【文献】
林 健一 Kenichi Hayashi,拡張現実感環境における操作インタフェース,ヒューマンインタフェースシンポジウム2004 論文集 「あいだ」を「つなぐ」インタフェース [CD−ROM] ヒューマンインタフェースシンポジウム2004 論文集 Proceedings of the Human Interface Symposium 2004 Proceedings of the Human Interface Symposium 2004,日本,ヒューマンインタフェース学会,2004年10月 8日,p689−p694
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
【0014】
図1に、疑似ガス漏洩箇所検査システムの模式図を示す。
図2に、訓練フィールド100を模式斜視図に示す。訓練者Aは、ヘッドマウントディスプレイ10と小型カメラ20をそれぞれ頭部に装備している。また、疑似ガス漏洩検知装置40を持ち、情報処理のための小型端末30を身につけている。また、事前に訓練用の配管図を渡される。
【0015】
ヘッドマウントディスプレイ10はいわゆるウェアブルコンピュータのディスプレイとして機能する。メガネ型のディスプレイで、装着した訓練者Aの視野に映像を映し出す機能を有する。光源部に高精細の液晶パネルを採用し、メガネのレンズ部分に配置したハーフミラーで映像を反射させて目に投影する構造となっている。これにより目の前に映像が存在するように感じられる。ヘッドマウントディスプレイ10は、情報処理装置となる携帯型の小型端末30と接続されている。なお、ヘッドマウントディスプレイ10は透過型のものが用いられているが、クローズドタイプでカメラと組み合わせ、映像を表示するタイプの物を用いても良い。
【0016】
小型カメラ20は訓練者Aが頭部に取り付けられ、訓練者Aの見ている視野を撮影する機能を有する。小型カメラ20の映像は、小型端末30に伝えられる。検査用マーカーに相当する検知棒41は、ガス漏洩検知装置に備えられるプローブを模した形状をしており、検知棒41の先端には識別用マーカー42が貼り付けられている。検知棒41は疑似ガス漏洩検知装置40の先端に接続されている。携帯型の小型端末30は、ヘッドマウントディスプレイ10と小型カメラ20とに接続され、また、外部と通信するための通信手段として、IEEE規格に準拠した無線通信機能を備えている。
【0017】
監督者Bは、タブレット型端末70と訓練者Aが身につけているような小型端末35を備えている。又、訓練者Aが検査すると指定した場所に置くための計測孔用マーカー80を持っている。タブレット型端末70は、小型端末35と有線で接続されている。小型端末35には、記憶手段36を有し、IEEE規格の無線通信機能によって、訓練者Aが身につける小型端末30と通信可能とされている。小型端末30と小型端末35が通信することで、小型カメラ20で撮影された映像とヘッドマウントディスプレイ10に表示される情報の両方を取得し、端末の確認画面にて訓練者Aの得ている情報を確認することが出来る。訓練フィールド100はある程度の広さを持つ室内に設けられ、
図2に示すように訓練フィールド100内の床の上には風景用マーカー110が設置されている。また、必要に応じて計測孔用マーカー80も配置される。
【0018】
次に、上述した疑似ガス漏洩箇所検査システムの構成を用いた訓練手順を簡単に説明する。
【0019】
監督者Bから訓練者Aに配管図が渡される。この配管図は訓練フィールド100に用意された訓練パターンに対応したものである。例えば、今回は訓練者Aに訓練パターン1の配管図が渡されたものとして、説明を行う。訓練フィールド100の内部における訓練者Aの視界には、予め設置された風景用マーカー110に対応した風景が映し出されている。ヘッドマウントディスプレイ10には、小型カメラ20の映像から取得した風景用マーカー110に対応して建物などのオブジェクトが合成される。風景用マーカー110に対してオブジェクトが重ねられることで、訓練者Aの視界には、疑似的な風景が映し出される結果となる。ガス管120は事前に配布された配管図にて位置が確認でき、風景用マーカー110に対応した風景オブジェクト等を参考に位置を特定する。
【0020】
そして、監督者Bに訓練者Aは最初に濃度測定をする位置を伝える。監督者Bは訓練者Aに計測孔用マーカー80を渡す。計測孔用マーカー80は風景用マーカー110の位置に対応した物が監督者Bによって選ばれる。訓練者Aは計測孔用マーカー80を測定する場所に配置する。この計測孔用マーカー80の配置された位置は、実際の検査においてはガス漏洩検知機のプローブを挿入する穴を空ける位置に相当する。訓練者Aは配置した計測孔用マーカー80に検知棒41を近接させる。
図3に、訓練者Aの視野を模式図に示す。検知棒41の先端に設けられた識別用マーカー42と計測孔用マーカー80とが小型カメラ20に映し出されることで、ヘッドマウントディスプレイ10には計測孔用マーカー80に対応した数値が映し出される。
【0021】
計測孔用マーカー80に対応するデータは、小型端末30が有する記憶手段31に格納されているガス濃度情報45である。これにより訓練者Aは疑似的に計測孔用マーカー80が配置される位置のガス濃度検知することができる。この様な手順でガス濃度検知を繰り返し訓練者Aがガス漏れ箇所を特定する。
【0022】
次に、もう少し具体的な事例について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4には、簡易の配管図と検査孔の位置が示されている。
図5には、漏洩濃度の数値テーブルが示されている。これらを用いて訓練者Aが監督者Bの立ち会いの下、ガス漏れ位置の特定をするテストを行っているシチュエーションを説明していく。配管図には、前述したような住宅地の道路130に埋設されたガス管120が示されており、住宅街に埋設されたガス管120からガス漏れが発生したとの想定でテストが行われる。なお、
図5の数値テーブルのうち、最初の数値に(1)の数値を適用し、10分経過後の値として(2)の数値を適用してテストを行っている。
【0023】
(第1の例)
(1−1)住宅街にあるB宅より、道路130側からガス臭がするとの通報を受けたとの前提で、訓練者Aは風景に対応したガス管120の位置を特定する。訓練者Aは、通報情報を参考にして第1位置P101でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。監督者Bは、訓練者Aに第1計測孔用マーカー801を渡す。訓練者Aは、第1位置P101に第1計測孔用マーカー801を配置する。そして、識別用マーカー42を、第1計測孔用マーカー801に近接させる。この結果、識別用マーカー42と第1計測孔用マーカー801が小型カメラ20の画角内に入り、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第1計測孔用マーカー801に対応する数値、LEL90%がヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0024】
(1−2)訓練者Aは、第2位置P102でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第1位置P101と第2位置P102の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第5計測孔用マーカー805を渡す。訓練者Aは第2位置P102に第5計測孔用マーカー805を配置する。訓練者Aは、第5計測孔用マーカー805に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第5計測孔用マーカー805に対応する数値、LEL80%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0025】
(1−3)訓練者Aは、第6位置P106でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第2位置P102と第6位置P106の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第6計測孔用マーカー806を渡す。訓練者Aは第6位置P106に第6計測孔用マーカー806を配置する。訓練者Aは、第6計測孔用マーカー806に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第6計測孔用マーカー806に対応する数値、LEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0026】
(1−4)訓練者Aは、第10位置P110でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第6位置P106と第10位置P110の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第2計測孔用マーカー802を渡す。訓練者Aは第10位置P110に第2計測孔用マーカー802を配置する。訓練者Aは、第2計測孔用マーカー802に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第2計測孔用マーカー802に対応する数値、LEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。そして、訓練者Aはこのまま10分待機する旨を監督者Bに伝える。監督者Bは数値テーブルを(1)から(2)に切り替える。
【0027】
(1−5)訓練者Aは、第1計測孔用マーカー801と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第1計測孔用マーカー801の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第1計測孔用マーカー801に対応する数値、LEL30%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。計測孔用マーカー80の数値は10分経過したことで変化している。
【0028】
(1−6)訓練者Aは、第5計測孔用マーカー805と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第5計測孔用マーカー805の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第5計測孔用マーカー805に対応するLEL55%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0029】
(1−7)訓練者Aは、第6計測孔用マーカー806と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第6計測孔用マーカー806の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第6計測孔用マーカー806に対応する数値、LEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0030】
(1−8)訓練者Aは、第2計測孔用マーカー802と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第2計測孔用マーカー802の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第2計測孔用マーカー802に対応する数値、LEL20%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0031】
(1−9)訓練者Aは、第3位置P103でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第3位置P103は、第2位置P102と第6位置P106の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第7計測孔用マーカー807を渡す。訓練者Aは第3位置P103に第7計測孔用マーカー807を配置する。訓練者Aは、第7計測孔用マーカー807に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第7計測孔用マーカー807に対応する数値、LEL70%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0032】
(1−10)訓練者Aは、第9位置P109でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第9位置P109は、第6位置P106と第10位置P110の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第9計測孔用マーカー809を渡す。訓練者Aは第9位置P109に第9計測孔用マーカー809を配置する。訓練者Aは、第9計測孔用マーカー809に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第9計測孔用マーカー809に対応する数値、LEL55%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0033】
(1−11)訓練者Aは、第5位置P105でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第5位置P105は、第4位置P104と第6位置P106の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第10計測孔用マーカー810を渡す。訓練者Aは第5位置P105に第10計測孔用マーカー810を配置する。訓練者Aは、第10計測孔用マーカー810に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第10計測孔用マーカー810に対応する数値、LEL80%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0034】
(1−12)訓練者Aは、第4位置P104でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第4位置P104は、第3位置P103と第5位置P105の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第11計測孔用マーカー811を渡す。訓練者Aは第4位置P104に第11計測孔用マーカー811を配置する。訓練者Aは、第11計測孔用マーカー811に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第11計測孔用マーカー811に対応する数値、LEL90%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。この結果から、訓練者Aは監督者Bにガス漏洩箇所は第4位置P104である旨を告げる。監督者Bは訓練者Aの判断が適切であるかを告げ、テストを終了する。
【0035】
疑似ガス漏洩箇所の検出は、この様な手順で行われる。(第1の例)では、訓練者Aが適切な判断を行ったので、ガス漏れが生じている箇所である第4位置P104の特定が可能であったが、次に(第2の例)として、特定箇所が間違っていた事例を示す。
【0036】
(第2の例)
(2−1)テストの設定は(第1の例)と全く同じであり、訓練者Aは、(2−1)から(2−10)までは(1−1)から(1−10)までと全く同じ手順で検査をした。この為、(2−10)までの説明は省略する。
【0037】
(2−11)10分待機した後、訓練者Aは、第1計測孔用マーカー801、第5計測孔用マーカー805、第6計測孔用マーカー806及び第2計測孔用マーカー802の数値を参考に、第3位置P103、第9位置P109のガス濃度を測定し、次に第8位置P108でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第8位置P108は、第7位置P107と第9位置P109の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第12計測孔用マーカー812を渡す。訓練者Aは第8位置P108に第12計測孔用マーカー812を配置する。訓練者Aは、第12計測孔用マーカー812に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第12計測孔用マーカー812に対応する数値、LEL58%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0038】
(2−12)訓練者Aは、第7位置P107でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第7位置P107は、第6位置P106と第8位置P108の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第13計測孔用マーカー813を渡す。訓練者Aは第7位置P107に第13計測孔用マーカー813を配置する。訓練者Aは、第13計測孔用マーカー813に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第13計測孔用マーカー813に対応する数値、LEL61%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。この結果から、訓練者Aは監督者Bにガス漏洩箇所は第7位置P107である旨を告げる。監督者Bは訓練者Aの判断が適切であるかを告げ、テストを終了する。
【0039】
この(第2の例)では、(2−11)でのガス濃度測定位置に関する判断を誤ったので、正解である第4位置P104とは異なる第7位置P107の位置でガス漏れが生じていると判断してしまっている。次に、別のケースとして、
図4の(3)と(4)の数値を適用してテストを行った場合の例を挙げる。
図5に、簡易の配管図と検査孔の位置が示されている。
【0040】
(第3の例)
(3−1)住宅街にあるB宅より、道路130側からガス臭がするとの通報を受けたとの前提で、訓練者Aは風景に対応したガス管120の位置を特定する。訓練者Aは、通報情報を参考にして第1位置P201でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。監督者Bは、訓練者Aに第1計測孔用マーカー801を渡す。訓練者Aは、第1位置P201に第1計測孔用マーカー801を配置する。そして、識別用マーカー42を、第1計測孔用マーカー801に近接させる。この結果、識別用マーカー42と第1計測孔用マーカー801が小型カメラ20の画角内に入り、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第1計測孔用マーカー801に対応する数値、LEL60%がヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0041】
(3−2)訓練者Aは、第5位置P205でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第5位置P205と第1位置P201の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第5計測孔用マーカー805を渡す。訓練者Aは第5位置P205に第5計測孔用マーカー805を配置する。訓練者Aは、第5計測孔用マーカー805に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第5計測孔用マーカー805に対応する数値、LEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0042】
(3−3)訓練者Aは、第7位置P207でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第7位置P207と第5位置P205の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第7計測孔用マーカー807を渡す。訓練者Aは第7位置P207に第7計測孔用マーカー807を配置する。訓練者Aは、第5計測孔用マーカー805に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第7計測孔用マーカー807に対応する数値、LEL80%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0043】
(3−4)訓練者Aは、第11位置P211でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第11位置P211と第7位置P207の距離は2m離れている。監督者Bは訓練者Aに第11計測孔用マーカー811を渡す。訓練者Aは第11位置P211に第11計測孔用マーカー811を配置する。訓練者Aは、第11計測孔用マーカー811に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第11計測孔用マーカー811に対応する数値、LEL70%とヘッドマウントディスプレイ10に表示されるそして、訓練者Aはこのまま10分待機する旨を監督者Bに伝える。監督者Bは数値テーブルを(3)から(4)に切り替える。
【0044】
(3−5)訓練者Aは、第1計測孔用マーカー801と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第1計測孔用マーカー801の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第1計測孔用マーカー801に対応する数値、LEL50%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。計測孔用マーカー80の数値は10分経過したことで変化している。
【0045】
(3−6)訓練者Aは、第5計測孔用マーカー805と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第5計測孔用マーカー805の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第5計測孔用マーカー805に対応するLEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0046】
(3−7)訓練者Aは、第7計測孔用マーカー807と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第7計測孔用マーカー807の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第7計測孔用マーカー807に対応するLEL40%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0047】
(3−8)訓練者Aは、第11計測孔用マーカー811と識別用マーカー42を近接させ、ヘッドマウントディスプレイ10には第11計測孔用マーカー811の検知レベルが表示される。この場合、小型端末30の記憶手段31に記録された第11計測孔用マーカー811に対応するLEL20%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0048】
(3−9)訓練者Aは、第2位置P202でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第2位置P202は、第1位置P201と第5位置P205の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第2計測孔用マーカー802を渡す。訓練者Aは第2位置P202に第2計測孔用マーカー802を配置する。訓練者Aは、第2計測孔用マーカー802に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第2計測孔用マーカー802に対応する数値、LEL70%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0049】
(3−10)訓練者Aは、第4位置P204でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第4位置P204は、第2位置P202と第5位置P205の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第4計測孔用マーカー804を渡す。訓練者Aは第4位置P204に第4計測孔用マーカー804を配置する。訓練者Aは、第4計測孔用マーカー804に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第4計測孔用マーカー804に対応する数値、LEL70%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0050】
(3−11)訓練者Aは、第3位置P203でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第3位置P203は、第2位置P202と第4位置P204の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第3計測孔用マーカー803を渡す。訓練者Aは第3位置P203に第3計測孔用マーカー803を配置する。訓練者Aは、第3計測孔用マーカー803に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第3計測孔用マーカー803に対応する数値、LEL80%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。この結果から、訓練者Aは監督者Bにガス漏洩箇所は第3位置P203である旨を告げる。監督者Bは訓練者Aの判断が適切であるかを告げ、テストを終了する。
【0051】
この(第3の例)では、訓練者Aが適切な判断を行ったので、ガス漏れが生じている箇所である第3位置P203の特定が可能であった。(1−1)の例とは異なるパターンを用いたテストであり、適切な判断手順によって正解箇所が特定されている。この例を用いて、特定箇所が間違っていた事例を次に示す。
【0052】
(第4の例)
(4−1)テストの設定は(第3の例)と全く同じであり、訓練者Aは、(4−1)から(4−3)までは(3−1)から(3−3)までと全く同じ手順で検査をした。この為、(4−3)までの説明は省略する。
【0053】
(4−4)訓練者Aが、第11位置P211でガス濃度測定をする旨を監督者Bに伝えて、第11計測孔用マーカー811が手渡され、ヘッドマウントディスプレイ10にLEL70%と表示されるところまでは(3−4)と同様である。が、訓練者Aはその後、待機することを失念して次の手順を行った。
【0054】
(4−5)訓練者Aは、第6位置P206でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第6位置P206は、第5位置P205と第7位置P207の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第6計測孔用マーカー806を渡す。訓練者Aは第6位置P206に第6計測孔用マーカー806を配置する。訓練者Aは、第6計測孔用マーカー806に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第6計測孔用マーカー806に対応する数値、LEL60%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0055】
(4−6)訓練者Aは、第10位置P210でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第10位置P210は、第7位置P207と第11位置P211の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第10計測孔用マーカー810を渡す。訓練者Aは第10位置P210に第10計測孔用マーカー810を配置する。訓練者Aは、第10計測孔用マーカー810に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第10計測孔用マーカー810に対応する数値、LEL80%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0056】
(4−7)訓練者Aは、第9位置P209でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第9位置P209は、第7位置P207と第10位置P210の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第9計測孔用マーカー809を渡す。訓練者Aは第9位置P209に第9計測孔用マーカー809を配置する。訓練者Aは、第9計測孔用マーカー809に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第9計測孔用マーカー809に対応する数値、LEL95%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。
【0057】
(4−8)訓練者Aは、第8位置P208でガス濃度を測定する旨を監督者Bに告げる。第8位置P208は、第7位置P207と第9位置P209の中間に位置する。監督者Bは訓練者Aに第8計測孔用マーカー808を渡す。訓練者Aは第8位置P208に第8計測孔用マーカー808を配置する。訓練者Aは、第8計測孔用マーカー808に識別用マーカー42を近接させることで、ヘッドマウントディスプレイ10に検知レベルが表示される。この場合は、小型端末30の記憶手段31に記録された第8計測孔用マーカー808に対応する数値、LEL98%とヘッドマウントディスプレイ10に表示される。この結果から、訓練者Aは監督者Bにガス漏洩箇所は第8位置P208である旨を告げる。監督者Bは訓練者Aの判断が適切であるかを告げ、テストを終了する。
【0058】
この(第4の例)では、訓練者Aが待機時間を設けずにガス漏洩の調査を行ったために、環境下にあるガスが拡散せず、正解位置である第3位置P203を特定するに至らなかった。ガス漏れを特定する際には、状況に応じたガスの拡散状況を見極める事が不可欠であり、マンホールの位置やガス漏れ箇所の影響を受けて、適切な判断が行えない場合がある。
【0059】
なお、本実施形態の疑似ガス漏洩箇所検査システムにおいて、訓練者Aの訓練に際し監督者Bが必ず付き添うような状況として説明している。そして、訓練者Aが選んだ場所に対応した計測孔用マーカー80は監督者Bの裁量によって選択され適切な物が渡されている。これは、現場の状況判断が出来る監督者Bが適切な計測孔用マーカー80を選択できることを想定した手順である。しかし、適切な計測孔用マーカー80が無い場合には、監督者Bの裁量によって、タブレット型端末70からガス濃度情報45の値を直接入力できる機能が付加されている。これは、ガス管120のガス漏洩箇所検査が、経験と勘によるところが多く、監督者Bが長年培ったガス漏洩箇所検査の技術による適切な修正の余地を残す目的の措置である。
【0060】
本実施形態の疑似ガス漏洩箇所検査システムは上記構成及び作用を示すので、以下に説明するような効果を奏する。
【0061】
まず、疑似ガス漏れ漏洩箇所検査が出来ることで、実際に漏洩箇所を作ったガス管120を屋外の地面に埋設せずとも、屋内の施設で訓練が可能となる点が挙げられる。その構成は、訓練者Aが情報を得る為に訓練者Aの頭部に装着可能なヘッドマウントディスプレイ10と、予め設置された風景用マーカー110と、訓練者Aが所持し検査箇所を示す疑似ガス漏洩検知装置40と、訓練者Aが配置する計測孔用マーカー80と、配置された風景用マーカー110に対応して、ヘッドマウントディスプレイ10に風景情報を疑似的に表示し、疑似ガス漏洩検知装置40の識別用マーカー42に対応して、ヘッドマウントディスプレイ10にガス濃度情報45を表示する、小型端末30と、小型端末30に接続され経過時間で変化するガス濃度情報を記憶する記憶手段31と、を備え、指示された位置に置かれた計測孔用マーカー80に、訓練者Aが疑似ガス漏洩検知装置40の識別用マーカー42を近接させることで、記憶手段31に記憶されたガス濃度情報45を、計測孔用マーカー80に関連づけてヘッドマウントディスプレイ10に表示するものである。
【0062】
したがって、従来行ってきたような漏洩部分を作ったガス配管を屋外の地面に埋めて訓練するという手法を採らずとも、現実に近い形でのガス漏洩箇所検査の訓練が屋内で行える。ヘッドマウントディスプレイ10には風景用マーカー110に対応して風景を映し出せるほか、計測孔用マーカー80に対応してガス濃度情報45を表示できる。なお、疑似ガス漏洩検知装置40もモックアップの先端に識別用マーカー42さえ備えられていれば、対応可能である。ただし、訓練を行うためにより本物に近い構造や重量感がある方が望ましい。
【0063】
また、従来と比べて格段に容易に訓練やテストが行える点も効果として挙げられる。これは、必要な装備が、ヘッドマウントディスプレイ10、小型カメラ20、小型端末30、疑似ガス漏洩検知装置40、タブレット型端末70、小型端末35、及び計測孔用マーカー80、風景用マーカー110程度で良く、広めの部屋があれば、疑似的にガス漏洩箇所検査をすることが出来る。つまり、簡易な装備と部屋さえ確保できれば、疑似的にガス漏洩箇所検査の訓練やテストをすることが出来るからである。
【0064】
また、風景用マーカー110の配置や
図5に示したような記憶手段31に記録しておくデータを複数用意することで、様々なパターンの訓練やテストが出来る点も効果としてあげられる。ガス漏洩箇所検査の技能は、繰り返し訓練しなければ習得が難しいので、様々なパターンの訓練が簡易に出来ることは望ましい。また、テストに用いる場合には、事前情報が明かされることにより、最初のテスト受験者より後にするテスト受験者のテスト難易度が下がってしまうというようなことも避けられる。従来の、埋設ガス管を使用する方法では、設備の入れ替えが容易には出来ないために、パターンが固定化されがちであったが、本実施例の形態を利用することで、このようなワンパターン化を防ぐことが可能となる。
【0065】
更に、疑似的にガス漏洩箇所検査を行えるシステムを用いることで、レアケースの再現や、埋設配管を使ったガス漏れ訓練では再現しにくいようなシチュエーションのテストや訓練が行える。従って、訓練者Aの技能の向上にも貢献することが期待出来る。例えば、これまで想定されてこなかったようなガス漏れパターンが現場で確認されれば、容易に疑似ガス漏洩箇所検査システムに反映することが可能となる。
【0066】
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。
【0067】
例えば、本実施形態の疑似ガス漏洩箇所検査システムにおいて、訓練者Aの訓練に際し監督者Bが必ず付き添うような状況として説明している。しかしながら、小型端末30に地形データとガスの拡散の条件などを設定し、任意の点のガス濃度変化をシミュレーションさせるような構成とすれば、訓練者Aが一人でガス漏れ箇所特定の訓練を行う事が可能となる。この場合には、任意の点でのガス拡散の経時変化が記憶手段31に記憶されるか、小型端末30によって算出される必要があるが、監督者Bが付き添う必要が無くなるため、より訓練が簡易に行えるような効果が期待出来る。
【0068】
また、より複雑な計算をする必要があれば、小型端末30によって処理させるのではなく、小型端末30と通信する図示しない計算サーバーにて、例えば前述のようなガスの濃度拡散シミュレーションを行わせる、ということも可能である。