特許第5970018号(P5970018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970018
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】圧力センサチップ
(51)【国際特許分類】
   G01L 13/02 20060101AFI20160804BHJP
   G01L 15/00 20060101ALI20160804BHJP
   G01L 19/06 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G01L13/02 Z
   G01L15/00
   G01L19/06 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-71072(P2014-71072)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194346(P2015-194346A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智久
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3847281(JP,B2)
【文献】 特許第5227729(JP,B2)
【文献】 特許第3238001(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本件特許出願を優先基礎出願とする国際特許出願であるPCT/JP2015
/056836の国際調査報告が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の中央部に形成され一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力する第1種のセンサダイアフラムと、
前記基板上に前記第1種のセンサダイアフラムから離間して形成され一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力する前記第1種のセンサダイアフラムよりも受圧感度が低い第2種のセンサダイアフラムと、
前記基板の一方の面および他方の面にその周縁部を前記第2種のセンサダイアフラムを挟んで対面させて接合された第1および第2の保持部材と、
前記第1の保持部材に設けられ前記第1種のセンサダイアフラムの一方の面に第1の測定圧力を導く第1の導圧孔と、
前記第2の保持部材に設けられ前記第1種のセンサダイアフラムの他方の面に第2の測定圧力を導く第2の導圧孔と、
前記第1の保持部材に設けられ前記第1種のセンサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第1の凹部と、
前記第2の保持部材に設けられ前記第1種のセンサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第2の凹部と、
前記第1の保持部材の周縁部に、前記第2種のセンサダイアフラムの一方の面に対向する空間として設けられ、この空間内に前記第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力が分岐して導かれる第1の室と、
前記第2の保持部材の周縁部に、前記第2種のセンサダイアフラムの他方の面に対向する空間として設けられ、この空間内に前記第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力が分岐して導かれる第2の室とを備え、
前記第1の保持部材は、
前記第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力を分岐して前記第1の室に導く第1の通路を内部に有し、
前記第2の保持部材は、
前記第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力を分岐して前記第2の室に導く第2の通路を内部に有する
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項2】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第2種のセンサダイアフラムは、
前記第1種のセンサダイアフラムの周囲を囲むようにして連続して設けられた環状のダイアフラムとされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項3】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第2種のセンサダイアフラムは、
前記第1種のセンサダイアフラムの周囲を囲むようにして分割して設けられた環状のダイアフラムとされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項4】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第2種のセンサダイアフラムは、
前記第1種のセンサダイアフラムの周囲の一部に設けられたダイアフラムとされている
ことを特徴とする圧力センサチップ
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第2種のセンサダイアフラムを複数備え、
前記複数の第2種のセンサダイアフラムの受圧感度は、その受圧感度が段階的に低くされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材は、
前記第1の導圧孔の周部に連通する非接合領域を内部に有し、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域は、
前記基板の一方の面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けられ、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、複数の凸部が離散的に形成され、
この複数の凸部と凸部との間の通路が前記第1の導圧孔の周部と前記非接合領域の周端部との間の連通路とされ、
この連通路とこの連通路を前記第1の室に連通させる第3の導圧孔とによって前記第1の通路が形成され、
前記第2の保持部材は、
前記第2の導圧孔の周部に連通する非接合領域を内部に有し、
前記第2の保持部材の内部の非接合領域は、
前記基板の他方の面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けられ、
前記第2の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、複数の凸部が離散的に形成され、
この複数の凸部と凸部との間の通路が前記第2の導圧孔の周部と前記非接合領域の周端部との間の連通路とされ、
この連通路とこの連通路を前記第2の室に連通させる第4の導圧孔とによって前記第2の通路が形成されている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項7】
請求項6に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域の面積は、
前記第1の保持部材に設けられている前記第1の凹部の受圧面積よりも大きな面積とされており、
前記第2の保持部材の内部の非接合領域の面積は、
前記第2の保持部材に設けられている前記第2の凹部の受圧面積よりも大きな面積とされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた圧力センサチップ、例えば圧力を受けて変位する薄板状のダイアフラム上に歪抵抗ゲージを形成し、ダイアフラムに形成された歪抵抗ゲージの抵抗値変化からダイアフラムに加わった圧力を検出する圧力センサチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業用の差圧センサとして、一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた圧力センサチップを組み込んだ差圧センサが用いられている。
【0003】
この差圧センサは、高圧側および低圧側の受圧ダイアフラムに加えられる各測定圧を、圧力伝達媒体としての封入液によってセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に導き、そのセンサダイアフラムの歪みを例えば歪抵抗ゲージの抵抗値変化として検出し、この抵抗値変化を電気信号に変換して取り出すように構成されている。
【0004】
この差圧センサの一種として、差圧だけではなく、静圧も測定することができるようにした差圧/静圧複合センサがある。この差圧/静圧複合センサでは、基板の中央部に形成した差圧用ダイアフラムの外周に、円輪の静圧用ダイアフラムを形成している(例えば、特許文献1参照)。この差圧/静圧複合センサでは、他方の面が基準圧とされた静圧用ダイアフラムの一方の面に差圧用ダイアフラムの一方または他方の面への測定圧を分岐して導くことにより、差圧だけではなく、静圧も検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−91384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種のセンサでは、そのダイアフラムのアスペクト比が感度と耐圧を決めるため、アスペクト比を変えることで、その測定レンジが分けられる。従って、一般的にアスペクト比の異なる、つまりレンジの異なるダイアフラムを1チップに搭載すれば、上述したような差圧/静圧複合センサ(差圧静圧のマルチバリアブルセンサ)を実現することが可能となる。しかしながら、この種のセンサにおいて、差圧の測定レンジのマルチ化は難しく、差圧のマルチレンジセンサは実現されていない。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、差圧の測定レンジのマルチ化を実現することが可能な圧力センサチップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために本発明は、基板と、基板の中央部に形成され一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力する第1種のセンサダイアフラムと、基板上に第1種のセンサダイアフラムから離間して形成され一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力する第1種のセンサダイアフラムよりも受圧感度が低い第2種のセンサダイアフラムと、基板の一方の面および他方の面にその周縁部を第2種のセンサダイアフラムを挟んで対面させて接合された第1および第2の保持部材と、第1の保持部材に設けられ第1種のセンサダイアフラムの一方の面に第1の測定圧力を導く第1の導圧孔と、第2の保持部材に設けられ第1種のセンサダイアフラムの他方の面に第2の測定圧力を導く第2の導圧孔と、第1の保持部材に設けられ第1種のセンサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第1の凹部と、第2の保持部材に設けられ第1種のセンサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第2の凹部と、第1の保持部材の周縁部に、第2種のセンサダイアフラムの一方の面に対向する空間として設けられ、この空間内に第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力が分岐して導かれる第1の室と、第2の保持部材の周縁部に、第2種のセンサダイアフラムの他方の面に対向する空間として設けられ、この空間内に第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力が分岐して導かれる第2の室とを備え、第1の保持部材は、第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力を分岐して第1の室に導く第1の通路を内部に有し、第2の保持部材は、第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力を分岐して第2の室に導く第2の通路を内部に有することを特徴とする。
【0009】
本発明において、基板には、その中央部に第1種のセンサダイアフラムが形成され、この第1種のセンサダイアフラムから離間して第2種のセンサダイアフラムが形成されている。そして、基板の一方の面および他方の面にその周縁部を第2種のセンサダイアフラムを挟んで対面させて第1および第2の保持部材が接合されており、第1の保持部材には第1種のセンサダイアフラムの一方の面に第1の測定圧力を導く第1の導圧孔と第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第1の凹部が設けられ、第2の保持部材には第1種のセンサダイアフラムの他方の面に第2の測定圧力を導く第2の導圧孔と第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第2の凹部が設けられている。また、第1の保持部材の周縁部に、第2種のセンサダイアフラムの一方の面に対向する空間として、この空間内に第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力が分岐して導かれる第1の室が設けられている。また、第2の保持部材の周縁部に第2種のセンサダイアフラムの他方の面に対向する空間として、この空間内に第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力が分岐して導かれる第2の室が設けられている。
【0010】
本発明において、第1種のセンサダイアフラムの一方の面には第1の測定圧力が導かれ、第1種のセンサダイアフラムの他方の面には第2の測定圧力が導かれる。これにより、第1種のセンサダイアフラムは、第1の測定圧力と第2の測定圧力との圧力差に応じた信号を出力する。一方、第2種のセンサダイアフラムの一方の面には第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力が第1の保持部材の内部に形成されている第1の通路を通して導かれ、第2種のセンサダイアフラムの他方の面には第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力が第2の保持部材の内部に形成されている第2の通路を通して導かれる。これにより、第2種のセンサダイアフラムは、第1の測定圧力と第2の測定圧力との圧力差に応じた信号を出力する。
【0011】
すなわち、本発明において、第1種のセンサダイアフラムは第1の測定圧力と第2の測定圧力との圧力差を検出する第1の差圧センサを構成し、第2種のセンサダイアフラムは第1の測定圧力と第2の測定圧力との圧力差を検出する第2の差圧センサを構成する。本発明において、第2種のセンサダイアフラムの受圧感度は第1種のセンサダイアフラムの受圧感度よりも低い。これにより、第1種のセンサダイアフラムから得られる圧力差を低圧レンジの差圧として、第2種のセンサダイアフラムから得られる圧力差を高圧レンジの差圧として、低圧差圧印加時は、第1種のセンサダイアフラムでその差圧を高精度に測定し、高圧差圧印加時は、第2種のセンサダイアフラムでその差圧を高精度に測定するようにして、差圧の測定レンジのマルチ化を実現することが可能となる。高圧差圧印加時、第1種のセンサダイアフラムには過大圧が印加されるが、第1の保持部材および第2の保持部材には第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する凹部が設けられているので、破壊されてしまうということはない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板の中央部に第1種のセンサダイアフラムを形成し、この第1種のセンサダイアフラムから離間して第1種のセンサダイアフラムよりも受圧感度が低い第2種のセンサダイアフラムを基板上に形成し、基板の一方の面および他方の面にその周縁部を第2種のセンサダイアフラムを挟んで対面させて第1および第2の保持部材を接合し、第1の保持部材に第1種のセンサダイアフラムの一方の面に第1の測定圧力を導く第1の導圧孔と第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第1の凹部を設け、第2の保持部材に第1種のセンサダイアフラムの他方の面に第2の測定圧力を導く第2の導圧孔と第1種のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する第2の凹部を設け、第1の保持部材の周縁部に第2種のセンサダイアフラムの一方の面に対向する空間として第1の室を、第2の保持部材の周縁部に第2種のセンサダイアフラムの他方の面に対向する空間として第2の室を設け、第1の室に第1種のセンサダイアフラムの一方の面への第1の測定圧力を第1の保持部材の内部に形成されている第1の通路を通して分岐して導くようにし、第2の室に第1種のセンサダイアフラムの他方の面への第2の測定圧力を第2の保持部材の内部に形成されている第2の通路を通して分岐して導くようにしたので、第1種のセンサダイアフラムから得られる圧力差を低圧レンジの差圧として、第2種のセンサダイアフラムから得られる圧力差を高圧レンジの差圧として出力させるようにして、差圧の測定レンジのマルチ化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る圧力センサチップの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略を示す図である。
図2】この圧力センサチップの基板における低圧差圧用ダイアフラムおよび高圧差圧用ダイアフラムの配置例を示す図である。
図3】この圧力センサチップにおけるストッパ部材の内部の非接合領域に離散的に形成された複数の凸部の形状を示す平面図である。
図4】この圧力センサチップにおけるストッパ部材の内部の非接合領域に離散的に形成された複数の凸部の形状の他の例を示す平面図である。
図5】この圧力センサチップにおいて低圧差圧用ダイアフラムがストッパ部材の凹部に着底した後の状態を示す図である。
図6】本発明に係る圧力センサチップの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略を示す図である。
図7】実施の形態2の圧力センサチップにおいてストッパ部材の内部の環状の溝をスリット状(矩形状断面)とした例を示す図である。
図8】実施の形態2の圧力センサチップにおいてストッパ部材の内部の環状の溝を半円以上の溝と半円以下の溝とをずらした形状とした例を示す図である。
図9】実施の形態2の圧力センサチップにおいて低圧差圧用ダイアフラムがストッパ部材の凹部に着底した後の状態を示す図である。
図10】本発明に係る圧力センサチップの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略を示す図である。
図11】高圧差圧用ダイアフラムの別の構成例を示す図である。
図12】高圧差圧用ダイアフラムの別の構成例を示す図である。
図13】1段目の高圧差圧用ダイアフラムと2段目の高圧差圧用ダイアフラムとを設けるようにした例を示す図である。
図14】1段目の高圧差圧用ダイアフラムと2段目の高圧差圧用ダイアフラムとを設けるようにした場合の他の構成例を示す図である。
図15】1段目の高圧差圧用ダイアフラムと2段目の高圧差圧用ダイアフラムとを設けるようにした場合の別の構成例を示す図である。
図16】本発明に係る圧力センサチップの第4の実施の形態(実施の形態4)の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の権利範囲に含まれないものも実施の形態として記載されているが、ここでは全て実施の形態として説明する。
【0015】
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る圧力センサチップの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略を示す図である。同図において、11−1は基板、11−2および11−3は基板11−1を挟んで接合された第1および第2のストッパ部材、11−4および11−5はストッパ部材11−2および11−3に接合された第1および第2の台座である。ストッパ部材11−2,11−3や台座11−4,11−5はシリコンやガラスなどにより構成されている。
【0016】
この圧力センサチップ11Aにおいて、基板11−1には、第1種のセンサダイアフラムとして低圧差圧用ダイアフラム1が、第2種のセンサダイアフラムとして高圧差圧用ダイアフラム2がドライエッチングにより形成されている。
【0017】
図2に基板11−1における低圧差圧用ダイアフラム1および高圧差圧用ダイアフラム2の配置例を示す。この例では、基板1の中央部に円形のダイアフラムを低圧差圧用ダイアフラム1として設け、この円形の低圧差圧用ダイアフラム1の周囲を囲むようにして円環状のダイアフラムを高圧差圧用ダイアフラム2として設けている。
【0018】
本実施の形態において、高圧差圧用ダイアフラム2の受圧面の面積は、低圧差圧用ダイアフラム1の受圧面の面積よりも小さくされている。すなわち、高圧差圧用ダイアフラム2の受圧感度は、低圧差圧用ダイアフラム1の受圧感度よりも低くされている。
【0019】
この低圧差圧用ダイアフラム1および高圧差圧用ダイアフラム2が設けられた基板11−1はストッパ部材11−2とストッパ部材11−3との間に挟まれている。すなわち、基板11−1の一方の面および他方の面に、その中央部に低圧差圧用ダイアフラム1を位置させて、またその周縁部を高圧差圧用ダイアフラム2を挾んで対面させて、ストッパ部材11−2とストッパ部材11−3とを接合している。
【0020】
ストッパ部材11−2の周縁部には、高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面に対向する空間(円環状の空間)として室3が設けられており、ストッパ部材11−3の周縁部には、高圧差圧用ダイアフラム2の他方の面に対向する空間(円環状の空間)として室4が設けられている。以下、ストッパ部材11−2に設けられている室3を第1の室、ストッパ部材11−3に設けられている室4を第2の室と呼ぶ。
【0021】
本実施の形態において、高圧差圧用ダイアフラム2の第1の室3に対向する一方の面の幅(高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面に対向する第1の室3の幅)W1と、高圧差圧用ダイアフラム2の第2の室4に対向する他方の面の幅(高圧差圧用ダイアフラム2の他方の面に対向する第2の室4の幅)W2とは等しくされている。
【0022】
また、ストッパ部材11−2の中央部には、低圧差圧用ダイアフラム1の一方の面に対向する空間として室5が設けられており、ストッパ部材11−3の中央部には、低圧差圧用ダイアフラム1の他方の面に対向する空間として室6が設けられている。
【0023】
室5および6は、低圧差圧用ダイアフラム1の一方の面および他方の面に対峙する凹部11−2aおよび11−3aによって作られる空間とされ、この凹部11−2aおよび11−3aは低圧差圧用ダイアフラム1の変位に沿った曲面(非球面)とされている。
【0024】
室5および6に対しては圧力導入孔(導圧孔)11−2bおよび11−3bが凹部11−2aおよび11−3aの頂部に形成されている。また、台座11−4,11−5にも、ストッパ部材11−2,11−3の導圧孔11−2b,11−3bに対応する位置に、圧力導入孔(導圧孔)11−4a,11−5aが形成されている。
【0025】
この圧力センサチップ11Aにおいて、ストッパ部材11−2は、導圧孔11−2bの周部に連通する非接合領域SA1を内部に有している。この非接合領域SA1は、基台11−1の一方の面と平行な面PLの一部を対向する第1の面PL1と第2の面PL2とに分けた領域として設けられている。
【0026】
また、この非接合領域SA1の対向する第1の面PL1およびPL2の少なくとも一方の面(この例では、第1の面PL1)上には、複数の凸部(柱)12が離散的に形成されており(図3参照)、この複数の凸部12と凸部12との間の通路(溝)13が導圧孔11−2bの周部と非接合領域SA1の周端部14との間の連通路とされている。この例において、凸部12は円柱状とされているが、図4に示すように、六角柱状とするなどしてもよい。
【0027】
この例において、ストッパ部材11−2は、基台11−1の一方の面と平行な面PLで2分割されており、この2分割された一方のストッパ部材11−21と他方のストッパ部材11−22とを、非接合領域SA1が設けられた面PLの非接合領域SA1を除く領域SB1同士を接合することにより1つのストッパ部材11−2としている。これにより、基台11−1の一方の面と平行な面PLは、導圧孔11−2bの周部に連通する非接合領域SA1と、導圧孔11−2bの周部には連通しない接合領域SB1とに分けられている。
【0028】
ストッパ部材11−3も、ストッパ部材11−2と同様、導圧孔11−3bの周部に連通する非接合領域SA2を内部に有している。この非接合領域SA2は、基台11−1の他方の面と平行な面PLの一部を対向する第1の面PL1と第2の面PL2とに分けた領域として設けられている。
【0029】
また、非接合領域SA2の対向する第1の面PL1およびPL2の少なくとも一方の面(この例では、第1の面PL1)上に、ストッパ部材11−2における非接合領域SA1と同様、複数の凸部(柱)12が離散的に形成されており、この複数の凸部12と凸部12との間の通路(溝)13が導圧孔11−3bの周部と非接合領域SA2の周端部14との間の連通路とされている。この例においても、凸部12は円柱状とされているが、六角柱状とするなどしてもよい。
【0030】
この例において、ストッパ部材11−3は、基台11−1の他方の面と平行な面PLで2分割されており、この2分割された一方のストッパ部材11−31と他方のストッパ部材11−32とを、非接合領域SA2が設けられた面PLの非接合領域SA2を除く領域SB2同士を接合することにより1つのストッパ部材11−3としている。これにより、基台11−1の他方の面と平行な面PLは、導圧孔11−3bの周部に連通する非接合領域SA2と、導圧孔11−3bの周部には連通しない接合領域SB2とに分けられている。
【0031】
ストッパ部材11−2において、第1の室3は凹部11−2aとともにストッパ部材11−21に設けられており、第1の室3と非接合領域SA1との間には圧力導入孔(導圧孔)11−2cが形成されている。また、ストッパ部材11−3において、第2の室4は凹部11−3aとともにストッパ部材11−31に設けられており、第2の室4と非接合領域SA2との間には圧力導入孔(導圧孔)11−3cが形成されている。この例において、導圧孔11−2cおよび11−3cは、左右2カ所に設けられている。
【0032】
この圧力センサチップ11Aでは、ストッパ部材11−2の導圧孔11−2bを通して測定圧力Paが室5の内部に導かれ、ストッパ部材11−3に設けられている導圧孔11−3bを通して測定圧力Pbが室6の内部に導かれる。これにより、低圧差圧用ダイアフラム1が室5の内部に導かれた測定圧力Paと室6の内部に導かれた測定圧力Pbとの差に相当する変位を呈し、この変位により低圧差圧用ダイアフラム1のエッジ部に発生する応力が差圧ΔPとして、低圧差圧用ダイアフラム1のエッジ部に設けられているピエゾ抵抗素子(図示せず)の抵抗値の変化により検出される。
【0033】
一方、この圧力センサチップ11Aでは、ストッパ部材11−2の内部に設けられている非接合領域SA1に導圧孔11−2bを通して測定圧力Paが導かれ、この非接合領域SA1に導かれた測定圧力Paが導圧孔11−2cを通して高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面に対向する第1の室3に導かれる。
【0034】
また、ストッパ部材11−3の内部に設けられている非接合領域SA2に導圧孔11−3bを通して測定圧力Pbが導かれ、この非接合領域SA2に導かれた測定圧力Pbが導圧孔11−3cを通して高圧差圧用ダイアフラム2の他方の面に対向する第2の室4に導かれる。
【0035】
これにより、高圧差圧用ダイアフラム2が室3の内部に導かれた測定圧力Paと室4の内部に導かれた測定圧力Pbとの差に相当する変位を呈し、この変位により高圧差圧用ダイアフラム2のエッジ部に発生する応力が差圧ΔPとして、高圧差圧用ダイアフラム2のエッジ部に設けられているピエゾ抵抗素子ra1〜ra4(図2参照)の抵抗値の変化により検出される。
【0036】
本実施の形態において、高圧差圧用ダイアフラム2の受圧感度は、低圧差圧用ダイアフラム1の受圧感度よりも低くされている。このため、低圧差圧印加時は、低圧差圧用ダイアフラム1が差圧ΔPに相当する変位を呈するが高圧差圧用ダイアフラム2は差圧ΔPに相当する変位を呈しない。高圧差圧印加時は、ストッパ部材11−2および11−3に設けられている凹部11−2aおよび11−3aによって低圧差圧用ダイアフラム1の過度な変位が阻止されるので、低圧差圧用ダイアフラム1は差圧ΔPに相当する変位を呈さず、高圧差圧用ダイアフラム2が差圧ΔPに相当する変位を呈する。
【0037】
このように、本実施の形態では、高圧差圧用ダイアフラム2の受圧感度が低圧差圧用ダイアフラム1の受圧感度よりも低くされていることから、低圧差圧用ダイアフラム1から得られる圧力差ΔPが低圧レンジの差圧ΔPLとして出力され、高圧差圧用ダイアフラム2から得られる圧力差ΔPが高圧レンジの差圧ΔPHとして出力されるものとなる。
【0038】
これにより、低圧差圧印加時は、低圧差圧用ダイアフラム(第1種のセンサダイアフラム)1でその差圧が高精度に測定され、高圧差圧印加時は、高圧差圧用ダイアフラム(第2種のセンサダイアフラム)2でその差圧が高精度に測定されるものとなり、差圧の測定レンジのマルチ化が実現される。
【0039】
なお、高圧差圧印加時、低圧差圧用ダイアフラム1には過大圧が印加されるが、ストッパ部材11−2および11−3に設けられている凹部11−2aおよび11−3aによって低圧差圧用ダイアフラム1の過度な変位が阻止されるので、破壊されてしまうということはない。
【0040】
例えば、この圧力センサチップ11Aにおいて、測定圧力Pbを高圧側の測定圧とし、測定圧力Paを低圧側の測定圧とした場合、低圧差圧用ダイアフラム1の他方の面に高圧側の測定圧力Pbがかかると、低圧差圧用ダイアフラム1はストッパ部材11−2側に撓む。この際、ストッパ部材11−3には低圧差圧用ダイアフラム1が撓んだ方向とは反対側に力が加わり、ダイアフラムエッジ(図1中に点Gで示す箇所)に開きが生じようとする。なお、以下の説明では、図1において、低圧差圧用ダイアフラム1が撓んだ方向を上方向、撓んだ方向とは反対側を下方向と呼ぶ。
【0041】
この場合、本実施の形態では、ストッパ部材11−3の内部に設けられている非接合領域SA2に導圧孔11−3bを通して測定圧力Pbが導かれるので、この非接合領域SA2が測定圧力Pbの受圧面となって、ストッパ部材11−3に加わる下方向への力を抑制し、ダイアフラムエッジに開きを生じさせないようにする。これにより、低圧差圧用ダイアフラム1の拘束による応力発生が低減され、ダイアフラムエッジへの応力集中が防がれる。
【0042】
この圧力センサチップ11Aにおいて、非接合領域SA2は、低圧差圧用ダイアフラム1がストッパ部材11−2の凹部11−2aに着底した後、過大圧が大きくなったような場合、さらに大きな効果を発揮する。
【0043】
図5に低圧差圧用ダイアフラム1がストッパ部材11−2の凹部11−2aに着底した後の状態を示す。低圧差圧用ダイアフラム1の他方の面に過大圧がかかると、低圧差圧用ダイアフラム1はストッパ部材11−2側に撓み、ストッパ部材11−2の凹部11−2aに着底する。この低圧差圧用ダイアフラム1の凹部11−2aへの着底後、過大圧が大きくなると、ストッパ部材11−3に加わる下方向への力により、ストッパ部材11−3が変形し、ダイアフラムエッジに開きが生じようとする。
【0044】
この場合、本実施の形態では、ストッパ部材11−3の内部に設けられている非接合領域SA2にも、導圧孔11−3bを通して複数の凸部12と凸部12の間の通路13内に満遍なく過大圧が導かれるので、この非接合領域SA2が過大圧の受圧面となって、ストッパ部材11−31に上方向への力を加え、ストッパ部材11−31の変形を抑制、もしくは逆方向に変形させる。図5の例では、低圧差圧用ダイアフラム1の上方向への変形に追従する形で、ストッパ部材11−31を上方向へ変形させている。
【0045】
これにより、低圧差圧用ダイアフラム1のストッパ部材11−2の凹部11−2aへの着底後、過大圧が大きくなっても、ダイアフラムエッジに開きが生じず、ダイアフラムエッジへの応力集中が避けられ、期待される耐圧が確保される。このため、高圧差圧用ダイアフラム2による高圧レンジの差圧ΔPHの測定中、低圧差圧用ダイアフラム1が破壊されてしまうということが防がれる。
【0046】
なお、本実施の形態において、ストッパ部材11−3の内部に設ける非接合領域SA2の面積は、すなわちストッパ部材11−3の内部の受圧面積は、ストッパ部材11−3の下方向への変形を抑制、もしくは逆方向に変形させるために、ストッパ部材11−3の凹部11−3aの受圧面積よりも十分大きな面積とすることが望ましい。
【0047】
また、本実施の形態では、ストッパ部材11−3の内部の非接合領域SA2の第1の面PL1の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしているが、第2の面PL2の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしてもよく、第1の面PL1と第2の面PL2の両方の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしてもよい。
【0048】
また、上述では、測定圧力Pbを高圧側の測定圧とし、測定圧力Paを低圧側の測定圧とした場合を例にとって説明したが、測定圧力Paを高圧側の測定圧とし、測定圧力Pbを低圧側の測定圧とした場合には、ストッパ部材11−2の内部の非接合領域SA1がストッパ部材11−3の内部の非接合領域SA2と同じ役割を果たし、上述と同様の動作が得られる。
【0049】
また、本実施の形態では、ストッパ部材11−2,11−3の内部の非接合領域SA1,SA2の第1の面PL1の面上に、複数の凸部12を離散的に形成し、この複数の凸部12と凸部12との間の通路13を導圧孔11−2b,11−3bの周部と非接合領域SA1,SA2の周端部14との間の連通路としているので、通常用いられるオイル等の圧力伝達媒体の封入が容易となり、かつ圧力伝達媒体の伝達抵抗を下げることにより、伝達速度差による動作不良の影響を無くし、かつ、逆側からの圧力印加に対しては凸部12の面積を最適設計することにより、耐圧確保することが可能となるという効果も得られる。
【0050】
〔実施の形態2〕
図6にこの発明に係る圧力センサチップの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略を示す。この実施の形態2の圧力センサチップ11Bでは、ストッパ部材11−2,11−3の内部に、非接合領域SA1,SA2に連続するストッパ部材11−2,11−3の肉厚方向へ張り出した環状の溝11−2d,11−3dを形成している。この環状の溝11−2d,11−3dは、離散的に分断された溝ではなく、連続した溝であり、溝断面の径を大きくすることが望ましい。
【0051】
なお、図6に示した例では、環状の溝11−2d,11−3dの非接合領域SA1,SA2に直交する断面形状を円形としているが、必ずしも円形としなくてもよく、スリット状(矩形)としたり(図7参照)、半円以上の溝と半円以下の溝とをずらした形状(図8参照)としたりしてもよい。
【0052】
図9図6に示した圧力センサチップ11Bにおいて低圧差圧用ダイアフラム1がストッパ部材11−2の凹部11−2aに着底した後の状態を示す。このような環状の溝11−2d,11−3dを形成することにより、この環状の溝11−2d,11−3dの内部に応力が分散されるものとなり、さらに高耐圧とすることが可能となる。
【0053】
〔実施の形態3〕
図10にこの発明に係る圧力センサチップの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略を示す。この実施の形態3の圧力センサチップ11Cでは、実施の形態2の圧力センサチップ11Bの変形例であり、測定圧力Pa,Pbを同方向から取り入れるようにしている。
【0054】
この例では、測定圧力Paを測定圧力Pbと同方向側から取り入れるようにしており、台座11−5,ストッパ部材11−3,基台11−1,ストッパ部材11−2を貫通させてる導圧孔15を設け、この導圧孔15を台座11−4を通してストッパ部材11−2の導圧孔11−2bに連通させることにより、測定圧力Pbと同方向側から取り入れた測定圧力Paを低圧差圧用ダイアフラム1の一方の面および高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面へ導くようにしている。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、高圧差圧用ダイアフラム2を円環状のダイアフラムとしたが、図11に示すように、低圧差圧用ダイアフラム1を囲むようにして環状のダイアフラムを分割して設け、一方のダイアフラム2−1と他方のダイアフラム2−2とで高圧差圧用ダイアフラム2を構成するようにしてもよい。
【0056】
また、図12に示すように、低圧差圧用ダイアフラム1の周囲の一部に半円帯状(C型)のダイアフラムを設け、この半円帯状のダイアフラムを高圧差圧用ダイアフラム2としてもよい。
【0057】
また、図13に示すように、低圧差圧用ダイアフラム1を挾んで対向させて半円帯状のダイアフラムを設け、一方の半円帯状のダイアフラムを1段目の高圧差圧用ダイアフラム2Aとし、他方の半円帯状のダイアフラムを2段目の高圧差圧用ダイアフラム2Bとするようにしてもよい。この場合、2段目の高圧差圧用ダイアフラム2Bの受圧感度を1段目の高圧差圧用ダイアフラム2Aよりも低くすることにより、高圧差圧のレンジをさらに分けるようにする。なお、この例では2段としたが、高圧差圧用ダイアフラムの受圧感度が段階的に低くし、さらに段数を増やすようにしてもよい。
【0058】
また、図14図15に示すように、低圧差圧用ダイアフラム1を挾んで対向して設けた円弧状や矩形状のダイアフラム2A1,2A2で1段目の高圧差圧用ダイアフラム2Aを構成するようにし、角度を90゜ずらして同様に低圧差圧用ダイアフラム1を挾んで対向して設けた円弧状や矩形状のダイアフラム2B1,2B2で2段目の高圧差圧用ダイアフラム2Bを構成するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施の形態では、ストッパ部材11−2に非接合領域SA1を設け、ストッパ部材11−3に非接合領域SA2を設け、この非接合領域SA1,SA2を通して高圧差圧用ダイアフラム2に測定圧力Pa,Pbを分岐して導くようにしたが、図16に実施の形態4の圧力センサチップ11Dとして示すように、圧力センサチップ11Dの外側で測定圧力Pa,Pbを分岐させて、高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面および他方の面に測定圧力PaおよびPb導くようにしてもよい。
【0060】
また、例えば、図16において、測定圧力Paを基板11−1を貫通させて円環状の高圧差圧用ダイアフラム2の他方の面に導き、測定圧力Pbを基板11−1を貫通させて円環状の高圧差圧用ダイアフラム2の一方の面に導くようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、ストッパ部材11−2,11−3の内部の非接合領域SA1,SA2に複数の凸部(柱)12を離散的に形成し、この複数の凸部12と凸部12との間の通路(溝)13を導圧孔11−2b,11−3bの周部と非接合領域SA1,SA2の周端部14との間の連通路としたが、必ずしもこのような離散的に形成した凸部12によって作られる連通路としなくてもよく、単なるスリット状の隙間を連通路としても構わない。
【0062】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…低圧差圧用ダイアフラム、2…高圧差圧用ダイアフラム、3…第1の室、4…第2の室、11−1…基台、11−2(11−21,11−22),11−3(11−31,11−32)…ストッパ部材、11−2a,11−3a…凹部、11−2b,11−2c,11−3b,11−3c…導圧孔、11−4,11−5…台座、12…凸部(柱)、13…通路(溝)、14…周端部、SA…非接合領域、SB…接合領域、ra1〜ra4,rb1〜rb4…ピエゾ抵抗素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図16