(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炭化水素燃料を導入する前記ステップは、組成的類似炭化水素燃料を、前記炭化水素燃料を受け取るように作動可能な前記SOFCシステムの各部に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
前記炭化水素燃料を導入する前記ステップは、第1の炭化水素供給原料組成を、前記炭化水素燃料を受け取るように作動可能な前記SOFCシステムの一部分に導入することと、第2の炭化水素燃料組成を、前記炭化水素燃料を受け取るように作動可能な前記SOFCシステムのまた別の一部分に導入することと、を含む、請求項1に記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、前記圧縮水素生成物の一部分を前記水素圧縮および貯蔵システムから前記水素化脱硫システムに渡すことを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
スチームを導入する前記ステップは、前記触媒反応炉管内のスチームと炭素のモル供給原料比が2:1から4:1の範囲であるようにスチームを導入することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、前記触媒反応炉管の温度を775℃から825℃の範囲に、および、8バールから10バールの範囲の圧力に維持することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
必要な前記化学量論量の前記超過は、前記改質器燃焼室内に存在する前記炭化水素および水素のすべてを十分に燃焼させるために必要な前記化学量論量よりも少なくとも10パーセント多いことである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、前記スチーム改質器を少なくとも90℃の温度差で前記改質器燃焼室と前記触媒反応炉管の間で維持することを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、99.50から99.99モルパーセントの範囲の水素純度を有する精製された水素ガスを生産することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、前記予備改質器の温度を350℃から400℃の範囲に維持することを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、乾モル基準で15パーセントから20パーセントの範囲でメタンを有する前記予備改質器合成ガス生成物を生産することを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、前記固体酸化物形燃料電池の前記アノード側の温度を、725℃から775℃の範囲に維持することを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、乾モル基準で95.00から99.99モルパーセントの範囲で酸素純度を有する酸素を生産することを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムを作動させる前記ステップは、10ppmモル未満の酸素濃度を有する前記精製二酸化炭素生成物を生産することを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
前記SOFCシステムの前記酸素発生システムは、前記固体酸化物形燃料電池に電気的に連結し、水および電力を受け取り、電解水素および電解酸素を生産するように作動可能である電解セルを含み、前記水素圧縮および貯蔵システムは前記酸素発生システムとも流体的に連結し、
前記SOFCシステムに水を導入することと、
電力が前記酸素発生システムに渡って前記酸素発生システムが電解酸素および電解水素の両方を別々に生産するようにし、そして前記電解水素が前記水素圧縮および貯蔵システムに渡るように、前記SOFCシステムを作動させること、のステップをさらに含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
精製二酸化炭素生成物、電気動力車両に好適である電力、スチームおよび炭化水素燃料を使用する水素燃料電池車両に好適である圧縮水素生成物、を生産するために有用であるSOFCシステムであって、
水素圧縮および貯蔵システムと流体的に連結し、前記炭化水素燃料を受け取るように作動可能である水素化脱硫システムと、
触媒反応炉管および改質器燃焼室を有するスチーム改質器であって、前記触媒反応炉管は前記水素化脱硫システムと流体的に連結し、過熱スチームを受け取るように作動可能であり、前記改質器燃焼室は前記触媒反応炉管と熱的に連結し、固体酸化物形燃料電池のアノード側の出口と酸素発生システムの両方と流体的に連結し、前記炭化水素燃料を受け取るように作動可能である、スチーム改質器と、
前記触媒反応炉管と流体的に連結し、一酸化炭素を二酸化炭素と水素に変換するように作動可能な、水性ガスシフト反応炉システムと、
前記水性ガスシフト反応炉システムと流体的に連結し、精製された水素ガスを生産するように作動可能な、水素精製システムと、
前記水素精製システムと流体的に連結し、前記圧縮水素生成物を生産するように作動可能な、前記水素圧縮および貯蔵システムと、
前記固体酸化物形燃料電池の前記アノード側の前記出口と流体的に連結し、前記炭化水素燃料を受け取り、そして予備改質器合成ガス生成物を生産するように作動可能な、予備改質器と、
前記アノード側を有し、電力を生産するように作動可能である前記固体酸化物形燃料電池であって、前記アノード側は、前記予備改質器および前記水素精製システムの両方と流体的に連結し、アノード排気ガスを生産するように作動可能な入り口を有する、前記固体酸化物形燃料電池と、
酸素を生産するように作動可能な酸素発生システムと、
前記改質器燃焼室と流体的に連結し、前記精製二酸化炭素生成物を生産するように作動可能な、CO2精製および液化システムと、を備える、を備えるSOFCシステム。
前記水性ガスシフト反応炉システムは、直列に連結する高温シフト反応炉と低温シフト反応炉を備え、各反応炉は異なる水性ガスシフト触媒を含む、請求項19に記載のSOFCシステム。
前記SOFCシステムの前記酸素発生システムは、前記固体酸化物形燃料電池と電気的に連結し、水および電力を受け取ることと、電解水素および電解酸素を生産することの両方を作動可能な電解セルを含み、前記水素圧縮および貯蔵システムは前記酸素発生システムとも流体的に連結する、請求項19〜22のいずれかに記載のSOFCシステム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書は、これは発明の概要、図面の簡単な説明、および発明を実施するための形態、ならびに付属請求項を含むが、発明の特定の特徴(プロセスまたは方法ステップを含む)を参照する。当業者は、本発明はすべての可能な組み合わせおよび本明細書中に記述される特定の特徴の使用を含むことを理解するであろう。当業者は、本発明は本明細書中に与えられる実施形態の記述に、またはそれにより限定されないことを理解するであろう。発明の主題事項は、本明細書および付属請求項の精神の中である場合のみを除き、制限されない。
【0019】
当業者は、特定の実施形態を記述するために使用される用語は、発明の範囲または幅を限定しないことも理解するであろう。本明細書および付属請求項の解釈にあたり、すべての用語は各用語の文脈と一貫し、可能な限り最も幅広い形で解釈されるべきである。本明細書および付属請求項において使用されるすべての技術的および科学的用語は、別段の定義がない限り、本発明が所属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同一の意味を有する。
【0020】
本明細書および付属請求項における使用では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別の形で明瞭に示さない限り、複数の参照を含む。動詞「含む」およびその活用形は、非排他的方法において、要素、構成部分、またはステップを参照するものとして解釈されるべきである。参照される要素、構成部分、またはステップは、明示的に参照されない他の要素、構成部分、またはステップと共に存在、利用、または組み合わされ得る。動詞「連結する」およびその活用形は、電気的、機械的、または流体的を含む、任意のタイプの必要な結合を完了させ、元は結合されていない2つ以上の物体から1つの物体を形成することを意味する。第1の装置が第2の装置と連結する場合、その接続は直接的にまたは共通の接続部を介して生じることができる。「任意に」およびその様々な形は、その後に記述される事象または状況が生じるかまたは生じないことを意味する。記述は、事象または状況が生じる例、およびそれが生じない例を含む。
【0021】
空間用語は、ある物体または物体の群の別の物体または物体の群に対する相対的位置を記述する。空間関係は、垂直および水平軸に沿って適用する。「上流」および「下流」およびその他の類似用語を含む配向および関連単語は、記述の便宜性のためのものであり、別段の指示がない限り、限定的ではない。
【0022】
ある値の範囲が明細書または付属請求項において提供されている場合、その間隔は上限と下限の間、ならびに上限と下限の各介在値を包囲することを理解されたい。本発明は提供されるあらゆる具体的除外に従うより小さい範囲の間隔を包含し、範囲指定する。
【0023】
本明細書および付属請求項において、2つ以上の定義されたステップを含む方法に対する参照が行われた場合、定義されたステップは任意の順番でまたは同時に実行されることが可能であるが、文脈がその可能性を排除する場合は除く。
【0024】
すべての圧力値はゲージ圧として理解されたい。
[
図1]
【0025】
図1はSOFCシステムの実施形態の処理の流れ図である。SOFCシステムは、電力、EORに好適な液化二酸化炭素生成物、およびHFCVでの使用に好適な水素を、炭化水素供給原料から発生させるように作動可能である。
図1は記述の容易さのための単純な図である。当業者は、そのようなシステムは、意図された目的のために作動可能とする補助的機器およびサブシステムを伴う複雑な構造であることを理解する。
【0026】
SOFCシステム100は、システム外部の源からの蒸気化液体炭化水素を使用し、精製水素の製造のための炭化水素を提供する。炭化水素供給導管2は、蒸気化液体炭化水素を、HFCVに好適な水素ならびにEOR品質の二酸化炭素への変換のためにSOFCシステム100内へ導入する。炭化水素供給導管2は、SOFCシステム100の外部にある液体炭化水素供給原料貯蔵設備に連結する。
【0027】
炭化水素供給導管2は水素化処理装置4の処理入口と連結し、蒸気化液体炭化水素の一部を水素化処理装置4内へ導入する。水素化処理装置4は、有機硫黄化合物を、水素化処理触媒上で水素を使用して、硫化水素およびアルカンに変換するように作動可能であり、水素化処理済ガスを生産する。水素リサイクル供給導管6は、これは水素化処理装置4をH2圧縮トレイン8に連結するが、圧縮水素の一部を水素化処理装置4内に導入し、水素化処理のために水素を供給する。水素化処理済ガスは水素化処理装置4から吸着ベッド10内へ渡る。吸着ベッド10は金属酸化物吸収剤を使用して水素化処理済ガスから硫化水素を吸収し、脱硫済炭化水素ガスを生成物として生成する。
【0028】
美的便宜上、
図1において互いに重なって示されているが、当業者は、スチーム改質器12は実際には燃焼室16を通過する改質触媒を含む触媒反応炉管14を有することを理解する。改質器供給導管18は吸着ベッド10を触媒反応炉管14の処理入口に連結し、脱硫済炭化水素ガスをスチーム改質器14へ導入する。スチーム改質器14は、脱硫済炭化水素ガス内のアルカンを、改質触媒の存在下で、スチームを用いて、改質器合成ガスへ変換するように作動可能である。改質器合成ガスは、圧倒的に水素、炭素酸化物、および水から作られる。極少量のメタンおよび不活性ガスも存在し得る。過熱スチーム導管20はSOFCシステム100の外部にあるスチーム発生システムと連結し、そしてそこから過熱スチームを触媒反応炉管14内へ導入する。スチーム改質器14は燃焼室16から転送された熱を受け取り、これは触媒反応炉管14内に生じる改質処理のための主熱駆動体である。
【0029】
改質器生成物導管22は、スチーム改質器12の触媒反応炉管14を水性ガスシフト反応炉システム24の処理入口に連結し、改質器合成ガスを水性ガスシフト反応炉システム24内へ導入する。水性ガスシフト反応炉システム24は改質器合成ガス内の一酸化炭素および水を二酸化炭素および水素に変換するように作動可能であり、シフト済合成ガスを生成する。水凝縮物導管26は、液体出口を通して水性ガスシフト反応炉システム24と連結し、凝縮水をSOFCシステム100の外部にある水処理設備へ渡す。
【0030】
水性反応生成物導管28は、水性ガスシフト反応炉システム24を水素圧力スイング吸着装置(PSA)30に連結し、シフト済合成ガスを水素PSA30に導入する。水素PSA30は、水素をシフト済合成ガスから抽出するように作動可能で、低圧オフガスおよび精製水素ガスを生成する。PSAオフガス導管32は固体酸化物形燃料電池34と連結し、メタン、炭素酸化物、不活性物およびいくらかの水素を含む低圧オフガスを、固体酸化物形燃料電池34に向ける。
【0031】
生成物水素導管36は、水素PSA30を水素圧縮トレイン8に連結し、精製水素ガスを水素圧縮トレイン8内に導入する。電解水素導管38は電解セル40を水素圧縮トレイン8に連結し、電解水素を水素圧縮トレイン8の中に導入する。水素圧縮トレイン8は、HFCVへの輸送およびそこでの使用に好適な圧縮水素生成物に、精製水素ガスおよび電解水素の両方を圧縮する。圧縮水素生成物導管42は、水素化処理装置4へのリサイクルのためには使用されない圧縮水素を、SOFCシステム100の外部にある圧縮水素生成物貯蔵設備に向ける。
【0032】
SOFCシステム100は、システム外部の源からの蒸気化液体炭化水素を使用し、EORおよび電気に好適な精製水素、二酸化炭素の製造のための炭化水素を提供する。炭化水素供給導管44は予備改質器46と連結し、SOFCシステム100の外部の源から蒸気化液体炭化水素を導入する。スチームリサイクル導管48は、予備改質器46の処理側とも連結し、スチームを含むアノードオフガスの一部を供給原料として固体酸化物形燃料電池34から導入する。予備改質器46は、予備改質器触媒の存在下で、蒸気化炭化水素供給原料およびスチームを有するアノードオフガスを、予備改質プロセスガスに変換する。予備改質プロセスガスは、いくらかの一酸化炭素、水素、および水と共に、二酸化炭素およびメタンを含む。
【0033】
予備改質器生成物導管50は、吸着ベッドを予備改質器46に連結し、予備改質プロセスガスを吸着ベッド52に導入する。吸着ベッド52は、予備改質器46内に生成される予備改質プロセスガス内に存在する硫化水素を吸収する。吸着ベッド52は、予備改質プロセスガスから硫化水素を除去すると、脱硫プロセスガスを生成する。
【0034】
吸着ベッド生成物導管54は、吸着ベッド52の出口と連結する。吸着ベッド生成物導管54とPSAオフガス導管32は下流において結合し、アノード供給導管56を形成する。吸着ベッド52からの脱硫プロセスガスおよび水素PSA30からのPSAオフガスは混合して、メタン、炭素酸化物、水素、および水を含むアノード供給ガスを生成する。
【0035】
アノード供給導管56は、水素PSA30および吸着ベッド52を固体酸化物形燃料電池34のアノード58に連結し、アノード供給ガスをアノード58に導入する。アノード58はアノード供給ガスに含まれるメタンおよび水を、水素および炭素酸化物に内部改質し、アノードオフガスを生成する。
【0036】
圧縮空気導管60は、固体酸化物形燃料電池34のカソード62と連結し、圧縮空気をSOFCシステム100の外部にある空気処理システムからカソード62へ導入する。カソードにおいて、固体酸化物形燃料電池40は電気を使用して酸素イオンをカソード62内の圧縮空気から抽出し、カソード60内に酸素欠乏空気を生成する。カソード欠乏空気導管64は、カソード44と連結し、酸素欠乏空気をSOFCシステム100の外部にある空気処理システムへ渡す。
【0037】
固体酸化物形燃料電池34は、アノード58内のアノード供給ガス内に存在する水素および一酸化炭素との抽出された酸素陰イオンの電気化学的反応を促進し、水と二酸化炭素を生成する。電気化学的反応は電子を解放し、この一部は、カソード62上でさらなる酸素イオンを抽出することによって電気化学的反応を継続するために有用である。アノードオフガス導管66はアノード58と連結し、アノードオフガスを予備改質器46および燃焼室16に向ける。アノードオフガスは、少量の水素、メタン、および一酸化炭素と共に、水蒸気および二酸化炭素を含む。
【0038】
電気導管68は固体酸化物形燃料電池38と連結し、固体酸化物形燃料電池34によって生産された超過電気を、電力グリッド導管70および電解電気導管72へ向ける。電力グリッド導管70は、電気の一部をSOFCシステム100の外部にある電気分配へ向け、一方、電解電気導管72は電流を酸素および水素発生のために電解セル40へ向ける。
【0039】
アノードオフガス導管66は、固体酸化物形燃料電池34のアノード58の処理出口を、スチーム改質器12の予備改質器46と燃焼室16の両方の処理入口に連結する。アノードオフガスの一部は、含水量およびストリームの熱のために、スチームリサイクル導管48を通って、予備改質器46へリサイクルされる。残りのアノードオフガスは、改質器供給導管74を通って、スチーム改質器12の燃焼室16に向けられる。
【0040】
電解電気導管72は、固体酸化物形燃料電池34を電気的に電解セル40と連結する。電解電気導管72は、電気を電解セル40へ導入する。電解水導管76は、SOFCシステム100の外部にある水処理から、電解セル40へ水を導入する。電解セル40は、電気的に水を分離することにより、電解水素および電解酸素を生産するように作動可能である。電解水素導管38は、生産された電解水素を水素圧縮トレイン8へ向け、電解酸素導管78は電解酸素をスチーム改質器12の燃焼室16内へ向ける。
【0041】
SOFCシステム100はシステムの外部にある源からの蒸気化液体炭化水素を使用して、固体酸化物形燃料電池34のオフガスをEOR品質の二酸化炭素生成物に燃焼させるための炭化水素を提供し、またスチーム改質器12の触媒反応炉管14内での触媒改質のための熱を提供する。
【0042】
炭化水素供給導管82は、蒸気化液体炭化水素をスチーム改質器12の燃焼室16へ導入する。燃焼室16は、電解酸素を有するアノードオフガスと蒸気化液体炭化水素の燃焼から燃焼排ガスを生成するように作動可能である。燃焼排ガスはほとんどが二酸化炭素で、少量の酸素および水もあり得る。
【0043】
燃焼排ガス導管84は燃焼室16をCO2精製システム86の処理入口に連結する。燃焼排ガス導管84は燃焼排ガスをCO2精製システム86に導入する。CO2精製システム84は、二酸化炭素を燃焼排ガスから分離し、それを液体二酸化炭素生成物に転換するように作動可能である。CO2精製システム86は、分離処理の一部として、ガスパージおよび水も生産する。CO2生成物導管88は、液体二酸化炭素生成物を、SOFCシステム100の外部にあるCO2生成物貯蔵へ向ける。水導管90は、凝縮水をSOFCシステム100の外部にある水処理へ向ける。ガスパージ導管92は、ガスをCO2精製システムポイントからSOFCシステム100の外部へ向ける。
[炭化水素燃料]
【0044】
SOFCシステムは、エネルギー源として、また生成物水素、二酸化炭素、および電気を生産するために利用可能な反応物質源としての両方で、さまざまな炭化水素燃料を受け取るように作動可能である。SOFCシステムにおける使用のために有用な炭化水素燃料の例として含まれるものは、天然ガスおよびその蒸留物ならびにその混合であり、それに含まれるのは水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、および天然ガス液体(NGL)であり、さらに天然および精製ガソリン、関連ガス液体凝縮物、大気原油蒸留物であり、これに含まれるのはナフサ、特に重ナフサ、ケロシン、およびガスオイルであり、さらにディーゼル燃料、精製後の純、混合または汚染された石油化学製品で、これに含まれるのは混合BTEX(ベンゼン/トルエン/エチルベンゼン/キシレン)であり、さらに液体真空原油蒸留物である。ナフサ、ケロシン、およびディーゼルガスオイルを含む大気原油蒸留物は、有用な炭化水素燃料であり、その理由は、それらの相対的な入手可能性、可搬性、および密度である。これらの炭化水素燃料はまた、貯蔵および液体移動性の状態を維持するために追加の冷却または加熱も必要としない。
【0045】
SOFCシステムを使用する方法は、炭化水素燃料を非液体状態でSOFCシステムに導入することを含む。この方法は、ガスとしての炭化水素燃料、蒸気化液体および霧化液体を3つのいずれかの組み合わせとして導入する。霧化は、非液体状態を達成するために、過度の加熱によるコークス化を避けるために、170℃を超える最終沸騰点(FBP)を有する炭化水素液体にとって有用である。霧化を必要とし得る炭化水素燃料の例は、重ナフサ、ケロシン、ディーゼル燃料、および燃料油を含む。SOFCシステムを使用する方法の実施形態は、約380℃の温度で、炭化水素燃料を導入することを含む。
【0046】
使用方法の実施形態は、組成的に類似する炭化水素燃料をSOFCシステムの全体にわたり導入することを含む。そのような実施形態では、水素生成プロセスに原料供給する水素化脱硫システム、電気生産プロセスに対して原料供給する予備改質器、そして二酸化炭素生成プロセスに原料供給する改質器燃焼室に炭化水素燃料が導入される。
図1に示されるSOFCシステムの実施形態は、1つの炭化水素燃料源から炭化水素燃料を導入する。SOFCシステムの使用法の実施形態は、第1の炭化水素燃料をSOFCシステムの一部分に、第2の炭化水素燃料をSOFCシステムの別の一部分に導入することを含み、そこでは、第1および第2の炭化水素燃料は異なる組成を有する。そのような実施形態は、異なる入手可能な炭化水素供給原料、生成物の目録、消費者需要、および供給原料価格に基づき、水素、電気、および二酸化炭素生産を最適化するためにSOFCシステムを作動させるにおいて柔軟性を提供する。
[水素化脱硫システム]
【0047】
液体炭化水素、特に原油の常圧蒸留物、は有機硫黄化合物を含む。ヘテロ有機硫黄化合物の例は、アルカン、シクロアルカン硫化物、メルカプタン、二硫化物、多硫化物、およびチオフェンを含む。有機および無機硫黄化合物は、ほとんどの改質器および電気化学的触媒の働きを抑制する。SOFCシステムは、水素化処理装置触媒の存在下で、水素を使用して有機硫黄化合物を硫化水素に変換するよう作動可能である水素化脱硫システムを含む。水素化脱硫システムは、硫化水素をプロセスガスから除去して清めるようにも作動可能である。
【0048】
水素化脱硫システムの水素化処理装置は、有機硫黄化合物を硫化水素に変換するための水素を受け取る。水素は精製または混合されることが可能である。水素はSOFCシステムの内部または外部の源から由来することが可能である。SOFCシステムの実施形態は、SOFCシステムの下流部から水素化処理装置への水素リサイクルを含む。SOFCシステムの内部の水素含有ストリームは、水素精製システムのオフガスおよび生成物ガス、酸素発生システムからの水素ガス、および水性ガスシフト反応炉システムにより処理されるプロセスガスを含む。SOFCシステムの使用法の実施形態は、部分的に圧縮された生成物水素を水素生成物圧縮装置から水素化処理装置へリサイクルすることを含む。水素は、水素化処理装置触媒−モリブデンコバルト触媒の存在下で、ヘテロ有機化合物と反応する。
【0049】
SOFCシステムは、硫化水素を水素化処理済ガスから除去するように作動可能な吸着ベッドを含む。吸着ベッドは、固体金属酸化物乾燥剤を使用して硫化水素を除去し、脱硫済炭化水素ガスを生産する。吸着ベッドは硫化水素を吸収する金属酸化物を含む。有用な金属酸化物の例は、錫酸化物、鉄酸化物、および亜鉛酸化物を含む。
[スチーム改質器]
【0050】
SOFCシステムはスチーム改質器を含み、これは燃焼室または炉を通過する触媒反応炉管を含む。改質器の触媒反応炉側は、炭化水素を水素、少量のメタン、および炭素酸化物に変換するように作動可能である。炉側は炭化水素を燃焼し、二酸化炭素を作成して触媒反応炉側のための熱を提供する。炉側の燃焼からの熱は、触媒反応炉管内に放射し、クラック反応を促進する。スチーム改質器は多数の触媒反応炉管を含む。
[改質器触媒反応炉管]
【0051】
SOFCシステム内では、触媒反応炉管は水素化脱硫システムの吸着ベッドと連結し、脱硫済炭化水素ガスを受け取る。触媒反応炉管は改質触媒の存在下でスチーム改質を使用して、ほとんどが水素で少量のメタンを有する合成ガスを生産する。少部の炭素酸化物も存在する。
【0052】
触媒反応炉管はスチームも受け取り、改質は吸熱処理であるため、これは改質反応のための水ならびに固有の熱を提供する。このスチームは、湿性、乾性、または過熱スチームが可能である。過熱スチームは有用である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約650℃の温度を有する過熱スチームを触媒反応炉管へ導入することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、スチーム−炭素モル供給原料比(SCR)が約2:1から約4:1の範囲において、スチームを触媒反応炉管内へ導入することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約3:1のSCR値においてスチームを触媒反応炉管へ導入することを含む。SCRは、触媒反応炉管に供給される脱硫済液化炭化水素内の炭素の各モルに関するスチームのモル量(水として)である。
【0053】
メタン発酵を容易にするため、触媒反応炉管は通常のスチーム改質器条件より低い圧力および温度範囲において作動する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約775℃から約825℃の範囲で触媒反応炉管内の温度を維持することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約800℃で触媒反応炉管内の温度を維持することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約8バールから約10バールの範囲で、触媒反応炉管内の圧力を維持することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約9.7バールで触媒反応炉管内の圧力を維持することを含む。
【0054】
触媒反応炉管内の改質触媒は、少なくとも1つの活性金属を有する。活性金属改質触媒材料は、好ましくは少なくとも1つの第8〜10族の金属で構成され、より好ましくはニッケルである。ニッケルは活性、低コスト、および入手容易性により好ましい。活性金属改質触媒として有用な金属の例は、コバルト、ランタン、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミューム、ニッケル、鉄、およびルテニウムを含む。活性金属改質触媒のための担体材料は、金属酸化物および混合金属酸化物(MMO)を含む。好適な担体金属の例は、α−およびγ−アルミナ、マグネシウム−アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、セリウム−ジルコニウム酸化物、マンガン酸化物、ランタン酸化物、ニオブ酸化物、モリブデン酸化物、アルミン酸カルシウム、亜鉛酸化物、シリコン酸化物、およびチタン酸化物を含む。理論によって拘束されることを意図しているのではないが、多くの金属酸化物および混合金属酸化物は、触媒活性の強い疑いがあり、したがって、改質反応において共触媒としての働きをする。触媒担体の構造は好ましく熱サイクルに耐え、触媒が破砕されるのを阻止する。
【0055】
生成物改質器合成ガスは、水素、メタン、炭素酸化物および水を含む。一連の熱交換装置は、熱を再捕捉し、下流分離を支持するために、触媒反応炉管からの通過時に、合成ガスを約300℃まで冷却可能である。
[改質器燃焼室]
【0056】
SOFCシステムでは、改質器燃焼室は、固体酸化物形燃料電池と連結してアノードオフガスの一部を受け取る。改質器燃焼室はまた、蒸気化液体炭化水素を一次燃料として受け取る。改質器燃焼室はまた、酸素を供給原料として提供する酸素発生システムと連結する。「酸素燃焼装置」の主生成物は、ほとんど二酸化炭素と熱を含む燃焼排ガスである。燃焼からの熱は改質器触媒反応炉管内に転送し、改質を支持する。
【0057】
酸素は改質器燃焼室における反応物質である。SOFCシステムは、酸素を改質器燃焼室に導入するように作動可能な酸素発生システムを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、改質器燃焼室内へ導入されるすべての炭化水素および水素を十分に燃焼させるために必要な化学量論量を超過する酸素を導入することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、改質器燃焼室へ導入される炭化水素および水素の完全熱燃焼のために化学量論的に必要とされるよりも少なくとも10パーセント以上多くの酸素を導入することを含む。追加酸素は、炭化水素および水素の二酸化炭素および水への完全燃焼を確実にする。導入される酸素は混合または純酸素が可能であるが、しかしながら、NOxの形成を避けるために、空気または「富化空気」は好まれない。
【0058】
SOFCシステムの使用法のある実施形態は、炉の動作温度を約900℃に維持することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、熱転送を促進するために、改質器燃焼室と触媒反応炉管の間に少なくとも90℃の温度差を維持することを含む。
【0059】
生成物燃焼排ガスはほとんど純二酸化炭素である。一連の熱交換器は、改質器燃焼室から通過するガスを、熱を再捕捉するために約30℃〜50℃まで冷却可能である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、改質器燃焼室から通過するガスを約38℃まで冷却することを含む。
[水性ガスシフト反応炉システム]
【0060】
SOFCシステムは、水性ガスシフト触媒の存在下で、水を使用して、改質器合成ガス内に存在する一酸化炭素のほとんどを二酸化炭素および水素に変換するように作動可能な水性ガスシフト反応炉システムを含む。改質器合成ガスは、二酸化炭素への変換が必要な少量の一酸化炭素を有する。さらに、水性ガスシフト反応炉システムは、生成物水素を作り出す。水性ガスシフト反応炉システムは、シフト済合成ガス生成物を生成する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、改質済合成ガス内の一酸化炭素の二酸化炭素への全体的な変換が約96%であるように、水性ガスシフト反応炉システムを作動させることを含む。
【0061】
SOFCシステムは2ステージ水性ガスシフト反応炉システムを使用し、第1のステージは高温シフト(HTS)反応炉で、第2のステージは低温シフト(LTS)反応炉である。HTS反応炉は、改質器合成ガス内の幾分かの一酸化炭素および水を、二酸化炭素および水素に変換するように作動し、特定のシフト済改質器合成ガスを生成する。SOFCプロセスのある実施形態は、約300℃の温度に維持するようにHTS反応炉を作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、改質器合成ガスと共に導入された一酸化炭素の約75%が二酸化炭素に変換するようにHTS反応炉を作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、HTSを断熱式に作動させることを含む。
【0062】
HTS反応炉は、部分的にシフト済改質器合成ガスをLTS反応炉内に渡す。LTS反応炉はまた、改質器合成ガス内の幾分かの一酸化炭素および水を二酸化炭素および水素に変換するように作動する。LTS反応炉からの生成物は、シフト済改質器合成ガスで、極少量の一酸化炭素が存在する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、部分的にシフト済改質器合成ガスを、LTS反応炉内への導入前に、約200℃から約230℃の範囲の温度に冷却することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、部分的にシフト済改質器合成ガスを約216℃の温度に冷却することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、部分的にシフト済改質器合成ガスとともに導入された一酸化炭素の約80%が二酸化炭素に変換するようにLTS反応炉を作動させることを含む。
【0063】
SOFC使用法のある実施形態は、シフト済改質器合成ガスを、約30℃から約50℃の範囲の温度に冷却することを含む。
[水素精製システム]
【0064】
SOFCシステムは、水性ガスシフトシステムのLTS反応炉と連結する水素精製システムを含む。水素精製システムは、水素を導入されたシフト済改質器ガスから分離するように作動可能であり、精製された水素ガスおよびオフガスを生成する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、水素純度が約99.50から約99.99モルパーセントの範囲である精製された水素ガスを生成することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、水素純度が約99.99モルパーセントである精製された水素ガスを生成することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、圧力が約5から約10バール圧の範囲で精製された水素ガスを生成することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約7バール圧の圧力の精製された水素ガスを生成することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、圧力が約0.4バールから約1.0バールの範囲のオフガスを生成することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約0.4バールの圧力のオフガスを生成することを含む。水素精製システムオフガスは、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水、および水素を含む。
【0065】
水素精製システムは、化学処理業界においてよく知られる多数の技術を使用して、シフト済改質器合成ガスを分離可能であり、それに含まれるのは、低温液体化、洗浄後メタン発酵を伴う湿式洗浄(例えば、ベンフィールド法)、選択的膜分離および圧力スイング吸着(PSA)システムである。SOFCシステムのある実施形態は、水素を精製するよう作動可能なPSAを含む。水素精製システムは、精製された水素を水素圧縮器システムに渡す。水素精製システムは、電気生産のためにオフガスを固体酸化物形燃料電池へ向ける。
[水素圧縮および貯蔵システム]
【0066】
SOFCシステムは、水素圧縮器および貯蔵システムを含む。水素圧縮器および貯蔵システムは、水素精製システムと連結し、精製された水素を受け取り、そして生成物水素を最終用途に好適な圧縮水素生成物として圧縮し、貯蔵するように作動可能であり、この用途に含まれるのは、輸送、低温での長期間貯蔵、およびHFCVへの燃料供給である。
【0067】
SOFCプロセスにおいて、水素圧縮および貯蔵システムは第1の圧縮システムを使用し、精製された水素をバルク水素貯蔵のために約170バールに加圧する。第2の圧縮器システムを使用して、水素圧縮および貯蔵システムは、精製された水素を多段階貯蔵のために約430バールに加圧する。多段階貯蔵圧において、圧縮水素生成物はHFCVに対して小売方法での分配にとって有用である。水素−分配小売市場の所与のニーズにおいて、分配圧は、多段階貯蔵圧より、わずかに低い(約350バール)から大幅に高い(約700バール)範囲である。これらのサービスおよび貯蔵圧への水素の加圧のために有用なさまざまな圧縮技術は当業者に知られており、単段および多段圧縮器、中間冷却器、およびミスト分離器を含む。
【0068】
SOFCシステムのある実施形態は、水素化処理システムへの圧縮水素生成物の一部を連結する、ならびにそれを渡すよう作動可能な水素圧縮および貯蔵システムを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、圧縮水素生成物をバルク水素貯蔵圧程度の圧力において水素化処理システムへ渡すことを含む。
【0069】
SOFCシステムのある実施形態は、酸素発生システムと連結する水素圧縮および貯蔵システムを含む。そのような実施形態では、水素圧縮器システムは酸素発生システムから渡る精製された水素を受け取るように作動可能である。水素圧縮器システムは、改質器からの精製された水素と共に、酸素発生システムからの精製された水素を圧縮水素生成物に混合、加圧するように作動する。
[予備改質器]
【0070】
SOFCシステムは予備改質器を含む。予備改質器は、導入された供給原料内の非メタン炭化水素を、メタンリッチ廃物へ変換するように作動可能である。メタンリッチ廃物は、内部改質およびその後電気を発生する炭素酸化物への電気化学的変換のために、下流SOFCにとって有用である。
【0071】
SOFCシステムでは、予備改質器は蒸気化液体炭化水素を受け取る。SOFCプロセスのある実施形態は、蒸気化液体炭化水素組成を、水素化脱硫システムへ導入されるものと同一の液体炭化水素組成を有する予備改質器へ導入することを含む。予備改質器は、予備改質器触媒の存在下で、水蒸気を使用して、蒸気化液体炭化水素とともに導入される非メタン炭化水素を、メタンおよび炭素酸化物を含む予備改質器合成ガス生成物へ変換するように作動可能である。
【0072】
SOFCシステムでは、予備改質器はSOFCのアノード出口に連結する。予備改質器は、固体酸化物形燃料電池アノードオフガスの一部分をアノード排気リサイクルストリームとして受け取るように作動可能である。アノードオフガスは、かなりの部分の二酸化炭素および水蒸気、ならびに幾分かの量のメタン、水素、および一酸化炭素を含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノード排気リサイクルを、スチーム−炭素モル比が約3:1から約4:1の範囲となるように予備改質器に導入することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノード排気リサイクルを、スチーム−炭素モル比が3.5:1の比であるように予備改質器に導入することを含む。「スチーム」は、SOFCアノードオフガス中の水のモル濃度(蒸気形状)である。「新鮮炭素」は導入された蒸気化液体炭化水素中の炭素のモル濃度である。SOFCアノードオフガスはすでに加熱されたかなりの量の水蒸気を含むため、SOFCシステムの予備改質器は「新鮮」または「作成」スチームが供給原料として必要とされないように作動可能である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、スチームを、スチーム−炭素モル比が約3:1から約4:1の範囲となるように予備改質器へ導入する。
【0073】
SOFCシステムの使用法のある実施形態は、断熱的に予備改質器を作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、予備改質器を、約350℃から約400℃の範囲の温度で作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、予備改質器を約9バールの範囲の圧力で作動させることを含む。
【0074】
予備改質器内で生じる改質処理は、予備改質器触媒の存在下で生じる。SOFCシステムのある実施形態は、硫黄耐性を有する貴活性金属触媒を含む予備改質器を含む。貴金属は、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、および金を含む。予備改質触媒は、選択性および改質活性を改善する材料を含むことも可能で、それに含まれるのは、サマリア添加セリア(SDC)、ガドリニア添加セリア、およびイットリア添加セリアである。予備改質触媒の存在下で、前述の有機硫黄化合物を含むヘテロ有機化合物はアルカンおよび硫化水素に変換する。アルカンは、予備改質器合成ガス生成物の一部として、予備改質器を出ていく前に、さらにメタンおよび炭素酸化物に変換する。
【0075】
予備改質器合成ガス生成物は、電気生成のためにSOFCで使用するための、メタンと炭素酸化物の混合物である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、乾モル基準で、約15パーセントから約20パーセントの範囲のメタンを有する予備改質器合成ガス生成物を生産するように予備改質器を作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、乾モル基準で約17パーセントのメタンを有する予備改質器合成ガス生成物を生産するように予備改質器を作動させることを含む。予備改質器合成ガス生成物の残りは、圧倒的に水素および炭素酸化物である。
[予備SOFC吸着ベッド]
【0076】
SOFCシステムは、硫化水素を予備改質器合成ガス生成物から除去するように作動可能な吸着ベッドを含む。硫化水素を予備改質器合成ガス生成物から除去することは、固体酸化物形燃料電池内のセラミック電解液および改質触媒を保護する。吸着ベッドは予備改質器の出口と連結し、予備改質器合成ガスを受け取る。吸着ベッドは、硫化水素を吸収する金属酸化物を含む。金属酸化物の例は、錫酸化物、鉄酸化物、および亜鉛酸化物を含む。吸着ベッドは脱硫済予備改質器合成ガスを生産する。
[固体酸化物形燃料電池]
【0077】
SOFCシステムは、アノード側とカソード側を連結するセラミック電解質を有する固体酸化物形燃料電池を含む。SOFCのアノード側は、改質触媒の存在下で、メタンと水を一酸化炭素および水素に内部改質し、次に、酸素陰イオンを有する生成された合成ガスを二酸化炭素および水に電気化学的に変換するように作動可能であり、自由電子を生産する。カソード側は、自由電子を使って酸素を酸素イオンに変換するように作動可能である。酸素イオンは、セラミック、イオン伝導電解質を通して、カソード側からアノード側に渡り、電解質表面上で合成ガスと反応する。固体酸化物形燃料電池によって生産される超過電力は、SOFCプロセスの生成物である。
【0078】
SOFCシステムにおいて、固体酸化物形燃料電池のアノードは、水素精製システムのオフガス側と、予備改質器と連結する吸着ベッドの出口との両方と連結する。2つの出口ストリームは、結合して、メタン、水素、炭素酸化物、および水を含むアノード供給原料ストリームを生成する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノード供給原料ストリームをアノードへの導入前に約600℃に予備加熱することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノード供給原料ストリームを固体酸化物形燃料電池アノードオフガスで予備加熱することを含む。
【0079】
メタン組成を最大化し、アノード供給原料ストリーム内の非メタンアルカンおよび水素の量を最小化することは固体酸化物形燃料電池の内部改質能力を増加し、発電を改善する。内部改質は、固体酸化物形燃料電池において、改質触媒の存在下で生じる。内部改質はカソード側で使用される圧縮空気の量を下げ、吸熱改質反応が、合成ガスのオフガスへの発熱電気化学的変換を冷却するにつれ、固体酸化物形燃料電池のセラミック電解質を冷却する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、固体酸化物形燃料電池のアノード側を、約500℃から約1000℃の範囲の温度で作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、固体酸化物形燃料電池のアノード側を、約725℃から約775℃の範囲の温度で作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、固体酸化物形燃料電池のアノード側を約750℃の範囲の温度で作動させることを含む。
【0080】
SOFCシステムでは、アノードは予備改質器入口と改質器燃料室の両方と連結する。生成物アノードオフガスは、二酸化炭素および水が豊富であるが、幾分かの水素、一酸化炭素、水およびメタンをも有する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノードオフガスの一部を150℃未満の温度に冷却し、それを約1.2バールの圧力に圧縮することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、アノードオフガスの一部を約93℃の温度に冷却することを含む。冷却済、加圧済のアノードオフガスは、その水、水素、およびメタン含有量に関して予備改質器のための供給原料として有用である。
【0081】
固体酸化物形燃料電池のカソード側は、送風機によって駆動される空気を受け取り、アノード側における合成ガスの電気化学的変換のために必要な酸素を供給し、セラミック電解質を冷却する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、供給空気を約0.7バールの圧力で固体酸化物形燃料電池のカソード側へ導入することを含む。供給空気の予備加熱は、酸素の酸素陰イオンへの還元を改善する。SOFCプロセスの実施形態は、供給空気をカソードへの導入前に約600℃の温度に予備加熱することを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、低酸素のカソード側排出による供給空気の予備加熱を含む。
【0082】
固体酸化物形燃料電池は、SOFCプロセス消耗所要量を超過して電力を生産する。固体酸化物形燃料電池システムは、超過電力、すなわち、固体酸化物形燃料電池または他の内部SOFCシステムユーザによって使用されない電気、を外部分配システムに向ける。SOFCシステムのある実施形態は、固体酸化物形燃料電池が電気的に酸素発生システムと連結し、電流を酸素発生システムに渡すように作動可能である箇所を含む。そのような実施形態では、固体酸化物形燃料電池からの電気出力は、酸素発生装置システム内の酸素発生プロセスを支持する。外部分配システムは、EVに電気を提供するように作動可能な小売分配システムを含む。
[酸素発生システム]
【0083】
SOFCシステムは酸素発生システムを含む。酸素発生システムは、酸素を生産し、次にSOFCシステム内に導入するように作動可能である。酸素発生システムは、酸素を生成し、分配するための、化学処理業界において公知の数多くの技術を使用可能であり、これに含まれるのは、電解質セル、低温空気分離、酸素選択的輸送膜分離、真空PSA(VPSA)ユニット分離、およびオゾン発生装置技術である。
【0084】
SOFCシステム内の酸素発生システムは、改質器燃焼室と連結し、そして酸素を供給原料として改質器燃焼室内へ渡す。酸素は純供給原料として、または混合物として入ることが可能である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、乾モル基準において少なくとも80パーセント酸素の純度を有する酸素を生産するように酸素発生システムを作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、乾モル基準において、少なくとも90パーセント酸素の純度を有する酸素を生産するように、酸素発生システムを作動させることを含む。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、乾モル基準において、少なくとも95パーセント酸素の純度を有する酸素を生産するように酸素発生システムを作動させることを含む。
【0085】
SOFCシステムのある実施形態は、水を使用して電解酸素および電解水素を生産するために作動可能な酸素発生システムとして、電解セルを含む。そのような実施形態では、電解セルは水を分離した酸素および水素生成物に分解するために電気を使用するように作動可能である。そのような電解セルのある例は、プロトン電解質膜(PEM)電解セルで、これは、高い純度の水素(99.99モルパーセント)および酸素を発生することが可能である。SOFCシステムのそのような実施形態では、酸素発生システムは改質器燃焼室と水素圧縮システムの両方と連結し、そこでは、電解酸素は改質器燃焼室に渡り、電解水素は水素圧縮器システムに渡る。電解水素は水素圧縮器システムへの導入前に、その圧力を上げるために予圧を必要とし得る。
【0086】
酸素発生システムは、電力を使用して供給原料をSOFCシステム内で使用するために酸素に変換可能である。SOFCシステムのある実施形態は、固体酸化物形燃料電池を、固体酸化物形燃料電池からの電気が酸素発生システム内で酸素発生反応を助長するように酸素発生システムに電気的に連結することを含む。
【0087】
SOFCシステムの使用法のある実施形態は、酸素発生システムの温度を、酸素発生中は、約50℃の温度に維持することを含む。
[CO2精製および液化システム]
【0088】
SOFCシステムは、CO2精製および液化システムを含む。CO2精製および液化システムは、冷却された燃焼排ガスを改質器燃焼室から受け取り、冷却された燃焼排ガスから水および酸素を別々に抽出するように作動可能であり、精製済二酸化炭素ガスを形成する。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、10百万分率(ppm)モル未満の酸素濃度を有する精製済二酸化炭素を生成することを含む。
【0089】
CO2精製および液化システムはまた、精製済二酸化炭素ガスを冷却、圧縮し、液体二酸化炭素生成物を生成するように作動可能である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、約−20℃から約−50℃の範囲の温度および約22バールの圧力で液体二酸化炭素生成物を生成することを含む。精製済二酸化炭素を液化するための好適な圧縮および冷却技術は、プロパン冷却装置を含む。
【0090】
SOFCプロセスおよびシステムは、化学製品製造、EOR処理、または分離において使用するために生産された二酸化炭素を包含、回収する上で非常に効率的である。SOFCシステムの使用法のある実施形態は、SOFCシステムにおいて生産される全ての二酸化炭素の90パーセント超が捕捉され、液体二酸化炭素生成物に変換されるようにシステムを作動させることを含む。SOFCプロセスは残りの二酸化炭素および不活性物を浄化する。
[HFCVおよびEVのための代替燃料供給ステーション]
【0091】
代替燃料供給ステーションは、SOFCシステムを前述のように使用し、圧縮水素の供給、および代替燃料である直流電流を発生する。代替燃料供給ステーションは、圧縮水素および直流電流を、水素燃料電池車両(HFCV)および電気車両(EV)を含む代替燃料車両に燃料供給するために分配するように作動可能であり、代替燃料供給ステーションは少なくとも1つの導管を含み、燃料供給のために、HFCVと連結し、圧縮水素を運搬するように作動可能である。代替燃料供給ステーションはまた、充電のために、EVと連結し、電力を運搬するように作動可能な少なくとも1つの導管を含む。代替燃料供給ステーションはHFCVおよびEVの両方に対して同時に燃料供給するように作動可能である。
【0092】
代替燃料車両に代替燃料を補給するために代替燃料供給ステーションを使用する方法は、炭化水素燃料をSOFCシステムに導入すること、およびSOFCシステムを作動させて代替燃料を生産することの各ステップを含む。この方法のある実施形態は、約350バールから約700バールの範囲の圧力を有し、99.99パーセントの水素モル純度を有する圧縮水素を生産することを含む。この方法のある実施形態は、直流を有する電気を生産することを含む。代替燃料車両は、代替燃料貯蔵装置として水素燃料タンクを有するHFCVを含む。代替燃料車両は、バッテリバンクを代替燃料貯蔵装置として有するEVを含む。この方法はまた、SOFCシステムと代替燃料貯蔵装置の間に導管を形成するように代替燃料車両をSOFCシステムに連結するステップを含む。この方法はまた、導入される量が代替燃料貯蔵装置の容量を超過しないように、代替燃料量を代替燃料車両に導入するステップを含む。この方法はまた、代替燃料車両をSOFCシステムから連結解除するステップを含む。
【0093】
小売燃料補給ステーションの非使用期間中、SOFCプロセスは炭化水素燃料の取り込みを継続し、長期貯蔵のために水素、そして連結された電気グリッドまたはスポット需要の電気貯蔵システムのいずれかへ分配するために電気を製造するが、これに含まれるのは、コンデンサ/バッテリーの従来のバンクまたは代替貯蔵手段(例えば、電気的に連結された発電機およびタービンによるガス圧縮/圧縮解除)である。電気の連結された電気グリッドへの送信は、直流から交流(AC)への電流の変換を必要とし得る。水素および電気の連続的生産はSOFCシステムの定常状態作動を可能にするが、これは信頼性および問題解決を強化し、SOFCシステムが、作動上より多くの「オン/オフ」を伴う処理について、生産または需要レベルの突然の変化に対処することを可能にする。
[機器の支持]
【0094】
各実施形態は、記述された器具、処理、方法、およびシステムを可能とし、作動可能とする多くの追加標準構成要素または機器を含む。当業者に知られるそのような標準機器の例は、熱交換、ポンプ、送風機、再沸器、スチーム発生、凝縮液取扱、膜、単段および多段階圧縮器、分離および分留機器、バルブ、スイッチ、コントローラ、および圧力検出装置、温度検出装置、レベル検出装置、流れ検出装置を含む。
【0095】
プロセスまたは方法のステップの一部または全体の作動、制御、および性能は、人的対話、事前プログラム済コンピュータ制御および応答システム、またはそれらの組み合わせを通して生じ得る。
【0096】
具体的実施形態の例は、固体酸化物形燃料電池システムおよびプロセスのより良き理解を容易にする。実施例は決して本発明の範囲を限定または定義しない。
[実施例]
【0097】
図1に示されるSOFCシステムの実施形態は、AspenPlus(登録商標)(Aspen Technology,Inc.;Burlington,Mass.)、化学処理シミュレータで構成され、2つの異なるタイプの蒸気化液体炭化水素供給原料である、ナフサおよびケロシンを稼働する。
図1に示されるSOFCシステムを使用した処理シミュレーションは、HFCVでの使用に好適な250Nm3/時の水素(+99.99モルパーセント純度)、を生産し、またEVのための少なくとも370kWの電力を提供する。表1はシミュレーション結果を示す。
【0098】
【表1】
表1:
図1 ナフサおよびケロシン炭化水素燃料に関するシミュレーション結果
【0099】
表1の結果は高加熱値(HHV)効率を示し、これは23〜25%HHV範囲の効率を有する従来の水素担体ベースの燃料補給ステーションをしのぐ顕著な利点を反映している。固体酸化物形燃料電池による電気の同時生産ならびに固体酸化物形燃料電池内の内部改質メタンは、総体的効率値に反映される顕著なエネルギー節約を提供する。