特許第5970411号(P5970411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970411
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/165 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   A47C17/165
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-90385(P2013-90385)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-212844(P2014-212844A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】和久 哲也
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−133275(JP,U)
【文献】 特開2005−155151(JP,A)
【文献】 特開2003−265543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/165
A47C 17/04
A47C 17/00
A47C 19/00
A47C 20/00
A61G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一方の端部にフットボードが設けられたベッド本体と、
このベッド本体の上面に固定して設けられた固定床部及びこの固定床部に回動可能に連結して設けられた可動床部を有する床板体と、
上記ベッド本体に設けられ上記床板体の上記可動床部を起伏駆動する駆動機構及びこの駆動機構を作動させるモータを有する電動アクチュエータと、
上記駆動機構を上記モータに代わって手動で駆動するための手動ハンドルと、
上記電動アクチュエータを遠隔的に操作するコントローラと、
このコントローラと上記フットボード側との両方に設けられ上記駆動機構を上記手動ハンドルによって駆動するとき、上記電動アクチュエータの上記モータの回路に電磁ブレーキが生じるのを遮断する解除手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記解除手段は、上記モータによる上記駆動機構の作動を停止しているときに形成される閉回路を開放する解除スイッチであることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は床板体を複数の床部に分割し、その床部の一部を起伏駆動させることができる、いわゆる背上げ式のベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベッド装置はベッド本体を有し、このベッド本体には床板体が設けられる。この床板体の上面にはマットレスが載置される。上記床板体は複数の床部に分割されている。複数の床部のうちの1つは、上記ベッド本体に固定された固定床部となっていて、他の床部のうちの、少なくとも利用者の上半身に対応する部分に位置する床部は上記固定床部に回動可能に連結された、可動床部としての背上げ床部となっている。
【0003】
上記背上げ床部は手動或いは電動によって起伏駆動されるようになっている。最近では手動よりも操作が容易である電動で起伏駆動できるようにしたベッド装置が多く採用されている。
【0004】
電動によって上記背上げ床部を起伏駆動する場合、上記ベッド本体に電動アクチュエータが設けられる。この電動アクチュエータは、上記背上げ床部を起伏駆動するための駆動機構を有し、この駆動機構はモータによって作動させられるようになっている。
【0005】
上記電動アクチュエータを有するベッド装置は、この電動アクチュエータを作動させるためのコントローラを備え、このコントローラの操作によって上記背上げ床部を起伏させることができるようになっている。
【0006】
ところで、停電時や上記モータが故障したような場合、上記コントローラによって上記電動アクチュエータを作動させることができなくなるということがある。その場合、ベッド装置の利用者は上半身を起こしたままの状態、或いは上半身を起こすことのできないままの状態となるから、利用者の身体に負担が掛かるということになる。
【0007】
とくに、利用者が病人の場合、たとえば上半身を起こした姿勢を長時間にわたって維持しなければならなくなると、身体に掛かる負担が大きく増大するということがある。
【0008】
そこで、停電時や上記モータが故障したような場合であっても、上記電動アクチュエータ(リニアアクチュエータ)を手動で作動させることができるようにしたものが開発されている。
【0009】
上記構成の上記電動アクチュエータは、モータと、このモータの回転によって駆動される駆動力伝達機構部と、この駆動力伝達機構部の駆動によってリニア駆動されるアクチュエータロッドと、上記外部入力シャフトを介して上記駆動力伝達機構部を駆動することができる手動操作ハンドルと、上記外部入力シャフトと駆動力伝達機構部との間に設けられたクラッチ機構とによって構成される。
【0010】
そして、通常時には上記モータが作動すると、上記駆動力伝達機構部によって上記アクチュエータロッドがリニア駆動されることで、このアクチュエータロッドによって可動床部が起伏駆動されるようになっている。
【0011】
停電時などには、上記手動操作ハンドルによって上記外部入力シャフトを回転駆動することで、上記クラッチ機構の作動によって、上記モータを回転させずに上記アクチュエータロッドをリニア駆動せることができるようにしている。
【0012】
それによって、手動操作時に上記モータが回転することで生じる負加である、上記モータによる電磁ブレーキ作用が生じるのを防止できるから、上記手動操作ハンドルによって可動床部の駆動操作を比較的軽い力で容易に行なうことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−191611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、上記モータと上記アクチュエータロッドの間に上記クラッチ機構を設ければ、上記手動操作ハンドルによって上記外部入力シャフトを回転駆動したとき、上記クラッチ機構の作用によってモータを回転させずに可動床部を起伏駆動させることができる。それによって、上記可動床部の起伏駆動操作を、上記モータに電磁ブレーキ作用を生じさせることなく軽い操作力で行なうことが可能となる。
【0015】
しかしながら、上述した構成によると、上記駆動力伝達機構部にクラッチ機構を設けなければならない。クラッチ機構は非常に高価であるばかりか、構成が複雑であり、しかも上記駆動力伝達機構部に上記クラッチ機構を設けることで、上記駆動力伝達機構部が大型化するということがある。つまり、上記クラッチ機構を設けることによって、コストアップや構成の複雑化及び大型化を招くということがあった。
【0016】
この発明は、手動ハンドルを用いて可動床部を手動で起伏駆動するとき、クラッチ機構を用いなくとも、モータの回転によって電磁ブレーキが発生するのを防止することで、上記可動床部の起伏駆動を軽い操作力で容易に行なうことができるようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、長手方向の一方の端部にフットボードが設けられたベッド本体と、
このベッド本体の上面に固定して設けられた固定床部及びこの固定床部に回動可能に連結して設けられた可動床部を有する床板体と、
上記ベッド本体に設けられ上記床板体の上記可動床部を起伏駆動する駆動機構及びこの駆動機構を作動させるモータを有する電動アクチュエータと、
上記駆動機構を上記モータに代わって手動で駆動するための手動ハンドルと、
上記電動アクチュエータを遠隔的に操作するコントローラと、
このコントローラと上記フットボード側との両方に設けられ上記駆動機構を上記手動ハンドルによって駆動するとき、上記電動アクチュエータの上記モータの回路に電磁ブレーキが生じるのを遮断する解除手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【0020】
上記解除手段は、上記モータによる上記駆動機構の作動を停止しているときに形成される閉回路を開放する解除スイッチであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、可動床部を起伏駆動する駆動機構を手動ハンドルによって駆動するとき、電動アクチュエータのモータの回路に生じる電磁ブレーキを解除手段によって遮断することができる構成とした。
【0022】
つまり、モータの回路に生じる電磁ブレーキを解除手段によって電気的に遮断することができるから、クラッチ機構を用いる場合に比べて構成が簡単かつ小型で、しかも安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施の形態を示すベッド装置の正面図。
図2】電動アクチュエータの主要部を断面して示す平面図。
図3】上記電動アクチュエータのウオームとウオームホイールの部分を示す断面図。
図4】コントローラの正面図。
図5】解除スイッチによってモータの駆動回路が閉じられた状態を示す図。
図6】解除スイッチによってモータの駆動回路が開放された状態を示す図。
図7】背上げ床部を駆動操作するときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1はベッド装置を示す正面図であって、このベッド装置はベッド本体1を備えている。このベッド本体1の長手方向一端にはヘッドボード2が設けられ、他端にはフットボード3が設けられている。
【0026】
上記ベッド本体1の上面には床板体4が設けられている。この床板体4は複数の床部に分割されている。この実施の形態では固定床部5と、可動床部としての背上げ床部6との2つに分割されている。
【0027】
上記固定床部5は上記ベッド本体1の上面の上記フットボード3側に載置されて上記ベッド本体1に固定され、上記背上げ床部6は上記ヘッドボード3側に設けられて一端が上記固定床部5の一端に回動可能に連結されている。
【0028】
上記ベッド本体1の上記フットボード3側の下面には支持部材8が設けられ、この支持部材8には支軸9によって後述する構成の電動アクチュエータ11が揺動可能に設けられている。この電動アクチュエータ11は上記背上げ床部6を図1に実線で示す水平に倒伏した状態から、鎖線で示す起上する方向へ駆動できるようになっている。
【0029】
図2図3に示すように、上記電動アクチュエータ11は駆動源となるモータ12と、このモータ12の回転力を減速して伝達する駆動機構13によって構成されている。すなわち、上記駆動機構13はケーシング14ケーシング14の内部に設けられている。上記モータ12は上記ケーシング14の一端部の外部に、軸線を上記ケーシング14の軸線と直交させて取付けられている。
【0030】
上記モータ12の出力軸12aは上記ケーシング14の内部に突出していて、その出力軸12aには上記駆動機構13を構成するウオーム15が取り付けられている。図2に示すように、上記ケーシング14の先端開口部にはガイド筒16の一端が取付け固定されている。
【0031】
上記ケーシング14と上記ガイド筒16との内部にはねじ軸17が軸線を上記ケーシング14の軸線と一致させて挿通されている。このねじ軸17の一端部には上記ウオーム15に噛合するウオームホイール18が外嵌固定されている。
【0032】
上記ねじ軸17の上記ウオームホイール18が嵌合された部分よりも先端部側は上記ケーシング14の後端側に形成された筒状部19内に突出している。上記ねじ軸17の上記筒状部19内に突出した末端には凹状の係合部17aが形成されている。
【0033】
上記ねじ軸17は上記ケーシング14内で、スラスト軸受21と一対のラジアル軸受22a,22bによって軸方向に移動不能な状態で回転可能に支持されている。上記ねじ軸17の上記ガイド筒16内に位置する部分にはナット体24が螺合されている。このナット体24は上記ガイド筒16に対して回転不能な状態で軸方向に移動可能に設けられている。
【0034】
上記ナット体24には、上記ガイド筒16に移動可能に挿通された駆動軸25の基端部に取付けられている。上記ガイド筒16から突出した上記駆動軸25の先端部には長孔25aが形成されている。上記駆動軸25の先端部は、図1に示すように上記床板体4の上記背上げ床部6の下面に一端が連結されたアーム26の他端に上記長孔25aを介して連結ピン27によって回動可能に連結されている。
【0035】
上記モータ12が駆動され、上記ウオーム15によって上記ウオームホイール18が回転駆動され、その回転に上記ねじ軸17が連動すると、このねじ軸17に螺合されたナット体24が上記ねじ軸17に沿って上記ガイド筒16内を軸方向に直線駆動される。
【0036】
それによって、上記ナット体24に上記駆動軸25が連動するから、この駆動軸25に連結された上記アーム26が矢印方向に回動し、その回動に上記背上げ床部6が連動するから、倒伏した状態から起上方向或いは起上した状態から倒伏方向に駆動されるようになっている。
【0037】
図2に示すように、上記ケーシング14の上記筒状部19内に位置する上記ねじ軸17の先端の係合部17aには、クランク状に曲成された手動ハンドル27の先端部に設けられた軸状部28を着脱可能に係合させることができるようになっている。この軸状部28は中空状になっていて、その内底部には上記係合部17aに係合する突起部28aが設けられている。なお、上記手動ハンドル27の後端には、この手動ハンドル27を回転操作するときに把持するためのグリップ28bが回動可能に設けられている。
【0038】
上記手動ハンドル27の先端の軸合部28を上記筒状部19に挿入すれば、上記ねじ軸17の先端の係合部17aに上記突起部28aが係合する。
【0039】
したがって、その状態で上記手動ハンドル27を回転させれば、その回転に上記ねじ軸17が連動して回転するから、上記モータ12によって上記ねじ軸17を回転させたときと同様、上記ねじ軸17の回転方向に応じて上記背上げ床部6を起上方向或いは倒伏方向に駆動することができる。
【0040】
この実施の形態では、上記手動ハンドル27は上記ケーシング14と別体に設けられている。しかしながら、たとえば上記手動ハンドル27の先端の軸状部28を上記筒状部19に折り畳み可能に連結し、折り畳まれた状態から起立方向に回動させたときに、上記係合部17aに、上記ねじ軸17の突起部28aが係合する構造としてもよい。
【0041】
なお、上記電動アクチュエータ11は、上記ねじ軸17の係合部17aが上記フットボード3側に位置するよう、上記ベッド本体1に設けられている。
【0042】
図5図6は上記モータ12の駆動回路31を示している。この駆動回路31は背上げスイッチ32と背下げスイッチ33を有する。各スイッチ32,33は共通接点32a,33a、オン接点32b,33b及びオフ接点32c,33cを有する。各スイッチ32,33はスイッチ釦を押して操作したときだけオンの状態になり、操作を解除すればオフの状態に戻るようになっている。
【0043】
上記背上げスイッチ32と上記背下げスイッチ33の共通接点32a,33a間には上記モータ12と、このモータ12に後述するように生じる電磁ブレーキを解除する解除手段としての解除スイッチ35が設けられている。
【0044】
図5図6に示すように、上記背上げスイッチ32と上記背下げスイッチ33がオフの状態にあるとき、これらスイッチ32,33の上記共通接点32aと上記オフ接点32c及び上記共通接点33aと上記オフ接点33cがそれぞれ電気的に接続されている。各オフ接点32c,33cはアース線36によってアースされ、各オン接点32b,33bはDC電源に接続されている。
【0045】
したがって、上記背上げスイッチ32を操作してその共通接点32aとオン接点32bを接続すれば、上記モータ12に電流が流れて上記モータ12の出力軸12aが所定方向、たとえば時計方向に回転する。それによって、上記駆動軸25が上記ガイド筒16から突出する方向に駆動され、上記背上げ床部6が水平な状態から起上方向に駆動されるようになっている。
【0046】
上記背上げ床部6が所定の角度まで上昇した状態で、上記背上げスイッチ32の操作を止めれば、上記背上げ床部6はそのときの上昇角度で停止し、上記ウオーム15とウオームホイール18との噛み合いによってその状態が維持される。
【0047】
起上した上記背上げ床部6を倒伏させる場合、上記背下げスイッチ33を操作する。それによって、上記背下げスイッチ33の共通接点33aとオン接点33bが導通し、上記モータ12に先程と逆方向の電流が流れるから、上記モータ12の出力軸12aが反時計方向に回転駆動される。それによって、起上した上記背上げ床部6は倒伏方向に駆動されることになる。
【0048】
なお、詳細は図示しないが、上記背上げ床部6が設定された最大限の角度まで起上したときと、水平となる角度まで倒伏したときには、それぞれリミットスイッチが作動して上記モータ12への通電が遮断される。それによって、背上げスイッチ32や背下げスイッチ33を操作していても、上記背上げ床部6は駆動が停止されるようになっている。
【0049】
図4は上記電動アクチュエータ11を遠隔的に操作するためのコントローラ38であって、このコントローラ38には電源スイッチ39、上記背上げスイッチ32、上記背下げスイッチ33、及び上記解除スイッチ35が設けられている。この解除スイッチ35は上記コントローラ38だけでなく、図1に示すように上記フットボード3にも設けられている。そして、上記コントローラ38にはフック41が設けられ、このフック41によって上記コントローラ38を上記フットボード3や上記ヘッドボード2などに着脱可能に係止させることができるようになっている。
【0050】
上記コントローラ38には先端にコネクタ42を有するリード線43が接続され、上記コネクタ42が上記ベッド本体1の下面に設けられた制御装置44に接続されるようになっている。
【0051】
なお、上記解除スイッチ35は上記電動アクチュエータ11のケーシング14に設けたり、上記ベッド本体1の上記フットボード3側に位置する側面や下面に設けるようにしてもよい。つまり、上記解除スイッチ35は上記フットボード3側に設けるようにしてもよい。
【0052】
上記構成のベッド装置によれば、上記コントローラ38に設けられた電源スイッチ39をオンにした状態で、上記背上げスイッチ32を操作すれば、ベッド装置の背上げ床部6を上昇方向に起上させることができる。また、起上した背上げ床部6を倒伏させるためには、上記コントローラ38に設けられた背下げスイッチ33を操作すればよい。
【0053】
上記背上げ床部32を起伏操作する場合、図5に示すように解除スイッチ35はの状態にある。それによって、上記モータ12が設けられた駆動回路31が閉じられている。
【0054】
ところで、停電時、上記モータ12の故障時、或いはこのモータ12が設けられた駆動回路31が故障した場合など、上記コントローラ38の上記背上げスイッチ32や背下げスイッチ33を操作しても、上記背上げ床部6を動作させることができなくなる。
【0055】
そのような場合には、図6に示すように上記コントローラ38又は上記フットボード3に設けられた上記解除スイッチ35を操作し、上記モータ12が設けられた駆動回路31を開放する。
【0056】
そして、手動ハンドル27の先端に設けられた軸状部28を、上記ケーシング14に形成された筒状部19に挿入し、その先端の突起部28aを上記ねじ軸17の上記末端に形成された係合部17aに係合させる。
【0057】
ついで、上記手動ハンドル27を回転させることで、上記ねじ軸17を連動させる。このねじ軸17の回転方向によって上記背上げ床部6を起上方向或いは倒伏方向に駆動することができるから、起上状態にある上記背上げ床部6或いは倒伏状態にある上記背上げ床部6を所望する方向へ手動によって作動させることができる。
【0058】
上記手動ハンドル27によって上記ねじ軸17を回転させる際、上記解除スイッチ35をオフに操作したことで、上記モータ12が設けられた駆動回路31が開放されている。そのため、上記手動ハンドル27によって上記ねじ軸17を回転させることで、このねじ軸17の回転によって上記モータ12の出力軸12aが回転させられても、その回転による上記モータ12の発電作用によって電磁ブレーキ作用が生じることがない。
【0059】
したがって、上記手動ハンドル27による上記ねじ軸17の回転操作、つまり手動による上記背上げ床部6の起伏操作を軽い力で容易に行なうことができる。
【0060】
上記解除スイッチ35は上記コントローラ38と上記フットボード3の両方に設けられている。そのため、上記手動ハンドル27によって上記背上げ床部6を起伏操作するとき、上記解除スイッチ35の操作を容易に行なうことができる。とくに、上記手動ハンドル27による操作はフットボード3側で行なうことになるから、上記解除スイッチ35がフットボード3に設けられていることによって、上記背上げ床部6の手動での起伏操作を容易に行なうことが可能となる。
【0061】
上記コントローラ38の上記背上げスイッチ32或いは上記背下げスイッチ33を操作して背上げ床部6を起上方向或いは倒伏方向に駆動している際、上記解除スイッチ35をオフにすれば、上記駆動回路31が開放されるから、上記モータ12への通電を遮断することができる。
【0062】
そのため、上記解除スイッチ35は上記背上げ床部6の駆動を緊急に停止する停止スイッチとしても利用することができる。たとえば、上記ベッド装置のフットボード3の近くにいる人が、倒伏する上記背上げ床部6に物が挟まれそうな状態や、床板体4上の利用者の手足が挟まれそうな状態に気付いたとき、上記解除スイッチ35を操作して上記背上げ床部6の動作を停止させることができる。
【0063】
図7は手動ハンドル27によって背上げ床部6を操作するときの流れを示す説明図である。つまり、手動ハンドル27によって背上げ床部6を操作するとき、解除スイッチ35が閉の状態で、駆動回路31に通電されていると、手動ハンドル27によってねじ軸17を回転させると、モータ12に電子ブレーキが生じる。したがって、手動ハンドル27の操作が重くなり、操作性が悪くなる。
【0064】
一方、手動ハンドル27によって背上げ床部6を操作するとき、解除スイッチ35が開の状態で、駆動回路31への通電が遮断されていると、手動ハンドル27によってねじ軸17を回転させても、モータ12に電子ブレーキが生じることがない。したがって、手動ハンドル27の操作を軽い力で容易に行なうことができる。
【0065】
この発明は上記一実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。たとえば、床板体の床部を2つに分割し、そのうちの背上げ床部だけを起伏駆動する構成を例に挙げて説明したが、上記床板体を固定床部の他に、2つの脚床部、腰床部及び背上げ床部の合計で5つの床部に分割し、上記背上げ床部の他に上記脚床部を起伏駆動する構成であってもよい。
【0066】
その場合、上記背上げ床部を駆動するモータと、上記脚床部を駆動するモータが別の場合があるが、その場合には各モータの駆動回路にそれぞれ上記解除スイッチを設けるようにすればよい。
【0067】
また、上記背上げ床部や上記脚床部を駆動する電動アクチュエータの構造は、背上げ床部や脚床部などの可動床部を起伏駆動することができる構成であればよく、要はモータによって可動床部を起伏駆動させることができない場合に、手動ハンドルを用いて上記可動床部を起伏させる構成であれば、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…ベッド本体、2…ヘッドボード、3…フットボード、4…床板体、6…背上げ床部(可動床部)、11…電動アクチュエータ、12…モータ、13…駆動機構、27…手動ハンドル、31…駆動回路、32…背上げスイッチ、33…背下げスイッチ、35…解除スイッチ、38…コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7