【実施例】
【0058】
[使用材料]
(熱可塑性樹脂)
<汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)>
東洋スチレン社製GPPS:商品名「トーヨースチロールHRM26」、ゴム分=0質量%
東洋スチレン社製GPPS:商品名トーヨースチロールHRM10N」、ゴム分=0質量%
<耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)>
PSジャパン社製HIPS:商品名「E641N」、ゴム分=6.0質量%
PSジャパン社製HIPS:商品名「H758K」、ゴム分=7.5質量%
<ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体>
旭化成工業社製ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体:商品名「タフプレンA」、ゴム分=60質量%
【0059】
<熱可塑性樹脂中のゴム分の測定方法>
熱可塑性樹脂中のゴム分を下記測定方法により求めた。
試料0.1〜0.5mgを精秤し、これをキューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業(株)製)で圧着するように包んだ。パイロホイルで包まれた試料をキューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工業(株)製)装置にて分解した。分解された試料から生成したブタジエンモノマーと4−ビニルシクロヘキサンとをガスクロマトグラフ GC7820(アジレント・テクノロジー(株)製、検出器:FID)で測定した。得られた合計ピーク面積と、予め準備した絶対検量線から、全ブタジエン量を算出し、これをゴム分とした。
測定条件は、下記の通りである。
【0060】
≪測定条件≫
・加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(Inter Cap5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):ジーエルサイエンス(株))
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、次いで320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(25ml/分)
・注入口圧力(100KPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/30)
検量線作成用の標準試料は、POLYSCIENCES.INC製のSt/BD=85/15(CAT#07073)樹脂を使用した。
【0061】
(マスターバッチ)
評価用の熱可塑性発泡性樹脂粒子の製作に用いるポリエーテル系高分子のマスターバッチの製作にあたっては、以下の材料を事前に調製した。
【0062】
(A)ポリエチレングリコールマスターバッチ
A1:東洋スチレン社製汎用ポリスチレン(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM10N」90質量部に対し、三光化学社製ポリエチレングリコール、商品名「サンコノールPEG200−50T」(分子量Mn:200)を10質量部ブレンドし、押出温度200℃にて溶融混練し、棒状成形体として吐出した。吐出した成形体を水冷し、ペレタイザーを用いて粒状のマスターバッチを作製した。
A2:東洋スチレン社製汎用ポリスチレン(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM10N」90質量部に対し、日本油脂社製ポリエチレングリコール、商品名「PEG#300」(分子量Mn:300)を10質量部ブレンドした以外は、A1と同様の方法にてポリエチレングリコールマスターバッチを作製した。
A3:ボレアリス社製 ポリプロピレン、商品名「ダプロイWB−135」、90質量部に対し、日本油脂社製ポリエチレングリコール、商品名「PEG#1500」(分子量Mn:1500)を10質量部ブレンドした以外はA1と同様の方法にてポリエチレングリコールマスターバッチを作製した。
A4:ポリエチレングリコールとして日本油脂社製ポリエチレングリコール、商品名「PEG#2000」(分子量Mn:2000)を用いた以外は、A1と同様の方法にてポリエチレングリコールマスターバッチを作製した。
A5:東洋スチレン社製汎用ポリスチレン(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM10N」80質量部に対し、三光化学社製ポリエチレングリコール、商品名「サンコノールPEG200−50T」(分子量Mn:200)を10質量部、3M社製リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、商品名「HQ−115」を10質量部ブレンドし、押出温度200℃にて溶融混練し、棒状成形体として吐出した。吐出した成形体を水冷し、ペレタイザーを用いて粒状のマスターバッチを作製した。
【0063】
(B)ポリプロピレングリコールマスターバッチ
B1:東洋スチレン社製汎用ポリスチレン(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM10N」MFR5.6g/min(JIS K 7210の条件H)90質量部に対し、三洋化成工業社製ポリプロピレングリコール、商品名「ニューポールPP1200」(分子量Mn:1150)を10質量部ブレンドし、押出温度200℃にて溶融混練し、棒状成形体として吐出した。吐出した成形体を水冷し、ペレタイザーを用いて粒状のマスターバッチを作製した。
【0064】
[実施例1]
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製)
東洋スチレン社製、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM26」82質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルオレフィンブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレクトロンHS」)を12質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A1)を6質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部となるように加え、これを予めタンブラーミキサーにて均一に混合した上で口径90φ(L/D=35)の単軸押出機へ供給し、該単軸押出機で溶融混練を行った。この溶融混練に関しては押出機内の最高温度を220℃に設定して前記混練樹脂を溶融して溶融樹脂とし、該溶融樹脂100質量部に対する割合が5.0質量部となるように発泡剤(イソペンタン:ノルマルペンタン=2:8の混合物)押出機の途中より圧入した。
そして、押出機先端部での樹脂温度が180℃となるように冷却しながら溶融樹脂をこの発泡剤圧入箇所よりも押出機の先端側に移動させ、該移動中に溶融樹脂と発泡剤とをさらに混練させた。
次いで、前記押出機の先端に設けられたダイバーター(押出機とダイの連結部:温度185℃に保持)を通じて発泡剤を含有させた溶融樹脂を造粒用ダイに搬送し、該造粒用ダイに円周状に配置した8個の目皿(直径0.6mm、ランド長さ3.0mmのノズルが25個設けられている目皿)を通じて40℃の冷却水が循環するチャンバー内に溶融樹脂を吐出量150kg/hで押出させた。
そして、前記目皿の設置箇所に沿って回転する10枚の回転刃を有する高速回転カッターを前記チャンバー側に配置し、前記ノズルから押出され前記冷却水で冷却された溶融樹脂を毎分3000回の回転数で回転させた前記回転刃によって切断し、脱水乾燥して略球形状の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製した。
【0065】
(予備発泡粒子の作製(1))
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を20℃で1日放置した後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.1質量部を添加、混合して樹脂粒子表面に被覆した後、小型バッチ式予備発泡機(内容積40L)に投入して、撹拌しながら、吹込み圧0.05MPa(ゲージ圧)の水蒸気(約100℃)により加熱して、嵩発泡倍数10倍(嵩密度0.1g/cm
3)の予備発泡粒子を作製した。
【0066】
(発泡成形体の作製(1))
前記予備発泡粒子を23℃で1日熟成させた後、400×300×30mmの内部寸法を有する金型を取り付けた自動成形機(積水工機製作所製、ACE−3SP2型)を用いて、下記成形条件で型内成形して発泡倍数10倍(密度0.1g/cm
3)のビーズ発泡成形体を作製した。
<成形条件(ACE3−SP2)>
成形蒸気圧:0.08MPa(ゲージ圧)
金型加熱 :5秒
一方加熱 :15秒
逆一方加熱:5秒
両面加熱 :20秒
水冷 :300秒
設定取出し面圧:0.02MPa
【0067】
[評価方法]
前記の通り製造した実施例1の発泡成形体について、下記の通り<表面固有抵抗値>及び<発泡成形体中のポリエーテル系化合物の定量>を行った。その結果を表1に記す。
【0068】
<表面固有抵抗値>
得られた発泡成形体に対して、JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により表面抵抗率の値を測定した。
具体的には、一辺が10cm、厚みが5mmとなる平面正方形状の試験片を温度22℃、湿度60%の雰囲気下に24時間放置した後、温度22℃、湿度60%の環境下、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試験片に、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vの電圧を印加して1分経過後の抵抗値を測定し、次式(a)により算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs ・・・(a)
ただし、
ρs:表面固有抵抗値(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、7cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、5cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
をそれぞれ表す。
また、測定は3回実施し、それぞれの算術平均値を求め、下記基準により評価した。
優良(◎):表面固有抵抗値が5×10
9Ω/□未満
良(○):表面固有抵抗値が5×10
9Ω/□以上、7×10
9Ω/□未満
有効(△):表面固有抵抗値が7×10
9Ω/□以上、1×10
10Ω/□未満
不良(×):表面固有抵抗値が1×10
10Ω/□以上
【0069】
<発泡成形体中のポリエーテル系化合物の定量>
(抽出方法)
測定方法:試料を50mL蓋付き三角フラスコ中に10.0g量り取った。蒸留水を約20mL入れて1昼夜放置し、No.5Aろ紙でろ過後にろ液(蒸留水)を蒸発乾固させた。得られた蒸発乾固物にHPLC用メタノールを加えて超音波抽出した。抽出液を20mL容メスフラスコでメスアップし、水系0.20μmクロマトディスクで濾過後、HPLC測定した。
(HPLC分析(定量方法))
測定装置:液体クロマトグラフ装置 LC−10Avp(島津製作所社製)
カラム:TSKgel ODS−80TS QA 4.6*150(TOSOH社製)
測定条件:カラム温度(40℃),移動相(メタノール),移動相流量(0.7mL/min),ポンプ温度(室温),測定時間(10min),検出(蒸発光散乱),注入量(50μL)
検出器:蒸発光散乱検出器 ELSD−2000(Altech社製)
Drift Tube temp.(60℃),GAS Flow(1.6mL/min),GAIN=1(impactor=off)
【0070】
[実施例2]
PSジャパン社製、HIPS、商品名「E641N」64質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレスタットNC6321」)を30質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A1)を6質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部、となるように加えたこと以外は、実施例1と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0071】
[実施例3]
PSジャパン社製、HIPS、商品名「E641N」61質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルオレフィンブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレクトロンPVH」)を15質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A2)を24質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部、となるように加えたこと以外は、実施例1と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0072】
[実施例4]
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製)
ボレアリス社製のポリプロピレン、商品名「ダプロイWB−135」、86.4質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレスタット230」)を10質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A3)を3.6質量部加え、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部、ベーリンガー社製ハイドロセロールHKを0.2質量部、配合し、これを予めタンブラーミキサーにて均一に混合した上で口径90φ(L/D=35)の単軸押出機へ供給し、該単軸押出機で溶融混練を行った。この溶融混練に関しては押出機内の最高温度を250℃に設定して前記混練樹脂を溶融させた後、該混練樹脂100質量部に対する割合が6質量部となるように発泡剤(イソペンタン)押出機の途中より圧入した。
そして、押出機先端部での樹脂温度が195℃となるように冷却しながら溶融樹脂をこの発泡剤圧入箇所よりも押出機の先端側に移動させ、該移動中に溶融樹脂と発泡剤とをさらに混練させた。
次いで、前記押出機の先端に設けられたダイバーター(押出機とダイの連結部:温度200℃に保持)を通じて発泡剤を含有させた溶融樹脂を造粒用ダイに搬送し、該造粒用ダイに円周状に配置した8個の目皿(直径0.6mm、ランド長さ3.0mmのノズルが25個設けられている目皿)を通じて40℃の冷却水が循環するチャンバー内に溶融樹脂を吐出量150kg/hで押出させた。
そして、前記目皿の設置箇所に沿って回転する10枚の回転刃を有する高速回転カッターを前記チャンバー側に配置し、前記ノズルから押出され前記冷却水で冷却された溶融樹脂を毎分3000回の回転数で回転させた前記回転刃によって切断し、脱水乾燥して略球形状の発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を作製した。
【0073】
(予備発泡粒子の作製(2))
前記発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を押出した直後、発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対して、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.1質量部を添加、混合して樹脂粒子表面に被覆した後、耐圧予備発泡機に投入して、撹拌しながら、吹込み圧0.44MPa(ゲージ圧)の水蒸気(約154℃)により加熱して、嵩発泡倍数10倍(嵩密度0.1g/cm
3)の予備発泡粒子を作製した。
【0074】
(内圧付与)
上記手法にて得られた予備発泡粒子を常温で1.5kg/cm
2の加圧炭酸ガス中で3日間放置することによって、発泡剤保持性の劣るポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子内に炭酸ガスを圧入して内圧を付与することで成形時の発泡力を与えた。
【0075】
(発泡成形体の作製(2))
前記の内圧付与した予備発泡粒子を内圧付与した直後、400×300×30mmの内部寸法を有する金型を取り付けた自動成形機(DABO社製 DPM−0504VS型)を用いて、下記成形条件で型内成形して発泡倍数10倍(密度0.1g/cm
3)の発泡成形体を作製した。
<成形条件(DPM−0504)>
成形蒸気圧:0.38MPa(ゲージ圧)
金型加熱 :5秒
一方加熱 :15秒
逆一方加熱:10秒
両面加熱 :20秒
水冷 :300秒
設定取出し面圧:0.02MPa
【0076】
得られた発泡成形体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に記す。
【0077】
[実施例5]
ボレアリス社製のポリプロピレン、商品名「ダプロイWB−135」、86.4質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業(株)製、商品名「ペレスタット230」)を10質量部、ポリプロピレングリコールマスターバッチ(B1)を3.6質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部、ベーリンガー社製ハイドロセロールHKを0.2質量部、となるように加えたこと以外は、実施例4と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0078】
[実施例6]
東洋スチレン社製、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM26」58質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレスタットNC6321」)を30質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A4)を12質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部、となるように加えたこと以外は、実施例1と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0079】
[実施例7]
東洋スチレン社製の汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM26」69.4質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業(株)製、商品名「ペレスタットNC6321」)を30質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチとして(A1)を0.6質量部となるように加えたこと以外は実施例6と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0080】
[実施例8]
東洋スチレン社製の汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、商品名「トーヨースチロールHRM26」79質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、トリフルオロメタンスルホン酸Liを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三光化学工業(株)製、商品名「サンコノール TBX−65」を15質量部、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A1)を6質量部配合し、該樹脂100質量部に対して発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部加え、ポリエーテル系高分子を加えなかったこと以外は実施例1と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し評価した。
【0081】
[比較例1]
ポリエーテル系高分子を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製し、得られた発泡成形体について同様に評価した。その結果を表1に記す。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示した結果から、本発明に係る実施例1〜8で製造した発泡成形体は、表面固有抵抗値は低くなり、優れた帯電防止性能を有していた。
一方、実施例1と同量のイオン導電性高分子型帯電防止剤を添加したが、ポリエーテル系化合物を添加しなかった比較例1は、表面固有抵抗値が高くなり、帯電防止性能が悪かった。
ただし、実施例2、4〜7は、参考例である。
【0084】
[実施例9]
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製)
表2に示す組成となるように、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)(商品名「トーヨースチロールHRM26」)74質量部に対し、イオン導電性高分子型帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含むポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業社製、商品名「ペレスタットNC6321」)20質量部と、ポリエチレングリコールマスターバッチ(A1)6質量部とを配合した。
次に熱可塑性樹脂100質量部に対して、発泡核剤として竹原化学社製のMAX401−2HP(商品名)を0.5質量部となるように加え、押出機の途中より注入する発泡剤を溶融樹脂100質量部に対し6.0質量部とした以外は、実施例1と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子を作製した。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、0質量%である。
【0085】
(予備発泡粒子の作製)
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を20℃で1日放置した後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.1質量部を添加、混合して樹脂粒子表面に被覆した後、小型バッチ式予備発泡機(内容積40L)に投入して、撹拌しながら、吹込み圧0.05MPa(ゲージ圧)の水蒸気(約100℃)により加熱して、嵩発泡倍数10倍(嵩密度0.10g/cm
3)と40倍(嵩密度0.025g/cm
3)の予備発泡粒子を作製した。
【0086】
(発泡成形体の作製)
前記予備発泡粒子を23℃で1日熟成させた後、400×300×30mmの内部寸法の金型を取り付けた自動成形機(積水工機製作所製、ACE−3SP2型)を用いて、下記成形条件で型内成形して発泡倍数10倍(密度0.10g/cm
3)と40倍(密度0.025g/cm
3)のビーズ発泡成形体を作製した。
<10倍成形品成形条件(ACE3−SP2)>
成形蒸気圧:0.08MPa(ゲージ圧)
金型加熱 :5秒
一方加熱 :15秒
逆一方加熱:5秒
両面加熱 :20秒
水冷 :300秒
設定取出し面圧:0.02MPa
<40倍成形品成形条件(ACE3−SP2)>
成形蒸気圧:0.08MPa(ゲージ圧)
金型加熱 :3秒
一方加熱 :14秒
逆一方加熱:4秒
両面加熱 :10秒
水冷 :10秒
設定取出し面圧:0.03MPa
【0087】
得られた発泡成形体について、実施例1と同様にして、表面固有抵抗値、発泡成形体中のポリエーテル系化合物量を測定した。加えて、後述する<予備発泡粒子の最大発泡性評価>、<40倍発泡成形性評価>及び<総合評価>を行った。その結果を表2に記す。
【0088】
<予備発泡粒子の最大発泡性評価>
試料2.0gを精坪し、吹込み圧0.05MPa(ゲージ圧)の水蒸気(100℃)により加熱して得られる最大の嵩発泡倍数(最大嵩発泡倍数)を測定した。
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して嵩密度を測定した後、以下の測定方法によって求められた値を言う。
【0089】
≪予備発泡粒子の嵩発泡倍数≫
先ず、メスシリンダーに予備発泡粒子を500cm
3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダーを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm
3の目盛りに達していれば、充填操作を終了した。次に、メスシリンダー内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とした。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm
3)=W/500
次に、次式により予備発泡粒子の嵩発泡倍数を算出した。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm
3)
【0090】
<40倍発泡成形性評価>
長さ400mm、幅300mm、厚み30mmの平板形状の発泡成形体を成形し、下記評価基準に従って、成形体の外観を評価した。
≪評価基準≫
◎:発泡成形体に収縮がなく外観が極めて良好である。
○:発泡成形体にわずかな収縮が見られるが外観は良好である。
△:発泡成形体に大きな収縮が見られ外観が不良である。
×:発泡成形体に著しい収縮が見られ、外観に著しい変形が認められる。
【0091】
<総合評価>
<40倍成形体表面固有抵抗値>、<40倍発泡成形性評価>の結果に基づき、下記評価基準に従って、評価した。
◎:表面固有抵抗値、成形性ともに◎評価である。
○:表面固有抵抗値が△以上、成形性が○以上の評価である。
△:表面固有抵抗値が△以上、成形性が△以下の評価である。
×:表面固有抵抗値が×評価である。
【0092】
[実施例10]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、PSジャパン社製のHIPS(商品名「E641N」)18質量部と、「トーヨースチロールHRM26」56質量部とを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、1.4質量%である。
【0093】
[実施例11]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「E641N」39.7質量部と、「トーヨースチロールHRM26」34.3質量部とを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、3.0質量%である。
【0094】
[実施例12]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「E641N」55.6質量部と、「トーヨースチロールHRM26」18.4質量部とを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、4.2質量%である。
【0095】
[実施例13]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「E641N」74質量部を用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、5.6質量%である。
【0096】
[実施例14]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、PSジャパン社製、HIPS、商品名「H758K」74質量部を用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、7.0質量%である。
【0097】
[実施例15]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「トーヨースチロールHRM26」70質量部と、スチレンーブタジエン共重合体(旭化成工業社製、商品名「タフプレンA」)4質量部とを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、3.0質量%である。
【0098】
[実施例16]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「E6541N」44.7質量部と「トーヨースチロールHRM26」39.3質量部とを用い、「ペレスタットNC6321」を10質量部とした以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、3.0質量%である。
【0099】
[実施例17]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「E6541N」34.7質量部と「トーヨースチロールHRM26」29.3質量部とを用い、「ペレスタットNC6321」を30質量部とした以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、3.0質量%である。
ただし、実施例17は、参考例である。
【0100】
[実施例18]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部に換えて、「トーヨースチロールHRM26」62質量部と、「タフプレンA」12質量部とを用いた以外は、実施例9と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に示す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、9.0質量%である。
なお、本例においては、予備発泡粒子の最大嵩発泡倍数が35倍であり、40倍成形体を作製できなかったため、40倍発泡成形性及び40倍成形体における表面固有抵抗値の評価ならびに総合評価を行わなかった。
【0101】
[比較例2]
「トーヨースチロールHRM26」74質量部とポリエチレングリコールマスターバッチ(A1)6質量部とに換えて、「E641N」40質量部と「トーヨースチロールHRM26」40質量部とした以外は、実施例9と同様に発泡性熱可塑性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を作製した。得られた発泡成形体について、実施例9と同様に評価し、その結果を表2に記す。
本例の熱可塑性樹脂中に含まれるゴム分は、3.0質量%である。また、本例の熱可塑性樹脂中に含まれるポリエーテル系化合物の量は、0質量%である。
【0102】
【表2】
【0103】
表2に示す通り、本発明を適用した実施例9〜18は、いずれも10倍成形体の表面固有抵抗値の評価が「△」〜「◎」であった。実施例9〜15、18(いずれも、20質量部の帯電防止剤を添加したもの)の比較において、ゴム分を含む実施例10〜15、18は、ゴム分を含まない実施例9に比べて表面固有抵抗値が低かった。
実施例10〜14の比較において、ゴム分が増加するにつれ、表面固有抵抗値は低くなるものの、40倍成形体の収縮が多くなった。
実施例11、12は、10倍及び40倍成形体の外観、10倍及び40倍成形体における帯電防止性能が共に優れていた。
実施例15は、スチレン−ブタジエン共重合体にてゴム分を実施例11と同量に調整したものであり、実施例11と同様の評価結果となった。
実施例16は、実施例11とゴム分の含有量が同じであるが、帯電防止剤の割合が少ないため、実施例11に比べ表面固有抵抗値が高かった。
実施例17は、実施例11とゴム分の含有量が同じであるが、帯電防止剤の割合が多いため、実施例11に比べて表面固有抵抗値が低く帯電防止性能に優れていたが、予備発泡粒子の最大嵩発泡倍数が低かった。
ゴム分の含有量が9質量%である実施例18は、10倍成形体の表面固有抵抗値は良好であったが、40倍発泡成形性が「△」であった。
比較例2は、熱可塑性樹脂中のゴム分の含有量が3.0%であるが、ポリエーテル系化合物を含有しないため、表面固有抵抗値が「×」であった。