【文献】
Panasonic,Enhancement of PUSCH DMRS orthogonality[online], 3GPP TSG-RAN WG1#68 R1-120230,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ra,2012年 1月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の基地局による協調受信が適用されない場合に、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値と前記系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長との比である複数の選択基準値のうち、自機が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列を、非協調受信用の参照信号系列として選択し、前記複数の基地局による協調受信が適用される場合に、前記複数の選択基準値のうち、自機に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列を、前記非協調受信用の参照信号系列と異なる協調受信用の参照信号系列として選択し、前記選択された参照信号系列に基づいて参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記生成された参照信号を送信する送信部と、
を具備する端末装置。
前記各系列グループの番号uに対応する値がu+1、前記系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長が31のとき、前記複数の選択基準値は(u+1)/31である、
請求項1記載の端末装置。
端末装置に複数の基地局による協調受信が適用されない場合に、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値と前記系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長との比である複数の選択基準値のうち、前記端末装置が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列を、非協調受信用の参照信号系列として選択する一方、前記端末装置に複数の基地局による協調受信が適用される場合に、前記複数の選択基準値のうち、前記端末装置に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列を、前記非協調受信用の参照信号系列と異なる協調受信用の参照信号系列として選択し、
前記選択された参照信号系列に基づいて参照信号を生成し、
前記生成された参照信号を送信する、
無線送信方法。
端末装置が複数の基地局による協調受信を適用しない場合に、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値と前記系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長との比である複数の選択基準値のうち、前記端末装置が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列を、非協調受信用の参照信号系列として選択し、前記端末装置が複数の基地局による協調受信を適用する場合に、前記複数の選択基準値のうち、前記端末装置に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列を、前記非協調受信用の参照信号系列と異なる協調受信用の参照信号系列として選択する設定部と、
前記端末装置から送信された信号を受信する受信部と、
受信された前記信号と前記設定部により選択された前記参照信号系列とに基づいて、チャネル推定を行うチャネル推定部と、
を具備する基地局装置。
端末装置に複数の基地局による協調受信が適用されない場合に、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値と前記系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長との比である複数の選択基準値のうち、前記端末装置が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列を、非協調受信用の参照信号系列として選択する一方、前記端末装置に複数の基地局による協調受信が適用される場合に、前記複数の選択基準値のうち、前記端末装置に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列を、前記非協調受信用の参照信号系列と異なる協調受信用の参照信号系列として選択し、
前記端末装置から送信された信号を受信し、
受信された前記信号と選択された前記参照信号系列とに基づいて、チャネル推定を行う、
チャネル推定方法。
【背景技術】
【0002】
3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long−term Evolution)において、上り回線で用いられるデータ復調用参照信号(DMRS:DeModulation−Reference Signal)に用いる信号系列として、ZC(Zadoff−Chu)系列が採択されている。ZC系列は、送信帯域幅が3RB(Resource Block)以上のときに用いられる。
【0003】
また、LTEの上り回線では、各送信帯域幅(1〜110RB)において多数のDMRS用系列が30個の系列グループに分けられる。そして、各系列グループでは、
図1に示すように、送信帯域幅(具体的には、割当RB数)とDMRS用系列とが対応付けられている。各系列グループには異なる番号(系列グループ番号u=0〜29)が割り振られ、
図2に示すように、各セルに#0〜29の中から1つの系列グループが割り当てられる。このような系列グループの割当てのことを、セル固有(cell specific)の系列グループ割当、又は、セル固有割当と呼ぶ。基地局(eNBと呼ばれることもある)は、セル内の端末(UE(User Equipment)と呼ばれることもある)にセルIDを報知する。セルIDと30個の系列グループ番号は予め一意に対応付けられているため、セル内の端末は報知されたセル固有IDからセル固有の系列グループ番号を把握することができる。端末は、送信帯域幅が変更される場合でも、系列グループ番号のみでDMRS用の系列番号を特定できる。よって、セル固有割当によって系列番号のシグナリングを低減することができる。セル固有割当においては、セル間干渉を低減するために近接するセルに異なる系列グループが割り振られる。
【0004】
ZC系列は、CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto−correlation Code)系列の一種であり、次式(1)で表される。
【0005】
【数1】
式(1)において、N
ZCRSはZC系列の系列長、qはZC系列番号、mはZC系列の要素番号である。系列長N
ZCRSはDMRSの送信帯域幅のサブキャリア数を超えない最大の素数であり、N
ZCRS−1個の相互相関特性が良好なZC系列を生成することができる。また、ZC系列番号qは式(2)で算出する。
【0006】
【数2】
ここで、vは送信帯域幅が5RB以下においてv=0、6RB以上においてv=0,1である。また、系列グループ番号uはu=0〜29の整数である。uは、Serving cellのセルIDに対応付けられており、セル内の全UEは共通の系列グループに属する何れかの系列を使用する。
【0007】
式(2)は、ZC系列番号とZC系列長との比であるq/N
ZCRSが“(u+1)/31”に最も近いZC系列番号(v=0のとき)と2番目に近いZC系列番号(v=1のとき)とを算出することを意味する。よって、同一系列グループには、各RBのZC系列として、q/N
ZCRSの値が近い複数の系列が割り当てられる。以降の説明では、式(2)の“(u+1)/31”のようにZC系列番号を算出するための基準となる値を系列選択基準値と呼ぶ。ここで、31は系列グループの最小RB(=3RB)に割り当てられるサブキャリア数(=36)を超えない最大の素数(最小のZC系列長)である。よって、列選択基準値は、系列グループ番号と最小のZC系列長との比を意味する。また、ZC系列を決定づけるZC系列番号とZC系列長との比“q/N
ZCRS”のことを系列決定値と呼ぶ。
【0008】
ZC系列のq/N
ZCRSが近い系列は、波形が近く、系列間の相互相関が高い特徴がある。これにより、1つのセルで用いる系列グループがZC系列間の相互相関が高いZC系列の組み合わせで構成されることで、隣接セルで相互相関の高い系列が用いられる確率が軽減され、隣接セル間の干渉が軽減できる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
なお、3GPP LTEで用いられるDMRSは、12サブキャリアで構成される1RBの整数倍の送信帯域幅で送信される。よって、素数であるZC系列の系列長とDMRSの送信帯域幅に相当するサブキャリア数とは一致しない。そこで、
図3に示すように、実際に送信されるDMRSとしては、素数の系列長となるZC系列の先頭部分を末尾にコピー(Extensionと呼ばれる)した系列が使用される。例えば、3RB(36サブキャリア)で送信されるDMRSとしては、系列長N
ZCRSが31のZC系列を用い、先頭の5要素分を末尾にコピーしてDMRSを生成する。
【0010】
また、LTEの発展形であるLTE−Advancedでは、更なるキャパシティ向上のため、カバーエリアの大きさが異なる複数の基地局を用いたヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network:HetNet)が検討されている。HetNetの運用では、送信電力が大きいマクロセルのカバーエリア内に、送信電力が小さいピコセルが配置される。マクロセルは、HPN(High Power Node)とも呼ばれる。ピコセルはLPN(Low Power Node)、または、小電力RRH(Remote Radio Head)とも呼ばれる。
【0011】
さらに、LTE−Advancedでは、HetNet環境において、複数のセル(基地局)が協調して端末との間の信号を送受信する通信方式であるCoMP(Coordinated multiple point transmission and reception)の適用が検討されている。CoMPは、主にセルエッジに存在するユーザのスループットを向上させることを目的としたものである。例えば、上り回線のCoMP(UL_CoMP)の場合には、複数のセル(基地局あるいは受信ポイントとも呼ぶ)が協調して1つの端末からの上り回線の信号を受信し、複数のセル間で受信信号を合成することで、受信品質を向上させる。
【0012】
さらに、UL_CoMPでは、システム性能改善効果をより得るために、MU−MIMO(Multiple User−Multiple Input Multiple Output)通信を導入することが検討されている。MIMO通信は、送受信側に複数のアンテナを装備し、同一周波数で異なる信号系列の同時空間多重化伝送を可能とする技術である。MU−MIMO通信とは、UL_CoMPが適用される複数の端末、つまり、送信信号が複数のセルで協調して受信・合成される端末(以下、CoMP_UEと呼ぶ)と基地局との間でMIMO通信を行う技術である。MU−MIMO通信により、システムの周波数利用効率を向上させることができる。
【0013】
MU−MIMO通信においては、異なる端末の信号を分離するために、端末間で直交したDMRSを送信する必要がある。DMRSの直交化の方法としては、端末間で異なる巡回シフト(CS(Cyclic Shift))を施したZC系列(CS−ZC系列)を用いることが挙げられる。巡回シフト量としては、端末の送信信号の最大伝搬遅延時間より大きい値を設定することで、同じ系列グループのZC系列から生成した複数のCS−ZC系列を直交させることができる。
【0014】
しかしながら、UL_CoMPを適用する場合、複数の異なるセルからDMRSを受信する必要がある。そのため、上述したセル固有の系列グループ割当では、CoMP_UEのZC系列番号が異なってしまい、DMRSとして用いるCS−ZC系列を直交化させることができない。
【0015】
そこで、
図4に示すように、CoMP_UEに対しては、セル固有系列(
図4では系列グループ#1、#2)ではなく、端末毎に個別に系列を通知するUE固有系列(
図4では系列グループ#17)を導入することが検討されている。CoMP受信する端末間に同じ系列グループを割り当てることで、CoMP_UE間のDMRSを直交化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本発明の実施の形態1に係る通信システムは、送信装置と受信装置とを有する。特に、本実施の形態では、送信装置を端末100とし、受信装置を基地局200として説明する。この通信システムは、例えば、LTE−Advancedシステムである。そして、端末100は、例えば、LTE−Advancedシステムに対応する端末であり、基地局200は、例えば、LTE−Advancedシステムに対応する基地局である。また、例えば、端末100がUL_CoMPを適用するCoMP_UEとして動作する場合、端末100から送信された信号は、複数の基地局200によって協調して受信される。
【0032】
[端末100の構成]
図7は、本発明の実施の形態1に係る端末100の要部を示すブロック図である。
【0033】
本実施の形態1に係る端末100は、
図7に示すように、アンテナ101、参照信号生成部113、および、送信部105を備えている。
【0034】
参照信号生成部113は、まず、DMRSに使用するZC系列を設定する。具体的には、参照信号生成部113は、端末100にCoMP(協調受信に相当)が適用されない場合に、Non−CoMP_UE用の参照信号系列を設定する。この参照信号系列としては、複数の選択基準値(u+1)/31のうち、端末100が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列が選択される。複数の選択基準値(u+1)/31とは、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値u+1(但し、uは0〜29)と系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長31との比である。また、参照信号生成部113は、端末100にCoMPが適用される場合に、CoMP_UE用の参照信号系列を設定する。この参照信号系列としては、複数の選択基準値(u+1)/31のうち、端末100に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列が選択される。そして、参照信号生成部113は、選択された参照信号系列に基づいてDMRSを生成して送信部105へ送る。
【0035】
送信部105は、生成されたDMSRをアンテナ101を介して基地局200へ送信する。
【0036】
図8は、実施の形態1に係る端末100の構成を示すブロック図である。
【0037】
端末100は、具体的には、
図8に示すように、アンテナ101、参照信号処理部110、マッピング部102、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部103、CP付加部104、送信部105、受信部106、および、復調部107を備えている。参照信号処理部110は、CoMP判定部111、系列算出部112、および、参照信号生成部113を有する。
【0038】
これらのうち、マッピング部102、IFFT部103、CP付加部104および送信部105は、送信処理部108を構成する。受信部106および復調部107は受信処理部109を構成する。続いて、各部の詳細を説明する。
【0039】
受信部106は、基地局200から送信された信号をアンテナ101を介して受信し、受信信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した受信信号を復調部107に出力する。
【0040】
復調部107は、受信部106から入力された受信信号に含まれる制御信号を復調し、復調した制御情報をCoMP判定部111へ出力する。この制御信号は、協調受信の適用又は非適用を示す情報を含み、基地局200から送信される。また、復調部107は、受信部106から入力された受信信号に含まれる受信データを復調してベースバンド部へ送る。
【0041】
CoMP判定部111は、基地局200から通知された制御情報に基づいて、複数の受信装置(基地局200)による協調受信が適用される端末(「CoMP_UE」と記す)か、否か(「Non−CoMP_UE」と記す)を判定する。CoMP判定部111は、判定結果を系列算出部112へ出力する。
【0042】
実施の形態の通信システムにおいては、例えば、基地局200が、予めCoMP_UEかNon−CoMP_UEかを端末100に明示的に通知することが想定される。この場合、CoMP判定部111は、この通知された情報をもとに上記の判定を行うことができる。また、CoMP判定部111は、端末100に設定されたその他の情報から暗示的にCoMP_UEかNon−CoMP_UEかを判定してもよい。その他の情報としては、例えば、UE固有の系列グループ番号、UE固有の系列番号、または、系列グループ番号を得るためのVirtual cell ID(仮想のセルID)を適用できる。この場合、CoMP判定部111は、これらの情報が設定されているか、あるいは、設定可能であればCoMP_UEと判定し、これらの情報が設定されていない、あるいは、設定不可能であればNon−CoMP_UEと判定することができる。
【0043】
系列算出部112は、基地局200から指示されたDMRSの送信帯域幅(=M
RS[サブキャリア])と、CoMP_UEあるいはNon−CoMP_UEに応じたZC系列長N
ZCRS[サブキャリア]、および、ZC系列番号q又はq’を算出する。系列算出部112は、算出結果を参照信号生成部113へ出力する。ここで、ZC系列長N
ZCRSは、M
RSより小さい最大の素数として算出される。例えば、M
RS=72(6RB)のとき、N
ZCRS=71となる。ZC系列番号q又はq’の算出方法は、後に詳述する。
【0044】
参照信号生成部113は、系列算出部112により設定されたZC系列長N
ZCRS、および、ZC系列番号q,q’をもとに式(1)に従ってZC系列を生成する。さらに、参照信号生成部113は、生成した長さN
ZCRSのZC系列を、送信帯域幅M
RSに拡張してDMRS用の系列を作成し、マッピング部102へ出力する。拡張方法としては、
図9に示すように、例えばZC系列の先頭を後方にコピー(Extension)する方法が採用される。
図9は、6RBの送信帯域幅に合わせてZC系列にエクステンション処理を施す例を示している。
【0045】
マッピング部102は、生成されたDMRSを、端末100の送信帯域に対応した帯域にマッピングし、マッピングした信号をIFFT部103に出力する。また、マッピング部102は、送信データを端末100の送信帯域に対応した帯域にマッピングし、マッピングした信号をIFFT部103に出力する。
【0046】
IFFT部103は、マッピング部102から入力された信号にIFFT処理を施し、IFFT処理を施した信号をCP(Cyclic Prefix)付加部104に出力する。
【0047】
CP付加部104は、IFFT後の信号の後尾部分と同じ信号をCPとして先頭に付加し、送信部105へ出力する。
【0048】
送信部105は、CP付加後の信号に対してD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理を施した信号をアンテナ101を介して送信する。送信される信号には、送信データとDMRSとが含まれる。
【0049】
[基地局200の構成]
図10は、本発明の実施の形態1に係る基地局200の要部を示すブロック図である。
【0050】
本実施の形態1に係る基地局200は、
図10に示すように、アンテナ201、受信部202、参照信号設定部214、および、CH推定部210を備えている。
【0051】
参照信号設定部214は、UEがDMRSに使用するZC系列を設定する。具体的には、参照信号設定部214は、UEに対してCoMPを適用しない場合に、Non−CoMP_UE用の参照信号系列を設定する。この参照信号系列としては、複数の選択基準値(u+1)/31のうち、端末100が属するセルに割り当てられた系列グループの番号に対応する選択基準値から決定される参照信号系列が選択される。複数の選択基準値(u+1)/31とは、複数の参照信号系列が属する各系列グループの番号に対応する値u+1(但し、uは0〜29)と系列グループ中の最小送信帯域幅の参照信号系列の系列長31との比である。また、参照信号設定部214は、UEに対してCoMPを適用する場合に、CoMP_UE用の参照信号系列を設定する。この参照信号系列としては、複数の選択基準値(u+1)/31のうち、端末100に個別に割り当てられた系列グループの番号に対応する隣接する2つの選択基準値の間に設定された1つまたは複数の中間選択基準値から決定される参照信号系列が選択される。そして、参照信号設定部214は、選択結果をCH推定部210へ送る。
【0052】
CH推定部210は、参照信号設定部214からの選択結果に基づいて受信信号に含まれるDMRSから同期検波のためのチャネル推定を行う。
【0053】
図11は、実施の形態1に係る基地局200の構成を示すブロック図である。
【0054】
基地局200は、具体的には、
図11に示すように、アンテナ201、受信部202、CP除去部203、分離部204、FFT部205,208、デマッピング部206,209、CH推定部210、周波数領域等化部207、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)部211、復調部212、復号部213、参照信号設定部214、変調部215、および、送信部216を備えている。
【0055】
これらのうち、変調部215および送信部216は、送信処理部217を構成する。CP除去部203、分離部204、FFT(Fast Fourier transform)部205,208、デマッピング部206,209、周波数領域等化部207、IDFT部211、復調部212、および復号部213は、受信処理部218を構成する。参照信号設定部214には、図示しない系列算出部が含まれる。続いて、各部の詳細を説明する。
【0056】
参照信号設定部214は、端末100の参照信号処理部110(
図8)とほぼ同様の構成である。参照信号設定部214は、端末100がCoMP_UEか否かを判定し、CoMP_UEおよびNon−CoMP_UEに対応したDMRS用系列(端末100が送信したDMRS用系列と同じ系列)を生成し、CH推定部210へ出力する。また、参照信号設定部214は、CoMP_UEかNon−CoMP_UEかを端末100に暗示的あるいは明示的に伝えるための制御情報を変調部215へ出力する。
【0057】
変調部215は、参照信号設定部214から出力された制御情報と送信データとを変調して、送信部216に出力する。
【0058】
送信部216は、変調部から出力された信号に対してD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理を施した信号をアンテナ201から送信する。
【0059】
受信部202は、アンテナ201を介して受信した信号にダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した信号をCP除去部203に出力する。受信した信号には、データ信号及びDMRSが含まれる。
【0060】
CP除去部203は、受信処理が施された信号からCPを除去し、CP除去後の信号を分離部204に出力する。
【0061】
分離部204は、CP除去部203から入力される信号をDMRSとデータ信号とに分離する。分離部204は、DMRSを一方のFFT部205に出力し、データ信号を他方のFFT部208に出力する。
【0062】
DMRS側のFFT部208は、分離部204から入力されるDMRSに対してFFT処理を施し、時間領域から周波数領域の信号に変換する。FFT部208は、周波数領域に変換したDMRSをデマッピング部209に出力する。
【0063】
デマッピング部209は、FFT部208から入力される周波数領域のDMRSから各端末100の送信帯域に対応した部分を抽出し、抽出したDMRSをCH推定部210に出力する。
【0064】
CH推定部210は、DMRSを用いて上り物理チャネルの同期検波のためのチャネル推定(チャネル推定値の算出)を行う。より詳細には、CH推定部210は、先ず、デマッピング部209から入力されるDMRSを、参照信号設定部214から入力されるDMRS系列で除算し、除算結果(相関値)にIFFT処理を施す。次に、CH推定部210は、IFFT処理を施した信号にマスク処理を施すことにより、所望の巡回シフト系列の相関値が存在する区間(ウィンドウ部分)の相関値を抽出する。続いて、CH推定部210は、抽出した相関値にDFT(Discrete Fourier Transform)処理を施し、DFT処理を施した相関値をチャネル推定値として周波数領域等化部207に出力する。ここで、出力される信号は、伝搬路の周波数変動(伝搬路の周波数応答)を表す信号である。
【0065】
データ側のFFT部205は、分離部204から入力されるデータ信号に対してFFT処理を施し、時間領域から周波数領域の信号に変換する。FFT部205は、周波数領域に変換したデータ信号をデマッピング部206に出力する。
【0066】
デマッピング部206は、FFT部から入力される信号から各端末100の送信帯域に対応した部分のデータ信号を抽出し、抽出した各信号を周波数領域等化部207に出力する。
【0067】
周波数領域等化部207は、CH推定部210から入力される信号(伝搬路の周波数応答)を用いて、デマッピング部206から入力されるデータ信号に等化処理を施し、等化処理を施した信号をIDFT部211に出力する。
【0068】
IDFT部211は、周波数領域等化部207から入力されるデータ信号に対してIDFT処理を施して、周波数領域の信号を時間領域の信号に戻す。そして、IDFT部211は、時間領域の信号を復調部212へ出力する。
【0069】
復調部212は、IDFT部から入力される信号に復調処理を施し、復調処理を施した信号を復号部213に出力する。
【0070】
復号部213は、復調部212から入力される信号に復号処理を施し、受信データを抽出する。
【0071】
[系列番号q,q’の算出処理]
ここでは、端末100の系列算出部112ならびに基地局200の系列算出部により行われる系列番号q,q’の算出処理について詳細に説明する。
【0072】
図12は、実施の形態1におけるNon−CoMP_UE用の系列グループとCoMP_UE用の系列グループの各選択基準値を示す図である。
図13は、実施の形態1における10RBのときのZC系列の選択方法を説明する図である。
【0073】
端末100の系列算出部112は、自機がNon−CoMP_UEの場合、先ず、式(3)に示すように、系列グループ番号uを用いてNon−CoMP_UE用の系列選択基準値B
u=(u+1)/31を算出する。ここで、系列グループ番号uは、Serving cellに割り当てられたセル固有の系列グループ番号u(0〜29のいずれかの番号)が適用される。
【0074】
一方、端末100の系列算出部112は、自機がCoMP_UEの場合、式(4)に示すように、系列グループ番号uを用いて、Non−CoMP_UE用のいずれの系列選択基準値B
uとも異なるCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’を算出する。ここで使用される系列グループ番号uは、明示的あるいは暗示的に通知されたUE固有の系列グループ番号u(例えば、0〜29のいずれかの番号)が適用される。
【0075】
CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’は、
図12に示すように、Non−CoMP_UE用の系列グループの系列選択基準値B
uの間に、所定個ずつ(例えば、
図12の場合は1個ずつ)設定される。このCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’が中間系列選択基準値に相当する。式(4)は、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’が、Non−CoMP_UE用の系列グループの系列選択基準値B
uの間に1個ずつ設定された場合の算出式である。
【0076】
続いて、端末100の系列算出部112は、Non-CoMP_UE用の系列選択基準値B
u、または、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’に基づいて、系列長N
ZCRSに応じた系列番号qを算出する。この算出処理を模式的に表したのが
図13である。
【0077】
図13では、一部の数値区間のみを示しているが、10RB用の系列(系列長N
ZCRS=113)の場合、「0〜1」の数値区間には、系列長に応じた個数の系列決定値「q/N
ZCRS(又はq’/N
ZCRS)= 1/113 〜 112/113 」が均等に現れる。また、この数値区間には、30個のNon−CoMP_UE用の系列選択基準値「B
u=1/31〜30/31」と、30個のCoMP_UE用の系列選択基準値「B
u’=1/62、3/62、5/62、…61/62」とがそれぞれ設定される。このNon−CoMP_UE用の系列グループの系列選択基準値B
uの間(
図13の場合には#0〜1の区間)の数値区間が、系列選択用の数値区間に相当する。
【0078】
自機がNon−CoMP_UEの場合、端末100の系列算出部112は、式(5−1)のように、先に求めた系列選択基準値B
uを用いてNon−CoMP_UE用のZC系列番号qを算出する。
【0079】
式(5−1)は、系列決定値(q/N
ZCRS)と、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uとの差の絶対値が0に最も近いZC系列番号(v=0のとき)と、2番目に0に近いZC系列番号(v=1のとき)とを算出することに相当する。
【0080】
ここで、例えば、送信帯域幅が10RBで、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uが「1/31」であるとする。この場合、
図13に示すように、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値「B
u=1/31」に最も近い2つの系列決定値「q/N
ZCRS=3/113、4/113」が選択されるように、ZC系列番号「q=3、4」が算出される。また、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uが「2/31」であれば、この系列選択基準値B
uに最も近い2つの系列決定値「q/N
ZCRS=7/113、8/113」が選択されるように、ZC系列番号「q=7、8」が算出される。
【0081】
一方、自機がCoMP_UEの場合、端末100の系列算出部112は、式(5−2)のように、先に求めたCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’を用いてCoMP_UE用のZC系列番号q’を算出する。
【0082】
式(5−2)は、系列決定値(q’/N
ZCRS)と、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’との差の絶対値が0に最も近いZC系列番号(v=0のとき)と、2番目に0に近いZC系列番号(v=1のとき)を算出することに相当する。
【0083】
ここで、例えば、送信帯域幅が10RBで、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’が「3/62」であるとする。この場合、
図13に示すように、CoMP_UE用の系列選択基準値「B
u’=3/62」に最も近い2つの系列決定値「q’/N
ZCRS=5/113、6/113」が選択されるように、ZC系列番号「q’=5、6」が算出される。
【0085】
このように、本実施の形態では、系列を選択するための基準値を、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uと、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’とで異なる値にしている。これにより、従来の30個存在するNon−CoMP_UE用の系列グループとは異なる相関特性をもつZC系列グループのZC系列をCoMP_UE用に生成することができる。このようなZC系列を使用することで、相互相関の高い系列が近くのセルで用いられることがなくなり、セル間の干渉を低減することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’としては、隣接する2つのNon−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uの間で、これらの各系列選択基準値B
u,B
u’が均等な間隔で配置される値が採用されている。従って、これらの系列選択基準値B
u,B
u’に基づき系列決定値(ZC系列番号と系列長の比)を選択する場合に、複数の系列グループ間の系列決定値の差をほぼ等間隔に離すことができる。
【0087】
前述したように、異なるZC系列の相互相関値は、ZC系列番号と系列長の比が近いほど高くなる(非特許文献1を参照)。逆にZC系列番号と系列長の比が離れるほど相互相関値は低くなる。よって、上述したように系列グループを生成することで、Non−CoMP_UEとCoMP_UEとで使用されるDMRSのセル間干渉の増加を抑えることができる。
【0088】
基地局200の系列算出部は、通信相手の端末100がCoMP_UEかNon−CoMP_UEかに基づき、上記と同様の処理によって、CoMP_UE用の系列番号qと、Non−CoMP_UE用の系列番号q’とを算出する。
【0089】
なお、式(4)は、式(4)’としても同等の効果が得られる。
【数4】
【0090】
式(4)のCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’は、Non−CoMP_UE用の30個の系列選択基準値B
uをマイナス側に1/62だけずらした30個の新たな系列選択基準値に相当する。それに対して、式(4)’のCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’は、Non−CoMP_UE用の30個の系列選択基準値B
uをプラス側に1/62だけずらした30個の新たな系列選択基準値に相当する。
【0091】
なお、
図12の例では、CoMP_UE用系列選択基準値B
u’を、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uの間に1個ずつ設けていたが、2個または3個など複数個ずつ設けて、より多くのCoMP_UE用系列選択基準値B
u’を設定することもできる。これにより、CoMP_UE用の系列グループ数を、Non−CoMP_UE用の系列グループ数よりも多く生成することができる。続いて、この一例を説明する。
【0092】
図14は、CoMP_UE用の系列グループの選択基準値の変形例を示す図である。
【0093】
ここでは、Non−CoMP_UE用の各系列選択基準値(式(3))の間に、Y(Yは系列を選択するための基準値の分割数に相当)個のCoMP_UE用の系列グループ数を生成する場合を説明する。この場合、CoMP_UE用の系列グループ(u,y)(ただし、y=0,…,Y−1)のCoMP_UE用系列選択基準値B
u,y’は、Non−CoMP_UE用の系列グループの系列選択基準値B
uの間にY個ずつ設定される。具体的には、CoMP_UE用の系列グループ(u,y)の系列選択基準値B
u,y’は式(6)あるいは式(6)’のように算出する。式(4)および(4)’は、式(6)および(6)’においてY=1とした場合と等価となる。
図14の例は、Y=2の場合の系列グループの選択基準値を示している。
【0095】
このように、CoMP_UE用の系列グループを生成することで、CoMP_UE用とNon−CoMP_UE用の系列グループ間のZC系列番号と系列長の比を均等に離すことができ、セル間干渉を低減できる。
【0096】
なお、上記の説明では、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’、B
u,y’が、Non−CoMP_UE用の各隣接する2つの系列選択基準値B
uの間で、均等な間隔で設定される構成を例にとって説明した。しかしながら、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’、B
u,y’は、上記のような均等な間隔で設定される値から、少しずれた値に設定されてもよい。少しの程度ずれたとしても、均等な間隔で設定した場合と同様の系列グループの割当を行うことができる。
【0097】
また、CoMP_UE用の系列グループ数がNon−CoMP_UE用の系列グループ数よりも少なく生成する場合には、同じ式を用いて、CoMP_UE用の系列グループ番号uの最大数を制限すればよい。
【0098】
以上のように、本実施の形態1によれば、CoMP_UEはDMRS用ZC系列として、Non−CoMP_UEのDMRS用ZC系列とはZC系列番号とZC系列長の比が異なる(相関特性が異なる)系列が用いられる。よって、同じ系列グループが使用される2つのセル間距離であるリユース距離が小さくならない。よってCoMP_UEとNon−CoMP_UEとで使用されるDMRSのセル間干渉の増加を防止できる。
【0099】
(実施の形態2)
[更なる課題]
実施の形態1で説明したZC系列の選択方法を、送信帯域幅が5RB以下の場合にそのまま適用すると、所望の条件を満たすCoMP_UE用のZC系列が十分に確保できないという課題がある。
【0100】
例えば、送信帯域幅が3RB(M
RS=36サブキャリア)の場合は、ZC系列長N
ZCRSは、サブキャリア数を単位とした送信帯域幅M
RSより小さい最大の素数であるのでN
ZCRS=31となる。ZC系列は、ZC系列番号q=1〜(N
ZCRS−1)の(N
ZCRS−1)個が存在する。よって、この場合には、CoMP_UE用のZC系列として、式(4)の系列選択基準値B
u’に最も近く、且つ、Non−CoMP_UE用のZC系列と異なる系列番号を選択することができない。
【0101】
同様に、送信帯域幅が4RBおよび5RBの場合、ZC系列長N
ZCRSは47、59となる。よって、この場合にも、30組の系列グループのCoMP_UE用のZC系列として、30組の系列グループのNon−CoMP_UE用のZC系列と異なる系列番号を1つずつ選択することができない。
【0102】
図15は、実施の形態1のZC系列の選択方法を3RB〜6RBのときに適用した場合の結果を示す図である。
図15(A)は、式(3)の系列選択基準値に基づき算出したNon−CoMP_UE用の各ZC系列グループ(u=0〜29)に割り当てられる各ZC系列番号q(ただし、送信帯域幅は3〜6RB)を示している。一方、
図15(B)は、式(4)の系列選択基準値で算出したCoMP_UE用の各ZC系列グループ(u=0〜29)に割り当てられるZC系列番号q’(ただし、送信帯域幅は3〜6RB)を示している。
【0103】
図15(B)では、網掛け部分のZC系列番号が、Non−CoMP_UE用とCoMP_UE用とで同じになることが確認できる。このように、Non−CoMP_UEとCoMP_UEでZC系列長とZC系列番号が等しいZC系列を使うと、Non−CoMP_UEとCoMP_UEとの間でDMRSのセル間干渉が増加してしまう。
【0104】
[端末100および基地局200の構成]
実施の形態2の端末100の構成は、実施の形態1とほぼ同様であり、送信帯域幅が所定数以下(例えば5RB以下)の場合における系列算出部112および参照信号生成部113の動作のみが異なる。実施の形態2の基地局200の構成は、端末100と同様に、送信帯域幅が所定数以下(例えば5RB以下)の場合における、参照信号設定部214に含まれる系列算出部および参照信号生成部の動作のみが異なる。
【0105】
[実施の形態2の動作]
ここでは、端末100の系列算出部112および参照信号生成部113における動作を説明する。基地局200の参照信号設定部214においては、ほぼ同様の処理が行われるので説明を省略する。
【0106】
先ず、系列算出部112は、基地局200から指示されたDMRSの送信帯域幅(=M
RS[サブキャリア])が所定数以下(例えば5RB以下)であり、且つ、CoMP判定部111からの出力がCoMP_UEであるかを判定する。そして、判定結果が肯定の場合、系列算出部112は、ZC系列長N
ZCRSとして送信帯域幅M
RSより大きい値を設定する。
【0107】
ここで、系列算出部112は、ZC系列長N
ZCRSとして、例えば送信帯域幅の2倍を超えない最大の素数を設定する。すなわち、3,4,5RBのとき、ZC系列長N
ZCRSは71,89,113とする。これにより、生成可能なZC系列数(=N
ZCRS−1)を増加できる。
【0108】
次に、系列算出部112は、上記のように算出したCoMP_UE用のZC系列長N
ZCRSと、実施の形態1に示したCoMP_UE用の系列選択基準値B
u’(例えば式(4))とに基づき、式(5−2)を用いてCoMP_UE用のZC系列番号q’を算出する。
【0109】
図16は、実施の形態2における3RB〜6RBのときのZC系列の選択結果を示す表である。
図16の表は、送信帯域幅が3〜6RBのときに算出されるZC系列長N
ZCRSと、CoMP_UE用の各ZC系列グループ(u=0〜29)に割り当てられるZC系列番号q’とを示している。
【0110】
図16のように算出されたZC系列番号q’であれば、
図15(A)のNon−CoMP_UE用の系列グループと比較して、どの系列グループにおいても系列決定値(ZC系列長とZC系列番号との比)を異ならせることができる。よって、このZC系列番号q’を用いることで、Non−CoMP_UEとCoMP_UEとで使用されるDMRSのセル間干渉の増加が抑えられる。
【0111】
なお、系列算出部112が、所定数以下の送信帯域幅で設定するZC系列長の設定値は、送信帯域幅の2倍から求めることに限らない。ZC系列長の設定値は、送信帯域幅の2倍以上の素数とすれば、CoMP_UE用のZC系列として、式(4)の系列選択基準値B
u’に最も近く、且つ、Non−CoMP_UE用のZC系列とは異なる系列番号を1つ以上選択することができる。従って、系列算出部112と参照信号生成部113は、例えば、システム帯域幅相当のZC系列長を設定して、その一部を削除したZC系列を用いるような構成としてもよい。
【0112】
参照信号生成部113は、ZC系列長N
ZCRSのZC系列の一部を削除し、送信帯域幅M
RSの長さの参照信号用系列を生成し、マッピング部102へ出力する。
【0113】
図17は、実施の形態2におけるZC系列のトランケーション処理の第1例を説明する図を示し、
図18は、実施の形態2におけるZC系列のトランケーション処理の第2例を説明する図を示す。
【0114】
参照信号生成部113では、次のようにZC系列の波形の対称性を利用して一部を削除する。以下に例を2つ述べる。1つ目は、ZC系列の波形は偶称性(波形の中心を軸に左右が同じ波形)となるので、この対称性が維持できるようにZC系列の一部を削除する方法である。これにより相互相関の増加を抑えることができる(国際公開第2009/041066号参照)。詳細には、
図17に示すようにZC系列の波形(系列要素#kとして
図17の上段に示される波形)の中心部分を削除して、左右の波形を合体することで波形の対称性が維持できる。
【0115】
2つ目は、
図18に示すようにZC系列の波形の前半あるいは後半の半波形を削除する方法である。これによりZC系列は偶称性の性質があるため、波形の前半半分と後半半分の振幅変動は同程度となり、PAPR(Peak to Average Power Ratio)およびCM(Cubic Metric)の増加を抑えることができる。
【0116】
なお、基地局200から指示されたDMRSの送信帯域幅(=M
RS[サブキャリア])が所定数より大きい(例えば6RB以上)、あるいは、CoMP判定部からの出力がNon−CoMP_UEである場合には、実施の形態1と同様になる。すなわち、系列算出部112および参照信号生成部113は、この場合に実施の形態1と同じ動作を行う。
【0117】
以上のように、実施の形態2によれば、送信帯域幅が小さい場合でも、CoMP_UE用に系列選択基準値B
u’に最も近く、且つ、系列決定値q/N
ZCRSがNon−CoMP_UE用の値と異なる複数の系列グループを割り当てることができる。よって、実施の形態2においても、実施の形態1と同等に、CoMP_UEとNon−CoMP_UEとで使用されるDMRSのセル間干渉の増加を抑制できる。さらに、実施の形態2では、ZC系列の波形の対称性を利用してZC系列の一部を削除してDMRSを生成するので、CoMP_UEで使用されるDMRSの相互相関およびPAPRまたはCMの増加を抑えられる。
【0118】
(実施の形態3)
[更なる課題]
特許文献1で示されるように、ZC系列番号とZC系列長の比(系列決定値)が近いZC系列間は相互相関が最も高いが、系列決定値の差が0.5に近いZC系列間が2番目に相互相関が高くなる。また、実施の形態1のZC系列の選択方法では、例えば、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号u=1に対応する系列選択基準値B
0は、式(3)からB
0=2/31となる。一方、CoMP_UE用の系列グループ番号u=17に対応する系列選択基準値B
17’は、式(4)からB
17’=35/62となり、両者の関係はB
17’=B
0+1/2の関係となる。よって、これら系列選択基準値B
0,B
17’にそれぞれ近い2つの系列決定値のZC系列が選択された場合、これらZC系列の相互相関が高くなってしまう。そして、これらのZC系列が近隣セルで同じ周波数帯域で使用された場合に、DMRSのセル間干渉が少し増加してしまう。実施の形態3は、このようなセル間干渉の増加を抑制するものである。
【0119】
[端末100および基地局200の構成]
実施の形態3の端末100および基地局200構成は、実施の形態1とほぼ同様であり、系列算出部112および基地局200の系列算出部の動作のみが異なる。
【0120】
[実施の形態3の動作]
続いて、端末100の系列算出部112における動作を説明する。基地局200の系列算出部においてはほぼ同様の動作が行われるので説明を省略する。
【0121】
実施の形態3の系列算出部112では、実施の形態1とCoMP_UE用のUE固有の系列グループ番号uの設定方法が異なる。
【0122】
系列算出部112は、基地局200からCoMP_UE用のUE固有の系列グループ番号uの通知があった場合、その系列グループ番号uを用いる。
【0123】
一方、系列算出部112は、基地局200から明示的あるいは暗示的なUE固有の系列グループ番号uの通知がない場合、予め定められたルールで、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号からCoMP_UE用のUE固有の系列グループ番号uを導出する。以下には具体的な導出方法を2つ説明する。
【0124】
図19は、実施の形態3におけるCoMP_UE用の系列グループの割当方法の第1例を説明する図を示す。
【0125】
1つ目は、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’が、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
uに最も近くなるように、UE固有の系列グループ番号uを選択する方法である。
【0126】
この方法では、例えば、CoMP_UE用の系列グループ数が30個(Non−CoMP_UE用の系列グループ数と同じ。系列選択基準値の分割数Y=1)の場合、式(7)のようにCoMP_UE用のUE固有の系列グループ番号を求めればよい。これにより、
図19に示すように系列選択基準の差が0.5となる相互相関がやや高い系列グループ(例えば、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号#1とCoMP_UE用の系列グループ番号#17)を使用するセルを離すことができる。この方法によれば、距離減衰により、CoMP_UEとNon−CoMP_UEとで使用されるDMRSの干渉を低減することができる。
【0128】
また、上記のようなUE固有の系列グループ番号uの導出方法を適用することで、次のような効果が得られる。例えば、
図19に示すように、Non−CoMP_UE用に系列グループ番号#1と#3とが割り当てられている2つのセルの境界付近に居るCoMP_UEにCoMP_UE用の系列グループ番号を割り当てる場合を想定する。この場合、Non−CoMP_UE用に系列グループ番号#1が割り当てられているセルにCoMP_UEが属しているとき(Serving cellが#1のとき)、基地局は、このCoMP_UEにCoMP_UE用の系列グループ番号を通知しなくてよい。そして、このCoMP_UEには、上記の方法によって系列グループ番号を導出させればよい。さらに、このCoMP_UEが、Non−CoMP_UE用に系列グループ番号#3が割り当てられているセルへ移動した(Serving cellが#3となった場合)とする。基地局は、この場合にのみ、このCoMP_UEにCoMP_UE用の系列グループ番号#17を通知すればよい。よって、2つのセルの片方でCoMP_UE用の系列グループ番号の通知を省略することができる。
【0129】
図20は、実施の形態3におけるCoMP_UE用の系列グループの割当方法の第2例を説明する図である。
【0130】
2つ目は、CoMP_UE用の系列選択基準値B
u’が、Non−CoMP_UE用の系列選択基準値B
u+0.5に、最も近くなるように、UE固有の系列グループ番号uを選択する方法である。
【0131】
この方法では、例えば、CoMP_UE用の系列グループ数が30個(Non−CoMP_UE用の系列グループ数と同じ。系列選択基準値の分割数Y=1)の場合、式(8)のようにCoMP_UE用のUE固有の系列グループ番号を求めればよい。これにより、
図20に示すように系列選択基準の差が0.5となる相互相関がやや高い系列グループ(例えば、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号#1とCoMP_UE用の系列グループ番号#17)を、同じCoMP受信エリア内のセルで使用することができる。CoMP受信エリア内のセルは1つのスケジューラーがリソース割当を行うので、スケジューラーによって干渉が高くなるUE同士を異なる周波数帯域に割り当てることができる。よって、適切なリソース割当を行うことで、CoMP_UEとNon−CoMP_UEとで使用されるDMRSの干渉を低減することができる。
【0133】
また、このようなUE固有の系列グループ番号uの導出方法を適用した場合にも、
図20のように2つのセルの境界付近にCoMP_UEが居る場合に、片方でCoMP_UE用の系列グループ番号の通知が省略できるという効果が得られる。すなわち、基地局は、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号が#3のCoMP_UE(Serving cellが#1のUE)へのみCoMP_UE用の系列グループ番号の通知を行えばよい。そして、Non−CoMP_UE用の系列グループ番号が#1のCoMP_UE(Serving cellが#1のUE)へのCoMP_UE用の系列グループ番号の通知が省略できる。
【0134】
以上のように、実施の形態3によれば、CoMP_UE用とNon−CoMP_UE用の相互相関がやや高くなる系列決定値が0.5離れた系列グループの割り当てを考慮することで、CoMP_UEとNon−CoMP_UEとで使用されるDMRSの干渉をより低減することができる。
【0135】
さらに、実施の形態3によれば、CoMP_UE用の系列グループ番号の通知がない場合の導出方法を予め定めることで、UE固有系列グループ番号のシグナリング量を低減することができる。
【0136】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0137】
なお、上記実施の形態では、送信信号が複数のセルで協調して受信・合成される端末のことをCoMP_UEと表わしたが、CoMP_UEを、UE固有のDMRS系列が設定可能あるいは、設定されたUEと読み替えてもよい。或いは、CoMP_UEを、3GPP Rel.11以上をサポートするUE、Virtual_cell_IDが設定可能或いは設定されたUEと読み替えてもよい。また、CoMP_UEを、明示的にCoMP_UEだと基地局から通知されたUE、または、セル固有割当の系列と異なるZC系列をDMRSに使用するように指示されたUE、と読み替えてもよい。
【0138】
また、CoMP_UEとは、Rel.11以上をサポートするUEで、かつ、小送信電力基地局(ピコセル、RRH(Remote Radio Head)など)に接続するUEを指してもよい。
【0139】
ここで、小送信電力基地局が配置されるシステムに本発明を適用した場合について説明する。
【0140】
図21は、小電力基地局を有するシステムへ本発明に係る系列グループ割当を適用した例を示す図である。
【0141】
例えば、LTE Rel.11以降では、
図21に示すようにLTE Rel.10で定義された系列グループを用いるマクロセルエリア内を、小送信電力基地局を新たに複数配置してカバーすることが考えられる。このような小送信電力基地局を複数配置する場合、それぞれのセル半径は小さくなるため、系列グループのリユース距離(同一系列グループを使用するセル間距離)が小さくなり、セル間干渉が増加するという同様の課題が生じる。
【0142】
そこで、新たに配置する小送信電力基地局に、上記各実施の形態でCoMP_UE用の系列グループとして説明した新たな系列グループを割り当てることで、各実施の形態と同様の効果を得ることができる。つまり、LTE Rel.11以降で、新たに配置する小送信電力基地局に接続するUEをCoMP_UE、それ以外のセルに接続するUEをNon−CoMP_UEとして、本実施の形態を適用する。具体的には、
図21に示すように、マクロセルに接続するUE(Non−CoMP_UE)が用いる系列グループ番号を#1とし、そのセルエリア内にLTE Rel.11以降の小セル(ピコセルとも呼ぶ)を5個配置する場合を想定する。この場合、式(6)でY=5とした5つのCoMP_UE用系列選択基準値B
u,y’(式(9)で求まるB
u,0’〜B
u,4’)を用いて5つの系列グループを生成し、各小セルへ割り当てる。これにより、異なるセル(小セル同士、小セルとマクロセル)に接続するUE間でDMRSが干渉することを低減できる。
【0144】
また、上記実施の形態では、基地局から端末へCoMP_UEを指示することを説明したが、この指示を行うリソースおよび制御情報としては、具体的には、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)のUL Grant(UpLink Grant)を適用することができる。また、この指示を行う制御情報としては、RRC(Radio Resource Control)シグナリング(上位レイヤーシグナリング)を適用することもできる。
【0145】
また、上記実施の形態では、DMRSに本発明に係る参照信号系列を適用した構成を例にとって説明したが、SRS(Sounding Reference Signal)に本発明に係る参照信号系列を適用した構成を採用することもできる。
【0146】
また、上記実施の形態では、CoMP_UE用の系列グループの各RBで使用できるZC系列数は、Non−CoMP_UE用の系列グループと同数となる構成について主に示した。しかし、CoMP_UE用の系列グループの各RBで使用できるZC系列数は、Non−CoMP_UE用の系列グループと異なってもよい。例えば、Non−CoMP_UE用の系列グループは、
図1に示したように、3〜5RBは1系列、6RB〜は2系列である。一方、CoMP_UE用の系列グループは、
図22に示すように、全てのRBで1系列としてもよい。
図22は、CoMP_UE用のZC系列の割当方法の変形例を示す表である。
【0147】
このようにCoMP_UE用のZC系列を各RBで1系列に絞ることで、次のような効果が得られる。すなわち、CoMP_UEのDMRSは、MU−MIMO分離を行うために、より高いチャネル推定精度が求められる。よって、CoMP_UE用のZC系列を各RBで1系列に絞ることで、より所望の系列選択基準S
n’に近い系列決定値(ZC系列番号とZC系列長の比)のZC系列だけをDMRSとして利用させることができる。従って、DMRSのセル間干渉がより低減してチャネル推定精度を改善させることができる。
【0148】
[例外処理]
また、上記実施の形態の通信システムにおいては、例外処理として、CoMP_UEがNon−CoMP_UE用の系列グループのDMRSとCoMP_UE用の系列グループのDMRSとを状況に応じて使い分ける構成を採用することもできる。
【0149】
例えば、RACH message 3 (RACH(Random Access Channel) response)用のDMRSは、CoMP_UE又はNon−CoMP_UEに関わらず、Non−CoMP_UE用のZC系列を用いるとよい。基地局はRACH message 3を送信する端末がセル固有系列を設定可能なUEか否かを識別できない。そのため、このような例外処理とすることで、基地局はCoMP_UEのRACH message 3を正しく受信することができる。
【0150】
また、系列グループ番号の明示的な通知をRRC(Radio Resource Control)シグナリングで行う場合、CoMP_UEは、シグナリング直後の所定期間にNon−CoMP_UE用のZC系列を用いるように構成するとよい。基地局は、シグナリング後の所定期間、基地局からのシグナリング内容を端末が反映済みか否かを確定的に認識することができない。よって、このような例外処理とすることで、基地局はシグナリング直後の不確定期間においても上り信号を正しく受信することができる。
【0151】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
【0152】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0153】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)または、LSI内部の回路セルの接続または設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0154】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0155】
2012年3月9日出願の特願2012−052854の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。