(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)25℃で300センチポアズを超える粘度を有し、25℃で水に不溶であり、かつ1つ以上の非酸性脂肪族アミン化合物から成る0.01質量%〜0.35質量%の水不溶性油;
(b)0.060質量%〜0.35質量%の乳化剤;
(c)親水性希釈剤を含めて99.3〜99.99質量%の水;及び
(d)水酸化ナトリウム
を含む潤滑剤組成物を、コンベヤーの容器接触面の少なくとも1部分又は容器のコンベヤー接触面の少なくとも1部分に適用する工程を含む、コンベヤーに沿って容器の通路を潤滑化する方法であって、
該潤滑剤組成物は、シリコーン材料を含まず、
該潤滑剤組成物を5秒〜6分の期間に亘って適用し、次に30秒〜25分の期間に亘って適用しないというサイクルを少なくとも1回行うことにより、該潤滑剤組成物を適用し、かつ
該潤滑剤組成物を適用しない総時間:該潤滑剤組成物を適用する総時間の比は、2:1〜32:1である、前記方法。
前記非酸性脂肪族アミン化合物は、オレイルジアミノプロパン、ココジアミノプロパン、ラウリルプロピルジアミン、ジメチルラウリルアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記適用する工程は、前記潤滑剤組成物を、50psi以上の高圧、圧縮空気、又は超音波処理のいずれも使用せずに微小潤滑剤噴霧を提供できるノズルを通して、50psi未満の圧力で、10mL/秒未満で、100〜5000μmの液滴サイズを有する液滴として、コンベヤーの容器接触面の少なくとも1部分又は容器のコンベヤー接触面の少なくとも1部分に噴霧する工程を含む、請求項1に記載の方法。
前記組成物は、抗菌剤、色材、発泡防止剤、発泡剤、亀裂防止剤、粘度改質剤、膜形成材料、前記乳化剤以外の界面活性剤、抗酸化剤、帯電防止剤、腐食防止剤、及びそれらの混合物から選択されるアジュバントをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
コンベヤー潤滑剤及び方法
本発明は、高粘度油のエマルションを含むコンベヤー潤滑剤組成物に関する。さらに、本発明は、水不溶性弱両親媒性化合物のエマルションを含むコンベヤー潤滑剤組成物に関する。また、本発明は、そのような潤滑剤組成物の利用法に関する。幾つかの実施形態では、その方法は、非励起ノズルによって、本潤滑剤組成物をコンベヤーに適用する工程を含む。幾つかの実施形態では、その方法は、「半乾燥」形態で潤滑剤組成物をコンベヤーに適用する工程を含む。幾つかの実施形態では、潤滑剤エマルション濃縮体:水の比が約1:30〜約1:1000である潤滑剤使用溶液を形成するために、高粘度油を含む潤滑剤エマルション濃縮体は、水で希釈される。
【0011】
理論に拘束されるものではないが、弱両親媒性基は、表面に対する油の親和性を向上させて、潤滑に役立つという傾向があると考えられる。液体中における複数の親水性基の間での会合性複合体の形成は、弱両親媒性化合物を含む液体の粘度を効果的に増加させるであろう。また、弱両親媒性化合物を含む液体における親水性部分と疎水性部分の間の相互作用は、せん断により分断されるであろう。それ故に、弱両親媒性化合物を含む液体は、比較的高い粘度、及びずり速度に応じて変化する粘度により特徴付けられるであろう。ずり速度に応じて異なる粘度を示す液体が、非ニュートン液体と呼ばれる。
【0012】
エマルションは、断続的適用により潤滑剤として適用されることができると既に説明されていたが、有用な例は、分散された液体相が、比較的低い粘度、概ね約20〜350センチポアズを有するエマルションを含んでいた。そのような場合に、連続水性相に必要なただ1つの機能は、懸濁分散した油滴を、滑り接触でコンベヤー面及びパッケージ面に運ぶためのビヒクルとしての機能である。潤滑剤スプレーを適用しない長時間の間又は後に、水の蒸発によって、乳化油から実質的に又は十分に成る潤滑薄膜が残される。
【0013】
一方で、弱両親媒性化合物を高い割合で含むものなどのように、本明細書で説明される高粘性油エマルションは、「乾燥」潤滑剤として使用されると、滑り接触における複数の要素間の許容できないほどに高い摩擦係数、許容できないほどに高い汚染度、過剰摩耗、過剰なアンペア引き込み及び高エネルギー必要量、チェーン飛び(skipping and jumping of chains)、「ラクダの背(隣り合う複数のチェーンリンクが、不完全に咬合し、平らにならないこと)」としても知られるチェーンの「テンティング(tenting)」、及びモーターのオーバーヒートなどの、乏しい潤滑性を提供する。驚くべきことに、これらの乾燥潤滑剤としての性能に乏しい高粘度油エマルションは、半乾燥形態で使用されるとき、つまり、エマルションを水で希釈して、より大きな液体体積添加速度のままで適用するとき、優秀な性能を付与することが見出された。「乾燥」適用と比べて大きな液体体積添加速度は、より大きな流速のノズルを用いるか、非適用時間に対する適用時間の割合をより大きくするか、又はそれらの両方により、達成されることができる。理論に拘束されるものではないが、水は、高粘度油を含む効果的な潤滑剤薄膜の重要な成分であり、水は、測定可能(ボトル−コンベヤー面、及びウェア・ストリップ(wear strip)−コンベヤー結合界面などの場合)又は測定不能(コンベヤーリンクとピンの間の咬合面などの場合)のいずれにしても、潤滑薄膜の粘度を減少させ、かつ滑り接触における複数の面間の摩擦係数を下げるように作用すると考えられる。水が単相希釈水性溶液潤滑剤膜中の溶媒として作用する従来の湿潤潤滑剤と比べて、高粘度油のエマルションの場合には、水は、不均一な二相潤滑膜の構成成分であり、二相潤滑膜において、水の機能は、二相潤滑膜の粘度を減少させることであると考えられる。
【0014】
潤滑剤組成物
本コンベヤー潤滑剤組成物は、高粘度水不溶性油のエマルションを含む。「高粘度油」とは、本明細書に記載の濃度では、25℃で水に不溶であり、かつ水と混合されると、第二の分離液体相を与えるか、又はチンダル現象、透光性若しくは不透明性を示すコロイド分散体を形成する化合物、又はそのような化合物の混合物をいう。また、「高粘度油」とは、5.9秒
−1のずり速度で、20mm直径の複数のプレート間に0.25mmの間隔を有する平行板型レオメーターを用いて測定したときに、約300センチポアズ以上、約500センチポアズ以上、又は約1000センチポアズ以上の粘度を有する水不溶性液体を意味する。「高粘度油」は、高粘度油を含むか、又は1つの油相中に高粘度油と他の油の組み合わせをまとめて含むことができることを理解されたい。後者の場合、油相の全体的な粘度は、高く、例えば、約300センチポアズ以上、約500センチポアズ以上、又は約1000センチポアズ以上などである。
【0015】
幾つかの実施形態では、高粘度油又は弱両親媒性化合物は、非ニュートン対ニュートンとして特徴付けられる。ニュートン流体は、流体上に掛かるせん断に関わらず、線形粘度を有する。一方で、非ニュートン流体は、それにせん断が掛かると、線形粘度を有さない。好ましい実施形態では、潤滑剤エマルションは、平行板型レオメーターで測定したときに、粘度が、3.0秒
−1から18.1秒
−1までの値のずり速度の範囲にわたって1.1倍超まで変化する非ニュートン非水性相を含む。
【0016】
好ましい高粘度油としては、弱両親媒性化合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、高粘度油は、0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、又は100%の弱両親媒性化合物で構成されることができる。弱両親媒性化合物は、疎水性基と親水性基を有することにより特徴付けられ、弱両親媒性化合物において、親水性基は、弱両親媒性化合物が本明細書に記載の濃度で透明なミセル溶液を形成することを可能にするには不十分な水溶解度を提供する。高粘度油又は水不溶性弱両親媒性化合物は、所望の使用濃度で水又は水及び親水性希釈剤に加えられるときに、安定な溶液、エマルション又は懸濁物を形成するように、それらを「水混和性」又は十分に水溶性若しくは水分散性にするために、乳化される必要がある。適切な親水性希釈剤としては、イソプロピルアルコールなどのアルコールが挙げられる。所望の使用濃度は、特定のコンベヤー又は容器用途、並びに水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油の種類及び採用される乳化剤に従って、変わるであろう。
【0017】
本潤滑剤組成物は、水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油、乳化剤、及び水又は親水性希釈剤を、おおよそ下記範囲の量(水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油の質量%は、任意の水又は乳化剤として存在するであろう親水性希釈剤を除いたものである)で含むことができる:
【化1】
【0018】
高粘度油及び水不溶性弱両親媒性化合物
本発明の潤滑剤組成物は、好ましくは弱両親媒性化合物を含む水不溶性高粘度油を含む。幾つかの実施形態では、水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油は、非酸性脂肪族アミン、水不溶性リン酸エステル、又はアルコールエトキシレートカルボキシレートである。
【0019】
好ましい弱両親媒性化合物としては、以下のものが挙げられる:
【0020】
・アミン又はアミン誘導体:例えば、オレイルジアミノプロパン、ココ(coco)ジアミノプロパン、ラウリルプロピルジアミン、ジメチルラウリルアミン、PEGココ(coco)アミン、アルキルC
12〜C
14オキシプロピルジアミンなど;及び米国特許第5,182,035号明細書及び米国特許第5,932,526号明細書(両方とも参照により全体で本明細書に援用される)に記載のアミン組成物。
【0021】
・下記一般式のリン酸エステル:
R
1(EO)
XOPO
3H
2 及び R
2(EO)
YR
3(EO)
ZOPO
2H
{式中、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、直鎖又は分岐鎖の、飽和及び/又は不飽和の、所望により、ヒドロキシ及び/又はエポキシで置換されている、6〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を有する残基である。}
例示的なリン酸エステルとしては、オレイル−(EO)
4OPO
3H
2及びオレオセチル(oleocetyl)−(EO)
5OPO
3H
2が挙げられる。
【0022】
・下記一般式の水不溶性アルキルエーテルカルボキシレート:
R
4(EO)
XOCH
2COOH
{式中、R
4は、直鎖又は分岐鎖の、飽和及び/又は不飽和の、所望により、ヒドロキシ及び/又はエポキシで置換されている、6〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を有する残基である。}
例示的なアルキルエーテルカルボキシレートとしては、オレオセチル−(EO)
2CH
2COOH及びオレオセチル−(EO)
5CH
2COOHが挙げられる。
【0023】
・下記一般式で表される、モノグリセリド、ジグリセリド及びそれらの混合物などの部分グリセリド:
【化2】
{式中、R
6、R
7及びR
8は、独立して、6〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖、飽和及び/又は不飽和エステル残基、又はHを表す。ただし、2つの残基であるR
7及びR
8の少なくとも1つはHである。}
例示的なモノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドとしては、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、又はそれらの混合物のエステルが挙げられる。
適切なグリセリドとしては、ラウリン酸グリセリド、パルミチン酸グリセリド、ステアリン酸グリセリド、イソステアリン酸グリセリド、オレイン酸グリセリド、ベヘン酸グリセリド、エルカ酸グリセリド、又はそれらの混合物が挙げられ、さらに約50〜約95質量%、例えば約60〜約90質量%のモノグリセリド含有率を表しているものが挙げられる。
グリセリンと、長い直鎖又は分岐鎖(約8を超える炭素原子)脂肪酸との部分エステルとしては、モノオレイン酸グリセロール、モノリシノール酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、及びモノトール油脂肪酸グリセロール(例えば、ランベント・テクノロジーズ(Lambent Technologies)から入手可能なLumulse GMO−K、Lumulse GMR−K、Lumulse GMS−K、及びLumulse GMT−K;バージニア州ホープウェルのゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社から入手可能なGurnee IL及びTegin OV)、又はそれらの混合物が挙げられる。
また、適切な部分グリセリドとしては、コグニス(Cognis)から商品名Cutina EGMS、Cutina GMS−SE、Cutina GMS V、Cutina MD、又はCutina AGSとして市販されているものなどが挙げられる。
【0024】
・リン脂質:例えば、ホスファチジン酸、純レシチン(real lecithin)、カルジオリピン、リゾリン脂質、リゾレシチン、プラズマロゲン、スフィンゴリン脂質、スフィンゴミエリンなど。
適切なリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、又はN−アシルホスファチジルエタノールアミン、又はそれらの混合物が挙げられる。
また、適切なリン脂質としては、脱油化、分画化、スプレードライ化、アセチル化、加水分解化、ヒドロキシル化又は水素化された粗レシチン、及び大豆レシチンなどのレシチンが挙げられる。本明細書で使用されるときには、一般用語「レシチン」は、リン脂質を含む。
【0025】
・ホスファチジン酸:Sn1位及び2位(Sn1位:大部分は飽和、2位:大部分はモノ又はポリ不飽和)において脂肪酸でエステル化されているが、Sn3位の原子上ではリン酸でエステル化されているグリセロール誘導体である。
ホスフェート基は、コリン(レシチン=3−sn−ホスファチジルコリン(phophatidylcholine))、2−アミノエタノール(エタノールアミン)、L−セリン(セファリン=3−sn−ホスファチジルエタノールアミン又はsn−ホスファチジル−L−セリン)などのアミノアルコールでエステル化されるか、ミオイノシトールでエステル化されてホスホイノシタイド[1−(3−sn−ホスファチジル)−D−ミオイノシトール]を与えるか、又はグリセロールでエステル化されてホスファチジルグリセロールを与えることができる。
【0026】
・カルジオリピン(1,3−ビスホスファチジルグリセロール):グリセロールを介して結合した2つのホスファチジン酸のリン脂質である。
リン脂質(例えば、リゾレシチン)からアシル基がホスホリパーゼAにより切断されるときに、リゾリン脂質が得られる。また、リン脂質は、(エノールエーテルの形態の)アルデヒドが脂肪酸の代わりに1位に結合しているプラズマロゲンも含む。スフィンゴリン脂質は、スフィンゴシン又はフィトスフィンゴシンの基本構造を主成分とする。
【0027】
ホスホリド(phospholides):例えば、リポイド(Lipoid)社から商品名Lipoid S 20 S、Lipoid S 75、Lipoid S 100、Lipoid S 100−3、Lipoid S 75−3N、Lipoid SL 80、及びLipoid SL 80−3として市販されているもの;ホスホリポン(Phospholipon)社(独国、ケルン)から商品名Phospholipon 85 G、Phospholipon 80、Phospholipon 80 H、Phospholipon 90 G、Phospholipon 90 H、Phospholipon 90 NG、Phospholipon 100 H、Phosal 35B、Phosal 50G、Phosal 50SA、Phosal 53MCT、及びPhosal 75SAとして市販されているもの;アメリカン・レシチン(American Lecthin)社(コネティカット州オックスフォード)から商品名Alcolec Z−3として市販されているもの;カーギル(Cargill)(Degussa Texturant Systems)社から商品名Emulfluid F30、Emulfluid、Lipotin NE、Lipotin 100、Lipotin SB、Lipotin 100 J、Lipotin H、Lipotin NA、Lipotin AH、及びLipopurとして市販されているもの;コグニス社から商品名Terradrill V 408及びTerradrill V 1075として市販されているもの;Sternchemie社から商品名Yellowthin 100、Yellowthin 200、Lecistar Sun 100、及びYellowthin Sun 200として市販されているもの;並びにランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から商品名Lanchem PE−130Kとして市販されているものなど。
【0028】
・ラノリン及びラノリン誘導体:例えば、水素化(hydrogentated)ラノリン及びラノリンアルコール(例えば、工業品質ラノリン、リタ(Rita)社(イリノイ州クリスタルレイク)から入手可能なRitawax及びSupersa)など。
【0029】
・植物若しくは動物脂肪又は油の鹸化から誘導される脂肪酸を含む長鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸化合物:例えば、トールオイル脂肪酸、ココナツ脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、又はリシノール酸及びその塩などのヒドロキシル官能性脂肪酸のカルボン酸末端短鎖ポリマー(例えば、クラリアント(Clariant)社(ニュージャージー州Mount Holly)から入手可能なHostagliss L4)、又はこれらの化合物の混合物など。
脂肪酸親油性化合物としては、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸(例えば、プロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Proctor and Gamble Chemicals)社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なC−698、C−1299、C−1495、OL−800及びV−1890)、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
・水不溶性アルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、並びにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを長い直鎖又は分岐鎖(C
8以上)脂肪族アルコールに加えることにより形成されるアルコールエトキシレートプロポキシレート:例示的なアルコールエトキシレートとしては、オレオセチル−(EO)
2H及びドデシル−(EO)Hが挙げられる。
【0031】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのソルビタンエステル:例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、及びソルビタンモノオレエート(例えば、ユニケマ(Uniqema)社(デラウェア州ニューキャッスル)から入手可能なSPANシリーズ20、40、60及び80、並びにランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumisorb SMO)、又はこれらの界面活性剤の混合物など。
【0032】
・グリセリンと長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのモノ及びジエステルであって、短鎖モノカルボン酸でさらにエステル化されているエステル:例えば、グリセロールモノステアレートラクテート(例えば、ダニスコ(Danisco)社(デンマーク、コペンハーゲン)から入手可能なGrindsted Lactem P22)、又はこれらの界面活性剤の混合物など。
【0033】
・長鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪族アルコール化合物:例えば、カプリルアルコール、2−エチルヘキサノール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、及びエルシルアルコールなど。
【0034】
幾つかの実施形態では、水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油は、非酸性脂肪族アミン及び中和されていない水不溶性リン酸エステルである。幾つかの実施形態では、水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油は、約8〜約14のpHでは、非酸性脂肪族アミンである。
【0035】
また、高粘度油は、弱両親媒性化合物として特徴付けられない他の水不溶性油を含んでもよい。本発明を実施するうえで有用な他の水不溶性油としては、以下のものが挙げられる:
【0036】
・下記一般式のトリグリセリド:
【化3】
{式中、R
3、R
4、及びR
5は、独立して、直鎖又は分岐鎖の、飽和及び/又は不飽和の、所望により、ヒドロキシ及び/又はエポキシで置換されている、6〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を有するエステル残基である。}
例示的なトリグリセリドとしては、コグニス社から商品名Myritol 331、Myritol 312、Myritol 318、Terradrill V988、Terradrill EMとして市販されているもの;Sasol社から商品名Miglyol 812 N及びMiglyol 812として市販されているもの;並びにランベント社から商品名Lumulse CC33Kとして市販されているものが挙げられる。
トリグリセリドは、ヤシ油、ヒマワリ種油、キャノーラ油、及びラードなどの、植物及び動物源に由来する天然油を含むことができる。
【0037】
グリコール又はポリ(アルキレングリコール)化合物と長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのジエステル:例えば、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート及びPEG−4ジヘプタノエート(例えば、リポ・ケミカルズ(Lipo Chemicals)社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLiponate NPCG−2及びLiponate 2−DH)など。
【0038】
・部分及び高級ソルビタンエステル:部分及び高級ソルビタンエステルとしては、例えば、長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのジ又はトリエステルが挙げられ、例えば、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタン(例えば、ランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumisorb STS K、並びにリポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLiposorb TO及びLiposorb SQO)、又はこれらの化合物の混合物などが挙げられる。
【0039】
・ポリオールの脂肪酸エステル:ポリオールの脂肪酸エステルとしては、ポリオール脂肪酸ポリエステルが挙げられ、その用語は、そのヒドロキシル基の2つ以上が、長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸基でエステル化されているポリオールに関する。例えば、ポリオールは、4つ以上の脂肪酸基でエステル化されることができる。
ポリオール脂肪酸ポリエステルとしては、スクロース1分子当たり平均で少なくとも4個の、例えば少なくとも約5個のエステル結合を有するスクロースポリエステルが挙げられ;そして脂肪酸鎖は、約8〜約24個の炭素原子を有することができる。
他のポリオール脂肪酸ポリエステルは、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を含む脂肪族又は芳香族化合物の脂肪酸エステルであり、飽和及び不飽和の直鎖又は分岐鎖線状脂肪族;複素環式脂肪族などの飽和及び不飽和環状脂肪族;又は複素環式芳香族などの単環若しくは多環芳香族などである。
スクロースの脂肪酸エステルとしては、スクロースの大豆油脂肪酸エステル、及びスクロースのステアリン酸(脂肪酸)エステル(例えば、プロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なSefose 1618S及びSefose 1618H)が挙げられる。
ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールの脂肪酸エステルとしては、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート及びジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート(例えば、リポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLiponate PE−810及びLiponate DPC−6)が挙げられる。
【0040】
・脂肪酸のメチル、エチル及びイソプロピルエステル:例えば、パルミチン酸メチル及びステアリン酸メチル(例えば、プロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なCE−1695及びCE−1897)など。
【0041】
・6〜22個の炭素原子を有するアルコールの脂肪酸によるエステル化から形成されるエステル:例えば、パルミチン酸セチル、パルミチン酸パルモイル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、及びステアリン酸ステアリルなど。
【0042】
・安息香酸の脂肪族アルコールエステル:例えば、C
12〜C
15アルキルベンゾエート(例えば、リポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLiponate NEB)など。
【0043】
・フタル酸又はイソフタル酸の脂肪族アルコールエステル:例えば、フタル酸ジオクチルなど。
【0044】
・トリメリット酸の脂肪族アルコールエステル:例えば、トリメリット酸トリデシル(例えば、リポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLiponate TDTM)など。
【0045】
・トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル:トリメチロールプロパンの脂肪酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリオレエート及びトリメチロールプロパントリカプレート/カプリレート(例えば、コグニス社から入手可能なSynative ES 2964、及びユニケマ社(デラウェア州ニューキャッスル)から入手可能なPriolube 3970)が挙げられる。
【0047】
乳化剤
高粘度油を有する潤滑剤組成物を調製するために有用な乳化剤としては、水溶性界面活性剤、つまり、約1%を超える濃度で透明なミセル溶液を提供できる界面活性剤が挙げられる。
適切な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる:
【0048】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのポリグリセリルモノエステル:例えば、トリグリセロールモノオレエート(例えば、ランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumulse PGO−K)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0049】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのグリセリンのエトキシ化モノ及びジエステル:例えば、ポリ(オキシエチレン)グリセリルモノラウレート(例えば、ランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumulse POE(7) GML及びLumulse POE(20) GMS−K)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0050】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのエトキシ化ソルビタンエステル:例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)(例えば、ユニケマ社(デラウェア州ニューキャッスル)から入手可能なTWEENシリーズ20、40、60及び80)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0051】
・エトキシ化ヒマシ油:例えば、PEG−5ヒマシ油、PEG−25ヒマシ油、及びPEG−40ヒマシ油(例えば、ランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumulse CO−5、Lumulse CO−25、及びLumulse CO−40)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0052】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸とのエチレングリコール及びポリ(エチレングリコール)のモノ及びジエステル:例えば、エチレングリコールジステアレート、PEG−400モノオレエート、PEG−400モノラウレート、PEG−400ジラウレート、及びPEG−4ジヘプタノエート(例えば、リポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)から入手可能なLipo EGDS、ランベント・テクノロジーズ社(イリノイ州ガーニー)から入手可能なLumulse 40−OK、Lumulse 40−L、及びLumulse 42−L、並びにリポ・ケミカルズ社(ニュージャージー州パターソン)の製品であるLIPONATE 2−DH)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0053】
・EO−POブロックコポリマー:例えば、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー、及びポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー(例えば、BASF社(ニュージャージー州Florham Park)から入手可能な製品であるPluronic及びPluronic Rシリーズ)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0054】
・水溶性アルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、並びにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを長い直鎖又は分岐鎖(C
8以上)脂肪族アルコールに加えることにより形成されるアルコールエトキシレートプロポキシレート:例えば、ポリ(エチレンオキシド)ウンデシルエーテル、(C
12〜C
15)線状一級アルコールとのポリ(エチレンオキシド)エーテル、(C
14〜C
15)線状一級アルコールとのポリ(エチレンオキシド)エーテル、及びエトキシ化プロポキシ化C
8〜10アルコール(例えば、エア・プロダクツ(Air Products)社(ベンシルベニア州アレンタウン)から入手可能なTomadol 25−7アルコールエトキシレート及びTomadol 45−7アルコールエトキシレート;並びにローディア(Rhodia)社(ニュージャージー州Cranbury)から入手可能なAntarox BL−214)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0055】
・エチレンオキシドを直鎖又は分岐鎖アルキルフェノール化合物に加えることにより形成されるアルコールエトキシレート:例えば、ノニルフェノールとのポリ(エチレンオキシド)エーテル(例えば、Sasol社から入手可能なMarlipal 013/100、BASF社から入手可能なLutensol TDA 9、ハンツマン・ケミカル(Huntsman Chemical)社(テキサス州ウッドランド)から入手可能なSurfonic N95)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0056】
アルキル基中に8〜22個の炭素原子を含むアルキル化モノ、ジ及びオリゴグリコシド、及びアルキル基中に8〜22個の炭素原子を含むエトキシ化アルキル化モノ、ジ及びオリゴグリコシド:例えば、(C
8〜C
14)線状一級アルコールとのポリ(D−グルコピラノース)エーテル(例えば、コグニス北米社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なGlucopon 425N/HH)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0057】
長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸から形成されるアミド化合物:例えば、ココナツ酸ジエタノールアミド及びオレイン酸ジエタノールアミド(例えば、Stepan社(イリノイ州ノースフィールド)から入手可能なNinol 40−CO及びNinol 201、並びにクラリアント社(ノースカロライナ州Mount Holly)から入手可能なHostacor DT)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0058】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)脂肪酸から形成されたアミド化合物にエチレンオキシドを加えることにより形成されるエトキシレート化合物:例えば、ココナツ酸エタノールアミドとのポリ(エチレンオキシド)エーテル(例えば、Stepan社(イリノイ州ノースフィールド)から入手可能なNinol C−5)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0059】
・非イオン性シリコーン界面活性剤:例えば、メチルビス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロパノールとのポリ(エチレンオキシド)エーテル(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(Momentive Performance Materials)社(ニュージャージー州ウィルトン)から入手可能なSilwet L77)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0060】
・6個を超える炭素原子及び水溶性になるために十分なエチレンオキシド残基を有する直鎖又は分岐鎖を有するエーテルカルボン酸(例えば、KAO Chemicals社から入手可能なAkypo LF 6、KAO Chemicals社から入手可能なAkypo RO 90、クラリアント社から入手可能なEmulsogen COL 100);
【0061】
・下記一般式の水溶性リン酸エステル:
R
1(EO)
XOPO
3H
2
{式中、R
1は、6〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、又はアルキルフェノール基である。}
例示的なリン酸エステルとしては、C
8〜C
10−(EO)
6OPO
3H、例えば、ローディア社(ニュージャージー州Cranbury)から入手可能なRhodafac RA−600)が挙げられる;
【0062】
・水溶性長鎖(約8個を超える炭素原子)アルキルスルホナート及びスルフェート化合物:例えば、オクタンスルホン酸、ラウリルアルコールとの硫酸エステル、ラウリルアルコールとの硫酸エステル及びこれらの塩(例えば、コグニス北米社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なTexapon K− 12G及びTexapon K−14S)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0063】
・エトキシ化長鎖(約8個を超える炭素原子)アルコールとの水溶性スルホン化コハク酸エステル:例えば、コグニス北米社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なTexapon SB 3KC、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0064】
・長い直鎖又は分岐鎖(約8個を超える炭素原子)アルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールエトキシレートプロポキシレート及びエトキシ化直鎖又は分岐鎖アルキルフェノール化合物及びこれらの塩の水溶性硫酸エステル:例えば、ナトリウムドデシルポリ(オキシエチレン)スルフェート(例えば、コグニス北米社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なTexapon N70)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;
【0065】
・ベンゼン、クメン、トルエン及びアルキル置換芳香族化合物並びにこれらの塩の水溶性スルホナート:例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えば、ハンツマン・ケミカル(Huntsman Chemical)社から入手可能なNansa HS90/S)、又はこれらの界面活性剤の混合物など;又は
【0067】
好ましい乳化剤としては、Akypo RO 90、Emulsogen COL 100、及びEmulsogen CNO 080が挙げられる。
【0068】
エマルション及び乳化剤の詳細
油又は疎水性材料を分散するときに、本発明者らは、2つ以上の乳化剤から構成されている乳化系が、単一の乳化剤と比べて、より良好な分散性(例えば、より安定な分散体)を提供する傾向があることを見出した。2つ以上の乳化剤を有するエマルションを配合するときに、異なるHLB値を有する複数の乳化剤が、使用されてよく、そして複数の乳化剤の比率は、疎水性材料を乳化するのに最適な複合HLB値を得るように調整されることができる。異なるHLB値を有する2つ以上の乳化剤が使用される場合には、低HLB値を有する複数の乳化剤が、水に不溶であり、それら自体で、上述の弱両親媒性化合物の定義を満たすことになるであろう。したがって、本発明に有用な弱両親媒性化合物の一覧に含まれる幾つかの化合物は、本発明に有用な乳化剤の一覧にも含まれるであろう。
【0069】
用語「コロイド」及び「エマルション」は、ほぼ同じ意味で使用されることがあるものの、エマルションは、分散相と連続相の両方が液体であることを示唆する傾向がある。エマルションの例としてよく取り上げられるものは、ミルクであり、ミルク中では、ミルク脂質の大半が、直径で0.1〜15μmの寸法の範囲にある小球の形態である。本発明に関連して、エマルションは、分散相が液体、半固体、又は約100℃未満の融点を有する低融点固体であるコロイド製剤であって、親油性化合物が、液体連続相(液体連続相は、水、水溶液、又は親油性化合物が溶解しない別の極性液体でよい)に分散し、かつ液体連続相から分離したままであり、かつ分散相の粒径が約10Å〜15μmの範囲にある、コロイド製剤を意味する。本発明のエマルションは、次の1つ以上により特徴付けられる:
不透明又は半透明であること、
チンダル現象を示すこと、及び/又は
膜を通過しないであろう分散材料を含むこと。
【0070】
乳化剤がエマルションを安定化する。典型的には、乳化剤は、親水性部分及び疎水性部分の両方を有する両親媒性界面活性化合物である。一般に、界面活性剤中の親水性部分と疎水性部分の比率は、親水−親油バランス又はHLBとして表される。エマルションの調製では、複数の乳化化合物を使用することが好ましい。その場合には、最大濃度で存在する乳化剤は、一級乳化剤と呼ばれてよく、より低い濃度で存在する単数又は複数の乳化剤は、共乳化剤又は二級乳化剤と呼ばれてよく、あるいは組成物中に存在する乳化剤の全てを共乳化剤と呼んでもよい。
【0071】
エマルションは、不安定であるために、自然に形成されるものではない。エマルションを含むコロイド分散体の形成のためには2つの一般的な方法がある。現場(in situ)で分散相を生成する方法と、加熱、振とう、攪拌、高せん断混合、及びミクロ流体化を含むプロセスにおいてエネルギーによって分散相を連続相中に導入する方法である。本発明のエマルションは、連続相中への分散相の導入により調製されることができる。
【0072】
時間が経つと、エマルションは、水から分離した油の安定状態に戻る傾向があり、そのプロセスは、乳化剤により遅れる。本発明に関連して、「安定なエマルション」は、熱力学的に安定な系のみを意味するのではなく、分解速度が大幅に遅くなっている系、つまり、準安定な系も含むことを理解されたい。エマルションは、凝集(分散粒子の会合)、クリーム化(浮力のために分散粒子がエマルションの上部に移動すること)、及び合体(複数の分散液滴が合わさって、より大きなものを形成すること)というプロセスを通じて分解することがある。
【0073】
特定の実施形態では、本発明に従う安定なエマルションは、物理的に相分離しないか、クリーム化若しくは合体を示さないか、又は沈殿物を形成しない。実施形態では、エマルションは、十分に安定であり、コンベヤー潤滑剤組成物が貯蔵され、かつ輸送される条件下において安定である。例えば、実施形態では、安定なエマルションは、4〜50℃で1ヶ月間に亘って相分離しないか、又はそのような温度で2ヶ月間又は3ヶ月間に亘って相分離しない。
【0074】
透析によって、親油性化合物の不溶性に関する単純な試験が提供される。分子量カットオフが1,000である膜によって透析されるときに、親油性化合物が透析管の内部に保たれていれば、親油性化合物は不溶性と見なすことができる。
【0075】
高粘度水不溶性油及び弱両親媒性化合物の密度は、水の密度と大幅に異なることが多いので、液体エマルションの安定化は、小粒径に恵まれる。小粒径の水中油型エマルションは、高せん断プロセスの使用により提供されるか、共溶媒の使用により提供されるか、又は乳化剤及び/又はアニオン性界面活性剤と水が存在した状態で高粘度油の特定の組成及び濃度によって提供されるか、又は共溶媒と高せん断プロセスの両方により提供されることができる。例えば、高せん断プロセスがないときには、高粘度油と乳化剤の混合物を、攪拌水及びヘキシレングリコール溶液に加えることによって、小粒径を有する安定なエマルションを提供してよいが、同じ油と乳化剤の混合物を水のみに加えることはないであろう。本発明のエマルションは、約10μm未満、例えば、約3μm未満、さらには約1μm未満の体積平均粒径を有することができる。スプレーによる適用を容易にするために、本組成物のエマルションは、約40cP以下の粘度を有することができる。
【0076】
追加成分
所望により、潤滑剤組成物は追加成分を含むことができる。例えば、組成物は、例えば、抗菌剤、色材、発泡防止剤又は発泡剤、亀裂防止剤(例えば、PET応力亀裂防止剤)、粘度改質剤、膜形成材料、界面活性剤、抗酸化剤、帯電防止剤、腐食防止剤、及びこれらの混合物などのアジュバントを含むことができる。そのような追加成分の量及び種類は、当業者にとって明らかであろう。
【0077】
潤滑剤組成物は、適用時には液体又は半固体であることができる。幾つかの実施形態では、潤滑剤組成物をポンプ送達して、コンベヤー又は容器へ容易に適用することを可能にし、かつコンベヤーが稼働中であるかどうかによらず、急速な膜形成を促進するであろう粘度を有する液体が、潤滑剤組成物である。潤滑剤組成物は、静置時にはより高い粘度(例えば、非滴下挙動)であり、かつ、ずり応力(例えば、潤滑剤組成物のポンプ送達、噴霧又は研磨により提供される応力など)に供されるときには著しく低い粘度であることにより明らかになる通り、ずり薄化(shear thinning)又は他の疑似プラスチック挙動を示すように配合されることができる。この挙動は、例えば、適切な種類及び量のチキソトロピックな充填剤(例えば、処理済み又は未処理ヒュームドシリカ)又は他のレオロジー改質剤を潤滑剤組成物に含有させることにより、起こされることができる。
【0078】
本潤滑剤の使用法
本発明は、一態様において、潤滑剤組成物を、コンベヤーの容器接触面の少なくとも1部分、又は容器のコンベヤー接触面の少なくとも1部分に適用する工程を含む、コンベヤーに沿って容器の通路を潤滑化する方法を提供する。幾つかの実施形態では、本発明は、潤滑剤組成物を「半乾燥」形態で適用する方法に関する。組成物は、コンベヤーの停止中、又はコンベヤーの稼働中(例えば、コンベヤーの通常の稼働速度で稼働中)に、適用されることができる。
【0079】
潤滑剤組成物は、持続的又は断続的態様で適用されることができる。潤滑剤組成物は、適用される潤滑剤組成物の量を最小化するために、断続的態様で適用されることができる。本組成物を「半乾燥」形態で適用してよいことが発見された。「半乾燥」形態とは、潤滑剤が、「乾燥」潤滑剤より大きな適用体積を有する潤滑剤を断続的に適用するのに十分なほど低い活性潤滑剤濃度を有することを意味する。
「半乾燥」適用については、潤滑剤は、一定の期間に亘って適用され、一定の期間に亘って適用されず、そして適用されない時間(非適用時間):適用される時間(適用時間)の比は、約2:1〜32:1である。一方で、「乾燥」潤滑剤については、非適用時間:適用時間の比は、典型的には、約50超:1である。高粘度油のエマルションは、従来の「乾燥」態様で、例えば、米国特許第7,741,257号明細書(Valencia Silら)及び米国特許出願公開第2008/0176778号明細書(Seemeyerら)に記載の通り、非適用時間:適用時間の比が典型的には約50超:1である状態で動くと、許容できないほどに高い摩擦係数を引き起こすことが見出された。
パッケージとトラックの間、及び滑り接触している複数の部品間に、高COF値を引き起こすことに加えて、高粘度油のエマルションの「乾燥」適用は、トラック上に過剰な汚物を作り出す傾向にあり、この汚物は、最終的に消費者へ輸送されるボトル上で判明する。複数の汚れたボトルは、より低品質の製品であることを消費者に知覚させる。
一方で、水不溶性弱両親媒性化合物又は高粘度油が「湿潤」形態で動くと、それらは大量の水を必要とし、大量の水は、コンベヤーラインから引き出されて、次に処分されるか、又は再利用されなければならず、コンベヤーライン付近において、過度に湿った環境を引き起こす。
【0080】
半乾燥態様で稼働するとき、潤滑剤組成物は、約5秒〜約6分、約10秒〜約4分、及び約15秒〜約2分という時間に亘って、適用されることができる。その後に、潤滑剤組成物は、約30秒〜約25分、約1〜約15分、又は約2〜約12分に亘って、適用される必要がない。適用時間は、コンベヤーベルトの全面(すなわち、コンベヤーベルトの1回転)に組成物を広げるのに十分なほど長くてよい。適用時間中、実際の適用は、連続的(すなわち、潤滑剤が、コンベヤー全体に適用される)、又は断続的(すなわち、潤滑剤が複数のバンドに適用され、そして容器が潤滑剤を広げる)でよい。潤滑剤は、パッケージ又は容器がない位置で、コンベヤー面へ適用されることができる。例えば、潤滑剤スプレーが、パッケージ若しくは容器の流れの上流で、又は容器若しくはパッケージの下部及び上流で動いている逆側コンベヤー面上に、適用されることができる。
【0081】
幾つかの実施形態では、非適用時間:適用時間の比は、約2:1〜約32:1、約3:1〜約28:1、約4:1〜約24:1、及び約10:1〜約20:1でよく、その場合に、潤滑剤は、複数の潤滑剤適用の間でも摩擦係数を低く保つ。
【0082】
幾つかの実施形態では、潤滑剤が適用されていないときでさえも、潤滑剤は、約0.4未満、約0.2未満、約0.15未満、又は約0.12未満の摩擦係数を維持する。潤滑剤が適用されていないときでさえも、一般に、潤滑剤コーティング厚は、容器/コンベヤー界面で、約0.0001mm以上、例えば、約0.001〜約2mm、約0.005〜約0.5mmに保たれる。
【0083】
幾つかの実施形態では、摩擦係数が許容できないほどに高い水準に達する時間を決定するために、フィードバック・ループを使用してもよい。フィードバック・ループは、一定の時間に亘って潤滑剤組成物を供給させ、次に所望により、摩擦係数が許容可能な水準に戻ると潤滑剤組成物を停止させることができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、潤滑剤組成物及びその潤滑剤組成物の使用法は、許容できないほどに高い水準の汚れをコンベヤー上に作り出さない。
「許容できないほどに汚れる」は、複数の態様で特徴付けられる。例えば、幾つかの実施形態では、「許容できないほどに汚れる」とは、搬送されたパッケージを布又は紙などの白い面上に置くと、許容できないほどに目立つ跡が残るような汚れの水準をいう。
幾つかの実施形態では、「許容できないほどに汚れる」とは、許容できないほどに汚れた外観を有するコンベヤー面をいう。
幾つかの実施形態では、「許容できないほどに汚れる」とは、定量化された汚染度をいう。例えば、ステンレス鋼コンベヤーを含む製造ラインの場合には、汚れの程度は、1つの容器当たり又は1つのコンベヤーベルトチェーンリンク当たりの汚れとして存在する鉄の重量を単位として測定されることができる。例えば、パッケージ又はチェーンリンクを薄葉紙で拭いて、次に温浸と誘導結合プラズマ分光法などの分光法により存在する鉄を定量化することにより、鉄含有汚物を分析してよい。ボトルについて許容可能な汚染度は、100μg未満の鉄/ボトル、50μg未満の鉄/ボトル、又は25μg未満の鉄/ボトルでよい。コンベヤーベルトチェーンリンクについて許容可能な汚染度は、800μg未満の鉄/リンク面の平方インチ、400μg未満の鉄/リンク面の平方インチ、又は100μg未満の鉄/リンク面の平方インチでよい。
また、後述するショートトラックコンベヤー試験に従って、白くないピクセルの数を算出することにより、汚れの量を測定することができる。白くないピクセルの数は、20%未満、10%未満、又は5%未満でよい。
【0085】
噴霧、拭き付け、ブラシ掛け、ドリップ・コート、ロール・コート、及び薄膜を適用する他の方法を含む任意の適切な技術を用いて、潤滑剤組成物の適用を行うことができる。
【0086】
様々な種類のコンベヤー及びコンベヤー部品が、潤滑剤組成物でコーティングされることができる。容器を支持し、導き、又は動かし、かつ潤滑剤組成物でコーティングされることができるコンベヤーの部品としては、布帛、金属、プラスチック、複合体、又はこれらの材料の組み合わせで形成されている面を有するベルト、チェーン、ゲート、傾斜台、センサー及び傾斜路が挙げられる。潤滑剤は、コンベヤーベルトチェーンと、ウェア・ストリップなどのコンベヤーベルトチェーン支持物との間に存在するように、与えられているか、又は意図的に適用されることができる。例えば、ノズルが、コンベヤーベルトチェーンリンクの下側に向けられた状態で、コンベヤーベルトテーブル上部の下に配置されてよい。あるいは、ノズルは、コンベヤーベルトチェーンを通じて又はコンベヤーベルトチェーンの下に接近し易い場所でウェア・ストリップへ向けられた状態で、配置されてよい。
【0087】
また、潤滑剤組成物は、飲料容器;食品容器;家庭用又は工業用洗浄剤容器;及び油、不凍剤又は他の工業液体のための容器などの様々な容器に適用されることができる。容器は、ガラス;プラスチック(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリスチレン;PET及びポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル;ポリアミド、ポリカーボネート;並びにこれらの混合物又はコポリマー);金属(例えば、アルミニウム、スズ又は鉄);紙(例えば、未処理紙、処理紙、ワックスペーパー又は他のコーティングを施された紙);セラミック;及びこれらの材料の2つ以上の積層体又は複合体(例えば、PET、PEN又はそれらの混合物と別のプラスチック材料との積層体)を含む様々な材料で形成されることができる。容器は、大型容器(例えば、ワックス処理された大型容器、又はテトラパック(TETRAPACK、登録商標)ボックス)、缶、ボトルなどを含む様々な寸法及び形態を有することができる。容器の所望の部分を潤滑剤組成物でコーティングできるが、潤滑剤組成物を、コンベヤー又は他の容器と接触することになるであろう容器部分のみに適用することもできる。そのような幾つかの適用については、潤滑剤組成物は、容器よりもコンベヤーに適用されて、容器が後の実際の使用時に滑り易くなる程度を制限することができる。
【0088】
分配装置
本発明の実施に係る分配装置としては、スプレーノズルを含む噴霧装置が挙げられる。スプレーノズルは、所望により、非励起であり、すなわち、潤滑剤流を壊して小液滴にするためにエネルギー(例えば、高圧、圧縮空気、又は超音波処理)を掛けることなく、比較的低い流速(約50psi未満の圧力で、約10[mL/秒]未満)で、微小な潤滑剤スプレーを提供する。スプレー分配装置は、比較的低い圧力(約50psi未満)で稼働し、かつ高圧潤滑剤ライン又は潤滑剤放出ラインのいずれかを含まない。潤滑剤スプレーのために有用な液滴径は、約100〜約5000μm、例えば約100〜約500μmである。
【0089】
例示的な非励起ノズルは、液体潤滑剤を、約50psi未満の圧力で、固体(完全な)円錐、中空円錐、平坦扇またはシートタイプの霧として分配する小容量スプレーノズルである。実施形態では、ノズルは、複合ノズルヘッダー上の隣接する複数の霧の間で重なっている霧パターンから、均一な噴霧分配を確立する上で有用な先細りのエッジを有するフラットスプレーノズルである。本発明の実施に有用なフラットスプレーノズルとしては、楕円形オリフィスノズルおよびデフレクターノズルが挙げられる。楕円形オリフィス設計において、噴霧パターンの軸は、入口パイプ結合部の軸の延長である。デフレクター設計において、偏向面は、噴霧パターンを、入口パイプ結合部の軸からそらす。有用なフラットスプレーノズルとしては、フラッドジェット・アンド・ビージェット・スモール・キャパシティ・ワイド・スプレイ・アングル(FloodJet and VeeJet Small Capacity Wide Spray Angle)ノズル(イリノイ州、ホイートンのスプレイイング・システムズ(Spraying Systems)から市販されている)、FFエクストラ・ワイド・アングル(FF Extra Wide Angle)およびNFスタンダード・ファン(NF Standard Fan)ノズル(マサチューセッツ州、グリーンフィールドのビート・フォッグ・ノズル(Bete Fog Nozzle)社から市販されている)、およびフラット・スプレー・スタンダード(Flat Spray Standard)ノズル(イリノイ州、キャロル・ストリームのオールスプレイ(Allspray)社から市販されている)が挙げられる。適切なデフレクターフラットスプレーノズルは、イリノイ州、ホイートンのスプレイイング・システムズから市販されているロウ・フロー・フラッドジェット1/8K−SS.25ノズルである。有用な円錐スプレーノズルとしては、ユニジェット・スモール・キャパシティ・スタンダード・スプレー(UniJet Small Capacity Standard Spray)ノズル(イリノイ州、ホイートンのスプレイイング・システムズから市販されている)、WTライト・アングル・ハロー・コーン(WT Right Angle Hollow Cone)ノズル(マサチューセッツ州、グリーンフィールドのビート・フォッグ・ノズルから市販されている)、およびハロー・コーン・スタンダード(Hallow Cone Standard)ノズル(イリノイ州、キャロル・ストリームのオールスプレイから市販されている)が挙げられる。適切な円錐スプレーノズルは、イリノイ州、ホイートンのスプレイイング・システムズから市販されているユニジェット(UniJet)TXVS−1ノズルである。
【0090】
本発明の実施に係る分配装置は、約50psi未満の低圧〜中圧下で、潤滑剤組成物をノズルに提供するための手段を含む。一つの可能な手段は、潤滑剤源を加圧することである。また、適切な分配装置は、ポンピングによりライン中の潤滑剤組成物を加圧するための手段を含む。ポンプに対する要求事項は、緩やかなものであり、かつダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、およびバルブ無し回転往復ピストン型定量ポンプを含む多様なポンプ設計により満たすことができる。適切なポンプは、ポンプ下流の吐出弁が開閉する時に、自動的に始動および停止を行う。このように、ポンプは非適用時間中は運転しない。自動的に始動および停止するポンプの例としては、吐出弁が開く時に、瞬時に動的にポンピングを始動し、停止する内臓圧力スイッチを有する容積型ダイヤフラムポンプが挙げられ、例えば、カリフォルニア州、フットヒル・ランチのIIT(IIT Industries)の1部門、フロージェット(Flowjet)から市販されているフロージェット2100ポンプが挙げられる。自動的に始動および停止するポンプの他の例には、カリフォルニア州、グランド・テラスのウイルデン・ポンプ&エンジニアリング(Wilden Pump & Engineering,LLC)から市販されているウイルデンPIプラスチックポンプなどの容積式往復型二重ダイヤフラムポンプ、およびイリノイ州、ウエスト・シカゴのヤマダ・アメリカ(Yamada America)から市販されているヤマダNDP−5ポンプなどの空気単一ダイヤフラムポンプがある。下流吐出弁の作用の際に自動的に始動および停止しないポンプは、下流吐出弁およびポンプの両方を作動させる制御器により有利に用いることが可能である。
【0091】
本組成物を形成する方法
安定な小粒径エマルションの製造に有用な高せん断プロセスとしては、回転子/固定子式ホモジナイザー、ブレード式ホモジナイザー(ブレンダー)、及び(ミクロ流動化装置又は乳製品用ホモジナイザーとしても知られる)高圧ホモジナイザーが挙げられる。高圧ホモジナイザーでは、液体は、高せん断を発生させる狭いオリフィスを通じて高圧下に供される。高圧均質化の変形としては、2つの液体の流れが、相対するオリフィスから押し出された後に衝突する衝突ミクロ流動化;及び、液体の流れが、リングで囲まれている平面と衝突する衝突リングミクロ流動化が挙げられる。
【実施例】
【0092】
下記実施例を参照することによって、より詳細に本発明を理解することができる。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を代表するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
実施例
所望により、粘度試験、ショートトラックコンベヤー試験及び粒径試験を用いて、本発明の水性エマルションを評価することができる。
【0094】
ショートトラックコンベヤー試験
複数のモーター駆動6−1/2インチ(約165.1mm)幅ステンレス鋼ベルトを利用するコンベヤーシステムを約170フィート(約51.8m)/分のベルト速度で稼働させた。コンベヤーシステムの長さは、10フィート(約3.1m)であり、オーステナイト系及びフェライト系合金ステンレス鋼コンベヤーベルトの長さは、約22フィート(約6.7m)であった。ベルトには、6−1/2インチ(約165.1mm)幅の直進チェーン(ウィスコンシン州ミルウォーキーのレックスノード・インターナショナル(Rexnord International)から入手可能なSS815K750チェーン)から成る単一オーステナイト系ステンレス鋼トラック、及び6−1/2(約165.1mm)幅の直進チェーン(レックスノード・インターナショナルから入手可能な60S72Mチェーン)から成る単一フェライト系ステンレス鋼トラックが含まれていた。試料製剤の潤滑性を試験する前に、ナイロンブラシ及びスコッチブライト(ScotchBrite、登録商標)パッドと、2.5%のメタケイ酸ナトリウム、1.0%の水酸化ナトリウム、1.0%のトマドール(Tomadol)1−3及び0.5%のトマドール25−7(ベンシルベニア州アレンタウンのエア・プロダクツ社から入手できるトマドール製品)から成る洗浄溶液とを用いて、コンベヤーシステムを研磨した。オーステナイト系及びフェライト系トラックのそれぞれの上では、2つのミラー・ビール(Miller Genuine Draft Light beer)の12オンス(約340g)ボトルを投げ輪で捕らえ、固定された歪ゲージと連結させた。ベルト稼働中に歪ゲージに掛かる力を、コンピュータを用いて稼働中に60秒毎に連続的に記録した。オーステナイト系及びフェライト系トラックのそれぞれの上では、歪ゲージと連結された複数のボトルの下流において、動いているトラック上に24個の追加の12オンスボトルを固定したままにした。36psi〜44psiで稼働し、かつ60mL/分〜80mL/分で潤滑剤を送達する従来の潤滑剤スプレーノズルを用いて、潤滑剤組成物をベルトの表面に塗布した。けん引力(F)を、2つの充填済み12オンスガラスボトル+投げ輪の重量(W)で割ることにより、摩擦係数(COF)を計算した:COF=F/W。超高分子量ポリエチレンウェア・ストリップ材料から成る2つの平行な4インチ(101.6mm)長の走行部上に支持されたスレッドを、固定された歪ゲージにつなぐことにより、コンベヤーウェア・ストリップとチェーンの間の摩擦係数を決定した。スレッドの全質量は、1790gであった。ベルト稼働中に歪ゲージに掛かる力を、コンピュータを用いて稼働中に60秒毎に連続的に記録した。
【0095】
粘度試験
後述する粘度試験を用いて、高粘度油又は弱両親媒性化合物の粘度を決定できるが、ニートオイルを用いるならば概ね容易である。しかしながら、高粘度油を乳化するか、あるいは組成物中に組み込むのであれば、最初に油相を分離する必要がある。また、高粘度油、特に弱両親媒性化合物を含む高粘度油は、水を伴うことがあるので、このような処理が必要になる。つまり、水に溶けない高粘度油の中では、水の溶解性は、幾つかあってよい。熱、遠心分離、水性相の蒸発、塩析、水混和性共溶媒の添加、又はこれらの組み合わせを含む、エマルションを壊す方法によって、油相と水相を分離することにより、水不溶性高粘度油又は弱両親媒性化合物の粘度を決定してよい。処方から水不溶性成分が分かるならば、高粘度油を粘度決定のための純物質として調製できる。高粘度油を調製するか、又はエマルションから分離したら直ぐに、25℃での粘度及び低ずり速度を測定し、その後に、試料を12時間、18時間又は好ましくは24時間に亘って「静置」させることが好ましい。分析用高粘度油の調製法が異なるときには、それらの少なくとも1つから得られた油は、上述の通りに測定すると、約300センチポアズを超えるか、約500センチポアズを超えるか、又は約1000センチポアズを超える粘度を与えなければならない。
【0096】
事後的に取り除く必要がある付随的な材料を加えていないだけでなく、水溶性塩及び化合物などの水溶性潤滑剤構成成分も水性層で除去するので、熱又は遠心分離によりエマルションを相分離させることが好ましい。また、共溶媒を使用して、例えば共沸蒸留により、非水性相から付随的な水を除去してもよい。相分離又は水の除去に好ましい水混和性共溶媒は、約90℃を下回る沸点を有する。
【0097】
1つの例示的な相分離技術としては、エマルションを80℃に加熱することか、又はエマルションを等しい質量のエタノールで希釈して、次に密閉容器内で65℃に加熱することが挙げられる。次に、分液漏斗内での分離によって、非水性相を水性相から分離する。非水性相が水又はエタノールのいずれかを伴う(外観が濁っているか、又はカールフィッシャー滴定により水が約2%を超えることにより明らかになる)ならば、水及びエタノールを蒸留により除去できる。それ故に、15gの非水性相を遅く流して、200gの無水エタノール中に注いで、次に混合物を、真空下、90℃でロータリー・エバポレーターの乾燥に供し、蒸発させて、透明な水不溶性油を得る。次に、非水性相を約20℃で約18〜24時間に亘って静置させて、平行板形態(板直径=20mm、間隔=0.25mm)、及び5.9秒
−1の積算平均ずり速度を用いて、25℃でBohlin CVO 120高分解能レオメーターにおける粘度を測定する。油がニュートン性であるか、又は非ニュートン性であるかを決定するために、3.0秒
−1、3.8秒
−1、4.7秒
−1、5.9秒
−1、7.4秒
−1、9.2秒
−1、11.6秒
−1、14.5秒
−1、及び18.1秒
−1を含むずり速度の範囲に亘って、粘度を測定できる。粘度は、各ずり速度について昇順に測定され、そして各値は、30秒の測定時間での平均とした。より高いずり速度で引き続き測定するときには、後の測定を行なう前に30秒の中断を行うべきである。
【0098】
粒径試験
静的光散乱粒径分析を用いて、例えばホリバ(Horiba)LA−920粒径分析装置を用いて、分散油の粒径を測定できる。
【0099】
比較例A:アルコールエトキシレート及び弱両親媒性脂肪族アミン化合物のエマルションの乾燥塗布:
753gのオレイルプロピレンジアミン(イリノイ州シカゴのアクゾ・ノベル・サーファクタンツ(Akzo Nobel Surfactants)から入手可能なDuomeen OL)及び300gのココアルキルプロピレンジアミン(イリノイ州シカゴのアクゾ・ノベル・サーファクタンツから入手可能なDuomeen CD)を混合し、僅かに暖めて、透明溶液を形成した。これを、7400gの脱イオン水及び400gの氷酢酸から成る攪拌溶液中に注いで、透明淡黄色溶液を形成した。これに対して、598gのオレイル−9モルエトキシレート−カルボン酸(独国エメリッヒのカオ・ケミカルズ社から入手可能なAkypo RO 90 VG界面活性剤)を加え、攪拌を20分間に亘って続けると、溶液は再び透明淡黄色溶液になった。次に、550gの50%NaOHを約2分間に亘って加えて、粘性ベージュ色分散液(pH=10.43)を提供した。
【0100】
エマルションを終夜で80℃に加熱して相分離を起こさせて、得られた上澄みの透明黄色層を回収して、1日間に亘って室温で静置してから粘度を測定することにより、エマルションの分散非水性相の粘度を決定した。アリゾナ州テンペのアリゾナ・インスツルメンツ(Arizona Instrument)から入手可能なコンピュータ・ヴェイパー・プロ・モイスチャー・アナライザー(Computrac Vapor Pro Moisture Analyzer)を用いて分析したときに、非水性相の水含有量が67%であることを決定した。ずり速度に応じた非水性相の粘度を表1に示す。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は1.70倍まで変化した(一連の中の最高粘度を一連の中の最低粘度で割った)。したがって、エマルションの非水性分散相は、非ニュートンとして特徴付けられる。
【0101】
【表1】
【0102】
個別の実験では、エタノールを用いて共沸蒸留により非水性相から水を取り除いた。透明黄色上層(9.5g)を液滴で40mLの無水のエタノールに加え、真空下の90℃でロータリー・エバポレーターにより、得られた不均質液体を蒸発乾燥させて、透明黄色液体を得た。液滴をエタノールに加えて回転蒸発させるプロセスを繰り返して、ヴェイパー・プロ分析により決定したときに16%の水を有する透明黄色液体を提供した。乾燥された非水性相のずり速度に応じた粘度を表2に示す。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は1.69倍まで変化した。つまり、分離乾燥後のエマルションの非水性分散相は、非ニュートンとして特徴付けられる。
【0103】
【表2】
【0104】
P30Y(200μm)せん断槽及びその後のH210Z(200μm)せん断槽を備えたM−110Y「ミクロフルーダイザー(Microfluidizer、登録商標)」プロセッサー・ミクロフルーダイザー(マサチューセッツ州ニュートンのミクロ・フルーディクス(Micro fluidics)の製品)を用いて約5000psiの運転圧力で処理することにより、分散体をミクロ流動化して、透明だが僅かに濁った低粘度の黄色溶液を得た。ホリバ920パーティクル・アナライザーを用いて測定すると、エマルションの体積平均粒径は、0.1473μmであり、数平均粒径は、0.0927μmであることを決定した。ミクロ流動化エマルションは、7.5質量%のDuomeen OL、3.0質量%のDuomeen CD、及び6.0質量%のAkypo RO 90 VGを含んでいた。
【0105】
20時間の実験により、上述の通りに、乾燥形態で適用された潤滑剤エマルションの潤滑性及び洗浄性を評価した。ミクロ流動化エマルション(3000g)を7000gの脱イオン水で希釈して、2.25質量%のDuomeen OL、0.90質量%のDuomeen CD、及び1.80質量%のAkypo RO 90 VGを含む潤滑剤エマルションを得た。36〜44psiで運転しているノズルから潤滑剤エマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)。20時間の開始時に、潤滑剤組成物を30秒間に亘ってスプレーし、次に42.5分間に亘ってスプレーせず、そのサイクルを計28回繰り返した。この実験では、非適用時間:適用時間の比は、85:1であった。20時間の実験の間に、全適用時間は840秒であり、スプレーされた潤滑剤エマルションの体積は980mLであり、適用されたDuomeen OLの質量は22.1g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.104であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.101であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.263であり、そしてウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.262であった。実験の終了時に、コンベヤーの上面は、かなり綺麗に見えたが、複数のボトル上に、複数のスレッド上に、かつコンベヤーベルトの複数のリンクの間に、非常に大量の黒色油状残留物があった。この実験が示すことは、高粘性非ニュートン分散相が存在した状態では、弱両親媒性脂肪族ジアミンとアルコールエトキシレートカルボキシレートの混合物のエマルションが、相対的な「乾燥」条件(比較的高い濃度、かつ少量で分配された潤滑剤エマルション体積)下で運転するときに、許容できないほどに大量の汚れを生成するということである。
【0106】
実施例1:アルコールエトキシレートカルボキシレートと弱両親媒性脂肪族アミン化合物のエマルションの半乾燥塗布
上記の通りに調製されたミクロ流動化エマルション(100g)を9900gの脱イオン水で希釈して、0.075質量%のDuomeen OL、0.030質量%のDuomeen CD、及び0.060質量%のAkypo RO 90 VGを含む希釈潤滑剤エマルションを得た。36〜44psiで運転しているノズルから、希釈されたエマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)20時間の実験において、上記の通り、希釈潤滑剤エマルションの潤滑性及び洗浄性を評価した。20時間の開始時に、希釈潤滑剤組成物を5分間に亘ってスプレーして、トラックを十分に湿らせ、その後に2.3分は適用しなかった。その後に、希釈潤滑剤組成物を30秒間に亘ってスプレーし、次に138秒間に亘ってスプレーせず、このサイクルを計426回繰り返した。この実験では、非適用時間:適用時間の比は4.6:1であった。20時間の実験に亘って、全適用時間は13,080秒であり、スプレーされた潤滑剤エマルションの体積は15,260mLであり、適用されたDuomeen OLの質量は、11.5g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.170であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.175であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.113であり、ウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.164であった。
【0107】
実験の終了時に、コンベヤーの上面は、適度に汚れており、そして複数のボトル上に、複数のスレッド上に、又はコンベヤーベルトの複数のリンクの間には、黒色油状残留物は無かった。この実験が示すことは、脂肪族ジアミンとアルコールエトキシレートカルボキシレートの高粘性混合物のエマルションが、相対的な「半乾燥」条件(比較的低い濃度、かつ大量に分配された体積)下で運転するときに、許容できる程度に少量の汚れを生成し、かつ複数の平らな部品の間では滑り接触で、より低い摩擦係数を示し、つまり、ウェア・ストリップとチェーンの間では、より低い摩擦係数を示すということである。
【0108】
比較例B:水分散性リン酸エステル化合物のエマルションの乾燥塗布
352gのオレオセチル・5モル・エトキシレートリン酸エステル(ニュージャージー州Mount Hollyのクラリアント社から入手可能なRhodafac PA/35)を3150gの脱イオン水に加えて、10.0質量%のRhodafac PA/35を有する適度に粘性な半透明ベージュ色エマルションを得た。
【0109】
脱イオン水へ加える前のRhodafac PA/35のずり速度に応じた粘度を表3に示す。技術データシートによれば、Rhodafac PA/35は、2%未満の水を含む。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は、1.71倍まで変化した。そのようにして、エマルションの非水性分散相は、非ニュートンとして特徴付けられる。
【0110】
【表3】
【0111】
得られたエマルションは、粘性が有りすぎて、約36〜44psiで運転しているノズルからスプレーしたときに、扇形のスプレーパターンを提供できなかったので、そのエマルションの3000gを脱イオン水3000gで希釈して、5.0質量%のRhodafac PA/35を含む潤滑剤エマルションを得た。ホリバ920パーティクル・アナライザーを用いて測定すると、エマルションは、体積平均粒径が0.1645μmであり、かつ数平均粒径が0.1059μmであることが決定された。36〜44psiで運転しているノズルから潤滑剤エマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)。20時間の開始時に、潤滑剤組成物を15秒間に亘ってスプレーし、次に59.75分間に亘ってスプレーせず、再び15秒間に亘ってスプレーし、次に59.75分間に亘ってスプレーせず、その後に、15秒間に亘ってスプレーし、次に179.75分間に亘ってスプレーしなかった。15秒間に亘ってスプレーし、次に179.75分間に亘ってスプレーしないというサイクルを5回以上、例えば計6回繰り返した。この実験では、潤滑剤エマルションの全適用時間は120秒であり、全非適用時間は1198分であり、非適用時間:適用時間の比は599:1であり、スプレーされた潤滑剤エマルションの体積は140mLであり、適用されたRhodafac PA/35の質量は7.0g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.158であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.158であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.555であり、ウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.428であった。実験の終了時に、コンベヤーの上面は、適度に綺麗に見えたが、比較例Aと同様に、複数のボトル上に、複数のスレッド上に、及びコンベヤーベルトの複数のリンクの間に大量の黒色油状残留物があった。この実験が示すことは、高粘性非ニュートン分散相を有する弱両親媒性リン酸エステル化合物のエマルションが、相対的な「乾燥」条件(比較的高い濃度、かつ少量で分配された潤滑剤エマルション体積)下で運転したときに、ウェア・ストリップとフェライト系合金チェーンリンクの間に許容できないほどに高いCOFを提供し、かつ許容できないほどに大量の汚れを生成するということである。
【0112】
実施例2:水分散性リン酸エステル化合物のエマルションの半乾燥塗布
上記の通りに調製された10.0質量%のRhodafac PA/35を含むエマルション(167g)を9833gの脱イオン水で希釈して、0.167質量%のRhodafac PA/35を含む希釈潤滑剤エマルションを得た。36〜44psiで運転しているノズルから希釈されたエマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)20時間の実験において、上記の通りに、希釈潤滑剤エマルションの潤滑性及び洗浄性を評価した。20時間の開始時に、希釈潤滑剤組成物を5分間に亘ってスプレーし、トラックを十分に湿らせ、次いで、5.0分間に亘って適用しなかった。その後に、希釈潤滑剤エマルションを15秒間に亘ってスプレーし、次に、345秒間に亘ってスプレーせず、このサイクルを計198回繰り返した。この実験では、全適用時間は3270秒であり、全非適用時間は1144分であり、非適用時間:適用時間の比は21.0:1であり、適用されたRhodafac PA/35の質量は6.4g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.241であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.136であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.220であり、ウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.438であった。
【0113】
実験の終了時に、コンベヤーの上面は、少し汚れていたが、複数のボトル上に、複数のスレッド上に、又はコンベヤーベルトの複数のリンクの間には、黒色油状残留物が無かった。この実験が示すことは、高粘性リン酸エステル化合物のエマルションが、相対的な「半乾燥」条件(比較的低い濃度、かつ大量に分配された体積)下で運転したときに、許容できる程度に少量の汚れを生成し、かつ複数の平らな部品の間では滑り接触で、より低い摩擦係数を示し、つまり、ウェア・ストリップとチェーンの間では、より低い摩擦係数を示すということである。
【0114】
比較例C:アルコールエトキシレートカルボキシレート及び水分散性リン酸エステル化合物のエマルションの乾燥塗布
80gのオレイル・4モル・エトキシレートリン酸エステル(ニュージャージー州Mount Hollyのクラリアント社から入手可能なLubrhophos LB−400)及び80gのAkypo RO 90 VGをマイクロ波加熱により約80℃へ温めて、透明な淡琥珀色液体を得て、それを1840gの脱イオン水へ加えて、4.0質量%のLubrhophos LB−400及び4.0質量%のAkypo RO 90 VGを有し、かつ適度な粘度を有する粘弾性半透明ベージュ色エマルションを得た。
【0115】
脱イオン水を加える前のLubrhophos LB−400及びAkypo RO 90 VGのずり速度に応じた粘度を表4に示す。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は5.43倍まで変化した。したがって、エマルションの非水性分散相は、非ニュートンとして特徴付けられる。
【0116】
【表4】
【0117】
得られたエマルションは、粘性が有りすぎて、約36〜44psiで運転しているノズルからスプレーしたときに、扇形のスプレーパターンを提供することができなかったので、そのエマルションの2000gを脱イオン水2000gで希釈して、2.0質量%のLubrhophos LB−400及び2.0質量%のAkypo RO 90 VGを含む潤滑剤エマルションを得た。ホリバ920パーティクル・アナライザーを用いて測定すると、エマルションは、体積平均粒径が0.1500μmであり、数平均粒径が0.1256μmであることが決定された。ブルックフィールド(Brookfield)LV粘度計及びS01スピンドルを50rpmで用いて、エマルションの粘度を測定したところ、18.0センチポアズであることが決定された。36〜44psiで運転しているノズルから潤滑剤エマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)。20時間の開始時に、潤滑剤組成物を5分間に亘ってスプレーし、次に、10分間に亘ってスプレーせず、再び30秒間に亘ってスプレーし、次に42.35分に亘ってスプレーしなかった。30秒間に亘ってスプレーし、次に42.35分間に亘ってスプレーしないというサイクルを、27回を超える回数(例えば計28回)繰り返した。この実験では、潤滑剤エマルションの全適用時間1140秒であり、全非適用時間は1181分であり、非適用時間:適用時間の比は62:1であり、スプレーされた潤滑剤エマルションの体積は1330mLであり、適用されたLubrhophos LB−400の質量は26.6g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.089であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.074であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.440であり、ウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.109であった。実験の終了時に、コンベヤーの上面は、適度に綺麗に見えたが、比較例A及びBの場合と同様に、複数のボトル上には大量の黒色油状残留物があった。この実験が示すことは、水不溶性リン酸エステル及びアルコールエトキシレートカルボキシレートのエマルションは、高粘性非ニュートン分散相を存在させた状態では、相対的な「乾燥」条件(比較的高い濃度、かつ少量で分配された潤滑剤エマルション体積)下で運転したときに、ウェア・ストリップとフェライト系合金チェーンリンクの間に許容できないほどに高いCOFを提供し、かつ許容できないほどに大量の汚れを生成するということである。
【0118】
実施例3:アルコールエトキシレートカルボキシレート及び水分散性リン酸エステル化合物のエマルションの半乾燥塗布
上記の通りに調製された4.0質量%のLubrhophos LB−400及び4.0質量%のAkypo RO 90 VGを含むエマルション(167g)を9833gの脱イオン水で希釈して、0.0668質量%のLubrhophos LB−400及び0.0668質量%のAkypo RO 90 VGを含む希釈潤滑剤エマルションを得た。36〜44psiで運転しているノズルから希釈されたエマルションをスプレーした(1分当たり約60〜80gの潤滑剤を送達した)20時間の実験において、上記の通りに、希釈潤滑剤エマルションの潤滑性及び洗浄性を評価した。20時間の開始時に、希釈潤滑剤組成物を5分間に亘ってスプレーして、トラックを十分に湿らせて、次に2.3分間に亘って適用しなかった。その後に、希釈潤滑剤エマルションを30秒間に亘ってスプレーし、次に138秒間に亘ってスプレーせず、このサイクルを計426回繰り返した。この実験では、全適用時間は218分であり、全非適用時間は982分であり、非適用時間:適用時間の比は4.5:1であり、適用されたLubrhophos LB−400の質量は10.2g/トラックであった。平均COF(運転の最後の4時間に亘って平均化された)は、ボトルとフェライト系トラックの間では0.217であり、ボトルとオーステナイト系トラックの間では0.235であり、ウェア・ストリップスレッドとフェライト系トラックの間では0.206であり、ウェア・ストリップスレッドとオーステナイト系トラックの間では0.120であった。実験の終了時に、コンベヤーの上面は、適度に汚れていたが、複数のボトル上に、複数のスレッド上に、又はコンベヤーベルトの複数のリンクの間には黒色油状残留物が無かった。この実験が示すことは、リン酸エステル化合物とアルコールエトキシレートカルボキシレートの高粘性混合物のエマルションは、相対的な「半乾燥」条件(比較的低い濃度、かつ大量に分配された体積)下で運転したときに、許容できる程度に少量の汚れを生成し、かつ複数の平らな部品の間では滑り接触で、より低い摩擦係数を示し、つまり、ウェア・ストリップとチェーンの間では、より低い摩擦係数を示すということである。
【0119】
比較例D:シリコーンエマルション
この比較例では、ミネソタ州セント・ポールのイーコラブ社から市販されている、シリコーン及び脂肪族アミン系潤滑剤「DryExx(登録商標)」を使用した。ステンレス鋼コンベヤーベルト上のガラスボトルパッケージを用いる潤滑性試験によって、DryExx(登録商標)を試験した。「乾燥」形態で塗布すると、摩擦係数は0.25を上回り、そして漏水と併用すると、複数のボトルは直ぐにクラッシュした。
【0120】
典型的な食品等級のシリコーンオイル(ダウ・コーニング製200フルード(fluid)300cSt)について、ずり速度に応じたシリコーンオイルの粘度を決定して、結果を表5に示す。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は1.08倍まで変化した。つまり、エマルションの非水性分散相は、ニュートン性として特徴付けられる。
【0121】
【表5】
【0122】
エタノールを用いる共沸蒸留により、Lambent E2140FGエマルションから水を取り除くことにより、食品等級シリコーンエマルションの分散された非水性相の粘度を決定した。Lambent E2140FGエマルション(15g)を液滴で200gの無水のエタノールに加え、真空下の80℃でロータリー・エバポレーターにより、得られた不均質液体を蒸発乾燥させて、白濁液体を得た。追加の無水のエタノール(100g)を残留物に加え、回転蒸発プロセスを2回繰り返して、僅かに濁った白色液体、及び第二の非混合性相の僅かに黄色掛かった液滴を得た。僅かに黄色掛かった第二相は、水に可溶であり、僅かに濁った白色相は、水と混ざらなかった。僅かに濁った白色水不溶性油を回収し、ヴェイパー・プロ分析により、0.06%の水を有することを決定した。水不溶性油の粘度を測定して、結果を表6に示した。3.0秒
−1〜18.1秒
−1のずり速度範囲に亘って、粘度は1.07倍まで変化した。したがって、エマルションの非水性分散相は、ニュートン性として特徴付けられる。
【0123】
【表6】
【0124】
様々な特定の好ましい実施形態及び技術について、本発明を説明した。しかし、本発明の理念及び範囲内に維持される限り、多くの変化及び改良を行なってよいことを理解されたい。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[13]に記載する。
[1]
(a)約300センチポアズを超える粘度を有する水不溶性油;
(b)約0〜約0.35質量%の乳化剤;及び
(c)親水性希釈剤を含めて約99.3〜約99.99質量%の水;
を含む潤滑剤エマルションを、コンベヤーの容器接触面の少なくとも1部分又は容器のコンベヤー接触面の少なくとも1部分に適用する工程を含む、コンベヤーに沿って容器の通路を潤滑化する方法であって、
該潤滑剤エマルションは、一定の時間に亘って適用され、かつ一定の時間に亘って適用されず、そして適用されない時間:適用される時間の比は、2:1〜32:1である、前記方法。
[2]
前記水不溶性油は、約0.01%〜約0.35%の弱両親媒性化合物を含む、項目1に記載の方法。
[3]
20mmの板直径及び0.25mmの板間隔を有する平行板型レオメーターを用いて5.9秒−1の積算平均ずり速度で測定したときに、水不溶性油は、少なくとも約300センチポアズの粘度を有する、項目1に記載の方法。
[4]
前記水不溶性油は、水不溶性非酸性脂肪族アミン化合物、水不溶性リン酸エステル化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択される、項目1に記載の方法。
[5]
前記水不溶性油は、約0.01〜約0.35質量%で存在する、項目1に記載の方法。
[6]
前記水不溶性油は、前記乳化剤で乳化されており、かつ得られたエマルションは、約0.05〜約5μmの粒径を有する、項目1に記載の方法。
[7]
前記適用する工程は、非励起ノズルによって前記エマルションを噴霧する工程を含む、項目1に記載の方法。
[8]
前記適用する工程は、前記潤滑剤エマルションを、第一の時間に亘って適用し、かつ第二の時間に亘って適用しない工程を含み;そして該第一の時間:該第二の時間の比は、約1:約10以上である、項目1に記載の方法。
[9]
前記エマルションは、追加成分をさらに含む、項目1に記載の方法。
[10]
前記エマルションは、使用中に約0.4未満の摩擦係数を維持する、項目1に記載の方法。
[11]
前記容器は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、板紙、ガラス、又は金属を含む、項目1に記載の方法。
[12]
前記潤滑剤エマルションは:
(a)オレイルジアミノプロパン、ココジアミノプロパン、ラウリルプロピルジアミン、ジメチルラウリルアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるアミン;
(b)約0.05〜約15質量%の乳化剤;及び
(c)約55〜約97質量%の水、
を含み、かつ12を超えるpHを有する、項目1に記載の方法。
[13]
(a)i)約300センチポアズを超える粘度を有する水不溶性油;及び
ii)乳化剤
を含む潤滑剤濃縮体を提供する工程;
(b)該潤滑剤濃縮体を水で希釈して:
i)該水不溶性油;
ii)約0〜約0.35%の該乳化剤;及び
iii)約99.3〜約99.99%の水
を含む潤滑剤使用組成物を形成する工程;並びに
(c)該潤滑剤使用組成物を、コンベヤーの容器接触面の少なくとも1部分又は容器のコンベヤー接触面の少なくとも1部分に適用する工程
を含む、コンベヤーに沿って容器の通路を潤滑化する方法であって、
該潤滑剤使用組成物は、一定の時間に亘って適用され、かつ一定の時間に亘って適用されず、そして適用されない時間:適用される時間の比は、2:1〜32:1である、前記方法。