。しかしながら、本発明の水栓装置と浴室鏡との接続構造によれば、溝部により吸い込んだ湯水は、直接、浴室の床に落下するものであってもよい。
【0062】
また、本実施形態の浴室鏡装置1には、浴室カウンター8が設けられていたが、本発明の水栓装置と浴室鏡との接続構造には、浴室カウンター8はなくてもよい。
【0063】
なお、本発明の水栓装置と浴室鏡との接続構造は、本実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0064】
1 浴室鏡装置
2 浴室鏡
21 鏡面板
22 枠体部
23 外枠体
24 前カバー
241 前面部
25 配管部
26 シャワー管取付部
3 水栓装置
4 水栓本体部
40 ケーシング部
41 上部カバー
411 平坦部
42 突条
43 通水開口
45 溝部
47 内側カバー
48 下部カバー
481 排水口
50 湯温調整部
7 操作部
71 湯温操作部
72 シャワー操作部
73 カラン操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12