(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アイドラギアが前記ロータリーダンパーの前記ギア部に連結された状態において、前記開口部に挿通された前記アイドラギアの前記回転軸は、前記第2支点部の鉛直下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記開閉ユニットの前記回動動作における軸方向と交差する断面視において、前記ユニット側支持部は、前記開閉ユニットの重心位置よりも前方に配置されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、画像読取装置の開動作時にはダンパー装置をアーム部材から離間させ、閉動作時にダンパー装置をアーム部材に係合させる。このため、ダンパー装置を移動させる保持部材が必要となり、画像読取装置を開閉させる開閉装置が大型化するとともに、部品点数が増大するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、開閉ユニットを装置本体に対して開放可能とするともに、簡易な構成によって閉動作時の開閉ユニットの移動速度を低下させた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、上面部を備える装置本体と、前記装置本体に配置され、シートに画像を形成する画像形成部と、前記装置本体の前記上面部に装着され、前記上面部に軸支された第1支点部を備え、前記第1支点部よりも前方部分が前記第1支点部を支点として上下に回動することによって前記装置本体に対する閉止姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更が可能な開閉ユニットと、前記第1支点部よりも前方において前記装置本体と前記開閉ユニットとの間に介在され、前記装置本体に回転可能に軸支された第2支点部と前記開閉ユニットを下方から支持するユニット側支持部とを備え、前記開閉ユニットの前記開閉動作に伴って前記第2支点部回りに回動するリンク部と、前記装置本体に固定され、前記リンク部に連結されることで前記リンク部の前記第2支点部回りの回動動作を緩衝する緩衝部と、前記開閉ユニットの前記開放姿勢から前記閉止姿勢への姿勢変更において、前記リンク部を前記緩衝部に連結し、前記開閉ユニットの前記閉止姿勢から前記開放姿勢への姿勢変更において、前記リンク部を前記緩衝部から脱離させる連結切替部と、を有し、前記緩衝部は、前記装置本体に回転可能に支持され、ギア部を含み、予め回転負荷が付与されたロータリーダンパーであり、前記連結切替部は、前記リンク部に固定され、前記第2支点部回りに回転可能なセクターギアと、回転軸を備え、前記セクターギアに連結されるとともに前記ロータリーダンパーの前記ギア部に連結可能とされ、前記回転軸回りの回転によって前記ロータリーダンパーの前記回転負荷を前記セクターギアに付与するアイドラギアと、を備え、前記装置本体は、前記第2支点部の一端側を支持する第1リンク支持部と、前記アイドラギアの前記回転軸の一端がスライド移動可能に挿通される長穴形状の開口部からなり、かつ、前記回転軸の一端を回転可能に支持する第1アイドラギア支持部と、前記ロータリーダンパーを支持するダンパー支持部と、を一体に有する本体フレームと、前記本体フレームに着脱可能に固定される部材であって、前記第2支点部の他端側を支持する第2リンク支持部と、前記アイドラギアの前記回転軸の他端がスライド移動可能に挿通される長穴形状の開口部からなり、かつ、前記回転軸の他端を回転可能に支持する第2アイドラギア支持部と、を一体に有するとともに、前記ダンパー支持部によって支持された前記ロータリーダンパーをカバーする支持部材と、を備え、
前記開閉ユニットの前記開放姿勢から前記閉止姿勢への姿勢変更に伴って
、前記セクターギアが前記第2支点部回りに第1の方向に回転し、前記セクターギアから前記アイドラギアに伝達される回転力によって、前記アイドラギアが前記開口部に沿って第3の方向にスライド移動することで、前記連結切替部が前記アイドラギアを前記ロータリーダンパーの前記ギア部に連結させ、前記開閉ユニットの前記閉止姿勢から前記開放姿勢への姿勢変更に伴って
、前記セクターギアが前記第2支点部回りに前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転し、前記セクターギアから前記アイドラギアに伝達される回転力によって、前記アイドラギアが前記開口部に沿って前記第3の方向とは反対の第4の方向にスライド移動することで、前記連結切替部が前記アイドラギアを前記ロータリーダンパーの前記ギア部から脱離させることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、開閉ユニットは第1支点部を支点として回動することで、閉止姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更し、装置本体に対して開放可能とされる。そして、第1支点部よりも前方において装置本体と開閉ユニットとの間に介在されたリンク部が開閉ユニットを支持する。この際、緩衝部はリンク部の第2支点部回りの回動動作を緩衝する。このため、リンク部を介して開閉ユニットの開閉動作が好適に緩衝される。連結切替部は、開閉ユニットの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更に伴って、緩衝部にリンク部の回動動作を緩衝させる。この結果、開閉ユニットの閉止時に作業者の安全が確保される。一方、連結切替部は、開閉ユニットの閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更に伴って、緩衝部によるリンク部の回動動作の緩衝を阻止する。この結果、作業者による開閉ユニットの開放動作が容易に実現される。また、上記の構成によれば、緩衝部を移動させる必要がないため、簡易な構成によって閉動作時の開閉ユニットの移動速度を低下させることができる。
【0010】
また、本構成によれば、リンク部に固定されたセクターギアとロータリーダンパーとの間にアイドラギアが配置される。そして、アイドラギアがロータリーダンパーのギア部に対して接離することによって、緩衝部とリンク部との連結の切換が好適に実現される。
【0012】
また、本構成によれば、開閉ユニットの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更に伴うセクターギアの回転を利用して、アイドラギアをロータリーダンパーのギア部に連結させることができる。
【0014】
また、本構成によれば、開閉ユニットの閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更に伴うセクターギアの回転を利用して、アイドラギアをロータリーダンパーのギア部から脱離させることができる。
【0015】
上記の構成において、前記アイドラギアが前記ロータリーダンパーの前記ギア部に連結された状態において、前記開口部に挿通された前記アイドラギアの前記回転軸は、前記第2支点部の鉛直下方に配置されることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、開閉ユニットの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更時に、アイドラギアとロータリーダンパーのギア部との連結を安定して維持することができる。
【0017】
上記の構成において、前記リンク部の前記ユニット側支持部は、前記開閉ユニットに回転可能に軸支され、前記リンク部は、前記ユニット側支持部回りに回動可能な第1リンク部材と、前記第2支点部回りに回動可能な第2リンク部材と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材との間に配置されるリンク支点部と、を備え、前記第2リンク部材が前記第2支点部回りに回動し、かつ、前記第1リンク部材が前記前記リンク支点部と支点として前記第1リンク部材に対して回動することで、前記開閉ユニットが前記閉止姿勢と前記開放姿勢との間で姿勢変更することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、ユニット側支持部は開閉ユニットに対して回転可能に軸支される。そして、開閉ユニットの開閉動作が、リンク部の第1リンク部材と第2リンク部材との屈伸動作によって、好適にガイドされる。
【0019】
上記の構成において、前記開閉ユニットの前記回動動作における軸方向と交差する断面視において、前記ユニット側支持部は、前記開閉ユニットの重心位置よりも前方に配置されることが望ましい。
【0020】
本構成によれば、開閉ユニットの自重がロータリーダンパーに付与されることが可及的に抑制される。このため、ロータリーダンパーのブレーキ効果が効率的に発現され、開閉ユニットの閉動作時に開閉ユニットの移動速度が確実に低下される。
【0021】
上記の構成において、前記ロータリーダンパーは、内部にオイルが充填されることで、前記回転負荷が付与されていることが望ましい。
【0022】
本構成によれば、簡易なロータリーダンパーの構成によって、開閉ユニットの開閉動作の緩衝が実現される。
【0023】
上記の構成において、前記開閉ユニットは、上面に原稿が載置される原稿載置台と、前記原稿載置台に載置された前記原稿の画像を読み取る読取部と、を含むことが望ましい。
【0024】
本構成によれば、開閉ユニットが原稿載置台および読取部を備え、開閉ユニットの重量が増大する場合であっても、開閉ユニットの閉止時に作業者の安全が確保される。また、精密部品を含む開閉ユニットに閉止時の衝撃がかかることが抑制される。
【0025】
上記の構成において、前記開閉ユニットは、前記原稿載置台に前記原稿を搬送する自動原稿搬送ユニットを更に含むことが望ましい。
【0026】
本構成によれば、開閉ユニットが自動原稿搬送ユニットを備え、開閉ユニットの重量が更に増大する場合であっても、開閉ユニットの閉止時に作業者の安全が確保される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、開閉ユニットを装置本体に対して開放可能とするともに、簡易な構成によって閉動作時の開閉ユニットの移動速度を低下させた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。また、
図2は、画像形成装置1の上部筐体200Cの斜視図である。
図3は、
図1に示される画像形成装置1の下部筐体200Aの内部構造を概略的に示す断面図である。
図4は、上部筐体200Cの開放姿勢を示す斜視図である。
図1乃至
図4に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
【0030】
画像形成装置1は、下部筐体200A(装置本体)と、上部筐体200C(開閉ユニット)とを備える。
【0031】
下部筐体200Aは、画像形成装置1の下方部分に配置され、略立方体形状からなる。下部筐体200Aは、上面部200A1を備える。下部筐体200Aは、内部にシートSに画像を形成するための様々な装置を収容する。また、下部筐体200Aは、本体フレーム100(
図4)を備える。本体フレーム100は、下部筐体200Aの骨格部分であり、金属製のフレームからなる。本体フレーム100は、略立方体形状を備える。本体フレーム100は、右フレーム101と左フレーム102(
図4)とを備える。右フレーム101および左フレーム102は、それぞれ本体フレーム100の左右の側壁である。右フレーム101は、上部フレーム101Aを備える。上部フレーム101Aは、右フレーム101の前後方向の中央部において、右フレーム101の上端縁から上方に向かって突設されるフレーム部分である。上部フレーム101Aは左右方向に面して配置される。上部フレーム101Aは、後記のリンク部6を介して上部筐体200Cを支持する。
【0032】
上部筐体200Cは、下部筐体200Aの上面部200A1に装着される。上部筐体200Cは扁平状の直方体形状からなる。上部筐体200Cは、筐体支点部21(
図4)(第1支点部)を備える。筐体支点部21は、下部筐体200Aの本体フレーム100に軸支される。そして、上部筐体200Cのうち筐体支点部21よりも前方部分が筐体支点部21を支点として上下に回動することによって、上部筐体200Cは、下部筐体200Aに対して閉止姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更が可能とされる。
【0033】
上部筐体200Cは、コンタクトガラス200D(原稿載置台)と、読取ユニット200B(読取部)と、自動原稿搬送ユニット3とを含む。コンタクトガラス200Dの上面には原稿が載置される。読取ユニット200Bは、コンタクトガラス200Dに載置された原稿の画像を読み取る。
【0034】
自動原稿搬送ユニット3(ADF)は、上部筐体200Cのコンタクトガラス200Dに対して、開放可能とされる。自動原稿搬送ユニット3の後端部を支点として、自動原稿搬送ユニット3の前方部分が上方に開放される。なお、自動原稿搬送ユニット3の前記支点は、上部筐体200CのADF支点部23(
図4)に軸支される。自動原稿搬送ユニット3の開状態において、前記コンタクトガラス200D上に固定原稿が載置される。また、閉状態において、自動原稿搬送ユニット3は、原稿を前記コンタクトガラス200D上の不図示の画像読取位置に搬送する。自動原稿搬送ユニット3は、原稿トレイ30と、原稿搬送部31と、原稿排紙部32とを備える。原稿トレイ30には、原稿が載置される。原稿搬送部31は、原稿トレイ30に載置された原稿を前記画像読取位置に搬送した後、原稿排紙部32に排出する。
【0035】
更に、上部筐体200Cは、操作部5を備える。操作部5は、上部筐体200Cの前面部から前方に向かって突設される。操作部5は、表示部50を含む。表示部50には種々の画像形成情報が表示される。本実施形態では、前後方向において、操作部5の前端部は、下部筐体200Aの後記の前壁250よりも後方に配置される。また、操作部5は、後記の胴内排紙部210の上方に間隔をおいて配置される。
【0036】
下部筐体200Aおよび上部筐体200Cによって囲まれる領域に、胴内排紙空間が形成される。該胴内排紙空間の底面は、後記の胴内排紙部210によって画定される。
【0037】
下部筐体200Aは複数の外壁によって画定される。下部筐体200Aは、下部筐体200Aの前方部分の上面を規定する上壁201と、下部筐体200Aの底面を規定する底壁220(
図3)と、上壁201と底壁220との間で立面する背面壁230(
図3)と、背面壁230とは反対側に立面する前壁250と、を含む。下部筐体200Aは、各種の装置が配置される本体内部空間260(内部空間)を備える。
【0038】
下部筐体200Aの上壁201の中央部には、胴内排紙部210が配置される。胴内排紙部210は、上壁201の前方部分から後方部分にかけて下方に傾斜した傾斜面からなる。胴内排紙部210には、後記の画像形成部120において、画像が形成されたシートSが排出される。前述の上部筐体200Cは、胴内排紙部210の上方に間隔をおいて配置される。また、前壁250の上下方向の中央部には、手差しトレイ240が配置される。手差しトレイ240は、下端を支点として、上下に回動可能である(
図3の矢印D1)。手差しトレイ240の上端側が下方に回動されると、下部筐体200Aに形成された開口部290が開放される。開口部290は、下部筐体200Aの本体内部空間260に連通する。使用者は、開口部290を介して、下部筐体200Aの本体内部空間260に収容された様々な装置にアクセスすることができる。手差しトレイ240が上方に回動すると、開口部290は閉じられる。この結果、使用者の不必要な本体内部空間260へのアクセスは防止される。
【0039】
画像形成装置1は、カセット110と、ピックアップローラー112と、第1給紙ローラー113と、第2給紙ローラー114と、搬送ローラー115と、レジストローラー対116と、画像形成部120とを備える。
【0040】
カセット110は、内部にシートSを収容する。カセット110は、シートSを支持するリフト板111を備える。リフト板111は、シートSの先頭縁を押し上げるように傾斜する。
【0041】
ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートSはカセット110から引き出される。
【0042】
第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設される。第1給紙ローラー113は、シートSを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ240の支点付近に配設される。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ240上のシートSを下部筐体200A内に引き込む。使用者は、カセット110に収容されたシートS、または手差しトレイ240の上に載置されたシートSを選択的に使用することができる。
【0043】
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114の下流に配設される。搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートSを更に下流へ搬送する。
【0044】
レジストローラー対116は、搬送方向のシートの位置を規定する。これにより、シートS上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
【0045】
画像形成部120は、下部筐体200Aの本体内部空間260に配置される。画像形成部120はシートに画像を形成する。画像形成部120は、感光体ドラム121と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置124と、トナーコンテナ125と、転写ローラー126と、クリーニング装置127とを備える。
【0046】
感光体ドラム121は、円筒体の形状を有する。感光体ドラム121は、周面に静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー画像を担持する。帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。該レーザー光は、画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータといった外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、照射される。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0047】
現像装置124は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124へトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124に順次又は必要に応じてトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成されることとなる。転写ローラー126は、感光体ドラム121の周面に当接するように、回転可能に配設される。レジストローラー対116から搬送されたシートSが、感光体ドラム121と転写ローラー126との間を通過するときに、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像が、シートSに転写される。
【0048】
クリーニング装置127は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置127によって、清浄化された感光体ドラム121の周面は、再度、帯電器122の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
【0049】
画像形成装置1は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に、シートS上のトナー画像を定着させる定着装置130を更に備える。定着装置130は、シートS上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートSを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。シートSが加熱ローラー131と圧力ローラー132との間を通過すると、トナー画像は、シートSに定着される。
【0050】
画像形成装置1は、定着装置130の下流に配設された複数の搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134(排出手段)と、を更に備える。シートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、下部筐体200Aから排出される。下部筐体200Aから排出されたシートSは、胴内排紙部210上に積み重ねられる。
【0051】
次に、
図4に加え、
図5乃至
図11を参照して、本実施形態に係る上部筐体200Cの開閉構造について詳述する。
図5は、本実施形態に係る上部筐体200Cの閉止姿勢を示す側面図である。
図6は、上部筐体200Cの開放姿勢を示す側面図である。また、
図7は、本実施形態に係る連結切替部7の側面図である。
図8は、本実施形態に係る上部フレーム101Aの側面図である。また、
図9および
図10は、連結切替部7の側面図である。なお、
図9は、上部筐体200Cの開放姿勢を示し、
図10は、上部筐体200Cの閉止姿勢を示す。
図11は、
図10の矢印で示す位置で連結切替部7が切断され、連結切替部7を上方から見た断面図である。
【0052】
画像形成装置1は、リンク部6(
図4)と、ロータリーダンパー72(
図7)(緩衝部)と、連結切替部7と、カバー部材106と、を備える。
【0053】
リンク部6は、筐体支点部21よりも前方において下部筐体200Aの本体フレーム100と上部筐体200Cとの間に介在される。詳しくは、リンク部6は、本体フレーム100の上部フレーム101Aと上部筐体200Cとの間に介在(架設)される。リンク部6は、下リンク支点部6A(第2支点部)と、上リンク支点部6B(ユニット側支持部)と、第1リンク61(第1リンク部材)と、第2リンク62(第2リンク部材)と、リンク節部63(リンク支点部)とを備える。本実施形態では、リンク部6は、上部筐体200Cの開閉動作に伴って下リンク支点部6A回りに回動する。そして、上部筐体200Cの開閉動作が、リンク部6の第1リンク61と第2リンク62との屈伸動作によって、好適にガイドされる。
【0054】
下リンク支点部6Aは、本体フレーム100の上部フレーム101Aに回転可能に軸支される。
図4に示される上部筐体200Cの開放姿勢において、下リンク支点部6Aは、リンク部6の下端部に配置される。上リンク支点部6Bは、上部筐体200Cを下方から支持するための支点部である。前記上部筐体200Cの開放姿勢において、上リンク支点部6Bはリンク部6の上端部に配置される。また、上リンク支点部6Bは、上部筐体200Cの前端部に配置されたリンク軸支部22(
図4)において回転可能に軸支されている。
【0055】
第1リンク61は、上リンク支点部6B回りに回動可能な部材である。第1リンク61は断面視で略コの字型形状をなすアーム部材である。また、第1リンク61は、後記のリンク節部63において第2リンク62と連設されている。
図4に示す上部筐体200Cの開放姿勢において、第1リンク61は、リンク部6の上端側に配置される。第2リンク62は、下リンク支点部6A回りに回動可能な部材である。第2リンク62は、略角柱形状からなる。第2リンク62は、リンク節部63において第1リンク61と連設されている。
図4に示す上部筐体200Cの開放姿勢において、第2リンク62は、リンク部6の下端側に配置される。リンク節部63は、第1リンク61と第2リンク62との間に配置される。詳しくは、リンク節部63は、第1リンク61の下端部であって第2リンク62の上端部に配置され、第1リンク61と第2リンク62とを連設する支点部である。
【0056】
本実施形態では、第2リンク62が下リンク支点部6A回りに回動し、かつ、第1リンク61がリンク節部63と支点として第2リンク62に対して回動することで、上部筐体200Cが閉止姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更する。また、上部筐体200Cが下部筐体200Aに対して開放姿勢とされると、下部筐体200Aから上壁201(
図3)が脱離可能とされる。そして、上壁201が脱離されると、トナーコンテナ125(
図3)が上下方向において下部筐体200Aに着脱可能とされる。このため、上部筐体200Cの開放姿勢において、トナーコンテナ125の交換が可能とされる。
【0057】
更に、
図4に示すように、リンク部6の下リンク支点部6Aは、本体フレーム100の右フレーム101から上方に突設された上部フレーム101Aに軸支されている。そして、本体フレーム100の上端縁のうち、上部フレーム101Aよりも前方部分は、下方に窪んだ形状を備える。なお、左フレーム102側も同様の形状を備える。この結果、前記窪んだ形状を利用して、
図3の上壁201および胴内排紙部210が形成される。換言すれば、前記右フレーム101の窪んだ形状によって、下部筐体200Aと上部筐体200Cとの間に上下方向に所定の間隔を形成することができる。また、上部筐体200Cの開放姿勢において、リンク部6よりも前方に空間が形成されているため、上記のような下部筐体200Aに対する作業時に、リンク部6が前記作業を妨げることがない。
【0058】
ロータリーダンパー72は、上部フレーム101Aに固定される。ロータリーダンパー72は、内部にオイルが充填されることで、予め回転負荷が付与されている。ロータリーダンパー72は、リンク部6に連結されることで、リンク部6の下リンク支点部6A回りの回動動作を緩衝するダンパーとして機能する。ロータリーダンパー72は、ギア部72Aを備える。ギア部72Aは、ロータリーダンパー72に対して回転可能に支持されている。ギア部72Aの回転に際して、ロータリーダンパー72の内部に充填され、粘性を備えたオイルが圧縮される。この結果、ギア部72Aの回転に負荷が付与される。本実施形態では、このような簡易なロータリーダンパー72の構成によって、上部筐体200Cの開閉動作の緩衝が実現される。
【0059】
連結切替部7は、上部フレーム101A周辺に配置される(
図4、
図7参照)。連結切替部7は、上部筐体200Cの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更に伴って、リンク部6をロータリーダンパー72に連結させる。また、連結切替部7は、上部筐体200Cの閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更において、リング部6をダンパーギア72から脱離させ、リンク部6とロータリーダンパー72との前記連結を解除する。連結切替部7は、セクターギア部64(セクターギア)と、アイドラギア71と、前述の上部フレーム101A(支持部)と、支持部材105(支持部)と、を備える。
【0060】
セクターギア部64は、
図7に示すように、リンク部6の第2リンク62に固定される。セクターギア部64は、下リンク支点部6Aを中心とした扇形形状からなり、セクターギア部64の外周部には、複数のギア歯が周方向に沿って配置されている。セクターギア部64は、第2リンク62とともに下リンク支点部6A回りに回転可能とされる。
【0061】
アイドラギア71は、上部フレーム101Aに回転可能に軸支されるギアである。なお、
図7および
図9では、アイドラギア71の周面のギア歯の図示が省略されている。アイドラギア71は、セクターギア部64の前記ギア歯と連結されている。また、アイドラギア71は、ロータリーダンパー72のギア部72Aと連結可能とされる。アイドラギア71は、ギアシャフト71Aを備える。ギアシャフト71Aは、アイドラギア71の回転における回転軸である。ギアシャフト71Aは、後記のとおりアイドラギア71から左右方向にそれぞれ突設されている。アイドラギア71は、ギアシャフト71A回りの回転によって、ロータリーダンパー72の回転負荷をセクターギア部64に付与する。なお、アイドラギア71のギアシャフト71Aは、後記の上部フレーム101Aの第1長穴101A2および支持部材105の第2長穴105Aに軸支されている。
【0062】
前述の上部フレーム101Aは、リンク部6の下リンク支点部6Aを回動可能に支持する。また、上部フレーム101Aは、アイドラギア71を回転可能に支持する。
図8に示すように、上部フレーム101Aは、第1リンク支持部101A1と、第1長穴101A2(開口部)と、本体側ダンパー支持部101A3とを備える。第1リンク支持部101A1は、リンク部6の下リンク支点部6Aを回転可能に軸支する孔部である。第1長穴101A2は、アイドラギア71のギアシャフト71Aが左右方向にスライド移動可能に挿通される長穴形状の開口部である。本体側ダンパー支持部101A3には、前述のロータリーダンパー72が固定装着される。本実施形態では、内部にオイルが含まれるダンパーギア72を移動させる必要がないため、ダンパーギア72周辺の構造が簡易に構成されるとともに、前記移動に伴う、オイルの漏れが好適に防止される。
【0063】
図10および
図11を参照して、支持部材105は、上部フレーム101Aの右方部分に装着される。この際、支持部材105のスナップフィット105T(
図11)が上部フレーム101Aと係合された後、スクリュー105S(
図10)によって支持部材105が上部フレーム101Aに固定される。支持部材105は、上部フレーム101Aとともに、リンク部6の下リンク支点部6Aおよびギアシャフト71Aを支持する機能を備えるプレートである。支持部材105は、第2長穴105A(開口部)と、第2リンク支持部105Bとを備える。第2長穴105Aは、第1長穴101A2と平行に開口され、アイドラギア71のギアシャフト71Aが左右方向にスライド移動可能に挿通される長穴形状の開口部である。第2リンク支持部105Bは、第1リンク支持部101A1とともに、リンク部6の下リンク支点部6Aを回転可能に軸支する孔部である。なお、
図4、
図7および
図9では、支持部材105の図示が省略されている。
【0064】
カバー部材106(
図6)は、支持部材105を右方から覆うカバーである。カバー部材106は、上部フレーム101Aの前方部分と略同じ形状を備える。
【0065】
次に、上部筐体200Cの姿勢変更に伴う、連結切替部7の動作について説明する。
図4、
図6および
図9に示される上部筐体200Cの開放姿勢では、リンク部6が上部筐体200Cを下方から支持している。前記上部筐体200Cの開放姿勢において作業者が上部筐体200Cの前端部分を把持し、上部筐体200Cを下方に回動させる(
図6の矢印D61)。この際、上部筐体200Cは、筐体支点部21を支点として回動する。上部筐体200Cの回動に伴って、リンク部6の第1リンク61および第2リンク62がリンク節部63を支点として屈曲し始める。このとき、第2リンク62が
図9の矢印D91で示すように回動する。そして、セクターギア部64が下リンク支点部6A回りに第1の方向(
図9の矢印D92)に回転するとともに、セクターギア部64と連結されるアイドラギア71が、
図9の矢印D93方向に回転する。この際、セクターギア部64からアイドラギア71に伝達される回転力によって、アイドラギア71が第1長穴101A2および第2長穴105Aに沿ってスライド移動する(
図11の矢印D111、第3の方向)。この結果、アイドラギア71がロータリーダンパー72のギア部72Aに連結される。そして、ロータリーダンパー72の回転負荷がアイドラギア71を介してセクターギア部64に付与される。したがって、リンク部6の下リンク支点部6A回りの回動が緩衝され、上部筐体200Cの下方への移動速度が低下される。その後、上部筐体200Cは、
図5および
図7に示されるように閉止姿勢とされる。
【0066】
一方、
図5および
図7に示される上部筐体200Cの閉止姿勢において、作業者が上部筐体200Cの前端部分を把持し、上部筐体200Cを上方に開放し始めると(
図7の矢印D71)、セクターギア部64が下リンク支点部6A回りに、前記第1の方向とは反対の第2の方向(
図7の矢印D72)に回転するとともに、セクターギア部64と連結されるアイドラギア71が、
図7の矢印D73方向に回転される。この際、セクターギア部64からアイドラギア71に伝達される回転力によって、アイドラギア71が第1長穴101A2および第2長穴105Aに沿って、上記の第3の方向とは逆方向(第4の方向)にスライド移動する(
図11の矢印D112)。この結果、アイドラギア71が、ロータリーダンパー72のギア部72Aから脱離される。すなわち、ロータリーダンパー72の回転負荷がアイドラギア71を介してセクターギア部64に付与されることがない。したがって、リンク部6の下リンク支点部6A回りの回動が緩衝されないため、上部筐体200Cの上方への回動負荷が低減される。換言すれば、ロータリーダンパー72による緩衝によって、上部筐体200Cの開放動作が妨げられることが抑止される。この結果、作業者による上部筐体200Cの開放動作が容易に実現される。その後、上部筐体200Cは、
図4、
図6および
図9に示される開放姿勢とされる。
【0067】
このように、本実施形態では、リンク部6を介して上部筐体200Cの開閉動作が好適に緩衝され、簡易な構成によって閉動作時の上部筐体200Cの移動速度を低下させることができる。この結果、上部筐体200Cの閉動作時に作業者の安全が確保される。
【0068】
また、本実施形態では、アイドラギア71がロータリーダンパー72のギア部72Aに対して接離することによって、ロータリーダンパー72とリンク部6との連結の切換が好適に実現される。そして、連結切替部7は、上部筐体200Cの前記開放姿勢から前記閉止姿勢への姿勢変更に伴って、アイドラギア71をロータリーダンパー72のギア部72Aに連結させる。更に、連結切替部7は、上部筐体200Cの閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更に伴ってアイドラギア71をロータリーダンパー72のギア部72Aから脱離させる。この際、上記の構成によれば、上部筐体200Cの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更に伴うセクターギア部64の回転を利用して、アイドラギア71をロータリーダンパー72のギア部72Aに連結させることができる。また、上部筐体200Cの閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更に伴うセクターギア部64の回転を利用して、アイドラギア71をロータリーダンパー72のギア部72Aから脱離させることができる。
【0069】
なお、
図7および
図10を参照して、本実施形態では、アイドラギア71がロータリーダンパー72のギア部72Aに連結された状態において、第1長穴101A2(
図8)および第2長穴105Aに挿通されたアイドラギア71のギアシャフト71Aは、下リンク支点部6Aの鉛直下方に配置されている(下リンク支点部6Aを通る鉛直線DL参照)。換言すれば、前記状態において、ギアシャフト71Aが下リンク支点部6Aの鉛直下方に配置されるように、予め第1長穴101A2および第2長穴105Aの前端縁が配置されている。このため、上部筐体200Cの開放姿勢から閉止姿勢への姿勢変更時に、アイドラギア71とロータリーダンパー72のギア部72Aとの連結を安定して維持することができる。
【0070】
また、
図4および
図6を参照して、本実施形態では、上部筐体200Cの回動動作における軸方向と交差する断面視(
図6)において、上リンク支点部6Bは、上部筐体200Cの重心位置WP(
図6)よりも前方に配置されている。このため、上部筐体200Cの自重(
図6の矢印D62)がロータリーダンパー72に付与されることが可及的に抑制される。この結果、ロータリーダンパー72のブレーキ効果が効率的に発現され、上部筐体200Cの閉動作時に上部筐体200Cの下方への移動速度が確実に低下される。換言すれば、上リンク支点部6Bが上部筐体200Cの重心WPよりも後方に配置されると、上部筐体200Cの自重の大部分がリンク部6を介してロータリーダンパー72に付与される。この結果、ロータリーダンパー72のブレーキ効果が低減されてしまい、上部筐体200Cの下方への移動速度が比較的低下しにくい。
【0071】
また、上記の実施形態によれば、上部筐体200Cがコンタクトガラス200D、読取ユニット200Bおよび自動原稿搬送ユニット3を備え、上部筐体200Cの重量が増大する場合であっても、上部筐体200Cの閉動作時に作業者の安全が確保される。また、精密部品を含む上部筐体200Cに閉動作時の衝撃がかかることが抑制される。
【0072】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0073】
(1)上記の実施形態では、リンク部6の上リンク支点部6Bは、上部筐体200Cに回動可能に支持される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上リンク支点部6Bは上部筐体200Cにおいて前後方向にスライド移動可能に支持されるものでもよい。この場合であっても、下リンク支点部6Aの回動がロータリーダンパー72によって緩衝されることによって、上部筐体200Cの閉動作時において、上部筐体200Cの下降する速度が好適に低減される。
【0074】
(2)また、上記の実施形態では、上部筐体200Cが読取ユニット200Bおよび自動原稿搬送ユニット3を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上部筐体200Cは、読取ユニット200Bのみを含む態様でもよく、また下部筐体200Aに対して開閉可能とされる他の筐体であってもよい。