(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1〜
図9を用いて、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置及び検査方法について説明する。
最初に、
図1〜
図3を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置及び検査方法の全体的な概略について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の全体構成図である。
図2は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査方法の内容を示すフローチャートである。
図3は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の検査対象の燃料集合体の模式図である。
図3(A)は、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の検査対象の燃料集合体の断面図であり、
図3(B)は、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の検査対象の燃料集合体を構成する燃料棒の断面図である。
【0012】
図3(A)に示すように、燃料集合体12は、チャンネルボックス21、燃料棒22、燃料スペーサ23、上部タイプレート
24、下部タイプレート
25及びチャンネルファスナー26から構成されている。また、
図3(B)に示すように、燃料棒22は、内部に燃料ペレット22aとプレナムスプリング22b等を装填してヘリウムを加圧封入し、両端を上下端栓22cで密封した構造となっている。
【0013】
検査開始として、図
2のステップ101では、燃料集合体12の燃料棒非破壊検査
を行うための機材など準備を行う。即ち、
図1に示す原子炉14の建屋内のオペレートフロア11の燃料貯蔵プール13上部に作業エリア7を設ける。作業エリア7内に検査で使用する検査装置である、燃料集合体12の内部に超音波探触子を挿入する挿入装置2と、燃料棒22を検査する超音波非破壊検査装置5並びに検査する燃料集合体12を監視するための水中カメラ8と、モニタ9から構成される燃料棒非破壊検査装置1とがセッティングされる。挿入装置2の主挿入アーム3の先端には、
図4を用いて後述するように超音波探触子(
図4の超音波探触子31)が設置されている。ここで、作業エリア7の位置は、挿入装置2の主挿入アーム3が検査対象とする燃料集合体12の真上になるように走行・横行機10により移動させ調整する。
【0014】
ステップ102では、燃料集合体12の中の燃料棒22の非破壊検査状況をモニタリングする水中カメラ8とモニタ9をセットする。水中カメラ8は、照明付きで且つ、遠隔でズーム機構及び首振り機構付きで、作業中本体がふらつかないよう固定した方が望ましい。
【0015】
ステップ103では、超音波探触子を燃料集合体12内部に挿入するための挿入位置調整は、
図3に示す燃料集合体12の上部タイプレート24から矢印で示す挿入方向32で挿入装置2の主挿入アーム3の先端に取り付けられている挿入治具4の位置調整用ロッド4aにより行う。
【0016】
ここで、
図4を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置における超音波探触子の設置方法の詳細について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置における超音波探触子の設置方法の詳細の説明図である。
図4は、挿入治具と燃料集合体の断面を示している。
【0017】
検査対象の燃料棒22が差し込まれている燃料集合体12の上部タイプレート24の凸部の位置に挿入治具4の位置調整用ロッド4aがくるように水中カメラのモニタで確認しながら位置を決定し
、挿入治具4
の位置調整用ロッド4aが燃料棒22の中心軸
と同じになるように挿入装置2のX−Y−Z方向で微調整する。
【0018】
ステップS104では
、燃料集合体12の内部に超音波探触子
31を挿入する。
【0019】
ここで、
図5を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置における超音波探触子の挿入方法の詳細について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置による検査時の状態を示す上面図である。
【0020】
主挿入
アーム3の先端に取り付けられた挿入治具4の探触子設置用ロッド4b(
図4の挿入治具4では4個)の超音波探触子31を、水中カメラ8のモニタ9で確認しながら、
図5に示すように燃料集合体12の上部タイプレート24の隙間にゆっくり挿入する。
【0021】
超音波探触子の挿入位置は、
図3(b)及び
図4に示す燃料棒22のプレナム
部33の端部がよい。これにより、位置調整用ロッドの先端部を基準に、位置調整用ロッド及び探触子設置用ロッドが燃料棒の軸と平行となるように位置調整することができる。この位置は水中カメラで観察できないため、位置調整用ロッド4a先端からの探触子設置用ロッド4bの超音波探触子までの距離を予め図面及び予備製品で決定しておく必要がある。
【0022】
ステップ105では、超音波探触子31を燃料棒22表面に押し付けて設置する。
【0023】
ここで、
図6及び
図7を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置における超音波探触子の設置方法の詳細について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置に用いる探触子設置治具プレートの平面図である。
図7は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置に用いる探触子設置治具プレートの変形例の平面図である。
【0024】
超音波探触子の設置は、挿入治具に取り付けられた
図4に示した探触子設置治具プレート4c、4d、4eを用いて行われる。
【0025】
ここで、
図6を用いて、探触子設置治具プレート4c、4d、4eのそれぞれの構成について説明する。
【0026】
図6(C)に示すように、探触子設置治具
プレート4cは、締め付ける方向が常に燃料棒の中心に移動するよう探触子設置用ロッド4b用の案内穴4c1が加工されている。
【0027】
図6(B)に示すように、探触子設置治具
プレート4dは、回転させることで探触子設置用ロッド4b
を4個の案内穴4d1
によって燃料棒の中心に移動するような構造になっている。また、逆回転することで最初の位置に探触子設置用ロッド4bを戻すことができる。探触子設置治具
プレート4dの外周には歯が刻まれている。この歯に、歯車G1の歯が係合している。歯車G1の軸は、
図1の挿入装置2の近くまで延びており、モータMの出力軸に係合している。モータMの正転逆転により、歯車が回動し、探触子設置治具
プレート4dが正転し、また逆転する。
【0028】
図6(A)に示すように、探触子設置治具
プレート4eは、探触子設置用ロッド
4b用の案内穴4e1により常時一定間隔に保たれる構造になっている。
【0029】
前述したように探触子設置治具
プレート4dを回転させることで、
図5に示した探触子31を燃料棒22の表面に押し付けられる。
ここで、探触子設置治具
プレート4dの回転角度で探触子設置用ロッド
4bが中心に向かって移動する距離が把握でき、それを元に燃料棒表面への超音波探触子の押付け力を知ることができる。また、前述したように、超音波探触子から超音波を発振しながら超音波設置を行っており、非破壊検査装置のモニタの信号波形の信号高さから設置状況がうまくいっているか把握できる。
【0030】
超音波探触子31が燃料棒22表面に接触しているかどうかは、非破壊検査装置5を起動させ、探触子31に信号を印加して超音波を発振させながら行うことで、探触子が燃料棒表面に接触したとき探触子から燃料棒に超音波が入射され伝搬し、反射波として探触子に受信されるので、その受信信号を非破壊検査装置のモニタ表示で確認することができる。
【0031】
なお、
図7に示した探触子設置治具
プレート4Dは、
図6に示した探触子設置治具
プレート4dの案内穴4d1と逆形状の穴4D1を有している。この探触子設置治具
プレート4Dを追加して、探触子設置治具
プレート4dの位置に取り付け、探触子設置治具
プレート4dと探触子設置治具
プレート4Dを同時に逆回転させることで緩みがなく押し付けることが可能である。
【0032】
ステップ106では、燃料棒の検査を開始する。本実施例では水中での燃料集合体の燃料棒非破壊検査のところ、ここでは、一般の実験室室内でよび模擬燃料棒45を用いて予備試験を実施した。測定結果は、後ほど説明する。
【0033】
ここで、
図8を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の模擬燃料棒による予備試験の試験体系について説明する。
図8は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置の模擬燃料棒による予備試験の試験体系を示すブロック図である。
【0034】
模擬燃料棒45は、ジルカロイ−2製の管で内面にジルコニウムライナ処理が施されている内部が空洞の長さ2mの配管を用いた。また、本測定は、模擬燃料棒45の中央に模擬燃料スペーサ44を配置した体系で2個の超音波探触子43を模擬燃料棒45の両側に取付け、探傷器41とパーソナルコンピュータである測定制御装置42により超音波探触子43に信号を与え駆動させて、模擬燃料棒45の表面に超音波を伝搬させて反射波を受信したガイド波による計測である。測定条件は、超音波として中心周波数40kHz、測定ゲイン43dB、送信波形は振幅変調バースト波である。
【0035】
なお、上記の例ではガイド波を用いるため、2個の超音波探触子43は模擬燃料棒45の端部に設置し、その位置は固定している。これ以外に、燃料棒の中心軸を挟んで対向する位置に2個の超音波探触子を配置し、一方の超音波探触子から超音波を発信し、他方の超音波探触子にて燃料棒の内部を伝搬した超音波を受信するようにして、燃料棒の欠陥を測定することもできる。そして、燃料棒の軸方向にその位置をずらしながら、測定を実施する。この際、燃料棒は水中にあるため、水を超音波の伝搬物質として利用できるため、超音波探触子を燃料棒に接触させる必要はない。また、対向配置される2個で1組の超音波探触子以外に、4個2組の超音波探触子を対向配置するようにすることもできる。
【0036】
ステップ107では、検査結果の保存である。検査装置のアナログ/デジタル変換により測定した検査結果を記憶装置、ここではパーソナルコンピュータのハードディスクにデジタルとして電子データで記憶する。引き続き、ステップ108では、先ほど検査した記憶したデータは、あとで読み込んでデータの演算処理を施した処理データと予め、同一条件で測定したデータ及び他のデータと比較、評価ができる。
【0037】
ここで、
図9を用いて、本実施形態による燃料棒の非破壊検査装置を用いて模擬燃料棒を測定した結果について説明する。
図9は、本発明の一実施形態による燃料棒の非破壊検査装置を用いて模擬燃料棒を測定した結果の説明図である。
【0038】
図9(a),(b)において、横軸は探触子位置からの距離を、縦軸は信号の振幅値で示す。
【0039】
図9(a)に対し
図9(b)は、縦軸を20倍に拡大して示した。ピーク信号のS1はスペーサ取り付け位置と一致するため、模擬燃料スペーサと模擬燃料が接触している部位からの反射信号である。模擬燃料棒の長さに相当する2m(S2)、4m(S3)の反射信号は、模擬燃料棒の端部からの信号である。模擬燃料棒の端部からの反射信号を100%とした距離−振幅の関係をD1とすると、
図9(b)中のD2は10%、D3は3%、D4は1%の距離−振幅の関係で表わされる。このことから模擬燃料スペーサからの反射信号S1は5〜6%でその後2〜1%の信号N1で推移していく。本予備試験の結果から3%以上の反射信号が得られれば優位信号と見なすことができ、燃料棒の健全性評価が可能である。
【0040】
なお、
図9において、N1は燃料スペーサを通過後の信号レベルであり、S1は燃料スペーサによる信号であり、S2は端部
46からの第1回目の反射波信号であり、S3は端部
46からの第2回目の反射波信号である。
【0041】
ステップ109では、検査対象の燃料集合体の燃料棒検査が終了した場合、終了か、更に別の燃料集合体の燃料棒検査を実施する。別の燃料棒の検査にはステップS110で検査対象燃料棒を選定し、ステップ102から繰り返し検査を実施する。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態の超音波による燃料棒非破壊検査装置及び検査方法によれば、燃料集合体のチャンネルボックスを取り外すことなく、燃料棒を検査できるので、従来の検査より時間短縮ができ、燃料棒非破壊検査における作業員の被曝低減効果がある。また、燃料棒の検査により燃料集合体の搬送時に貯蔵プールからの取り出す時の取り扱い作業の安全性が極めて向上する。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、原子力発電所の原子炉格納容器燃料貯蔵プールや供用プールの水中に貯蔵ラックで貯蔵されている使用済み燃料集合体のまま、燃料棒の検査が可能となり、燃料集合体の搬送時に貯蔵プールからの取り出す時の取り扱い作業の安全性が極めて向上する。
【0044】
また、燃料集合体のチャンネルボックスを取り外さずに、燃料棒の健全性を評価ができるので、チャンネ
ルボックスを外して検査を行っていた従来の検査より時間短縮ができ、燃料棒非破壊検査における作業員の被曝低減効果がある。
【0045】
本発明によれば、狭い隙間から超音波探触子を挿入して非破壊検査ができるので、狭隘部に存在する配管及び肉厚のある円筒形を有する長尺部材がある多くの分野に適用可能である。