特許第5970511号(P5970511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970511
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】はんだごてのこて先クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/02 20060101AFI20160804BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B23K3/02 H
   B23K1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-187273(P2014-187273)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-59925(P2016-59925A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2015年7月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年6月17日 ジェステック カンパニー リミテッドに販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000234339
【氏名又は名称】白光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】柾木 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−002561(JP,A)
【文献】 特開2013−000800(JP,A)
【文献】 特開2010−075981(JP,A)
【文献】 特開2008−254057(JP,A)
【文献】 特開2008−161938(JP,A)
【文献】 特開平08−192264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/02
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
こて先を有するはんだごてのこて先クリーニング装置であって、
ケーシングと、
前記ケーシングに対し電気的に絶縁状態を維持して、当該ケーシングに回転可能に保持される導電性の回転ブラシと、
前記回転ブラシを駆動するモータと、
前記モータに給電する給電回路と、
前記回転ブラシと導通して前記回転ブラシに電圧を印可しているとともに、接地側が絶縁されている検出ラインと、
前記給電回路に接続され、前記はんだごての前記こて先が前記回転ブラシに接触することで前記検出ラインが前記こて先の接地側に接続されて通電することにより、前記モータの給電回路を閉じるスイッチ手段と
を備えていることを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだごてのこて先クリーニング装置において、
前記検出ラインに接続され、前記こて先の抵抗値を検出する検出回路と、
前記検出回路に接続され、前記こて先の抵抗値の検出結果を報知する報知手段と
をさらに備えていることを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のはんだごてのこて先クリーニング装置において、
前記回転ブラシは、二つ一組にして並置されており、
前記検出ラインを各回転ブラシと電気的に接続する結線部材を備えている
ことを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のはんだごてのこて先クリーニング装置において、
前記二つ一組の回転ブラシにそれぞれ設けられ、互いに噛合する一対のギアをさらに備え、
前記結線部材は、前記一対のギアを互いに噛合する方向に寄せるブレーキワイヤである
ことを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のはんだごてのこて先クリーニング装置において、
前記回転ブラシを前記はんだごてに臨ませる開口を前記ケーシングに形成するマウス部と、
前記マウス部の輪郭に沿って前記マウス部に設けられ、前記こて先を前記回転ブラシにガイドする絶縁性ガイドと
をさらに備えているはんだごてのこて先クリーニング装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のはんだごてのこて先クリーニング装置において、
前記検出ラインと前記はんだごての接地側とが接続されているときに、操作信号を出力する操作ラインと、
前記スイッチ手段に設けられ、前記操作信号により発光する発光素子と、前記発光素子の光を受光して信号を出力する受光素子とを有するフォトカプラと
をさらに備え、前記スイッチ手段は、前記フォトカプラの前記受光素子が出力した信号に基づいて前記給電回路を閉じるように構成されている
ことを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだごてのこて先クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだごてのこて先クリーニング装置は、手作業で操作されるはんだごてのこて先に、はんだやフラックスの酸化物等、付着物が焼き付いた場合、これら付着物を除去する装置である。一般的なこて先クリーニング装置は、はんだごてのこて先を拭き取る金属製のウェブを受け皿に配置している。ユーザは、このウェブにこて先をこすりつけて、付着物を除去するようにしている。
【0003】
ところで、ウェブが金属製であることから、はんだごてとウェブとを電気的に接続し、所定の検査を行うように構成された装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、ウェブにリーク検査機を電気的に接続し、こて先とウェブとが接続したときに、こて先からのリーク電流を検出できるように構成されている。
【0004】
一方、受け皿に配置されるウェブに代えて、モータで駆動される回転ブラシまたはクリーナを採用し、はんだごてが所定の位置に装着されたことを検出して上記モータを自動駆動するように構成された装置も提案されている。例えば、特許文献2には、はんだごてのこて先を挿入する筒状の鏝立てと、鏝立ての内部に配置されるリミットスイッチと、リミットスイッチの接続により駆動されるモータと、このモータに駆動されて回転するクリーナとを備えた装置が開示されている。この特許文献2の装置では、この鏝立てにこて先が所定ストロークまで挿入された場合に、リミットスイッチがこて先に接続されてモータが作動し、クリーナが回転するように構成されている。さらに、特許文献3には、モータで駆動されるクリーナと、クリーナを収容するケーシングと、ケーシングの開口部を開閉するシャッタと、シャッタが開閉するときの移動を利用して接続されるリミットスイッチとを備えた装置を開示している。シャッタは、通常は、開口部を閉じており、クリーニング時に、こて先によって押し込まれることにより、開口部を開くように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254057号公報
【特許文献2】実開平02−32367号公報
【特許文献3】特許第3153813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、専らリーク電流の検出が実施されるのみであり、ブラシを駆動することはできない。
【0007】
一方、特許文献2の構成では、はんだごてを鏝立てに挿入するときのストロークに基づいて、はんだごてを検出しているため、確実にリミットスイッチを作動させるためには、はんだごての長さがリミットスイッチの設置場所に適合している必要があった。そのため、はんだごての長さが異なる場合には、はんだごての種類に応じて多種類の鏝立てを用意する必要がある。その結果、汎用性が乏しくなり、はんだごての多様化が要請されている現在では、製品化や実施が困難になっている。
【0008】
また、特許文献3の構成では、リミットスイッチを駆動するためにはんだごてのこて先でシャッタを開く必要がある。そのため、付着物がシャッタにも付着してしまい、シャッタの作動性が悪くなるという懸念がある。また、シャッタにこて先を押し当てる必要があるので、こて先が損傷しやすくなるという恐れもある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、回転ブラシを採用し、この回転ブラシを駆動するモータをはんだごてのクリーニング時に自動駆動可能な構成において、汎用性が高く、しかもこて先に負荷をかけることなく自動的にモータを駆動することのできるはんだごてのこて先クリーニング装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、こて先を有するはんだごてのこて先クリーニング装置であって、ケーシングと、前記ケーシングに対し電気的に絶縁状態を維持して、当該ケーシングに回転可能に保持される導電性の回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するモータと、前記モータに給電する給電回路と、前記回転ブラシと導通して前記回転ブラシに電圧を印可しているとともに、接地側が絶縁されている検出ラインと、前記給電回路に接続され、前記はんだごての前記こて先が前記回転ブラシに接触することで前記検出ラインが前記こて先の接地側に接続されて通電することにより、前記モータの給電回路を閉じるスイッチ手段とを備えていることを特徴とするはんだごてのこて先クリーニング装置である。この態様では、検出ラインを回転ブラシに接続している。検出ラインには検査用の電圧が印加されている。しかしながら、検出ラインは接地側とは絶縁しており、回転ブラシも電気的に絶縁された状態で支持されている。そのため、回転ブラシがこて先に接触せずに、回転ブラシの絶縁性が維持されている状態では、検出ラインに電圧を印可しても、検出ラインが通電されることはない。一方、こて先が回転ブラシに接触すると、回転ブラシを介してこて先の接地側と検出ラインとが導通する。よって、検出ラインには、印加電流が流れる。この印加電流に基づいて、スイッチ手段は、給電回路を閉じる。このように、本態様では、はんだごてのこて先が接地されていることを利用し、こて先が回転ブラシに接触したときに、検出ラインが通電されて、スイッチ手段が給電回路を閉じる。この結果、はんだごての長さに拘わらず、はんだごてを検出することができ、こて先クリーニング装置の汎用性を高めることが可能となる。また、従来通り、回転ブラシにこて先を接触させるだけで給電回路を閉じることができる。したがって、こて先に大きな負荷をかけることなく、モータを駆動することができる。
【0011】
好ましい態様のこて先クリーニング装置において、前記検出ラインに接続され、前記こて先の抵抗値を検出する検出回路と、前記検出回路に接続され、前記こて先の抵抗値の検出結果を報知する報知手段とをさらに備えている。この態様では、こて先のクリーニング時にこて先の抵抗値を同時に検出し、その結果を報知することができるので、ユーザは、こて先の交換要否等を判断することが可能になる。
【0012】
好ましい態様のこて先クリーニング装置において、前記回転ブラシは、二つ一組にして並置されており、前記検出ラインを各回転ブラシと電気的に接続する結線部材を備えている。この態様では、二つ一組の回転ブラシを並置することによって、より確実にクリーニングを実行することができる。また、二つ一組の回転ブラシのそれぞれが結線部材で検出ラインと接続されているので、検出回路と回転ブラシとを接続する接続構造の信頼性が高くなる。
【0013】
好ましい態様のこて先クリーニング装置において、前記二つ一組の回転ブラシにそれぞれ設けられ、互いに噛合する一対のギアをさらに備え、前記結線部材は、前記一対のギアを互いに噛合する方向に寄せるブレーキワイヤである。この態様では、各回転軸が、ブレーキワイヤとして機能する結線部材によって径方向に寄せられるので、一対のギアのバックラッシや寸法公差等に起因するがたつきが回転時に吸収され、各回転軸は、スムーズに回転する。よって、駆動時の騒音や振動を低減することができる。また、上記がたつきを吸収することができるので、各部の寸法公差を比較的大きく設定することができる。そのため、厳密な寸法精度が不要となり、製造や組立が容易になる。
【0014】
好ましい態様のこて先クリーニング装置において、前記回転ブラシを前記はんだごてに臨ませる開口を前記ケーシングに形成するマウス部と、前記マウス部の輪郭に沿って前記マウス部に設けられ、前記こて先を前記回転ブラシにガイドする絶縁性ガイドとをさらに備えている。この態様では、絶縁性ガイドによって、はんだごてとケーシングとの絶縁性が確保された状態で、こて先を回転ブラシに導きやすくなり、操作性が向上する。
【0015】
好ましい態様のこて先クリーニング装置において、前記検出ラインと前記はんだごての接地側とが接続されているときに、操作信号を出力する操作ラインと、前記スイッチ手段に設けられ、前記操作信号により発光する発光素子と、前記発光素子の光を受光して信号を出力する受光素子とを有するフォトカプラとをさらに備え、前記スイッチ手段は、前記フォトカプラの前記受光素子が出力した信号に基づいて前記給電回路を閉じるように構成されている。この態様では、簡単な半導体素子に基づいて、検出回路やスイッチ手段を構成することができるので、比較的廉価に装置の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、一般的なはんだごてのこて先が接地されていることを利用し、こて先の接地側に通電することによって、スイッチ手段の物理的な変位を伴わずにはんだごてを検出し、給電回路を閉じることが可能となるので、汎用性を高めることができ、しかもこて先に負荷をかけることなく高い信頼性を発揮することができるという顕著な効果を奏する。
【0017】
本発明のさらなる特徴、目的、構成、並びに作用効果は、添付図面と併せて読むべき未満の詳細な説明から容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の一形態に係るこて先クリーニング装置の斜視図である。
図2図1のこて先クリーニング装置、はんだごて、および本体装置を配置した平面略図である。
図3図1のこて先クリーニング装置の断面図である。
図4図1のこて先クリーニング装置の動力伝達系統の要部を示す分解斜視図である。
図5図1のこて先クリーニング装置の要部を示す分解斜視図である。
図6図1のこて先クリーニング装置の前箱からマウスキャップを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7図1のこて先クリーニング装置のマウスキャップの外観を裏面側から示す斜視図である。
図8図1のこて先クリーニング装置の配線図である。
図9図8の要部を拡大して示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0020】
まず、図1図3を参照して、本実施形態に係るこて先クリーニング装置1は、はんだごて2の本体装置3と併設され、同時に使用されるように構成されている。はんだごて2は、電気的に接地側と接続されている導電性のこて先21を有する。こて先クリーニング装置1は、主として、こて先21が電気的に接地されている導電性材料で構成されたはんだごて2を好適な対象とする装置である。
【0021】
こて先クリーニング装置1は、ケーシング100を備える。ケーシング100は、下ケーシング110と、上ケーシング111とを有する。各ケーシング110、111は、何れも前後に長く延びる平面視略長方形の立方体である。各ケーシング110、111は、板金部材を組み合わせて箱型に構成されている。
【0022】
下ケーシング110の前面には、一対のLED101、102と、トグルスイッチ103とが設けられている。一対のLED101、102のうち、一方のLED101は、緑色に発光し、他方のLED102は、赤色に発光するランプを構成する。これら、LED101、102は、こて先21の抵抗値の検出結果を報知する報知手段の一例である。トグルスイッチ103は、こて先クリーニング装置1の運転モードを後述する自動運転モードと手動運転モードとの何れか一方に切り換えるために用いられる。また、下ケーシング110の後部には、電源ユニット104が内蔵されている(図3参照)。電源ユニット104は、電源コード105を備えており、給電側の電源コンセントに接続して、給電されるように構成されている。さらに、電源ユニット104には、コンセント106(図8参照)が設けられており、このコンセント106に本体装置3の電源コード4を接続して、本体装置3に給電できるように構成されている。また、下ケーシング110の底部には、基板107と、変圧器108とが前方からこの順番に配置され、固定されている。
【0023】
上ケーシング111は、前後方向後端側に配置される後箱112と、後箱の前方に配置される内箱113と、前箱114とを有する。
【0024】
図1、並びに図3図5を参照して、後箱112は、オプション装置を装備するための機械室等を区画する部位である。なお、具体的には図示していないが、後箱112の側部には、はんだごて2を立てかける公知の鏝ホルダが取り付けられる。
【0025】
内箱113は、内部に仕切板115を有し、この仕切板115によって、後部のモータ室116と、前部のギア室117に仕切られている。
【0026】
モータ室116には、モータ台118を介してモータ119が取り付けられている。モータ119の回転軸120は、仕切板115を貫通し、前方のギア室117内に延びている。
【0027】
ギア室117内には、モータ119の回転軸120に固定される駆動ギア121が配置されている。駆動ギア121は、ギア室117に配置された第1の平ギア122に噛合している。第1の平ギア122は、その側部に配置された第2の平ギア123に噛合している。平ギア122、123は、仕切板115の前面側で左右に並んで配置され、互いに噛合している。したがって、モータ119が駆動されると、駆動ギア121が所定の方向(正面からみて反時計回り)に駆動される。よって、駆動ギア121に噛合する第1の平ギア122は、逆向き(正面からみて時計回り)に回転する一方、第1の平ギア122に噛合する第2の平ギア123は、駆動ギア121と同一方向に駆動されることになる。
【0028】
各平ギア122、123は、金属製の回転軸124をそれぞれ同心に有する。各回転軸124は、仕切板115に対し、電気的に絶縁された状態で仕切板115に回転可能に軸支されている。従って各平ギア122、123は、ケーシング100(内箱113)に対し、電気的に絶縁されている。回転軸124は、小径部125と、小径部125の前方に連続する大径の連結スリーブ128とを同心に一体に有している。小径部125は、平ギア122、123のボス部の内周に圧入される。ボス部と後述する軸受130の後端面との間には、環状の隙間Sが形成される。
【0029】
両回転軸124間には、上記環状の隙間S内に下側から入り込むブレーキワイヤ126が配置される。ブレーキワイヤ126は、両端部がチューブで絶縁されている。ブレーキワイヤ126の両端を支持するため、内箱113の仕切板115には、各平ギア122、123の両外側から前方に突出するトラスボルト127が取り付けられている。トラスボルト127の外周には、スペーサ140が配置されている。トラスボルト127は、スペーサ140の全長で規定される長さだけ、仕切板115から前方に突出している。ブレーキワイヤ126の両端部分(チューブが固着されている部分)は、スペーサ140の上に載置され、ブレーキワイヤ126の中間部分は、環状の隙間Sにて両回転軸124の前方にある大径の連結スリーブ128に圧接している。これにより、ブレーキワイヤ126は、連結スリーブ128を介して平ギア122、123を上向きに付勢している。この上向きの付勢力により、ブレーキワイヤ126を各連結スリーブ128に組み付けると、連結スリーブ128に連続する両回転軸124が互いに引き寄せられ、平ギア122、123間のバックラッシや組付け時のがたつきが吸収される。ブレーキワイヤ126は、後述する検出ライン172を各回転ブラシと電気的に接続する結線部材の一例である。
【0030】
内箱113の前端壁129には、軸受130が取り付けられている。軸受130は、絶縁性材料からなり、回転軸124の連結スリーブ128の外周を受けるスリーブ部と、スリーブ部分の前端に一体形成されたフランジ部とを同心に有している。スリーブ部は、前端壁129から対応する平ギア122、123のボス部の近傍まで後方に延びて、上記環状の隙間Sを形成しつつ、連結スリーブ128の外周を軸支している。フランジ部は、前端壁129の前面に当接している。さらに、スリーブ部には、図略の止め輪が嵌合している。止め輪は、前端壁129の背面に固定される。そして、この止め輪とフランジ部とによって前端壁129を挟み込むことにより、軸受130は、堅固に前端壁129に止定されている。これにより、軸受130は、連結スリーブ128の軸方向の移動を規制し、且つ連結スリーブ128を電気的に絶縁した状態で、連結スリーブ128を回転可能に支持している。
【0031】
回転軸124の連結スリーブ128は、それぞれ軸受130を介して前端壁129を貫通し、前端壁129の前方に突出している。連結スリーブ128の軸受130よりも前方には、止めねじ131が設けられている。止めねじ131は、連結スリーブ128の先端内周部に装着される回転ブラシ132を固定するためのものである。
【0032】
回転ブラシ132は、一対の連結スリーブ128のそれぞれに対し、ひとつずつ設けられ、二つ一組にして左右に並べられている。別の態様では、各回転ブラシ132を上下に配置してもよい。各回転ブラシ132は、円筒形状の刷毛体で具体化されている。各刷毛体は、軸部133の外周に固定されている。回転ブラシ132、および軸部133は、何れも耐蝕性の強い金属で形成された導電性部材である。
【0033】
また、図示の例では、回転ブラシ132は、概ね平ギア122、123と同じ直径に設定されて、それぞれが互いに幾分噛み合うように構成されている。また、組付時において、軸部133の後端は、連結スリーブ128内に挿入され、連結スリーブ128を介して対応する回転軸124と連結される。これにより、回転ブラシ132と回転軸124とは、機械的且つ電気的に接続されるように構成される。本実施形態において、回転軸124と、この回転軸124の一部である連結スリーブ128を介して当該回転軸124に連結される軸部133とは、対応する平ギア122、123を機械的、電気的に対応する回転ブラシ132に連結する軸体134を構成している。
【0034】
図5に示すように、内箱113の側部には、一対の側板135が設けられている。各側板135は、内箱の側部を天板136とともに遮蔽している。一方の側板135には、電源スイッチ137が取り付けられている。
【0035】
各側板135は、前側部分の上部が切り欠かれているガイド部138を有している。各ガイド部138は、前端壁129から下ケーシング110の前端部分まで延びている。各ガイド部138は、上方部分において、各回転ブラシ132を開放した状態で、次に説明する前箱114のガイド部材を構成する。
【0036】
図5および図6を参照して、前箱114は、ガイド部138の内面に沿って、前後に挿抜される箱型の板金部材である。前箱114は、平面視四角形の底板141と、底板141の両側部に延設される一対の側板142と、底板141の後端縁に延設される後端板143と、底板141の前端縁に延設される前端板144とを一体に備える。
【0037】
側板142には、前方下部近傍部分に、ナット孔145が形成されている。ガイド部138には、前端部分にそれぞれ挿通孔139が形成されており、前箱114をガイド部138間に収めたときに、ナット孔145が挿通孔139に対向する。そして、この挿通孔139を介して、化粧ねじ146をナット孔145に螺合することにより、前箱114は、ガイド部138に固定される。図示の実施形態において、各側板142の上縁には、水平に延びる庇148が設けられている。庇148は、幅方向において、所定の長さに延び且つ、前箱114の上部中央部分を前後に開放している。したがって、前箱114がガイド部138間に取り付けられているとき、庇148、148間の隙間が二つ一組の回転ブラシ132、132の対向部分を開放する。
【0038】
後端板143は、底板141、側板142、および前端板144とともに、前箱114の底部に受け皿147を形成する構造体である。後端板143は、装着時に回転ブラシ132との干渉を回避できるように低く設定されており、前箱114の後部を広く開放している。
【0039】
前端板144は、概ね側板142の上部まで延びて、前箱114の前部を覆う構造体である。前端板144の上部は、中央が下向きに湾曲するように窪むマウス部149を形成している。マウス部149は、庇148、148間の隙間と連通し、はんだごて2を前箱114内に挿抜するための開口155を区画する。はんだごて2は、この開口155を通して、各回転ブラシ132の転動部分に臨むことができる。マウス部149には、マウスキャップ150が取り付けられている。マウスキャップ150は、こて先21を回転ブラシ132にガイドする絶縁性ガイドの一例である。
【0040】
図5図6および図7を参照して、マウスキャップ150は、絶縁性の高い耐熱性樹脂で構成されている。マウスキャップ150は、前端板144の前面に接合する前端部151と、前端部の後部に配置され、前端板144の背面に接合する背端部152と、前端部151と背端部152との上縁を接続する接続部153とを一体に有している。前端部151および背端部152の上縁は、それぞれマウス部149の輪郭に沿ったC字形の湾曲部材である。また、接続部153は、上記輪郭に沿って、前端部151と背端部152とを滑らかに繋いでいる。マウスキャップ150の横断面は、前端部151、接続部153、背端部152が、全体として下向きに開くチャネル形状を呈している。マウスキャップ150は、この断面形状をマウス部149の外縁に沿わせて弾性的に止定し、マウス部149を被覆している。接続部153の上部には、リブ154が一体に設けられている。リブ154は、接続部の153の上面に沿って下向きに湾曲している。
【0041】
図1に示すように、組付時において、マウスキャップ150のリブ154は、はんだご2のクリーニング時に、はんだごて2の下部を支持し、ガイドするガイド部材である。ユーザは、庇148とともにマウス部149によって区画される開口155から、はんだごて2を回転ブラシ132、132間に挿入し、こて先21をリブ154の上にのせた状態でクリーニング作業を行うことができる。
【0042】
図2に示すように、はんだごて2は、上記こて先21と、こて先21の内部に収容されるヒータ22とを有している。こて先21は、接地ライン23を介して、本体装置3の接地ライン24に接続されている。ヒータ22は、本体装置3の給電ライン31に接続されている。
【0043】
本体装置3は、給電ライン31からヒータ22に給電する給電ユニット32を備えている。給電ユニット32は、図略の電源装置や制御装置を含む。電源装置は、上記電源コード4を有する。電源コード4は、こて先クリーニング装置1のコンセント106に接続されている。また、給電ユニット32の制御装置は、電源装置からの給電を制御する。
【0044】
次に、図8および図9を参照して、こて先クリーニング装置1の回路構成について説明する。ここで、図8に示すように、本実施形態の電源は、単相3線式配線になっており、図では3本一組の配線のうち、中央の配線が接地ラインになっている。
【0045】
電源ユニット104には、上記電源コード105と接続される給電線160が配線されている。給電線160は、電源ユニット104の内部でこて先クリーニング装置1側とはんだごて2側との間で分岐している。給電線160のはんだごて2側は、コンセント106と接続されている。給電線160のこて先クリーニング装置1側には、給電コード161が接続されている。
【0046】
給電コード161は、変圧器108の一次側に接続されている。給電コード161の変圧器108よりも上流側には、給電線162、163が分岐している。給電線162、163は、モータ119に接続されて、電源ユニット104等とともに、モータ給電回路164を構成している。モータ給電回路164は、モータ119に給電する給電回路の一例である。一方の給電線162は、トグルスイッチ103のa接点と接続されている。このa接点は、トグルスイッチ103が手動運転モードに切り換えられたときに閉じる。そのため、電源スイッチ137(図1図5参照)が接続されているときにトグルスイッチ103が手動運転モードに切り換えられた場合、モータ119は、常時、回転する。なお、図8では省略されているが、電源スイッチ137は、電源ユニット104の給電線160に設けて、はんだごて2側の給電もON/OFFする構成にしてもよく、給電コード161に設けて、はんだごて2側には常時給電される構成を採用してもよい。
【0047】
一方、変圧器108の二次側は、基板107と接続されている。変圧器108の二次側からは、例えば9Vの電圧が基板107に印可される。
【0048】
基板107は、複数の電装品を備えている。基板107には、はんだごて2の抵抗値を検出する検出回路170と、スイッチ回路171とが設けられている。スイッチ回路171は、給電用a接点T1、T2(図9参照)を含んでいる。一方の給電線162は、トグルスイッチ103のa接点と並列に、基板107の給電用a接点T1、T2(図9参照)に接続されている。スイッチ回路171は、二次側の検出回路170の出力に基づき、一次側のモータ給電回路164をON/OFFするスイッチ機能を奏する。
【0049】
次に、各回路170、171の詳細について説明する。
【0050】
まず、検出回路170には、検出ライン172が接続されている。検出ライン172は、ブレーキワイヤ126と電気的に接続されている。検出回路170の検出ライン172には、所定電圧(例えば、25mVの電圧)が印可されているが、ブレーキワイヤ126や、このブレーキワイヤ126に引き寄せられている一対の回転軸124は、軸受130によって電気的に絶縁されているため、この検出ライン172を含む回路は、開いたままとなっている。そのため、上記絶縁状態が維持されている場合は、印加電流が検出ライン172に流れることはない。一方、仮に、はんだごて2のこて先21が回転ブラシ132と接触した場合、検出ライン172は、ブレーキワイヤ126から回転軸124、および回転ブラシ132を介してこて先21と電気的に導通し、こて先21の接地ライン23と接続される。これにより、検出ライン172には、印加電流が流れるので、検出回路170は、この印加電流に基づいて、はんだごて2のこて先21が接触していること、並びにこて先21から接地ライン23に至る抵抗値を検出することが可能となる。
【0051】
検出回路170は、操作ライン174を備えている。検出回路170は、検出ライン172に電流が流れているときに、スイッチ回路171に出力信号を出力するように構成されている。ここで、本実施形態においては、検出ライン172に電流が流れているときに、検出回路170が検出した抵抗値が予め設定された駆動抵抗値(例えば、70Ω)以下の場合に、操作ライン174に出力信号が出力されるように構成されている。上記駆動抵抗値を用いた構成は、安全対策として機能し得る。たとえば、何らかのもの(例えば、ユーザの指)が誤って回転ブラシ132に接触し、検出ライン172に印加電流が流れたとしても、抵抗値がはんだごて2において想定される範囲から外れている場合には、操作ライン174には電流が流れず、モータ119も駆動されることはない。例えば、人間の皮膚抵抗は、5000Ωであるため、人が誤って回転ブラシ132に接触したとしても、回転ブラシ132は、停止したままの状態になっており、安全性が確保される。また、印加電圧も低いので、人体に影響を与える恐れもない。
【0052】
また、検出回路170は、はんだごて2の抵抗値が、予め設定された設定値(例えば、2オーム)未満の場合には、一方のLED101のみを点灯し、上記設定値以上の場合には、他方のLED102のみを点灯するように構成されている。抵抗値が低い場合(LED101が点灯している場合)、ヒータ22からの漏れ電流や静電気などの不要な電荷は、こて先21から接地ライン23を経てACコンセントのアース端子に流れるため、素子への悪影響を避けることができる。一方、抵抗値が高い場合(LED102が点灯している場合)、こて先21が古くなって、こて先21とアースとの間の抵抗が高くなり、不要な電荷を充分にアースに逃すことができないことを示している。ユーザは、LED101、102の報知に基づいて、こて先21の適否を判定し、必要に応じて新品と交換する。
【0053】
図9に示すように、スイッチ回路171は、検出ライン172がこて先21の接地側に接続されて通電することにより、モータ給電回路164を閉じるスイッチ手段の一例である。スイッチ回路171は、フォトカプラ175と、双方向サイリスタ(トライアック)176とを含む電子部品で構成されている。
【0054】
フォトカプラ175は、発光素子177と受光素子178とを備える。発光素子177には、検出回路170の操作ライン174が接続されている。操作ライン174に電流が流れると、発光素子177が発光し、受光素子178が駆動される。また、フォトカプラ175の受光素子178は、双方向サイリスタ176に接続されている。
【0055】
図示の例において、双方向サイリスタ176は、スイッチ回路171の給電用a接点T1、T2と接続されている。受光素子178から信号が出力されると、双方向サイリスタ176は、給電用a接点T1、T2を接続する。よって、給電線162が導通される。この結果、本実施形態では、電源スイッチ137をONにして、トグルスイッチ103を自動運転モードに切り換えているときには、はんだごて2のこて先21が回転ブラシ132、132の何れかに接触した時点で、モータ119が自動的に給電されて作動し、回転ブラシ132、132を回転する機能を有する。なお、双方向サイリスタ176は、必須の要素ではない。例えば、直流電流を用いることができる場合、省略されてもよい。その場合には、フォトカプラ175の受光素子178を直接給電用a接点T1、T2に接続し、フォトカプラ175でスイッチ回路(スイッチ手段)を構成してもよい。
【0056】
以上のような構成では、こて先クリーニング装置1とはんだごて2の本体装置3とを作業台の適所に配置し、本体装置3の電源コード4をこて先クリーニング装置1のコンセント106に結線し、給電可能な状態とする。
【0057】
本体装置3は、給電ユニット32の制御により、はんだごて2のヒータ22を加熱する。これによりこて先21が加熱され、はんだを溶融してはんだ付け作業を行うことが可能となる。ユーザは、はんだごて2を把持し、こて先21にはんだを供給しながらはんだ付け作業を行う。
【0058】
はんだ作業を繰り返すことにより、余剰のはんだやフラックス等がはんだごて2に付着し、こて先21の濡れ性等が変化する。そこで、ユーザは、適宜、こて先21をこて先クリーニング装置1によって、クリーニングする。このクリーニング作業では、こて先21が、こて先クリーニング装置1の前箱114に移動され、庇148、148間から回転ブラシ132に向けて差し込まれる。
【0059】
この清掃作業に先立ち、ユーザは、トグルスイッチ103を操作して、こて先クリーニング装置1の運転モードを自動運転モードと手動運転モードとに切り換えることができる。
【0060】
ユーザがトグルスイッチ103を手動運転モードに切り換えている場合、一方のモータ給電回路164が閉じるので、モータ119は、常時回転する。したがって、セラミック製のこて先を有するはんだごてを用いている場合であっても、こて先のクリーニング作業をおこなうことができる。
【0061】
これに対し、トグルスイッチ103が自動運転モードに設定されている場合であって、回転ブラシ132がこて先と接触しておらず、回転ブラシ132の絶縁性が維持されているときは、トグルスイッチ103とスイッチ回路171のa接点が何れも開いているため、モータ119には、電力が供給されておらず、回転ブラシ132は、停止したままの状態になっている。また、検出ライン172には、所定電圧が印可されているが、ブレーキワイヤ126およびこのブレーキワイヤ126に引き寄せられている一対の回転軸124は、軸受130によって電気的に絶縁されているため、この検出ライン172を含む回路は、開いたままとなっている。
【0062】
自動運転モードにおいて、こて先21が回転ブラシ132のワイヤ体に接触すると、検出ライン172は、ブレーキワイヤ126から回転軸124、および回転ブラシ132を介してこて先21と電気的に導通し、こて先21の接地ライン23と接続される。これにより、検出ライン172に印加電流が流れ、検出回路170は、はんだごて2の抵抗値を検出することができる。はんだごて2の抵抗値が設定値未満の場合、検出回路170は、一方のLED101を点灯する。はんだごて2の抵抗値が上記設定値以上の場合、検出回路170は、他方のLED102を点灯する。
【0063】
検出回路170は、LED101またはLED102への出力と並行して、検出した抵抗値が駆動抵抗値(例えば、70Ω)以下であるか否かを判定する。抵抗値が駆動抵抗値を超えている場合、検出回路170は、操作ライン174を駆動しない。そのため、モータ119も停止したままの状態になっている。一方、抵抗値が駆動抵抗値以下の場合、検出回路170は、操作ライン174に通電し、スイッチ回路171に設けたフォトカプラ175の発光素子177を発光する。この結果、フォトカプラ175の受光素子178は、給電用a接点T1、T2を閉じる。これによって、一次側のモータ給電回路164が閉じ、モータ119に給電される。モータ119が給電されると、駆動ギア121から第1の平ギア122、第2の平ギア123の順にトルクが伝達され、各平ギア122、123、並びにこれら平ギア122、123に連結された回転軸124の連結スリーブ128を介して、回転ブラシ132が互いに逆向きに回転する。この結果、はんだごて2が回転ブラシ132に接触した時点で、回転ブラシ132が回転し、付着物が除去される。
【0064】
回転ブラシ132が回転している間、ユーザは、はんだごて2を前箱114のマウスキャップ150の上に載置し、適宜、はんだごて2を軸回りに回しながら、付着物を除去することができる。除去された付着物は、前箱114の受け皿147に捕集される。付着物が充分に除去されると、ユーザは、はんだごて2を前箱114から抜き出し、再びはんだ付け作業を行ったり、電源を落としてはんだ付け作業を終了したりする。
【0065】
はんだごて2のこて先21が回転ブラシ132から離れると、検出ライン172を含む回路が開き、検出ライン172の通電が停止する。この結果、検出回路170は、操作ライン174への通電を停止する。このため、スイッチ回路171に設けられたフォトカプラ175の発光素子177が停止し、受光素子178も出力を停止する。この結果、スイッチ回路171の双方向サイリスタ176は、給電用a接点T1、T2を開く。よって、モータ給電回路164が開き、給電が停止される。したがって、モータ119が停止して、回転ブラシ132も停止する。
【0066】
クリーニング作業において前箱114の受け皿147に捕集された付着物は、適宜、前箱114を取り外して除去される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査用の電圧(例えば、25mV)が印可されている検出ライン172を設け、この検出ライン172を回転ブラシ132に接続している。ここで、検出ライン172は接地側とは絶縁しており、回転ブラシ132も電気的に絶縁された状態で支持されている。そのため、単に回転ブラシ132がこて先21に接触せずに、回転ブラシの絶縁性が維持されている状態では、検出ライン172に電圧を印加しても、検出ライン172が通電されることはない。よって、モータ119は、停止しており、回転ブラシ132は、停止したままになっている。一方、こて先21が回転ブラシ132に接触すると、この回転ブラシ132を介して、こて先21の接地ライン23および本体装置3の接地ライン24と検出ライン172とが導通する。このため、検出ライン172に印加電流が流れる。この印加電流によって、スイッチ回路171は、モータ給電回路164を閉じる。このように、本実施形態では、はんだごて2のこて先21が接地されていることを利用し、こて先21が回転ブラシ132に接触したときに、検出ライン172が通電されて、スイッチ回路171がモータ給電回路164を閉じる。この結果、はんだごて2の長さに拘わらず、はんだごて2を検出することができる。よって、こて先クリーニング装置1の汎用性を高めることが可能となる。また、従来通り、回転ブラシ132にこて先21を接触させるだけでモータ給電回路164を閉じることができる。したがって、こて先21に大きな負荷をかけることなく、モータ119を駆動することができる。また、ケーシング100が金属製であるため、耐久性が向上し、付着物の処理等、メンテナンス性も向上する。
【0068】
また、本実施形態では、検出ライン172に接続され、こて先21の抵抗値を検出する検出回路170と、検出回路170に接続され、こて先21の抵抗値の検出結果を報知する報知手段としてのLED101、102をさらに備えている。具体的には、一対のランプ(LED101、LED102)を備え、はんだごて2のこて先21の抵抗値が所定値(例えば、2Ω)未満の場合には、一方のランプ(LED101)のみが点灯し、こて先21が好適な抵抗値を有していることを報知する。また、こて先の抵抗値が上記所定値以上の場合には、他方のランプ(LED102)のみが点灯し、こて先21が古くなっていることを報知する。このため本実施形態では、こて先21のクリーニング時にこて先21の抵抗値を同時に検出し、その結果を報知することができるので、ユーザは、こて先21の交換要否等を判断することが可能になる。なお、報知手段としては、LED等に代えて、液晶パネルを採用し、検出した抵抗値を表示できるように構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、回転ブラシ132は、二つ一組にして並置されており、検出ライン172を各回転ブラシ132と電気的に接続するブレーキワイヤ126を備えている。このため本実施形態では、二つ一組の回転ブラシ132を設けることによって、より確実にクリーニングを実行することができる。また、ブレーキワイヤ126で検出ライン172と回転ブラシ132とが接続されているので、検出回路170と回転ブラシ132とを接続する信頼性が高くなる。
【0070】
また、本実施形態では、二つ一組の回転ブラシ132にそれぞれ設けられ、互いに噛合する一対のギア122、123をさらに備え、ブレーキワイヤ126は、一対のギア122、123を互いに噛合する方向に寄せる機能を奏する。このため本実施形態では、各回転軸124がブレーキワイヤ126によって、径方向に寄せられるので、一対のギアのバックラッシや寸法公差等に起因するがたつきが回転時に吸収され、各回転軸124は、スムーズに回転する。よって、駆動時の騒音や振動を低減することができる。また、上記がたつきを吸収することができるので、各部の寸法公差を比較的大きく設定することができる。そのため、厳密な寸法精度が不要となり、製造や組立が容易になる。
【0071】
また、本実施形態では、回転ブラシ132をはんだごて2に臨ませる開口をケーシング100に形成するマウス部149と、マウス部149の輪郭に沿ってマウス部149に設けられ、こて先21を回転ブラシ132にガイドするマウスキャップ150とをさらに備えている。このため本実施形態では、マウスキャップ150によって、はんだごて2とケーシング100との絶縁性が確保された状態で、こて先21を回転ブラシ132に導きやすくなり、操作性が向上する。特に、マウスキャップ150にリブ154を設けているので、位置決めが容易になり、操作性が向上する。
【0072】
また、本実施形態では、検出ライン172とはんだごて2の接地側とが接続されているときに、操作信号を出力する操作ライン174と、スイッチ回路171に設けられ、操作信号により発光する発光素子177と、発光素子177の光を受光して信号を出力する受光素子178とを有するフォトカプラ175とをさらに備え、スイッチ回路171は、フォトカプラ175の受光素子178が出力した信号に基づいてモータ給電回路164を閉じるように構成されている。このため本実施形態では、簡単な半導体素子に基づいて、検出回路170やスイッチ回路171を構成することができるので、比較的廉価に装置の信頼性を高めることができる。
【0073】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 こて先クリーニング装置
2 はんだごて
100 ケーシング
104 電源ユニット
(給電回路の一要素例)
114 前箱
119 モータ
121 駆動ギア
122 第1の平ギア
123 第2の平ギア
126 ブレーキワイヤ
(結線部材の一例)
132 回転ブラシ
149 マウス部
150 マウスキャップ(絶縁性ガイドの一例)
155 開口
164 モータ給電回路
(給電回路の一要素例)
170 検出回路
171 スイッチ回路
172 検出ライン
174 操作ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9