特許第5970085号(P5970085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5970085パーキングブレーキによって生ぜしめられた締付力を供給するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970085
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】パーキングブレーキによって生ぜしめられた締付力を供給するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20160804BHJP
   B60T 13/66 20060101ALI20160804BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B60T7/12 A
   B60T13/66 Z
   B60T17/18
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-558043(P2014-558043)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公表番号】特表2015-508035(P2015-508035A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013050897
(87)【国際公開番号】WO2013127560
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月25日
(31)【優先権主張番号】102012202959.1
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ベアルレ・ミラー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブラッテルト,ディエター
(72)【発明者】
【氏名】プッツァー,トビアス
【審査官】 中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−225701(JP,A)
【文献】 特開2006−199280(JP,A)
【文献】 特開2010−076479(JP,A)
【文献】 特開2007−008198(JP,A)
【文献】 特開2010−058536(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0212251(US,A1)
【文献】 特開2009−126180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12− 8/96
B60T 13/00−13/74
B60T 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のパーキングブレーキ(1)によって生ぜしめられ締付力(Fkl)を供給するための方法であって、前記締付力(Fkl、ブレーキピストン(6)をブレーキディスク(10)に向かって押圧する電動ブレーキモータ(3)を有する電気機械式のブレーキ装置と、液圧式の補助締付力を生ぜしめる補助ブレーキ装置とによって生ぜしめられる方法において、
モータ電流若しくは該モータ電流に関連付けられた値が所定の限界値を越えるか、またはモータ回転数若しくは該モータ回転数に関連付けられた値が所定の限界値を下回ると、第1の締付過程に続いて、前記液圧式の補助締付力が既に作用している場合に前記電動ブレーキモータ(3)が再び操作される再締付過程が遮断され
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ブレーキピストン(6)によって進められた再締付ストロークが所定の限界値を越えると、再締付過程が遮断される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モータ電流のための前記所定の限界値がブレーキモータ(3)のスイッチオン時の始動電流ピークに相当する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
モータ電流のための前記所定の限界値が再締付過程時の始動電流ピークに相当する
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
要求された目標締付力が前記電動ブレーキモータ(3)介してだけでは提供されず、また補助ブレーキ力が全く得られないかまたは十分に得られない場合、エラー信号を発生させる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
液圧の監視をESP制御器(エレクトロニックスタビリティプログラム)で実施する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
液圧の監視を再締付過程中に実施する
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
電動ブレーキモータ(3)のモータ電流の勾配が所定の限界値を越えると、液圧が全く存在しないか若しくは十分に存在しない
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記再締付過程をブレーキディスク温度に応じて実施する
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
締付過程の終了後に所定の時間だけ車両運動を監視し、車両が動き出している場合、再締付過程を作動させる
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法を実施するための調整器若しくは制御器。
【請求項12】
請求項11に記載の調整器若しくは制御器を有している車両のパーキングブレーキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるパーキングブレーキによって生ぜしめられた締付力を供給するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を固定する締付力を生ぜしめるための、電動ブレーキモータを有するパーキングブレーキは公知であり、電動ブレーキモータが操作されると、ブレーキライニングの支持体であるブレーキピストンがブレーキディスクに押しつけられるようになっている。このようなパーキングブレーキは、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
所定の前提条件下では、パーキングブレーキの第1の締付過程後に時間的に間隔をおいて、ブレーキディスクが冷却されることによって発生する締付力損失を補整するために、再締付過程を実施すれば、好都合である。しかしながら、この場合、液圧式の車両ブレーキが同様にブレーキピストンに作用するので、ブレーキシステム内で液圧が作用する場合のために、電気機械式に供給される締付力と液圧式の締付力との重ね合わせが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公告第10361042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、簡単な手段によって、電気機械式の締付力を生ぜしめる電動ブレーキモータを備えた、車両のためのパーキングブレーキの正しい機能および高い運転安全性を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴により解決される。従属請求項には、好適な実施態様が記載されている。
【0007】
本発明による方法は、車両を停止状態に固定するための締付力を生ぜしめる電動ブレーキモータを備えた電気機械式のブレーキ装置を有する、車両のパーキングブレーキにおいて使用することができる。電動ブレーキモータの回転運動時に、アクチュエータが調整動作を行い、この調整動作を介して、ブレーキライニングの支持体であるブレーキピストンが軸方向でブレーキディスクに押しつけられる。
【0008】
ブレーキディスクに、場合によっては補助ブレーキ装置、例えば、車両走行中にブレーキ操作を実施する通常の車両ブレーキである液圧式のブレーキ装置の液圧が作用する。ブレーキ装置の液圧を介して、ブレーキピストン、ブレーキライニングの支持体が、ブレーキディスクに押しつけられる。ブレーキ装置の液圧は、車両の停止状態においても作用し、補助力を生ぜしめ、この補助力は、ブレーキモータの電気機械式の締付力に加えられる。液圧は、例えばパーキングブレーキの操作時に運転者がブレーキペダルを負荷するか、または運転者アシストシステム例えばエレクトロニックスタビリティプログラム(ESP)を介して液圧が生成されることによって、生ぜしめられ、この液圧は、パーキングブレーキの電動ブレーキモータの操作の瞬間にも作用する。
【0009】
電動ブレーキモータを新たに操作することによって再締付過程が実施されるべきであって、既に高い液圧式のブレーキ圧が存在している場合、目標締付力は電動ブレーキモータによっては得られない。何故ならば、目標締付力は、プリロードがかけられているシステムに対抗して任意に始動させられないからである。液圧式の締付力と電気機械式の締付力との重ね合わせることによって、供給された最終的な力は、電動ブレーキモータの単独操作におけるよりも大きくなる。しかしながら、締付力がそれ以上高められないにも拘わらず、再締付過程中にブレーキモータが操作されると、特にブレーキモータ内の構成要素、並びにブレーキモータに配属された制御器の電子制御装置の構成要素が強い負荷を受ける。しかも、車両のバッテリ回路から、必要とされるよりも多くの電気エネルギが取り出される。
【0010】
このような欠点を避けるために、パーキングブレーキの電動ブレーキモータが第1の締付過程に続いて再び操作される再締付過程を、モータ電流若しくはモータ電流に関連付けられた値が所定の限界値を越えると、遮断するようにした。再締付過程中にモータ電流が著しく上昇するということは、ブレーキピストンがそれ以上進まず、電動ブレーキモータが停止している、ということである。従って、機械的なおよび熱的な損傷、およびバッテリ回路からの高いエネルギ取り出しを避けるために、再締付過程中にモータ電流が所定の限界値を越えると、電動ブレーキモータが遮断される。モータ電流の代わりに、モータ電流に関連付けられた値を考慮してもよい。
【0011】
追加的にまたは選択的に、遮断のための基準値として、エンジン回転数若しくはエンジン回転数に関連付けられた値を考慮してもよい。電動ブレーキモータのロック時に、モータ回転数が所定の閾値を下回るということは、モータが遮断される場合である。
【0012】
前記基準値は、好適な形式で選択的とみなされるので、ブレーキモータは再締付過程中に、前記基準値のうちの1つが満たされると、遮断される。
【0013】
追加的に、ブレーキピストンが進む再締付ストロークが所定の限界値を越える場合、再締付過程が遮断される、別の遮断基準も考慮される。再締付ストロークのための限界値は、固定値例えば200μmに設定することができる。モータ電流または回転数がそれぞれ所属の限界値に達する前に、再締付ストロークが初めから限界値を越えている場合、再締付過程は同様に遮断される。
【0014】
モータ電流のための所定の限界値は、例えば、電動ブレーキモータのスイッチオン時に発生する始動電流ピークに設定される。この場合、機械特有の始動電流ピークが使用されるか、または実際の締付過程、特に再締付過程中の始動電流ピークが使用される。
【0015】
別の好適な実施態様によれば、要求された目標締付力が前記電動ブレーキモータを介してだけでは生ぜしめられず、それと同時に、十分な液圧によるアシストが車両ブレーキを介して行われない場合のために、エラー信号が生成されるようになっている。再締付時に、目標締付力がブレーキモータによって提供されない場合、締付力差を液圧式のブレーキ力によって生ぜしめる必要がある。液圧式のブレーキ圧が加えられないか、若しくはこれが不十分である場合、エラー信号が生成され、このエラー信号は、適当な形式でさらに処理され、例えば運転者に表示される。
【0016】
さらに、再締付過程をブレーキディスク温度に基づいて実施すれば、好適である。特に、車両走行中の長く連続的に行われるブレーキ操作時に、ブレーキディスク温度は著しく上昇し、次いで、ブレーキディスクの全体的な加熱を引き起こし、この際に、ブレーキディスクの軸方向の厚さに亘って少なくともほぼ同じ温度が形成される。車両の停止後に、ブレーキディスクが加熱されて熱いときにパーキングブレーキが操作され、電動式のブレーキモータを介して締め付けられると、続くブレーキディスクの冷却の際に、熱に基づく収縮によって締付力損失が発生し、この締付力損失が再締付過程を介して再び補償される。ブレーキディスク温度に関する情報が存在する限りは、再締付過程はブレーキディスク温度によって影響を受け、例えば、電動ブレーキモータを介する第1の締付と再締付との間の時間間隔が、ブレーキディスク温度によって可変に規定されるか、または再締付されるかどうかの決定が、ブレーキディスク温度に左右される。
【0017】
十分な液圧が提供されることを保証するために、好適な形式で、再締付過程中に、例えばESP制御器で、またはブレーキモータ例えばモータ電流の実際の電気式または機械式の状態値の評価によって液圧が監視され、ここで、電動ブレーキモータのモータ電流の勾配が所定の限界値を越えている場合、不十分な液圧が原因である。
【0018】
本発明による方法は、パーキングブレーキの構成部分であってよい、車両の調整器若しくは制御器において実行される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両を固定する締付力を生ぜしめるための電動ブレーキモータを備えた、車両のための電気機械式のパーキングブレーキの断面図である。
図2】パーキングブレーキの締付時における、パーキングブレーキの様々な状態値の経時変化を示す線図である。
図3】要求された目標締付力が達成されないパーキングブレーキの再締付過程時における、パーキングブレーキの様々な状態値の経時変化を示す線図である。
図4】車両ブレーキの液圧により補助されたパーキングブレーキによって、車両を停止状態に固定する締付力を供給するための方法ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
その他の利点および好適な実施例が、その他の請求項、図面に関する説明および図面に記載されている。
【0021】
図1は、車両の電気機械式のパーキングブレーキ1を示し、この場合、パーキングブレーキを介して、車両を停止状態に固定する締付力を生ぜしめることができる。パーキングブレーキ1は、ブレーキディスク10を把持するキャリパ9を備えたブレーキキャリパ2を有している。パーキングブレーキ1のアクチュエータとして、電動モータとして構成されたブレーキモータ3が機能し、このブレーキモータ3は、スピンドル4を回転駆動し、このスピンドル4に対してスピンドル構成部5が軸方向に調節可能、しかしながらハウジングに対して相対回動不能に支承されている。スピンドル構成部5は、スピンドル4が回転すると軸方向に調節される。スピンドル構成部5は、ブレーキライニング7の支持体であるブレーキピストン6内で移動する。ブレーキライニング7は、ブレーキピストン6によってブレーキディスク10に対して押しつけられる。ブレーキディスク10の反対側に別のブレーキライニング8が配置されており、このブレーキライニング8はキャリパ9で定置に保持されている。
【0022】
スピンドル構成部5はブレーキピストン6内において、スピンドル4の回転運動時にブレーキディスクに向かって軸方向で前方に移動するか、若しくはスピンドル4の逆の回転運動時にストッパ11に達するまで軸方向で後方に移動する。所望の目標締付力を生ぜしめるために、スピンドル構成部5はブレーキピストン6の内側の端面側を負荷し、それによって、パーキングブレーキ1内で軸方向に摺動可能に支承されたブレーキピストン6はブレーキライニング7で以って、このブレーキライニング7に面した、ブレーキディスク10の端面に押しつけられる。
【0023】
さらにブレーキピストンには、走行中に車両を制動させる通常の液圧式の車両ブレーキの液圧が作用する。しかしながらこの液圧は、車両停止状態においても、パーキングブレーキの操作時に補助的に作用するので、全締付力は、電動モータ式に提供された部分と液圧式に提供された部分とから構成される。
【0024】
図2は、締付過程のための、時間に基づく、電流変化I、電圧U、電動ブレーキモータの回転数変化n、スピンドル構成部5の調節ストロークs、生ぜしめられた締付力FKl並びに液圧pを示すグラフである。閉じられた電流回路において、電圧が印加されかつブレーキモータに電流が加えられることによって、段階1の最初に締付過程が開始される。段階1の最後に、電圧Uおよびモータ回転数nが最大値に達する。段階2は、電流Iが最小レベルに移動するアイドリング段階を示す。それに続いて、上昇する電気機械式の締付力を有する力発生段階3が設けられており、この力発生段階3において、ブレーキライニングがブレーキディスクに当接し、次第に大きくなる締付力によってブレーキディスクに押しつけられる。
【0025】
段階4で、追加的に車両ブレーキの液圧pがブレーキピストンに作用し、それによって全締付力FKlは、電動ブレーキモータによって提供された締付力部分と液圧式の部分とを加算して構成される。段階4の最後に、電流回路の開放により電動ブレーキモータの遮断が行われ、しかも液圧式の車両ブレーキのポンプモータが遮断される。従って、液圧p、電流I、電圧Uおよびブレーキモータ3の回転数ωはゼロに低下する。この場合、全締付力FKlが維持される。
【0026】
図3には、例えばブレーキディスクの冷却に基づく締付力の低下を補整するために、最初の締付過程から時間的に間をおいて行われる再締付過程中の状態値の信号変化が示されている。電動ブレーキモータのスイッチオン前に既に、ほぼ一定のレベルに保たれる液圧pが作用する。時点tで、電動ブレーキモータがスイッチオンされ、続いてモータ電流Iが始動電流ピークImaxに上昇する。図2に記載されているように、続いてモータ電流Iは再び低下し、ブレーキモータを有するモータ伝動装置ユニットの伝動装置遊びが克服されてブレーキライニングがブレーキディスクに向かって押しつけられると、新たに上昇する。
【0027】
再締付過程中に、追加的な締付力ΔFRCが生ぜしめられる。図3に示した実施例では、電気機械式の部分と液圧式の部分とから構成された全締付力FKlは、目標締付力FKl,sollに達することはない。しかしながら、これは、実際の締付力FKlが車両を停止させるために必要な締付力よりも高いことが保証されている限りは、問題ない。
【0028】
図4には、車両ブレーキの液圧により補助されたパーキングブレーキによって締付力を供給するための方法ステップを有するフローチャートが示されている。まず第1の方法ステップ20で、目標締付力並びに追加的な締付力の高さが規定される。追加的な締付力は、再締付過程中に追加的に加えられる。次の方法ステップ21は、目標締付力を加えるための第1の締付過程を示し、この目標締付力は、車両ブレーキの液圧により補助されて電動ブレーキモータによって調節される。
【0029】
以下の方法ステップは、所定の時間間隔を保って第1の締付過程に続いて行われる再締付過程を示す。再締付過程は、例えば車両が停車されている道路の傾斜が限界値を越えているときに、実施される。ブレーキディスク温度が閾値を越えているときに、再締付過程を実施することも可能である。
【0030】
方法ステップ22で、第1の締付過程中に要求された目標締付力が得られているか、および液圧システム圧によって供給され得るかどうかの問合せが行われる。これらの条件のうちの1つが満たされていなければ、No分岐(“N”)に従って方法ステップ23に移行し、エラー信号が生成され、このエラー信号が例えば運転者に通知される。次いで方法ステップ24に移行し、この方法は終了する。エラー信号の理由は、この実施例では要求された目標締付力が電動ブレーキモータを介してだけでは提供されず、液圧の補助が必ず必要とされているという点にある。
【0031】
方法ステップ22において問い合わせられた基準が2つとも満たされていれば、Yes分岐(“Y”)に従って方法ステップ25へ移行し、この方法ステップ25に従って、電動ブレーキモータを新たに締め付けることによって再締付過程が開始される。再締付過程は、方法ステップ26,27,28において作成された、再締付過程中に絶えず問い合わせられる遮断条件のうちの1つが満たされるまで、実施される。
【0032】
ブレーキピストンによって進められた再締付ストロークが所定の限界値を越えると、方法ステップ26に従って電動ブレーキモータは遮断される。ブレーキピストンは、電動ブレーキモータによって調整される。
【0033】
方法ステップ27に従って、モータ電流Iが所定の限界値を越えると、ブレーキモータの遮断が行われる。このモータ電流のための限界値は、例えば始動電流ピークImax図3)に設定される。例えば実際に行われている再締付過程において始動電流ピークImaxが規定され、限界値として考慮される。
【0034】
モータ回転数ωが所定の限界値を下回ると、方法ステップ28に従ってブレーキモータの遮断が行われる。この場合、ブレーキモータのさらなる運動は不可能である。ブレーキモータがさらに運動させられると、ロックの危険性があり、それによって、機械的および電気的な構成要素が追加的に負荷されることになる。
【0035】
方法ステップ26において前記条件が存在する場合、つまり所定のブレーキストロークがブレーキモータによって負荷されたアクチュエータによって進められていて、再締付過程が中断されると、方法ステップ30に移行し、この方法は終了する。これに対して、遮断条件27若しくは28が満たされていれば、方法ステップ29に進められ、ブレーキモータの調整器若しくは制御器の作動時間の延長が要求される。これによって、制御器の作動時間は延長され、ホイール回転数センサを介して車両運動が監視される。ホイール回転信号が得られると、車両の動き出しが推測され、それに基づいて新たな再締付過程が作動される。作動時間の延長中に車両の動き出しが確認されない場合、制御器は遮断される。
【0036】
方法ステップ29に続いて、方法ステップ30に進められ、この方法は終了される。
【符号の説明】
【0037】
1 パーキングブレーキ
2 ブレーキキャリパ
3 ブレーキモータ
4 スピンドル
5 スピンドル構成部
6 ブレーキピストン
7,8 ブレーキライニング
9 キャリパ
10 ブレーキディスク
11 ストッパ
20 第1の方法ステップ
I 電流
U 電圧
n 電動ブレーキモータの回転数変化
s スピンドル構成部5の調節ストローク
Kl 締付力
Kl,soll 目標締付力
p 液圧
ω 回転数
max 始動電流ピーク
図1
図2
図3
図4