特許第5969965号(P5969965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969965
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】コーティング済みペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/40 20160101AFI20160804BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20160804BHJP
【FI】
   A23K50/40
   A23K40/30 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-168918(P2013-168918)
(22)【出願日】2013年8月15日
(62)【分割の表示】特願2006-539606(P2006-539606)の分割
【原出願日】2004年11月3日
(65)【公開番号】特開2013-255509(P2013-255509A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】60/516,914
(32)【優先日】2003年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(72)【発明者】
【氏名】シェルル,デイル・エス
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,チャドウィック・イー
(72)【発明者】
【氏名】キイト,フェルナンド
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4822626(US,A)
【文献】 特開平10−191916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 − 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益な試剤が存在する物理的に安定なフィルムでコーティングした物理的に個別のペットフード経口摂取組成物を含む組成物であって、前記フィルムはポリマーマトリックスを含み、当該フィルムはa)有益な試剤が有益な効果を生じる際に有効であるペットにおける部位に前記有益な試剤を運ぶことができるか、または、b)前記有益な試剤が有益な効果を生じる際に有効である前記ペットにおける部位に前記有益な試剤が移動するにつれて、前記有益な試剤を口または消化管へと放出することができ、
有益な試剤を薬剤、プレバイオティックおよびプロバイオティックから選択する
前記組成物。
【請求項2】
前記マトリックスは、有益な試剤が有益な効果を生じる際に有効である前記ペットにおける部位に前記有益な試剤を運ぶことができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フィルムは前記ペットの口腔中で急速に溶解する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーは、ゼイン、カゼイン、デンプン、セルロース、ガム、ゼラチン及びデンプン/合成ポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有益な試剤は、胃、小腸または大腸中に吸収される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記有益な試剤は物質でコーティングされ、該物質は、前記有益な試剤が前記ペットの消化管において吸収されるべき箇所に到達するまでその健全性を維持する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記有益な試剤は物質でコーティングされ、該物質は、前記有益な試剤が吸収されるべき部位の前の前記消化管における箇所までその健全性を保持する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
ペットにおいて有益な効果を得る方法であって、前記ペットに請求項1に記載の組成物を経口投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2003年11月3日に出願した米国仮出願第60/516,914号の非暫定であり
、全ての目的で、その内容は、本明細書において参考のためにその全体を引用される。
【背景技術】
【0002】
ペットフード組成物は、ペットが消費するのに十分においしくなければならない。その
通常の栄養価以外に、ペットフード組成物は、消費された後にペットに有益な試剤(bene
ficial agent)の例えば薬剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス及びその他同様
なものを供給するという試みにおいて使用されてきた。こうしたものは、しばしば、ペッ
トフード中、例えば外側シェルによって囲繞される特殊な組織化中心コア(textured cen
ter core)を有する“2種一体化(two-in-one)”キブル中に覆い隠されるかまたは隠さ
れており、ここでは中心コアが有益な試剤(benefit agent)を担う。
【0003】
本願発明者らは最近、個別のペットフード組成物の例えばキブル、固体、トリート若し
くは栄養補助剤の外側部分または缶入りフードである“チャンク及びグレービー”食中の
“チャンク”さえも、有益な試剤のためのキャリアとして利用できるという異なるタイプ
の技術を発見した。しかしながら、有益な試剤は、ペットフード組成物の個別の部分の表
面に直接には施用されない。むしろ、有益な試剤は、物理的に安定であり、ペットフード
組成物の物理的に個別の部分の表面に絞り出すことができるフィルムのマトリックス状の
固体表面に供給される。1具体例においては、このフィルムは、口腔中、特に唾液の存在
下で急速に溶解するポリマーである。さらなる具体例においては、フィルムは、有益な試
剤が有効となり得る部位の例えば胃、小腸または大腸に送達されるまで無傷かまたはほぼ
無傷のままでいる材料である。なおさらなる具体例においては、薄いフィルムは急速にま
たはかなり急速に溶解するが、有益な試剤は、有益な試剤をさらに消化管の例えば小腸ま
たは大腸へと運ぶことを可能にする異なる成分でコーティングでき、消化管において、コ
ーティングは、存在する場合、有益な試剤の活性を得るために有益な試剤を溶解させ、放
出する。
【発明の開示】
【0004】
本発明によれば、物理的に安定なフィルムでコーティングした物理的に個別のペットフ
ード経口摂取組成物を含み、フィルムは、a)有益な試剤が有益な効果を生じる際に有効
であるペットにおける部位に有益な試剤を運ぶことができる(または運ぶためのものであ
る)か、または、b)有益な試剤が有益な効果を生じる際に有効であるペットにおける部
位に有益な試剤が移動するにつれて、有益な試剤を口または消化管へと放出することがで
きる(または放出するためのものである)成分を含む、組成物が存在する。
【0005】
本発明のさらなる態様は、物理的に個別のペットフード組成物から発生し、該フード組
成物のおいしさにマイナスに影響する1種以上の臭気を抑制する方法であって、物理的に
個別のペットフード組成物を、ペットの口腔中で急速に溶解する物理的に安定な臭気抑制
フィルムでコーティングすることを含む方法である。
【0006】
本発明のなおさらなる態様は、組成物が、フィルム及び/またはその中の試剤が理由と
なって延長された寿命を有することである。フィルム及び/またはその中の試剤は、例え
ば酸化及び/または細菌増殖から保護する仕方で組成物を保護し、それによって組成物の
貯蔵寿命を長くする。本発明の上述した態様及び他の態様は、本発明をさらに説明するに
つれて当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施する際に用いることができるペットフード組成物は、ペットフードの通常
の物理的に個別の部分である。例えば、こうしたものは、キブル、ビッツ、任意の他の個
別の材料、固体トリート、栄養補助剤及びその他同様なものを含むドライペットフード、
並びにチャンク及びグレービーウエット食中の“チャンク”さえも含み、フード加工中に
チャンクに適切に施用でき、容器の液体環境中で安定なままであるフィルムとなる。
【0008】
表面をコーティングすることは、個別の粒子の表面の少なくとも十分な部分をフィルム
で被覆し、それによって所望の効果を実現することを意味する。全表面をコーティングす
る必要はない。有益な試剤を送達するような特定の態様の場合、コーティング済み表面は
、最小で表面積の約10%のみ、好ましくは約20%であることが必要である。しかしな
がら、粒子の悪臭を弱めるために、表面積のかなりの部分をコーティングすべきであり、
これは例えば少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、最も好ましくは95
〜100%である。
【0009】
物理的に個別のペットフードの表面にポリマーを施用するプロセスは、フィルムを物体
に施用する際に有効であることが周知の任意の一般的な手順によって行うことができる。
こうした手順は、キャスティング、噴霧、グラフト化スパッタリング、フローイング、カ
レンダー法、押出し及びその他同様なものを含む。これは、ペットフード組成物を切断し
て物理的に個別の部分にする前にペットフード組成物に行うことができるが、好ましくは
物理的に個別の部分を形成した後に行い、それによって粒子全体の表面に均一に分布する
ことを確実にする(そのように希望すれば)。
【0010】
ペットフードをコーティングする際に使用する化学薬品は、その施用のプロセスの間中
物理的に安定であるべきであり、また、任意のさらなる加工工程にさらされる間ペットフ
ード組成物表面でのその寿命の間安定であるべきであるポリマーである。これは、表面、
それ自体またはその環境に対して本質的に化学的に不活性のままであるべきであるが、系
におけるその機能が著しく損なわれない限りはある程度反応性があり得る。ペットの口腔
及び消化管との適合性もまたあるはずである。こうしたポリマーの例としては、ゼイン、
カゼイン、デンプン、セルロース、ガム、ゼラチン、デンプン/合成ポリマー、例えばデ
ンプン/低密度ポリエチレン、及びその他同様なものが挙げられる。ポリマーは、好まし
くは、口腔中、特に唾液の存在下で急速に解離する特性を有する。コーティングの厚さは
さほど重要ではない。これは、フィルムの機能を維持する限りは約1から約2000ミク
ロン、または約2から約1000ミクロンまで変化し得る。
【0011】
フィルムは、中に有益な試剤を有しないかまたはフィルムマトリックス内部の有益な試
剤を有する個別の粒子の表面に存在し得る。有益な試剤は、フィルム内部に完全に可溶か
またはフィルムマトリックス内部に部分的に可溶とすることができ、残りはその中に懸濁
する。マトリックスが急速に溶解する場合には、約1〜10、好ましくは約1〜5、より
好ましくは約1〜2秒となり得る。口腔及びその中の唾液にさらされた後には、こうした
時間は、ペットの口腔中でのペットフードの通常の滞留時間以内である。フィルムは溶解
して、口腔中またはさらに消化管中での作用のために有益な試剤を放出し、適切な場合全
身性吸収を含み、これは特定の有益な試剤に依存する。
【0012】
フィルムが口腔中で急速に溶解することが重要でない場合、他のフィルム成分、例えば
PVA、多糖、及びPE−デンプンを用いることができる。こうした材料は溶解するのが
より遅く、消化管、例えば胃または小腸をさらに下りながら有益な試剤(存在する場合に
は)を放出することができる。加えて、有益な試剤を環境から保護することが必要な場合
には、これは有効に放出される箇所に到達するべきである。有益な試剤は、フィルム製造
成分中に取り入れられる前に“コーティングされる”ことができる。このようなコーティ
ングの例は、腸溶コーティングの例えば多糖、セルロース、メタクリレート、及び市販の
コーティングの例えばユードラジットTM(EudragitTM)である。
有益な試剤の例は、以下のものを含む。
タンパク質:酵素、微生物、免疫グロブリン、免疫調節剤
多糖:デンプン、セルロース、ガム、抽出物

脂質:リン脂質、脂肪酸
ポリペプチド:ゼラチン
ミネラル/ビタミン
着香剤
ポリマー複合体:デンプン/(合成ポリマー)[例えばデンプン−LDPE](低密度ポ
リエチレン)
活性物質(actives)−任意の数の成分によって定義することが可能である
薬剤:抗菌剤、抗炎症剤、プレバイオティクス、ホルモン、及びその他同様なもの
外部寄生虫駆除薬
ボタニアル/抽出物
抗真菌薬
上記に示すように、施用において使用される有益な試剤は、これを摂取する哺乳類にと
って利益を提供できる任意の材料である。
【0013】
下記のものは本発明の実施例である。
【実施例】
【0014】
[実施例1]
典型的な食餌は押出され、切断されてキブルになる。これを18〜15℃に冷却する。
次にこれにデンプンの例えばコーンスターチを噴霧して、表面を被覆するか、またはほぼ
(95〜100%)被覆するコーティングを提供する。このようなコーティングは、キブ
ルからの任意の悪臭の例えば魚油を抑制することができ、それによってキブルのおいしさ
を増大させる。コーティングは、キブルを食するペットの例えば犬または猫の口腔中で急
速に溶解する。
[実施例2]
実施例1のキブルに他に、ゼイン、カゼイン、セルロース、ガム、ゼラチン、デンプン
/合成ポリマー及びこれらの混合物からなる群のうちの1つを噴霧し、同様の結果が得ら
れる。
[実施例3]
実施例1及び2のコーティングを、スパッタリング、グラフト化、キャスティング、吹
き付け、押出しまたはカレンダー法のプロセスによって施用する。実施例1と同様の結果
が得られる。
[実施例4]
口中での吸収によって有効となるべき有益な試剤である亜鉛塩は、ゼイン溶液中に懸濁
し、キブル状に切断済みの犬の食餌の表面に噴霧される。食餌は犬によって摂取され、亜
鉛塩はフィルムが溶解した後に口中に放出される。亜鉛塩は今や、口中での活性のために
利用できる。
[実施例5]
胃において不活性化する有益な試剤の例えばプロバイオティクをセルロースでコーティ
ングする。コーティング済みプロバイオティクをカゼイン中に懸濁し、切断されてキブル
にされている犬の食餌の上に噴霧する。食餌は犬によって摂取され、フィルムが溶解した
後にコーティング済みプロバイオティクは口中に放出される。コーティング済みプロバイ
オティクは、消化管を下って小腸に到達するまで進み、ここで、セルロースコーティング
は分解し、プロバイオティクは小腸中に吸収される。