【実施例】
【0046】
以下において、本発明の好ましい実施例を参照し、本発明についてより詳細に説明する。下記実施例1〜7は、賦活剤であるEu
2+のモル比による発光特性の差異を確認するためのものであり、実施例8〜10は、CaをMg、Sr、Baに一部置き換えた時の発光特性の差異を確認するためのものであり、実施例11〜14は、LaをY、Lu、Sc、Gd、Tbに一部置き換えた時の発光特性の差異を確認するためのものであり、実施例15および16は、賦活剤としてEuではなく、CeとMnを用いた時の発光特性の差異を確認するためのものである。
【0047】
[実施例1]
実施例1の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.2070g、La
2O
30.6013g、a−Si
3N
4 0.6911g、Eu
2O
30.0007gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下で、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を得た。
【0048】
このように混合された原料粉末混合物1.5gをるつぼに仕込み、焼成炉の内部に窒素ガスを注入して、圧力0.5MPaの窒素雰囲気を作った後、1500℃で6時間加熱する焼成処理を行った後、粉砕することにより、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、緑色発光になるものと確認された。
【0049】
[実施例2]
実施例2の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.2053g、La
2O
30.5964g、a−Si
3N
4 0.6917g、Eu
2O
30.0065gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、緑色発光になるものと確認された。
【0050】
[実施例3]
実施例3の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.2022g、La
2O
30.5874g、a−Si
3N
4 0.6930g、Eu
2O
30.0174gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、緑黄色発光になるものと確認された。
【0051】
[実施例4]
実施例4の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1997g、 La
2O
30.5802g、a−Si
3N
4 0.6939g、Eu
2O
30.0261gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0052】
[実施例5]
実施例5の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1979g、La
2O
30.5748g、a−Si
3N
4 0.6947g、Eu
2O
30.0327gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0053】
[実施例6]
実施例6の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1960g、La
2O
30.5693g、a−Si
3N
4 0.6954g、Eu
2O
30.0393gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0054】
[実施例7]
実施例7の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1922g、La
2O
30.5584g、a−Si
3N
4 0.6969g、Eu
2O
30.0524gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0055】
[実施例8]
実施例8の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1796g、La
2O
30.5825g、a−Si
3N
4 0.6967g、MgO 0.0150g、Eu
2O
3 0.0262gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0056】
[実施例9]
実施例9の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1768g、La
2O
30.5735g、a−Si
3N
4 0.6859g、SrO 0.0380g、Eu
2O
3 0.0258gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0057】
[実施例10]
実施例10の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1747g、La
2O
30.5666g、a−Si
3N
4 0.6776g、BaO 0.0556g、Eu
2O
3 0.0255gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0058】
[実施例11]
実施例11の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1764g、La
2O
30.5722g、a−Si
3N
4 0.6843g、Y
2O
30.0413g、Eu
2O
3 0.0258gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0059】
[実施例12]
実施例12の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1754g、La
2O
30.5687g、a−Si
3N
4 0.6802g、Sc
2O
30.0501g、Eu
2O
3 0.0256gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、緑黄色発光になるものと確認された。
【0060】
[実施例13]
実施例13の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1736g、La
2O
30.5628g、a−Si
3N
4 0.6731g、Gd
2O
30.0652g、Eu
2O
3 0.0253gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0061】
[実施例14]
実施例14の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1733g、La
2O
30.5620g、a−Si
3N
4 0.6722g、Tb
4O
70.0672g、Eu
2O
3 0.0253gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0062】
[実施例15]
実施例15の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1897g、La
2O
30.5906g、a−Si
3N
4 0.6781g、CeO
20.0416gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、黄色発光になるものと確認された。
【0063】
[実施例16]
実施例16の蛍光体組成物の原料粉末は、CaO 0.1982g、La
2O
30.5757g、a−Si
3N
4 0.7082g、MnO 0.0179gをそれぞれ秤量した後、大気雰囲気下、乳鉢を用いて手作業により混合する方式で、1.5gの原料粉末混合物を収得し、その後の過程は実施例1と同様にして、蛍光体組成物を得た。この蛍光体組成物は、460nmの励起源を用いた時、青色発光になるものと確認された。
【0064】
以上のような実施例1〜16の原料物質の混合割合および発光特性の結果を、下記表1にまとめて示した。
【0065】
【表1】
【0066】
また、本発明の実施例4、8〜14による蛍光体組成物を、XRDおよびTEMを介して結晶構造の分析を行い、XRD分析後、実施例4によって製造された蛍光体については、SR−XRD(synchrotron radiation X−ray diffraction)を用いて、精緻なX−線回折分析を行った。
【0067】
図1aは、本発明の実施例4によって製造された蛍光体のSR−XRD(synchrotron radiation X−ray diffraction)分析結果であり、
図1bは、一般XRD分析装置を用いた分析結果である。また、
図2は、本発明の実施例4による母体の組成のうち、CaまたはLaをMg、Sr、Ba、Y、Sc、Gd、Tbに10%程度置き換えた実施例8〜14のXRD分析結果を、実施例4と対比したものである。
【0068】
図1aおよび
図1bから確認されるように、本発明の実施例4によって製造された蛍光体は、粉末X線回折パターンにおけるもっとも強度のある回折ピークの相対強度を100%とした時、前記X線回折パターンのブラッグ角(2Θ)が、10.68゜〜11.41゜、18.52゜〜19.46゜、31.58゜〜31.21゜、36.81゜〜37.49゜の範囲(
図1aおよび
図1bにおいて、縦に線が引かれている領域)で相対強度5%以上の回折ピークを示す特徴がある。
【0069】
また、
図2から確認されるように、CaまたはLaを、Mg、Sr、Ba、Y、Sc、Gd、Tbに置き換えた本発明の実施例8〜14の蛍光体もまた、結晶構造においては実施例4と実質的に同一であって、結晶構造においてはほとんど変化がないことが分かる。さらに、前記置換成分の含有量が多くなり、50%を超えるようになると、本発明にかかる単斜晶系の結晶構造を有する組成物を得ることができないのも確認された。一方、結晶構造の安定性を考慮するとき、それらの前記元素は、10%以下で添加されることが好ましい。
【0070】
また、シンクロトロン粉末XRD(Synchrotron powder XRD)の分析結果にてプロファイルマッチングを行った結果、本発明の実施例4による蛍光体の結晶構造は、a=18.5427Å、b=4.8404Å、c=10.7007Å、α=γ=90゜、β=108.257゜であり、蛍光体母体が単斜晶系の結晶構造を有することが確認された。また、
図5のTEM SAEDを用いて結晶構造を分析した結果もまた上述した分析結果を裏付けているが、このような結晶構造を有する蛍光体は、現在まで知られたことのない、新規のものである。
【0071】
下記表2は、本発明の実施例1〜16による蛍光体のXRD分析結果にてプロファイルマッチングを行った結果を示すものである。このうち、実施例4は、シンクロトロン粉末XRD(Synchrotron powder XRD)の分析結果によるものであり、その他は、実験室で作成したXRD分析結果によるものである。
【0072】
【表2】
【0073】
前記表2から確認されるように、本発明の実施例1〜3、5〜16による蛍光体は、a=18.5427Å、b=4.8404Å、c=10.7007Å、α=γ=90゜、β=108.257゜を基準値(実施例4)として見るとき、a、b、c、βの値の変化が、前記基準値より±5%以下であることが分かる。
【0074】
また、
図4の内部三角形は、本発明者らの実験を通じて、Ca、La、Siの含有量中、実質的に本発明にかかる単斜晶系の結晶構造を有する単相が得られる組成範囲を示したものであって、この組成範囲から外れた場合、本発明の実施例による蛍光体のような結晶構造を有する単相を得ることは困難であった。
【0075】
図5および
図6は、同一の母体組成でEu
2+のドープ量に差異のある、本発明の実施例1〜7による蛍光体の発光特性の相異を示した図であって、
図5は、輝度の相対強度を示し、
図6は、強度をノーマルライズした結果を示した図である。
【0076】
図5から確認されるように、Eu
2+のドープ量がモル比で、0.001であるときは輝度が非常に低くて、0.04、0.05、0.06であるときは優れており、0.04であるとき、もっとも優れていると分析された。したがって、Eu
2+のドープ量は、0.03〜0.07がもっとも好ましいと言える。また、
図6から確認されるように、Eu
2+のドープ量によって発光ピークがどんどん長波長の方に移動しながら、 Eu
2+のドープ量の変化に応じて緑黄色から濃黄色までに多様な発光色を得ることができる。
【0077】
図7は、本発明の実施例8〜14の発光特性を示したものであって、強度をノーマルライズした結果を示した図である。
図7から確認されるように、賦活剤として同様にEu
2+を用いた場合、ピーク波長は550〜560nmで黄色を呈しており、置き換えられる物質の差異によるピーク波長の差はほとんどなかった。
【0078】
図8は、本発明の実施例15および16の発光特性を示したものであって、強度をノーマルライズした結果を示した図である。
図8から確認されるように、CeまたはMnを賦活剤として用いた場合、400nmの励起源で照射したとき、約500nmの近所でピーク波長を示し、青色発光をするものと確認された。
【0079】
以上のような結果は、本発明にかかる蛍光体組成物は、賦活剤の種類または含有量の調節を通じて、青色から黄色に至るまでの広い範囲で発光が可能であり、特に、黄色蛍光体として適切に用いることができることを示している。