(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、直ぐに駆動しないで、一旦停止している状態でも、停止位置を維持するために電流を流し続けているので、その分電力を余計に消費することとなる。
【0006】
そこで本発明は、各サーボモータの停止状態でも停止位置を維持するために、電流を流し続けている状態を考慮して、極力電力の消費を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、基板上に電子部品を実装するための所定作業を施すもので、前記所定作業に係わる複数のサーボモータを備えた実装作業装置におけるモータ制御方法において、
前記基板上への前記電子部品の実装開始が可能か否かを判定し、
実装開始ができないと判定されると、前記サーボモータのサーボ状態を判定し、
サーボON状態であると判定すると、前記サーボモータの指令位置を維持するための位置ループ制御を停止させて前記サーボモータに電流を流さないように制御することを特徴とする。
【0008】
また第2の発明は、基板上に電子部品を実装するための所定作業を施すもので、前記所定作業に係わる複数のサーボモータを備えた実装作業装置において、
前記基板上への前記電子部品の実装開始が可能か否かを判定する第1判定手段と、
この第1判定手段が実装開始ができないと判定すると、前記サーボモータのサーボ状態を判定する第2判定手段と、
この第2判定手段がサーボON状態であると判定すると、前記サーボモータの指令位置を維持するための位置ループ制御を停止させて前記サーボモータに電流を流さないように制御する制御手段とを
設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板上に電子部品を実装するための所定作業に係わる各サーボモータの停止状態でも停止位置を維持するために、電流を流し続けている状態を考慮して、極力電力の消費を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基板上に電子部品を装着するための所定作業を施す実装作業装置は、例えばプリント基板上に半田ペーストを塗布するスクリーン印刷装置、プリント基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布装置、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置などがあるが、以下
図1に基づき、この実装作業装置の一例として電子部品装着装置1について、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
この電子部品装着装置1の上流側には、例えば搬送コンベア2Aを備えた前記接着剤塗布装置などの上流装置2が、また下流側には、例えば搬送コンベア3Aを備えた電子部品装着装置などの下流装置3が配設される。
【0013】
そして、前記電子部品装着装置1には、各プリント基板Pの搬送を並列に行なう搬送装置5と、装置本体の手前側と奥側に配設され電子部品を供給する部品供給装置6A、6Bと、一方向に移動可能(
図1の紙面の上下方向であるY方向に往復移動可能)な一対のビーム7A、7Bと、それぞれ取出保持具としての吸着ノズル8を備えて前記各ビーム7A、7Bに沿った方向(
図1の紙面の左右方向であるX方向)に別個に移動可能な装着ヘッド9A、9Bとが設けられている。
【0014】
前記搬送装置5は供給コンベア5Aと、プリント基板Pを位置決め固定する位置決め部を備えた実装位置コンベア5Bと、排出コンベア5Cとを備えている。そして、前記供給コンベア5Aは前記上流装置2より受けた各プリント基板Pを実装位置コンベア5Bの位置決め部に搬送し、この各位置決め部で位置決め装置により位置決めされた各基板上に電子部品を装着した後、排出コンベア5Cに搬送し、その後前記下流装置3に搬送する構成である。
【0015】
そして、前記部品供給装置6A、6Bは前記搬送装置5の奥側位置と手前側位置に配設され、取付台であるカート台のフィーダベース上に部品供給ユニット10を多数並設したものである。各カート台は部品供給ユニット10の部品供給側の先端部がプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体に連結具を介して着脱可能に配設され、各カート台が正規に装置本体に取り付けられるとカート台に搭載された部品供給ユニット10に電源13が供給され、また前記連結具を解除して把手を引くと下面に設けられたキャスタにより移動できる構成である。
【0016】
そして、X方向に長い前後一対の前記ビーム7A、7Bは、サーボモータから構成される一対のY1モータ11A及びY2モータ11B、Y3モータ11C及びY4モータ11Dの駆動により左右一対の前後に延びたガイドに沿って個別にY方向に移動する。
【0017】
また、前記ビーム7A、7Bには、その長手方向(X方向)にサーボモータから構成される各X1モータ12A、X2モータ12Bによりガイドに沿って移動する前記装着ヘッド9A、9Bが夫々内側に設けられている。
【0018】
従って、各装着ヘッド9A、9Bは向き合うように各ビーム7A、7Bの内側に設けられ、前記装着ヘッド9Aは対応する奥側の前記部品供給装置6Aの部品供給ユニット10から電子部品の取出し作業を行い、前記搬送装置5上のプリント基板Pに装着することができ、装着ヘッド9Bは対応する手前側の部品供給装置6Bから電子部品を取り出して前記プリント基板Pに装着することができる。
【0019】
そして、各装着ヘッド6A、6Bには各バネにより下方へ付勢されている吸着ノズル8が円周上に所定間隔を存して複数本配設されており、この吸着ノズル8は上下軸モータ14により昇降可能であり、またθ軸モータ15により装着ヘッド9A、9Bを鉛直軸周りに回転させることにより、結果として各装着ヘッド9A、9Bの各吸着ノズル8はX方向及びY方向に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、且つ上下動可能となっている。
【0020】
また、各部品認識カメラ17は、各装着ヘッド9A、9Bに設けられた各吸着ノズル8に吸着保持された電子部品をプリント基板P上に装着する前に一括して撮像する。
【0021】
図2は電子部品装着装置1の電子部品装着に係る制御のための制御ブロック図であり、以下説明する。電子部品装着装置1の各要素はマイクロコンピュータなどから構成される制御装置20が統括制御しており、記憶装置21が各種データを格納しており、バスライン22を介して両者は接続されている。
【0022】
また、制御装置20には操作画面等を表示する表示装置であるモニタ23及び該モニタ23の表示画面に形を成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ24がインターフェース25を介して接続されている。また、前記Y1モータ11A、Y2モータ11B、Y3モータ11C、Y4モータ11D、X1モータ12A、X2モータ12B、上下軸モータ14、θ軸モータ15がそれぞれ動力線27、Y1モータドライバ28、Y2モータドライバ29、Y3モータドライバ30、Y4モータドライバ31、X1モータドライバ32、X2モータドライバ33、上下モータドライバ34、θ回転モータドライバ35、通信ケーブル37、コントロールボード38を介して前記制御装置20に接続されている。なお、前記制御装置20は制御手段、確認手段、判定手段、計算手段、指令手段などの機能を果たす。
【0023】
39、40、41、42、43、44、61、62はエンコーダで、サーボモータである前記Y1モータ11A、Y2モータ11B、Y3モータ11C、Y4モータ11D、X1モータ12A、X2モータ12B、上下軸モータ14、θ軸モータ15にそれぞれ備えられており、前記ビーム7A、7B、前記装着ヘッド9A、9B及び前記吸着ノズル8の位置情報を前記ドライバ(駆動回路)28、29、30、31、32、33、34、35にフィードバックする。
【0024】
即ち、前記制御装置20から前記装着ヘッド9A、9Bの目的位置情報や、速度情報等が出力され、この出力情報を前記コントロールボード38は前記各ドライバ28、29、30、31、32、33に送り、更に各ドライバ28、29、30、31、32、33は対応する各モータに送って、この各モータを駆動させ、前記ビーム7A、7B、前記装着ヘッド9A、9Bの位置情報を前記ドライバ28、29、30、31、32、33にフィードバックさせつつ、前記装着ヘッド9A、9Bを目的位置へ移動させる。
【0025】
前記記憶装置21には、プリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されている。この装着データは、その電子部品の装着順序毎に、装着座標(X座標、Y座標Y、角度)、部品配置番号等から構成される。また、前記記憶装置21には、カート台に配設された前記各部品供給ユニット10の部品配置番号に対応した各電子部品の種類(部品ID)の部品配置データ等が格納されている。更には、前記記憶装置21には、電子部品の特徴を表す形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから成る電子部品毎の部品ライブラリデータ等が格納されている。
【0026】
26は前記インターフェース25を介して前記制御装置20に接続される認識処理装置で、前記部品認識カメラ17により撮像して取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置26にて行われ、制御装置20に処理結果が送出される。即ち、制御装置20は部品認識カメラ17により撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置26に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置26から受取るものである。
【0027】
なお、前記搬送装置5の供給コンベア5A、実装位置コンベア5B、排出コンベア5Cには、前記プリント基板Pの有無を検出するための基板有無検出センサ46、47、48が配設され、この各基板有無検出センサ46、47、48はそれぞれセンサアンプ49、50、51を介して前記制御装置20に接続されている。
【0028】
なお、本実施形態では、電子部品装着装置1の搬送装置5として、供給コンベア5A、実装位置コンベア5B及び排出コンベア5Cを備えた構成としたが、これに限らず、供給コンベア及び排出コンベアを備えることなく、実装位置コンベアのみ備える構成でもよい。従って、本実施形態では、前記実装位置コンベア5Bの位置決め部においてプリント基板P上に電子部品の装着をし、前記供給コンベア5Aが前工程となるのに対し、電子部品装着装置1に実装位置コンベアのみ備える構成にあっては、上流装置2が前工程となる。
【0029】
以下、本電子部品装着装置1の電子部品の実装動作について、
図3に基づいて説明する。先ず、タッチパネルスイッチ24に設けられた運転開始スイッチが作業管理者により操作されると、制御装置20は運転が開始するように制御する(ステップS01)。
【0030】
次に、サーボON(オン)動作するように、制御装置20は制御する(ステップS02)。即ち、初めにY1モータドライバ28にサーボON指令を発して、次いで、Y2モータドライバ29、Y3モータドライバ30、Y4モータドライバ31、X1モータドライバ32、X2モータドライバ33に順にサーボON指令を発し、サーボON動作は終了する。ここで、「サーボON動作」とは、前記エンコーダ39、40、41、42、43、44、61、62により把握される指令位置を維持するための位置ループ制御を開始させることをいい、この「サーボONの状態」では、指定位置と検出位置とを一致させるために前記各モータには電流が流れている。
【0031】
そして、サーボON状態になる(ステップS03)。次いで、プリント基板P上への電子部品の実装開始が可能か否かを判定する(ステップS04)が、この判定について、
図4に基づいて、詳述する。
【0032】
先ず、制御装置20は上流装置2が基板排出可能信号を発しているか否か、即ち排出待機位置にプリント基板Pが有るときに基板有無検出センサ49が前記基板排出可能信号を発していて、電子部品装着装置1が前記基板排出可能信号を受信しているか否かを判定する(ステップS21)。即ち、上流装置2において、プリント基板Pに施す作業を終えており、このプリント基板Pを電子部品装着装置1に排出できる状態になっているか否かを判定する。
【0033】
この場合、制御装置20は基板排出可能信号を発していないと判定すると、供給コンベア5Aにおいて基板有無検出センサ46がプリント基板Pを検出しているか否かを判定する(ステップS22)。そして、プリント基板Pの存在を検出すると、ステップS23へ進み、不存在と判定するとプリント基板P上への電子部品の実装開始が不可能と判定する。
【0034】
従って、上流装置2が基板排出可能信号を発しているか、又は基板排出可能信号を発していなくて且つ供給コンベア5Aの基板有無検出センサ46がプリント基板Pの存在を検出している場合には、ステップS23へ進む。
【0035】
即ち、実装位置コンベア5Bにおいて基板有無検出センサ47がプリント基板Pの存在を検出しているか否かを判定して(ステップS23)、基板無しと判定するとプリント基板P上への電子部品の実装開始が可能と判定し、また基板有りと判定するとステップS24へ進む。
【0036】
ステップS24では、排出コンベア5Cにおいて基板有無検出センサ48がプリント基板Pの存在を検出しているか否かを判定して、基板無しと判定するとプリント基板P上への電子部品の実装開始が可能と判定し、また基板有りと判定するとステップS25へ進む。
【0037】
ステップS25では、下流装置3において基板有無検出センサ50がプリント基板Pの不存在を検出している場合に発する基板取込要求信号を発しているか否かを判定する。即ち、制御装置20は下流装置3が前記基板取込要求信号を発しているか否か、言い換えると下流装置3にプリント基板Pが無いときに基板有無検出センサ50が前記基板取込要求信号を発していて、プリント基板Pを電子部品装着装置1から受け入れられる状態になっているか否かを判定する。
【0038】
この場合、前記基板取込要求信号を発していないと判定すると、プリント基板P上への電子部品の実装開始が可能と判定し、前記基板取込要求信号を発していると判定すると、プリント基板P上への電子部品の実装開始ができないと判定する。
【0039】
以上のように、プリント基板P上への電子部品の実装開始が可能か否かが判定され(ステップS04)、実装開始ができないと判定されると(ステップS05)、前記Y1モータ11A、Y2モータ11B、Y3モータ11C、Y4モータ11D、X1モータ12A、X2モータ12B、θ軸モータ15のサーボ状態が判定されて(ステップS06)、サーボON状態でなければ(サーボOFF状態であれば)ステップS04に戻り、またサーボON状態であると判定すると、制御装置20はサーボOFF(オフ)動作するように制御する(ステップS07)。即ち、初めにY1モータドライバ28にサーボOFF指令を発して、次いで、Y2モータドライバ29、Y3モータドライバ30、Y4モータドライバ31、X1モータドライバ32、X2モータドライバ33、θ軸モータドライバ35に順にサーボOFF指令を発して、サーボOFF動作は終了する。ここで、「サーボOFF動作」とは、前記エンコーダ39、40、41、42、43、44、62により把握される指令位置を維持するための位置ループ制御を停止させることをいい、この「サーボOFFの状態」では前記各モータに電流を流さない。
【0040】
前記上下軸モータ14については、サーボOFFしたとき、軸が下降しないような、例えばロック機構を設けた場合は、他のモータと同様にサーボ状態を判定し、サーボON状態であると判定すると、サーボOFFしてもよい。
【0041】
そして、サーボOFF状態になると(ステップS08)、ステップS04に戻る。なお、以上のように、プリント基板P上への電子部品の実装開始ができないと判定した場合に(ステップS05)、サーボ状態が判定されて(ステップS06)、サーボON状態であると判定すると、制御装置20はサーボOFF動作するように制御(ステップS07)することにより、作業待機時間内での電力を無駄に消費しないように、サーボモータである各モータの停止位置を維持するために電流を流し続けている状態を止めるようにしたから、極力電力の消費を減少させることができる。但し、サーボOFF状態であっても、前記エンコーダ39、40、41、42、43、44、62への通電は維持されており、このエンコーダ39、40、41、42、43、44、62による各モータ11A、11B、11C、11D、12A、12B、15の位置の監視は維持されている。
【0042】
また、プリント基板P上への電子部品の実装開始が可能か否かが判定して(ステップS04)、判定結果が実装開始ができると判定されると(ステップS05)、次にサーボ状態が判定されて(ステップS09)、サーボON状態であればステップS12に進み、またサーボON状態でない(サーボOFF状態)と判定すると、次に、サーボON動作するように、制御装置20は制御する(ステップS10)。即ち、各ドライバ28、29、30、31、32、33、35にサーボON指令を発する。そして、サーボON状態になる。(ステップS11)。
【0043】
次いで、実装位置コンベア5Bにおいて基板有無検出センサ47がプリント基板Pの存在を検出しているか否かを判定して(ステップS12)、基板無しと判定するとステップS15に進み、また基板有りと判定すると、制御装置20は実装位置コンベア5Bにあるプリント基板Pを排出コンベア5Cへの排出を開始するように制御する(ステップS13)。
【0044】
そして、実装位置コンベア5Bから排出されて、基板有無検出センサ47がプリント基板Pの不存在を検出すると(ステップS14)、制御装置20は供給コンベア5Aから実装位置コンベア5Bへプリント基板Pの取り込みを開始するように制御する(ステップS15)。
【0045】
そして、実装位置コンベア5Bへプリント基板Pが取り込まれると、基板有無検出センサ47がプリント基板Pの存在を検出すると(ステップS16)、制御装置20はプリント基板P上へ電子部品の実装を開始するように制御する(ステップS17)。
【0046】
即ち、プリント基板Pを実装位置コンベア5Bの位置決め部に搬送して位置決め固定し、制御装置20は各部品供給ユニット10の上方へ装着ヘッド9A又は9Bを移動させるように、Yモータ11A及び11B、又は11C及び11D、Xモータ12A又は12Bを制御して、また所定の吸着ノズル8が回転して下降するようにθ軸モータ15及び上下軸モータ14を制御して、各部品供給ユニット10から該当する電子部品を吸着ノズル8が連鎖吸着して取出す。
【0047】
そして、前記Yモータ11A及び11B、又は11C及び11D、Xモータ12A又は12Bを駆動させてXY方向に移動を開始し、プリント基板P上に電子部品を装着するために移動する途中で装着ヘッド9A又は9Bを部品認識カメラ17の上方を通過させて、各吸着ノズル8に吸着保持されている電子部品を部品認識カメラ17により撮像し(フライ認識)、部品の認識処理動作が前記認識処理装置26により行われる。
【0048】
この部品認識動作が終了すると、前記記憶装置21に格納された前記装着データにおける装着座標にこの認識結果を加味して吸着ノズル8に対する電子部品のズレを補正して、即ち制御装置20は前記Yモータ11A及び11B、又は11C及び11D、Xモータ12A又は12B、θ軸モータ15を制御して、前記装着データの装着順序に従い電子部品のプリント基板Pへの装着動作が行われる。
【0049】
そして、装着すべき全ての電子部品の装着が終了すると(ステップS18)、ステップS04へと戻る。
【0050】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。