(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部材は、前記第1の姿勢における前記下流側ガイド部が前記シートに押圧され前記支点部回りに回動することで、前記第2の姿勢に姿勢変更することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
前記ガイド部材の前記下流側ガイド部の前記搬送方向下流側端部は、前記第2ガイド部の前記搬送方向下流側端部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
前記搬送方向に沿った前記第1搬送部材から前記レジストローラー対までの距離は、前記搬送方向における前記シートの長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート搬送装置。
前記ガイド部材は、前記シートのシート面に当接する側端部を備え、前記湾曲面に沿って湾曲された円弧状の板状部材であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート搬送装置。
前記ガイド部材は、前記シートのシート面に当接する稜線を備え、前記湾曲面に沿って湾曲された三角柱形状からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート搬送装置。
前記ガイド部材は、自重によってもたらされる前記支点部回りの回転モーメントによって、前記第1の姿勢となることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシート搬送装置。
前記ガイド部材が前記第1の姿勢となるように、前記ガイド部材を前記支点部回りに付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシート搬送装置では、湾曲ガイドを回動させるための駆動モーターが必要となり、シート搬送装置が複雑化する。また、搬送されるシートの斜行量の検知結果に応じて、湾曲ガイドが回動されるため、シートの搬送速度によっては斜行補正が間に合わないという課題があった。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、シートの斜行を補正可能なシート搬送装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るシート搬送装置は、シートが搬送されるシート搬送路と、前記シートを搬送する第1搬送部材と、前記第1搬送部材によって搬送される前記シートを所定の方向向かってガイドする第1ガイド部と、湾曲面を備え、前記第1ガイド部によってガイドされた前記シートを前記湾曲面に沿ってガイドする第2ガイド部と、前記第2ガイド部よりも前記シートの搬送方向下流側に間隔をおいて配置され、前記シートの先端部が当接することで前記シートの斜行を補正するとともに、前記シートを更に搬送するレジストローラー対と、前記第2ガイド部と前記レジストローラー対との間に配置され、前記搬送方向上流側が前記第2ガイド部の前記搬送方向下流側端部に対して離間して配置され、かつ、前記レジストローラー対に向かって前記シート搬送路が狭くなるような傾斜形状からなり、前記レジストローラー対に向かって前記シートをガイドする第3ガイド部と、前記第2ガイド部のうち前記搬送方向と交差するシート幅方向の中央部において、前記湾曲面に沿って形成された溝部と、前記溝部に配置され、前記搬送方向に延びるガイド部材であって、前記シート幅方向に延設され、前記第2ガイド部に回転可能に支持される支点部と、前記支点部よりも前記搬送方向上流側に延びる上流側ガイド部と、前記支点部よりも前記搬送方向下流側に延びる下流側ガイド部と、を備え、前記支点部回りに回動可能なガイド部材と、を有し、前記ガイド部材は、少なくとも前記第1搬送部材によって搬送される前記シートの先端部が前記第2ガイド部に到達する前に、前記上流側ガイド部が前記シート搬送路から前記溝部の内部に没入し、前記下流側ガイド部が前記溝部から前記シート搬送路に突出した第1の姿勢と、前記シートの先端部が前記第2ガイド部の前記搬送方向下流側を通過する際に、前記下流側ガイド部が前記シート搬送路から前記溝部の内部に没入し、前記上流側ガイド部が前記溝部から前記シート搬送路に突出した第2の姿勢との間で姿勢変更が可能であり、前記シートの先端部が前記レジストローラー対に到達した後、前記第1の姿勢に姿勢変更することを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、シートは、第1ガイド部によってガイドされた後、第2ガイド部によってレジストローラー対に向かってガイドされる。シートの先端部がレジストローラー対に到達すると、第3ガイド部と第2ガイド部との段差において、シートにループが形成される。この結果、シートの斜行が補正される。更に、ガイド部材が支点部回りに回動されると、シートのシート面がガイド部材によって押圧され、湾曲面から浮き上がる。この結果、シートの動きの自由度が増し、シートにループが形成されやすくなる。したがって、シートの斜行補正が促進される。また、ガイド部材は、少なくともシートの先端部が第2ガイド部に到達する前に第1の姿勢をとるため、シートの先端部が安定して第2ガイド部によってガイドされる。
【0008】
上記の構成において、前記ガイド部材は、前記第1の姿勢における前記下流側ガイド部が前記シートに押圧され前記支点部回りに回動することで、前記第2の姿勢に姿勢変更することが望ましい。
【0009】
本構成によれば、シートが第2ガイド部の湾曲面によって安定してガイドされながら、ガイド部材が姿勢変更することが可能となる。
【0010】
上記の構成において、前記ガイド部材の前記下流側ガイド部の前記搬送方向下流側端部は、前記第2ガイド部の前記搬送方向下流側端部の近傍に配置されていることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、第3ガイド部と第2ガイド部との段差に連通するように、シートのループ形成領域を搬送方向上流側に拡大することができる。
【0012】
上記の構成において、前記搬送方向に沿った前記第1搬送部材から前記レジストローラー対までの距離は、前記搬送方向における前記シートの長さよりも短いことが望ましい。
【0013】
本構成によれば、第1搬送部材の搬送力によって、シートにループを形成することができる。
【0014】
上記の構成において、前記ガイド部材は、前記シートのシート面に当接する側端部を備え、前記湾曲面に沿って湾曲された円弧状の板状部材であることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、簡易な構成からなるガイド部材によって、シートの斜行を安定して補正することができる。
【0016】
上記の構成において、前記ガイド部材は、前記シートのシート面に当接する稜線を備え、前記湾曲面に沿って湾曲された三角柱形状からなることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、三角柱形状からなるガイド部材によって、シートのシート面を安定して押圧することができる。この結果、シートの斜行を安定して補正することができる。
【0018】
上記の構成において、前記ガイド部材は、自重によってもたらされる前記支点部回りの回転モーメントによって、前記第1の姿勢となることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、ガイド部材の重心配置によって、ガイド部材の基本姿勢を第1の姿勢とすることができる。
【0020】
上記の構成において、前記ガイド部材が前記第1の姿勢となるように、前記ガイド部材を前記支点部回りに付勢する付勢部材を備えることが望ましい。
【0021】
本構成によれば、付勢部材の付勢力によって、ガイド部材の基本姿勢を安定して第1の姿勢とすることができる。
【0022】
上記の構成において、前記シートとして第1のシートが収容されるシート収容部と、前記シート収容部から前記第1のシートを送り出す前記第1搬送部材と、第2のシートが載置されるシート載置部と、前記第3ガイド部と前記第2ガイド部の前記搬送方向下流側端部との間を介して、前記シート載置部に載置された前記第2のシートを前記レジストローラー対に向かって搬送する第2搬送部材と、を有するものでもよい。
【0023】
本構成によれば、第2ガイド部の搬送方向下流側端部において、第1のシートおよび第2のシートの搬送路を合流させることができる。
【0024】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の何れか1に記載のシート搬送装置と、前記レジストローラー対によって搬送された前記シートに、または、前記シートの原稿画像に応じて、画像を形成する画像形成部と、を有することを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、ガイド部材の姿勢変更によって、シートの動きの自由度が増し、シートにループが形成されやすくなる。したがって、シートの斜行補正が促進され、シートに安定して画像が形成される。また、シートが原稿の場合には、シートの原稿画像が安定して読み取られ、画像が形成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構成で、シートの斜行を補正可能なシート搬送装置、およびこれを備えた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の拡大断面図である。
図1に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機や画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
【0029】
画像形成装置1は、シートS(S1、S2)に画像を形成するための様々な装置を収容する装置本体10を備える。画像形成装置1は、給紙部2(シート搬送装置)と、画像形成部3とを備える。給紙部2は、画像形成部3に向かってシートSを搬送する。画像形成部3は、給紙部2から搬送されたシートSに画像を形成する。画像形成部3には、公知の電子写真技術が適用されており、不図示の感光体ドラム、現像装置、露光装置、転写装置および定着装置を含む。画像が形成されたシートSは装置本体10の上面部に配置された不図示の排紙部に排紙される。なお、画像形成部3は、公知のインクジェット技術などのように他の画像形成技術が適用されるものでもよい。
【0030】
給紙部2は、給紙カセット20(シート収容部)と、ピックアップローラー21と、給紙ローラー22(第1搬送部材)と、リタードローラー23と、を備える。
【0031】
給紙カセット20は、内部にシートS1(第1のシート)を収容する。給紙カセット20は、不図示のリフト板を備える。リフト板は、シートS1の先頭縁をピックアップローラー21に当接させる。給紙カセット20は、装置本体10に対して、前方に引き出し可能とされるとともに、後方に向かって装着される。
図1に示すように、給紙カセット20から画像形成部3に至るように、シートS1が搬送される主搬送路SP(シート搬送路)が延設されている。
図1に示す断面視において、主搬送路SPは、略U字形状からなる。
【0032】
ピックアップローラー21は、リフト板によって押し上げられたシートS1の先頭縁上に配置される。ピックアップローラー21は、回転駆動され、給紙カセット20に収容されたシートS1を前方に送り出す。給紙ローラー22は、ピックアップローラー21の下流側に配設される。給紙ローラー22は、回転駆動され、シートS1を更に下流に送り出す(搬送する)。リタードローラー23は、給紙ローラー22に対向して配置され、ピックアップローラー21によって送り出された複数枚のシートS1を捌く機能を備える。本実施形態では、リタードローラー23は、給紙カセット20に回転可能に支持されている。
【0033】
更に、給紙部2は、給紙ガイド24(第1ガイド部)と、湾曲ガイド25(第2ガイド部)と、下方ガイド26と、従動コロ27と、上方ガイド28(第3ガイド部)と、レジストローラー対29と、を備える。給紙ガイド24、湾曲ガイド25、下方ガイド26および上方ガイド28は、シートS1を案内するガイド機構である。
【0034】
給紙ガイド24は、給紙カセット20に配置される。給紙ガイド24は、給紙ローラー22に対向して配置される湾曲面であって、シートS1の搬送方向に沿って先上がりとなるように形成されている。給紙ガイド24は、給紙ローラー22によって搬送されるシートS1を上方(所定の方向)に向かってガイドする。なお、前述のリタードローラー23は、給紙ガイド24のシート幅方向(左右方向)の中央部に配置されている。
【0035】
湾曲ガイド25は、給紙ガイド24の上方に配置される。湾曲ガイド25は、湾曲面25A(
図2)を備える。湾曲ガイド25は、給紙ガイド24によってガイドされたシートS1を湾曲面25Aに沿って水平方向(後方)に向かってガイドする。湾曲ガイド25は、所定の厚みを備えた板状部材が湾曲された形状からなる。
【0036】
下方ガイド26は、湾曲ガイド25に対向して配置される。下方ガイド26は、湾曲ガイド25との間で主搬送路SPの一部を画定する。更に、下方ガイド26は、湾曲ガイド25よりもシートの搬送方向下流側において、上方ガイド28との間で主搬送路SPの一部を画定する。
【0037】
従動コロ27は、下方ガイド26の前端部において、回転可能に支持されている。従動コロ27は、主搬送路SPにおけるシートS1の搬送を促進する。
【0038】
上方ガイド28は、湾曲ガイド25および下方ガイド26の上方に配置される。また、上方ガイド28は、湾曲ガイド25とレジストローラー対29との間に配置され、レジストローラー対29に向かってシートS1をガイドする。なお、
図1に示すように、上方ガイド28の搬送方向上流側は、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部に対して上方に離間して配置されている。そして、上方ガイド28は、レジストローラー対29に向かって先下がりの傾斜形状からなる。上方ガイド28の傾斜によって、主搬送路SPは、レジストローラー対29に向かって徐々に狭くなるように設定されている。
【0039】
レジストローラー対29は、湾曲ガイド25よりもシートS1の搬送方向下流側に間隔をおいて配置されている。レジストローラー対29は、レジストローラー30と、従動ローラー31とを備える。レジストローラー対29の回転が停止された状態で、シートS1の先端部がレジストローラー30の周面に当接することで、シートS1の斜行が補正される。これにより、シートS1上に形成される画像の位置が調整される。また、レジストローラー対29は、画像形成部3における画像形成タイミングに合わせて回転駆動され、シートS1を画像形成部3に向かって搬送する。
【0040】
なお、前述の湾曲ガイド25は、
図1に示すように、給紙ガイド24、給紙ローラー22および従動コロ27の上方を覆うように配設されている。また、下方ガイド26は、従動コロ27よりも搬送方向上流側において、主搬送路SPのうち上下方向に延設される領域の後方部分を画定する。更に、下方ガイド26は、従動コロ27よりも搬送方向下流側において、レジストローラー対29に至るまで、主搬送路SPの水平方向に延設される領域の下方部分を画定する。
【0041】
また、給紙部2は、手差しトレイ32(シート載置部)と、トレイ支点部33と、手差し搬送路SQと、送出ローラー34(第2搬送部材)と、を備える。
【0042】
手差しトレイ32は、装置本体10の前側の壁部に回動可能に装着されている。手差しトレイ32には、シートS2(第2のシート)が載置される。トレイ支点部33は、手差しトレイ32の回動における支点である。手差し搬送路SQは、シートS2が搬送される搬送路であって、主搬送路SPの搬送方向下流側に連通している。送出ローラー34は、手差しトレイ32の後側であって、上方ガイド28の前側に配置されている。送出ローラー34は、回転駆動され、上方ガイド28と湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部との間を介して、シートS2をレジストローラー対29に向かって搬送する。
【0043】
なお、給紙カセット20の下方に他の給紙カセットが積層して配置される場合、当該他の給紙カセットから送り出されたシートは、給紙カセット20に形成された連通搬送路SRを介して、主搬送路SPに搬入される。
【0044】
前述のように、ピックアップローラー21および給紙ローラー22によって給紙カセット20から送り出されたシートS1は、Uターンするように主搬送路SPを搬送される。すなわち、シートS1は給紙ガイド24によって上方にガイドされた後、湾曲ガイド25に密着しながら湾曲ガイド25および従動コロ27によって後方に向かってガイドされる。シートS1の先端部は、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部から上方ガイド28に受け渡される。そして、シートS1の先端部は、上方ガイド28によってガイドされながら、レジストローラー対29のニップ部に到達し停止する。その後も、シートS1の後端部は更に給紙ローラー22によって搬送される。この結果、シートS1の先端側に
図1の破線で示すようなループが形成される。なお、このようなループの形成のために、シートS1の搬送方向に沿った給紙ローラー22からレジストローラー対29までの距離は、搬送方向におけるシートS1の長さよりも短く設定されている。また、給紙ローラー22とレジストローラー対29との間に回転駆動される他の搬送ローラーが配置される場合には、当該搬送ローラーからレジストローラー対29までの距離が、シートS1の長さよりも短く設定されればよい。
【0045】
本実施形態では、
図1に示すように、湾曲ガイド25の搬送方向下流側が、略水平方向に沿って、従動コロ27よりも搬送方向下流側まで延びている。この結果、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部から脱離したシートS1の先端部は、浅い角度で上方ガイド28に当接する。したがって、シートS1への負荷が低減される。換言すれば、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部が、従動コロ27よりも搬送方向上流側に配置された場合、シートS1は、より大きな角度で上方ガイド28に当接することとなる。
【0046】
一方、このように、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部が、レジストローラー対29に近い位置に配置されると、シートS1の先端部にループを形成するためのループ形成部RA(
図1)が小さくなる。この場合、シートS1の形成されるループも小さくなるため、シートS1の斜行(スキュー)を補正する効果が低減する。シートS1のスキュー補正効果を増大させるためには、給紙ローラー22の搬送能力を増大させればよいが、この場合、シートS1の先端部がレジストローラー対29のニップ部をすり抜けやすくなる。更に、シートS1のすり抜けを防止すべく、レジストローラー対29のニップ圧を増大させると、レジストローラー30の駆動負荷が増大し、高い出力トルクを備えた駆動モーターが必要となる。いずれの場合も、給紙部2および画像形成装置1のコストが増大する結果となる。このように、主搬送路SPのうち給紙カセット20からレジストローラー対29に至るまでの領域がU字形状からなる場合、シートS1の先端部にかかる負荷を低減させつつ、シートS1の斜行を精度よく補正することが課題となる。この際、給紙部2の大型化を抑制するために、簡易な構成で上記の課題を解決することが望ましい。
【0047】
上記のような課題を解決するために、本実施形態では、給紙部2が可動ガイドリブ50(ガイド部材)を備える。
図2は、本実施形態に係る給紙部2の一部を示した斜視図(A)、(B)である。
図3は、本実施形態に係る可動ガイドリブ50の姿勢を示す断面図(A)、(B)である。
図4は、給紙部2において、シートS1の斜行が補正される様子を示す模式的な上面図である。
図2(A)を参照して、前述の湾曲ガイド25は、溝部25Bを備える。溝部25Bは、湾曲ガイド25のうちシートS1の搬送方向と交差するシート幅方向(左右方向)の中央部において、湾曲面25Aに沿って形成された溝である。溝部25Bは、シート幅方向に所定の幅をもってシートS1の搬送方向に延びるように形成されている。
【0048】
可動ガイドリブ50は、シートS1の搬送方向に延びるように、溝部25Bに配置されている。可動ガイドリブ50は、シートS1のシート面に当接する側端部を備え、湾曲面25Aに沿って湾曲された円弧状の板状部材である。可動ガイドリブ50は、ガイド支点部51(支点部)と、入口側ガイド52(上流側ガイド部)と、出口側ガイド53(下流側ガイド部)とを備える。
【0049】
ガイド支点部51(
図2、
図3)は、可動ガイドリブ50からシート幅方向に延設された軸部であり、湾曲ガイド25に回転可能に支持されている。入口側ガイド52は、可動ガイドリブ50のうちガイド支点部51よりも搬送方向上流側に延びる部分である。出口側ガイド53は、可動ガイドリブ50のうちガイド支点部51よりも搬送方向下流側に延びる部分である。なお、
図2(A)に示すように、出口側ガイド53の搬送方向下流側端部は、湾曲ガイド25の搬送方向下流側端部(ガイド先端部25L)の近傍に配置されている。可動ガイドリブ50は、ガイド支点部51回りに回動可能とされる。
【0050】
可動ガイドリブ50は、少なくとも給紙ローラー22によって搬送されるシートS1の先端部が湾曲ガイド25に到達する前にとる第1の姿勢(
図2(A)、
図3(A))と、シートS1の先端部が湾曲ガイド25の搬送方向下流側を通過する際にとりうる第2の姿勢(
図2(B)、
図3(B))との間で姿勢変更が可能である。第1の姿勢では、可動ガイドリブ50の入口側ガイド52が主搬送路SPから溝部25Bの内部に没入し、出口側ガイド53が溝部25Bから主搬送路SPに(下方に)突出する。また、第2の姿勢では、可動ガイドリブ50の出口側ガイド53が主搬送路SPから溝部25Bの内部に没入し、入口側ガイド52が溝部25Bから主搬送路SPに(左方に)突出する。そして、可動ガイドリブ50は、シートS1の先端部がレジストローラー対29に到達した後、第1の姿勢に姿勢変更する。なお、本実施形態では、可動ガイドリブ50に外力が付与されていない場合、可動ガイドリブ50は、自重によってもたらされるガイド支点部51回りの回転モーメントによって、第1の姿勢となる。
【0051】
このため、シートS1が給紙ローラー22によって搬送され、給紙ガイド24(
図1)によって上方にガイドされる際、湾曲ガイド25の搬送方向上流側はシート幅方向に沿って平坦となっている。したがって、シートS1の先端部が可動ガイドリブ50の上流側端部に干渉することなく、湾曲ガイド25によって安定してガイドされる。やがて、シートS1の先端部が湾曲ガイド25の搬送方向下流側に至ると、第1の姿勢の可動ガイドリブ50における出口側ガイド53がシートS1によって上方に押圧される。この結果、可動ガイドリブ50がガイド支点部51回りに回動することで、第2の姿勢に姿勢変更する(
図2(B)、
図3(B))。この際、湾曲ガイド25の搬送方向下流側はシート幅方向に沿って平坦となる。したがって、シートS1の先端部が安定して湾曲ガイド25から上方ガイド28に受け渡される。
【0052】
更に、シートS1の先端部がレジストローラー対29に至り、停止すると、シートS1の先端側がループ形成部RAにおいて湾曲し始める。この時、湾曲ガイド25ではシートS1のシート面が入口側ガイド52を後方に押圧し、湾曲面25Aに密着する。したがって、可動ガイドリブ50がガイド支点部51回りに回動し、再び第1の姿勢に姿勢変更する(
図2(A)、
図3(A))。
【0053】
この時、湾曲ガイド25の搬送方向下流側では、出口側ガイド53が湾曲面25Aから下方に突出するため、シートS1のシート面が湾曲面25Aから下方に離間し空間が形成される。このため、
図2(A)および
図4を参照して、出口側ガイド53のシート幅方向の両側では、ループ形成部RAに連通する補助ループ形成部RBが形成される。この結果、
図1の破線で示したシートS1のループよりも搬送方向上流側により大きく広がるように、シートS1のループが形成可能とされる。
【0054】
図4を参照して、斜行によってシートS1の先端部のうち右側部分が先にレジストローラー30に到達した場合(
図4の矢印DA)、ループ形成部RAおよび右側の補助ループ形成部RBを利用して、シートS1のループが形成される。この結果、給紙ローラー22による搬送力によって、シートS1の後端側が矢印DBに示すように回転する。そして、シートS1の先端部のうち左側部分が遅れてレジストローラー30に到達する(
図4の矢印DC)ことで、シートS1の斜行が補正される。
【0055】
このように本実施形態では、出口側ガイド53が湾曲面25Aから突出することで、シートS1が回転する(捻れる)自由度が増し、シートS1の斜行補正効果が増大する。また、可動ガイドリブ50の回動に伴って、出口側ガイド53は湾曲面25Aから上方に没入することが可能なため、突出時(第1の姿勢)における出口側ガイド53の湾曲面25Aに対する突出高さを大きくすることができる。このため、補助ループ形成部RBを上下および前後方向に大きく拡大することができる。なお、シートS1の搬送方向の後端側は、給紙ローラー22(
図1)とリタードローラー23(
図1)との間のニップ部に挟持されている。このため、
図4に示すように、シートS1の搬送方向後端側は回転しない。シートS1の搬送方向先端側において、上記のように、ループが形成される。
【0056】
また、本実施形態では、シートS1による押圧力を利用して、可動ガイドリブ50が回動し、シートS1の斜行補正のための空間を形成することが可能となる。したがって、シートの種類や環境の変化などによってシートS1の搬送速度やループ量がばらついた場合であっても、安定してシートS1の斜行を補正することができる。この際、ループ形成部RAおよび補助ループ形成部RBにおいて、シートS1のループ形成領域が確保されているため、シートS1が給紙ローラー22によってレジストローラー対29側に強く押し込まれても、一旦補正されたシートS1が再び斜行することが防止される。
【0057】
また、本実施形態では、ループ形成のために給紙ローラー22がシートS1をレジストローラー対29側に強く押し込む必要がない。したがって、シートS1の先端部がレジストローラー対29のニップ部をすり抜けることが防止される。また、ニップ部のニップ圧を大きくするために、高い回転トルクを備えた駆動モーターをレジストローラー対29に連結する必要が低減される。
【0058】
更に、本実施形態では、前述のように、手差しトレイ32に載置されたシートS2は、送出ローラー34によって、上方ガイド28と湾曲ガイド25のガイド先端部25Lとの間を介して、レジストローラー対29に向かって搬送される。シートS2の先端部が、レジストローラー対29に当接し、停止すると、送出ローラー34の搬送力によって、シートS2の先端部にループが形成される。この際、シートS2は、レジストローラー対29と湾曲ガイド25のガイド先端部25Lとの間において、下方に凸形状となるようなループ(
図1の破線が上下方向において反転された形状)を形成する。この結果、シートS2の斜行が補正される。このように、本実施形態では、主搬送路SPと手差し搬送路SQとの合流部となる湾曲ガイド25の搬送方向下流側を利用して、シートS1およびS2の斜行が補正される。
【0059】
以上、本発明の実施形態に係る給紙部2およびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0060】
(1)上記の実施形態では、可動ガイドリブ50の自重によってもたらされるガイド支点部51回りの回転モーメントによって、可動ガイドリブ50が第1の姿勢となる態様にて説明した。本発明はこれに限定されるものではない。ガイド支点部51に不図示のコイルばね(付勢部材)が配置される態様でもよい。この場合、コイルばねは、可動ガイドリブ50が第1の姿勢となるように、可動ガイドリブ50をガイド支点部51回りに付勢する。すなわち、付勢部材は、
図3(A)においてガイド支点部51回りに反時計回りに可動ガイドリブ50を付勢する。
【0061】
(2)また、上記の実施形態では、可動ガイドリブ50が板状部材からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図5は、本発明の変形実施形態に係る可動ガイド60(ガイド部材)の斜視図である。可動ガイド60は、シートS1のシート面に当接する稜線60Aを備え、湾曲面25A(
図2(A))に沿って湾曲された三角柱形状からなる部材である。また、可動ガイド60は、入口側ガイド62(上流側ガイド部)と、出口側ガイド63(下流側ガイド部)とを備える。このような構成においても、出口側ガイド63が溝部25Bから下方に突出することで、ループ形成部RAに連通する補助ループ形成部RBが形成される(
図2(A))。この結果、
図1の破線で示したシートS1のループよりも搬送方向上流側により大きく広がるシートS1のループが形成可能とされる。
【0062】
(3)また、上記の実施形態では、主搬送路SPの上流側部分がU字形状からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。シートS1が上方に向かってガイドされた後、湾曲ガイド25によって水平方向にガイドされながらレジストローラー対29に至る他の搬送路においても、本発明は適用可能である。
【0063】
(4)また、上記の実施形態では、シート搬送装置として給紙部2を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図6は、本発明の変形実施形態に係るシート搬送装置の断面図である。本変形実施形態では、シート搬送装置として、自動原稿搬送装置7が適用される。自動原稿搬送装置7は、シートとしての原稿シートを原稿読取位置Xに搬送する。自動原稿搬送装置7は、原稿載置トレイ70と、原稿搬送部71と、原稿排出トレイ72と、を備える。また、自動原稿搬送装置7は、第1搬送路73と、第2搬送路74と、第3搬送路75と、反転搬送路76と、中間搬送路77と、原稿合流部7Sとを備える。更に、自動原稿搬送装置7は、ピックアップコロ710と、給紙コロ711(第1搬送部材)と、レジストローラー対712と、中間搬送ローラー713とを備える。
【0064】
原稿載置トレイ70には、複数枚の原稿シートが積載される。原稿搬送部71は、原稿載置トレイ70の原稿シートを1枚ずつ、原稿読取位置Xを通過するように搬送した後、原稿排出トレイ72に排出する。原稿読取位置Xには、不図示の原稿読取部が対向して配置されている。
【0065】
原稿載置トレイ70に載置された原稿シートは、ピックアップコロ710および給紙コロ711によって第1搬送路73に搬入される。更に、原稿シートは、レジストローラー対712によって第2搬送路74を下方に搬送されながら原稿読取位置Xを通過し、中間搬送ローラー713によって、排出口75Sから原稿排出トレイ72に排出される。
【0066】
一方、原稿シートの両面に原稿画像が形成されている場合には、不図示の搬送切り替え部によって、原稿シートは中間搬送ローラー713によって反転搬送路76に搬入される。原稿シートは中間トレイ76Sにおいて反転(スイッチバック)された後、中間搬送路77から再び第2搬送路74に搬入され、レジストローラー対712によって原稿読取位置Xに向かって搬送される。
【0067】
本変形実施形態においても、中間搬送路77と第1搬送路73とが合流する原稿合流部7Sにおいて、先の実施形態と同様の第1、第2および第3ガイド部を適用することが可能である。この結果、原稿合流部7Sの近傍において原稿シートにループが形成され、原稿シートの斜行が矯正された状態で、安定して原稿画像が読み取られる。