(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態の現像装置2a〜2dを備えた画像形成装置1の構造について説明する。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、回転自在である感光体ドラム(像担持体)11a〜11dは、例えば有機感光層が形成された有機感光体(OPC感光体)やアモルファスシリコン感光層が形成されたアモルファスシリコン感光体が用いられ、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて配設される。各感光体ドラム11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
【0013】
現像装置2a〜2dは、感光体ドラム11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体ドラム11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面を一様に帯電させる。
【0014】
露光ユニット12は、パーソナルコンピューター等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体ドラム11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザー光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体ドラム11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザー光源から出射されたレーザー光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体ドラム11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザー光により、各感光体ドラム11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0015】
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
【0016】
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体ドラム11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(
図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。各一次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体ドラム11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して一次転写部を形成する。この一次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体ドラム11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。
【0017】
二次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して二次転写部を形成する。この二次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0018】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の二次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を二次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
【0019】
給紙カセット32は、画像形成装置1本体の外部(
図1の表面側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び捌きローラー33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
【0020】
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー対33cの手前で合流しており、レジストローラー対33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが二次転写部に搬送される。二次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された二次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を二次転写され、定着部18に搬送される。
【0021】
定着部18は、ヒーターにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを挟んで定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、トナー像が定着部18で定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙Pの裏面にも二次転写ローラー34でトナー像が二次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙Pは第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー対19により用紙排出部37に排出される。
【0022】
次に、
図2を参照して、現像装置2aの詳細構造について説明する。以下の説明では、
図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であるので、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
【0023】
図2に示すように、現像装置2は、現像ローラー(現像剤担持体)20と、磁気ローラー21と、規制ブレード24と、攪拌搬送部材42、及び現像容器22等により構成されている。
【0024】
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに仕切っている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、磁性キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌搬送部材42、磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラム11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0025】
現像ローラー20は、感光体ドラム11に対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム11の右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラム11に接近した対向位置において、感光体ドラム11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。攪拌搬送部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
【0026】
攪拌搬送部材42は、第1スパイラル(第1撹拌搬送部材)43と第2スパイラル(第2撹拌搬送部材)44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の右方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。
【0027】
第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(
図2の紙面表裏方向)の両端部分には、連通部(後述する上流側連通部22eおよび下流側連通部22f)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0028】
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌搬送部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、非磁性スリーブ21b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。非磁性スリーブ21bは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(
図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスを印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
【0029】
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアスに応じて、現像ローラー20に供給される。
【0030】
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0031】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、
図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0032】
現像バイアスを印加された現像スリーブ20cが
図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム11に飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム11上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム11上の静電潜像が現像される。
【0033】
次に、
図3を用いて、現像装置の攪拌部について詳しく説明する。
【0034】
現像容器22には、前述のように、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、仕切り部22bと、上流側連通部22eと、下流側連通部22fとが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出部(排出通路)22hと、上流側壁部22iと、下流側壁部22jとが形成されている。なお、第1搬送室22cにおいて、
図3の左側を上流側、
図3の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、
図3の右側を上流側、
図3の左側を下流側とする。従って、連通部及び側壁部は、第2搬送室22dを基準として、上流及び下流と呼称している。
【0035】
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の右側端部は、上流側壁部22iの内壁部とともに上流側連通部22eを形成し、一方、仕切り部22bの長手方向の左側端部は、下流側壁部22jの内壁部とともに下流側連通部22fを形成している。そして現像剤は、第1搬送室22c、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22f内を循環することが可能である。
【0036】
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(
図3の左側)の上部に形成される。
【0037】
現像剤排出部22h(排出通路)は、現像剤の補給によって、第1及び第2搬送室22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するための部分であり、第2搬送室22dの下流側(現像剤搬送方向下流側)で第2搬送室22dの長手方向に連続して円筒状に設けられている。
【0038】
第1搬送室22c内には第1スパイラル43が配設され、第2搬送室22d内には第2スパイラル44が配設されている。
【0039】
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aとを有する。また、第1螺旋羽根43aは、第1搬送室22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0040】
第2スパイラル44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。また、第2螺旋羽根44aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、上流側連通部22e及び下流側連通部22fに対向して設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0041】
また、回転軸44bには、第2螺旋羽根44aとともに、規制部52及び排出羽根(螺旋羽根)53が一体に配設されている。
【0042】
規制部52は、第2搬送室22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出部22hに搬送することを可能にするものである。規制部52は、回転軸44bに設けられる螺旋羽根からなり、第2螺旋羽根44aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根44aの外径と略同じで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部22j等の現像容器22の内壁部(内周面)と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が現像剤排出部22h側に移動することになる。
【0043】
回転軸44bは現像剤排出部22h内まで延びている。現像剤排出部22h内の回転軸44bの周面には排出羽根53が設けられている。なお、現像剤排出部22h内の回転軸44bと排出羽根53とによって、余剰現像剤を排出するための排出スクリューが構成されている。排出羽根53は、第2螺旋羽根44aと同じ方向を向く螺旋羽根からなるが、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外周(外径)が小さくなっている。回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出部22h内に搬送された余剰現像剤は、排出スクリュー(回転軸44b、排出羽根53)によって
図3の左側に送られて、後述する排出口65から現像容器22外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第2螺旋羽根44aは合成樹脂によって回転軸44bと一体に成型される。回転軸44bは樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0044】
また、現像剤排出部22hの外周面下部には、回収容器(図示せず)まで現像剤を搬送する搬送パイプ(図示せず)に連通する排出口(現像剤排出口)65(
図4参照)が形成されている。なお、本実施形態では、現像剤排出部22hの外周面には排出口65を開閉するシャッターは装着されていない。
【0045】
本発明の現像装置2では
図4に示すように、現像剤排出部22h内の排出口65よりも右側(現像剤排出方向上流側)の部分に、現像剤の排出を抑制する排出抑制部材(本実施形態では羽根大径部70)が設けられている。この排出抑制部材は、現像剤排出部22hの排出口65の近傍に設けられている。
【0046】
本実施形態では、排出抑制部材は、排出羽根53の外周面に1巻き以上設けられた羽根大径部70である。
図5に示すように、羽根大径部70の外周面と現像剤排出部22hの内周面との隙間L70a(例えば0.1mm〜0.3mm)は、排出羽根53の羽根大径部70が設けられていない部分の外周面と現像剤排出部22hの内周面との隙間L53a(例えば1mm)よりも小さい。なお、羽根大径部70の外周面と現像剤排出部22hの内周面との隙間L70aは無くてもよい。すなわち、羽根大径部70と現像剤排出部22hの内周面とが接触していてもよい。
【0047】
羽根大径部70は、排出羽根53と一体で形成されていてもよいし、排出羽根53とは別体で形成され排出羽根53の外周面(外周部)に固定されていてもよい。また、羽根大径部70は、排出羽根53と同じ材質で形成されていてもよいし、排出羽根53とは異なる材質で形成されていてもよい。なお、羽根大径部70の外周面を現像剤排出部22hの内周面に接触させる場合は、羽根大径部70は、排出羽根53や現像容器22よりも柔らかい材質(例えばエラストマー)を用いて形成されるのが好ましい。
【0048】
図3に示すように、現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43bに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車63は現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0049】
次に、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第1搬送室22c内にキャリアを含む現像剤が補給される。
【0050】
補給された現像剤は、第1搬送室22cから上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fと循環搬送しながら撹拌されるが、現像容器22内の余剰の現像剤は逆螺旋羽根52を乗り越えて現像剤排出部22hに搬送される。これによって、現像容器22には適量の現像剤が常に収容され、第2スパイラル44による磁気ローラー21への供給ムラが発生することなく、安定して均一に磁気ローラー21へ現像剤を供給することが可能となる。
【0051】
また、
図4に示すように、第2搬送室22d内には下流側連通部22fに対し現像剤搬送方向上流側に隣接してトナー濃度検知センサー81が配置されている。なお、
図4では第2スパイラル44がトナー濃度検知センサー81の手前側に位置するため、トナー濃度検知センサー81を破線で表示している。
【0052】
トナー濃度検知センサー81としては、現像容器22内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。トナー濃度検知センサー81により現像剤の透磁率が検出されると、その検出結果に相当する電圧値を制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度検知センサー81の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。
【0053】
また、第2スパイラル44には、トナー濃度検知センサー81に対向する部分にスクレーパー82が設けられている。スクレーパー82は、例えば基材となる可撓性のフィルムに不織布を積層したものが用いられ、第2スパイラル44の回転軸44bに形成されたスクレーパー支持部(図示せず)に回転軸44bに対し平行に貼り付けられている。回転軸44bの回転に伴いスクレーパー82が回転することで、トナー濃度検知センサー81の検知面が摺擦されて清掃されるとともに、センサー配置部における現像剤の滞留が促進される。
【0054】
本実施形態では、上記のように、現像剤排出部22h内の排出口65よりも現像剤排出方向上流側の部分には、現像剤の排出を抑制する排出抑制部材(羽根大径部70)が設けられている。これにより、現像剤排出部22h内を第2搬送室22d側から排出口65側に現像剤が移動するのを、排出抑制部材によって抑制することができる。このため、現像装置2を画像形成装置1本体に装着した状態で、或いは画像形成装置1本体とは別個に梱包した状態で輸送したとしても、輸送中の振動や衝撃等によって現像剤が排出口65から漏出するのを抑制することができる。
【0055】
また、現像装置2の排出口65を塞ぐシャッターを設けないので、画像形成装置1のセットアップ時にサービスマンがシャッターを開放する必要がない。このため、排出口65にシャッターを設ける場合に比べてセットアップ時の作業性を向上させることができる。また、サービスマンが排出口65を開放し忘れて排出口65付近で現像剤の逃げ場が無くなり現像剤圧が上昇してしまうこともない。
【0056】
また、上記のように、排出抑制部材は、現像剤排出部22h内の排出口65の近傍に設けられている。これにより、排出抑制部材と排出口65との間の距離を短くすることができるので、排出抑制部材よりも排出口65側に堆積する現像剤の量を少なくすることができる。このため、現像装置2を画像形成装置1本体に装着した状態で輸送する場合に、輸送中の振動や衝撃等によって排出口65と排出抑制部材との間に堆積した現像剤が排出口65から漏出するのをより抑制することができる。
【0057】
また、上記のように、排出抑制部材として、排出羽根53の外周面に1巻き以上設けられた羽根大径部70を設け、羽根大径部70の外周面と現像剤排出部22hの内周面との隙間L70aは、排出羽根53の羽根大径部70が設けられていない部分の外周面と現像剤排出部22hの内周面との隙間L53aよりも小さい。これにより、現像剤が排出抑制部材(羽根大径部70)を通過するのを容易に抑制することができるので、現像剤が排出口65から漏出するのを容易に抑制することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図8を参照して、本発明の第2実施形態の排出抑制部材について説明する。
【0059】
本発明の第2実施形態の排出抑制部材は
図6に示すように、上記第1実施形態とは異なり、現像容器22に固定されている。本実施形態の排出抑制部材は、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿って設けられたリング部材71である。リング部材71は
図7に示すように、現像剤排出部22hの内周面から排出スクリュー(回転軸44b、排出羽根53)に向かって突出するように設けられている。なお、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿って溝を形成し、その溝にリング部材71の外縁部を嵌め込むことによって、リング部材71を現像剤排出部22hに取り付けてもよい。また、リング部材71を現像容器22と一体で形成してもよい。
【0060】
リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、現像剤排出部22hのリング部材71が設けられていない部分の内周面と回転軸44bの周面との隙間L22hよりも小さい。
【0061】
また、
図8に示すように、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、排出羽根53の外周面と回転軸44bの周面との間の距離(回転軸44bの周面に対する排出羽根53の突出高さ)L53bよりも小さくてもよい。すなわち、リング部材71と排出羽根53とが接触してもよい。ただし、リング部材71の内周面は、回転軸44bの周面から所定の距離を隔てて配置されている(回転軸44bに接触していない)ことが好ましい。
【0062】
また、リング部材71は、現像容器22と同じ材質で形成されていてもよいし、現像容器22とは異なる材質で形成されていてもよい。なお、リング部材71を排出羽根53に接触させる場合は、リング部材71は、排出羽根53よりも柔らかい材質(例えばエラストマー)を用いて形成されるのが好ましい。
【0063】
第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0064】
本実施形態では、上記のように、排出抑制部材として、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿ってリング部材71を設け、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、現像剤排出部22hのリング部材71が設けられていない部分の内周面と回転軸44bの周面との隙間L22hよりも小さい。これにより、現像剤が排出抑制部材(リング部材71)を通過するのを容易に抑制することができるので、現像剤が排出口65から漏出するのを容易に抑制することができる。
【0065】
また、上記のように、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、排出羽根53の外周面と回転軸44bの周面との間の距離L53bよりも小さくてもよい。すなわち、回転軸44bの軸方向から見て、排出抑制部材(リング部材71)と排出羽根53とは互いに重なって(オーバーラップして)、隙間がなくてもよい。この場合、現像剤が排出抑制部材(リング部材71)を通過するのをより抑制することができるので、現像剤が排出口65から漏出するのをより抑制することができる。
【0066】
また、上記のように、リング部材71の内周面は、回転軸44bの周面から所定の距離を隔てて配置されている。これにより、余剰現像剤の排出時に、リング部材71が現像剤排出の妨げになるのを抑制することができる。
【0067】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
(第3実施形態)
次に、
図9〜
図11を参照して、本発明の第3実施形態の排出抑制部材について説明する。
【0069】
本発明の第3実施形態の排出抑制部材は
図9に示すように、羽根大径部70とリング部材71とによって構成されている。本実施形態では
図10に示すように、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、羽根大径部70の外周面と回転軸44bの周面との間の距離(回転軸44bの周面に対する羽根大径部70の突出高さ)L70bよりも小さい。
【0070】
また、
図11に示すように、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、排出羽根53の外周面と回転軸44bの周面との間の距離L53bよりも小さくてもよい。
【0071】
第3実施形態のその他の構造は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0072】
本実施形態では、上記のように、排出抑制部材として、羽根大径部70とリング部材71とを設ける。この場合にも、上記第1および第2実施形態と同様、現像剤が排出口65から漏出するのを容易に抑制することができる。また、リング部材71の内周面と回転軸44bの周面との隙間L71は、羽根大径部70の外周面と回転軸44bの周面との間の距離L70bよりも小さい。すなわち、回転軸44bの軸方向から見て、2つの排出抑制部材(リング部材71および羽根大径部70)は、互いに重なって(オーバーラップして)、隙間がなくてもよい。この場合、現像剤が排出抑制部材(リング部材71および羽根大径部70)を通過するのをより抑制することができるので、現像剤が排出口65から漏出するのをより抑制することができる。
【0073】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
次に、
図12および
図13を参照して、本発明の第4実施形態の排出抑制部材について説明する。
【0075】
本発明の第4実施形態の排出抑制部材は
図12に示すように、上記実施形態とは異なり、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿って設けられた磁性体72である。磁性体72は、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿って形成された溝に嵌め込まれている。
なお、磁性体72は、排出スクリュー(回転軸44b、排出羽根53)に接触しない範囲で、現像剤排出部22hの内周面から突出していてもよい。
【0076】
図13に示すように、現像剤排出部22h内の磁性キャリアは、磁性体72によって拘束されてブラシ状になる。そして、その磁気ブラシ(磁性キャリア)90によって磁性体72と排出スクリュー(回転軸44b、排出羽根53)との隙間が埋められる(隙間が小さくなる)。
【0077】
第4実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
本実施形態では、上記のように、排出抑制部材として、現像剤排出部22hの内周面に周方向に沿って磁性体72を設ける。これにより、磁性体72により磁性キャリアが拘束され、その磁性キャリアによって磁性体72と排出スクリューとの隙間が埋められる(隙間が小さくなる)。このため、現像剤が排出抑制部材(磁性体72)を通過するのを容易に抑制することができるので、現像剤が排出口65から漏出するのを容易に抑制することができる。
【0079】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
例えば、上記実施形態では、本発明は
図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ等の、現像剤排出口が形成された排出通路を含む現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、現像装置2にシャッターを設けない例について示したが、本発明はこれに限らず、現像装置2の現像剤排出部22hの外周面に、排出口65を開閉するシャッターを装着してもよい。
【0083】
また、上記第1、第2、第4実施形態では、羽根大径部70、リング部材71または磁性体72を1つずつ設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、羽根大径部70、リング部材71または磁性体72を複数設けてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。