(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合停止剤は、ジフェニルスルフィド、ジフェニルエーテル、ジフェニル、ベンゾフェノン、モノヨードアリール化合物、ベンゾチアゾール類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバメート類およびジフェニルジスルフィドからなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載の製造方法。
前記ジヨード芳香族化合物は、ジヨード化ベンゼン、ジヨード化ナフタレン、ジヨード化ビフェニル、ジヨード化ビスフェノール、およびジヨード化ベンゾフェノンからなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載の製造方法。
前記重合反応段階は、温度180〜250℃および圧力6665〜59985Pa(50〜450torr)の初期反応条件で温度上昇および圧力降下を行い、最終的に温度270〜350℃および圧力0.1333〜2666Pa(0.001〜20torr)に変化させながら1〜30時間行われる、請求項1に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態によるポリアリーレンスルフィドおよびその製造方法などについてより具体的に説明する。
【0015】
本発明の発明者らは、優れた機械的物性の発現および維持が可能であり、再利用のために溶融加工した後にも、重合直後と同等以上の物性を有するポリアリーレンスルフィドおよびその製造方法に関する研究を重ねて本発明を完成した。
【0016】
本発明の発明者らは、後述する特定の製造方法により、ポリアリーレンスルフィドを300℃の温度で熱処理して溶融させた時にも、溶融粘度が熱処理前の初期溶融粘度と同一であるか、むしろ大きい値を有するポリアリーレンスルフィドが製造される可能性があることを確認した。このような溶融粘度変化特性は、従来のメッカラム工程で得たポリアリーレンスルフィドの溶融粘度変化特性とは区別される新規な特性である。
【0017】
また、このような溶融粘度変化特性を有するポリアリーレンスルフィドは、相対的に高い溶融粘度、具体的に最大6,000poise
(600Pa・s)の溶融粘度を有することによって優れた機械的物性の発現が可能であると確認された。特に、本発明者らの実験結果、このようなポリアリーレンスルフィドは、300℃の温度で溶融させて熱処理した後にも溶融粘度がそのまま維持されたり、むしろ上昇する新規な特性を現わすことによって、ポリアリーレンスルフィドを材料とする物品の使用中にも機械的物性の低下が現れず、ひいては、再利用などのために溶融加工して再成形する場合にも成形前の優れた機械的物性を維持することを確認した。
【0018】
したがって、このようなポリアリーレンスルフィドは、優れた機械的物性の発現および維持が可能であり、再溶融後にも機械的物性の低下がほとんど現れないため、ポリアリーレンスルフィドの製造および再利用に関する産業分野に有用に利用され得ると期待される。
【0019】
一方、上述した特性を有する本発明の一実施形態による再利用可能なポリアリーレンスルフィドは、300℃で測定した初期溶融粘度は、300〜6000ポアズ(Poise)
(30〜600Pa・s)であり、300℃で熱処理して溶融させた後の溶融粘度は、前記初期溶融粘度と同一であるか、または前記初期溶融粘度より大きい溶融粘度を有する。
【0020】
上述のように、このようなポリアリーレンスルフィドは、重合時に基本的に現れる熱的特性および機械的物性がすべて優れているばかりか、再利用のために再溶融加工した後にも、機械的物性値が重合直前と比較して同等以上に現れる。
【0021】
ここで、「初期溶融粘度」とは「重合直後」または重合後に「300℃で溶融粘度変化率を測定するために溶融させる前」までの一定の時点における溶融粘度を意味する。
【0022】
この時、このようなポリアリーレンスルフィドは、好ましくは下記数式1で定義される溶融粘度変化率が0〜20%であり得る。
【0023】
[数式1]
溶融粘度変化率(%)=100(MV
f/MV
i−1)
ただし、前記数式1中、MV
iは、ポリアリーレンスルフィドの初期溶融粘度を示し、MV
fは、300℃で熱処理して溶融させた後のポリアリーレンスルフィドの溶融粘度である。
【0024】
このように特定の温度条件で熱処理した後の溶融粘度変化率が前記数値範囲を有するポリアリーレンスルフィドの場合、再溶融後にも溶融粘度の下降が実質的にないため、機械的物性が溶融前と比較して同等以上に現れて再利用後にも機械的物性の低下なしに使用することができる。
【0025】
この時、前記MV
fは、ポリアリーレンスルフィドを不活性気体雰囲気下で、300℃で3分間熱処理して溶融させた後、10分が経過した時点でプレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度と定義され得る。溶融粘度変化率を測定するために、前記不活性気体を使用する場合、このような不活性気体としては窒素ガスまたはアルゴンガスなどの任意の気体を使用することができ、好ましくは入手が容易な窒素ガスを使用することができる。
【0026】
そして、このようなポリアリーレンスルフィドは、初期溶融粘度が好ましくは300〜6,000ポアズ(poise)
(30〜600Pa・s)、より好ましくは500〜4,000ポアズ
(50〜400Pa・s)、最も好ましくは600〜2500ポアズ
(60〜250Pa・s)であり得る。
【0027】
そして、このようなポリアリーレンスルフィドは、数平均分子量が3,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜500,000、より好ましくは3,000〜50,000であり得る。また、このようなポリアリーレンスルフィドは、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)と定義される分散度が2.0〜4.0、好ましくは2.2〜3.8で、比較的に均一な分散度を有するポリアリーレンスルフィドであり得る。
【0028】
前記のような数平均分子量および/または分散度値を有するポリアリーレンスルフィドは、分子量または溶融粘度により多様な製品形態に製作されて応用され得る。
【0029】
一方、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドは、優れた熱的安定性を現わすが、融点(Tm)が265〜320℃、好ましくは268〜290℃、より好ましくは270〜285℃である。このように高い範囲に融点(Tm)を確保することによって、前記ポリアリーレンスルフィドは、エンジニアリングプラスチックへ適用時、高強度および向上した耐熱性などの優れた性能を発揮することができる。
【0030】
そして、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドは、優れた機械的物性を現わすと共に、再溶融後および/または再射出後にも機械的物性の低下が実質的に現れない。
【0031】
具体的に前記一実施形態によるポリアリーレンスルフィドは、40wt%のガラス繊維とコンパウンディングした後、ASTM D638により測定した初期引張強度値が1000kgf/cm
2以上で、機械的物性が優秀に発現され得る。
【0032】
また、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドを4回押出し(つまり、押出機を4回通過させ)、40wt%のガラス繊維とコンパウンディングした後、このようなコンパウンディング樹脂に対してASTM D638により測定した引張強度値が、上述した初期引張強度値と同一であるかまたはより大きい値を現わすことができる。これによって、前記一実施形態によるポリアリーレンスルフィドを再利用する場合にも機械的物性の低下が実質的に現れない。したがって、このようなポリアリーレンスルフィドは、高強度が必要なエンジニアリングプラスチックの成形などに好適に使用可能であると期待される。
【0033】
また、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドは、ヨード含量が0.8wt%未満に現れる。一方、このようなヨード含量は、イオンクロマトグラフィー(IC)で測定して定量化することができる。
【0034】
このようなポリアリーレンスルフィドは、重合後にも、高分子のエンドグループに一部ヨードが残留しており、重合された高分子内に残留する前記ヨードと未反応硫黄の継続する重合反応により、再溶融後、溶融粘度測定時に初期溶融粘度と同一であるか、または初期溶融粘度より大きい溶融粘度を現わすことができる。
【0035】
一方、本発明の他の実施形態により、ジヨード芳香族化合物と、硫黄
と、前記ジヨード芳香族化合物100重量部に対して0.05〜10重量部の重合停止剤とを含む反応物を重合反応させる段階を含む上述したポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
【0036】
この時、前記重合停止剤および硫黄
は、初期反応物に含まれて重合反応が行われ得るが、ただし、反応物に含まれている硫黄
の一部を重合反応開
始後、一定時間が経過した時点に投入すること
ができる。このように硫黄
の一部を重合反応段階中に分けて投入することによって、機械的物性低下が現れない一実施形態のポリアリーレンスルフィドを製造することができる。このように硫黄
の一部を重合反応段階中に分けて投入する場合、分けて投入される硫黄
の含量はその構成に限定はないが、最終製造されるポリアリーレンスルフィドの物性を最適化するために、初期反応物に含まれている硫
黄100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜7重量部になり得る。
【0037】
そして、このような製造方法によれば、有機溶媒または硫化ナトリウムを使用せずに、ポリアリーレンスルフィドを製造することができる。したがって、最終製造されたポリアリーレンスルフィド内に樹脂の分解を誘発できる残留物が実質的に存在せず、製品として使用中に機械的物性の低下が現れるおそれが殆どない。また、再利用などのために溶融して成形加工する場合にも再利用前と同等以上の機械的物性を現わすことができる。
【0038】
上述した実施形態による製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド主鎖の末端の一部には、ヨードが一部残留するが、特に上述した適正割合に重合停止剤を反応物に追加して重合反応を行う場合、重合されたポリアリーレンスルフィド主鎖の末端の一部に適正量の残留ヨードが含有され得る。したがって、このような残留ヨードとポリアリーレンスルフィド内に含まれている未反応硫黄との追加的重合反応速度が、ポリアリーレンスルフィド内に含まれている未反応残留物によるポリアリーレンスルフィドの分解速度より速いため、上述した溶融粘度変化率特性を有する一実施形態のポリアリーレンスルフィドが製造され得る。
【0039】
一方、前記製造方法で重合停止剤の含量範囲は、上述した範囲内であればその構成に限定はないが、より好ましくは、ジヨード芳香族化合物100重量部に対して0.1〜10重量部が含まれ得る。このように反応物に含まれる重合停止剤の含量を調節して、最終生成されるポリアリーレン樹脂の主鎖末端に適正量の残留ヨードを含むことができるようにし、これによって、再溶融時の溶融粘度が初期溶融粘度と同一であるか、または初期溶融粘度より大きい溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドを製造することができる。
【0040】
この時、前記重合停止剤は、重合される高分子に含まれるヨードグループを除去して重合を停止させることができる化合物であればその構成に限定はないが、好ましくは、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、ジフェニル(diphenyl)、ベンゾフェノン(benzophenone)、ジフェニルスルフィド(diphenyl suldife)、モノヨードアリール化合物(monoiodoaryl compound)、ベンゾチアゾール(benzothiazole)類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド(benzothiazolesulfenamide)類、チウラム(thiuram)類、ジチオカルバメート(dithiocarbamate)類およびジフェニルジスルフィドからなる群より選択された1種以上であり得る。より好ましくは、前記重合停止剤は、ヨードビフェニル(iodobiphenyl)、ヨードフェノール(iodophenol)、ヨードアニリン(iodoaniline)、ヨードベンゾフェノン(iodobenzophenone)、2−メルカプトベンゾチアゾール(2−mercaptobenzothiazole)、2,2’−ジチオビスベンゾチアゾール(2,2’−dithiobisbenzothiazole)、N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(N−cyclohexylbenzothiazole−2−sulfenamide)、2−モルホリノチオベンゾチアゾール(2−morpholinothiobenzothiazole)、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(N,N−dicyclohexylbenzothiazole−2−sulfenamide)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(tetramethylthiuram monosulfide)、テトラメチルチウラムジスルフィド(tetramethylthiuram disulfide)、亜鉛ジメチルジチオカルバメート(Zinc dimethyldithiocarbamate)、ジベンゾチアゾールジスルフィド(dibenzothiazole disulfide)、亜鉛ジエチルジチオカルバメート(Zinc diethyldithiocarbamate)およびジフェニルジスルフィド(diphenyl disulfide)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0041】
さらに好ましくは、ジベンゾチアゾールジスルフィド(dibenzothiazole disulfide)、ジフェニルスルフィド(diphenyl suldife)、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、またはビフェニル(biphenyl)であり得るが、このような重合停止剤は、フェニル間の作用基が電子供与体(electron donor)の機能を果たして、重合反応の反応性がより高く現れる。
【0042】
一方、このようなポリアリーレンスルフィドの重合反応に使用可能なジヨード芳香族化合物としては、ジヨード化ベンゼン(diiodobenzene;DIB)、ジヨード化ナフタレン(diiodonaphthalene)、ジヨード化ビフェニル(diiodobiphenyl)、ジヨード化ビスフェノール(diiodobisphenol)、およびジヨード化ベンゾフェノン(diiodobenzophenone)からなる群より選択される1種以上が挙げられるが、これに限定されず、かかる化合物にアルキル原子団(alkyl group)やスルホン原子団(sulfone group)などが置換基で結合されていたり、アリール化合物に酸素や窒素などの原子を含有する形態のジヨード芳香族化合物も使用することができる。この時、前記ジヨード芳香族化合物は、ヨード原子が結合された位置により様々なジヨード化合物の異性体(isomer)になり得るが、このうち最も好ましいものは、pDIB、2,6−ジヨードナフタレン、またはp,p’−ジヨードビフェニルのように分子の両端に最遠距離に対称されるようにヨードが結合されている化合物である。
【0043】
そして、使用可能な硫黄
の形態には制限がない。通常硫黄は、常温で原子8個が連結された環形態(cyclooctasulfur;S8)で存在するが、このような形態ではなくても商業的に使用可能な固体または液体状態の硫黄であれば如何なる形態でも可能である。
【0044】
また、前記ジヨード芳香族化合物は、固体硫黄対比0.9モル以上投入され得る。また、前記硫黄
は、ジヨード芳香族化合物と硫黄
を反応させて製造されたポリアリーレンスルフィドの重量対比15〜30重量%の含量が含まれることが好ましい。前記範囲内に硫黄を添加すると、耐熱性および耐化学性が増加し、同時に物理的強度などの物性にも優れたポリアリーレンスルフィドを合成することができる。
【0045】
一方、このような重合反応段階は、ジヨード芳香族化合物、硫黄
、および重合停止剤を含む反応物の重合が開始され得る任意の反応条件下で行われ得る。好ましくは、昇温減圧反応条件で重合反応を行うことができるが、この場合、温度180〜250℃および圧力
6665〜59985Pa(50〜450torr
)の初期反応条件で温度上昇および圧力降下を行い、最終的に温度270〜350℃および圧力
0.1333〜2666Pa(0.001〜20torr
)に変化させながら1〜30時間行うことができる。
【0046】
このような昇温減圧条件で重合反応を行う場合、熱安定性が優秀に現れ、再利用のために溶融する場合にも溶融粘度変化率が0%以上現れて機械的物性が再利用前と比較して同等以上に現れる。
【0047】
一方、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドの製造方法は、前記重合反応段階前に、ジヨード芳香族化合物、硫黄
および重合停止剤を溶融混合する段階をさらに含むことができる。上述した重合反応段階は、有機溶媒の非存在下に行われる溶融重合反応段階であるが、このような溶融重合反応の進行のために、ジヨード芳香族化合物を含む反応物を予め溶融混合した後、重合反応を行うことができる。
【0048】
このような溶融混合は、上述した反応物が全て溶融混合され得る条件であれば、その構成に限定はないが、好ましくは、150〜250℃の温度で行われ得る。
【0049】
このように重合反応段階前に溶融混合段階を行うため、溶融重合反応がより容易に行われ得る。
【0050】
一方、上述した実施形態によるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、重合反応はニトロベンゼン系触媒の存在下で行われ得る。また、上述のように重合反応段階前に溶融混合段階を経る場合、前記触媒は溶融混合段階で追加され得る。重合反応において、ニトロベンゼン系触媒の存在下でポリアリーレンスルフィドを重合する場合、触媒非存在下で重合する場合よりも高い融点を有するポリアリーレンスルフィドを製造できることを発見した。ポリアリーレンスルフィドの融点が低い場合、製品の耐熱性に問題があるため、耐熱性が必要なポリアリーレンスルフィドの製造のためには、ニトロベンゼン系触媒の存在下で重合反応を行うことができる。ニトロベンゼン系触媒の種類としては、1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼン、または1−ヨード−4−ニトロベンゼンなどが挙げられるが、上述した例に限定されない。
【0051】
そして、上述した方法により製造されたポリアリーレンスルフィドは、300℃で測定した初期溶融粘度が300〜6000ポアズ(Poise)
(30〜600Pa・s)、より好ましくは500〜4,000ポアズ
(50〜400Pa・s)、最も好ましくは600〜2500ポアズ
(60〜250Pa・s)であり、300℃で熱処理して溶融させた後の溶融粘度が、前記初期溶融粘度と同一であるか、または前記初期溶融粘度より大きい溶融粘度を有する。
【0052】
また、上述した方法により製造されたポリアリーレンスルフィドは、下記数式1で定義される溶融粘度変化率が0〜20%である。
【0053】
[数式1]
溶融粘度変化率(%)=100(MV
f/MV
i−1)
ただし、前記数式1中、MV
iは、ポリアリーレンスルフィドの初期溶融粘度を示し、MV
fは、300℃で熱処理して溶融させた後のポリアリーレンスルフィドの溶融粘度である。
【0054】
この時、前記MV
fは、ポリアリーレンスルフィドを不活性気体雰囲気下で、300℃で3分間熱処理して溶融させた後、10分が経過した時点でプレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度と定義され得る。
【0055】
また、このような方法により製造されたポリアリーレンスルフィドの数平均分子量、数平均分子量に対する重量平均分子量と定義される分散度、融点などは、上述したポリアリーレンスルフィドの実施形態に言及したものと同一である。
【0056】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記ポリアリーレンスルフィドを含む成形品が提供される。このような成形品は、フィルム、シート、または繊維形態などの形態になり得る。
【0057】
このような成形品は、前記ポリアリーレンスルフィドを射出成形、押出成形またはブロー成形などの方法で加工して得ることができる。射出成形する場合の金型温度としては、結晶化の観点で、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましく、試験片の変形の観点では、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。また、これら物品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、機械部品または日用品などとして利用され得る。そして、これら射出成形品は全てガラス繊維(glass fiber)と共にコンパウンディングされた後に成形され得る。この時、前記ガラス繊維の含量は、その構成に限定はないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の優れた物性を維持しながらも引張強度などの機械的強度などを高めるために、全体コンパウンディング組成物内に10〜50wt%、好ましくは35〜45wt%の含量で含まれ得る。
【0058】
フィルム、またはシートは、未延伸、1軸延伸、2軸延伸などの各種フィルム、シートになり得る。繊維は、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維になり得、これを織物、編物、不織布(スパンボンド、メルトブロー、ステープル)、ロープ、ネットなどに利用することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の具体的な実施例を通して発明の作用および効果をより詳しく説明する。ただし、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が定められるのではない。
なお、以下の記載でtorrは、1〔torr〕=133.3〔Pa〕で単位換算できる。また、ポアズ(Poise)は、1〔ポアズ〕=0.1〔Pa・s〕で単位換算できる。
【0060】
[比較例]ポリアリーレンスルフィドの重合
1.比較例1のポリアリーレンスルフィド
Ticona社の0205P4 grade(グレード)のポリアリーレンスルフィドを準備した。準備された高分子は、溶融粘度(Melt Viscosity、以下、「MV」)700ポアズ、Tm282℃であり、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率は−12%/10minであった。
【0061】
2.比較例2のポリアリーレンスルフィド
比較例1とMVを異にする以外は同様な方法で重合されたgrade(グレード)の高分子でDeyang社のhb gradeを準備した。
【0062】
準備された高分子は、MV2000ポアズ、Tm280℃であり、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率−9%/10minであった。
【0063】
3.比較例3のポリアリーレンスルフィド
比較例1とMVを異にする以外は同様な方法で重合されたgrade(グレード)の高分子でChevron Philips社のRyton P6 gradeを準備した。
【0064】
準備された高分子は、MV1100ポアズ、Tm281℃であり、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率−23%/10minであった。
【0065】
[実施例]ポリアリーレンスルフィドの重合
1.実施例1のポリアリーレンスルフィドの重合
4000gのパラ−ジヨードベンゼン、10gの重合停止剤、345gの硫黄と15gの1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼンを含む反応物を180℃で溶融混合させた。前記の混合された混合物を180℃から340℃まで昇温および常圧から10torrまで減圧させながら重合反応させた。重合が開始された以後、5時間が経った時点で硫黄5gを投入した後、さらに3時間重合反応を行って高分子を得た。
【0066】
生成された高分子は、MV700ポアズ、Tm280℃であり、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率+3%/10minであった。
【0067】
2.実施例2のポリアリーレンスルフィドの重合
4000gのパラ−ジヨードベンゼン、12gの重合停止剤、350gの硫黄と15gの1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼンを含む反応物を180℃で溶融混合させた。前記の混合された混合物を180℃から340℃まで昇温および常圧から10torrまで減圧させながら重合反応させた。重合が開始された以後、5時間が経った時点で硫黄10gを投入した後、さらに4時間重合反応を行って高分子を得た。
【0068】
生成された高分子は、MV1100ポアズ、Tm278℃、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率+4%/10minであった。
【0069】
3.実施例3のポリアリーレンスルフィドの重合
4000gのパラ−ジヨードベンゼン、15gの重合停止剤、355gの硫黄と15gの1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼンを含む反応物を180℃で溶融混合させた。前記の混合された混合物を180℃から340℃まで昇温および常圧から10torrまで減圧させながら重合反応させた。重合が開始された以後、5時間が経った時点で硫黄15gを投入した後、さらに5時間重合反応を行って高分子を得た。
【0070】
生成された高分子は、MV2000ポアズ、Tm278℃、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率+7%/10minであった。
【0071】
4.実施例4のポリアリーレンスルフィドの重合
4000gのパラ−ジヨードベンゼン、17gの重合停止剤、358gの硫黄と15gの1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼンを含む反応物を180℃で溶融混合させた。前記の混合された混合物を180℃から340℃まで昇温および常圧から10torrまで減圧させながら重合反応させた。重合が開始された以後、5時間が経った時点で硫黄18gを投入した後、さらに8時間重合反応を行って高分子を得た。
【0072】
生成された高分子は、MV2000ポアズ、Tm275℃、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率は+10%/10minであった。
【0073】
5.実施例5のポリアリーレンスルフィドの重合
4000gのパラ−ジヨードベンゼン、12gの重合停止剤、355gの硫黄と15gの1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼンを含む反応物を180℃で溶融混合させた。前記の混合された混合物を180℃から340℃まで昇温および常圧から10torrまで減圧させながら重合反応させた。重合が開始された以後、5時間が経った時点で硫黄10gを投入した後、さらに5時間重合反応を行って高分子を得た。
【0074】
生成された高分子は、MV1200ポアズ、Tm279℃、300℃で3分間不活性気体雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度変化率+2%/10minであった。
【0075】
上述した比較例および実施例の重合反応の反応物および添加量を下記表1に示し、またこのような互いに異なる方法で重合された実施例および比較例の樹脂の物性値を下記実験例により測定して表2に示した。
【0076】
[実施例および比較例のポリアリーレンスルフィドを溶融加工した製品の準備]
ガラス繊維(glass fiber)40wt%、lubricant0.3wt%、酸化安定剤0.2wt%と残部で前記比較例1〜3および実施例1〜5により重合されたポリアリーレンスルフィド樹脂と共にtwin screw extruderに投入してコンパウンディングした後(HAAKE社、PolyLab System、340℃)、150℃で2時間乾燥を終えた後、射出モールド温度を140℃に固定した後、射出機(Boy社、12M、320℃)で引張試片を射出した後、コンパウンディング試片の引張強度を測定した。
【0077】
また、ガラス繊維(glass fiber)40wt%、lubricant0.3wt%、酸化安定剤0.2wt%と残部で前記比較例1〜3および実施例1〜5により重合されたポリアリーレンスルフィド樹脂をtwin screw extruderに4回通過させた後(HAAKE社、PolyLab System、315℃)の樹脂を前記と同様な方法で混合してコンパウンディング樹脂を準備した。
【0078】
これら実施例および比較例の重合直後の樹脂コンパウンディングおよび前記のような4回押出機を通過した樹脂のコンパウンディングの引張強度値を下記実験例により測定して下記表3に示した。
【0079】
[実験例]比較例および実施例のポリアリーレンスルフィドの物性測定
1.溶融粘度の分析
比較例および実施例により合成された高分子の物性分析において、溶融粘度(Melt Viscosity、以下、「MV」)は回転円盤粘度計(rotating disk viscometer)で300℃で測定した。Frequency sweep方法で測定するに当たり、angular frequencyを0.6から500rad/sまで測定し、1rad/sでの粘度を溶融粘度と定義した。
【0080】
2.融点(Tm)の測定
示差走査熱量分析器(Differential Scanning Calorimeter;DSC)を利用して30℃から320℃まで10℃/minの速度に昇温後、30℃まで冷却後に再び30℃から320℃まで10℃/minの速度に昇温しながら融点を測定した。
【0081】
3.溶融粘度変化率の測定
実施例および比較例により重合された高分子試料を300℃で3分間窒素雰囲気下で溶融させた後、プレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で1秒間隔に溶融粘度を測定した。溶融粘度変化率は10分後に測定した溶融粘度を基準にして測定した。変化率は下記数式1で表され得る。
【0082】
[数式1]
溶融粘度変化率(%)=100(MV
f/MV
i−1)
ただし、MV
iは、ポリアリーレンスルフィドの初期溶融粘度を示し、MV
fは、300℃で3分間熱処理して溶融させた後、10分が経過した時点でプレート・プレートレオメーターでせん断速度1rad/s下で測定した溶融粘度である。
【0083】
4.引張強度
実施例および比較例によりASTM D638に記載された方法のとおりtype Iの試片をUTM(Universial tesing machine、同一島津社AG−X 10kN)を使用して5mm/minの速度に引いた時の引張強度を測定した。
【0084】
5.延伸率の測定
実施例および比較例によりASTM D638に記載された方法のとおりtype Iの試片をUTM(Universial tesing machine、同一島津社AG−X 10kN)を使用して5mm/minの速度に引いた時の延伸率を測定した。この時、使用されたgauge lengthは50mmであり、延伸率は引張試験時に材料が伸びた長さを意味する。
【0085】
6.ポリアリーレンスルフィド内ヨード含量の分析
試料を粉砕した後、このうち一定量を燃焼(combustion)して純水などの吸着剤でイオン化した後、ヨードイオンの濃度を測定する燃焼イオンクロマトグラフィー(combustion ion chromatograph)を利用して測定した。この時、燃焼装置としては、Mitshubishi社のAQF−100を使用し、IC装置はDIONEX社のICS−2500を利用した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
前記表2に示すように、比較例の製品は全て溶融粘度変化率がマイナスである反面、実施例1〜5の製品の溶融粘度変化率はプラスであることが分かる。これによる影響は、前記表3に示すように、4回押出機通過後のコンパウンディング引張強度の場合、比較例1〜3の製品は4回押出機通過後の引張強度が低下した反面、実施例1〜5の製品は全て重合直後より引張強度がむしろ向上したことを確認することができた。重合直後と4回押出機通過後のヨード含量には実質的な差がなかったが、ただし測定法error内で少量のヨード含量が減少する余地があると見られる。
【0090】
一方、このような結果から、実施例のポリアリーレンスルフィドは、優れた機械的物性の発現および維持が可能であり、特に溶融時にも機械的物性の低下が殆どないため、ポリアリーレンスルフィドの製造および再利用に関する産業分野に有用に応用され得ると期待される。