特許第5970521号(P5970521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5970521熱硬化性組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970521
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】熱硬化性組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20160804BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C08G59/68
   H05K1/03 610L
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-211717(P2014-211717)
(22)【出願日】2014年10月16日
(62)【分割の表示】特願2013-137185(P2013-137185)の分割
【原出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-10232(P2015-10232A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】中条 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 新
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−010945(JP,A)
【文献】 特開平04−345673(JP,A)
【文献】 特開2012−019240(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119598(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/094606(WO,A1)
【文献】 特開2012−025800(JP,A)
【文献】 特開2009−114325(JP,A)
【文献】 特開2007−023097(JP,A)
【文献】 特開2008−222933(JP,A)
【文献】 特開2011−202140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃で固体状であり、40℃で液状である半固形のエポキシ化合物、または、40℃で固体状である固形のエポキシ化合物と、
130〜220℃で加熱した時、前記エポキシ化合物と相溶する硬化促進剤と、
少なくとも2種の溶剤と、を含有し、
前記少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なることを特徴とする層間絶縁層用の熱硬化性組成物。
【請求項2】
プリント配線板製造用であることを特徴とする請求項1記載の層間絶縁層用の熱硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の層間絶縁層用の熱硬化性組成物から形成される樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項4】
請求項1または2記載の層間絶縁層用の熱硬化性組成物または請求項3に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られる硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板に関し、詳しくは、冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な硬化物を得ることができる熱硬化性組成物、そのドライフィルム、および、その硬化物を具備するプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多層プリント配線板の製造方法として、内層回路板の導体層上に樹脂絶縁層と導体層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術が注目されている。例えば、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、粗化剤により表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造法が提案されている。また、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物の接着シートをラミネートし、加熱硬化した後、導体層を形成する多層プリント配線板の製造法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−1403号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の層間絶縁層用のエポキシ樹脂組成物では、高いガラス転移温度(Tg)の硬化被膜を形成することが困難であり、硬化被膜の冷熱サイクル時のクラック耐性が十分ではなかった。そこで、冷熱サイクル時のクラックの発生を抑制するために、フィラーの含有量を増やして下地となる基板との線熱膨張係数(CTE)をできるだけ合致させたが、十分なクラック耐性を得ることができなかった。
【0005】
本発明者等は、従来のエポキシ樹脂組成物に配合されている液状エポキシ樹脂に着目し、液状エポキシ樹脂に代えて半固形または固形のエポキシ樹脂を配合する組成とし、ガラス転移温度(Tg)を高く、かつ、線熱膨張係数(CTE)を低くすることにより、クラック耐性に優れる硬化被膜を形成することを検討した。しかしながら、ガラス転移温度(Tg)が高く、線熱膨張係数(CTE)が低い硬化被膜であっても、十分なクラック耐性は得られなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な硬化物を得ることができる熱硬化性組成物、そのドライフィルム、および、その硬化物を具備するプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記を鑑み鋭意検討した結果、熱硬化時の温度域において、エポキシ樹脂と相溶する硬化促進剤を配合することによって、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の熱硬化性組成物は、半固形または固形のエポキシ化合物と、130〜220℃で加熱した時、前記エポキシ化合物と相溶する硬化促進剤とを含有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の熱硬化性組成物は、さらに、溶剤を含有することが好ましい。
【0010】
本発明の熱硬化性組成物は、前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物およびホスホニウム塩類の少なくとも何れか一種であることが好ましい。
【0011】
本発明の熱硬化性組成物は、プリント配線板製造用であることが好ましい。
【0012】
本発明のドライフィルムは、前記熱硬化性組成物から形成される樹脂層を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明のプリント配線板は、前記熱硬化性組成物または前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られる硬化物を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な硬化物を得ることができる熱硬化性組成物、そのドライフィルム、および、その硬化物を具備するプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エポキシ樹脂の液状判定に用いた2本の試験管を示す概略側面図である。
図2】実施例1のエポキシ化合物と硬化促進剤との相溶性評価に用いた硬化物を示す図である。
図3】比較例1のエポキシ化合物と硬化促進剤との相溶性評価に用いた硬化物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の熱硬化性組成物は、半固形または固形のエポキシ化合物と、130〜220℃で加熱した時に前記エポキシ化合物と相溶する硬化促進剤とを含有するものである。液状エポキシ樹脂を減量し、かつ、そのような硬化促進剤を配合することによって、ガラス転移温度(Tg)を上げ、線熱膨張係数(CTE)を下げつつ、さらに冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な硬化物を得ることができる。硬化促進剤がエポキシ樹脂と熱硬化時の温度域において十分に相溶しない場合、硬化被膜中に粗大粒子が発生してしまうが、前記のような硬化促進剤を用いることによって、その発生が抑えられるため、冷熱サイクル時のクラック発生が抑制されると考えられる。また、特定の硬化促進剤を含有することにより、さらにBHAST耐性にも優れた硬化物を得ることができる。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0017】
[半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物]
本発明の熱硬化性組成物は、半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の少なくとも何れか一つを含有する。本明細書において、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であり、40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいう。また、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。
【0018】
液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。
(1)装置
恒温水槽:
攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。
尚、後述する実施例で用いたエポキシ樹脂の判定では、いずれもヤマト科学社製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22リットルを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度(20℃または40℃)に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整したが、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
【0019】
試験管:
試験管としては、図1に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線11、12が付され、試験管の口をゴム栓13aで密閉した液状判定用試験管10aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓13bで試験管の口を密閉し、ゴム栓13bに温度計14を挿入した温度測定用試験管10bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
温度計14としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP−58目盛範囲20〜50℃)を用いるが、0〜50℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
【0020】
(2)試験の実施手順
温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、図1(a)に示す液状判定用試験管10aと図1(b)に示す温度測定用試験管10bにそれぞれA線まで入れる。2本の試験管10a、10bを低温恒温水槽にB線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端がA線よりも30mm下となるようにする。
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判断用試験管10aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端がA線からB線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。試料は、設定温度において、測定された時聞が90秒以内のものを液状、90秒を超えるものを固体状と判定する。
【0021】
半固形エポキシ化合物または固形エポキシ化合物はそれぞれ、熱硬化性樹脂成分として用いられる、エポキシ基を有する半固形または固形の化合物であれば特に限定されず、従来公知のものをいずれも使用できる。半固形エポキシ化合物または固形エポキシ化合物としてはそれぞれ、半固形または固形の、分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ化合物、分子中にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。水素添加された、半固形または固形の2官能エポキシ化合物であってもよい。
【0022】
半固形エポキシ化合物としては、DIC社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ社製アラルダイトAER280、東都化成社製エポトートYD−134、ジャパンエポキシレジン社製jER834、jER872、住友化学工業社製ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0023】
固形エポキシ化合物としては、DIC社製HP−4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、DIC社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製YX−4000等のビフェニル型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製TX0712等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学工業社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0024】
本発明の熱硬化性組成物は、半固形エポキシ化合物と固形のエポキシ化合物の両方を含有することができる。また、半固形エポキシ化合物および固形のエポキシ化合物は、それぞれ1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の中でも、硬化物の好ましい物性等の観点から芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。尚、本明細書において、芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。
【0025】
半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の総量は、固形分換算で、本発明の熱硬化性組成物全量基準で、10〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、10〜35重量%がより好ましい。
【0026】
[硬化促進剤]
本発明の熱硬化性組成物は、半固形または固形のエポキシ化合物と130〜220℃で加熱した時に相溶する硬化促進剤を含有する。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。また、本発明においては、前記のような硬化促進剤を配合することにより、冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な硬化物を得ることができる。さらに、本発明の熱硬化性組成物でドライフィルムを作製すると、屈曲した際に、割れおよびキャリアフィルムからの剥がれが少ない、高い柔軟性のドライフィルムを得ることができる。
【0027】
本発明において、エポキシ化合物と「130〜220℃で加熱した時に相溶する」とは、配合するエポキシ化合物と硬化促進剤とを混合し、130〜220℃の何れかの温度で加熱して得た硬化物中に、20μm以上の粗大粒子が全くない場合をいう。例えば、エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合物からなる1mmの厚みの硬化塗膜を、130〜220℃の何れかの温度で加熱して硬化させることにより作製し、室温に冷却した後、電子顕微鏡で、25倍で、1cm×1cmの範囲を観察して、20μm以上の粗大粒子の有無を調べることによって判断することができる。
【0028】
半固形エポキシ化合物と固形エポキシ化合物の両方を含有する場合は、半固形エポキシ化合物と固形エポキシ化合物の混合物と、硬化促進剤とを混合して上記のように判断する。本発明の熱硬化組成物がさらに下記のような硬化剤を含有する場合も、配合する半固形または固形のエポキシ化合物と、硬化促進剤とを混合して上記のように判断すればよい。本明細書において熱硬化時の温度とは、130〜220℃であり、150〜200℃であることが好ましい。
【0029】
前記硬化促進剤は、本発明の熱硬化性組成物に配合する半固形または固形のエポキシ化合物と130〜220℃で加熱した時に相溶する硬化促進剤であれば特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体(例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属アセチルアセトネート化合物等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、イミダゾール、イミダゾール誘導体、ホスホニウム塩類が好ましい。
【0030】
前記硬化促進剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記硬化促進剤の配合量は、半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の総量100重量部に対して0.01〜5であることが好ましく、0.1〜5であることがより好ましい。0.01重量部以上の場合、硬化時間を短縮できる。5重量部以下の場合、より一層相溶できる。前記硬化促進剤が金属化合物の場合、熱硬化性樹脂成分100重量部に対して金属換算で10〜550ppmであることが好ましく、25〜200ppmであることがより好ましい。
【0031】
(溶剤)
本発明の熱硬化性組成物は、組成物の調製、基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整、ドライフィルムの樹脂層の形成等のために、溶剤を使用することができる。溶剤は特に限定されず、従来公知の溶剤を用いることができる。また、溶剤の配合量も限定されない。
ドライフィルムを形成する際には、溶剤としては、沸点が100℃以上、かつ、沸点が5℃以上の2種の溶剤を配合することが好ましい。沸点の差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上である。前記溶剤は特に限定されず、沸点が100℃以上の従来公知の溶剤を用いることができる。本明細書において、溶剤の沸点に幅がある場合は、蒸留の初留点〜終点を沸点とする。
【0032】
沸点が100℃未満の溶剤としては、ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトン、クロロホルム、メタノール、n−ヘキサン、酢酸エチル、1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル等が挙げられる。
【0033】
沸点が100℃以上の溶剤としては、イソブチルアルコール、トルエン、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、酢酸ブチル、2−メトキシプロパノール、酢酸イソブチル、テトラクロロエチレン、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テレビン油、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0034】
また、沸点が100℃以上の溶剤として、キシレン、石油系ナフサ、丸善石油化学社製スワゾール1000(炭素数8〜10:高沸点芳香族炭化水素)、スワゾール1500(高沸点芳香族炭化水素)、スタンダード石油大阪発売所社製ソルベッソ100(炭素数9〜10:高沸点芳香族炭化水素)、ソルベッソ150(炭素数10〜11:高沸点芳香族炭化水素)、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番(炭素数9の芳香族炭化水素が主成分)、イプゾール150番(炭素数10の芳香族炭化水素が主成分)等が挙げられる。高沸点芳香族炭化水素は、芳香族成分を99容量%以上含有することが好ましい。また、高沸点芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのそれぞれが0.01容量%未満であることが好ましい。
【0035】
前記ドライフィルムの樹脂層は、沸点が100℃以上の溶剤を3種以上含有していてもよく、その場合は何れかの2種の溶剤の沸点が異なればよい。沸点が100℃以上の溶剤の中でも、沸点が100〜230℃の溶剤が好ましく、100〜220℃の溶剤がより好ましい。沸点が230℃以下の場合、熱硬化またはアニール処理後に、溶剤がドライフィルムの樹脂層にほとんど残存する。溶剤は、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、炭素数が8以上の芳香族炭化水素であることがさらに好ましい。
【0036】
また、本発明の熱硬化性組成物を用いてドライフィルムを形成する場合、乾燥後の溶剤の配合量、すなわち、溶剤の残含有量の割合は、溶剤を含むドライフィルムの樹脂層全量基準で、0.1〜4重量%であることが好ましく、0.3〜3重量%であることがより好ましい。0.1重量%以上の場合、割れや粉落ちを抑制でき、一方、4重量%以下の場合、剥離性が向上し、気泡の残留を少なくして、クラックの発生を抑制できる。
【0037】
(他の熱硬化性樹脂成分)
本発明の熱硬化性組成物は、前記エポキシ化合物以外の他の熱硬化性樹脂成分を含有しても良い。他の熱硬化性樹脂成分としては、多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0038】
本発明の熱硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱硬化性樹脂成分として液状エポキシ化合物を含有してもよい。液状エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、液状エポキシ樹脂を配合すると、硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下し、クラック耐性が悪くなる場合があるため、液状エポキシ樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂成分全重量あたり、0〜45重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましく、0〜5重量%であることが特に好ましい。前記熱硬化性樹脂成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
(フィラー)
本発明の熱硬化性組成物は、フィラーを含有することができる。フィラーを含有することによって、絶縁層の周囲にある銅等の導体層と熱強度を合わせることにより、ドライフィルムの熱特性を向上することができる。フィラーとしては従来公知の全ての無機充填剤および有機充填剤が使用でき、特定のものに限定されないが、塗膜の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性の向上に寄与する無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられる。これらの無機フィラーの中でも、粗化液により侵され難いシリカや硫酸バリウムが好ましく、特に比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、球状シリカが好ましい。フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、更に好ましくは1μm以下が望ましい。なお、平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
【0040】
フィラーの配合量は、組成物全量基準で、1〜90重量%であることが好ましく、10〜90重量%であることがより好ましく、30〜80重量%であることがさらに好ましい。フィラーの配合量が1重量%以上の場合、熱膨張を抑制して耐熱性が向上し、一方、90重量%以下の場合、クラックの発生を抑制できる。
【0041】
(硬化剤)
本発明の熱硬化性組成物は、硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、硬化剤とは、硬化促進剤よりも硬化作用が高いものを言い、本発明の熱硬化性組成物では、硬化剤および硬化促進剤のうちのいずれか1種のみで硬化できる。
【0042】
上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
【0044】
上記シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
【0045】
上記活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
【0046】
また、硬化剤として、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基のうちいずれか一方を有する脂環式オレフィン重合体を用いてもよい。脂環式オレフィン重合体の製造方法の具体例としては、(1)カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基(以下、「カルボキシル基等」と称する)を有する脂環式オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合する方法、(2)カルボキシル基等を有する芳香族オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合して得られる(共)重合体の芳香環部分を水素化する方法、(3)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合する方法、(4)カルボキシル基等を有しない芳香族オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合して得られる共重合体の芳香環部分を水素化する方法、(5)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィン重合体にカルボキシル基等を有する化合物を変性反応により導入する方法、もしくは、(6)前記(1)〜(5)のようにして得られるカルボン酸エステル基を有する脂環式オレフィン重合体のカルボン酸エステル基を、例えば加水分解等によりカルボキシル基に変換する方法等が挙げられる。中でも、前記(1)の方法によって得られる重合体が好ましい。脂環式オレフィン重合体を得る重合法は、開環重合や付加重合を用いることができる。開環重合の場合は、得られた開環重合体を水素添加することが好ましい。
【0047】
硬化剤の中でも、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂、カルボキシル基等を有する脂環式オレフィン重合体が好ましい。
【0048】
熱硬化性樹脂成分のエポキシ基等の熱硬化反応が可能な官能基と、その官能基と反応する硬化剤中の官能基との比率が、硬化剤の官能基/熱硬化成分の官能基(当量比)=0.2〜2となるような割合で配合することが好ましい。当量比を上記範囲内とすることで、デスミア工程におけるフィルム表面の粗化を防止することができる。より好ましくは当量比=0.2〜1.5であり、さらに好ましくは、当量比=0.3〜1.0である。
【0049】
(熱可塑性樹脂)
本発明の熱可塑性組成物は、得られる硬化被膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。フェノキシ樹脂の水酸基をアシル化したものが、電気特性に優れるので好ましい。
【0050】
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドでアセタール化することで得られる。前記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられ、ブチルアルデヒドが好ましい。
【0051】
フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成社製FX280、FX293、三菱化学社製YX8100、YL6954、YL6974等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学工業社製エスレックKSシリーズ、ポリアミド樹脂としては日立化成工業社製KS5000シリーズ、日本化薬社製BPシリーズ、さらにポリアミドイミド樹脂としては日立化成工業社製KS9000シリーズ等が挙げられる。
【0052】
熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、フルオレン骨格を有する場合、高いガラス転移点を有し、耐熱性に優れるため、半固形または固形エポキシ樹脂による低い熱膨張率を維持すると共にそのガラス転移点を維持し、得られる硬化皮膜は低い熱膨張率と高いガラス転移点をバランス良く併せ有するものとなる。
また、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は水酸基を有するため、基材および導体に対して良好な密着性を示すと共に、得られる硬化皮膜は粗化剤により侵され難いが、水溶液の形態の粗化液は硬化皮膜とフィラーの界面に浸透し易いので、粗化処理により硬化皮膜表面のフィラーが抜け落ち易くなり、良好な粗化面を形成し易くなる。
【0053】
熱可塑性樹脂として、ブロック共重合体を用いてもよい。ブロック共重合体とは、性質の異なる二種類以上のポリマーが、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体のことである。
【0054】
ブロック共重合体としてはA−B−A型またはA−B−A’型ブロック共重合体が好ましい。A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、中央のBがソフトブロックでありガラス転移温度(Tg)が低く、好ましくは0℃未満であり、その両外側AまたはA’がハードブロックでありガラス転移温度(Tg)が高く、好ましくは0℃以上のポリマー単位により構成されているものが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
また、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’がTgが50℃以上のポリマー単位からなり、Bがガラス転移温度(Tg)が−20℃以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体がさらに好ましい。
また、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’が上記熱硬化性成分との相溶性が高いものが好ましく、Bが上記熱硬化性成分との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックスに相溶であり、中央のブロックがマトリックスに不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
【0055】
熱可塑性樹脂の中でも、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体が好ましい。
【0056】
熱可塑性樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂成分100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合が好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲内の場合、均一な粗化面状態を容易に得られる。
【0057】
(ゴム状粒子)
さらに、本発明のドライフィルムの樹脂層は、必要に応じてゴム状粒子を含有することができる。このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。コアシェル型ゴム粒子としては、ゴム状ポリマーからなるコア層を、ガラス状ポリマーのシェル層で被覆したコアシェル構造を有する粒子、ガラス状ポリマーからなるコア層とシェル層の間に、ゴム状ポリマーからなる中間層を有する粒子等が挙げられる。これらのゴム状粒子は、得られる硬化被膜の柔軟性を向上させたり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上させるために添加される。
【0058】
ゴム状粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜1μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム状粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。例えば、適当な有機溶剤にゴム状粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA−1000(大塚電子社製)を用いて、ゴム状粒子の粒度分布を重量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
【0059】
ゴム状粒子の配合量は、熱硬化性樹脂成分100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。0.5重量部以上の場合、クラック耐性が向上し、導体パターン等との密着強度を向上できる。10重量部以下の場合、熱膨張係数(CTE)が低下し、ガラス転移温度(Tg)が上昇して硬化特性が向上する。
【0060】
(難燃剤)
本発明の熱硬化性組成物には、難燃性を付与するために、難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、従来公知の難燃剤であれば特に限定はされないが、樹脂との相溶性、耐熱性等の観点から、ハロゲン糸難燃剤、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム、べーマイト、水酸化マグネシウムおよびアンチモン系難燃剤が好ましい。
【0061】
難燃剤は一種を単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は、熱硬化性樹脂成分100重量部に対して、3〜30重量部であることが好ましい。難燃剤の配合量が上記範囲にあると、樹脂組成物の難燃性、はんだ耐熱性および電気絶縁性とが、高度にバランスされて好適である。
【0062】
(その他の成分)
本発明の熱硬化性組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
【0063】
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の熱硬化性組成物を塗布、乾燥、必要に応じて保護フィルムをラミネートして、乾燥塗膜を形成することにより、製造することができる。
【0064】
キャリアフィルムの材質としては、好適にはポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。キャリアフィルムの厚みは、好適には8〜60μmである。
保護フィルムの材質としては、キャリアフィルムに用いるものと同様のものを用いることができ、好適にはPETまたはPPである。保護フィルムの厚みは、好適には5〜50μmである。
【0065】
ここで、熱硬化性組成物の塗布方法としては、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法を用いることができる。また、揮発乾燥方法としては、熱風循環式乾燥炉、IR(赤外線)炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いてることができる。
【0066】
また、本発明のプリント配線板は、本発明の熱硬化性組成物またはドライフィルムの乾燥塗膜を硬化して得られる硬化物を具備するものである。その製造方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0067】
本発明の熱硬化性組成物の形態は、適度に粘度調整されたコーティング材料として提供されてもよいし、支持ベースフィルム上に熱硬化性組成物を塗布し、溶剤を乾燥させたドライフィルムとしてもよい。さらにはガラスクロス、ガラスおよびアラミド不織布等のシート状繊維質基材に塗工および/または含浸させて半硬化させたプリプレグシートとしてもよい。支持ベースフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、さらには離型紙や銅箔、アルミニウム箔の如き金属箔などが挙げられる。尚、支持ベースフィルムにはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
【0068】
熱硬化性組成物を用いたコーティング材料、ドライフィルム、またはプリプレグは、回路が形成された内層回路基板に直接コーティングし、乾燥、硬化を行なうか、またはドライフィルムを加熱ラミネートして一体成形し、その後オーブン中で硬化、もしくは熱板プレスで硬化させてもよい。プリプレグの場合には、内層回路基板に重ね、離型フィルムを介して金属板で挟み、加圧・加熱してプレスする。
【0069】
上記工程のうち、ラミネートもしくは熱板プレスする方法は、内層回路による微細凹凸が加熱溶融する際に解消され、そのまま硬化するので、最終的にはフラットな表面状態の多層板が得られるので好ましい。また、内層回路が形成された基材と本発明の熱硬化性樹脂組成物のフィルムまたはプリプレグをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路形成された基材を同時に積層することもできる。
【0070】
このようにして得られた基板に、COレーザーやUV−YAGレーザー等の半導体レーザーまたはドリルにて穴をあける。穴は、基板の表と裏を導通させることを目的とする貫通穴(スルーホール)でも、内層の回路と層間絶縁層表面の回路を導通させることを目的とする部分穴(コンフォーマルビア)のどちらでもよい。
【0071】
穴明け後、穴の内壁や底部に存在する残渣(スミヤ)を除去することと、導体層(その後に形成する金属めっき層)とのアンカー効果を発現させるために、表面に微細凹凸状の粗化面を形成することを目的として、市販のデスミヤ液(粗化剤)または過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を含有する粗化液で同時に行なう。
【0072】
次に、デスミヤ液で残渣を除去した穴や、微細凹凸状粗化面を生じた皮膜表面を形成後に、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等により回路を形成する。いずれの方法においても、無電解めっきまたは電解めっき後、あるいは両方のめっきを施した後に、金属のストレス除去、強度向上の目的で、約80〜180℃で10〜60分程度のアニールと呼ばれる熱処理を施してもよい。
【0073】
ここで用いる金属めっきとしては、銅、スズ、はんだ、ニッケル等、特に制限は無く、複数組み合わせて使用することもできる。また、ここで用いるめっきの代りに金属のスパッタ等で代用することも可能である。
【0074】
本発明の熱硬化性組成物は、プリント配線板の製造に好適に用いることができる。特に、層間絶縁層やソルダーレジスト層等のプリント配線板の絶縁層の形成に好適に用いることができる。本発明の熱硬化性組成物を用いて、配線を貼り合わせることによって配線板を形成してもよい。また、半導体チップ用の封止樹脂としても好適に用いることができる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明の実施例、比較例および試験例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て重量基準である。
【0076】
<エポキシ化合物と硬化促進剤と硬化剤との相溶性>
下記表1、2に示す実施例および比較例の処方から、エポキシ化合物(液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および半固形エポキシ樹脂)と硬化促進剤と硬化剤とを表中の割合で混合し、約100℃で加熱混練して分散させて、熱硬化性組成物を得た。得られた熱硬化性組成物を0.3ml秤量し、ゲル化試験機(井元製作所社製ゲル化試験機1563)を用いて、下記表3、4に示す熱盤温度に設定した熱盤上で硬化させて得た1mmの厚みの硬化塗膜を、室温で冷却した。エポキシ化合物と硬化促進剤と硬化剤が相溶するかどうかを、電子顕微鏡で、25倍で、1cm×1cmの範囲を観察して、20μm以上の粗大粒子が見られるかどうかで判断した。結果を下記表3、4に示す。また、実施例1および比較例1について、相溶性評価を行った硬化物をそれぞれ図2および3に示す。さらに、硬化剤を含まず、硬化促進剤とエポキシ樹脂とを表中の割合で混合して、同様に相溶性を評価した結果、同様の結果が得られた。
○:硬化物中に20μm以上の粗大粒子が存在しない。
×:硬化物中に20μm以上の粗大粒子が存在する。
【0077】
(実施例1〜8および比較例1、2)
下記表1、2に示す処方にて各成分を配合し、混練分散し、粘度0.5〜20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)に調整し、実施例1〜8および比較例1、2の熱硬化性組成物を得た。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
*1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製;エポキシ当量184〜194g/eq;液状)
*2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製;エポキシ当量160〜175g/eq;液状)
*3:ビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製;エポキシ当量272g/eq;軟化点52℃)
*4:テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製:エポキシ当量180〜192g/eq;軟化点105℃)
*5:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製;エポキシ当量145〜157g/eq;半固形)
*6:フェノールノボラック樹脂(明和化成社製;水酸基当量105〜109g/eq;軟化点100〜104℃)
*7:α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂(DIC社製;水酸基当量222〜224g/eq、軟化点110〜140℃)
*8:トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂(DIC社製;水酸基当量151g/eq;窒素含有量18%)
*9:活性エステル化合物(DIC社製;活性エステル当量223g/eq)
*10:フェノールノボラック型多官能シアネートエステル(ロンザジャパン社製;シアネート当量124g/eq)
*11:フルオレン+テトラメチルビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂(東都化成工業社製;ガラス転移温度163℃)
*12:ポリビニルアセトアセタール(積水化学社製;ガラス転移温度107℃)
*13:コアシェルゴム粒子(アイカ工業社製)
*14:フェノール性水酸基を有するリン化合物(三光社製)
*15:球状シリカ(アドマテックス社製;平均粒径0.5μm)
*16:イミダゾール誘導体(四国化成工業社製)
*17:イミダゾール誘導体(四国化成工業社製)
*18:イミダゾール誘導体(四国化成工業社製)
*19:ホスホニウム塩(北興産業社製)
*20:4−アミノピリジン(広栄化学工業社製)
*21:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、分解温度230℃)
*22:トルエン(沸点110℃)
*23:シクロヘキサノン(沸点150℃)
*24:イプゾール150(沸点184〜205℃)
【0080】
各実施例および比較例の熱硬化性組成物を、それぞれ、バーコーターを用いて、ドライフィルムの膜厚が乾燥後40μmになるようにキャリアフィルム(PETフィルム;東レ社製ルミラー38R75:厚さ38μm)に塗布した後、90℃30分で乾燥し、保護フィルムを積層してドライフィルムを得た。得られたドライフィルムについて、下記評価方法により評価した。評価結果を表3、4に示す。
【0081】
<ドライフィルム中の有機溶剤の残含有量(%)の測定>
各実施例および比較例のドライフィルムからキャリアフィルムおよび保護フィルムを剥離した後、約1.2gの樹脂層を採取し、密栓付の容器に入れて採取した樹脂層の質量を正確に秤量した(W)。この容器にピペットで内部標準物質として、3−エトキシプロピオン酸エチルを1滴添加し、その質量(We)を正確に秤量した。その後アセトン5mlをホールピペットにより添加して密栓し、容器を十分に振って採取した樹脂層を溶解させた。次いでこの液を目開き0.5μmのフィルターでろ過し、ろ液の組成をガスクロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製TRACEGCULTRA)により分析し、別途作成した検量線より内部標準物質1gに対する有機溶剤の質量を求めた(Ws)。これらから下式に従って有機溶剤の残含有量を計算した。
有機溶剤の残含有量(質量%)=(We×Ws/W)×100
【0082】
なお、ガスクロマトグラフィーにおける測定条件は、下記のとおりである。カラム:AgilentTechnologies製キャピラリーカラムDB−1MS(30m×0.25mm)、検出器:MS(ITQ900)、キャリアガス:ヘリウム、インジェクター温度:300℃、ディテクター温度:230℃、カラム温度条件:初期温度50℃、試料注入後50℃で2分間ホールドし、10℃/分で300℃まで昇温、300℃到達後10分間ホールド。
【0083】
<ドライフィルムの硬度(曲げテスト)>
JISK5600−5−1(ISO1519)に準拠し、BYK−Gardner社製円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて、各実施例および比較例のドライフィルムの割れおよび素地からの剥がれが起こり始めるマンドレルの最小直径から、ドライフィルムの硬度を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:φ2mm超5mm未満の範囲で、樹脂層の割れおよびキャリアフィルムの剥がれの発生が無かった。樹脂層の粉落ちがなかった。また、φ2mm以下の直径でも、樹脂層の割れ、粉落ち、キャリアフィルムの剥がれが発生しなかった。
△:φ2mm超5mm未満の範囲で、樹脂層の割れ、粉落ち、およびキャリアフィルムの剥がれが発生した。
×:φ5mm以上の直径で、樹脂層の割れ、粉落ち、およびキャリアフィルムの剥がれが発生した。
【0084】
<ガラス転移温度(Tg)および熱膨張率(CTE(α1))>
前記実施例および比較例の各樹脂組成物を、GTS−MP箔(古河サーキットフォイル社製)の光沢面側(銅箔)上にドライフィルムをラミネートして、熱風循環式乾燥炉にて180℃(実施例5のみ190℃)で60分間、硬化させた。その後、硬化物を銅箔より剥離した後、測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)にサンプルを切り出し、セイコーインスツル社製TMA6100に供した。TMA測定は、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より250℃まで昇温して実施し、ガラス転移温度(Tg)、およびTg以下の領域における熱膨張率CTE(α1)を測定した。
【0085】
<冷熱サイクル(クラックの抑制)>
各実施例および比較例のドライフィルム厚み(樹脂厚40μm)を、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機社製)を用いて、銅張積層板の銅上に5kgf/cm、120℃、1分、1Torrの条件にてラミネートした。その後、キャリアフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃で30分間加熱し、樹脂層を硬化させた。その後、COレーザー加工機(日立ビアメカニクス社)にてトップ径65μm、ボトム径50μmになるようにビア形成を行った。
次いで、市販の湿式過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、樹脂層上に銅厚み25μm、ビア部分をフィルドするように銅めっき処理を施した。次いで熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間硬化を行い、完全硬化させた銅めっき処理を施した試験基板を得た。
得られた試験用基板を−65℃で30分、150℃で30分を1サイクルとして熱履歴を加えた。2000サイクル経過後、ビア底や壁面の状態を光学顕微鏡により観察するために、ビア中心部分を精密切断機で裁断、研磨し断面状態の観察を行った。
評価基準は、下記に従い評価を行った。観察ビア数は100穴とした。
○:クラック発生なし
△:クラック発生率1〜10%未満
×:クラック発生率10%以上
【0086】
<BHAST耐性>
クシ型電極(ライン/スペース=20ミクロン/15ミクロン)が形成されたBT基板に、樹脂層の硬化被膜を形成し、評価基板を作成した。評価基板を、130℃、湿度85%の雰囲気下の高温高湿槽に入れ、電圧5.5Vを荷電し、種々の時間、槽内HAST試験を行った。樹脂層の硬化被膜の種々の時間経過時の槽内絶縁抵抗値を下記の判断基準に従い評価した。
◎:300時間経過後、10Ω以上
○:240時間経過後、10Ω以上
×:240時間経過時、10Ω未満
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
上記表3、4に示す結果から、実施例1〜8の熱硬化性組成物は、硬化物の、ガラス転移温度(Tg)が高く、線熱膨張係数(CTE)が低く、エポキシ樹脂と硬化促進剤が相溶するので冷熱サイクル時のクラック発生の抑制に優れることが分かる。また、実施例4の熱硬化性組成物は、特に、BHAST耐性も優れていた。
一方、エポキシ樹脂と硬化促進剤が相溶しない比較例1は、ガラス転移温度(Tg)が高く、線熱膨張係数(CTE)が低い硬化物を得ることができたものの、冷熱サイクル時のクラック発生を十分に抑制することができないことが分かる。また、固形エポキシ樹脂または半固形エポキシ樹脂ではなく、液状エポキシ樹脂を配合した比較例2の硬化物は、硬化促進剤がエポキシ樹脂と相溶するが、ガラス転移温度(Tg)が低く、線熱膨張係数(CTE)は高く、さらに、冷熱サイクル時のクラック発生を抑制できないことが分かる。また、比較例2の硬化物は、BHAST耐性に劣るものであった。
【符号の説明】
【0090】
10a 液状判定用試験管
10b 温度測定用試験管
11 標線(A線)
12 標線(B線)
13a、13b ゴム栓
14 温度計
図1
図2
図3