(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の成膜装置であって、前記プロセスチャンバ支持部は、前記第1及び第2プロセスチャンバがそれぞれ退避位置から前後方向について同じ側に移動するのを許容するように支持する、成膜装置。
請求項2記載の成膜装置であって、前記プロセスチャンバ支持部は、前記第1及び第2プロセスチャンバの少なくとも一方のプロセスチャンバが他方のプロセスチャンバの前後方向の寸法よりも大きな距離で前記メインチャンバから前後方向に離れるように移動するのを許容するように当該第1及び第2プロセスチャンバを支持する、成膜装置。
請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置であって、前記メインチャンバの案内ローラ収容部は前記案内ローラを上方に開放する上側開口を有し、前記成膜装置は、前記成膜ユニットの前後方向の少なくとも一方の側に配置されて前記上側開口を通じての作業の足場を形成する足場ユニットをさらに備える、成膜装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の従来装置では、下部チャンバの左右の扉の外側にそれぞれ十分な作業スペースを確保する必要があり、当該下部チャンバの左右に隣接する位置に他のユニットを配置することができないことから、前記下部チャンバのさらに上側に上部チャンバを設置してこの上部チャンバ内に、成膜ローラの上流側に配置されるべき巻出しユニット、脱ガスユニット、及び成膜ローラの下流側に配置されるべき巻取りユニットを収容しなければならない。このことは、装置全体の組立作業の煩雑化やメンテナンス作業の困難化を招く。具体的に、前記装置を組立てるにあたっては、ホイスト等を用いて大重量の上部チャンバを吊り上げた状態でその下方に下部チャンバを設置するといった大掛かりな作業が必要であり、また、このように上部チャンバを吊り上げた状態で上下チャンバと上部チャンバと結合する作業も容易でない。また、上部チャンバ内の各部品の交換やメンテナンスにあたっては、作業員が前記下部チャンバよりも上方の高い位置まで登って作業を行わなければならず、また、その作業のための足場の確保や安全性の保証のための設備コストの増大は免れ得ない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、成膜ユニットを含む複数のユニットを備えた成膜装置であって、これらのユニットを上下に重ねることなく配置しながら、前記成膜ユニットに装備される各成膜プロセス用機器の交換やメンテナンスのための作業スペースを広く確保することが可能なものを提供することを目的とする。
【0009】
本発明が提供する成膜装置は、特定方向に延びる帯状の被成膜材をその長手方向に搬送しながら当該被成膜材の表面に成膜を施すものであって、成膜ユニットと、この成膜ユニットよりも前記被成膜材の搬送方向の上流側に配置される上流側ユニットと、前記成膜ユニットよりも前記被成膜材の搬送方向下流側に配置される下流側ユニットと、を備える。前記成膜ユニットは、水平な回転中心軸回りに回転可能な成膜ローラと、この成膜ローラの周囲に配置される複数の成膜プロセス用機器と、前記上流側ユニット及び前記下流側ユニットと前記成膜ローラとの間で前記被成膜材の案内を行うように配置される複数の案内ローラと、前記成膜ローラを収容する成膜ローラ収容部及びその上側に位置して前記案内ローラの少なくとも一部を収容する案内ローラ収容部を一体に有するメインチャンバと、前記成膜ローラの中心軸の方向と直交する左右方向について前記成膜ローラ収容部の両側にそれぞれ配置され、前記成膜プロセス用機器の少なくとも一部をそれぞれ収容する第1プロセスチャンバ及び第2プロセスチャンバと、これら第1及び第2プロセスチャンバを支持するプロセスチャンバ支持部と、を有し、前記成膜ローラ収容部は、前記成膜ローラの左右方向の両側に位置する左右の第1チャンバ側面を有し、これらの第1チャンバ側面に当該成膜ローラ収容部の内外を連通する開口が形成され、前記案内ローラ収容部は、前記成膜ローラ収容部の両第1チャンバ側面よりも前記左右方向の両側に延びる部分を有し、これらの部分が前記上流側ユニット及び前記下流側ユニットにそれぞれ接続される第2チャンバ側面を有し、前記第1及び第2プロセスチャンバは、前記成膜ローラ収容部の左右の第1チャンバ側面の両外側にそれぞれ配置され、当該第1のチャンバ側面に向かって開口する形状を有し、前記プロセスチャンバ支持部は、前記第1及び第2プロセスチャンバを、当該プロセスチャンバが前記成膜ローラ収容部の開口を覆って前記メインチャンバとともに成膜空間を形成する正規位置とこの正規位置から前記上流側ユニット及び前記下流側ユニットよりも内側の範囲内で左右方向の外側に退避する退避位置との間で移動可能に支持するとともに、当該退避位置とこの退避位置から前記成膜ローラの回転中心軸と平行な方向である前後方向に離れた位置であって前記プロセスチャンバの内部が露出する露出位置との間で移動可能となるように支持する。
【0010】
なお、本発明にいう「水平」とは厳格に規定されるものではなく、完全な水平面に対して多少傾斜する方向も含む概念である。
【0011】
この成膜装置によれば、成膜ユニットに対して上流側ユニット及び下流側ユニットを(成膜ユニットの上側)ではなく成膜ユニットの左右両側に配置しながら、成膜ユニットに含まれる各機器、例えば成膜ローラや成膜プロセス用容器のメンテナンスや交換の作業に必要なスペースを十分に確保することが可能である。
【0012】
具体的に、この装置では、成膜ユニットを構成するチャンバが成膜ローラ収容部及び案内ローラ収容部を一体に有するメインチャンバと第1及び第2プロセスチャンバとに分割されるとともに、第1及び第2プロセスチャンバは、成膜のための正規位置からその左右方向の外側に退避する退避位置と当該第1及び第2プロセスチャンバの内部が露出する露出位置との間で前後方向に移動可能であるから、当該第1及び第2プロセスチャンバをそれぞれ前記露出位置すなわち前記メインチャンバ及び上流側・下流側ユニットから前後方向に離れた位置に移動させることで、当該第1及び第2プロセスチャンバに収容される各成膜プロセス用機器のメンテナンス作業や交換作業(例えばターゲットやシールド板の交換作業、清掃作業)を行うことができるとともに、前記成膜ローラ収容部に係る作業(例えば当該成膜ローラ収容部に収容されている成膜ローラなどの清掃やメンテナンスの作業や成膜用マスク等の交換作業)を前記第1チャンバ側面の開口を通じて行うことができ、かつ、これらの作業のためのスペースを十分に確保することができる。
【0013】
一方、前記正規位置から前記退避位置への左右方向のプロセスチャンバの移動量は、当該退避位置から前記露出位置への前後方向の移動を可能にする程度(つまりその前後方向の移動の際に当該プロセスチャンバと成膜ローラ等との干渉を回避できる程度)の小さなものでよいので、このプロセスチャンバと前記上流側及び下流側ユニットとの干渉を回避しながらこれら上流側及び下流側ユニットを前記成膜ユニットに対して左右方向の両側に隣接する位置に配置することが可能である。
【0014】
従って、この装置によれば、成膜ユニット並びにその上流側及び下流側ユニットを左右方向にコンパクトに配置しながら、当該成膜ユニットの前後方向のスペースを有効に活用して、当該成膜ユニットに含まれる各機器のメンテナンスや交換に要する作業スペースを十分に確保することが可能である。
【0015】
また、前記成膜ユニットを構成するチャンバが前記メインチャンバと前記第1及び第2プロセスチャンバとに分割されることは、当該チャンバが重量や形状、大きさに係る輸送制限をクリアすることを容易にする。
【0016】
ここで、前記プロセスチャンバ支持部は、前記第1及び第2プロセスチャンバがそれぞれ退避位置から前後方向について同じ側に移動するのを許容するように支持することが、好ましい。このように、第1及び第2プロセスチャンバが前後方向について同じ側に移動すること、つまり、各第1及び第2プロセスチャンバの露出位置が前後方向について同じ側にあることは、これらのプロセスチャンバに収容される成膜プロセス用機器のメンテナンスなどのために必要な設備やその移動のための空間を前後方向について同じ側に集中させることができる。このことは、装置全体の占有スペースを減らし、また、前記メンテナンス等の作業の効率を高めることを可能にする。
【0017】
この場合、前記プロセスチャンバ支持部は、前記第1及び第2プロセスチャンバの少なくとも一方のプロセスチャンバが他方のプロセスチャンバの前後方向の寸法よりも大きな距離で前記メインチャンバから前後方向に離れるように移動するのを許容するように当該第1及び第2プロセスチャンバを支持することが、好ましい。このことは、両プロセスチャンバがそれぞれの退避位置から同時に且つ前後方向の同じ側に移動し、かつ、これらのプロセスチャンバが互いに左右方向に重ならないように位置すること、つまり、前記第1及び第2プロセスチャンバの一方のプロセスチャンバが前後方向について他方のプロセスチャンバの位置を完全に超えるまで移動することを可能にする。この配置によれば、第1及び第2プロセスチャンバに対して同時にかつ容易にアクセスできることから、これらに係るメンテナンスなどの作業を、これらのプロセスチャンバが互いに邪魔となることなく同時に効率よく行うことができる。
【0018】
前記プロセスチャンバ支持部は、例えば、前記第1及び第2プロセスチャンバを当該プロセスチャンバが前記正規位置と前記退避位置との間で左右方向に移動可能となるように支持する第1支持部と、この第1支持部を前記プロセスチャンバが前記退避位置と前記露出位置との間で前後方向に移動可能となるように支持する第2支持部と、を含むものが好適である。このプロセスチャンバ支持部は、前記第1支持部及び前記第2支持部の組合せにより、各プロセスチャンバの正規位置から露出位置までの移動を簡素な構造で実現することができる。
【0019】
前記メインチャンバの案内ローラ収容部は当該案内ローラ収容部が収容する各案内ローラを上方に開放する上側開口を有し、前記成膜装置は、前記成膜ユニットの前後方向の少なくとも一方の側に配置されて前記上側開口を通じての作業の足場を形成する足場ユニットをさらに備えることが好ましい。この構成は、前記案内ローラに対して作業員が上からアクセスすること、例えば、前記案内ローラ収容部に係るメンテナンスや被成膜材の通紙等の作業を前記開口を通じて上側から効率よく行うこと、を可能にする。前記上側開口は、好ましくは左右方向に並ぶ複数の位置に形成される。また、前記案内ローラ収容部は、前記上側開口を開閉する蓋(例えば扉)をさらに具備することが、好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、成膜ユニットを含む複数のユニットを備えた成膜装置であって、これらのユニットを上下に重ねることなく配置しながら、前記成膜ユニットに装備される各成膜プロセス用機器の交換やメンテナンスのための作業スペースを広く確保することが可能なものを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示す成膜装置は、例えばプラスチック製のフィルムからなる長尺で帯状の被成膜材10をその長手方向に搬送しながら当該被成膜材10の表面に薄膜を形成するための装置である。この成膜装置は、前記被成膜材10のプロセスの順に、巻出しユニット12と、脱ガスユニット14と、成膜ユニット16と、巻取りユニット18と、を備える。前記ユニット12,14,16,18は前記被成膜材10の搬送方向である水平方向に沿って順に配列されている。この装置では、後述の成膜ローラ70の回転中心軸Xと直交する水平方向(若干傾斜している場合も含む。)が左右方向、当該回転中心軸Xと平行な方向が前後方向にそれぞれ相当し、前記各ユニット12,14,16及び18はその順に左右方向に(
図1では左から右に向かう方向に)配列されている。
【0024】
前記巻出しユニット12は、前記被成膜材10の供給を行うものであり、巻出しロール26と、それぞれ案内ローラとなる複数のフリーローラ28と、供給用空間22を囲む巻出しチャンバ24と、扉30と、を備える。巻出しロール26は、前記巻出しチャンバ24の下部に収容され、当該巻出しロール26に巻き付けられた被成膜材10を当該巻出しロール26の回転によって順次巻き出す。前記各フリーローラ28は、前記巻出しチャンバ24内で前記巻出しロール26の上方に配置され、この巻出しロール26から巻き出される被成膜材10を前記巻出しチャンバ24の上部に設けられた出口32へ案内する。前記巻出しチャンバ24は、前記供給用空間22を当該巻出しチャンバ24の外側に開放する開口を有し、前記扉30は当該開口を開閉するように前記巻出しチャンバ24にヒンジを介して取付けられる。前記開口は、前記巻出しロール26の交換や被成膜材10のいわゆる通紙、その他のメンテナンス作業に利用される。
【0025】
前記脱ガスユニット14は、成膜の前処理工程として、巻き出された被成膜材10を加熱してこれに含まれるガスを当該被成膜材10から分離するものであり、複数のフリーローラ40と、複数枚のプレートヒータ42と、脱ガス用空間34を囲む脱ガスチャンバ36と、この脱ガスチャンバ36の下側に配置される支持フレーム38と、を備え、前記脱ガスチャンバ36内に前記フリーローラ40及びプレートヒータ42が収容される。
【0026】
前記脱ガスチャンバ36は、前記巻出しユニット12の出口32と接続される入口43と、その反対側に位置する出口44と、を有する。前記支持フレーム38は、当該入口43と前記出口32とが合致する高さ位置に前記脱ガスチャンバ36を支持する。前記脱ガスチャンバ36は、上下に位置する天壁45及び底壁46を含み、それぞれにメンテナンス用の開口が形成されるとともに当該開口を開閉するための扉47,48がヒンジを介して取付けられる。前記支持フレーム38は、前記底壁46に設けられた開口からの作業を可能にするために、前記脱ガスチャンバ36の下方に作業者が入り込むことが可能な作業空間50を囲む。
【0027】
前記各フリーローラ40は、前記被成膜材10を前記脱ガスチャンバ36内で上下に搬送しながら前記入口43から前記出口44へ案内するように上下に交互に配置されている。前記各プレートヒータ42は、前記のように上下方向に搬送されながら左右方向に進行する被成膜材10のうち左右方向に互いに隣り合う部分同士の間に立直姿勢で配置され、当該プレートヒータ42自らが発熱することによって前記被成膜材10を加熱し、脱ガス処理を実行する。
【0028】
前記成膜ユニット16は、前記巻出しユニット12から前記脱ガスユニット14を経由して導入される被成膜材10の表面に成膜処理(この実施の形態ではスパッタリング)を施すものであり、その詳細については後に詳述する。
【0029】
前記巻取りユニット18は、前記成膜ユニット16において成膜が施された被成膜材10の巻取りを行うものであり、巻取り用空間52を囲む巻取りチャンバ54と、当該巻取りチャンバ52内に収容される巻取りロール56及び複数のフリーローラ58と、扉60と、を備える。巻取りロール56は、前記巻取りチャンバ54の下部に収容され、当該巻取りローラ56の回転によって、前記成膜ユニット16から導入される被成膜材10を順次巻き取る。前記各フリーローラ58は、前記巻取りロール56の上方に配置され、前記巻取りチャンバ54の上部に設けられた入口62から巻取り用空間52内に導入される被成膜材10を前記巻取りロール56に案内する。前記巻取りチャンバ54は、前記巻取り用空間52を当該巻取りチャンバ54の外側に開放する開口を有し、前記扉60は当該開口を開閉するように前記巻取りチャンバ54にヒンジを介して取付けられる。前記開口は、前記巻取りロール56の交換や被成膜材10のいわゆる通紙、その他のメンテナンス作業に利用される。
【0030】
次に、前記成膜ユニット16の詳細を、
図2〜
図4を併せて参照しながら説明する。
【0031】
前記成膜ユニット16は、メインチャンバ64と、左側プロセスチャンバ(第1プロセスチャンバ)66と、右側プロセスチャンバ(第2プロセスチャンバ)68と、成膜ローラ70と、複数のフリーローラであって左右の補助ローラ71及び複数の案内ローラ72を含むものと、後述のスパッタ源84や圧力分離用隔壁88を含む複数の成膜プロセス用機器と、プロセスチャンバ支持部104を含むチャンバ支持部20と、を備える。
【0032】
前記メインチャンバ64は、成膜ローラ収容部74と案内ローラ収容部76とが一体につながったものであり、その収容物とともにメインチャンバユニットを構成する。当該収容物として、前記成膜ローラ収容部74は、前記成膜ローラ70、前記補助ローラ71、複数の成膜用マスク203、前記圧力分離用隔壁88の一部等を収容し、前記案内ローラ収容部76は、前記案内ローラ72を収容する。
【0033】
前記成膜ローラ収容部74は、左右の第1チャンバ側面77を有し、各側面77にそれぞれ大きな開口80が形成されている。成膜ローラ収容部74の内部空間は前記各開口80を通じて左右プロセスチャンバ66,68の内部空間と連通することが可能である。
【0034】
前記案内ローラ収容部76は前記成膜ローラ収容部74の上側に位置し、かつ、当該成膜ローラ収容部74よりも左右方向すなわち被成膜材10の搬送方向と平行な方向について長い形状を有する。換言すれば、案内ローラ収容部76の左右方向の両端部は前記成膜ローラ収容部74よりも当該方向にはみ出ている。これらの部分の端面は第2チャンバ側面に相当し、これら第2チャンバ側面にそれぞれメインチャンバ64の入口81及び出口82が形成されている。前記チャンバ支持部20は、前記入口81及び出口82がそれぞれ前記脱ガスユニット14の出口44及び前記巻取りユニット18の入口62につながるような高さ位置に前記メインチャンバ64を支持する。
【0035】
図1及び
図2に示されるメインチャンバ64は、全体が一体に形成されたものであるが、本発明はこれに限られない。例えば、製作の都合で、成膜ローラ収容部74と案内ローラ76収容部とがそれぞれ別個に形成されてからこれらが結合されたものでもよい。
【0036】
前記成膜ローラ70は、上述のように装置の前後方向と平行な回転中心軸Xを中心とする円筒状の外周面を有し、この外周面上に前記被成膜材10が巻き付けられるようにセットされた状態で当該軸X回りに回転可能となるように前記成膜ローラ収容部74に支持される。
【0037】
前記成膜ローラ収容部74に収容される隔壁88は、後述のように前記第1及び第2プロセスチャンバ66,68に収容される隔壁88とともに、成膜ローラ70の周囲の空間を複数の成膜ゾーン204に区画して各成膜ゾーン204の圧力を相互に分離する。また、各成膜用マスク203は、前記成膜ローラ70の外周面の近傍に配置され、被成膜材10のみにスパッタ膜が付着するように付着領域を制限する。
【0038】
前記左右の補助ローラ71は、前記成膜ローラ70の直上方の位置に配設され、前記被成膜材10が前記成膜ローラ70の外周面のうちその上端部分を除く面上に巻き付くように当該被成膜材10を案内する。これらの補助ローラ71は、前記成膜ローラ収容部74ではなく前記案内ローラ収容部76に収容されてもよい。また、各補助ローラ71は被成膜材10の張力を検出する張力検出ローラとして使用されることも可能である。
【0039】
前記案内ローラ72は、前記案内ローラ収容部76内で左右方向に並ぶように配列される。これら案内ローラ72の一部は、前記脱ガスユニット14から前記成膜ローラ70へ被成膜材10を案内するように配置され、残りは前記成膜ローラ70から前記巻取りユニット18へ被成膜材10を案内するように配置される。これらの案内ローラ72には、駆動式の水冷ローラが含まれていてもよい。
【0040】
なお、この成膜装置に含まれる前記のローラ類はいずれも前記成膜ローラ70の回転中心軸Xと平行な軸(すなわち装置の前後方向に延びる軸)回りに回転可能に配置され、前記被成膜材10はこれらの軸と直交する方向に搬送される。
【0041】
前記左右のプロセスチャンバ66,68は、前記成膜ローラ収容部74の左右側壁77に設けられた開口80を左右両外側から塞ぐように配置されるとともに、前記成膜ローラ収容部74と協働して前記成膜ローラ70の周囲に成膜用の空間、すなわち前記隔壁88により区画された複数の成膜ゾーン204を形成する。各プロセスチャンバ66,68は、前記成膜プロセス用機器の少なくとも一部を収容し、その収容物とともに、前記メインチャンバユニットに対して移動可能なプロセスチャンバユニットを構成する。各成膜プロセス用機器は、前記成膜ローラ70の外周面に沿って配設され、当該成膜ローラ70の外周面上をその回転方向に移動する被成膜材10に対して成膜プロセスを実行する。
【0042】
この実施の形態に係るプロセスチャンバ66,68が収容する成膜プロセス用機器には、複数のスパッタ源84、複数のターボ分子ポンプ86、前記複数の隔壁88の一部、図示されないコールドトラップなどが含まれる。前記各スパッタ源84は、スパッタリングのためのターゲット85を保持するとともに、成膜ユニット16内の複数の位置に設けられた隔壁88によりそれぞれ囲まれた成膜ゾーン204内にそれぞれ配置され、アルゴンガスなどの所定の雰囲気中で高電圧の印加を受けることにより、前記ターゲット85の一部を成膜用マスクを介して成膜ローラ70の外周面上の被成膜材10の表面にスパッタリングする。各ターボ分子ポンプ86は、前記プロセスチャンバ66,68内の排気を行うように作動する。
【0043】
前記各プロセスチャンバ66,68は、内向きに開口する形状、すなわち前記成膜ローラ70に向かって開口する箱状をなす。具体的に、各プロセスチャンバ66,68は、左右両外側にそれぞれ位置する外側壁90と、この外側壁90の周縁から内向きに延びる周壁92と、を有する。
【0044】
各プロセスチャンバ66,68は、後に詳述するチャンバ支持部20に支持されながら、
図1〜
図3に示す正規位置と、
図4に示す退避位置との間で移動することが許容されている。前記正規位置は、各プロセスチャンバ66,68が前記開口80を塞ぐ(この実施の形態では各プロセスチャンバ66,68の周壁92の内側端面が前記開口80の周囲に配設されたシール部材79(
図3)を挟んで密着する)ことにより成膜ローラ収容部74の内部を密閉し、当該成膜ローラ収容部74と協働して複数の成膜ゾーン204を形成する。
【0045】
前記退避位置は前記プロセスチャンバ66,68がそれぞれ前記正規位置から左右方向の外側に僅かなストロークで退避した位置であり、この位置から当該プロセスチャンバ66,68が前後方向に移動する場合に当該プロセスチャンバ66,68と前記成膜ローラ70との干渉を回避できる位置である。前記正規位置から前記退避位置までのストロークは、当該退避位置から成膜ローラ70と干渉することなくプロセスチャンバ66,68が前後方向に移動することを可能にする程度に大きく設定され、かつ、当該退避位置において各プロセスチャンバ66,68と左右両外側にそれぞれ隣接するユニット(この実施の形態では上流側ユニットである脱ガスユニット14及び下流側ユニットである巻取りユニット18)との干渉を回避できる程度に小さく設定されている。
【0046】
この実施の形態では、前記スパッタ源84、前記ターボ分子ポンプ86、及び前記隔壁88のうちの多数はそれぞれ前記プロセスチャンバ66,68の外側壁90に固定され、隔壁88の残りは前記成膜ローラ収容部74の底壁に固定されている。
【0047】
前記案内ローラ収容部76は天壁94を有し、この天壁94に、複数の開口(この実施の形態では中央開口95及び左右開口96)が形成されるとともに、各開口95,96をそれぞれ開閉する扉97,98がヒンジを介して取付けられている。前記開口95,96は、前記案内ローラ収容部76に収容される各案内ローラ72を上方に開放することにより、これらの開口95,96を通じて前記各案内ローラ72に対し作業員が上からアクセスすることを可能にする。
【0048】
前記チャンバ支持部20は、地盤上に設置されるベース100と、このベース100上に立設される複数の支柱102と、前記ベース100上に組付けられた、後述のガイドレール110等を含む左右のプロセスチャンバ支持部104と、を有する。前記支柱102は前記成膜ユニット16のうちのメインチャンバ64を静止状態で支持する。前記左右のプロセスチャンバ支持部104は、前記左右のプロセスチャンバ66,68をそれぞれ前記の正規位置とこの正規位置から退避した位置との間で移動可能となるように支持する。
【0049】
前記各プロセスチャンバ支持部104は、第1支持部106と、第2支持部108と、を含む。各第1支持部106は、前記プロセスチャンバ66,68を前記成膜ローラ70の中心軸と直交する左右方向に案内することにより、当該プロセスチャンバ66,68が前記の正規位置すなわち各プロセスチャンバ66,68が前記メインチャンバ64の開口80をそれぞれ塞ぐ位置と、この正規位置から前記左右方向の両外側に退避する退避位置との間で移動するのを許容するように当該プロセスチャンバ66,68をそれぞれ支持する。第2支持部108は、前記各プロセスチャンバ66,68及びこれらを支持する第1支持部106をそれぞれ前記成膜ローラ70の中心軸と平行な前後方向に移動可能に支持することにより、当該プロセスチャンバ66,68が前記各開口80に対向する位置(例えば前記退避位置)と、この位置から前記前後方向(この実施の形態ではいずれも後方)に離れることにより当該プロセスチャンバ66,68の内部が露出する露出位置との間で移動するのを許容する。
【0050】
この実施の形態に係る各第2支持部108は、一対のガイドレール110と一対の走行体112とを有する。前記各ガイドレール110は、前後方向に延びるように前記ベース100上に敷設される。前記各走行体112は前記第1支持部106を下から支持しながら前記各レール110に沿って走行する。具体的に、走行体112は、それぞれのガイドレール110上を転動可能な複数の車輪114と、これらの車輪114を左右方向の軸回りに回転可能に保持する走行台116と、を有し、これらの走行台116上に前記第1支持部106が支持される。各走行体112は、前記車輪114を駆動する自走用モータを搭載してもよいし、当該走行体112の外部に設けられる駆動機構(例えばボールねじ機構)により駆動されてもよい。あるいは人力またはこれを補助する力によって動かされてもよい。
【0051】
前記各第1支持部106は、前後一対のスライド支持部材118と、前記各プロセスチャンバ66,68の底面に固定される複数のスライダ120と、を有する。前記各スライド支持部材118は、左右方向に延び、互いに前後方向に離れた位置で左右の走行台116に跨るようにこれらの走行台116に架設される。各スライダ120は、例えばLMガイドなどからなり、前記スライド支持部材118の長手方向(すなわち装置の左右方向)に沿ってスライド可能となるように当該スライド支持部材118に係合し、これにより、対応するプロセスチャンバ66または68を当該左右方向にスライド可能に支持する。これらプロセスチャンバ66,68のスライドは、例えば当該プロセスチャンバ66,68に連結されるシリンダの前記左右方向の伸縮によって行われてもよいし、作業員による直接的な手動操作で行われてもよい。
【0052】
このように、プロセスチャンバ支持部104は、前記各プロセスチャンバ66,68が前記正規位置(
図1及び
図2に示す成膜用位置)と、前記露出位置(
図3及び
図4に示すように当該プロセスチャンバ66,68がメインチャンバ64から完全に後方に離れて当該プロセスチャンバ66,68の内部が露出する位置)との間で移動するのを許容する。
【0053】
前記露出位置は、成膜ユニット16のメンテナンス等のための位置であり、必ずしも一定の位置に特定される必要はない。好ましくは、前記第1及び第2プロセスチャンバ66,68の少なくとも一方のプロセスチャンバが他方のプロセスチャンバの前後方向の寸法よりも大きな距離で前記メインチャンバ64から前後方向に離れることができるように当該プロセスチャンバの移動ストロークが設定されることが、好ましい。
図3及び
図4に示す例では、双方のプロセスチャンバ66,68がこれらプロセスチャンバ66,68の前後方向の寸法を越える距離で前記メインチャンバ64から離れることが可能となるように、換言すれば、例えば
図3及び
図4に示すように双方のプロセスチャンバ66,68が同時にメインチャンバ64から離れかつ互いに左右方向に重ならないような配置をとることができるように、それぞれのストロークが十分大きく設定されている。
【0054】
この実施の形態に係る成膜装置は、以上の構成要素の他、
図4に示す左右の電源盤121,122、左右の制御盤123,124、左右の可動配線収容部125,126、複数の粗引ポンプ128、成膜ローラ温度調節ユニット130といった付属設備を備え、これらはいずれも前記成膜ユニット16の後方の領域、つまり前記両プロセスチャンバ66,68の露出位置が存在する側の領域に配置されている。
【0055】
各電源盤121,122及び制御盤123,124は前記成膜ユニット16内の適当な機器に接続される。前記粗引ポンプ128は図示しない粗引き配管を通じて前記成膜ユニット16のターボ分子ポンプ86に接続される。この実施の形態では、正規位置に向かって閉方向に動作するプロセスチャンバ66,68がメインチャンバ64と連結される際に粗引き配管同士も連結される構造となっている。前記成膜ローラ温度調節ユニット130は、
図3に示される温度調節用配管133を通じて前記成膜ローラ70に接続され、熱媒の循環によって成膜ローラ70の温度を調節する。各可動配線収容部125,126は各プロセスチャンバ66,68とそれぞれ一体に移動するようにこれらに付設され、当該プロセスチャンバ66,68に接続されるべき配管や配線をまとめて収容する。各スパッタ源84の通電は、例えば、プロセスチャンバ66,68の開閉動作に連動して接続がオンオフされる図略のソケット差込み構造によって実現される。前記粗引ポンプ128や成膜ローラ温度調節ユニット130は、
図4に示されるように成膜装置の本体部分の近傍に配置されてもよいし、当該本体部分から離れた別室に設けられてもよい。
【0056】
さらに、この成膜装置は、
図3及び
図4に示すような前側及び後側足場ユニット131,132を備える。これらのユニット131,132は、前記成膜ユニット16及び脱ガスユニット14の前後にそれぞれ足場を形成するもので、適当な高さ位置に配設される踏み板134、踏み板134に対する昇降のための階段136、安全用の柵138などを有する。これらの足場ユニット131,132は、前記メインチャンバ64における案内ローラ収容部76の上側開口である開口95,96を通じてのメインチャンバ64内の通紙や各ローラのメンテナンスの作業を可能にする。
【0057】
図3に示すように、前記成膜ユニット16の後方の空間、すなわち前記各プロセスチャンバ66,68の露出位置が存在する側の空間、の上方には、ホイスト142が設けられている。このホイスト142は、工場の天井フレーム140に当該天井フレーム140に沿って水平方向(少なくとも左右方向)に移動可能となるように取付けられ、フック144を介して比較的大きな重量(例えば40〜50kg程度)のターゲット85などの吊り上げを行う。この実施の形態では、
図3及び
図4に示される第1プロセスチャンバ66が存在する位置、すなわち、プロセスチャンバがフルストロークで後退する位置(
図3及び
図4に示される第2プロセスチャンバ68が存在する位置)とメインチャンバ64との間の中間位置の上方に前記ホイスト142が左右方向に移動可能となるように設置され、この中間位置で前記ホイスト142を用いたターゲット85等の引き上げ及び搬送作業が行われる。この作業について、前記ベース100は足場としても機能する。当該ベース100に加えて適宜
図4に示すような足場用の踏み台146,148が追加されることも可能である。
【0058】
次に、この成膜装置の作用について説明する。
【0059】
まず、成膜を行うにあたっては、成膜ユニット16の各プロセスチャンバ66,68が
図1及び
図2に示される正規位置、すなわちこれらのプロセスチャンバ66,68がメインチャンバ64の成膜ローラ収容部74の左右開口を塞いで当該成膜ローラ収容部74ととともに成膜空間を形成する位置、にセットされる。この状態で、被成膜材10は巻出しユニット12、脱ガスユニット14、成膜ユニット16及び巻取りユニット18の順に左右方向に搬送され、成膜ユニット16では前記被成膜材10の表面に対する成膜処理が実行される。この成膜処理は、成膜ローラ70と、その周囲に配設される成膜プロセス用機器(具体的にはプロセスチャンバ66,68に収容されるスパッタ源84、ターボ分子ポンプ86や、成膜ローラ収容部74に収容される成膜用マスク203等)により、実行される。
【0060】
成膜ユニット16に係る部品の交換やメンテナンスの際は、当該成膜ユニット16に含まれるメインチャンバユニットすなわちメインチャンバ64及びその収容物からなるユニットを残して左右のプロセスチャンバユニットすなわちプロセスチャンバ66,68及びその収容物からなるユニットを前記正規位置から例えば
図3及び
図4に示す露出位置まで移動させることが行われる。この移動は、前記各プロセスチャンバ66,68を前記正規位置から第1支持部108のスライド支持部材112に沿って左右両外側に僅かに離れた退避位置まで移動させることと、この退避位置から第2支持部106のガイドレール110に沿って前後方向(この実施の形態では後方)に十分な距離だけ移動させること、つまりそのプロセスチャンバ66,68の内部が完全に露出する露出位置まで移動させること、とにより実現される。この状態で、その移動したプロセスチャンバユニットに係る作業すなわちプロセスチャンバの内部の成膜プロセス用機器に係る作業、例えばスパッタ源84が保持するターゲット85の交換や隔壁88の清掃作業が可能であるとともに、当該プロセスチャンバの移動により開放されたメインチャンバ64の開口80を通じてメインチャンバユニットに係る作業、例えばバッチ毎の成膜用マスク203の交換、成膜ローラ70や補助ローラ71の清掃、等が可能である。
【0061】
かかる作業は左右のプロセスチャンバ66,68について順に行われてもよいが、これらのプロセスチャンバ66,68を同時に露出位置まで移動させることにより、作業効率はさらに高まる。しかも、プロセスチャンバ66,68の移動ストロークが十分大きく設定されていれば、例えば
図3及び
図4に示すように、一方のプロセスチャンバ(
図3及び
図4では左側プロセスチャンバ66)は最後方位置まで移動させ、他方のプロセスチャンバ(
図3及び
図4では右側プロセスチャンバ68)は前記一方のプロセスチャンバとメインチャンバ64との間の位置であってこれらのチャンバと左右方向に重ならない(つまり互いに邪魔とならない)中間位置に移動させることにより、双方のプロセスチャンバ66,68について十分に大きな作業スペースを確保することができる。
【0062】
例えば、
図3及び
図4に示す配置では、中間位置に存在する右側プロセスチャンバ68に対して作業員は破線L1に示す経路で装置の左側からアクセスすることが可能であり、ひだ当該中間位置に設けられているホイスト142を用いて同経路に沿ってターゲット85等の搬入及び搬出を行うことができる。この搬入・搬出物は、例えば図略の台車を用いて成膜装置の遠方の箇所と
図4に示す踏み台146との間で移送することが可能である。また、これと逆の経路で左側プロセスチャンバ66、つまり右側プロセスチャンバ68を完全に越える位置までメインチャンバ64から離れているプロセスチャンバについても、同様にメンテナンス等の作業を行うこともできる。具体的に、作業員は、例えば
図4に示される状態では、破線L3で示される経路で左側プロセスチャンバ66にアクセスすることが可能である。さらに、プロセスチャンバ66,68の移動によって開放されたメインチャンバ64の開口80を通じて
図4に破線L2に示す経路で成膜用マスク203などの搬出入を行うことが可能である。また、左右のプロセスチャンバ66,68を
図4に示される配置とは逆に配置することで、例えば破線L4に示される経路で反対側のマスク203などの搬出入を行うこともできる。さらに、装置正面側から例えば破線L5,L6に示される経路で成膜用マスク203の搬出入を行うことも可能である。
【0063】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。
【0064】
例えば、前記各プロセスチャンバ66,68の前後方向についての移動の向きは、互いに逆向きに設定されてもよい。例えば左側プロセスチャンバ66は前側、右側プロセスチャンバ68は前側に移動するようにガイドレール110が敷設されてもよい。しかし、両プロセスチャンバ66,68の移動の向きを統一すること、例えば
図3及び
図4に示すようにいずれも後ろ側に設定することは、装置全体の占有スペースの大幅な削減を可能にし、また、各プロセスチャンバ66,68についてのメンテナンス等の作業の効率をより高めることを可能にする。
【0065】
本発明に係る装置は複数の成膜ユニット16を含んでもよい。この場合、これらの成膜ユニット16は例えば
図1及び
図2に示す左右方向に並ぶように配置されてもよい。
【0066】
また、本発明に係る上流側ユニット及び下流側ユニットも具体的に限定されない。
図1〜
図4に示す実施の形態では、成膜ユニット16を基準にして、脱ガスユニット14が上流側ユニットに相当し、巻取りユニット18が下流側ユニットに相当するが、脱ガスユニット14が省略される場合には巻出しユニット12が上流側ユニットに相当する可能性がある。逆に、成膜後の処理を行う後処理ユニットが存在する場合には、当該後処理ユニットが下流側ユニットに相当する可能性がある。
【0067】
上流側及び下流側ユニットがどのようなユニットであっても、本発明は、これらのユニットを成膜ユニットの上側に配置することなくその左右両側にコンパクトに配置しながら、かつ、メンテナンス等のための十分な作業スペースを確保するという効果を奏する。具体的に、本発明では、成膜ユニットを構成するプロセスチャンバがその正規位置から退避位置まで左右方向に移動する必要があるが、この退避位置は当該プロセスチャンバの前後方向の移動に伴う当該プロセスチャンバと成膜ローラ等との干渉を回避できる程度に正規位置から僅かに離れる位置であれば十分であり、よって当該成膜ユニットの左右両側に隣接する位置に前記上流側及び下流側ユニットを配置することが可能である。しかも、前記退避位置から露出位置まで前記プロセスチャンバを前後方向に大きく移動させることにより、当該プロセスチャンバ及び残されたメインチャンバの双方についてメンテナンス等の作業を支障なく行うことができる。