【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ある程度、虚血障害、例えば、脳卒中を処置するのにVLA−1の調節を用いることができるという所見に基づく。従って、本発明は、一態様では被験体における脳卒中を処置する方法を提供する。該方法は、脳卒中を処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む。「VLA−1アンタゴニスト」とは、VLA−1の相互作用又は活性を少なくともある程度阻害する薬剤(例えば、任意の化合物)を指す。例えば、該薬剤はVLA−1の活性(例えば、VLA−1のリガンド、例えば、コラーゲンへの結合)を少なくともある程度阻害し、或いは該薬剤はVLA−1をコードする核酸を少なくともある程度阻害し、例えば、VLA−1蛋白質の発現を低下させる。一実施形態では、該薬剤はVLA−1がコラーゲン、例えば、コラーゲンIVに結合する能力を低下させ、該薬剤の非存在下での結合と比べて、例えば、少なくとも2,3,5,10,20,50又は100倍、VLA−1/コラーゲン結合の親和性を低下させ、且つ/或いは少なくとも5%、例えば、少なくとも10%,25%,50%,75%,90%,95%又はそれ以上、VLA−1/コラーゲン結合を低下させる。
【0004】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である。該抗VLA−1抗体はモノクローナル抗体又はその抗原結合断片でよい。該抗VLA−1抗体は、完全長でよく(例えば、IgG(例えば、IgG1,IgG2,IgG3,IgG4),IgM,IgA(例えば、IgA1,IgA2),IgD及びIgE)、或いは抗原結合断片(例えば、Fab,F(ab’)
2又はscFv断片又は1つ若しくはそれ以上のCDR)のみを含んでもよい。抗体又はその抗原結合断片は、2本の重鎖の免疫グロブリン及び2本の軽鎖の免疫グロブリンを含んでよく、或いは1本鎖抗体でよい。該抗体は任意に、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン又はミュー定常領域遺伝子を含んでもよい。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は実質的にヒト抗体由来の重鎖及び軽鎖定常領域、例えば、ヒトIgG1定常領域又はその一部分を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はヒト抗体である。
【0005】
他の実施形態では、該抗体又はその抗原結合断片はキメラ又はヒト化抗体である。本明細書で論じるように、該抗体は、CDR移植又はヒト化、或いはより一般的には、非ヒト抗体由来のCDR及びヒトにおいてより免疫原性が低く、例えば、マウスCDRが天然で生じるマウスフレームワークより抗原性が低いものとして選択されるフレームワークを有する抗体でよい。
【0006】
好ましい実施形態では、該抗VLA−1抗体は、非天然抗体、例えば、非ヒト抗体、例えば、本明細書で述べる非ヒト抗体由来の、少なくとも重鎖CDR3、好ましくは全重鎖CDR、更に好ましくは全3本の重鎖CDR及び全3本の軽鎖CDRを有する、キメラ、CDR移植又はヒト化抗体である。好ましい実施形態では、該CDRは本明細書で言及されるCDRと1,2又は3個のアミノ酸残基が異なってよく、例えば、重鎖CDR3は本明細書で述べる供給源由来でよいが、その他の別のCDRは本明細書で述べるように異なってよい。
【0007】
好ましい抗VLA−1抗体は、例えば、ヒト化AQC2抗体(例えば、ATCC寄託番号PTA−3274を有するハイブリドーマによって産生される)、AJH10(ATCC PTA−3580)、hAQC2(ATCC PTA−3275)、haAQC2(ATCC PTA−3274)、hsAQC2(ATCC PTA−3356)、mAQC2(ATCC PTA−3273)及びモノクローナル抗体1B3(ATCC HB−10536)を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と同じエピトープに結合しうる。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はVLA−1への結合に対し、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と競合する。
【0008】
一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、VLA−1のα1サブユニット、例えば、VLA−1のα1−Iドメインに結合する。
【0009】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、ポリペプチド、例えば、ラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIV或いは本明細書で述べるラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIVのVLA−1結合ペプチドである。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1ペプチド、例えば、α1サブユニットの断片、例えば、アミノ酸配列VQRGGR又は保存的アミノ酸置換を有する同様のアミノ酸配列を含むα1−Iドメインの断片である。ラミニン、コラーゲン又はVLA−1ペプチドは、例えば、本明細書で述べるように、コラーゲンIVに対するK562−α1依存性接着を阻害する能力によって試験されるように、VLA−1機能を阻止する。
【0010】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1核酸、例えば、2本鎖RNA(dsRNA)分子、アンチセンス分子、リボザイム、三重らせん分子、アプタマー若しくはそれらの任意の組合せの発現又は翻訳のインヒビターである。
【0011】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、本明細書で述べる小分子(例えば、2500Da未満、好ましくは1500Da未満の分子量を有する化学物質)又は化学物質、例えば、有機小分子である。
【0012】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、脳内神経組織における虚血損傷を低減するほどの量及び/又は時間にて投与されうる。
【0013】
典型的には、被験体は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、サル、ウサギ又は農業用哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタなど)である。例えば、被験体は、ヒト、例えば、ヒト男性又は女性である。該被験体は少なくとも18,25,30,45,50,55,60又は70歳でよい。
【0014】
一実施形態では、被験体は脳卒中を起こしている。脳卒中は、出血性脳卒中、虚血性脳卒中又は一過性虚血発作(TIA)でありうる。
【0015】
一実施形態では、被験体は処置の48時間以内、例えば、2,3,5,8,12,20又は30時間以内に脳卒中を起こしている。別の実施形態では、被験体は、処置の48時間以上前であるが、直近の3又は2週間以内に脳卒中を起こしている。
【0016】
別の実施形態では、被験体は脳卒中のリスクがあり、例えば、脳卒中のリスクを生じさせる病状を起こし続けており、或いは起こしている。そのような病状の例には、高血圧;喫煙;糖尿病;頸動脈又は他の動脈疾患;末梢動脈疾患;心房細動;他の心疾患;一過性虚血発作(TIA);一部の血液障害(例えば、赤血球数増加;鎌状赤血球病);高血中コレステロール;運動不足及び肥満;過度の飲酒;一部の違法薬物;脳卒中の既往;或いは心臓発作の既往が含まれる。
【0017】
一実施形態では、被験体は、1つ又はそれ以上の以下の症状:突発性の顔面のしびれ又は脱力、突発性の腕のしびれ又は脱力;突発性の脚のしびれ又は脱力;突発性の意識混濁;突発性の発話困難;突発性の理解困難;突発性の片目又は両目での視覚困難;突発性の歩行困難;突発性眩暈;突発性の平衡感覚又は協調運動障害;突発的で重度の原因不明の頭痛を示す。一部の実施形態では、被験体は脳卒中を持続していると診断されている。
【0018】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、未処置被験体における梗塞サイズに対し、脳内神経組織における梗塞のサイズを、例えば、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上縮小させるほどの量にて投与される。梗塞サイズを縮小させるほどの量は、例えば、本明細書で述べるように、動物モデルを用いて評価することができる。
【0019】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1つ又はそれ以上の脳卒中評価基準、例えば、本明細書で述べる基準又は尺度における症状を、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上或いは尺度でのハーフステップ又はフルステップ分、改善するほどの量にて投与される。例えば、修正ランキンスケールスコアは、少なくとも1ステップ、例えば、少なくとも2,3又は4ステップ分、低下させることができ、且つ/或いは該スコアは、例えば、4,3,2,1又は0に低下させることができる。NIHSSスコアは、少なくとも1ステップ、例えば、少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,16,18,20ステップ分又はそれ以上、低下させることができ、且つ/或いは該スコアは、例えば、15,13,12,10,9,8,7,6,5,4,3,2,1又は0に低下させることができる。バーセル指数スコアは、少なくとも5ステップ、例えば、少なくとも10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60ステップ分又はそれ以上、上昇させることができ、且つ/或いは該スコアは、例えば、50,60,70,75,80,85,90,95又は100に上昇させることができる。
【0020】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1日あたり0.025mg/kg〜1日あたり30mg/kg、例えば、0.1〜5mg/kg、例えば、0.3〜3mg/kgの用量にて投与される。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、脳卒中後14日間以内に少なくとも2回、例えば、脳卒中後14日間以内に少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13又は14回投与される。該アンタゴニストは、例えば、1日1回、隔日1回、週2回、週1回又は1日1回で1日、例えば、2,3,4,5,6,7,14若しくは28日間、投与することができる。該VLA−1アンタゴニストは静脈内又は非経口投与することができる。
【0021】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、脳卒中処置と併用して投与される。例えば、該処置は、脳卒中を有し、或いは脳卒中のリスクがある被験体に治療上の利益を付与する第二の薬剤投与を含む。例示的な第二の薬剤は、例えば、血栓溶解剤(例えば、ストレプトキナーゼ、アシル化プラスミノーゲン・ストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)、ウロキナーゼ、1本鎖ウロキナーゼ・プラスミノーゲン活性化因子(scu−PA)、抗炎症剤、蛇毒由来トロンビン様酵素、例えば、アンクロド、トロンビン阻害剤、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)及び上記各々の生物活性変異体);抗凝固剤(例えば、ワルファリン又はヘパリン);抗血小板薬(例えば、アスピリン);糖蛋白質IIb/IIIa阻害剤;グリコサミノグリカン;クマリン;GCSF;メラトニン;アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤);抗酸化剤(例えば、NXY−059);及び神経保護剤(例えば、NMDA受容体拮抗薬又はカンナビノイド拮抗薬)を含む。
【0022】
好ましい実施形態では、該VLA−1アンタゴニストと該第二の薬剤は同時に投与される。好ましい実施形態では、最初に該VLA−1アンタゴニストが投与され、次に該第二の薬剤が投与される。好ましい実施形態では、最初に該第二の薬剤が投与され、次に該VLA−1アンタゴニストが投与される。
【0023】
本明細書で用いられるように、「併用投与される」とは、2つ又はそれ以上の薬剤(例えば、VLA−1アンタゴニストと第二の薬剤)が、各薬剤の被験体に対する重なり効果が生じるように、同時或いは一定間隔以内に被験体に投与されるということである。組合せ効果が得られるように、第一の薬剤と第二の薬剤の投与は十分に近接して間隔を置くことが好ましい。その間隔は、数時間、数日又は数週間の間隔でよい。一般的に、該薬剤は被験体において同時に生物学的に利用可能であり、例えば、検出可能である。好ましい実施形態では、該薬剤の1つ、例えば、第一の薬剤の少なくとも1回の投与が行われ、その間、他方の薬剤、例えば、該VLA−1アンタゴニストは被験体において治療レベルにて未だ存在する。
【0024】
一実施形態では、該方法は、脳卒中後基準、例えば、本明細書で述べる脳卒中評価基準又は尺度で被験体を評価するステップも含む。一部の実施形態では、その評価は該VLA−1アンタゴニストの投与後少なくとも1時間、例えば、少なくとも2,4,6,8,12,24若しくは48時間又は少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、20週間若しくはそれ以上の週間にて行われる。1つ又はそれ以上の下記の期間すなわち:処置開始前;処置中;又は1つ若しくはそれ以上の処置要素がなされた後に、被験体を評価することができる。評価には、同一のVLA−1アンタゴニストによる更なる処置又は追加薬剤による追加処置の必要性の評価が含まれうる。好ましい実施形態では、事前に選択された評価結果が得られる場合、追加ステップがとられ、例えば、被験体は別の処置を施行され、或いは別の評価又は試験が行われる。
【0025】
別の実施形態では、該方法は、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中、出血性脳卒中又は一過性虚血発作)を有する又は脳卒中の症状を有する被験体を特定するステップを更に含む。
【0026】
一態様では、本開示内容は被験体を処置する方法を特徴とし、該方法は、(a)被験体が虚血、例えば、脳卒中後虚血を有するかを判定するステップ;(b)虚血を生じさせる脳卒中又は他の事象が事前に選択された時間、例えば、本明細書で述べる時間内であるかを判定するステップ;並びに(a)及び(b)が満たされる場合、虚血を処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む。
【0027】
一態様では、本開示内容は、脳卒中、例えば、本明細書で述べるような脳卒中を処置するのに用いるVLA−1アンタゴニストを特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。別の態様では、本開示内容は、脳卒中、例えば、本明細書で述べるような脳卒中を処置するための薬剤の製造のためのVLA−1アンタゴニストの使用を特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。
【0028】
一態様では、本開示内容は、VLA−1アンタゴニスト、例えば、VLA−1抗体及び脳卒中を処置する際の該アンタゴニストの使用のための取扱説明書が付いたラベルを含む容器を特徴とする。
【0029】
一態様では、本開示内容は、被験体における虚血損傷、例えば、本明細書で述べる虚血損傷を処置する方法を特徴とし、該方法は、虚血損傷を処置するのに有効な量にて、VLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べる抗VLA−1抗体を被験体に投与するステップを含む。別の態様では、本開示内容は、被験体における虚血・再灌流損傷を処置する方法を特徴とし、該方法は、虚血・再灌流損傷を処置するのに有効な量にて、VLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べる抗VLA−1抗体を被験体に投与するステップを含む。
【0030】
別の態様では、本開示内容は被験体における外傷性脳損傷(TBI)を処置する方法を特徴とする。該方法は、TBIを処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む。
【0031】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である。該抗VLA−1抗体はモノクローナル抗体又はその抗原結合断片でよい。該抗VLA−1抗体は、完全長でよく(例えば、IgG(例えば、IgG1,IgG2,IgG3,IgG4),IgM,IgA(例えば、IgA1,IgA2),IgD及びIgE)、或いは抗原結合断片(例えば、Fab,F(ab’)
2又はscFv断片又は1つ若しくはそれ以上のCDR)のみを含んでもよい。抗体又はその抗原結合断片は、2本の重鎖の免疫グロブリン及び2本の軽鎖の免疫グロブリンを含んでよく、或いは1本鎖抗体でよい。該抗体は任意に、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン又はミュー定常領域遺伝子を含んでもよい。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は実質的にヒト抗体由来の重鎖及び軽鎖定常領域、例えば、ヒトIgG1定常領域又はその一部分を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はヒト抗体である。
【0032】
他の実施形態では、該抗体又はその抗原結合断片はキメラ又はヒト化抗体である。本明細書で論じるように、該抗体は、CDR移植、ヒト化、或いはより一般的には、非ヒト抗体由来のCDR及びヒトにおいてより免疫原性が低く、例えば、マウスCDRが天然で生じるマウスフレームワークより抗原性が低いものとして選択されるフレームワークを有する抗体でよい。
【0033】
好ましい実施形態では、該抗VLA−1抗体は、非天然抗体、例えば、非ヒト抗体、例えば、本明細書で述べる非ヒト抗体由来の、少なくとも重鎖CDR3、好ましくは全重鎖CDR、更に好ましくは全3本の重鎖CDR及び全3本の軽鎖CDRを有する、キメラ、CDR移植又はヒト化抗体である。好ましい実施形態では、該CDRは本明細書で言及されるCDRと1,2又は3個のアミノ酸残基が異なってよく、例えば、重鎖CDR3は本明細書で述べる供給源由来でよいが、その他の別のCDRは本明細書で述べるように異なってよい。
【0034】
好ましい抗VLA−1抗体は、例えば、ヒト化AQC2抗体(例えば、ATCC寄託番号PTA−3274を有するハイブリドーマによって産生される)、AJH10(ATCC PTA−3580)、hAQC2(ATCC PTA−3275)、haAQC2(ATCC PTA−3274)、hsAQC2(ATCC PTA−3356)、mAQC2(ATCC PTA−3273)及びモノクローナル抗体1B3(ATCC HB−10536)を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と同じエピトープに結合しうる。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はVLA−1への結合に対し、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と競合する。
【0035】
一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、VLA−1のα1サブユニット、例えば、VLA−1のα1−Iドメインに結合する。
【0036】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、ポリペプチド、例えば、ラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIV或いは本明細書で述べるラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIVのVLA−1結合ペプチドである。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1ペプチド、例えば、α1サブユニットの断片、例えば、アミノ酸配列VQRGGR又は保存的アミノ酸置換を有する同様のアミノ酸配列を含むα1−Iドメインの断片である。ラミニン、コラーゲン又はVLA−1ペプチドは、例えば、本明細書で述べるように、コラーゲンIVに対するK562−α1依存性接着を阻害する能力によって試験されるように、VLA−1機能を阻止する。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1核酸、例えば、2本鎖RNA(dsRNA)分子、アンチセンス分子、リボザイム、三重らせん分子、アプタマー若しくはそれらの任意の組合せの発現又は翻訳のインヒビターである。
【0037】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、本明細書で述べる小分子(例えば、2500Da未満、好ましくは1500Da未満の分子量を有する化学物質)又は化学物質、例えば、有機小分子である。
【0038】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、TBIを処置し、例えば、治療、治癒、緩和、軽減、変質、是正、好転、改善し、或いはTBI、例えば本明細書で述べるTBIの1以上の症状に作用するほどの量及び/又は時間にて投与されうる。
【0039】
典型的には、被験体は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、サル、ウサギ又は農業用哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタなど)である。例えば、被験体は、ヒト、例えば、ヒト男性又は女性である。該被験体は少なくとも18,25,30,45,50,55,60又は70歳でよい。
【0040】
TBIは、例えば、挫傷、打撲傷、裂傷又は血腫でありうる。一部の実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは一次性TBIを処置するために投与される。一部の実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは二次性TBIを処置或いは予防するために投与される。
【0041】
一実施形態では、被験体は処置の48時間以内、例えば、2,3,5,8,12,20又は30時間以内にTBIを被っている。別の実施形態では、被験体は、処置の48時間以上前であるが、直近の3又は2週間以内にTBIを被っている。
【0042】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1つ又はそれ以上のTBI評価基準、例えば、本明細書で述べる基準にて、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上、症状を改善するほどの量にて投与される。
【0043】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1日あたり0.025mg/kg〜1日あたり30mg/kg、例えば、0.1〜5mg/kg、例えば、0.3〜3mg/kgの用量にて投与される。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、脳卒中後14日間以内に少なくとも2回、例えば、脳卒中後14日間以内に少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13又は14回投与される。該アンタゴニストは、例えば、1日1回、隔日1回、週2回、週1回又は1日1回で1日、例えば、2,3,4,5,6,7,14若しくは28日間、投与することができる。該VLA−1アンタゴニストは静脈内又は非経口投与することができる。
【0044】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストはTBI処置と併用して投与される。例えば、該VLA−1アンタゴニストは、他の損傷及び感染のための手術及び/又は処置と併用して投与することができる。好ましい実施形態では、該VLA−1アンタゴニストと第二の薬剤は同時に投与される。好ましい実施形態では、最初に該VLA−1アンタゴニストが投与され、次に第二の薬剤が投与される。好ましい実施形態では、最初に第二の薬剤が投与され、次に該VLA−1アンタゴニストが投与される。
【0045】
一実施形態では、該方法は本明細書で述べるTBI基準で被験体を評価するステップも含む。一部の実施形態では、その評価は該VLA−1アンタゴニストの投与後少なくとも1時間、例えば、少なくとも2,4,6,8,12,24若しくは48時間又は少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、20週間若しくはそれ以上の週間にて行われる。1つ又はそれ以上の下記の期間すなわち:処置開始前;処置中;又は1つ若しくはそれ以上の処置要素がなされた後に被験体を評価することができる。評価には、同一のVLA−1アンタゴニストによる更なる処置又は追加薬剤による追加処置の必要性の評価が含まれうる。好ましい実施形態では、事前に選択された評価結果が得られる場合、追加ステップがとられ、例えば、被験体は別の処置を施行され、或いは別の評価又は試験が行われる。
【0046】
一態様では、本開示内容は、TBI、例えば、本明細書で述べるようなTBIを処置するのに用いるVLA−1アンタゴニストを特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。別の態様では、本開示内容は、TBI、例えば、本明細書で述べるようなTBIを処置するための薬剤の製造のためのVLA−1アンタゴニストの使用を特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。
【0047】
一態様では、本開示内容は、VLA−1アンタゴニスト、例えば、VLA−1抗体及びTBIを処置する際の該アンタゴニストの使用のための取扱説明書が付いたラベルを含む容器を特徴とする。
【0048】
別の態様では、本開示内容は被験体における脊髄損傷(SCI)を処置する方法を特徴とする。該方法は、SCIを処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む。
【0049】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である。該抗VLA−1抗体はモノクローナル抗体又はその抗原結合断片でよい。該抗VLA−1抗体は、完全長でよく(例えば、IgG(例えば、IgG1,IgG2,IgG3,IgG4),IgM,IgA(例えば、IgA1,IgA2),IgD及びIgE)、或いは抗原結合断片(例えば、Fab,F(ab’)
2又はscFv断片又は1つ若しくはそれ以上のCDR)のみを含んでもよい。抗体又はその抗原結合断片は、2本の重鎖の免疫グロブリン及び2本の軽鎖の免疫グロブリンを含んでよく、或いは1本鎖抗体でよい。該抗体は任意に、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン又はミュー定常領域遺伝子を含んでもよい。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は実質的にヒト抗体由来の重鎖及び軽鎖定常領域、例えば、ヒトIgG1定常領域又はその一部分を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はヒト抗体である。
【0050】
他の実施形態では、該抗体又はその抗原結合断片はキメラ又はヒト化抗体である。本明細書で論じるように、該抗体は、CDR移植、ヒト化、或いはより一般的には、非ヒト抗体由来のCDR及びヒトにおいてより免疫原性が低く、例えば、マウスCDRが天然で生じるマウスフレームワークより抗原性が低いものとして選択されるフレームワークを有する抗体でよい。
【0051】
好ましい実施形態では、該抗VLA−1抗体は、非天然抗体、例えば、非ヒト抗体、例えば、本明細書で述べる非ヒト抗体由来の、少なくとも重鎖CDR3、好ましくは全重鎖CDR、更に好ましくは全3本の重鎖CDR及び全3本の軽鎖CDRを有する、キメラ、CDR移植又はヒト化抗体である。好ましい実施形態では、該CDRは本明細書で言及されるCDRと1,2又は3個のアミノ酸残基が異なってよく、例えば、重鎖CDR3は本明細書で述べる供給源由来でよいが、その他の別のCDRは本明細書で述べるように異なってよい。
【0052】
好ましい抗VLA−1抗体は、例えば、ヒト化AQC2抗体(例えば、ATCC寄託番号PTA−3274を有するハイブリドーマによって産生される)、AJH10(ATCC PTA−3580)、hAQC2(ATCC PTA−3275)、haAQC2(ATCC PTA−3274)、hsAQC2(ATCC PTA−3356)、mAQC2(ATCC PTA−3273)及びモノクローナル抗体1B3(ATCC HB−10536)を含む。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と同じエピトープに結合しうる。一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体はVLA−1への結合に対し、AQC2,AJH10,hAQC2,haAQC2,hsAQC2,mAQC2及び/又は1B3と競合する。
【0053】
一部の実施形態では、該抗VLA−1抗体は、VLA−1のα1サブユニット、例えば、VLA−1のα1−Iドメインに結合する。
【0054】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、ポリペプチド、例えば、ラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIV或いは本明細書で述べるラミニン又はコラーゲンI,III若しくはIVのVLA−1結合ペプチドである。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1ペプチド、例えば、α1サブユニットの断片、例えば、アミノ酸配列VQRGGR又は保存的アミノ酸置換を有する同様のアミノ酸配列を含むα1−Iドメインの断片である。ラミニン、コラーゲン又はVLA−1ペプチドは、例えば、本明細書で述べるように、コラーゲンIVに対するK562−α1依存性接着を阻害する能力によって試験されるように、VLA−1機能を阻止する。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、VLA−1核酸、例えば、2本鎖RNA(dsRNA)分子、アンチセンス分子、リボザイム、三重らせん分子、アプタマー若しくはそれらの任意の組合せの発現又は翻訳のインヒビターである。
【0055】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、本明細書で述べる小分子(例えば、2500Da未満、好ましくは1500Da未満の分子量を有する化学物質)又は化学物質、例えば、有機小分子である。
【0056】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、SCIを処置し、例えば、治療、治癒、緩和、軽減、変質、是正、好転、改善し、或いはSCI、例えば本明細書で述べるSCIの1以上の症状に作用するほどの量及び/又は時間にて投与されうる。
【0057】
典型的には、被験体は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、サル、ウサギ又は農業用哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタなど)である。例えば、被験体は、ヒト、例えば、ヒト男性又は女性である。該被験体は少なくとも18,25,30,45,50,55,60又は70歳でよい。
【0058】
一部の実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは一次性SCIを処置するために投与される。一部の実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは二次性SCIを処置或いは予防するために投与される。
【0059】
一実施形態では、被験体は処置の48時間以内、例えば、2,3,5,8,12,20又は30時間以内にSCIを被っている。別の実施形態では、被験体は、処置の48時間以上前であるが、直近の3又は2週間以内にSCIを被っている。
【0060】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1つ又はそれ以上のSCI評価基準、例えば、本明細書で述べる基準にて、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上、症状を改善するほどの量にて投与される。
【0061】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、1日あたり0.025mg/kg〜1日あたり30mg/kg、例えば、0.1〜5mg/kg、例えば、0.3〜3mg/kgの用量にて投与される。一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは、脳卒中後14日間以内に少なくとも2回、例えば、脳卒中後14日間以内に少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13又は14回投与される。該アンタゴニストは、例えば、1日1回、隔日1回、週2回、週1回又は1日1回で1日、例えば、2,3,4,5,6,7,14若しくは28日間、投与することができる。該VLA−1アンタゴニストは静脈内又は非経口投与することができる。
【0062】
一実施形態では、該VLA−1アンタゴニストはSCI処置用の第二の薬剤と併用して投与される。該第二の薬剤は、例えば、メチルプレドニゾロンのようなコルチコステロイド又はグルココルチコイドでよい。好ましい実施形態では、該VLA−1アンタゴニストと該第二の薬剤は同時に投与される。好ましい実施形態では、最初に該VLA−1アンタゴニストが投与され、次に該第二の薬剤が投与される。好ましい実施形態では、最初に該第二の薬剤が投与され、次に該VLA−1アンタゴニストが投与される。
【0063】
一実施形態では、該方法は本明細書で述べるSCI基準で被験体を評価するステップも含む。一部の実施形態では、その評価は該VLA−1アンタゴニストの投与後少なくとも1時間、例えば、少なくとも2,4,6,8,12,24若しくは48時間又は少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、20週間若しくはそれ以上の週間にて行われる。1つ又はそれ以上の下記の期間:処置開始前;処置中;又は1つ若しくはそれ以上の処置要素がなされた後に被験体を評価することができる。評価には、同一のVLA−1アンタゴニストによる更なる処置又は追加薬剤による追加処置の必要性の評価が含まれうる。好ましい実施形態では、事前に選択された評価結果が得られる場合、追加ステップがとられ、例えば、被験体は別の処置を施行され、或いは別の評価又は試験が行われる。
【0064】
一態様では、本開示内容は、SCI、例えば、本明細書で述べるようなSCIを処置するのに用いるVLA−1アンタゴニストを特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。別の態様では、本開示内容は、SCI、例えば、本明細書で述べるようなSCIを処置するための薬剤の製造のためのVLA−1アンタゴニストの使用を特徴とする。該アンタゴニストは本明細書で述べるVLA−1アンタゴニスト、例えば、本明細書で述べるVLA−1抗体でよい。
【0065】
一態様では、本開示内容は、VLA−1アンタゴニスト、例えば、VLA−1抗体及びSCIを処置する際の該アンタゴニストの使用のための取扱説明書が付いたラベルを含む容器を特徴とする。
【0066】
本明細書で用いられるように、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」又は「処置(する)(treating)」という用語は、障害(例えば、脳卒中、TBI又はSCI)と関連する病状、症状又はパラメータを改善し、或いは障害(障害、例えば、脳卒中、TBI又はSCIによって引き起こされる二次性損傷を含む)の発症、進行又は増悪を統計的に有意な程度又は当業者にとって検出可能な程度に低減するのに有効な量、態様及び/又はモードにて治療を施行することをいう。従って、処置は治療的及び/又は予防的利益をもたらすことができる。有効な量、態様又はモードは、被験体によって異なり得、被験体に合わせられうる。本明細書で用いられるように、「処置」は、脳卒中のリスクが高い被験体、例えば、一過性虚血発作を起こした被験体の予防的処置も包含する。好ましい実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは虚血損傷後に投与される。好ましい実施形態では、該VLA−1アンタゴニストは被験体が脳卒中を有した後に投与される。
【0067】
本明細書で用いられるように、「処置するのに有効な量」又は「治療有効量」という用語は、被験体への単回又は多回投与後、障害と関連する病状、症状若しくはパラメータを改善又は予防的に処置し、或いは障害の発症、進行又は増悪を統計的に有意な程度又は当業者にとって検出可能な程度に低減するのに有効なVLA−1アンタゴニストの量をいう。例えば、脳卒中の場合、「処置するのに有効な量」とは、未処置被験体における梗塞サイズに対し、脳内神経組織における梗塞のサイズを、例えば、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上縮小させるほどの量をいう。或いは、「処置するのに有効な量」とは、本明細書で述べる1つ若しくはそれ以上の脳卒中、TBI又はSCI評価基準にて、少なくとも5,10,15,20,40,50,60,70若しくは80%又はそれ以上、症状を改善するほどの量をいう。
【0068】
本明細書で用いられるように、「脳卒中」とは、脳に供給する1つ若しくはそれ以上の血管の閉塞又は出血によって引き起こされ、細胞死をもたらす病状を指す一般的な用語である。本明細書で用いられるような「虚血性脳卒中」とは、脳に供給する1つ又はそれ以上の血管の閉塞によって引き起こされる脳卒中をいう。虚血性脳卒中のタイプには、例えば、塞栓性脳卒中、心塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、大血管血栓症、ラクナ梗塞、動脈間性脳卒中(artery−artery stroke)及び潜因性脳卒中が含まれる。本明細書で用いられるような「出血性脳卒中」とは、脳に供給する1つ又はそれ以上の血管の出血によって引き起こされる脳卒中をいう。出血性脳卒中のタイプには、例えば、硬膜下、実質内、硬膜外及びくも膜下出血性脳卒中が含まれる。
【0069】
本明細書で用いられるように、「外傷性脳損傷」又は「TBI」とは、物理的力又は外傷によって引き起こされる損傷をいう。TBIは一次性又は二次性でありうる。「一次性TBI」は物理的力又は外傷の直後に生じ、例えば、血腫、くも膜下出血、脳浮腫、頭蓋内圧上昇及び脳低酸素をもたらしうる。「二次性TBI」は物理的力又は外傷後、数時間から数日にわたって生じ得、重度の二次事象(例えば、脳卒中)をもたらしうる。被験体がグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)でスコア13〜15の場合、TBIは「軽度」と定義づけられる。軽度TBIは、物理的力又は外傷後5分以下の意識喪失(LOC)並びに/或いは物理的力又は外傷後10分以下の記憶喪失と関連しうる。被験体がGCSでスコア13未満の場合、TBIは「中等度〜重度」と定義づけられる。
【0070】
本明細書で用いられるように、「脊髄損傷」又は“SCI”とは、脊髄および/又はその周囲域に対して持続する外傷をいう。脊髄は、圧迫、切断或いは挫傷され、軸索への物理的又は生理的損傷をもたらし、損傷した軸索長に沿った神経電気インパルス伝達に影響を及ぼしうる。関連する細胞体を含む大集団の軸索が死滅し、脳と末梢神経との伝達の喪失を生じさせうる。従って、SCIは完全又は部分的な運動機能の突然の喪失をもたらし、その程度は損傷の位置に依存する。高度(頸部)SCIは、運動機能の全損、四肢麻痺、呼吸調節の喪失及び/又は心血管虚脱をもたらしうる。低度(胸部)SCIは、腕又は呼吸器疾患を伴わずに対麻痺をもたらしうる。
【0071】
特許、特許出願及び参考文献はすべて、それらの全体を参照して本明細書に組み込まれる。相反する場合、本出願が統制する。
【0072】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において示される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、該説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかにあるであろう。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体における脳卒中を処置する方法であって、脳卒中を処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目2)
被験体における脳卒中を処置する方法であって、抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片を上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目3)
上記脳卒中が虚血性脳卒中である、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記脳卒中が出血性脳卒中である、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、キメラ若しくはヒト化抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である、項目2に記載の方法。
(項目6)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、ヒト化AQC2抗体又はその抗原結合断片である、項目2に記載の方法。
(項目7)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、ATCC寄託番号PTA−3274を有するハイブリドーマによって産生される、項目2に記載の方法。
(項目8)
上記被験体が哺乳動物である、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記被験体がヒトである、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記被験体が脳卒中を起こしている、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、脳卒中の48時間以内に投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記VLA−1アンタゴニストが、静脈内又は非経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記VLA−1アンタゴニストが、1日あたり0.1mg/kgから1日あたり5mg/kgまでの用量にて投与される、項目1に記載の方法。
(項目14)
上記VLA−1アンタゴニストが、脳卒中後7日以内に少なくとも2回投与される、項目10に記載の方法。
(項目15)
上記VLA−1アンタゴニストが、別の治療薬と併用して投与される、項目1に記載の方法。
(項目16)
上記別の治療薬が、抗血小板薬、血栓溶解酵素、凝集阻害剤、糖蛋白質IIb/IIIa阻害剤、グリコサミノグリカン、トロンビン阻害剤、抗凝固剤、ヘパリン、クマリン、tPA、GCSF、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アンクロド、アセチルサリチル酸(acetylsalicyclic acid)、メラトニン及びカスパーゼ阻害剤からなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
ヒトにおける脳卒中を処置する方法であって、脳卒中を処置するのに有効な量にてVLA−1抗体又はその抗原結合断片を上記ヒトに投与するステップを含む方法。
(項目18)
脳卒中を起こしたヒトを処置する方法であって、脳卒中を処置するのに有効な量にてヒト化抗VLA−1ブロッキング抗体を脳卒中の72時間以内に上記ヒトに投与するステップを含む方法。
(項目19)
被験体における外傷性脳損傷(TBI)を処置する方法であって、TBIを処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目20)
被験体における外傷性脳損傷(TBI)を処置する方法であって、抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片を上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目21)
上記TBIが、挫傷、打撲傷、裂傷又は血腫である、項目19に記載の方法。
(項目22)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、キメラ若しくはヒト化抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である、項目21に記載の方法。
(項目23)
被験体における脊髄損傷(SCI)を処置する方法であって、SCIを処置するのに有効な量にてVLA−1アンタゴニストを上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目24)
被験体における脊髄損傷(SCI)を処置する方法であって、抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片を上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目25)
上記SCIが、不完全SCI、脊髄中心症候群、ブラウン・セカール症候群、脊髄前方症候群、脊髄円錐症候群及び馬尾症候群からなる群より選択される、項目23に記載の方法。
(項目26)
上記抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、キメラ若しくはヒト化抗VLA−1抗体又はその抗原結合断片である、項目24に記載の方法。
(項目27)
被験体における虚血損傷を処置する方法であって、上記損傷を処置するのに有効な量にてVLA−1ブロッキング抗体又はその抗原結合断片を上記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目28)
被験体における虚血・再灌流損傷を処置する方法であって、上記損傷を処置するのに有効な量にてVLA−1ブロッキング抗体又はその抗原結合断片を上記被験体に投与するステップを含む方法。