特許第5969945号(P5969945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969945液圧緩衝器及び液圧緩衝器への作動液注入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969945
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】液圧緩衝器及び液圧緩衝器への作動液注入方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20160804BHJP
   B62K 25/08 20060101ALI20160804BHJP
   F16F 9/43 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   F16F9/32 N
   B62K25/08 C
   F16F9/43
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-68445(P2013-68445)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190492(P2014-190492A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】富宇賀 健
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−190236(JP,A)
【文献】 特開2010−185571(JP,A)
【文献】 特表2000−507666(JP,A)
【文献】 実公昭50−36143(JP,Y1)
【文献】 米国特許第4044866(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00−9/58
B62K 25/08
F16F 9/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と車輪との間に介装されており、車輪側に連結されるシリンダと、このシリンダ内に形成されて作動液が充填される液室と、上記シリンダに固定され上記液室の車体側を塞ぐ環状のロッドガイドと、車体側に連結されて上記ロッドガイドの軸心部を貫通し上記シリンダに出入りするピストンロッドと、このピストンロッドに保持されて上記液室を伸側室と圧側室に区画するピストンと、上記ロッドガイドの内周に嵌合されて上記ピストンロッドを軸方向に移動自在に軸支する環状のブッシュとを備える液圧緩衝器において、
上記ピストンロッドは、上記ブッシュに摺接する柱状の摺動軸部と、この摺動軸部の反ピストン側でダンパストローク範囲外に設けられる作動液注入用の第一注入部とを備えていることを特徴とする液圧緩衝器。
【請求項2】
上記シリンダの内周面に摺接し上記液室の車輪側を塞ぐフリーピストンと、上記ロッドガイドの内周に上記ブッシュよりもシリンダ側に保持されて上記摺動軸部の外周面に摺接する環状のシール部材とを備えており、
上記ピストンロッドは、上記ピストンの車体側に起立するとともに、上記摺動軸部のピストン側に設けられる作動液注入用の第二注入部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液圧緩衝器。
【請求項3】
上記ピストンロッドは、上記第一注入部の反摺動軸部側に設けられ外周にオイルロックピースが取り付けられる取り付け部を備えるとともに、上記ロッドガイドは、上記シリンダ内に挿入される挿入部と、この挿入部に連なり上記シリンダから突出する突出部とを備えており、上記ロッドガイドには、最圧縮時に上記オイルロックピースが嵌入する筒状のオイルロックケースが起立するとともに、上記突出部を径方向に貫通し上記ブッシュと上記シール部材との間に開口する横孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液圧緩衝器。
【請求項4】
上記第一注入部と上記第二注入部の一方または両方は、その外径が摺動軸部4eの外径よりも小さく形成されるとともに、摺動軸部側端部から反摺動軸部側にかけて徐々に縮径されるスロープ部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液圧緩衝器。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の液圧緩衝器への作動液注入方法であって、
上記第一注入部を上記シール部材と対向させて上記第一注入部と上記シール部材との間に形成される隙間から上記シリンダ内に作動液を注入した後、上記ピストンロッドをシリンダから退出させて上記第二注入部を上記シール部材と対向させて上記第二注入部と上記シール部材との間に形成される隙間から上記シリンダ内に作動液を注入することを特徴とする液圧緩衝器への作動液注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液圧緩衝器及び液圧緩衝器への作動液注入方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、緩衝器は、車両、機器、構造物等の振動を減衰させるものである。そして、油、水、水溶液等の液体からなる作動液の抵抗を利用して減衰力を発生する液圧緩衝器は、内部に作動液が充填される液室が形成されるシリンダと、このシリンダに固定され液室の一方側を塞ぐ環状のロッドガイドと、このロッドガイドを貫通しシリンダに出入りするピストンロッドと、このピストンロッドに保持されて液室を伸側室と圧側室に区画するピストンと、このピストンに形成されて伸側室と圧側室とを連通するピストン通路と、このピストン通路を通過する作動液に抵抗を与える減衰弁と備えている。そして、上記液圧緩衝器は、ピストンロッドがシリンダに出入りする伸縮時に、ピストンで加圧された一方の室の作動液がピストン通路を通過して他方の室に移動する際の減衰弁の抵抗に起因する減衰力を発生するようになっている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−174501号公報
【特許文献2】特開2012−167785号公報
【特許文献3】特開2010−185571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記液圧緩衝器が二輪車や三輪車等の鞍乗型車両に利用される場合、液圧緩衝器は、アウターチューブとこのアウターチューブに出入りするインナーチューブとからなり、液圧緩衝器の外殻となるテレスコピック型の緩衝器本体を備えることが一般的である。このような液圧緩衝器を組み立てる際、液室に作動液を封入してからシリンダを緩衝器本体に組み付けると部品数や組み立て工数が増えるので、シリンダを緩衝器本体に組み付けてから液室に作動液を注入することが好ましいが、特開2012−167785号公報に開示のようなシリンダが車輪側に連結される正立型の液圧緩衝器では、シリンダの車体側開口がロッドガイドで塞がれた状態となっているので、車体側からシリンダ内に作動液を注入し難い。
【0005】
また、特開2010−185571号公報に開示のようなシリンダの内周面に摺接して液室の反ロッドガイド側を塞ぐフリーピストンと、このフリーピストンを液室側に附勢する附勢手段とを備える液室加圧式の液圧緩衝器では、ロッドガイドの内周にピストンロッドの外周面に摺接するシール部材が設けられるので、このような液圧緩衝器を正立型にすると、車体側からの作動液注入が更に困難になるとともに、車輪側からも作動液を注入し難くなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、正立型に設定された場合であっても、緩衝器本体にシリンダを組み付けた後にシリンダ内へ作動液を容易に注入することが可能な液圧緩衝器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、車体と車輪との間に介装されており、車輪側に連結されるシリンダと、このシリンダ内に形成されて作動液が充填される液室と、上記シリンダに固定され上記液室の車体側を塞ぐ環状のロッドガイドと、車体側に連結されて上記ロッドガイドの軸心部を貫通し上記シリンダに出入りするピストンロッドと、このピストンロッドに保持されて上記液室を伸側室と圧側室に区画するピストンと、上記ロッドガイドの内周に嵌合されて上記ピストンロッドを軸方向に移動自在に軸支する環状のブッシュとを備える液圧緩衝器において、上記ピストンロッドは、上記ブッシュに摺接する柱状の摺動軸部と、この摺動軸部の反ピストン側でダンパストローク範囲外に設けられる作動液注入用の第一注入部とを備えていることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液圧緩衝器によれば、正立型に設定された場合であっても、緩衝器本体にシリンダを組み付けた後にシリンダ内へ作動液を容易に注入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る液圧緩衝器を部分的に切欠いて示した正面図である。
図2図1の主要部を拡大して示した図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る液圧緩衝器の作動液注入工程を示した説明図であり、(a)は、第一注入部からの作動液注入工程を示し、(b)は、第二注入部からの作動液注入工程を示している。
図4】(a)は、本発明の一実施の形態に係る液圧緩衝器における第一、第二注入部の変更例を示しており、当該変更例が具現化された第一、第二注入部の拡大横断面である。(b)は、本発明の一実施の形態に係る液圧緩衝器における第一、第二注入部の第二の変更例を示しており、当該変更例が具現化された第一、第二注入部の拡大横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施の形態に係る液圧緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る液圧緩衝器Dは、車体と車輪との間に介装されており、車輪側に連結されるシリンダ3と、このシリンダ3内に形成されて作動液が充填される液室Pと、上記シリンダ3に固定され上記液室Pの車体側を塞ぐ環状のロッドガイド30と、車体側に連結されて上記ロッドガイド30の軸心部を貫通し上記シリンダ3に出入りするピストンロッド4と、このピストンロッド4に保持されて上記液室Pを伸側室p1と圧側室p2に区画するピストン6と、上記ロッドガイド30の内周に嵌合されて上記ピストンロッド4を軸方向に移動自在に軸支する環状のブッシュB3とを備えており、上記ピストンロッド4は、上記ブッシュB3に摺接する柱状の摺動軸部4eと、この摺動軸部4eの反ピストン側でダンパストローク範囲A外に設けられる作動液注入用の第一注入部4dとを備えている。
【0012】
また、上記液圧緩衝器Dは、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両において前輪を懸架するフロントフォークに利用されている。このフロントフォークの構成は、周知であるため、詳細に図示しないが、前輪の両側に起立する一対の緩衝器(一方の緩衝器である液圧緩衝器Dのみを図示し、他方の緩衝器を図示せず)と、これら緩衝器を連結するとともに車体の骨格となる車体フレームに連結される車体側ブラケットと、各緩衝器を前輪の車軸にそれぞれ連結する車輪側ブラケット20とを備えている。本実施の形態において、本発明は、フロントフォークを構成する一対の緩衝器のうちの一方または両方に具現化されている。なお、本発明に係る液圧緩衝器Dは、フロントフォーク以外に利用されるとしてもよく、鞍乗型車両における後輪を懸架するリアクッションや、鞍乗型車両以外の車両に利用されるとしてもよい。
【0013】
以下、本発明が具現化された一方の緩衝器である液圧緩衝器Dについて、詳細に説明する。この液圧緩衝器Dは、アウターチューブ1とこのアウターチューブ1に出入りするインナーチューブ2とからなるテレスコピック型の緩衝器本体Tと、この緩衝器本体Tの軸心部に起立するシリンダ3と、シリンダ3の車体側開口端部3aに取り付けられる環状のロッドガイド30と、このロッドガイド30に支えられてシリンダ3に出入りするピストンロッド4と、このピストンロッド4の先端部に保持されてシリンダ3の内周面に摺接しシリンダ3内を軸方向に移動可能なピストン6と、シリンダ3の反ピストンロッド側の軸心部に起立するベースロッド7と、このベースロッド7の先端部に保持されるベース部材8と、環状に形成されてベースロッド7の外周面とシリンダ3の内周面に摺接しシリンダ3内を軸方向に移動可能なフリーピストン5と、フリーピストン5を図1中上側に附勢する附勢手段S1とを備えており、液室加圧式となっている。
【0014】
そして、緩衝器本体Tとシリンダ3との間には、リザーバRが形成されている。このリザーバRには、作動液が貯留されるとともに、この作動液の液面を介して上側に気体が収容されている。インナーチューブ2には、連通孔2aが形成されているので、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間に形成される筒状隙間t1とリザーバRとの間を作動液が自由に移動できるようになっている。
【0015】
他方、シリンダ3内には、ロッドガイド30でリザーバRと区画される液室Pと、フリーピストン5で液室Pと区画され附勢手段S1が収容される背面室Qが形成されており、液室P及び背面室Qに作動液が充填されている。そして、液室Pは、ピストン6で区画される上側の伸側室p1及び下側の圧側室p2と、ベース部材8で上記圧側室p2と区画される液溜室p3とからなる。
【0016】
緩衝器本体Tは、液圧緩衝器Dの外殻を構成しており、アウターチューブ1に車体側ブラケットが固定され、インナーチューブ2に車輪側ブラケット20が固定されているので、路面凹凸による衝撃が車輪に入力されるとインナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りして伸縮できるようになっている。緩衝器本体Tの上側開口は、アウターチューブ1の上端部内周に螺合するキャップ部材10で塞がれ、緩衝器本体Tの下側開口は、インナーチューブ2の下端部外周に螺合する車輪側ブラケット20で塞がれ、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間に形成される筒状隙間t1の下側開口は、アウターチューブ1の内周に保持されてインナーチューブ2の外周面に摺接する環状のダストシールとオイルシールからなるシール部材C2,C3で塞がれている。このため、緩衝器本体T内に収容される液体や気体が外気側に漏れないようになっている。なお、本実施の形態において、アウターチューブ1が車体側に連結されるとともにインナーチューブ2が車輪側に連結されてフロントフォークが倒立型に設定されるが、アウターチューブ1が車輪側に連結されるとともにインナーチューブ2が車体側に連結されてフロントフォークが正立型に設定されるとしてもよい。
【0017】
緩衝器本体T内には、コイルばねからなる懸架ばねS2が収容されており、緩衝器本体Tを伸長方向に附勢して、車体を弾性支持している。本実施の形態において、懸架ばねS2は、ロッドガイド30に起立する筒状のオイルロックケース34で下端を支持されるとともに、筒状のばね受け11で上端を支持されている。そして、キャップ部材10に取り付けられる反力調節用のアジャスタ12でばね受け11を図1中上下に駆動することができるので、懸架ばねS2の反力を調節できる。なお、本実施の形態において、懸架ばねS2は、コイルばねからなるが、エアばねからなるとしてもよく、緩衝器本体T内に懸架ばねS2を収容しなくてもよい。
【0018】
また、緩衝器本体Tにおいて、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間に形成される筒状隙間t1には、インナーチューブ2をアウターチューブ1に出入り自在に軸支する一対のブッシュB1,B2が配置されている。また、筒状隙間t1には、作動液が収容されるとともに、インナーチューブ2に形成される連通孔2aから作動液が供給されるので、両ブッシュB1,B2の摺動面を作動液で潤滑することができる。
【0019】
緩衝器本体Tの軸心部に起立するシリンダ3は、車輪側に連結されている。具体的には、車輪側ブラケット20は、車軸に連結される連結部20aと、この連結部20aから起立する筒状部20bとを備えており、シリンダ3は、筒状部20bの内周に形成される段差面20cに位置決めされる有底筒状のボトム部材32の内周に螺合している。また、ボトム部材32は、筒状部20bの内周に螺合するインナーチューブ2の先端で段差面20cに押し付けられ、車体側ブラケット20に固定されているので、シリンダ3は、ボトム部材32及び車輪側ブラケット20を介して車輪側に連結され、インナーチューブ2の軸心部に起立する。さらに、シリンダ3の下部分には、内径が他の部分の内径と比較して大径に形成される大内径部3bが形成されるとともに、この大内径部3bの肉厚を貫通する連通孔3cが形成されている。
【0020】
シリンダ3の車体側開口端部3aに取り付けられる環状のロッドガイド30は、液室Pの車体側を塞いでおり、図2に示すように、シリンダ3に挿入されるとともにシリンダ3の内周に螺合される挿入部30aと、この挿入部30aに連なりシリンダ3から突出する突出部30bと、この突出部30bから外周に張り出す環状のフランジ部30cとを備えている。突出部30bには、フランジ部30cよりも上側に径方向に貫通する横孔30dが形成されており、ロッドガイド30の内周には、横孔30dよりも上側に環状のブッシュB3が嵌合し、横孔30dよりも下側に環状のシール部材C1とストッパ33が縦に並んで保持されている。さらに、突出部30bの上側には、筒状のオイルロックケース34が起立しており、このオイルロックケース34は、ピストンロッド4の外周に取り付けられるオイルロックピース40(図1)とともにオイルロック機構を構成し、液圧緩衝器Dの最圧縮時の衝撃を緩和する。
【0021】
ロッドガイド30に支えられてシリンダ3に出入りするピストンロッド4は、図1に示すように、キャップ部材10に吊り下げられた状態に保持されて、キャップ部材10、アウターチューブ1及び車体側ブラケットを介して車体側に連結されており、下側がロッドガイド30の軸心部を貫通し、ブッシュB3で軸方向に移動自在に軸支されている。ピストンロッド4は、ブッシュB3で軸支される筒状の軸部材4aと、ピストン6を保持する環状のセンターロッド4bとからなる。
【0022】
軸部材4aは、ブッシュB3に摺接する円柱状の摺動軸部4eと、この摺動軸部4eの図1中上側に同軸に連なり外径が摺動軸部4eの外径よりも小さく形成される第一注入部4dと、この第一注入部4dの図1中上側に同軸に連なり外周にオイルロックピース40が取り付けられる取り付け部4cと、上記摺動軸部4eの図1中下側に連なり外径が摺動軸部4eの外径よりも小さく形成される第二注入部4fと、この第二注入部4fの図1中下側に連なり外周にセンターロッド4bが螺合する螺子部4gとを備えており、第一注入部4d及び第二注入部4fは、外周が摺動軸部側端部から反摺動軸部側にかけて徐々に縮径される円錐状のスロープ部a1,a2を備えている。そして、液圧緩衝器Dが車体と車輪との間に介装されて伸縮する通常の作動時(以下、作動時という)にピストンロッド4がシリンダ3に出入りする範囲をダンパストローク範囲Aとし、ブッシュBよりも外側をシリンダ3外とすると、本実施の形態においては、ダンパストローク範囲A内に上記軸部材4aにおける摺動軸部4eがあり、他の部分がダンパストローク範囲A外となるように設定されている。なお、ダンパストローク範囲Aは、適宜変更することが可能であり、第二注入部4fの一部がダンパストローク範囲Aに入るとしてもよい。
【0023】
また、ピストンロッド4がダンパストローク範囲Aを移動する液圧緩衝器Dの作動時に、ピストンロッド4がシリンダ3から所定量退出すると、第二注入部4fがシール部材C1に対向するようになっている。このため、ロッドガイド30に保持されるシール部材C1がピストンロッド4の摺動軸部4eに対向している場合、シール部材C1が摺動軸部4eに摺接してシール部材C1の内周に隙間ができないが、シール部材C1が第二注入部4fに対向するとシール部材C1の内周に隙間ができる。当該構成によれば、液圧緩衝器Dの作動時において、ピストンロッド4がシリンダ3から所定量退出して第二注入部4fがシール部材C1に達した時からピストンロッド4がシリンダ3から最も退出する最伸長時までの間の所定のストローク範囲において、シール部材C1とピストンロッド4との間に隙間を形成し、この隙間とロッドガイド30の横孔30dを通して、シリンダ3内の作動液をシリンダ3外に逃がす、即ち、リリーフできるようになっている。さらに、本実施の形態において、車両から搭乗者が降りて液圧緩衝器Dが伸長すると、第二注入部4fが上記シール部材C1に対向するようになっており、車体荷重のみが液圧緩衝器Dにかかる車両駐車時に、シリンダ3内の作動液をシリンダ3外に逃がすことができる。
【0024】
他方、センターロッド4bは、図2に示すように螺子部4gに螺合するナット部4hと、このナット部4hから外周に張り出すシート部4iと、ナット部4hの図2中下側に連なりピストン6を保持する保持部4j(図1)とを備えている。さらに、図1に示すように、センターロッド4bには、後述のピストン6に形成されるピストン通路6aを迂回して伸側室p1と圧側室p2とを連通するバイパス路4kが形成されている。
【0025】
また、ピストンロッド4において、筒状に形成される軸部材4aには、キャップ部材10に取り付けられる減衰力調節用のアジャスタ13で軸方向に駆動されるプッシュロッド14が挿入されている。また、センターロッド4bには、バイパス路4kを絞るニードル弁15と、ニードル弁15をプッシュロッド側に附勢する附勢ばねS3が収容されており、減衰力調節用のアジャスタ13を操作してプッシュロッド14を駆動し、ニードル弁15をバイパス路4k内に押し込むとバイパス路4kの流路面積を狭くすることができ、反対に、ニードル弁15をバイパス路4kから退出させるとバイパス路4kの流路面積を広くすることができる。
【0026】
さらに、ピストンロッド4の外周には、液圧緩衝器Dの最伸長時の衝撃を吸収するリバウンド部材が取り付けられている。このリバウンド部材は、図2に示すように、センターロッド4bのナット部4h外周に嵌合し、シート部4iで下支えされるコイルばねS4と、このコイルばねS4の上端部に嵌合する環状のばねガイド41からなり、このばねガイド41は、ピストンロッド4の軸部材4aの外周に沿って軸方向に移動可能とされている。そして、液圧緩衝器Dの最伸長時にばねガイド41がストッパ33に当接し、コイルばねS4が圧縮されて所定の反力を発生し、最伸長時の衝撃を吸収できるようになっている。また、第二注入部4fがロッドガイド30のシール部材C1に対向するとき、ばねガイド41も第二注入部4fに対向し、ばねガイド41の内周には、ピストンロッド4との間に隙間ができるようになっているので、ばねガイド41がストッパ33に当接した場合にも、シール部材C1とピストンロッド4との間にできる隙間におけるシリンダ3内外の連通を妨げない。
【0027】
ピストンロッド4の先端部に保持されるピストン6は、環状に形成されており、図1に示すように、ナット60でセンターロッド4bの保持部4jの外周に固定されている。ピストン6には、伸側室p1と圧側室p2とを連通する伸側と圧側のピストン通路6a(伸側のピストン通路6aのみを図示し、圧側のピストン通路を図示せず)が形成されるとともに、伸側のピストン通路6aの出口を開閉可能に塞ぎ、伸側のピストン通路6aを伸側室p1から圧側室p2に移動する作動液の流れのみを許容してその反対方向の流れを阻止する伸側減衰弁61と、図示しない圧側のピストン通路の出口を開閉可能に塞ぎ圧側のピストン通路を圧側室p2から伸側室p1に移動する作動液の流れのみを許容してその反対方向の流れを阻止する圧側逆止弁62が積層されている。
【0028】
つづいて、シリンダ3の反ピストンロッド側の軸心部に起立するベースロッド7は、シリンダ3の大内径部3b外周に螺合するボトム部材32に起立した状態に保持されており、ベース部材8は、ベースロッド7の先端部にナット80で固定されている。ベース部材8には、圧側室p2と液溜室p3とを連通する伸側と圧側のベース通路8a(伸側のベース通路8aのみを図示し、圧側のベース通路を図示せず)が形成されるとともに、伸側のベース通路8aの出口を開閉可能に塞ぎ、伸側のベース通路8aを液溜室p3から圧側室p2に移動する作動液の流れのみを許容してその反対方向の流れを阻止する伸側逆止弁81と、図示しない圧側のベース通路の出口を開閉可能に塞ぎ、圧側のベース通路を圧側室p2から液溜室p3に移動する作動液の流れのみを許容してその反対方向の流れを阻止する圧側減衰弁82が積層されている。
【0029】
環状に形成されてベースロッド7の外周面とシリンダ3の内周面に摺接しシリンダ3内を軸方向に移動可能なフリーピストン5は、ベースロッド7の外周面に摺接する環状のOリングからなる内周シール5aと、シリンダ1の内周面に摺接する環状のOリングからなる外周シール5bとを備えており、液室Pの車輪側を塞ぎ、液溜室p3を背面室Qと区画している。しかし、フリーピストン5が所定量図1中下側に移動して外周シール5bがシリンダ1の大内径部3bに達すると、外周シール5bとシリンダ1との間に隙間が生じ、液溜室p3の作動液を上記隙間と、シリンダ3の連通孔3cを通してリザーバRに逃がすことができる。
【0030】
フリーピストン5を図1中上側に附勢する附勢手段S1は、本実施の形態においてコイルばねからなり、背面室Qに収容されるとともに、ボトム部材32とフリーピストン5との間に圧縮されながら介装されている。そして、附勢手段S1は、フリーピストン5を介して液室Pを加圧し、液圧緩衝器Dにおける減衰力発生の応答性を良好にしている。
【0031】
以下、本実施の形態の液圧緩衝器Dの組み立て時における作動液注入方法について説明する。
【0032】
キャップ部材10及び懸架ばねS2を未装着の状態で、図3(a)に示すように、ダンパストローク範囲A外にある第一注入部4dがロッドガイド30のシール部材C1に対向するまでピストンロッド4をシリンダ3内に挿入し、緩衝器本体Tの車体側開口から作動液を注ぐ。このとき、第一注入部4dとシール部材C1との間に隙間ができているので、リザーバRに注がれた作動液がロッドガイド30の横孔30dと上記隙間を通って伸側室p1に流入する。
【0033】
伸側室p1に作動液が満たされた後、ピストンロッド4をシリンダ3から退出させると、摺動軸部4eがロッドガイド30のシール部材C1と対向するので、ピストンロッド4とシール部材C1の間が塞がれて、ピストン6で加圧された伸側室p1の作動液が伸側のピストン通路6aを通過して圧側室p2に移動する。シリンダ3内では退出したピストンロッド体積分の作動液が不足してシリンダ3内が負圧になるが、図3(b)に示すように、第二注入部4fがシール部材C1と対向するまでピストンロッド4を退出させると、第二注入部4fとシール部材C1との間に隙間ができるので、リザーバRの作動液がロッドガイド30の横孔30dと上記隙間を通って伸側室p1に流入し、シリンダ3内の負圧が解消される。
【0034】
なお、液圧緩衝器Dの組み立て完了後、液圧緩衝器Dの作動時には、オイルロックケース34内に作動液が満たされているので、オイルロックケース34にオイルロックピース40が嵌入する液圧緩衝器Dの最圧縮時には、図3(b)中破線で示す位置でオイルロックピース40が動かなくなり、圧縮方向のストロークが規制される。
【0035】
つづいて、車体と車輪との間に介装された本実施の形態における液圧緩衝器Dの作動について説明する。
【0036】
インナーチューブ2がアウターチューブ1から退出するとともに、ピストンロッド4がシリンダ3から退出する液圧緩衝器Dの伸長時において、ピストンロッド4の摺動軸部4eにロッドガイド30のシール部材C1が対向している場合、ピストン6で加圧された伸側室p1の作動液が伸側のピストン通路6aとバイパス路4kを通過して圧側室p2に移動するとともに、シリンダ3から退出したピストンロッド体積分の作動液が伸側のベース通路8aを通過して液溜室p3から圧側室p2に移動するため、液圧緩衝器Dは、伸側減衰弁61、ニードル弁15及び伸側逆止弁81の抵抗に起因する伸側減衰力を発生する。なお、伸側逆止弁81の開弁圧は低く設定されているので、上記伸側減衰力は、主に伸側減衰弁61及びニードル弁15の抵抗によるものである。そして、このニードル弁15による抵抗は、減衰力調節用のアジャスタ13で調節できるので、このアジャスタ13で伸側減衰力を調節することができる。さらに、この場合において、フリーピストン5が図1中上側に移動して液溜室p3を縮小するとともに背面室Qが拡大するので、リザーバRの作動液がシリンダ3の連通孔3cを通って背面室Qに移動する。
【0037】
また、液圧緩衝器Dの伸長時において、ピストンロッド4がシリンダ3から所定量退出すると、第二注入部4fがロッドガイド30のシール部材C1と対向するので、ピストンロッド4とシール部材C1との間に隙間が形成されて、伸側室p1の作動液が上記隙間とロッドガイド30の横孔30dを通ってリザーバRに移動する。作動液注入時に液室Pに残留した気体や、作動液中に溶けていた気体が析出してできた気泡は、液室Pを上側に移動して液室Pの上端となる伸側室p1に集まるので、この気体を上記隙間及び横孔30dから作動液とともにシリンダ3外に排出し、伸側減衰力の発生に遅れが生じることを抑制できる。なお、伸側室p1とリザーバRの連通時には、伸側室p1の圧力がリザーバ圧になるので伸側減衰力が不足するが、リバウンド部材のコイルばねS4が圧縮されて反力を発生するので、伸側減衰力をコイルばねS4の反力で補えるようになっている。さらに、本実施の形態においては、搭乗者が車両から降りて車体荷重のみが液圧緩衝器Dにかかる車両駐車時に、第二注入部4fでシリンダ3内の作動液をシリンダ3外に逃がす(リリーフする)ようになっているので、車両を駐車するたびにシリンダ内圧をリセットすることができる。
【0038】
反対に、インナーチューブ2がアウターチューブ1に進入するとともに、ピストンロッド4がシリンダ3に進入する液圧緩衝器Dの圧縮時において、ピストン6で加圧された圧側室p2の作動液が図示しない圧側のピストン通路とバイパス路4kを通過して伸側室p1に移動するとともに、シリンダ3に進入したピストンロッド体積分の作動液が図示しない圧側のベース通路を通過して圧側室p2から液溜室p3に移動するため、液圧緩衝器Dは、圧側逆止弁62、ニードル弁15及び圧側減衰弁82の抵抗に起因する圧側減衰力を発生する。なお、圧側逆止弁62の開弁圧は低く設定されているので、上記圧側減衰力は、主に圧側減衰弁82の抵抗によるものである。この場合において、フリーピストン5が図1中下側に移動して液溜室p3が拡大するとともに背面室Qを縮小するので、背面室Qの作動液がシリンダ3の連通孔3cを通ってリザーバRに移動する。
【0039】
また、ピストンロッド4の進入時にシリンダ3内に作動液が繰り返し引き込まれ、シリンダ3内の作動液が増えたり、温度上昇により作動液の体積が膨張したりした状態で、シリンダ3内へのピストンロッド4の進入量が大きくなると、フリーピストン5が図1中下側に大きく移動して、フリーピストン5の外周シール5bがシリンダ3の大内径部3bに対向するので、外周シール5bとシリンダ3との間に隙間が生じ、液溜室p3の作動液が上記隙間とシリンダ3の連通孔3cを通ってリザーバRに移動する。したがって、シリンダ内圧の過度な上昇を抑制することが可能となる。
【0040】
以下、本実施の形態における液圧緩衝器Dの作用効果について説明する。
【0041】
本実施の形態において、第一注入部4dと第二注入部4fは、その外径が摺動軸部4eの外径よりも小さく形成されるとともに、摺動軸部側端部から反摺動軸部側にかけて徐々に縮径されるスロープ部a1,a2を備えている。
【0042】
上記構成によれば、第一注入部4dや第二注入部4fの外周とロッドガイド30のシール部材C1との間にできる隙間が環状となるので、上記隙間を広くして作動液注入作業を速やかにできるとともに、第一、第二注入部4d,4fをピストンロッド4に設けるための加工が容易である。
【0043】
また、本実施の形態のように、ロッドガイド30に横孔30dを形成して、この横孔30dを通してシリンダ3内に作動液を注入する場合には、横孔30dと第一、第二注入部4d,4fの周方向の位置合わせが不要となるので、作動液注入作業が容易になる。さらに、本実施の形態において、第二注入部4fは、液圧緩衝器Dの作動時にもシール部材C1と対向することがあるため、スロープ部a2を備えることでシール部材C1を保護できる。しかし、第一注入部4d及び第二注入部4fの構成は上記の限りではなく、例えば、図4に示すように、第一注入部4d及び第二注入部4fの外周に平面部a3や溝a4が軸方向に沿って形成されて、平面部a3または溝a4とシール部材C1との隙間からシリンダ3内に作動液を注入するとしてもよい。また、第一、第二注入部4d,4fの何れか一方がスロープ部a1,a2を備えるとしてもよい。
【0044】
また、本実施の形態において、ピストンロッド4は、上記第一注入部4dの反摺動軸部側に設けられ外周にオイルロックピース40が取り付けられる取り付け部4cを備えるとともに、ロッドガイド30は、シリンダ3内に挿入される挿入部30aと、この挿入部30aに連なりシリンダ3から突出する突出部30bとを備えており、上記ロッドガイド30には、最圧縮時に上記オイルロックピース40が嵌入する筒状のオイルロックケース34が起立するとともに、上記突出部30bを径方向に貫通しロッドガイド30のブッシュB3とシール部材C1との間に開口する横孔30dが形成されている。
【0045】
上記構成によれば、図3(a)に示すように、第一注入部4dとブッシュB3との間にできる隙間がオイルロックピース40で塞がれたとしても、横孔30dと、第一注入部4dとシール部材C1との間にできる隙間からシリンダ3内に作動液を注入することが可能となる。しかし、第一注入部4dとブッシュB3との間からシリンダ3内に作動液を注入できる場合には、横孔30dを形成しなくてもよく、ロッドガイド30の構成は適宜変更することができる。
【0046】
また、本実施の形態において、液圧緩衝器Dは、シリンダ3の内周面に摺接し液室Pの車輪側を塞ぐフリーピストン5と、ロッドガイド30の内周にブッシュB3よりも図1〜3中下側となるシリンダ側に保持されて摺動軸部4eの外周面に摺接する環状のシール部材C1とを備えており、ピストンロッド4は、ピストン6の車体側に起立するとともに、摺動軸部4eのピストン側に設けられる作動液注入用の第二注入部4fを備えている。
【0047】
上記構成によれば、第一注入部4dをシール部材C1と対向させて第一注入部4dとシール部材C1との間に形成される隙間からシリンダ3内に作動液を注入した後、ピストンロッド4をシリンダ3から退出させて第二注入部4fをシール部材C1と対向させて第二注入部4fとシール部材C1との間に形成される隙間からシリンダ3内に作動液を注入することで、伸側室p1及び圧側室p2に作動液を容易に充填させることができる。
【0048】
つまり、上記構成を備えることにより、フリーピストン5の存在により車輪側から液室Pに作動液を注入できなくても、車体側から伸側室p1及び圧側室p2に作動液を充填することができるので、シリンダ3内に作動液を注入してから緩衝器本体Tに取り付けたり、シリンダ3に作動液を注入した後で液室Pの車輪側を塞いだりする必要が無く、部品数や組み立て工数が増えることを抑制できる。なお、液圧緩衝器Dがフリーピストン5を備えておらず、ベース部材8のベース通路8aでリザーバRと圧側室p2とを連通可能な場合には、第二注入部4fを設けなくても、ベース部材8のベース通路8aを通してシリンダ3内に作動液を注入できるので、このような液圧緩衝器の場合には、第一注入部4dのみを備えるとしてもよい。また、上記構成によれば、液圧緩衝器Dが片ロッド型に設定されるが、ピストンロッド4がピストン6の車体側と車輪側に両方に起立して液圧緩衝器Dが両ロッド型に設定されるとしてもよい。
【0049】
また、作動液注入時に液室Pに残留した気体や、作動液中に溶けていた気体が析出してできた気泡は液室Pを上側に移動するので、液圧緩衝器Dが正立型に設定される場合には、液室Pの上端に位置する伸側室p1の上端に気体が集まることになる。上記構成によれば、第二注入部4fを備えることで、液圧緩衝器Dの作動時にロッドガイド側(図1〜3中上側)からシリンダ3内の作動液をシリンダ3外に逃がす(リリーフする)ことができるので、リリーフ時に作動液とともに伸側室p1に溜まった気体も排出することができ、伸側減衰力の発生に遅れが生じることを抑制することができる。さらに、上記構成によれば、フリーピストン5を液室側に附勢することで、液室Pを加圧して減衰力発生応答性を良好にすることができる。
【0050】
また、本実施の形態において、液圧緩衝器Dは、車体と車輪との間に介装されており、車輪側に連結されるシリンダ3と、このシリンダ3内に形成されて作動液が充填される液室Pと、上記シリンダ3に固定され上記液室Pの車体側を塞ぐ環状のロッドガイド30と、車体側に連結されて上記ロッドガイド30の軸心部を貫通し上記シリンダ3に出入りするピストンロッド4と、このピストンロッド4に保持されて上記液室Pを伸側室p1と圧側室p2に区画するピストン6と、上記ロッドガイド30の内周に嵌合されて上記ピストンロッド4を軸方向に移動自在に軸支する環状のブッシュB3とを備えており、上記ピストンロッド4は、上記ブッシュB3に摺接する柱状の摺動軸部4eと、この摺動軸部3eの反ピストン側でダンパストローク範囲A外に設けられる作動液注入用の第一注入部4dとを備えている。
【0051】
上記構成によれば、液圧緩衝器Dの組み立て時に第一注入部4dをブッシュB3やシール部材C1と対向させて、ブッシュB3と第一注入部4dの間や、シール部材C1と第一注入部4dの間からシリンダ3内へ作動液を注入することができる。したがって、液圧緩衝器Dを正立型に設定した場合であっても、緩衝器本体Tにシリンダ3を組み付けた後にシリンダ3内へ作動液を容易に注入することが可能となる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【符号の説明】
【0053】
A ダンパストローク範囲
a1,a2 スロープ部
B3 ブッシュ
C1 シール部材
D 液圧緩衝器
P 液室
p1 伸側室
p2 圧側室
3 シリンダ
4 ピストンロッド
4c 取り付け部
4d 第一注入部
4e 摺動軸部
4f 第二注入部
5 フリーピストン
6 ピストン
30 ロッドガイド
30a 挿入部
30b 突出部
30d 横孔
34 オイルロックケース
40 オイルロックピース
図1
図2
図3
図4