特許第5970107号(P5970107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970107
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】通信システムにおけるリソース割り付け
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/30 20090101AFI20160804BHJP
【FI】
   H04W52/30
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-96885(P2015-96885)
(22)【出願日】2015年5月11日
(62)【分割の表示】特願2013-173756(P2013-173756)の分割
【原出願日】2008年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-173486(P2015-173486A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年6月2日
(31)【優先権主張番号】11/725,423
(32)【優先日】2007年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】オテリ,オグヘネコメ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ,ジェームズ・ダブリュー
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−028637(JP,A)
【文献】 Qualcomm,SI Transmission Triggering Schemes,3GPP TSG-RAN WG2#48 ,3GPP,2005年 9月 2日,R2-051963
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル装置の送信電力を制御するための方法であって、
前記モバイル装置のリソース使用限界を求める段階と、
前記リソース使用限界が報告閾値を超えているか否かを判定する段階と、
前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えていることに応えて、前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る段階と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モバイル装置のリソース使用限界を求める前記段階は、現在の送信電力に応じて前記モバイル装置の送信電力限界を求める段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項3】
前記モバイル装置のリソース使用限界を求める前記段階は、前記モバイル装置のリソースブロック限界を求める段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項4】
前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えているか否かを判定する前記段階は、電力ヘッドルーム限界が報告閾値を超えているか否かを判定する段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項5】
前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えているか否かを判定する前記段階は、リソースブロック容量限界が報告閾値を超えているか否かを判定する段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項6】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記段階は、ランダムアクセスチャネル(RACH)応答に応えて前記リソース使用限界を示すメッセージを送る段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項7】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記段階は、前記リソース使用限界を示すメッセージを、同期化されたランダムアクセスチャネル(RACH)メッセージで送る段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項8】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記段階は、リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界を示すメッセージを送る段階を含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項9】
前記モバイル装置の前記リソース使用限界を超えるリソース割り付けについての認可を受信する段階と、
前記リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界に従ってより低い電力を使用して送信する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項10】
前記モバイル装置の前記リソース使用限界を超えるリソース割り付けについての認可を受信する段階と、
前記リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界に従って、認可された変調及びエンコーディングスキームより低い容量の変調及びエンコーディングスキームを使って送信する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項11】
前記モバイル装置の前記リソース使用限界を超えるリソース割り付けについての認可を受信する段階と、
前記リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界に従って認可されたリソースブロック数より少ない数のリソースブロックを使って送信する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項に記載のモバイル装置の送信電力を制御するための方法。
【請求項12】
モバイル装置の送信電力を制御するための装置であって、
無線インターフェイスと、電力源と、前記無線インターフェイス及び前記電力源とデータ通信する論理手段と、を含み、
前記論理手段は、前記モバイル装置のリソース使用限界を求め、前記リソース使用限界が報告閾値を超えているか否かを判定し、前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えていることに応えて、前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送るように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記モバイル装置のリソース使用限界を求める前記論理手段は、現在の送信電力に応じて前記モバイル装置の送信電力限界を求めるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記モバイル装置のリソース使用限界を求める前記論理手段は、前記モバイル装置のリソースブロック限界を求めるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えているか否かを判定する前記論理手段は、電力ヘッドルーム限界が報告閾値を超えているか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記リソース使用限界が前記報告閾値を超えているか否かを判定する前記論理手段は、リソースブロック容量限界が報告閾値を超えているか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記論理手段は、ランダムアクセスチャネル(RACH)応答に応えて前記リソース使用限界を示すメッセージを送るように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記論理手段は、前記リソース使用限界を示すメッセージを、同期化されたランダムアクセスチャネル(RACH)メッセージで送るように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記リソース使用限界を示すメッセージを前記モバイル装置から基地局へ送る前記論理手段は、リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界を示すメッセージを送るように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記論理手段はさらに、
前記モバイル装置の前記リソース使用限界を超えるリソース割り付けについての認可を受信し、
前記リソース割り付けの認可に応えて、前記リソース使用限界に従ってより低い電力を使用して送信するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的に、通信システムと機材に関し、より具体的には、通信システムリソースを、通信システムのモバイル装置に割り付けるための技法と器械に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの無線通信システムは、基地局を使用し、基地局が受け持つセル内の1つ又は複数のモバイル装置(即ち、ユーザー側移動端末又は「UE(User Equipment)」)と交信する。基地局からユーザー側移動端末に送られるデータは、ダウンリンクチャネルと呼ばれる無線チャネルを通して送信され、ユーザー側移動端末から基地局に送信されるデータは、アップリンクチャネルと呼ばれる無線チャネルを通して送信される。
【0003】
無線通信システムでは、モバイル装置に割り付けることのできるリソースが限られており、普通は、アップリンクチャネルとダウンリンクチャネルで利用できる帯域幅を最大限に活用するため、割り付けを行うよう努めている。例えば、周波数又は周波数のセットは、無線送信又は受信に使用するためモバイル装置に割り付けることのできるリソースである。送信のための時間、即ち、送信「タイムスロット」も、無線送信又は受信に使用するためモバイル装置に割り付けることのできるリソースである。
【0004】
アップリンクチャネルでの送信に関しては、送信電力は、無線送信に使用するためモバイル装置に割り付けられるリソースである。基地局が、モバイル装置によって使用されているスペクトル全体に亘って比較的一様な電力レベルを受信できるように、送信電力の適切な割り付けが必要である。適切な送信電力の割り付けは、他のモバイル装置が同じセル内にあるのか隣接するセル内にあるのかに関わらず、それら他のモバイル装置からの送信への干渉を回避するのにも役立つ。
【0005】
基地局で受け取られる電力は、モバイル装置と基地局との距離、及び、モバイル装置と基地局との間の他の種類の経路損失によって影響を受けることがある。距離依存の経路損失では、信号が移動する距離のために受信信号の電力が低下する。更に、電力は、モバイル装置と基地局の間に物体が入った時に起こるシャドーイングによって低下することもある。例えば、モバイル装置を持った人が通りを歩いていて、モバイル装置とその基地局の間に建造物が入って来たら、シャドーイングのせいで経路損失が増大する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一例として示されており、添付図面によって限定されるものではなく、図中、同様の符号は類似要素を示している。図面の要素は、説明を解り易く明解にするために示されており、必ずしも縮尺が合っているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】1つ又は複数の実施形態による無線通信システムの高レベルブロック図である。
図2】1つ又は複数の実施形態による図1の無線通信システムの各種構成要素同士の間で送られるメッセージを描いている高レベルバウンス線図である。
図3】1つ又は複数の実施形態によるメッセージフォーマットを表現している。
図4】1つ又は複数の実施形態による図1の無線通信システムの各種構成要素同士の間で送られるメッセージを描いている高レベルバウンス線図である。
図5】1つ又は複数の実施形態による、モバイル装置で実行することのできるプロセスを描いている高レベルフローチャートである。
図6】1つ又は複数の実施形態による、モバイル装置で実行することのできるプロセスを描いている高レベルフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、1つ又は複数の実施形態による通信システム100の諸部分の高レベル線図である。通信システム100は、電力制御技法及びアルゴリズムを使用して、データを送信する1つ又は複数の装置の送信電力を制御する、無線通信システム又は他の同様の通信システムでもよい。図示の様に、図1には、基地局102と104、及びモバイル装置106と108が含まれており、同モバイル装置は、移動局、加入者ユニット、移動端末、又はユーザー側移動端末(UE)とも呼ばれる。基地局102は、一般に、セル110内のモバイル装置と無線で通信し、一方、基地局104は、一般に、セル112内のモバイル装置と無線で通信している。基地局コントローラ114(或る実施形態では、eNode−B又は進化型ノードBと呼ばれる)は、基地局102のオペレーションを制御するために基地局102に連結されており、そして、恐らく、他の基地局116を制御するために他の基地局116にも連結されている。様々な実施形態では、基地局コントローラ114は、パケットスケジューリング機能、接続移動性制御、負荷均衡化、インターRATハンドオーバー(inter Radio-Access-Technology handover:W-CDMAとGSMの切替動作)などを行うことができる。同様に、基地局コントローラ118は、基地局104を制御する目的で基地局104に連結されており、そして、恐らく、他の基地局120にも連結されている。基地局コントローラは、無線、有線、光ファイバーなど何れでもよいが、通信リンクを介して、基地局に連結することができる。幾つかの実施形態では、基地局コントローラは、基地局と同一場所に配置することもできる。
【0009】
1つの実施形態では、通信システム100は、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP:Third Generation Partnership Project)無線システム内で、ロング・ターム・エボリューション(LTE:long-term evolution)プロジェクトの仕様に準じて実施することができ、基本的に、音声(例えば、VoIP)及び他のデータを送信することができる無線パケットデータシステムである。
【0010】
モバイル装置106は、無線通信リンク122を介して基地局102と通信することができる。モバイル装置108は、無線通信リンク124を介して基地局104と通信することができる。モバイル装置106が、自身の受け持ちセル110の周縁に近く、且つ、受け持ちセル112の周縁近くに在るもう1つのモバイル装置108にも近い時は、モバイル装置108からの干渉126が、無線通信リンク122のモバイル装置106からの送信を妨害することがあり、特に、モバイル装置106とモバイル装置108に同じ送信周波数が割り当てられている時はそうである。
【0011】
それぞれのセル110と112の中で、基地局(例えば、基地局102と104)は、モバイル装置106及び図には示されていない他の装置の様な、複数のモバイル装置からのアップリンク送信を同時に受信することができる。幾つかの実施形態では、基地局は、信号強度が実質的に同じ受信信号を有する無線アップリンク送信を受信するようになっている。受信信号強度を実質的に同じにするため、アップリンク送信電力制御アルゴリズムを使用して、各モバイル装置の送信電力を制御することができる。1つの実施形態では、基地局は、同基地局が受け持つセル内の全てのモバイル装置に、全セル的(cell-wide)電力制御パラメータを同報送信することができる。例えば、1つの実施形態では、基地局102は、同基地局102が受け持つ全てのモバイル装置(例えば、モバイル装置106)に、基地局で受信される信号対干渉+ノイズ比(SINR)に関係付けられた全セル的受信電力目標(即ち、電力制御パラメーター)を同報送信することができる。
【0012】
もう1つの実施形態では、全セル的電力制御パラメータは、分数電力制御指数(fractionalpower control exponent)であってもよい。分数電力制御指数は、以下の式1、
mobile_station_poweri = Pmax X min(1,max(Rmin,(PLi/PLxile)α) (式1)
において、記号「α」として表すことができ、
ここに、mobile_station_poweriは、セル内のi番目のモバイル装置によって計算された電力、PLxileは、セル内の全てのモバイル装置から基地局までの経路損失のxパーセンタイル、Rminは、最小電力減少比、PLiは、問題のモバイル装置(又はUE)から基地局までの経路損失である。0<α<1として上の式1を使うと、セルの中心に在るモバイル装置はセルの周縁に在るモバイル装置より閾値が低くなり、その結果、ネットワーク内の干渉が少なくなる。
【0013】
次に図2を参照すると、通信システム100の各種構成要素同士の間で交わされるメッセージを示す「バウンス線図」が描かれている。メッセージは、描かれている様に、モバイル装置202と受け持ち基地局204と基地局コントローラ206の間で交わされる。基地局コントローラ206は、図1に示されている基地局コントローラ114と共に設置することができる。基地局204と基地局コントローラ206は、別体として示されているが、システム次第で、それらは物理的に同じ場所に配置される場合もあればそうでない場合もある。
【0014】
モバイル装置は、同期化される前(例えば、モバイル装置がアイドルモードになっている時)は、非同期RACH208(即ち、非同期ランダムアクセスチャネルメッセージ)を送ることにより、受け持ち基地局との交信を開始することができる。ランダムアクセスチャネルは、通常、基地局が受け持っているセル内の全てのモバイル装置で共有されている。非同期RACH208のプリアンブルは、モバイル装置202が基地局へのメッセージを所持していることを、基地局204に伝えることができる。ランダムアクセスチャネル上でサービスを要求することを「RACH要求」と呼ぶこともある。
【0015】
非同期RACH208は、過剰な干渉を回避するために、最初は、比較的低電力で送信される。そのため、非同期RACH208が、基地局204に受信されない可能性もある。非同期RACH208が基地局204に受信されなかった場合、基地局204による応答は無いので、モバイル装置202は、非同期RACH210を段階的に高い電力レベルに上げて再度送信することになり、最終的に、非同期RACHが基地局204に受信されることになる。
【0016】
基地局204は、非同期RACH210を受信すると、RACH応答212を送ることによって応答することができる。RACH応答212は、基地局204からの、モバイル装置202を認知したということ、及び、モバイル装置202に、信号連絡時期、送信電力、及び次のアップリンク送信に使用される時間と周波数についての指示を与える、という内容のメッセージを含んでいてもよい。一例として、RACH応答212は、モバイル装置202に対し、その送信時期を+1.04μS調整し、送信電力を−2dB調整し、同期RACH(即ち、同期的RACHメッセージ)を特定の開始周波数で、特定の振動数で、特定の時間間隔内に送るように、という命令を保有していてもよい。
【0017】
RACH応答212受信後、モバイル装置202は、モバイル装置が基地局からのサービスを要求していることを表す同期RACHメッセージ214で応答することができる。加えて、モバイル装置202は、メッセージの一部分又は一セグメントを使用して、リソース使用限界を有していることを、その様なリソース使用限界が基地局へ報告すべき限界閾値を超える場合には、提示することができる。
【0018】
1つの実施形態では、モバイル装置のリソース使用限界は、現在の電力レベル及び現在の変調及びエンコーディングスキーム(MCS:modulation and encoding scheme)に対してアップリンク送信中に使用できるリソースブロック数に対する限界であってもよい。もう1つの実施形態では、モバイル装置のリソース使用限界は、アップリンク送信に使用することのできる残り電力量(例えば、電力ヘッドルーム)でもよい。而して、1つの実施形態では、同期RACHメッセージ214は、モバイル装置が転送すべきファイルを有している(即ち、ファイル転送サービスを要求している)ことと、モバイル装置は電力的に4つのリソースブロックに制限されること(即ち、モバイル装置のリソース使用限界は、現在の送信電力、モバイル装置の最大送信電力、及び現在の変調及びコーディングスキームを考慮すると、同モバイル装置には4つより多くのリソースブロックを割り当てるべきでないことを表している)を表すことができる。
【0019】
なお、リソース使用限界は、限界が基地局に報告される前に、限界閾値を超えていなければならないことを指摘しておく。報告すべき限界閾値は、アップリンクスケジューラーが、モバイル装置の容量を超えたアップリンク送信をスケジューリングする可能性がある時に、装置のリソース使用限界が報告されるような点に設定すべきである。モバイル装置がモバイル装置のリソース使用限界メッセージを送ると、基地局(又は他のアップリンクトラフィックのスケジューリングを行っているエンティティ)は、この情報を使って、アップリンクトラフィックを、同モバイル装置の送信電力性能を超えないやり方で賢くスケジューリングすることができる。例えば、基地局204が、モバイル装置が限界として示したブロック数より多い個数のリソースブロックを割り付けると決めた場合、基地局は、モバイル装置が、割り当てられた全てのリソースブロックに要求される電力を送ることができるように、変調及びコーディングスキームを縮小することができる。
【0020】
同期RACHメッセージ214のフォーマットに関し、図3に、メッセージのフォーマットの1つの実施形態の一例を示している。図示の様に、メッセージ300は、ヘッダ302、サービス要求304、サービス要求パラメータ306、随意のモバイル装置リソース使用限界308、及びエラー制御フィールド310を含むことができる。ヘッダ300は、メッセージのタイプを表示するのに使用することができる。サービス要求304は、モバイル装置を受け持っている基地局からのサービスに関する要求を表示するためのフィールドでもよい。その様なサービスに関する要求は、ファイルを転送したいという要求、音声通話を申し込みたいという要求、eメール配信を求める要求、音楽又は映像クリップのダウンロードを求める要求などを含んでいてもよい。サービス要求パラメータ306には、ファイル転送のためのファイルサイズの様な、サービス要求に関係する情報、又は、サービス要求を完遂するのに必要な他の類似した情報が入っていてもよい。
【0021】
モバイル装置使用限界を報告すべき閾値を超えた場合、同期RACHメッセージ214のモバイル装置リソース使用限界308部分は、モバイル装置がその電力容量を超えるやり方でアップリンク通信をスケジューリングすることが可能か否かを表すフラグ312を含んでいてもよい。例えば、フラグが設定された場合、フラグは、モバイル装置が、現在その最大電力に近い電力で作動していることを表示することができ、これは、基地局が、当該モバイル装置について、その電力送信容量を超えてしまうかもしれないアップリンク送信をスケジューリングする恐れのあることを暗示している。現在の送信電力が21dBで、最大送信電力が24dBであれば、基地局が、モバイル装置に4つのリソースブロックを使ったアップリンク送信をスケジューリングする可能性があり、これは、モバイル装置が最大電力に達するまでに利用できる追加電力は3dBしか無い時に、追加電力6dBが必要となることになりかねない。基地局204が、モバイル装置202に対し4つのリソースブロックをスケジューリングしたいというこの事例では、基地局204は、リソースブロックの最大数を2に制限するか、又は、基地局204は、4つのリソースブロックをスケジューリングし、モバイル装置202が送信電力を2で割って(即ち、電力を1/2削減して)全4つのリソースブロックを使用するであろうと仮定するか、の何れかである。なお、基地局204は、スケジューリングにとって当該モバイル装置が他のモバイル装置よりも適任候補であるという理由で、同モバイル装置リソース使用限界308に報告されているリソースブロックの数を超える数のリソースブロックをスケジューリングすることもあることを指摘しておく。
【0022】
モバイル装置リソース使用限界フィールド308は、電力制限フラグ312に加えて、リソースブロック容量314を表示するフィールドを含んでいてもよい。リソースブロック容量フィールド314は、モバイル装置が使用することのできるリソースブロックの最大数を示すか、又は、モバイル装置によって使用され得る追加ブロックの個数を示すことができる。現在の送信電力フィールド316は、モバイル装置の現在の送信電力を表示するのに使用することができる。モバイル装置が現在の送信電力を基地局に送れば、基地局は、モバイル装置によって使用され得るリソースブロックの最大数又はモバイル装置によって使用され得る追加ブロック数を計算することができる。モバイル装置リソース限界フィールド308の実施形態は、電力制限フラグ312と、リソースブロック容量314又は現在の送信電力316の何れか又はその両方を含んでいてもよい。
【0023】
モバイル装置リソース使用限界フィールド308は、更に、モバイル装置の他の限界を表示することもできる。例えば、多くのモバイル装置は、変調及びコーディングスキーム(MCS)の多くの異なるレベルの内の1つを使って送信することができる。モバイル装置が全てのレベルを有しているわけではない場合、又は、低バッテリー(又は他の同様の制限状態)のせいで、又はモバイル装置が全MCSレベルの実装されたフル機能装置ではないという理由で、幾つかのレベルが利用できない場合は、モバイル装置リソース使用限界フィールド308は、これらの限界をスケジューラーに知らせて、モバイル装置が、成し遂げ得ないアップリンク送信を実行させるスケジューリングが組まれないようにする。
【0024】
図2では、モバイル装置が受け持ち基地局204に同期RACHメッセージ214を送った後、メッセージは、216で示されている様に、基地局コントローラ206に転送される。基地局コントローラ206が応答してダウンリンク制御メッセージ218を受け持ち基地局204に送ると、同メッセージは、220で示されている様に、モバイル装置202に転送され、そこで、ダウンリンク制御メッセージは、モバイル装置202に、或る特定の時期に或る特定の周波数でチャネルを打診するよう指示する。モバイル装置202は、アンリンクチャネル打診メッセージ222を送ることにより応答することができ、ここで、モバイル装置は、多少の差はあってもチャネル帯域全体に分散している副搬送波のセットに関する既知のコード又はデータ(例えば、既知のデータシーケンス)を送信する。幾つかの実施形態では、既知のコードは、アップリンクデータチャネルに埋め込まれたパイロットシーケンスである。チャネル打診は、基地局とモバイル装置の間のチャネルを特徴付けるためのプロセスである。チャネルは、チャネルのインパルス応答を計算することによって特徴付けることができる。
【0025】
アップリンクチャネル打診メッセージ222が基地局204に受信された後、基地局204は、搬送波対干渉+ノイズ比(CINR)及び電力制御(PC)報告224を用意し、同報告は、基地局コントローラ206へ転送される。CINRは、信号有効性をデシベル(dB)で表した測定値である。搬送波は望ましい信号であり、干渉には、ノイズ、同一チャネル干渉又は他チャネル干渉、又はこれらの全てが含まれる。信号受信器に信号をデコードさせるためには、信号は、受容可能なCINR範囲内に入っていなければならない。短距離で周波数が再使用される時は、同一チャネル干渉の問題が一層高まる。システム内でチャネル打診が使用されない実施形態では、基地局204は、チャネルを長期追跡することによってデータチャネルの参照記号からCINRを推測することができる。
【0026】
何らかのモバイル装置リソース使用限界と、チャネル打診から得たデータの様な何らかのモバイル特定電力制御パラメータを受信すると、基地局コントローラ206は、リソース割り付けの認可226を用意し、基地局204へ送ることができる。リソース割り付けの認可226は、228で示されている様に、モバイル装置202に転送される。
【0027】
リソース割り付けの認可226は、動的リソース割り付けの認可又は永続的リソース割り付けの認可の何れでもよい。動的リソース割り付けの認可は、動的リソース割り付け認可の持続期間中に使用される一回限りの電力制御命令を含んでいる比較的短期の認可である。永続的リソース割り付けの認可は、動的リソース割り付け認可中の初期に使用される電力制御命令と、永続的リソース割り付け認可の持続期間中に周期的に受信されるその後の電力制御命令と、を含んでいる長期の認可である。
【0028】
図4は、モバイル装置202と受け持ち基地局204と基地局コントローラ206の間で送られるメッセージを描いているバウンス線図であり、その結果、1つ又は複数の実施形態による永続的リソース割り付けが認可されることになる。メッセージ及びデータ通信208から224は、図2に関連付けて上で論じたものと同様である。この例では、同期RACH214は、永続的リソース割り付け認可に最も適している基地局サービスに関する要求を含んでいてもよい。例えば、同期RACH214は、音声通話に関する要求を含んでいてもよい。永続的リソース割り付け認可402は、基地局コントローラ206から基地局204へ送られ、次いで、404で示されている様に、モバイル装置202へ転送される。永続的リソース割り付け認可402には、永続的リソース割り付け認可時の初期に使用される電力制御命令が入っていてもよい。次の電力制御命令は、基地局コントローラ206から、基地局204へ、そしてモバイル装置202へ送ることができる。例えば、一定期間の後、減分電力命令406が、永続的リソース割り付け認可402に続く。減分電力命令406は、408に示されている様に、モバイル装置202に転送され、モバイル装置202に、その電力を所定の増分量だけ下げるよう指示する。電力制御命令406に続いて、追加の周期的電力制御命令410と414が送られ、永続的リソース割り付け認可の持続期間中は、それぞれ412と416で示されている様に、モバイル装置202に転送される。
【0029】
こうして、動的リソース割り付け認可226以後、モバイル装置202は、基地局204からの追加の電力制御命令が想定されていないモードで作動する。永続的リソース割り付け認可402以後、モバイル装置202は、永続的リソース割り付けの持続期間中は、基地局204からの追加の電力制御命令が想定されているモードで作動する。
【0030】
図5は、1つ又は複数の実施形態による、図1のモバイル装置106又は適切な機能を備えた他のシステムによって実行させることのできるプロセスの高レベルフローチャートを示している。図示の様に、プロセスは、502で始まり、その後、引き続き504に移って、基地局に非同期RACHを送る。非同期RACHメッセージ(例えば、図2の非同期RACHメッセージ208、210)が、アイドル状態のモバイル装置(例えば、モバイル装置106)から基地局(例えば、基地局102)へ送られ、基地局に、同モバイル装置が基地局へのメッセージを所持していることについて警告することになる。
【0031】
次に、プロセスは、506で説明している様に、基地局からRACH応答を受信する。RACH応答は、モバイル装置からの送信を認知し、更に、モバイル装置に指示して、その送信時期及び送信電力を調整させ、特定のタイムスロットで、特定の周波数(例えば、周波数のセット又はリソースブロック)で、同期RACHで応答させる。
【0032】
モバイル装置は、RACH応答を受信した後、508に描かれている様に、モバイル装置の電力限界を求める。1つの実施形態では、このステップは、モバイル装置の電力ヘッドルームを求めることによって実施することができ、電力ヘッドルームは、RACH応答でモバイル装置が使用するように指示された電力とモバイル装置の最大電力との差である。
【0033】
モバイル装置の電力限界が求められたら、プロセスは、510に示されている様に、電力限界に基づいて、モバイル装置リソース使用限界を求める。1つの実施形態では、このステップは、モバイル装置がアップリンク送信に使用することのできるリソースブロックの最大数を、電力ヘッドルームに基づいて求めることによって実施することができる。例えば、1つの実施形態では、モバイル装置が、現在、21dBmで送信するよう指示されていて、同モバイル装置の最大電力が24dBmであり、従って、電力ヘッドルームが3dBになっており、モバイル装置が使用できるリソースブロックの最大数は2とすると、第2リソースブロックを加えるには2倍の電力が必要となるので、電力は更に3dBmの増加になる。
【0034】
次に、プロセスは、512に描かれている様に、モバイル装置リソース使用限界が、報告閾値を超えているか否かを判定する。報告閾値は、電力ヘッドルームによって制限を受けていないモバイル装置がモバイル装置電力限界を報告することのないようにするレベルに設定することができる。電力ヘッドルームによって制限を受けてないモバイル装置は、基地局のスケジューラー(又は基地局コントローラ)が、スケジューリング対象のリソースを電力ヘッドルームによって制限を受けていないモバイル装置に限定する作業に関与する必要が無いため、リソース使用限界を報告するのに必要な帯域幅を取っておくことができる。逆に、モバイル装置が、その電力ヘッドルームによって制限を受けている場合、スケジューラーは、モバイル装置の送信電力性能を超えるリソース割り付けをスケジューリングしないように、望ましくはスケジューリングの前に、知る必要がある。
【0035】
リソース使用限界が報告閾値を超える場合、プロセスは514に進み、そこで同期RACH(例えば、図4に示されている同期RACH214など)が基地局に送られるが、同期RACHには、リソース割り付け要求とリソース使用限界が含まれている。リソース割り付け要求は、ファイル転送を求める要求、音声通話を求める要求、ビデオ又は音楽ファイルを求める要求などを含んでいてもよい。リソース使用限界は、リソースブロックの最大数、変調及びコーディングの最大レベル、又は、モバイル装置送信電力に依存する他の同様のリソース限界を含んでいてもよい。なお、もう1つの実施形態では、リソース使用限界パラメータは、専用メッセージに載せて送信することができ、同期RACHメッセージに背負わせる必要はない。
【0036】
リソース使用限界が報告閾値を超えない場合は、プロセスは516へ進み、そこで、モバイル装置は、リソース割り付け要求を含んでいるがリソース使用限界を含んでいない同期RACHを基地局へ送る。
【0037】
同期RACHメッセージが基地局へ送られた後、プロセスは、518に示されている様に、チャネル打診コマンドを受信することができる。チャネル打診コマンドに応答して、プロセスは、520に描かれている様に、チャネル打診データシーケンスを送る。チャネル打診データシーケンスは、既知のデータシーケンスであり、それは、既知の送信電力で、通信システムの帯域幅全体に亘り事前に選択された周波数で送信される。チャネル打診によって、基地局及び/又は基地局コントローラには、スペクトル全体に亘る様々な周波数に関するチャネルの品質を表すデータが与えられる。この情報は、モバイル装置からのアップリンク送信をスケジューリングする際に有用であり、というのも、スケジューラーは、望ましいチャネル条件でリソースを現在使用することができるモバイル装置に同リソースを認可することを好むからである。システム内でチャネル打診が使用されない実施形態では、基地局204は、チャネルを長期追跡することによってデータチャネルの参照記号からCINRを推測することができる。
【0038】
チャネル打診シーケンスが送られた後、プロセスは、522で、動的又は永続的リソース割り付け認可を受信し、その認可が動的であるか又は永続的であるかを判定する。認可が動的であった場合、プロセスは、524に描かれている様に、動的リソース認可の持続期間中に使用される電力制限命令を含め、動的アップリンク送信のための命令を受信する。次いで、プロセスは、526に示されている様に、動的リソース割り付け認可に従いアップリンクで送信し、電力制御命令を使って、認可の持続期間中の送信電力を設定する。536に描かれている様に、動的リソース割り付け認可に従ったデータ送信が終了すると、プロセスは終了する。
【0039】
代わりに、認可が永続的であった場合は、プロセスは、528に示している様に、永続的リソース認可送信を開始する初期電力制御命令を含め、永続的アップリンク送信のための命令を受信する。次いで、プロセスは、530に示されている様に、永続的リソース割り付け認可に従いアップリンクで送信し、初期電力制御命令を使用して、永続的認可送信を開始する。プロセスは、532に描かれている様に、一定期間の後、追加の電力制御命令を受信する。
【0040】
次に、プロセスは、534に示している様に、永続的認可が満了したか否かを判定する。永続的認可が満了していない場合、プロセスは、引き続き530でもっと多くのデータを送り、532で更新された電力制御命令を周期的に受信する。
【0041】
永続的認可が満了した場合、536に示されている様に、永続的リソース認可に従って割り付けられたアップリンクリソースで送信を行うプロセスは終了する。図6は、1つ又は複数の実施形態による、図1のモバイル装置106又は適切な機能を備えた他のシステムによって実行することのできるプロセスの高レベルフローチャートを示している。図示の様に、プロセスは、602で始まり、その後、604に続き、そこで、プロセスは、全セル的電力制御パラメータを受信する。全セル的電力制御パラメータは、受け持ち基地局によって、セル内の全てのモバイル装置へ送られるパラメータである。パラメータは、同報通信チャネルで送ることができる。1つの実施形態では、全セル的電力制御パラメータは、基地局(例えば、基地局102)で受信される、セル目標信号対干渉+ノイズ比(SINR)である。もう1つの実施形態では、全セル的電力制御パラメータは、上記式1内の記号「α」として示されている分数電力制御指数であってもよい。
【0042】
プロセスは、全セル的電力制御パラメータを受信した後、606に示している様に、受け持ち基地局での目標受信電力に関係付けられる暗示的モバイル特定電力制御パラメータを求める。暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、当該モバイル装置に特定され(即ち、同報通信されないパラメータ)、且つ当該モバイル装置に送られた他のメッセージ又はコマンドによって暗示されているアップリンク電力制御に関係付けられたパラメータか、又は当該モバイル装置によって行われた測定の値であり、その場合は、暗示的パラメータは、基地局からの追加のメッセージトラフィックを必要としないものになる。1つの実施形態では、暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、以前に当該モバイル装置により使用された変調及びコーディングレベルであってもよい。変調及びコーディングレベルは、基地局によってモバイル装置へ送られ、モバイル装置と基地局の間のアップリンクチャネル特性を暗示的に表している。1つの実施形態では、以前にモバイル装置によって使用された変調及びコーディングレベルは、時間ウインドウに亘って平均化された平均変調及びコーディングレベルでもよい。
【0043】
別の実施形態では、暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、モバイル装置によって測定されたダウンリンクSINRレベル(又は平均されたダウンリンクSINRレベル)であってもよい。時間領域二重(TDD)通信システムでは、相互依存原理により、ダウンリンクSINRは、アップリンクチャネル特性を暗示的に示している。周波数領域二重(FDD)通信システムでは、経路損失とシャドーイング成分は同じであっても、アップリンクとダウンリンクのチャネル高速フェーディング成分には相関関係が無いかもしれない。時間と周波数に亘ってダウンリンクSINRを平均化すれば、フェーディング成分が平均化され、アップリンクチャネル特性の良好な暗示的推定を行うことになる。
【0044】
幾つかの実施形態では、モバイル装置は、全セル的電力制御パラメータ及び暗示的モバイル特定電力制御パラメータに加えて、更に、モバイル特定電力制御パラメータを受信することができる。モバイル特定電力制御パラメータは、特定的に当該モバイル装置に向けて送られた、基地局からのメッセージで受信することができる。モバイル装置が全セル的電力制御パラメータとモバイル特定強力パラメータを受信する場合には、暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、モバイル特定電力制御パラメータと、受け持ち基地局によって割り当てられた変調及びコーディングレベルとの間の相関であってもよい。従って、暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、モバイル特定電力制御パラメータが変調及びコーディングスキームに直接相関付けられる場合と、モバイル特定電力制御パラメータが変調及びデコーディングスキームに間接的に相関付けられる場合との間で変動し得るものである。一例として、電力制御パラメータと変調及びコーディングスキームの間の直接的相関は、モバイル装置が、比較的高い電力を、比較的高い変調及びコーディングレベル(即ち、高い電力を要する変調及びコーディングレベル)との組み合せで受信する場合、及び、同様に、モバイル装置が、比較的低い電力を、比較的低い変調及びコーディングレベルとの組合せで受信する場合である。電力制御パラメータと変調及びコーディングスキームの間の間接的相関の例は、モバイル装置が、比較的高い電力を、比較的低い変調及びコーディングスキームとの組合せで受信する場合、及びその逆の場合である。従って、この暗示的モバイル特定相関係数は、想定される電力レベルと変調及びコーディングスキームと、想定されない電力レベルと変調及びコーディングスキームの組合せとの間で変動する。
【0045】
次に、プロセスは、608に描かれている様に、全セル的電力制御パラメータと暗示的モバイル特定電力制御パラメータを使って、モバイル装置アップリンク送信電力を計算する。このステップで、暗示的モバイル特定電力制御パラメータは、全セル的電力制御パラメータで示された送信器電力を調整するか、又は全セル的電力制御パラメータとモバイル特定電力制御パラメータとの組合せで示された送信電力を調整するのに用いられる。1つの実施形態では、この調整は、全セル的パラメータを使った計算又は全セル的パラメータとモバイル特定パラメータとの組合せを使った計算によって示された送信電力の割合であってもよい。
【0046】
一例として、基地局は、コーディングレート1/2の16QAM(即ち、16点信号配置直交振幅変調)(SINR16)の平均MCSレベルにマッピングした全セル的目標SINRを同報通信するものと仮定しよう。モバイル装置は、先ず、信号が、確実に、全セル的目標SINR16で基地局に受信されるように自身の送信電力を計算する。次に、モバイル装置は、同モバイル装置に割り付けられたアップリンクMCSの履歴の様な暗示的モバイル特定電力制御パラメータに基づいて、補正係数を自発的に計算することができる。モバイル装置で、時間及び周波数に亘って割り付けられた平均MCSレベルが、SINRの基地局で受信された平均SINRにマッピングしたものである4QAMのレート1/2であることが観測された場合、モバイル装置はSINR16−SINRの補正係数を自発的に用いて、基地局が想定している受信されたSINR16に一致するようにする。従って、目標SINRと暗示されたSINRとの差によって、自発的補正係数を加算するか(測定されたMCSが、基地局のSINRが低いことを暗示している場合)、又は減算するか(測定されたMCSが、基地局のSINRが高いことを暗示している場合)を決める。
【0047】
1つの実施形態では、差(即ち、補正係数)は、直接一度に送信電力に適用することができる。もう1つの実施形態では、補正係数は、或る期間に亘って増分的に、一定の増分補正を複数回用いる(例えば、1dB単位で変更する)か、又は一定の補正回数に亘って或る割合の補正係数を用いる(例えば、5回の変更に亘って20%の補正係数で変更する)かの何れかのやり方で適用することができる。補正係数は、以前の補正係数が完全に適用される前であっても、周期的に計算し直すことができる。
【0048】
更に、モバイル装置は、ダウンリンクSINRレベルの連続測定を行い、測定値を時間及び周波数に亘って平均化して、長期ダウンリンク受信SINRを推定することができる。次いで、この推定された長期SINRは、上の例で計算された自発補正済み送信電力に基づいてモバイル装置が想定したアップリンクSINRと比較される。デルタ補正係数は差に基づいて計算し適用することができ、次いで、デルタ補正係数は、自発的補正係数の計算に使用して、その精度を高めることができる。デルタ補正係数は、モバイル装置の設定された送信電力と実際の送信電力との差に起因する、送信電力の精度不良を補償するのに使用することができる。
【0049】
モバイル装置は、モバイル装置アップリンク送信電力を計算した後、610に示す様に、送信電力を使ってデータを送信する。データは、リソース割り付け認可で示された時間と周波数で送信される。プロセスは、計算された送信電力を使ってデータを送信した後、612で終了する。
【0050】
モバイル装置が、モバイル装置の電力限界のために612の送信の条件を満たすことができないリソース割り付けを認可されていた(例えば、送信電力とMCSの組合せがモバイル装置の最大電力を超えるために実現できない)場合、モバイル装置には、幾つかの選択肢があり、即ち、(1)モバイル装置は、もっと低い電力を使って送信することができ、(2)モバイル装置は、もっと低いMCSレベルを使って送信することができ、(3)モバイル装置は、リソースブロックの数を減らして送信することができ、(4)モバイル装置は、リソース割り付けの要求を繰り返す(例えば、同期RACHメッセージ214を繰り返す)ことができ、繰り返される要求には、以前の認可がモバイル装置の電力限界を超える事態を招いたリソース使用限界(例えば、308)の表示が含まれている。
【0051】
ここでは、本発明を特定の実施形態に関連付けて説明しているが、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無く、様々な修正及び変更を行うことができる。例えば、モバイル装置の送信電力を制御するための技法と器械は広範に変動してもよいが、1つ又は複数の実施形態は、3GPPLTE標準に準拠して運用されているシステムで使用することができる。従って、明細書及び図は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で考えられるべきであり、全てのその様な変更は、本発明の範囲内に含まれるものとする。恩恵、利点、又は、特定の実施形態に関連付けてここで説明した問題に対する解決法については、如何なるものも、何れか又は全ての特許請求項の重要な、必要とされる、又は必須の特徴又は要素と解釈されることを意図していない。
【0052】
他に別段記載のない限り、「第1」及び「第2」の様な用語は、それらの用語が言及している要素を任意に区別するために使用されている。よって、それらの用語は、必ずしも、その様な要素の一時的な又は他の優先順位を表すことを意図するものではない。
【符号の説明】
【0053】
100 通信システム
102、104、116、120 基地局
106、108 モバイル装置
110、112 セル
114、118 基地局コントローラ
122、124 無線通信リンク
126 干渉
図1
図2
図3
図4
図5
図6